JP2746524B2 - 硬化性ポリシラン組成物 - Google Patents

硬化性ポリシラン組成物

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JP2746524B2
JP2746524B2 JP5196009A JP19600993A JP2746524B2 JP 2746524 B2 JP2746524 B2 JP 2746524B2 JP 5196009 A JP5196009 A JP 5196009A JP 19600993 A JP19600993 A JP 19600993A JP 2746524 B2 JP2746524 B2 JP 2746524B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒドロシリル化反応を
用いて硬化させることにより、導電材料、非線形光学材
料などとして利用可能な硬化性ポリシラン組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】オルガノポリシランは、有機導電材料、
非線形光学材料、炭化ケイ素前駆体、フォトレジスト材
料などとして有用であることが知られている。通常、ポ
リシランをこれらの用途のために成形品や薄膜として利
用する場合は、鎖状ポリシランを有機溶媒に溶解し、成
形または薄膜化した後、溶媒を除去する方法が用いられ
ている(たとえば R. D. Miller, J. Michl, Chem, Re
v., 89, 1359(1989) )。
【0003】しかし、鎖状ポリシランを使用すること
は、機械的強度、基材との密着性および耐熱性の面から
不利である。これを改善するため、鎖状ポリシランと架
橋剤を有機溶媒に溶解させた溶液から成形品や薄膜を作
成し、それに光や熱を作用させて三次元架橋させる方法
が特表昭62−500795号公報に、また不飽和基を
有する鎖状ポリシランの有機溶媒溶液から薄膜を形成
し、それを光や熱によって三次元架橋させる方法が特開
平4−363327号公報に、それぞれ開示されてい
る。
【0004】一方、ケイ素原子に結合した水素原子を有
するポリシランと、アルケニル基を有する有機ポリマー
またはポリシロキサンとのヒドロシリル化反応による三
次元硬化ポリマーの製造方法が、特開平4−31172
8号公報に公開されている。
【0005】しかしながら、有機溶媒に溶解して成形ま
たは薄膜化することは、鎖状ポリシランの溶解性ととも
に、成形性および成膜性のコントロールのために、ポリ
シランの置換基の選択や分子量の制御が必要であり、か
つ有機溶媒を使用しなければならないといった欠点があ
った。たとえば、成膜性を追及すると、鎖状ポリシラン
は一般的に分子量が数万以上であることが望まれるもの
の、このような高分子量ポリシランの有機溶媒に対する
溶解度は必ずしも高いものではないことから、その溶解
には大量の有機溶媒を必要とし、当然、後で溶媒の除去
工程も必須になるので、経済的に不利であった。さら
に、有機溶媒の使用は、最近深刻な社会問題となってき
ている地球環境の破壊と生体への悪影響につながるもの
であり、可能なかぎり有機溶媒の使用を少なくすること
が、時代の要請である。
【0006】また、ケイ素原子に結合した水素原子を有
するポリシランと、アルケニル基を含有する有機化合物
またはポリシロキサンから三次元硬化によって得られた
硬化物では、硬化物中に占めるポリシランの含有量を高
めることは一般に困難であり、そのため、この硬化物
を、ポリシランの特異な性質を利用した有機導電材料、
非線形光学材料、炭化ケイ素前駆体、フォトレジスト材
料などとして利用するには限界があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、可能なか
ぎり溶媒を使用しないで、三次元状に架橋し、しかも工
業的に非常に有用な、ポリシラン含有量の高い硬化物を
得る組成物と、その硬化方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の分岐
状ポリシラン中にケイ素原子に結合して存在する脂肪族
性不飽和結合を含有する炭化水素基と、オルガノヒドリ
ドシランまたはポリオルガノヒドリドシランのSi−H
結合との間のヒドロシリル化反応により、ポリシランを
三次元的に架橋しうることを見出して、本発明を完成す
るに至った。
【0009】すなわち、本発明の硬化性ポリシラン組成
