JP2747784B2 - 印刷インキ用バインダー - Google Patents

印刷インキ用バインダー

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JP2747784B2
JP2747784B2 JP7806094A JP7806094A JP2747784B2 JP 2747784 B2 JP2747784 B2 JP 2747784B2 JP 7806094 A JP7806094 A JP 7806094A JP 7806094 A JP7806094 A JP 7806094A JP 2747784 B2 JP2747784 B2 JP 2747784B2
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寛 藤田
一 秋山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアミド樹脂からなる
印刷インキ用バインダーに関する。さらに詳しくは、プ
ラスチックフイルムや金属箔を印刷対象物とする表刷り
特殊グラビア印刷インキ(以下、グラビアインキと記
す)用バインダーに関する。
【0002】
【従来の技術】グラビアインキの組成は、通常、ポリア
ミド樹脂あるいはポリウレタン樹脂と、硝化綿、アルキ
ルチタネート等の有機金属配位化合物、着色料(顔料や
染料)及び必要によりワックス等の添加剤からなってい
る。近年、グラビアインキには、高速自動包袋機の普及
により、高温でのヒートシールに耐える耐熱性(以下、
本特性をヒートシール耐熱性と記す)が要求されるよう
になっている。従来から、グラビアインキに用いられて
いるポリアミド樹脂としては、一般的なポリアミド樹
脂として、重合脂肪酸、植物油脂肪酸およびポリアミン
からなる縮合重合物;構成成分の1部にアルカノール
アミン、ポリオール、ヒドロキシ脂肪族モノカルボン酸
等を使用し、分子中に水酸基を導入してヒートシール耐
熱性や耐揉み性を向上させたポリアミド樹脂(例えば特
開昭63−90583号、特開昭63−90584号及
び特開平1−279985号各公報);樹脂分濃度3
5重量%の溶液粘度が180〜1000CPS/25℃
〔溶剤:トルエン/イソプロパノール=2/1(重量
比)〕のポリアミド樹脂に硝化綿及びキレート剤を配合
してヒートーシール耐熱性および密着性を向上させた印
刷インキ用ビヒクル(特開平5−295313号公報)
等が知られている。また、コロナ処理等で表面処理をし
ない未処理プラスチックフイルムに対する接着性の良い
プラスチック印刷インキ用ビヒクルとしては、ポリア
ミド樹脂と硝化綿及びロジンエステル類を配合してなる
もの(特開昭58ー122976号公報)などが知られ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、のポ
リアミド樹脂は、ヒートシール耐熱性を高くするには硝
化綿を多く配合する必要があり、光沢やプラスッチクフ
イルム等に対する接着性が低下する;のポリアミド樹
脂のヒートシール耐熱性はより優れているが、近年求
められている、より優れたヒートシール耐熱性には不十
分である;のポリアミド樹脂を配合したインキ用ビヒ
クルはヒートシール耐熱性に優れているが、粘度が高
く、高速印刷を目的としたインキのハイソリッド化が困
難である;の印刷インキ用ビヒクルは、未処理プラス
チックフイルムに対する接着性を向上させるが、通常の
ポリアミド樹脂を使用した場合には、ヒートシール耐熱
性の向上効果は認められず、ロジンエステルの種類や配
合量によっては逆に低下する;等の問題点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、変性ポリジメ
チルシロキサンおよび特定のロジンエステルを構成成分
とするポリアミド樹脂からなるバインダーが、硝化綿や
アルキルチタネートと併用する従来のグラビアインキに
比べ、優れたヒートシール耐熱性、乾燥性、高耐水性お
よび未処理ポリオレフインフイルムに対する接着性を付
与することを見い出し、本発明に到達した。すなわち本
発明は、重合脂肪酸(A)、ポリアミン(B)、カルボ
キシル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジ
メチルシロキサン及びエポキシ変性ポリジメチルシロキ
