JP2747798B2 - ポリフェニレンエーテル樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル樹脂組成物

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JP2747798B2
JP2747798B2 JP1496295A JP1496295A JP2747798B2 JP 2747798 B2 JP2747798 B2 JP 2747798B2 JP 1496295 A JP1496295 A JP 1496295A JP 1496295 A JP1496295 A JP 1496295A JP 2747798 B2 JP2747798 B2 JP 2747798B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定化された末端構造
をもつポリフェニレンエーテル(ポリフェニレンエーテ
ルを以下PPEということがある。)と芳香環の置換し
た脂肪族1級モノアミンを含有する樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】PPEは有用な樹脂であることが知られ
ており、特にこれとポリスチレンあるいはポリアミドと
のポリマーアロイは優れた熱的性質、機械的性質、電気
的性質等を有し、近年、成形材料として自動車、電気・
電子分野等への応用が広がっている。従来、PPEは核
置換フェノール類をマンガン、銅、コバルトなどの錯体
触媒を用いて酸化重合させて得られることが広く知られ
ている。例えば、特公平5−23291号公報、米国特
許4,092,294号公報などが挙げられる。さら
に、第2級モノアミン存在下で重合されたPPEは下記
一般式(3)で表される末端構造を含有することも公知
であり、Macromolecules 1990,
,1318−1329に例示されている。しかし、こ
の末端構造を含有するPPEは造粒、成形などの加熱時
の着色増加および粘度増加が問題であった。
【化3】 (式中、R1 〜R5 は各々独立に水素、ハロゲン原子、
炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アルケ
ニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキ
ニル基、アリール基または置換アリール基であり、R12
およびR13は各々独立に炭素数1〜12のアルキル基ま
たは置換アルキル基である。)
【0003】特開平4−253725号公報には、第1
級モノアミン存在下で重合されたPPEは、一般式
(4)で表される末端構造を含有することが記述されて
いる。
【化4】 (式中、R14は低級アルキル基である。)
【0004】しかし、この根拠となった米国特許4,0
92,294号公報および米国特許4,477,651
号公報には、第1級モノアミンとしては、アルキルアミ
ンしか例示がなく、また米国特許4,092,294号
公報には、第2級モノアミン不存在下で重合されたPP
Eは着色が多く、かつスチレン樹脂との混合物の熱安定
性および機械的性質が悪化することが記載されている。
さらに、特開平5−239323号公報には、PPEと
第1級アミンが反応してなる変性ポリフェニレンエーテ
ルが例示されている。しかし、第1級アミンが、PPE
と反応可能な重合性の炭素−炭素二重結合または三重結
合を持たないものとして、アルキルアミンしか例示がな
く、また加熱時の着色増加の改良について十分ではな
い。一方、特公平3−69946号公報には、PPEと
芳香族1級モノアミンからなる高温加工時の機械的性質
の低下が少なく、表面光沢の良好な樹脂組成物が記載さ
れている。しかし、芳香族1級モノアミンとは芳香環と
アミノ基が直接結合したものであり、加熱時の着色増加
量は抑制されない。なお、特開平6−25525号公報
には、PPEと第1級アミン(0.01〜5重量部)を
含有する耐光変色の改良された樹脂組成物が開示されて
おり、第1級アミンとしてベンジルアミンを5重量部添
加したPPE組成物が例示されている。しかし、ベンジ
ルアミンの添加量が多い場合、成形体の機械的強度の低
下および成形体への気泡の混入、さらに成形時のアミン
臭発生などの問題があった。また、成形時の着色増加お
