JP2746598B2 - 可視光選択透過膜 - Google Patents

可視光選択透過膜

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は可視光を選択的に透過させる透過膜に関す
る。
[従来の技術] エネルギー資源の乏しい我が国では光源、或いはエネ
ルギー源としての太陽光の活用が大切である。この太陽
光は紫外光、可視光、赤外光からなる電磁波でそれぞれ
人間生活の多くの場で有用あるいは有害であれ多様にか
かわっている。例えば近代建築物、或いは自動車等の壁
面の大きい割り合いを占める明かりとりの窓や、冷蔵、
冷凍ショーケース等の窓に必要なのは可視光の透過性
で、紫外線や赤外線の透過は不要であるばかりでなく有
害ですらある。即ち紫外線は室内装飾品や食品等の褪色
や変質劣化を惹起させる等により物の価値を下げるし、
赤外線に照射されると、温度が上昇し冷房効果を下げ
る。従って明かりとりの窓等においては紫外線や赤外線
の透過を積極的に阻止することが望ましい。
窓以外にもオプトエレクトロニクス時代の有望な機能
材料である液晶表示阻止やエレクトロルミネッセンス素
子等においても機能の劣化を防止する上で紫外線および
赤外線の遮断が望まれている。
窓等の明かりとり用透明材料として一般に使用されて
いるガラスやプラスチック材料は波長0.3μm付近の近
紫外線から4μm付近の近赤外線までの電磁波を透過さ
せ、赤外線を殆んど吸収するので前述の目的には用をな
さない。
可視光を透過させ、紫外線が赤外線を阻止する材料の
開発について、これまでに幾多の試みがなされており、
例えば特開昭62−6495号、同62−6497号公報による金属
薄膜を高屈折率の透明膜で挟んだもの、特公昭61−1329
02号公報による酸化亜鉛層とアルミニウムを添加した酸
化亜鉛層との二層膜等が提案されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、このような膜を用いた従来のものは、
いずれも実用上十分とは云えない。即ち、金属薄膜では
金、銀、銅、パラジウム等が提案されているが、金属薄
膜は広い波長域にわたり、反射能、及び吸収能が高いた
め可視光透過率の高いものが得難く、可視光透過率を高
めると赤外反射能を著しく低下する。
化合物半導体では数百nmの厚さのインジウム錫酸化物
(ITO)膜や酸化錫膜が提案されているが、ITOの原材料
であるインジウムは高価でもあるし、資源的にも希少で
あるという問題がある。またこれの膜は波長300nm以上
の光を透過させる本質的欠陥であり、加えて赤外線の良
好な反射特性を得るためには300〜600℃の高温処理を要
することから耐熱性に劣るプラスチック基板等に適用す
るには問題がある。更にまた表面の平滑な面が得難く、
膜表面も化学的に不安定でこれらの膜上に他の膜を形成
する際、光学的特性に悪影響をおよぼすことがある。
金属薄膜を透明高屈折率薄膜でサンドイッチした構造
として銀薄膜をITO薄膜で挾んだ構造のものが提案され
ており、銀そのものが持つ光学特性に加え導電性も良好
で赤外線反射性にも優れるが基本的に高価で可視光透過
性に劣ること及び環境条件によって銀が表面に拡散した
り、熱、光、ガスにより特性が劣化したり、摩耗、シミ
発生等の耐久性の点で劣っている。
次に酸化亜鉛層とアルミニウムを添加した酸化亜鉛層
の二層膜について述べる。酸化亜鉛は真性格子欠陥に基
づく直接遷移形半導体でドナー準位で縮退したn形半導
体が容易に得られ、エネルギーギャップが約3.2eVなの
で約385nmに吸収端をもつ急峻な紫外線遮断特性を示
す。伝導電子密度は1020cm-3オーダーが実現できる。ま
たアルミニウムを添加したものは1021cm-3の伝導電子密
度が得られることから良好な紫外線反射特性を示す。加
えて両膜共結晶質の酸化亜鉛でできているためストレス
の少ない良質の薄膜が得られる利点があり、原料も安
価、豊富で公害もない。又150℃以下の低温で作成して
も良好な可視光選択透過性を示し、耐熱性に劣るプラス
チック基板上にも成膜できる。膜表面も平滑であり抵抗
率も低い。等々から可視光透過膜として優れているが
酸、アルカリ及びアンモニア水に溶解する等化学的に弱
く工場や、自動車から排出されるいわゆるSOx,NOx等の
酸性ガスやホコリ等を含んだ外気や雨水による損傷、劣
化等を生じやすく、耐久性に問題がある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、紫外線遮断のために、酸化亜鉛もしくは酸
化チタンから選ばれた少なくとも一つの酸化物を有する
第1層を設け、次に赤外線反射防止のために、アルミニ
ウムもしくはシリコンを含有する酸化亜鉛を有する第2
層を形成し、更に第2層の保護層として酸化錫を有する
第3層を形成して前記問題点を解決したものである。
[作用] 第1層の構成材料である酸化亜鉛(ZnO)は室温で約
3.2eVのエネルギーギャップをもつ直接遷移形半導体で
真性格子欠陥によるドナー準位によって縮退したn形半
導体が得られ、成膜法によっては150℃以下の低温でも
比較的容易に表面の滑らかな結晶質薄膜が形成され、約
385nmに吸収端をもつ急峻な紫外線吸収特性を示す。酸
化チタン(TiO2)の室温でのエネルギーギャップは約3.
