JP2748660B2 - 電子写真用感光体及びその製造方法 - Google Patents

電子写真用感光体及びその製造方法

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JP2748660B2 JP2169018A JP16901890A JP2748660B2 JP 2748660 B2 JP2748660 B2 JP 2748660B2 JP 2169018 A JP2169018 A JP 2169018A JP 16901890 A JP16901890 A JP 16901890A JP 2748660 B2 JP2748660 B2 JP 2748660B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は電子写真用の像形成を行う電子写真用感光体
及びその製造方法に関するものである。
従来の技術 有機感光体(OPCと略す)は、無機感光体に比べ分子
設計により色々な波長に高感度な材料を合成できるこ
と、無公害であること、生産性、経済性に優れ、安価で
あること、等の特徴を有しており、現在活発な研究開発
が行われている。そして、従来、有機感光体の問題点と
されていた耐久性や感度の面でも著しい改良がなされ、
そのいくつかは実用化に至っており、現在、電子写真用
感光体の主力となりつつある。
OPCは通常、光を吸収してキャリアを発生させる電荷
発生層(CGLと略す)と生成したキャリアを移動させる
電荷移動層(CTLと略す)の2重層構造で使用され、そ
の高感度化が計られている。CGLに使用される材料(CGM
と略す)としては、各種ペリレン系化合物、各種フタロ
シアニン系化合物、チアピリリウム系化合物、アンスア
ンスロン系化合物、スクアリリウム系化合物、ビスアゾ
系化合物、トリスアゾ顔料、アズレニウム色素、等のい
ろいろな有機材料が検討されている。一方、CTLに使用
される材料(CTMと略す)としては、各種ヒドラゾン系
化合物、オキサゾール系化合物、トリフェニルメタン系
化合物、アリールアミン系化合物、等が開発されてい
る。
更に、近年はレーザープリンター等のデジタル記録用
の感光体として、これらの有機感光体を半導体レーザー
光(780−830nm)に対応した近赤外領域で使用したい、
と言う要望が高まり、この領域で高感度な特性をもつ有
機感光体の開発が盛んである。この様な領域の感光体と
して有機感光体は無機感光体に比べ感度の点から有利で
ある。
これらの材料は、バインダー高分子とともに比較的簡
単な塗布法でドラムやベルト、等の基板上に形成され
る。この様な目的に使用されるバインダー高分子として
は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリ
ル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、等がある。一般に、
2重層構造では高感度化のためにCG層は1ミクロン程度
の厚さで塗布され、一方、CT層は10〜20ミクロンの厚さ
で塗布される。このときその強度、耐刷性、等の理由か
らCG層は基板側に、CT層は表面側に形成されるのが普通
である。この様な構成においては、CTMが正孔の移動に
より作動するもののみ実用化されているので、その2重
層感光体は負帯電方式となる。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、この様な負帯電方式では、(1)帯電
に用いられる負電荷により空気中の酸素がオゾンにな
る、(2)帯電が不安定である、(3)ドラム表面の影
響を受けやすい、と言う問題があった。オゾンは人体に
とって有害であるばかりでなく、しばしば感光体と反応
して感光体の寿命を短くする。また、帯電の不安定性は
しばしば画質の低下を招き、ドラム表面の影響が大きい
事はドラムを鏡面仕上げにするか、あるいはアンダーコ
ートを必要とし、製造コストの向上につながる。更に、
この様な2層方式においては、(4)製造工程が複雑に
なり、歩留まりが悪くなる、(5)層間の剥離等により
その安定性が問題になる、等の課題があった。
この様な課題を解決するために、現在では正帯電方式
による有機感光体の開発が盛んである。従来、正帯電を