物は、 (A)1分子中に平均2個を越える数のヒドロカルビル
オキシ基を有するジシランの不均化反応で得られる、1
分子中に1価の脂肪族不飽和結合含有炭化水素基をp個
(ただし、pは平均2以上の数である)有する不飽和基
含有分岐状ポリシラン; (B)1分子中にケイ素原子に結合する水素原子をq個
(ただし、qは平均2以上の数であり、p+qは平均4
を越える)有するオルガノヒドリドシランおよび/また
はポリオルガノヒドリドシラン;ならびに (C)ヒドロシリル化触媒 を含むことを特徴とする。本発明の組成物の硬化方法
は、該組成物をヒドロシリル化反応により三次元架橋さ
せる硬化方法である。
【0010】本発明において用いられる(A)成分は、
1分子中に平均2個以上(p個)のアルケニル基、シク
ロアルケニル基、アルケニルアリール基および/または
アルキニル基のような1価の脂肪族不飽和結合含有炭化
水素基を有する不飽和基含有ポリシランであり、ケイ素
原子の残余の原子価は、1価の飽和脂肪族もしくは芳香
族の炭化水素基で満たされ、一部はヒドロカルビルオキ
シ基で満たされていてもよい。このようにして得られる
(A)成分のSi−Si分子骨格は分岐状であり、分子
中に環状構造を含んでいてもよい。
【0011】このような不飽和基含有分岐状ポリシラン
のうちのひとつの好ましい実施態様は、脂肪族性不飽和
結合を含有する1価の炭化水素基と、1分子中に平均2
個を越える数のヒドロカルビルオキシ基とがともにケイ
素原子に結合したジシランの不均化反応によって容易に
合成される、一般式(1)で示される分岐状ポリシラン
である。なお、以下の各式はブロック共重合体を意味す
るのでなく、各構成単位はランダムに存在し、任意の位
置を占めてよい。
【0012】
【化1】
【0013】式中、R1 は炭素数1から9の置換もしく
は非置換の1価の脂肪族飽和炭化水素基、または炭素数
6から12の置換もしくは非置換のアリール基を表し;
2は炭素数1から9の1価の脂肪族不飽和結合含有炭
化水素基を表し;R3 はたがいに同一または相異なる基
であって、炭素数1から9の置換もしくは非置換の1価
の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数6から12の置換もし
くは非置換のアリール基、R2 と同一の基、OR1 と同
一の基、またはR4 を表し、ただし、分子中、R3 のう
ち少なくとも1個はR4 であり;ここでR4 は一般式
(2)で示されるような1価のポリシラン残基を表し、
あるいは2個のR4 が一緒になって一般式(3)で示さ
れるような2価のポリシラン残基となり、分子中にSi
−Si環状構造を形成してもよく;R5 はたがいに同一
または相異なる基であって、炭素数1から9の置換もし
くは非置換の1価の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数6か
ら12の置換もしくは非置換のアリール基、R2 と同一
の基、またはOR1 と同一の基を表し、あるいは一般式
(3)で示される2価のポリシラン残基の一部であっ
て、分子中にSi−Si環状構造を形成してもよく;R
6 はたがいに同一または相異なる基であって、炭素数1
から9の置換もしくは非置換の1価の脂肪族飽和炭化水
素基、炭素数6から12の置換もしくは非置換のアリー
ル基、R2 と同一の基、またはOR1 と同一の基を表
し;nおよびmは、n+mの平均値が後述の(A)成分
の分子量の好ましい範囲を満足させる数であり;r、
s、t、uはそれぞれ0または1以上の整数であって、
分岐および/または環状構造が存在するとき、r+s≧
1および/またはt+u≧2を満足させ;そしてn+r
+t≧2である。
【0014】
【化2】
【0015】R1 、R3 、R5 およびR6 のうち、炭素
数1から9の置換もしくは非置換の1価の脂肪族飽和炭
化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ヘキシル、オクチルのような鎖状もしくは分岐状の
アルキル基;シクロヘキシルのようなシクロアルキル
基;ベンジル、フェニルエチルのようなアラルキル基;
クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルの
ような置換アルキル基が挙げられ、合成が容易なことか
ら、R1 としてはメチル、エチル、イソプロピルのよう
な低級アルキル基が;R3 、R5 およびR6 としてはメ