よび粘度増加の改良についての記載もない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、成形
体の機械的強度が保持され、造粒、成形などの加熱時に
発泡やアミン臭が生じることが少なく、該加熱時の着色
増加量および粘度増加量が極めて少ないPPE樹脂組成
物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのため鋭
意検討を重ねた結果、芳香環の置換した脂肪族1級モノ
アミンの結合した末端構造を含有するPPEと、芳香環
の置換した脂肪族1級モノアミンを特定範囲量含有する
PPE樹脂組成物は、成形体の機械的強度が保持され、
造粒、成形などの加熱時に発泡やアミン臭が生じること
が少なく、該加熱時の着色増加量および粘度増加量が著
しく抑制されることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】すなわち、本発明は次に記す発明である。 (I)一般式(1)
【化5】 (式中、R1 〜R5 は各々独立に水素、ハロゲン原子、
炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アルケ
ニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキ
ニル基、アリール基または置換アリール基であり、R6
は炭素数1〜6のアルキレン基または置換アルキレン基
であり、R7 〜R11は各々独立に水素、ハロゲン原子、
炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ
基、フェニル基,フェノキシ基、ニトロ基またはシアノ
基である。)で表される末端構造をフェニレンエーテル
ユニット100個に対して平均0.01個以上含有し、
数平均重合度が10〜10000であるポリフェニレン
エーテル100重量部に対して、一般式(2)
【化6】 (式中、R6 〜R11は一般式(1)の定義と同じであ
る。)で表される芳香環の置換した脂肪族1級モノアミ
ン0.01〜1重量部を含有することを特徴とするポリ
フェニレンエーテル樹脂組成物。
【0008】(II)一般式(2)で表される芳香環の
置換した脂肪族1級モノアミン0.01〜1重量部を含
有することを特徴とする(I)記載のポリフェニレンエ
ーテル樹脂組成物。 (III)一般式(1)で表される末端構造を持つポリ
フェニレンエーテルが平均粒径1000μm以下の粉体
であることを特徴とする(I)または(II)記載のポ
リフェニレンエーテル樹脂組成物。 (IV)一般式(1)で表される末端構造を持つポリフ
ェニレンエーテルが、核置換フェノール誘導体を酸化重
合して得られるポリフェニレンエーテル粉体を乾燥する
工程において、一般式(2)で表される芳香環の置換し
た脂肪族1級モノアミンを添加し、ポリフェニレンエー
テルの融点未満の温度で加熱処理して得られたものであ
ることを特徴とする(III)記載のポリフェニレンエ
ーテル樹脂組成物。
【0009】本発明におけるPPEとは、その末端構造
を除き、繰り返し単位としてフェニレンエーテルユニッ
トを含有するポリマーであり、特に限定はない。本発明
におけるPPEの代表的な例は、ユニット(繰り返し単
位)として、一般式(5)
【化7】 (式中、R1 〜R5 の定義は、一般式(1)における定
義と同じである。)で示される1,4−フェニレンエー
テルユニットの少なくとも1種から構成されるホモポリ
マーまたは共重合ポリマーであるが、一般式(1)また
は一般式(3)の水酸基がエーテル結合になった1,4
−フェニレンエーテルユニット等を含んでもよい。
【0010】1,4−フェニレンエーテルユニットとし
て、好ましくは、2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル、2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエ
ーテル、2−エチル−6−メチル−1,4−フェニレン
エーテル、2−メチル−6−(2−オクチル)−1,4
−フェニレンエーテル、2−アリル−6−メチル−1,
4−フェニレンエーテル、2−(4−〔1−ブテニ
ル〕)−6−メチル−1,4−フェニレンエーテル、2
−(4−〔1−ブチニル〕)−6−メチル−1,4−フ