実現するためには、(1)CGL層とCTL層を負帯電の場合
と逆構成にした逆2層構造OPC、(2)各種CGMとCTMを
バインダー高分子中に分散させた単層構造OPC、(3)
銅フタロシアニン結晶を高分子に粒子分散した単層型OP
C、が検討されてきた。
このうち逆2層構造(1)においては負帯電方式の場
合と同様な製造工程の複雑さや層間剥離の問題は解決さ
れない。更に、本質的に薄くする必要のあるCGL層が感
光体の表面に置かれる事による耐印刷性の減少、寿命特
性の劣化、が問題となっている。一方、(2)(3)の
方式による正帯電を目指した単層型感光体は従来の負帯
電2層型感光体よりも、感度特性、帯電特性(帯電用の
電荷が乗りにくい)、残留電位(残留電位が大きい)の
点で劣っていた。感度の点で劣っていたのは電荷の発生
と移動が単層中でランダムに起こるためであり、単層型
感光体の問題点は感度と帯電特性、残留電位にあった。
しかしながら、単層型の正帯電感光体の場合には本質
的に多層型負帯電方式の欠点がなく、逆層型正帯電方式
感光体の欠点もない。従って、単層型で正帯電方式にお
いて2層型と同様な高感度、残留電位、帯電特性が実現
出来るなら、それは理想的な感光体となると考えられ
る。
本発明の目的は、上記の様な単層型正帯電方式感光体
のもつ欠点を解決し、高性能でしかも高感度、耐久性に
優れる有機感光体を提供する事にある。
課題を解決するための手段 我々は、上記の問題点を解決するために、種々の構成
を有する正帯電単層型有機感光体の検討を行った。特
に、各種の結晶構造をもつ無金属フタロシアニン(H2
Pcと略す)とバインダー高分子からなる感光体の検討を
行った。その結果、X型H2−Pcを前記フタロシアニンを
溶解する溶剤、高分子と共に撹拌し、少なくともその一
部の結晶系を、回折角略7.5゜と回折角略9.1゜の回折線
強度比が1から0.1の範囲内であるCuKαX線の回折パタ
ーンが得られるように変化させる正帯電で使用する新た
な感光体及びその製造方法を開発した。またこの感光体
はバインダー高分子中に分子状分散した無金属フタロシ
アニンと粒子状分散したX型無金属フタロシアニンとを
含んでいてもよい。そしてこの感光体によって従来の単
層型正帯電OPCに比べはるかに、帯電特性、感度特性、
耐久性に優れる感光体を実現し本発明を成すに至った。
従って、本発明の感光体には、少なくともX型無金属フ
タロシアニンより作成された新しいフタロシアニンが含
まれており、場合によっては前記フタロシアニンと出発
原料のX型無金属フタロシアニン、の2種類のフタロシ
アニンが同時に含まれている場合もある。
作用 本発明になる正帯電単層型OPCは従来にない構成を有
し、感光体としての優れた特性を実現でき、従来の感光
体に比べ次のような特徴を有している。基本的に単層
構造であるので製造工程が簡単である。従来の単層構
造OPCに比べ高感度であり、特に光応答の遅れが少な
い。特に正帯電方式で優れた特性を示す。従来の単
層構造OPCに比べ安定性、帯電性に優れている。600〜
800nmの波長範囲で優れた感度を示す。単層構造であ
るので耐印刷性に優れている。残留電位特性が優れて
いる。
実 施 例 以下に本発明の実施例を詳細に説明する。
H2−pcに関してはXerox社が優れた電子写真特性を有
するX型H2−Pcを開発し、その合成法、結晶型と電子写
真特性との関係、構造解析などの研究を行っている。
(USP3,357,989)X型H2−Pcは常法により合成したβ型
H2−Pcを硫酸処理によりα型とし、これを長時間ボール
ミリングすることにより作製する。その結晶は従来のα
型、β型と明らかに異なっている。第1図にはX型H2
PcのX線回折図(CuKα線による測定)をしめす。回折
線は2θ=7.4,9.0,15.1,16.5,17.2,20.1,20.6,20.7,2
1.4,22.2,23.8,27.2,28.5,30.3゜に出現する。もっとも
強度の強い回折線は7.5゜(面間隔d=11.8Åに相当)
付近の回折線であってその強度を1とすると9.1゜付近
の回折線強度(面間隔d=9.8Åに相当)は0.66であ
る。この強度の比率は結晶の粒型にはほとんど影響され
ない。また、X型H2−Pcの吸収スペクトルもα型、β型
のものとは明らかに異っている。第2図にはX型H2−Pc