2eVなので可視光に近い370nm付近に吸収端をもつため紫
外線吸収性に優れている。急峻な吸収端を得るためには
結晶状態を良くする必要があり、そのためには、TiO2
場合成膜時或いは成膜後に高温処理を要するので耐熱性
に劣るプラスチック基板上に成膜するのは不適当な場合
が多い。
第2層の構成材料であるアルミニウムもしくはシリコ
ン含有酸化亜鉛について述べる。
ZnO膜は常温では10-3Ωcmオーダーの抵抗率を示し、
透明電極としては十分実用可能であるが伝導電子密度が
1020Ωcm-3のオーダーより大きくなり難い。また、各種
の雰囲気中で高温に曝されると真空中においても、抵抗
率が102〜106倍に増大することができる。例えば真空も
しくは不活性ガス中で400℃以上、1時間程度の処理が
なされるEL素子用途等には不適当である。抵抗率が増大
する原因はZnO膜中に補えられていた酸素が温度上昇に
より、膜中で化学吸着することによるもの考えられる。
即ち、ZnO膜の低抵抗率が真性格子欠陥である酸素空孔
もしくは格子間亜鉛の作る浅いドナー準位の存在により
実現されているため、酸素の吸収により伝導電子密度お
よび移動度が減少し、結果として抵抗が増大するから
で、ZnO膜の低抵抗率が材料固有の真性格子欠陥に基づ
くものである限り、高温処理による抵抗率の増大は材料
物性上の本質的欠陥である。
しかし、アルミニウム(Al)もしくはシリコン(Si)
を導入するとAlやSiがドナーとして働き、1021Ωcm-3
ーダーの伝導電子密度を実現できるため、良好な赤外線
反射特性を示す。また抵抗率は10-4Ωcmオーダーとなり
高周波の電磁波のシールド効果を示す。
一方、これらの不純物添加ZnO膜では、伝導電子密度
が1021Ωcm-3オーダーとなるためバースタインモス効果
により光学的吸収端が不純物無添加ZnO膜より短波長
側、即ちより紫外域に移動する結果として、ZnO膜の急
峻な紫外線阻止特性が損なわれてしまう。そのために本
発明ではZnOもしくはTiO2膜を第1層に付けている。特
にZnO膜を第1層に選んだ場合はいずれも基本的に同一
の結晶質ZnOで形成しているため、膜中のストレスが少
なく良質の結晶質薄膜が得られる利点がある。
Al添加ZnO(ZnO:Alと示す)およびSi添加ZnO(ZnO:Si
と示す)膜は成膜方法によっては室温から150℃までの
低温気体上でも可視光線透過率が85%以上と高く、抵抗
率の低い膜を作成することができる。得られた膜は赤外
線反射率が高くおよそ900nm以上の赤外線を殆んど反射
する。また膜の表面は非常に平滑である。
この膜は熱に対しても強く真空中或いは不活性ガス雰
囲気中で500℃,1時間処理を行っても抵抗値の変化は僅
かである。これは即ちAl原子やSi原子の如き、外因性ド
ナーはZnOの真性格子欠陥による内因性ドナーと較べ高
温の酸化性雰囲気中でも膜中で安定に存在するためであ
る。
ZnO:Al膜、およびZnO:Si膜はZnO膜に較べて、伝導電
子密度が一桁大きいこと、及びドナーが不純物添加によ
る外因性ドナーであることの特性改善により耐熱性を実
現できたものである。
ZnO中にAlもしくはSiを添加する方法としてはZnO膜作
成後の熱拡散或いはZnO膜作成過程で原材料中へのAlも
しくはSiの混入等が適用可能である。膜作成過程でのAl
もしくはSi添加の具体的実施法としては、スパッタ法に
おいてのターゲットへの混入、化学気相成長法での原料
ガス中への混入、及びZnとAl合金もしくはZnとSi合金の
陽極酸化法等が可能である。これらの方法では、酸化
物、有機金属化合物、水素化物及びハロゲン化物等の形
で利用できる。
AlもしくはSiの添加量はZnの原子数に対して0.1%以
下であると効果がなく20%を超えると結晶性を損ない、
抵抗率が増大する。好ましくは1〜6%である。
またかかる第2層に本発明の目的を損なわない範囲で
他のIII族、もしくはIV族の元素を添加することは差し
つかえない。例えば硼素(B)はZnOの結晶性を改善す
る効果があり抵抗率を下げるが、添加量が10%を超える
と効果が飽和することが知られている。次に第3層であ
るが、酸化錫(SnO2)は濃硫酸には可溶であるものの他
の酸やアルカリには高濃度で加熱しないと溶解しない。
酸化チタン(TiO2)は更に化学的に安定でフッ酸とか熱