サンからなる群から選ばれる少なくとも1種の変性ポリ
ジメチルシロキサン(C)およびロジンエステル
(D)、または、該(A)、(B)、(C)および
(D)とモノカルボン酸(E)及び/またはモノアミン
(F)とを縮合重合せしめて得られる、酸価が20以
下、全アミン価が7以下のポリアミド樹脂からなる印刷
インキ用バインダーである。
【0005】本発明において、重合脂肪酸(A)として
は、オレイン酸やリノール酸等の不飽和脂肪酸またはこ
れらの低級アルキル(炭素数1〜3)エステルを重合し
たもので、ダイマー酸とも呼ばれる下記のごとき組成の
ものが挙げられる(数値は重量%)。 炭素数18の一塩基酸 :0〜15%(好ましくは0〜10%) 炭素数36の二塩基酸 :60〜99%(好ましくは70〜99%) 炭素数54の三塩基酸 :0〜30%(好ましくは0〜20%) 該(A)を構成する重合脂肪酸の1部を他の一塩基酸ま
たはその低級アルキルジエステル(炭素数1〜3)に置
き換えても良い。この二塩基酸またはそのアルキルジエ
ステルとしては、下記一般式 R1OOCRCOOR1 (1) (式中、Rは炭素数2〜20の脂肪族、芳香族または脂
環族のジカルボン酸残基を表し、R1は水素または炭素
数1〜3のアルキル基を表す。)で示される化合物が挙
げられる。重合脂肪酸に対する該一般式(1)の化合物
の比率は通常20当量%以下、好ましくは10当量%以
下であり、20当量%を超えて使用すると溶解性や接着
性を低下させる。
【0006】本発明において、ポリアミン(B)として
は、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミンおよび芳香族
ポリアミンが挙げられる。脂肪族ポリアミンとしてはエ
チレンジアミン、ジエチレントリアミン、プロピレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミ
ン等が挙げられる。脂環式ポリアミンとしてはイソホロ
ンジアミン、シクロヘキシレンジアミン等が挙げられ、
芳香族ポリアミンとしてはジアミノフエニルメタン、キ
シリレンジアミン等が挙げられる。これらのポリアミン
のうち特に好ましいものはエチレンジアミンであり、他
のポリアミンと併用する場合は全ポリアミン中の50当
量%以上用いることが好ましい。エチレンジアミンが
50当量%未満ではポリアミド樹脂の融点や溶解性を低
下させる。
【0007】本発明において、変性ポリジメチルシロキ
サン(C)としては、カルボキシル変性ポリジメチルシ
ロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキ
シ変性ポリジメチルシロキサンおよびこれらの2種以上
の混合物が挙げられる。該(C)の官能基の位置は分子
の両末端、片末端または側鎖のいずれのものでもよく、
また2官能以上のものにおいては官能基が異種のもので
あってもよい(以下、これらを総称して変性ポリジメチ
ルシロキサン記す)。本発明における(C)の使用量
は、ポリアミド樹脂を構成する全成分の合計重量に基づ
いて通常0.03〜5重量%、好ましくは0.5〜3重
量%である。(C)の使用量が0.03重量%未満では
ヒートシール耐熱性の向上効果が少なく、5重量%を超
えるとインキの光沢を低下させる。
【0008】本発明において、ロジンエステル(D)と
しては、ロジン(水素添加、重合、不均化あるいはα,
β−不飽和カルボン酸付加物等の変性ロジンを含む)を
主たるカルボン酸成分としてエチレングリコール、グリ
セリン、ペンタエリスリトール等のポリオール単独もし
くは混合物、あるいはポリオールの一部をエチレンジア
ミン、プロピレンジアミン等のポリアミンに置き換えた
ものとの縮合反応によって得られるものが挙げられる。
本発明に有用なロジンエステル(D)は、酸価が5 〜
150で且つ軟化点が120℃以上であれば、組成につ
いては特に限定されない。(D)の使用量は、ポリアミ
ド樹脂を構成する全成分の合計重量に基づいて、通常5
〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。
(D)の使用量が5重量%未満または50重量%を超え
るとヒートシール耐熱性の向上効果は低い。また(D)
が50重量%より多い場合は光沢や耐揉み性を低下させ
る。
【0009】本発明において、必要により使用されるモ