の吸収スペクトルを示す。この結晶型の相違によるスペ
クトルの相違はPc分子の結晶状態でのスタッキング状態
の相違によるものであり、X型H2−Pcはダイマー構造を
とっていると報告されている。
本発明はこれらのフタロシアニンのうちでX型フタロ
シアニンを出発原料として行われる。おもしろい事にα
型、β型フタロシアニンを原料として用いても本発明の
様な結晶系の変化は起こらない。以下に、本発明の代表
的な手法について説明する。
まず、X型フタロシアニンは少なくともその一部を溶
解する能力を有する溶剤、および必要に応じてバインダ
ー高分子と共に反応容器に入れられ、十分に撹拌混合さ
れる。可溶性溶剤を使用し、十分な混練を行う事が本発
明の製造方法の重要な点である。一般にこの様な安定し
た状態を作り出すには、通常の撹拌法で1日以上の時間
が必要である。この反応の進行に従って、溶液粘度の上
昇、吸収スペクトルの変化、結晶構造の変化、感光特性
の向上が観察される。
この様な方法によって得られる感光体のX線回折図の
一例を第3図に示す。この回折図は先に示した、第1図
の回折図とは明らかに異なっている。また、α型、β
型、のH2−Pcの回折図とも明らかに異なるものである。
ここで図1のX型H2−PcのX線回折図との比較を行う。
第3図は第1図に比べ2θ=21.4゜以上の回折線が消失
する傾向にあり、16.5゜付近の回折線は増加する傾向に
ある。最も顕著な変化はX型H2−Pcの最も特徴的な7.5
゜(d=11.8Å)、9.1゜(d=9.8Å)付近の2本の回
折線のうち7.5゜付近の回折線のみが選択的に消失して
いることである。この事は明らかに本発明の手法により
X型H2−Pcの一部が新しい結晶系に変化したことを示し
ている。これらの混練の程度、時間、温度などは用いら
れる溶剤、高分子の種類によって異なる。感光体として
最も優れた特性を得るためには、この溶剤との処理が不
十分であっても、また進みすぎてもよくない。適切な反
応の程度を見分けるには先に述べたX線パターンの7.5
゜、9.1゜付近との回折線強度比(I11.8/I9.8)が1か
ら0.1の間である事が望ましい。
この様な方法で作製された感光体の吸収スペクトルの
一例を第4図に示す。この吸収スペクトルは第2図の吸
収スペクトルとは明らかに異なり、これは本発明の方法
によって新たな結晶型が生じたことの別の証拠である。
また、このスペクトルは先の第2図のスペクトルにくら
べ650nm、690nmにある2本の吸収が大きくなっている。
これらの吸収は分子状に分散したフタロシアニンの吸収
と考えられており、本発明の手法により得られた感光体
の中に分子状分散されたフタロシアニンが含まれる可能
性を示している。すなわち、本発明はX型フタロシアニ
ンの結晶型の少なくとも一部を別の結晶系あるいは無定
型(あるいは分子状分散)に変化させる手法である。
上記、α型、β型、X型以外の結晶型のフタロシアニ
ンとしてはτ型と呼ばれるものがある。これはα、β、
X型結晶を摩砕助剤とともに不活性溶剤中5−10℃、20
時間ボールミリングする事によって得られる。そのX線
回折図を第5図に、吸収スペクトルを第6図に示す。τ
型結晶のX線回折パターンは本質的に本発明の新たな結
晶系と類似している。ただし、高角度側のラインは微妙
に異なっており、同じ結晶で有るかどうか明かではな
い。なお、このτ型結晶の場合、7.5゜付近の回折線と
9.1゜付近の回折線強度の比率は1:0.8になっている。
本発明の目的に合った溶剤としては、ニトロベンゼ
ン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ジクロルメタ
ン、トリクロルエチレン、クロルナフタレン、メチルナ
フタレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒド
ロフラン、シクロヘキサノン、1.4−ジオキサン、Nメ
チルピロリドン、四塩化炭素、ブロムブタン、エチレン
グリコール、スルホラン、エチレングリコールモノブチ
ルエーテル、アセトキシエトキシエタン、ピリジン、等
を上げることが出来る。
本発明になるバインダー高分子としてはX型H2−Pcを
溶解する溶剤に溶解するものを用いると良い。これらの
目的に適した高分子としては、ポリエステル、ポリ酢酸
ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカ
ーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセト
アセタール、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポ
リメタアクリル酸メチル、ポリアクリレート、ポリカル
バゾール、及びこれらの共重合体、ポリ(塩化ビニル/
酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル/
酢酸ビニル/マレイン酸)、ポリ(エチレン/酢酸ビニ
ル)、ポリ(塩化ビニル/塩化ビニリデン)、メラミン
樹脂、アルキド樹脂、セルロース系高分子、各種シロキ
サン高分子、ウレタン樹脂、等が上げられる。これらの
高分子は単独あるいは2種類以上の混合体として使用さ
れる。もちろん、先に述べたように2種類以上の溶剤を
組合せ、一つの溶剤でX型H2−Pcを溶解し、他の溶剤で
バインダー高分子を溶解することが可能である。従っ
て、本発明になるバインダー高分子は上記の高分子に限
定されるものではない。
以上述べたX型H2−Pcとバインダー高分子との最適比
率は、重量比で1:1から1:10の間である。感光材料の量
がこの比率より多い場合には感光特性は優れたものとな
るが、帯電特性が悪くなり一般に500V以上の電位を乗せ
る事が難しくなる。これに対し上記の範囲よりもバイン
ダー高分子の量が多い場合には感光特性が悪くなる。
有機光導電層の基板となる導電性支持体としては、特
に限定はされず、使用用途等によって適宜選択すること
が出来る。具体的には、アルミニウム等の金属や、ガラ
ス、紙あるいはプラスチック等の表面に金属蒸着等の方
法で導電層を形成したもの、などが好ましく用いられ
る。また、その形状についても、ドラム状、ベルト状、
シート状、などいろいろな形状を取ることが出来る。
本発明による感光体の感度は1.0〜3.0lux.secに達
し、従来の単層型OPCに比べ著しく高感度であり、これ
が本発明の感光体の第一の特徴である。また本発明のOP
Cは600〜800nmの波長範囲の光に対し優れた感度を示
し、残留電位も30V以下である。例えば、フタロシアニ
ンとポリビニルブチラールを重量比1:4の割合で用いた
系(実施例2参照)では正帯電による半減露光量感度で
1.1lux.secの高感度(帯電電位800V)が実現され、800n
mでの感度は2.3cm2/μJ、残留電位は20V以下であっ
た。これに対し、負帯電による感度は25lux.sec(帯電
電位350V)であり、暗減衰特性も著しく悪く、その特性
は正帯電に対し著しく劣るものであった。また、この系
は非常に安定で、正帯電による特性は1000回の繰り返し
試験でもほとんど変化しなかった。更に、この感光体は
優れた耐熱性を示し、120℃で8時間の処理によっても
その特性はほとんど変化しなかった。
本発明の感光特性の第二の特徴は、単層型+帯電OPC
に特徴的な光照射に対する光応答の時間的な遅れがほと
んど観察されない事である。この様子を第7図に示す。
第7図(a)は従来の手法で作成された+帯電単層型感
光体の特性でバインダー中にX型H2−Pcが粒子状に分散
したものである。これに対し(b)は本発明による感光
体の特性で、バインダー中にX型H2−Pcと別の結晶系の
無金属フタロシアニンが存在している。(a)と(b)
の比較から明かな様に(a)には明かな光照射に対する
応答の遅れが観察されるのに対し、(b)ではこの遅れ
がほとんどなくなっている。これが本発明の感光体が高
感度である理由の一つであり、本発明が従来の感光体と
は基本的にその光伝導の機構が異なる可能性を示すもの
である。
以上述べてきたこの発明にかかる電子写真用感光体
は、例えば、複写機、プリンター、ファクシミリ、等の
種々の記録方式に用いる事が出来、その用途は何等限定
されない。なお、この発明にかかる電子写真用感光体
は、上記例に限定される事なく、例えば必要に応じて、
有機感光体層上に、さらに絶縁性樹脂による表面保護層
を形成したり、感光層と基板の間にブロッキング層を設
けたりすることも出来る。
次に、この発明をさらに詳しく実施例と比較例とを併