ェニレンエーテル、2−メチル−6−フェニル−1,4
−フェニレンエーテル、2,3,6−トリメチル−1,
4−フェニレンエーテル、3−ブロモ−2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレンエーテルなどが挙げられる。よ
り好ましくは、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン
エーテルが挙げられる。本発明におけるPPEの数平均
重合度は10〜10000であり、20〜2000が好
ましい。
【0011】本発明における安定化された末端構造と
は、一般式(1)で表されるものである。好ましくは、
一般式(1)において、R1 がメチル基またはフェニル
基であり、R2 、R3 の一方が水素であり、他方がメチ
ル基であり、R4 、R5 が水素であり、R6 がメチレン
基、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、1,2
−プロピレン基、1,3−プロピレン基などの炭素数1
〜6のアルキレン基または置換アルキレン基であり、R
7 〜R11が各々独立に水素;ハロゲン原子;メチル基、
エチル基、n−プロピル基などの炭素数1〜6のアルキ
ル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基など
の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェニル基;フェノキ
シ基;ニトロ基またはシアノ基である。より好ましく
は、一般式(1)において、R1 がメチル基であり、R
2 〜R5 およびR7 〜R11が共に水素であり、R6 がメ
チレン基である。
【0012】本発明におけるPPEとは、一般式(1)
で表される末端構造を、ポリフェニレンエーテルユニッ
ト100個に対して平均0.01個〜10個、好ましく
は0.05個〜5個含有するPPEである。なお、他の
末端成分として、一般式(3)の末端構造または一般式
(5)のエーテル結合が水酸基に置換された末端構造等
を含んでもよい。具体例としては、一般式(3)におい
てR1 がメチル基またはフェニル基であり、R2 、R3
の一方が水素であり、他方がメチル基であり、R4 、R
5 が水素であり、R12、R13がメチル基またはn−ブチ
ル基である末端構造および一般式(5)において、R1
がメチル基またはフェニル基であり、R 2 、R3 の一方
が水素であり、他方がメチル基であり、R4 、R5 が水
素である末端構造等が挙げられる。特に好ましくは、一
般式(3)においてR1 がメチル基であり、R2 〜R5
が共に水素、R12、R13が共にn−ブチル基である末端
構造および一般式(5)において、R1 がメチル基であ
り、R2 〜R5 が共に水素である末端構造が挙げられ
る。
【0013】本発明における芳香環の置換した脂肪族1
級モノアミンとは、一般式(2)
【化8】 (式中、R6 〜R11の定義は一般式(1)の定義と同じ
である。)で表されるものである。好ましくは、一般式
(2)において、R6 がメチレン基、1、1−エチレン
基、1、2−エチレン基、1、2−プロピレン基、1、
3−プロピレン基等の炭素数1〜6のアルキレン基また
は置換アルキレン基であり、R7 〜R11がそれぞれ独立
に水素;ハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エ
トキシ基、n−プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコ
キシル基;フェニル基;フェノキシ基;ニトロ基または
シアノ基である。
【0014】具体的には、ベンジルアミン、o−、m−
もしくはp−クロロベンジルアミン、o−、m−若しく
はp−メチルベンジルアミン、o−、m−もしくはp−
メトキシベンジルアミン、o−、m−もしくはp−フェ
ニルベンジルアミン、o−、m−もしくはp−フェノキ
シベンジルアミン、o−、m−もしくはp−ニトロベン
ジルアミンα−もしくはβ−フェニルエチルアミン、α
−、β−もしくはγ−フェニル−1−プロピルアミン、
α−、β−、γ−もしくはδ−フェニル−1−ブチルア
ミン等が挙げられる。より好ましくは、ベンジルアミン
が挙げられる。
【0015】本発明のPPE樹脂組成物とは、一般式