チル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルのようなア
ルキル基が好ましい。R1 、R3 、R5 およびR6 のう
ち、炭素数6から12の置換もしくは非置換のアリール
基としては、フェニル、トリル、メシチルのようなアリ
ール基およびクロロフェニルのような置換アリール基が
挙げられ、合成が容易なことからフェニル基が好まし
い。R3、R5 およびR6 として、使用目的によって
は、他の基を任意に選択してもよい。
【0016】R2 の炭素数1から9の1価の脂肪族不飽
和結合含有炭化水素基としては、ビニル、アリル、3−
ブテニル、6−ヘキセニルのようなアルケニル基;シク
ロペンテニル、シクロヘキサニルのようなシクロアルケ
ニル基;ビニルフェニルのようなアルケニルアリール
基;およびエチニル、プロピニルのようなアルキニル基
が挙げられ、合成が容易なことからアルケニル基が好ま
しい。
【0017】このような不飽和基含有分岐状ポリシラン
は、たとえば1分子中に平均2個を越える数のアルコキ
シ基を有するアルコキシジシランの不均化反応で合成す
ることが可能である。一例として、1,2−ジビニル−
1−メチル−1,2,2−トリエトキシジシランをナト
リウムエチラート触媒で不均化反応させれば、式(4)
のような化合物が得られ、本発明の硬化性ポリシラン組
成物の原料として利用できる。
【0018】
【化3】
【0019】式中、Meはメチル基、Etはエチル基、
Viはビニル基をそれぞれ表し;a、bおよびcはそれ
ぞれ任意の0または1以上の整数であり(ただしa+b
+c≧2);c単位のオープンした結合は式(4)と同
様に示されるポリシラン残基またはエトキシ基と結合し
ている。
【0020】不飽和基含有分岐状ポリシランを合成する
別の好ましい実施態様は、1,2−ジメチル−1,1,
2,2−テトラエトキシジシランのような、1分子中に
平均2個を越える数のアルコキシ基を有し、入手容易な
アルコキシジシランをナトリウムエチラート触媒で不均
化反応させて、メチル基およびエトキシ基を有する分岐
状ポリシランを合成し、ついでエトキシ基に対して、ア
ルケニル基やアルキニル基のような1価の脂肪族不飽和
結合含有炭化水素基を分子中に含有するグリニヤール試
薬などの有機金属試薬を反応させて得る方法である。
【0021】(A)成分として用いられるポリシランの
平均分子量は、ケイ素原子に結合した置換基によっても
異なるが、およそ500〜100,000の範囲であ
る。
【0022】本発明において用いられる(B)成分は、
(A)成分中のR2 とのヒドロシリル化反応によって網
状の硬化ポリシランを形成するもので、1分子中にケイ
素原子に結合する水素原子を平均2個以上(q個)有す
るオルガノヒドリドシランまたはポリオルガノヒドリド
シランである。このようなシランまたはポリシランの好
ましい例として、たとえば一般式(5)で示されるオル
ガノヒドリドシランまたはポリオルガノヒドリドシラン
が挙げられる。後者の場合、そのSi−Si分子骨格は
直鎖状でも分岐状でもよく、分子中に環状構造を含んで
いてもよい。
【0023】
【化4】
【0024】式中、R7 は炭素数1から9の置換もしく
は非置換の1価の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数6から
12の置換もしくは非置換のアリール基、または水素原
子を表し;R8 は炭素数1から9の置換もしくは非置換
の1価の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数6から12の置
換もしくは非置換のアリール基、トリアルキルシリル基
またはR9 を表し;ここでR9 は一般式(6)で示され
るような1価のポリシランの残基を表し、あるいは2個
のR9 が一緒になって一般式(7)で示されるような2
価のポリシラン残基となり、分子中にSi−Si環状構
造を形成してもよく;R10は炭素数1から9の置換もし
くは非置換の1価の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数6か
ら12の置換もしくは非置換のアリール基、またはトリ
アルキルシリル基を表し、あるいは一般式(7)で示さ
れる2価のポリシラン残基の一部であって、分子中にS
i−Si環状構造を形成してもよく;R11は炭素数1か
ら9の置換もしくは非置換の1価の脂肪族飽和炭化水素