せて説明する。
〔実施例1〕 X型無金属フタロシアニン(X型H2−Pcと略す、第日
本インキ(株)製、ファストゲンブルー(Fastogen Blu
e)8120B)とポリエステル(PETと略す、東洋紡績
(株)製、バイロン200)をテトラヒドロフランに溶解
し、十分混合したのち2日間かけて混練した。得られた
溶液をアルミドラム上にディップ法により塗布し、真空
中、120℃で1時間処理して、OPC層(厚さ10〜20μm)
を形成した。
こうして得られた感光体のX線回折パターンをX線デ
ィフラクトメーター(理学電気(株)製、RAD−B SYSTE
N)を用いて測定した。光源はCuKα線である。またその
感光特性を、川口電機(株)製EPA−8100型ペーパーア
ナライザーを用い、タングステンによる白色光を照射し
て、正帯電による光感度(半減露光量、E1/2)を測定
し、1000回の繰り返し試験後の光感度も同様に測定し
た。更に、400〜1000nmの範囲での波長特性を測定し
た。
フタロシアニンとPETの重量比が1:4の場合のX線回折
図では回折線強度比(I11.8/I9.8)は0.8であり、原料
X型H2−Pcの場合の強度比1.5と比較してその回折線強
度が著しく変化していた。また、この強度比はフタロシ
アニンとPETの重量比によらずほぼ一定であった。フタ
ロシアニンとPETの重量比をいろいろ変化させたときの
感光特性を表1に示す。
この結果より明かであるようにX型H2−PcとPETの比
は1:1から1:10の間が適当でこの範囲の組成では帯電特
性、感度特性共に良好な特性を得る事が出来る。
〔実施例2〕 X型無金属フタロシアニン(X型H2−Pcと略す、第日
本インキ(株)製、ファストゲンブルー(Fastogen Blu
e)8120B)とポリビニルブチラール(PVBと略す、積水
化学工業(株)製エスレックBM−2)をテトラヒドロフ
ランに溶解し、十分、混合混練したのち、得られた溶液
をアルミドラム上にディップ法により塗布し、真空中、
120℃で1時間処理して、OPC層(厚さ10〜20μm)を形
成した。こうして得られた感光体の感光特性を、川口電
機(株)製EPA−8100型ペーパーアナライザーを用い、
タングステンによる白色光を照射して、正帯電による光
感度(半減露光量、E1/2)を測定し、1000回の繰り返
し試験後の光感度も同様に測定した。更に、400〜1000n
mの範囲での波長特性を測定した。X型H2−PcとPVBの重
量比を1:4とし、反応時間を変えてときのX線特性にお
ける回折線の強度比(I11.8/I9.8)、および感光特性
を表2に示す。
この結果から本発明の手法ではX線回折による回折線
の強度比(I11.8/I9.8)が0.8から0.1の間にある時優
れた特性を示すことが分かった。強度比が0.1以下の場
合には感光特性は優れたものとなるが繰り返し安定性に
欠け、実用的でない事がわかる。
〔比較例1〕 比較のため、実施例2と同じ構成で溶剤としてn−ブ
チルアルコールを使用した場合の特性をしめす。n−ブ
チルアルコールはPVBを溶解するがX型H2−Pcは溶解し
ない。従ってこの様な製造方法ではPVB中にX型H2−Pc
は粒子状で混合されており、新しい結晶は存在しない。
その結果を表3に示す。
この結果に示すように、正帯電による感度、E1/2
表1、2の結果と比較して著しく悪くなっており、X型
H2−Pcの一部が新たな結晶に変化する事が本発明にとっ
て必要である事がわかる。
〔実施例3〕 X型H2−Pc(第日本インキ(株)製、ファストゲンブ
ルー(Fastogen Blue)8120B)と各種のバインダー高分
子を1:4の比率で混合しテトラヒドロフランに溶解、十
分に混合混練したのち、得られた溶液をアルミドラム上
にディップ法により塗布し、真空中、120℃で1時間処
理して、OPC層(厚さ10〜20μm)を形成した。いずれ
の試料でもさきに述べたX線回折による強度比が0.8−
0.5の間になるように反応時間を調整した。
こうして得られた感光体の感光特性を、川口電機
(株)製EPA−8100型ペーパーアナライザーを用い、タ
ングステンによる白色光を照射して、正帯電による光感
度(半減露光量、E1/2)を測定し、1000回の繰り返し
試験後の光感度も同様に測定した。更に、400〜1000nm