ノカルボン酸(E)及び/またはモノアミンは(F)
は、主としてアミド化縮合重合反応における分子量調整
剤として用いられる。モノカルボン酸(E)としては、
炭素数1〜22の直鎖または分岐の飽和脂肪酸もしくは
不飽和脂肪酸、天然油脂から得られる混合脂肪酸、芳香
族モノカルボン酸、脂肪族もしくは芳香族ヒドロキシモ
ノカルボン酸等が使用できる。これらのモノカルボン酸
は炭素数1〜3の低級アルキルエステルであってもよ
い。モノアミン(F)としては、炭素数2〜22の直鎖
または分岐の飽和もしくは不飽和の脂肪族系モノアミン
やヒドロキシモノアミンが使用できる。該(E)及び/
または(F)の使用量は、所望するポリアミド樹脂の粘
度、使用する重合脂肪酸の組成、カルボン酸成分とアミ
ン成分の仕込当量比等によって決定する。通常、全カル
ボン酸成分または全アミン成分の0〜15当量%が適当
である。
【0010】本発明におけるポリアミド樹脂は、酸価が
通常20以下、好ましくは18以下であり、全アミン価
が通常7以下、好ましくは5以下である。酸価が20を
超えたり、全アミン価が7を超えたポリアミド樹脂は、
被膜強度や軟化点が低くなったり、ヒートシール耐熱性
や光沢が低下する傾向があり好ましくない。
【0011】本発明におけるポリアミド樹脂は、通常の
重合脂肪酸系ポリアミドの合成方法と同じ方法で製造す
ることができる。反応温度は、通常160〜250℃、
好ましくは180〜230℃である。ロジンエステル
(D)の添加時期は、アミド化縮合重合反応の初期〜後
期の任意の段階でよいが、通常160〜250℃、好ま
しくは180〜230℃で1時間以上反応せしめること
が好ましい。アミド化縮合反応は着色を防止するため窒
素ガス等の不活性ガス中で行うことが好ましく、反応末
期には反応の完結あるいは揮発性成分の除去を促進する
ため、反応を減圧下で行ってもよい。また、アミド化縮
合重合反応後に、トルエンとイソプロピルアルコール等
の芳香族系とアルコール系との混合溶剤で反応生成物を
希釈して溶液状にすることもできる。
【0012】このようにして得られたポリアミド樹脂は
淡黄褐色の固体で、酸価が通常20以下および全アミン
価が通常7以下、軟化点が通常80〜140℃、好まし
くは90〜130℃である。粘度は樹脂分40重量%溶
液粘度〔溶剤:トルエン/イソプロピルアルコール=2
/1(重量比)〕が通常50〜800cps/20℃、
好ましくは100〜600cps/20℃である。
【0013】本発明におけるポリアミド樹脂は、通常、
トルエンとイソプロピルアルコール等の芳香族系とアル
コール系の混合溶剤に溶解してワニス状として用いた
り、樹脂を顔料等と溶融混練してマスターバッチとして
使用する。該ポリアミド樹脂は、硝化綿及び有機金属配
位化合物を併用することにより、さらに優れたヒートシ
ール耐熱性、耐水性、乾燥性および未処理ポリオレフイ
ンフイルムに対する接着性をグラビアインキに付与する
ことができる。グラビアインキは、例えば該ポリアミド
樹脂からなるバインダーに、着色剤(顔料や染料)の他
に必要に応じてロジン系、石油系もしくは芳香族系の樹
脂類、可塑剤、低分子量ポリオレフイン系もしくは低分
子量アミド系のワックス類等を添加し、ボールミル、サ
ンドミル、ロールミル等の公知のインキ製造装置を用い
て製造される。
【0014】本発明におけるポリアミド樹脂をバインダ
ーに使用したグラビアインキの配合処方の一例を示せば
以下の通りである(数値は重量%)。 ポリアミド樹脂 :通常10〜30(好ましくは15〜25) 硝化綿 :通常 1〜12(好ましくは2〜6) 顔料 :通常 5〜40(好ましくは10〜30) 添加剤 :通常 0〜10(好ましくは1〜5) 溶剤 :通常40〜75(好ましくは50〜70) 硝化綿とポリアミド樹脂の比率は、通常5:95〜4
0:60(重量比)好ましくは10:90〜30:70
(重量比)である。また、有機金属配位化合物を用いる
場合の配合量は、上記組成物の合計100重量部に対し
て通常0.5〜3重量部、好ましくは1〜2重量部であ
る。
【0015】本発明におけるポリアミド樹脂を配合した
グラビアインキの印刷対象物としては、処理および未処
理ポリオレフインフイルム、ポリエステルフイルム、ナ
イロンフイルム、ポリ塩化ビニルフイルム、アルミ蒸着
フイルム、金属箔等が挙げられる。これらのうち特に好
ましいものは、処理および未処理のポリオレフインフイ