基、炭素数6から12の置換もしくは非置換のアリール
基、またはトリアルキルシリル基を表し;d、e、f、
g、hおよびjはそれぞれ0または1以上の整数であっ
て、d+e≧1であり、分岐および/または環状構造が
存在するとき、f+g≧1および/またはh+j≧2を
満足させる。炭素数1から9の置換もしくは非置換の1
価の脂肪族炭化水素基、および炭素数6から12の置換
もしくは非置換のアリール基としては、前述の(A)成
分について例示したものと同様のものが例示され、合成
が容易なことから、メチル基およびフェニル基が好まし
い。
【0025】
【化5】
【0026】このような(B)成分の具体例として、フ
ェニルシランやジフェニルシランのようなオルガノヒド
リドシラン;またはこれをチタン、ジルコニウム、ハフ
ニウムなどの錯体を触媒として用い、脱水素縮合させて
得られるポリオルガノヒドリドシランなどを挙げること
ができる。分子中にケイ素−ケイ素結合が存在して、よ
りケイ素−ケイ素結合密度の高い硬化生成物を与えるこ
とから、(B)成分はポリオルガノヒドリドシランであ
ることが好ましい。
【0027】なお、硬化した成形品や薄膜を、光学的、
電気的性質が特異なポリシラン硬化物として十分に利用
できるためには、(A)成分または(B)成分のいずれ
かは、ケイ素原子が平均4個以上連なるポリシランであ
ることが好ましい。
【0028】(A)成分を(B)成分によってヒドロシ
リル化して、三次元架橋構造を形成することにより、硬
化ポリマーを得るためには、前述のように、(A)成分
中の1価の脂肪族不飽和結合含有炭化水素基の数pは平
均2以上であり、(B)成分中のケイ素原子に結合する
水素原子の数qも平均2以上であることが必要であり、
さらに、p+qは4を越えていなければならない。
【0029】(A)成分と(B)成分の配合割合は特に
限定されず、ケイ素原子に結合した置換基の種類と数を
考慮して、求めるポリシラン硬化物の物性との関係で選
択すれば問題ない。しかしながら、硬化物の保存安定性
のためには、反応性の高いアルケニル基やアルキニル基
のような脂肪族不飽和結合含有炭化水素基、またはヒド
ロシリル基が大量に硬化物中に残るような組成は好まし
くない。たとえば、ケイ素原子に結合した水素原子の数
が、1個の脂肪族不飽和結合含有炭化水素基に対して、
好ましくは0.2〜5個、さらに好ましくは0.8〜
1.2個になるように、(A)成分と(B)成分を用い
る。
【0030】本発明で用いられる(C)成分は、(A)
成分と(B)成分をヒドロシリル化反応により三次元架
橋させるために必要な、遷移金属錯体やラジカル開始剤
のようなヒドロシリル化触媒である。このようなヒドロ
シリル化触媒として、塩化白金酸もしくはこれをアルコ
ールに溶解させた溶液、白金−オレフィン錯体、白金−
ビニルシロキサン錯体などの白金錯体、白金黒、白金を
担体に担持させたものなどのような白金触媒;クロロト
リス(トリフェニルホスフィン)ロジウムのようなロジ
ウム触媒;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニ
ッケルのようなニッケル触媒;ジコバルトオクタカルボ
ニルのようなコバルト触媒などが挙げられる。ラジカル
開始剤としては、ベンゾイルペルオキシド、2,3−ジ
メチルベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイル
ペルオキシドのようなアシル系有機過酸化物;ジ−tert
−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシドのような
アルキル系有機過酸化物;tert−ブチルペルベンゾエー
トのようなエステル系有機過酸化物が挙げられる。
【0031】これらのヒドロシリル化触媒のうち、触媒
活性が高いことから、白金錯体が特に好ましい。
【0032】(C)成分は、有効成分のモル当量とし
て、(A)成分中の脂肪族不飽和結合含有炭化水素基に
対して、0.001−10 mol%の範囲で配合すること
ができる。0.001 mol%未満では反応が遅くなり、
10 mol%を越えて配合してもそれに見合う反応性の向
上は期待できず、経済的に不利である。
【0033】本発明において、溶媒は一般に使用しても
しなくてもよいが、(A)成分に対して(B)成分およ
び/または(C)成分が互いに溶解しないときには、こ
れらを均一に混合するために溶媒を共存させることが好