濃硫酸以外には侵されず、サビやシミを生じることもな
い。また表面硬度が大きく特にTiO2は結晶系にもよるが
モース硬度が6前後と極めて大きい数値を示すことから
傷がつき難く耐摩耗性にも優れている。
この結果SnO2およびTiO2は共に前述の酸性外気や雨水
およびホコリ等による損傷から第2層のZnO:Al膜および
ZnO:Si膜をよく保護する役割りを果す。
屈折率は膜作成条件に大きく左右されるがSnO2は2.0
前後、TiO2は2.3前後といずれも大きく、高屈折率反射
防止層の働きも有する。
しかし、可視光選択透過膜は用途によっては、多種多
様な透過光の選択性(着色を意味する)を求めることが
できる。このような要求に応じるために本発明では、請
求項(2)の第2層と第3層の間に可視光域の適当な波
長域で適当な吸収率及び反射率を持つ有色薄膜を挿入し
ている。それ故有色薄膜は可視光選択透過膜に適当な着
色を実現するために挿入するものであって、材料は金
属、半導体や各種化合物からなる単層もしくは多層のい
ずれでもよいが、その膜厚は5nmから50nmで好ましくは5
nm〜20nmである。また適当な着色を得ることができない
場合は、合金膜や多層膜を使用して着色せしむることも
有効な手段である。当然のことであるが、着色した、即
ち特定波長域の可視光を選択的に阻止することを好まな
い用途において本発明による可視光選択透過膜を使用す
る場合には、これらの有色薄膜の挿入は不用である。
以上に説明せる如く本発明の紫外線吸収層、赤外線反
射層、耐環境性保護層を備えてなる三層構造の膜はこれ
までに提案された膜に比べ可視光選択透過膜として極め
て実用性の高いものである。
SnO2は成膜方法によって150℃以下の低温でも透明度
が大きく表面抵抗率の低い(従って結晶性の良い)良質
の膜を形成することも出来るので、第1層をZnO、第2
層をZnO:AlもしくはZnO:Si、第3層をSnO2とする可視光
選択透過膜は、耐熱性に劣るプラスチック基板上に極め
て低抵抗率の膜を作成することができる。軟質のプラス
チック基板を用いたものは長尺に巻きとることができる
ことから、成膜時の生産性が高い利点があり、他方成膜
後は軽量であることに加えはさみなどにより任意の形
状、大きさに容易に裁断できることや更に接着剤を用い
て例えば窓ガラスとの任意の個所に貼りつけることがで
きること等、ガラス基板を用いたものに較べ、使い易さ
において格段と優れる利点がある。
他方、TiO2を第3層に用いた構成については、耐環境
性が抜群であることに加え、紫外線遮断性が更に補強さ
れる利点があるが、耐熱性に劣るプラスチック基板上へ
の成膜では特性がやや劣る。
本発明の可視光選択透過膜を各層の使用材料とその組
み合わせで整理すると次のようになる。
膜の構成順序であるが、第3層は耐環境保護層の役割
りが主であることから最外層に配置することが必要であ
るが、第1層と第2層については機能上、どちらを基板
側に設けてもよい理屈であるが、第1層は第2層を成膜
する際の下地の役割りもあるので、良質の結晶質薄膜を
得やすい第1層を本発明では基板側に形成している。
得られた三層膜は特に第2層が導電性に優れることか
ら良好な透明電極としての作用もあり紫外線や赤外線に
よって素子の劣化を生じる液晶素子、エレクトロルミネ
ッセンス素子等の電子ディスプレーや太陽電池用等の透
明電極に用いれば素子の耐久性高めることができる。こ
れら各層の各々の厚さについては特に制限はなく、好ま
しい値を自由に選べばよい。例えば第3層の厚さを適宜
に選ぶことにより薄膜の干渉効果を利用して可視光領域
の透過率を高めることも可能である。しかしながら、本
発明による可視光選択透過膜はその基本原理において従
来から提案されている金属膜を透明な高屈折率膜でサン
ドイッチした方式とは異なるため、各層の膜厚の精密な
制御が不要であり、成膜上極めて有利である。これは、
本発明による可視光選択透過膜では紫外線阻止、赤外線
阻止および耐環境保護等の要求される特性をそれぞれ異
なった各層が果しているためである。
透明基板とはガラス、プラスチック基板、プラスチッ
クフィルム及びシート等を例示できる。
透明基板上に第1層,第2層,第3層を順次成膜する
方法については真空蒸着法、スパッタ法、陽極酸化法、
化学気相成長法等々一般に知られている任意の方法を用
いることができ、膜成形に用いる材料もそれぞれの製法