ルム、ポリエステルフイルム、アルミ蒸着フイルムおよ
び金属箔である。
【0016】グラビアインキにおいて、本発明における
ポリアミド樹脂と併用することのできる有機金属配位化
合物としては、有機チタン配位化合物、有機アルミニウ
ム配位化合物、有機ジルコニュウム配位化合物等が挙げ
られ、好ましいものはアルミニウムトリス(アセチルア
セトネート)、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノール
アミナート)チタン、ジ−iso−プロポキシビス(ア
セチルアセトナート)チタン等である。本発明のポリア
ミド樹脂からなるバインダーを用いたグラビアインキの
印刷方法は、プラスチックフイルムや金属箔を印刷対象
物とする従来のグラビアインキの場合と同じであっても
よく、最新の高濃度印刷方法に準ずるものであってもよ
い。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。以下にお
いて、特に断りのないかぎり「部」、「%」及び「比
率」は、それぞれ重量部、重量%及び重量比を示す。
【0018】実施例1 温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応槽に、重合脂
肪酸〔一塩基酸:6〜8%、二塩基酸:74〜77%、
三塩基酸:17〜18%;ハリマ化成(株)製「ハリダ
イマー200」〕276.5部、トール油脂肪酸〔ハリ
マ化成(株)製「ハートールFA−1」〕11.2部、
エチレンジアミン30部、両末端カルボキシル変性ポリ
ジメチルシロキサン〔信越化学工業(株)製「X−22
−162A」〕4部を仕込み、窒素ガス雰囲気中、21
0℃で2時間反応させた後、ロジンエステル〔酸価:1
0〜16,軟化点:155〜170℃,荒川化学工業
(株)製「ペンセルD−160」〕80部を仕込み,更
に210℃で3時間反応させ淡褐色固体のポリアミド樹
脂(PA1)を得た。該PA1の分析値および物性値を
表1に示す。
【0019】実施例2 実施例1と同様の反応槽に、「ハリダイマー200」2
76.5部、「ハートールFA−1」11.2部、エチ
レンジアミン30部、両末端アミノ変性ポリジメチルシ
ロキサン〔信越化学工業(株)製「X−22−161
A」〕4部および「ペンセルD−160」80部を仕込
み、実施例1と同じ方法で淡褐色固体のポリアミド樹脂
(PA2)を得た。該PA2の分析値および物性値を表
1に示す。
【0020】実施例3 実施例1と同様の反応槽に、「ハリダイマー200」2
73.6部、「ハートールFA−1」14部、エチレン
ジアミン30部、両末端エポキシ変性ポリジメチルシロ
キサン〔東レダウコーニング・シリコーン(株)製「B
Y16−855」〕4部および「ペンセルD−160」
80部を仕込み、実施例1と同じ方法で淡褐色固体のポ
リアミド樹脂(PA3)を得た。該PA3の分析値およ
び物性値を表1に示す。
【0021】実施例4 実施例1と同様の反応槽に、「ハリダイマー200」2
59.2部、エチレンジアミン24部、ヘキサメチレン
ジアミン11.6部、側鎖アミノ変性ポリジメチルシロ
キサン〔東レダウコーニング・シリコーン(株)製「B
Y16−850」〕3.3部およびロジンエステル〔酸
価:120〜140,軟化点120〜135℃,播磨化
成(株)製「ハリエスターMSR4」〕35.5部を仕
込み、210℃で5時期間反応させ淡褐色固体のポリア
ミド樹脂(PA4)を得た。該PA4の分析値および物
性値を表1に示す。
【0022】実施例5 実施例1と同様の反応槽に、「ハリダイマー200」2
83.7部、「ハートールFA−1」4.2部、エチレ
ンジアミン30部、「BY16−850」0.46部お
よび「ペンセルD−160」135部を仕込み、実施例
1と同じ方法で淡褐色固体のポリアミド樹脂(PA5)
を得た。該PA1の分析値および物性値を表1に示す。
【0023】比較例1 実施例1と同様の反応槽に、重合脂肪酸〔一塩基酸:約
3%,二塩基酸:約79%,三塩基酸:約18%;ハリ
マ化成(株)製「ハリダイマー250」〕288部およ
びエチレンジアミン24部を仕込み、窒素ガス雰囲気
中、200℃で3時間反応させ、次いで1,4−ブタン
ジオール20.3部およびジ−n−ブチル錫ジラウレー
ト0.17部を加えて更に210℃で4時間反応後、2