(1)で表わされる末端構造をフェニレンエーテルユニ
ット100個に対し平均0.01個〜10個、好ましく
は平均0.05〜5個含有し、数平均重合度が10〜1
0000、好ましくは20〜2000であるPPE10
0重量部に対して、一般式(2)で表わされる芳香環の
置換した脂肪族1級モノアミンをポリマーと結合してい
ないフリーな量として0.01〜1重量部、好ましくは
0.01〜0.6重量部を含有するものである。フリー
な芳香環の置換した脂肪族1級モノアミンが0.01重
量部未満の場合は、加熱時の着色増加および粘度増加が
大きく好ましくない。また、フリーな芳香環の置換した
脂肪族1級モノアミンが1重量部よりも多い場合は、成
形体の機械的強度が低下し、成形時にアミン臭が発生
し、さらに成形体中に気泡が混入する等の問題を生じる
ので好ましくない。
【0016】本発明のPPE樹脂組成物を製造する方法
に関しては特に限定はない。代表的な製造方法として
は、フェニレンエーテルユニット100個に対して一般
式(3)で表わされる末端構造を平均0.01個〜10
個、好ましくは0.05個〜5個含有するPPE100
重量部に対して、一般式(2)で表わされる芳香環の置
換した脂肪族1級モノアミンを〔0.55×(XY/
Z)+0.01〕重量部以上、〔1.7×(XY/Z)
+1〕重量部以下、好ましくは〔0.55×(XY/
Z)+0.01〕重量部以上、〔1.7×(XY/Z)
+0.6〕重量部以下〔ただし、XはPPE中のフェニ
レンエーテルユニット100個に対する一般式(3)で
表わされる末端構造の個数であり、Yは一般式(2)で
表わされる芳香環の置換した脂肪族1級モノアミンの分
子量であり、ZはPPE中のフェニレンエーテルユニッ
トの化学式量である。〕を添加し加熱処理することが挙
げられる。
【0017】ここで用いるPPEは、特公平5−232
91号公報、米国特許4,092,294号公報などに
挙げられる核置換フェノール類を、マンガン、銅、コバ
ルトなどの錯体触媒と第2級モノアミンの存在下に酸化
重合させる方法により得られる。PPEと芳香環の置換
した脂肪族1級モノアミンを加熱処理する温度は、好ま
しくは100〜320℃、より好ましくは120〜30
0℃である。具体的な製造方法としては、PPEと芳香
環の置換した脂肪族1級モノアミンとを混合し、バンバ
リーミキサー、ロール、ニーダー、押出機等を使用して
溶融混練する方法、または熱プレス機により加熱圧縮す
る方法等が挙げられる。また、ポリマーの製造工程に付
属した乾燥機に芳香環の置換した脂肪族1級モノアミン
を添加して、加熱攪拌する方法も挙げられる。
【0018】以下に詳述する乾燥工程に芳香環の置換し
た脂肪族1級モノアミンを添加し加熱処理する方法は、
PPEの製造工程内で均一かつ大量処理が可能な点で他
の方法に比較しやや優れている。使用する乾燥機として
は特に制限はなく、一般的に用いられる流動乾燥機、ロ
ータリー乾燥機、マルチフィン型攪拌乾燥機等が適用さ
れる。芳香環の置換した脂肪族1級モノアミンを添加し
反応させる温度は、PPEの溶融温度未満であればよい
が、乾燥効率を勘案して通常100〜170℃の範囲が
好ましい。また時間は、特に限定はないが通常0.5〜
10時間の範囲が選ばれる。該芳香環の置換した脂肪族
1級モノアミンとの接触処理は、バッチ方式、連続方式
の何れでもよい。
【0019】乾燥工程に供せられるPPEは、重合反応
液を精製した後、粉体化されたものであればよいが、よ
り好ましくはPPE粉体の平均粒子径は1000μm以
下である。例えば、重合反応液が溶液状態であれば、各
精製剤を含有する水で処理して液−液分離した後、有機
相中のPPEをメタノール等の貧溶媒で析出させ、固−
液分離して得れれるPPE粉体;または重合液からメタ
ノール等の貧溶媒で析出した後、固−液分離して得られ
るPPE粉体等が挙げられる。上記PPE粉体は、ベン
ゼン、トルエンまたはキシレン等の芳香族炭化水素並び
にメタノール等のアルコールまたは水を含有しており、
これらの溶媒を除去するための乾燥工程に供せられる。
乾燥工程では、上記溶媒等の除去とともに、芳香環の置
換した脂肪族1級モノアミンとの接触処理を行なう。本
発明で使用する芳香環の置換した脂肪族1級モノアミン
は、予めPPE湿潤粉体と混合しておいてもよいし、そ
のまま乾燥機に直接供給してもよい。乾燥機に直接供給