に応じて金属、金属酸化物、金属水素化物、有機金属化
合物、ハロゲン化金属等々を用いることができるが、本
発明の場合においては低温でも低抵抗率で結晶性、平面
性に優れ、均質で良質の薄膜を高速で成膜できるマグネ
トロンスパッタ法が適している。
[実施例] 以下本発明の実施例を説明する。
実施例1 高周波マグネトロンスパッタ装置を用い、高純度の酸
化亜鉛焼結体をターゲットとしてアルゴンガスを用いた
スパッタガスによりスパッタさせて、90℃に保った厚さ
100μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィ
ルム基板上に、第1層である150nmのZnO層を形成し、引
き続き同装置を用いてZnO層の上に、ZnOに対して2wt%
のAl2O3を含有した焼結体をターゲットとして第2層で
ある500nmのZnO:Al層を積層した。更にその上に同装置
を用いてSnO2焼結体をターゲットとして第3層である40
nmのSnO2層を形成した。この時は基板温度を50℃に保ち
1%の酸素を添加したアルゴンガスをスパッタガスとし
た。
このようにして得た透明フィルムの光透過率を第1図
に示している。波長領域が0.4ないし0.7μmの可視光線
の透過率は80%以上に及ぶ一方、波長約0.4μm以下の
紫外線及び波長約1.0μm以上の赤外線領域の透過を阻
止する急峻な特性を有していた。又、透過率と相反関係
を有す反射率は1.0μm以上で急激に増大している。こ
れら特性は、本実施例のZnO:Al層をZnO:Si層に変えても
ほぼ同様であった。又、表面抵抗は10Ω/□であった。
このような低い表面抵抗は最外層となるSnO2膜を100
℃以下の低温気体上に形成したことにより、10-3Ωcmオ
ーダーの低抵抗率の膜が得られたことによって実現でき
たものである。
実施例2 厚さ2mmの透明ガラスを基板としてその上に実施例1
で用いた装置でTiO2の焼結体をターゲットとして第1層
である200nmのTiO2層を形成した。基板温度は450℃とし
た。続いて実施例1と同じ要領で基板温度を200℃とし
て第2層であるZnO:Al層を形成し、更にその上に80℃に
保持しながら第3層であるSnO2層を形成した。
このものの光学特性は実施例1で得たものと略同じで
あったが紫外域および近赤外域での阻止特性が更に急峻
となり、可視光域での透過率が更に5%以上増加した。
この透過膜を形成したガラスを窓にはめ込み、晴天の太
陽光の照射による温度上昇を測定したところ、ガラス単
体の場合に比べ温度上昇が著しく小さく、顕著な赤外線
阻止効果が認められた。又本発明にかかる窓ガラスを透
過した太陽光をカラー印刷物、及びカラー衣類に1ケ月
にわたり照射したところ、ガラス単体の場合に比べ褪色
が小さく顕著な紫外線阻止効果が確かめられた。
これらの特性および効果は本実施例のZnO:Al層をZnO:
Si層に変えてもほぼ同様に得られた。
実施例3 厚さ2mmの透明ガラスを基板として、基板温度を200℃
とした以外は実施例1と同じ要領で第1層及び第2層で
あるZnO層およびZnO:Al層を形成した。続いてその上に
実施例1の第3層と同じスパッタ条件で、基板を100℃
以下に保持しながら第3層である50nmのSnO2層を形成し
た。
このものの光学特性は実施例2と略同じであったが、
本実施例によるものの方が、紫外線及び近赤外域での阻
止特性がさらに急峻であった。また窓ガラスへの実装試
験では、実施例2と同程度以上の効果が認められた。ま
た、SnO2層の成膜時にスパッタガス中に混入するO2分圧
を故意に1%以下に調整して第3層を形成した場合、膜
はやや黄色を帯びた。この膜はガラス面に立てた法線に
対して約30゜の角度以上から見た時の反射率が極めて高
く、実装試験では褪色が著しく防止できることがわかっ
た。これは高屈折材料であるSnO2膜で生じる可視光の吸
収が原因となって実現された効果であると考えられる。
以上の実施例は第2層がZnO:Alであったが、これをZn
O:Siに変えても全く同様の結果が得られた。
実施例4 実施例1から実施例3に示した可視光選択透過膜作成
過程において、第2層と第3層の間に各種有色薄膜の挿
入を行なった。この有色薄膜としてニッケル(Ni)、ア