10℃で減圧下(100〜50mmHg)で1時間反応
させ、淡褐色固体のポリアミド樹脂(PA6)を得た。
該PA6の分析値および物性値を表2に示す。
【0024】比較例2 実施例1と同様の反応槽に、「ハリダイマー250」2
88部およびエチレンジアミン24部を仕込み、200
℃で3時間反応させた。次いでモノエタノールアミン1
1.3部を加えて更に210℃で4時間反応後、210
℃減圧下(100〜50mmHg)で1時間反応させ、
淡褐色固体のポリアミド樹脂(PA7)を得た。該PA
7の分析値および物性値を表2に示す。
【0025】比較例3 実施例1と同様の反応槽に、「ハリダイマー250」2
85.1部および「ハートールFA−1」2.8部、エ
チレンジアミン26.4部およびキシリレンジアミン
4.8部を仕込み、窒素ガス雰囲気中、230℃で3時
間反応させ淡褐色固体のポリアミド樹脂(PA8)を得
た。該PA8の分析値および物性値を表2に示す。
【0026】比較例4 実施例1と同様の反応槽に、「ハリダイマー200」2
76.5部、「ハートールFA−1」11.2部、エチ
レンジアミン30部および「X−22−162A」3.
2部を仕込み、210℃で5時間反応させ淡褐色固体の
ポリアミド樹脂(PA9)を得た。該PA9の分析値お
よび物性値を表2に示す。
【0027】比較例5 実施例1と同様の反応槽に、「ハリダイマー200」2
76.5部、「ハートールFA−1」11.2部、エチ
レンジアミン30部および「ペンセルD−160」80
部を仕込み、比較例4と同様の条件で反応させ、淡褐色
固体のポリアミド樹脂(PA10)を得た。該PA10
の分析値および物性値を表2に示す。
【0028】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |実施例 | 1 2 3 4 5 | | |PA1 PA2 PA3 PA4 PA5| |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |酸価 |8.2 7.8 7.3 16.4 6.8| | | | |全アミン価 |4.4 4.3 4.8 3.0 1.1| | | | |軟化点(℃) |102 102 103 98 97| | | | |粘度(CPS/20℃)|275 280 295 380 432| −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0029】
【表2】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |比較例 | 1 2 3 4 5 | | |PA6 PA7 PA8 PA9 PA10 | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |酸価 |2.4 3.0 10.5 4.9 6.3 | | | | |全アミン価 |3.1 5.2 1.2 1.7 1.0 | | | | |軟化点(℃) | 90 91 106 106 103 | | | | |粘度(CPS/20℃)| 98 112 1023 380 270 | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (注) 軟化点測定方法:ボール&リング法(JIS K253
1−1960) 粘度測定用試料及び測定方法:樹脂分40%(溶剤組
成;トルエン/イソプロピルアルコール=2/1)、ブ
ルックフイールド型粘度計〔東京計器(株)製,BL
型〕
【0030】試験例1 前記、実施例1〜5および比較例1〜5で得られた各ポ
リアミド樹脂(PA1〜PA10)の40%溶液(溶剤
組成;トルエン/イソプロピルアルコール=2/1)を
作成し、下記の処方でグラビアインキを調製した。 (イ)各ポリアミド樹脂の40%溶液 :45部 (ロ)硝化綿20%溶液(注1) :10部 (ハ)酸化チタン(注2) :25部 (ニ)ステアリン酸アミド10%溶液(注3): 5部 (ホ)溶剤(注4) :14部 (ヘ)アルキルチタネート(注5) : 1部 合 計 100部
【0031】 (注1)硝化綿20%溶液:硝化綿〔ダイセル化学工業
(株)製「RS−1/4」〕をトルエン/イソプロピルアル
コール/酢酸エチル=2/1/1に溶解したもの。 (注2)酸化チタン:石原産業(株)製「タイペークR