する場合には、液状または霧状、ガス状にした状態で供
給することができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、これらの実施例は単に例示のためのものであり、
本発明を何ら限定するものではない。PPEまたはPP
E組成物の加熱成形は、PPEまたはPPE組成物の粉
末を厚さ1mmの金型に入れて、250℃、10〜10
0kg/cm2 下で10分間プレス成形により行なっ
た。PPE組成物の着色量の目安として、その濃度が
0.25g/dlであるPPEまたはPPE組成物のパ
ウダーまたはプレスシートを溶解したクロロホルム溶液
について光路長10mmの石英セルを用いて分光光度計
(日立製作所製 U−3500型)による340nmの
吸光度(以下、ABS340 と略す。)を用いた。
【0021】PPE組成物の加熱時の着色増加量は、P
PE組成物のプレスシートのABS 340 とPPEのパウ
ダーのABS340 との差(以下、△ABS340 と略
す。)として評価した。PPEまたはPPE組成物の粘
度は、PPEまたはPPE組成物の濃度が0.5g/d
lであるパウダーまたはプレスシートを溶解したクロロ
ホルム溶液について25℃で測定した還元粘度(以下、
ηsp/Cと略す。)を用いた。PPE組成物の加熱時の粘
度増加量は、PPE組成物のプレスシートのηsp/CとP
PEのパウダーのηsp/Cとの差(以下、△ηsp/Cと略
す。)として評価した。
【0022】プレス成型体の曲げ強度は、厚さ1mmの
プレスシートを切断した35mm×11mmの試験片に
ついてAutograph AG5000D(島津製作
所製)を用いて測定した。プレス成型体中の気泡数は、
35mm×35mmの試験片あたりの1mmφ以上の気
泡数を肉眼で数えて求めた。PPEの分子量は、検出器
として東ソー社製RI−8011を用いたゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換
算値である。PPE組成物中のポリマーと結合していな
いフリーアミンの量は、ガスクロマトグラフィー(ヒュ
ーレットパッカード社製 HP−589OA)を用い
て、窒素ーリン検出器(NPD)により定量した。
【0023】PPEの末端構造の決定および定量は、フ
リーアミンを除くためPPEを再沈澱したサンプルの核
磁気共鳴(以下、NMRという。)スペクトルを測定し
て行なった。PPEの再沈澱は、PPE2gをクロロホ
ルム40mlに溶解し、この溶液をメタノール160m
lに投じて析出する沈澱を濾過し、メタノール20ml
で2回洗浄して濾過した後、100℃で3時間減圧乾燥
した。NMRスペクトルは、ブルッカー社製 AMX6
00を用いて、 1H−NMRスペクトル、HMQCスペ
クトル(J.Am.Chem.Soc.1986,10
8,4285参照)およびHMBCスペクトル(J.A
m.Chem.Soc.1986,108,2093参
照)を測定した。
【0024】実施例1 攪拌機、温度計、コンデンサーおよび空気導入管を備え
た容量100リットルのジャケット付きオートクレーブ
に、キシレン35.7kg、メタノール12.2kg、
2,6−ジメチルフェノール12.2kg(100モ
ル)及び水酸化ナトリウム320g(8モル)を仕込ん
で、均一な溶液とした後、これにモノエタノールアミン
220g(3.6モル)、ジブチルアミン129g(1
モル)及び塩化マンガン四水和物8.9g(0.045
モル)をメタノール1000gに溶解した溶液を加え
た。次いでこれに激しく攪拌しながら、温度40℃、圧
力9kg/cm2 のもとに、空気を流量10リットル/
分で10時間吹き込んで反応させた。反応温度は7.5
時間より30℃に保持した。このときの重合反応液は粘
性のある溶液状態を呈していた。この重合反応にメタノ
ール22.5kgを加え、溶液状態でスラリー状態とし
た。このスラリーを真空ろ過機でろ過し、更にメタノー
ル24.0kgで洗浄し、同様にろ過し、湿潤固体を得
た。
【0025】この湿潤固体は、攪拌機、温度計、コンデ
ンサー及び底部にスチーム導入管を備えた容量100リ
ットルの攪拌槽中で、水48リットル、ピロリン酸ナト
リウム10水和物147g(0.33モル)およびピロ
亜硫酸ナトリウム196g(1.03モル)と共に、攪
拌下に70℃で1時間処理を行なった。その後スチーム