ましい。このような溶媒として、たとえばトルエン、キ
シレン、ヘキサン、ミネラルスピリット、テトラヒドロ
フラン(以下、THFという)、ジエチレングリコール
ジメチルエーテル、クロロホルムなどの有機溶媒が挙げ
られる。
【0034】ヒドロシリル化反応は、通常、0〜200
℃の範囲で実施される。また通常、常圧下で実施される
が、必要に応じて減圧または加圧の状態でも実施でき
る。
【0035】反応時間は反応温度によって異なるが、通
常、5分から12時間の範囲である。
【0036】本発明のポリシラン組成物は、取扱いが容
易なことから、液状であることが好ましいが、用途によ
っては固体でもよい。硬化によって、ポリシラン鎖がシ
ルアルキレン結合のような炭素鎖によって架橋した三次
元網状構造を有する固体の有機ケイ素ポリマーが得られ
る。
【0037】
【発明の効果】本発明の硬化性ポリシラン組成物は、ヒ
ドロシリル化反応によって架橋が進行し、ポリシラン鎖
がシルアルアルキレン結合のような炭素原子を含む架橋
鎖によって架橋した三次元網状ポリマーを形成する。し
たがって、このような硬化反応を経て形成された成形品
や薄膜は、機械的強度、基材との密着性、耐溶剤性およ
び耐熱性に優れている。さらにポリマー中のポリシラン
の含有量が高いので、ポリシランに特有な光学的、電子
的性質を備えている。
【0038】さらに、ポリシランの良好な溶解性、成形
性、成膜性を得るためにこれまでは必要であった置換基
の選択や分子量の制御が重要でなくなり、成形品や薄膜
の作成が非常に容易になる。たとえば、今まで成形性、
成膜性の点で問題があった分子量の比較的小さなポリシ
ランを用いても、有用な硬化物が得られるようになる。
さらに有機溶媒の使用量を限界まで低減することが可能
となり、地球環境の悪化の抑制に貢献する。
【0039】このような利点を生かして、本発明の硬化
性ポリシラン組成物を硬化させて、有機導電材料、非線
形光学材料、炭化ケイ素前駆体、フォトレジスト材料な
どとして利用できるので、その工業的価値は大きい。
【0040】
【実施例】以下の合成例、実施例および比較例によっ
て、本発明をさらに詳しく説明する。これらの例におい
て、部はすべて重量部を示す。本発明は、これらの実施
例によって制限されるものではない。さらに、実験例に
おいて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによ
り、本発明の硬化方法による分子量の増加の経過を示
す。
【0041】合成例1 1,2−ジビニル−1,2−ジメチル−1,2−ジエト
キシジシラン60モル%と1−ビニル−1,2−ジメチ
ル−1,2,2−トリエトキシジシラン40モル%との
混合物50部に、ナトリウムエチラート1部を加え、1
00℃で10時間不均化反応させた後、ナトリウムエチ
ラートをろ別し、低沸点分を留去することにより、淡黄
色透明液状の、ポリスチレン換算重量平均分子量2,1
00(Mw/Mn =2.0)、ビニル基当量210( 1HN
MRの積分比から)を有するビニル基含有ポリシラン1
6部を得た。
【0042】合成例2 1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラエトキシジ
シラン50部と1,1,2−トリメチル−1,2,2−
トリエトキシジシラン50部との混合物に、ナトリウム
エチラート2部を加え、100℃で10時間不均化反応
させた後、ナトリウムエチラートをろ別し、低沸点分を
留去することにより、ポリスチレン換算重量平均分子量
4,300(Mw/Mn =1.5)、メチル基とエトキシ基
の個数比10:1( 1HNMRの積分比から)のポリシ
ランが21部得られた。エトキシ基当量は419と見積
られる。これを無水THF400部に溶解し、1M臭化
ビニルマグネシウム・THF溶液100部と、67℃で
5時間反応させた。反応混合物に飽和塩化アンモニウム
水溶液を加えて、未反応の臭化ビニルマグネシウムを消
費させ、続いてエーテル抽出と濃縮によって、非常に粘
稠な油状の、ポリスチレン換算重量平均分子量4,30
0(Mw/Mn =1.6)、ビニル基当量820( 1HNM
R積分比から)を有するビニル基含有ポリシラン21部
を得た。
【0043】合成例3 フェニルシラン20部にジメチルチタノセン1部を加
え、60℃に3時間加熱した。シリカゲルカラムで触媒
を除き、低沸点化合物を留去すると、淡黄色固体の、ポ
リスチレン換算重量平均分子量530(Mw/Mn =1.