−630」 (注3)ステアリン酸アミド10%溶液:花王(株)製
「脂肪酸アマイドS」をトルエン/イソピルアルコール
=2/1に加熱溶解後室温に冷却し微分散状にしたも
の。 (注4)溶剤:トルエン/イソプロピルアルコール/酢
酸エチル=2/1/1の混合溶剤。 (注5)アルキルチタネート:日本曹達(株)製「TA
A」
【0032】前記処方に従い、(イ)135g、(ロ)
30g、(ハ)75g、(ニ)15g、(ホ)42g及
びガラスビーズ(直径約3mm)300gを、500m
mlの丸缶に仕込み、ペイントコンデショナー(米国、
レッドデビル社製)で30分間振盪した後、ガラスビー
ズを取り除いたもの100部に対して(ヘ)を1部の割
合で配合したものを性能評価用インキとした。
【0033】各インキをバーコーター(25ミクロン)
で未処理ポリエチレンフイルム(以下、未PEと略
記)、未処理無延伸ポリプロピレンフイルム(以下、未
CPPと略記)、コロナ処理ポリエチレンフイルム(以
下、処PEと略記)、コロナ処理延伸ポリプロピレンフ
イルム(以下、処OPPと略記)及びコロナ処理無延伸
ポリプロピレンフイルム(以下、処CPPと略記)に展
色し、ヘアードライヤー(小泉産業(株)製JD−12
00)で15秒間熱風乾燥後、室温で約20時間放置し
たものを性能評価用試験片とした。但し、乾燥性の評価
については処OPPに熱風乾燥せずに2回重ねて展色し
たものを試験片とした。
【0034】これらの試験片について、下記方法で性能
評価を行った。結果を表3および表4に示した。 (1)ヒートシール耐熱性:処OPPのインキ展色面に
アルミ箔(15ミクロン)を合わせ、熱傾斜式ヒートシ
ーラー〔東洋精機(株)製;TYPE,HG−100〕
で3Kg/cm2×1秒間の条件でヒートシールした直
後にアルミ箔を剥し、インキが剥離しない最高温度を1
0℃間隔で測定した。 (2)乾燥性:処OPPにインキを2回重ねて展色し、
5秒間隔で指触乾燥時間を測定した。 (3)耐水性:処PEのインキ展色物を、室温の水道水
に24時間浸漬した後、水中で50回揉みインキの剥離
の程度を目視観察した。 (4)耐セロテープ性:各種フイルムのインキ展色面に
ニチバンセロテープを強く張り着けた直後に、高速でセ
ロテープを剥してインキの剥離の程度を目視観察した。 (5)耐ブロキング性:処OPPのインキ展色面同士を
合わせ、1Kg/cm2の荷重をかけ、50℃×24時
間後に剥し、インキの剥離の程度および剥離抵抗を観察
した。 (6)光沢:処OPPの展色物を光沢計〔日本電色工業
(株)製VG−1D〕を用いて、入射角/反射角=60
゜/60゜の条件で光沢を測定した。 各項目の評価結果の表示方法は以下の通りである。 (1)ヒートシール耐熱性:実測温度(℃) (2)乾燥性:実測時間(秒) (3)耐水性:5段階表示、5(良)〜1(不良) (4)耐セロテープ性:同上 (5)耐ブロッキング性:同上 (6)光沢:実測値(%)
【0035】
【表3】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |実施例 | 1 2 3 4 5 | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |ヒートシール|190〜 190〜 190〜 190〜 190〜| |耐熱性 | 200 200 200 200 200| |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |乾燥性 |10〜 10〜 10〜 10〜 10〜 | | | 15 15 15 15 15 | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |耐水性 | 5 5 5 5 5 | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |耐セロテープ| | |性 | | | 処OPP | 5 5 5 5 5 | | 処 PE | 5 5 5 5 5 | | 処CPP | 5 5 5 5 5 | | 未 PE | 5 5 5 5 5 | | 未CPP | 5 5 5 5 5 | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |耐ブロッキ | 5 5 5 5 5 | |ング性 | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |光沢 | 63 65 63 62 69 | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0036】