3kg/hの流量で吹き込み8時間脱溶媒を行なった。
その後分散液を抜き出しバスケット遠心分離機で固液分
離して重合体を得た。次いでこの重合体に水48リット
ルを加え、70℃にて30分間水洗いした後、バスケッ
ト式遠心分離機で固液分離してPPE湿潤粉体を得た。
このPPE湿潤粉体を下部に多孔板を有する容量40リ
ットルのジャケット付き流動槽に仕込み、温度120
℃、窒素流量175Nm3 /hで吹き込んで3時間乾燥
させ、PPEパウダー11.5kg(数平均分子量:1
2,400、数平均重合度:103)を得た。
【0026】このPPEパウダーを再沈澱したサンプル
1H−NMRスペクトル分析から、Macromol
ecules 1990,23,1318−1329に
おいて同定されている下記の末端構造(7)を2,6−
ジメチル−1,4−フェニレンエーテルユニット100
個に対して平均1個含有していた。
【0027】
【化9】 このPPE粉体8.0gとメタノールに溶解したベンジ
ルアミン160mg(PPE粉体に対して2重量部)を
混合し、常温で1時間攪拌し、減圧乾燥によりメタノー
ルを除去した後、250℃でプレス成形し、PPE組成
物を得た。プレス成形時にアミン臭は感じられなかっ
た。PPE組成物のプレス成形体を再沈澱したサンプル
のNMRスペクトル分析から、組成物中のPPEは下記
の末端構造(6)を2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レンエーテルユニット100に対して平均0.6個含有
していた。
【化10】
【0028】該サンプルの 1H−NMRスペクトルにお
いて、主たるピークは繰り返し単位の2,6−ジメチル
−1,4−フェニレンユニットを示す2.10ppmと
6.48ppmの2つであるが、後述するベンジルアミ
ン無添加の比較例1に対して、3.80ppmと3.8
8ppmの2箇所に新たなピークが出現した( 1H−N
MRスペクトルを図1に示す。)。HMQCスペクトル
およびHMBCスペクトルの解析から、この2つのピー
クは、それぞれ構造(6)の1’位に結合したメチレン
プロトンおよび2位に結合したメチレンプロトンに帰属
された。なお、構造(6)が末端構造であることは、
3.88ppmのプロトンピークと遠距離スピン結合か
ら同定される1位、2位、3位の炭素13の化学シフト
がそれぞれ150.4ppm、122.3ppm、11
1.7ppmであり、末端構造(7)の化学シフトとよ
い一致を示すことから決定された。構造定量は、本サン
プルの 1H−NMRにおいて、構造(6)の1’位に結
合したメチレンプロトンである3.80ppmのピーク
と、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテルユ
ニットの3,5位のプロトンである6.48ppmのピ
ークの面積強度比から求めた。なお、プレス成形体につ
いて、PPEの平均分子量は13,000(数平均重合
度=108であり、組成物中のフリーなベンジルアミン
量は、0.50重量%であった。得られた成形体の評価
結果を表1に示す。
【0029】実施例2〜5、比較例1〜6 ベンジルアミンの添加量を変えた以外は実施例1と同様
に実施して、PPE組成物またはPPEのプレス成形体
を得た。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
【0030】実施例6 バスケット遠心分離機による固液分離までを実施例1と
同様に実施して、PPE湿潤粉体を得た。このPPE湿
潤粉体にベンジルアミン89g(PPE乾燥粉体に対し
て0.8重量部)を加え混合した。次いでこれを下部に
多孔板を有する容量40リットルのジャケット付き流動
槽に仕込み、温度120℃、窒素流量175Nm3 /h
で吹き込んで3時間乾燥させ、平均粒径300μmのP
PE組成物のパウダー11.5kg(PPEの数平均分
子量:13,500、数平均重合度:112)を得た。
このPPE組成物パウダーを再沈したサンプルのNMR
スペクトルから、該PPEは、末端構造(6)を2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテルユニット10
0個に対して平均0.1個含有していた。なお、PPE
組成物パウダー中のフリーなベンジルアミン量は、0.