ルミニウム(Al)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、スズ(S
n)、インジウム(In)、金(Au)、銀(Ag)、銅(C
u)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン
(W)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、セレン
(Se)、テルル(Te)、および炭素(C)等の単層膜や
多層膜もしくは合金膜を真空蒸着法もしくはスパッタ法
で成膜することによってフルカラーの有色薄膜を得るこ
とができた。これらの膜の多くは、機械的な強度をそこ
なわないために、50nm以下好ましくは20nm以下の膜厚と
した。なお、これらの膜をZnO膜上に形成する場合は、
基板温度を最適化することが必要であり、膜の化学的安
定性や、機械的強度を確保するためには多層膜が有効で
あった。
以上のようにして作成した有色薄膜挿入形可視光選択
透過膜では実施例1から実施例3に示した紫外線および
赤外線阻止特性をそこなうことなく、着色した可視光選
択透過膜が実現でき、著しい電磁波シールド効果が認め
られた。
[発明の効果] 以上の説明から明らかなように、本発明の可視光選択
透過膜は、紫外線遮断層として吸収端が可視光域に近い
ZnO,TiO2を第1層に選び、赤外線反射層として900nm付
近以上を殆ど反射するZnO:AlもしくはZnO:Siを第2層に
選び、最外層の第3層の化学的に安定でかつ硬度が高い
SnO2,TiO2を配したことにより、対環境耐久性が加味さ
れこれまでになく実用性に優れた膜となっており明かり
とりの窓の用途にとどまらず、電子ディスプレイデバイ
ス等の透明電極としても広く応用されうるものであり、
その用途はその他広範な方面に及ぶものである。さらに
赤外反射層と最外層の間に金属薄膜による着色層を挿入
することによって、多種多様な用途への応用を可能とし
た。特に本発明に係る可視光選択透過膜は必然的に高周
波電磁波シールド特性を備えているため、窓用としての
用途に最適である。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で得た可視光選択透過膜の光学特性を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−185903(JP,A) 特開 昭61−132902(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紫外線遮断のために、酸化亜鉛もしくは酸
    化チタンから選ばれた少なくとも一つの酸化物を有する
    第1層を設け、次に赤外線反射防止のために、アルミニ
    ウムもしくはシリコンを含有する酸化亜鉛を有する第2
    層を形成し、更に第2層の保護層として酸化錫を有する
    第3層を形成したことを特徴とする可視光選択透過膜。
  2. 【請求項2】第2層と第3層の間に厚さ5nmから50nmの
    有色薄膜層を挿入してなる請求項(1)に記載の可視光
    選択透過膜。
  3. 【請求項3】第2層におけるアルミニウムもしくはシリ
    コン含有量が亜鉛の原子数に対して0.5〜20原子%であ
    る請求項(1)もしくは(2)に記載の可視光選択透過
    膜。
  4. 【請求項4】第3層の厚さが10〜300nmである請求項
    (1)もしくは(2)に記載の可視光選択透過膜。
  5. 【請求項5】第1層、第2層、第3層の厚さがそれぞれ
    10〜300nm、100〜1000nm、10〜300nmである請求項
    (1)もしくは(2)に記載の可視光選択透過膜。
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JPS5166841A (ja) * 1974-08-16 1976-06-09 Massachusetts Inst Technology Tomeinanetsuhanshakyo
JPS61132902A (ja) * 1984-11-30 1986-06-20 Osaka Tokushu Gokin Kk 紫外線及び赤外線透過阻止用透明材料

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