2)、ヒドリド基当量180( 1HNMRの積分比か
ら)を有するポリオルガノヒドリドシラン12部を得
た。
【0044】実施例1 合成例1で合成したビニル基含有ポリシラン100部
と、合成例3で合成したポリオルガノヒドリドシラン8
6部をガラス製サンプル管に仕込み、さらに1%塩化白
金酸イソプロピルアルコール溶液1部を加えて混合しよ
うとしたが、完全には混合しないので、さらに無水トル
エン10部を加えて混合した。この混合物を80℃の恒
温槽に入れて3時間放置したところ、淡黄色透明の硬化
物に変化した。このものの一部をスパチュラで削り取
り、トルエン、THF、クロロホルムに溶解するか否か
を調べたところ、いずれの溶媒にも溶解せず、完全に硬
化していることが示された。赤外線吸収スペクトルを測
定しても、もはやSi−H結合基に帰属される2100
cm-1付近の吸収は観測されなかった。赤外線吸収スペク
トルチャートを図1に示す。特性吸収とその帰属は次の
とおりであった。 IR(cm-1) :2970(C−H), 2897 (C−H),12
60(Si−Me),1080(SiOC),800 (SiO
C)
【0045】実施例2 実施例1で調製した組成物を、スピナーによってシリコ
ンウエハ上に塗布して、室温で2時間放置し、さらに1
00℃の恒温槽で1時間加熱した。これにより硬化が進
行し、膜厚1.2μm のポリシラン硬化膜が得られた。
この硬化膜の硬度を鉛筆で調べると、Hの鉛筆でこすっ
ても傷がつかなかった。また、トルエン、THF、クロ
ロホルムをそれぞれ含む布でこすっても硬化膜が剥げる
ことがなく、完全に硬化していることが示された。さら
にこの硬化膜についてゴバン目試験(基板状の薄膜を1
0×10のマス目に区切り、その上にセロハンテープを
粘着させて一定の力で剥離する試験)を行うと、剥離が
まったく観測されず、基板との良好な密着性が示され
た。
【0046】なお、100℃の恒温槽に入れる前には、
指で触れても上記の塗布膜は剥げた。このことから、上
記のポリシラン組成物は、加熱によって初めて完全に硬
化して、堅牢な硬化膜を与えることが明らかとなった。
【0047】実施例3 合成例1で合成したビニル基含有ポリシラン100部
と、フェニルシラン18部をガラス製サンプル管に仕込
み、さらに1%塩化白金酸イソプロピルアルコール溶液
1部を加えて混合した。この混合物を80℃の恒温槽に
入れて2時間放置したところ、淡褐色の硬化物に変化し
た。このものの一部をスパチュラで削り取り、トルエ
ン、THF、クロロホルムに溶解するか調べたところ、
いずれの溶媒にも溶解せず、完全に硬化していることが
示された。赤外線吸収スペクトルを測定しても、もはや
Si−H結合に帰属される2100cm-1付近の吸収は観
測されなかった。赤外線吸収スペクトルチャートを図2
に示す。
【0048】実施例4 実施例3で調製した組成物を、スピナーによってシリコ
ンウエハ上に塗布して、室温で2時間放置し、さらに1
00℃の恒温槽で1時間加熱した。これにより硬化が進
行し、膜厚1.4μm のポリシラン硬化膜が得られた。
この硬化膜の硬度を鉛筆で調べると、Hの鉛筆でこすっ
ても傷がつかなかった。また、トルエン、THF、クロ
ロホルムをそれぞれ含む布でこすっても硬化膜が剥げる
ことがなく、完全に硬化していることが示された。さら
にこの硬化膜についてゴバン目試験を行うと、剥離がま
ったく観測されず、基板との良好な密着性が示された。
【0049】なお、100℃の恒温槽に入れる前には、
指で触れても上記の塗布膜は剥げた。このことから、上
記のポリシラン組成物は、加熱によって初めて完全に硬
化して、堅牢な硬化膜を与えることが明らかとなった。
【0050】実施例5 合成例2で合成したビニル基含有ポリシラン100部
と、合成例3で合成したポリオルガノヒドリドシラン2
2部をガラス製サンプル管に仕込み、さらに1%塩化白
金酸イソプロピルアルコール溶液1部を加えて混合しよ
うとしたが、完全には混合しないので、さらに無水トル
エン10部を加えて混合した。この混合物を80℃の恒
温槽に入れて3時間放置したところ、淡黄色透明の硬化
物に変化した。このものの一部をスパチュラで削り取
り、トルエン、THF、クロロホルムに溶解するか否か
を調べたところ、いずれの溶媒にも溶解せず、完全に硬
化していることが示された。赤外線吸収スペクトルを測
定しても、もはやSi−H結合に帰属される2100cm
-1付近の吸収は観測されなかった。