【表4】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |比較例 | 1 2 3 4 5 | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |ヒートシー |160〜 160〜 180〜 160〜 150〜| |ル耐熱性 | 170 170 190 170 160| |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |乾燥性 |25〜 25〜 15〜 10〜 20〜 | | | 30 30 20 15 25 | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |耐水性 | 3 3 4 5 4 | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |耐セロテー | | |プ性 | | | 処OPP| 5 5 5 5 5 | | 処 PE| 5 5 5 5 5 | | 処CPP| 5 5 5 5 5 | | 未 PE| 1 1 1 1 3- | | 未CPP| 1 1 1 2 3+ | |−−−−−−|−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |耐ブロッキン| 5-- 5 5 5- | |グ性 | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |光沢 | 65 62 60 62 59 | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0037】
【発明の効果】本発明のポリアミド樹脂からなる印刷イ
ンキ用バインダーは、硝化綿およびアルキルチタネート
等の有機金属配位化合物と併用するグラビアインキ用バ
インダーとして、下記の優れた性能をインキに付与する
特長を有する。 (1)ヒートシール耐熱性及び乾燥性が優れており、高
速自動製袋機や高速印刷に対応できるので、印刷のトー
タルコストダウンが可能となる。 (2)耐水性が優れており、屋外に放置されることの多
い肥料包装資材等の印刷にも適している。 (3)未処理ポリオレフインフイルムに対する接着性が
優れており、包装資材のコストダウンが可能となる。 上記の効果を奏することから本発明のポリアミド樹脂か
らなるバインダーは、特にプラスチックフイルムや金属
箔の包装資材等の印刷に用いられるグラビアインキ用バ
インダーとして極めて有用である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合脂肪酸(A)、ポリアミン(B)、
    カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性
    ポリジメチルシロキサン及びエポキシ変性ポリジメチル
    シロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種の変
    性ポリジメチルシロキサン(C)およびロジンエステル
    (D)、または、該(A)、(B)、(C)および
    (D)とモノカルボン酸(E)及び/またはモノアミン
    (F)とを縮合重合せしめて得られる、酸価が20以
    下、全アミン価が7以下のポリアミド樹脂からなる印刷
    インキ用バインダー。
  2. 【請求項2】 (D)が、5〜150の酸価および12
    0℃以上の軟化点を有するロジンエステルである請求項
    1記載の印刷インキ用バインダー。
  3. 【請求項3】 (C)の量が、全成分の合計重量に基づ
    いて0.03〜5重量%である請求項1または2記載の
    印刷インキ用バインダー。
  4. 【請求項4】 (D)の量が、全成分の合計重量に基づ
    いて5〜50重量%である請求項1〜3いずれか記載の
    印刷インキ用バインダー。
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