02重量%であった。PPE組成物の加熱着色増加量△
ABS340 は0.03であり、加熱粘度増加量△ηsp/C
は0.04dl/gであった。また、PPE組成物のプ
レス成形体の曲げ強度は1200kgf/cm2 であ
り、プレス成形体中の1mmφ以上の気泡数は0であ
り、プレス成形時にアミン臭は感じられなかった。
【0031】比較例7 ベンジルアミンをアニリン(芳香環に直接アミノ基が結
合した芳香族1級モノアミン)に変えた以外は実施例1
と同様に実施して、プレス成形体を得た。得られたプレ
ス成形体の加熱着色増加量△ABS340 は0.11であ
った。芳香族1級モノアミンの添加は、加熱時の着色増
加量をさらに大きくさせた。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明のPPE樹脂組成物は、PPEが
安定化された末端構造を有し、フリーの芳香環が置換さ
れた脂肪族1級モノアミンが特定範囲量に限定されるこ
とによって、成形体の機械的強度が保持され、発泡やア
ミン臭の発生が少なく、加熱時の着色増加量および粘度
増加量が大幅に抑制され、実用上大変有意義である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のPPEの 1H−NMRスペクトル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 明彦 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株 式会社内 (72)発明者 大橋 一俊 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株 式会社内 (72)発明者 松居 隆平 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学 株式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 桐山 茂樹 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学 株式会社四日市総合研究所内 (56)参考文献 特開 平6−329900(JP,A) 特開 平6−263870(JP,A) 特開 平6−200015(JP,A) 特開 平6−122762(JP,A) 特開 平1−297428(JP,A) 特開 平1−234421(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、R1 〜R5 は各々独立に水素、ハロゲン原子、
    炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アルケ
    ニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキ
    ニル基、アリール基または置換アリール基であり、R6
    は炭素数1〜6のアルキレン基または置換アルキレン基
    であり、R7 〜R11は各々独立に水素、ハロゲン原子、
    炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ
    基、フェニル基、フェノキシ基、ニトロ基またはシアノ
    基である。)で表される末端構造をフェニレンエーテル
    ユニット100個に対して平均0.01個〜10個含有
    し、数平均重合度が10〜10000であるポリフェニ
    レンエーテル100重量部に対して、一般式(2) 【化2】 (式中、R6 〜R11は一般式(1)の定義と同じであ
    る。)で表される芳香環の置換した脂肪族1級モノアミ
    ン0.01〜1重量部を含有することを特徴とするポリ
    フェニレンエーテル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】一般式(2)で表される芳香環の置換した
    脂肪族1級モノアミンを0.01〜0.6重量部を含有
    することを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンエ
    ーテル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】一般式(1)で表される末端構造を持つポ
    リフェニレンエーテルが、平均粒径1000μm以下の
    粉体であることを特徴とする請求項1または請求項2記
    載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】一般式(1)で表される末端構造を持つポ
    リフェニレンエーテルが、核置換フェノール誘導体を酸
    化重合して得られるポリフェニレンエーテル粉体を乾燥
    する工程において、一般式(2)で表される芳香環の置
    換した脂肪族1級モノアミンを添加し、ポリフェニレン
    エーテルの融点未満の温度で加熱処理して得られたもの
    であることを特徴とする請求項3記載のポリフェニレン
    エーテル樹脂組成物。
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