の範囲での波長特性を測定した。得られた特性を表4に
示す。
この結果より明かであるように本発明の手法は広い範
囲の高分子に適用する事が出来る。
〔実施例4〕 実施例1の方法で作成した感光体の内X型H2−PcとPE
Tの比率が1:4のものを選択し、連続的な耐印刷性の試験
を行った。A4試験紙を用いて試験を行ったが、3万枚の
連続試験に対し安定に作動することが分かった。この様
に本発明の方法は従来の2層型感光体、あるいは単層型
感光体に比べ耐刷性の面でも優れている事が分かった。
発明の効果 以上述べてきたように、この発明にかかる電子写真用
感光体の製造方法は、正帯電単層型感光体に特に有効な
方法であって、この方法により、従来の感光体に比べ高
感度でかつ安定性にも優れた正帯電で使用するに好適な
感光体を容易に製造出来る。本発明の方法により製造さ
れる感光体は電子写真感光体として、複写機、プリンタ
ー等、いろいろな記録機器等への応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
第1図はX型無金属フタロシアニンのX線回折図、第2
図はX型無金属フタロシアニンの吸収スペクトル図、第
3図は本発明による無金属フタロシアニンのX線回折の
一例を示す図、第4図は無金属フタロシアニンの吸収ス
ペクトルの一例を示す図、第5図はτ型無金属フタロシ
アニンのX線回折図、第6図はτ型無金属フタロシアニ
ンの吸収スペクトル図、第7図(a)はX型H2−Pcを高
分子に分散させた感光体の感光特性図、第7図(b)は
本発明の手法によって作成された感光体の感光特性図で
ある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−286857(JP,A) 特開 昭64−62648(JP,A) 特開 昭61−115085(JP,A) 特公 昭44−14106(JP,B1)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X型無金属フタロシアニンを、前記X型無
    金属フタロシアニンを溶解する溶剤およびバインダー高
    分子と共に攪拌処理し、少なくとも前記X型無金属フタ
    ロシアニンの結晶系の一部を、回折角略9.1゜の強度に
    対する回折角略7.5゜の強度の比が1から0.1の範囲内で
    あるCuKαX線の回折パターンが得られるように変化さ
    せた無金属フタロシアニンを含み、正帯電で使用する電
    子写真用感光体。
  2. 【請求項2】更に、分子状分散した無金属フタロシアニ
    ンと、粒子状分散したX型無金属フタロシアニンとを含
    む請求項1記載の電子写真用感光体。
  3. 【請求項3】無金属フタロシアニンとバインダー高分子
    との重量比は、1:1から1:10の範囲にある請求項1また
    は2記載の電子写真用感光体。
  4. 【請求項4】X型無金属フタロシアニンを用意する工程
    と、前記X型無金属フタロシアニンを溶解する溶剤を用
    意する工程と、バインダー高分子を用意する工程と、X
    型無金属フタロシアニンを、前記X型無金属フタロシア
    ニンを溶解する溶剤およびバインダー高分子と共に攪拌
    する攪拌処理工程とを有し、前記攪拌処理工程により、
    少なくとも前記X型無金属フタロシアニンの結晶系の一
    部が、回折角略9.1゜の強度に対する回折角略7.5゜の強
    度の比が1から0.1の範囲内であるCuKαX線の回折パタ
    ーンが得られるように変化した無金属フタロシアニンを
    形成する電子写真用感光体の製造方法。
  5. 【請求項5】X型無金属フタロシアニンの結晶系の一部
    を変化させた無金属フタロシアニンと、分子状分散した
    無金属フタロシアニンと、粒子状分散したX型無金属フ
    タロシアニンとが混合状態にある請求項4記載の電子写
    真用感光体の製造方法。
  6. 【請求項6】無金属フタロシアニンとバインダー高分子
    との重量比は、1:1から1:10の範囲にある請求項4また
    は5記載の電子写真用感光体の製造方法。
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