【0051】実施例6 実施例5で調製した組成物を、スピナーによってシリコ
ンウエハ上に塗布して、室温で2時間放置し、さらに1
00℃の恒温槽で1時間加熱した。これにより硬化が進
行し、膜厚1.0μm のポリシラン硬化膜が得られた。
この硬化膜の硬度を鉛筆で調べると、Hの鉛筆でこすっ
ても傷がつかなかった。また、トルエン、THF、クロ
ロホルムをそれぞれ含む布でこすっても硬化膜が剥げる
ことがなく、完全に硬化していることが示された。さら
にこの硬化膜についてゴバン目試験を行うと、剥離がま
ったく観測されず、基板との良好な密着性が示された。
【0052】なお、100℃の恒温槽に入れる前には、
指で触れても上記の塗布膜は剥げた。このことから、上
記のポリシラン組成物は、加熱によって初めて完全に硬
化して、堅牢な硬化膜を与えることが明らかとなった。
【0053】実験例1 合成例1で合成したビニル基含有ポリシラン100部
と、合成例3で合成したポリオルガノヒドリドシラン8
6部とを、還流管をつけたフラスコに仕込み、さらに無
水トルエン300部と1%塩化白金酸イソプロピルアル
コール溶液1部とを混合して、トルエンが還流するよう
に加熱攪拌を行った。原料として用いたビニル基含有ポ
リシラン、ならびに加熱4時間後および10時間後にフ
ラスコから採取したサンプルを、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィーにかけて、分子量分布の変化を追跡
した。その結果、図3に示すように、重量平均分子量が
11,000(Mw/Mn =3.7)、54,000(Mw/M
n =1.3)および84,000(Mw/Mn =2.5)と
増加することが確認された。反応開始10時間後に反応
を止め、トルエンを留去したところ、白色固体状のポリ
シランが得られた。
【0054】比較例1 メチルシクロヘキシルジクロロシランをナトリウム金属
と脱塩化ナトリウム反応させることによって得たポリメ
チルシクロヘキシルシラン(ポリスチレン換算重量平均
分子量23,000(Mw/Mn =1.8)1部をトルエン
20部に溶解し、溶解しない部分はろ別した。この溶液
をスピナーによってシリコンウエハ上に塗布して、室温
で2時間放置し、さらに100℃の恒温槽で1時間加熱
したところ、膜厚0.7μm のポリシラン膜が得られ
た。この膜の硬度を鉛筆で調べると、4Bの鉛筆でこす
っても傷がつき、強度に劣ることが示された。またトル
エン、THF、クロロホルムをそれぞれ含ませた布でこ
すると、いずれも膜が容易に剥離し、膜の耐溶媒性また
は基材との密着性に難があることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1による硬化物の赤外線吸収スペクトル
である。
【図2】実施例3による硬化物の赤外線吸収スペクトル
である。
【図3】実験例1のゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーによるポリスチレン換算重量平均分子量のチャー
トである。
【符号の説明】
1 原料として用いたビニル基含有ポリシラン 2 反応開始4時間後の架橋ポリシラン 3 反応開始10時間後の架橋ポリシラン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−85719(JP,A) 特開 平4−311728(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 83/16 C08K 5/54 C08G 77/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)1分子中に平均2個を越える数の
    ヒドロカルビルオキシ基を有するジシランの不均化反応
    で得られる、1分子中に1価の脂肪族不飽和結合含有炭
    化水素基をp個(ただし、pは平均2以上の数である)
    有する不飽和基含有分岐状ポリシラン; (B)1分子中にケイ素原子に結合する水素原子をq個
    (ただし、qは平均2以上の数であり、p+qは平均4
    を越える)有するオルガノヒドリドシランおよび/また
    はポリオルガノヒドリドシラン;ならびに (C)ヒドロシリル化触媒 を含むことを特徴とする硬化性ポリシラン組成物。
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