JP2744646B2 - ポリエステル系繊維 - Google Patents

ポリエステル系繊維

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JP2744646B2
JP2744646B2 JP1155515A JP15551589A JP2744646B2 JP 2744646 B2 JP2744646 B2 JP 2744646B2 JP 1155515 A JP1155515 A JP 1155515A JP 15551589 A JP15551589 A JP 15551589A JP 2744646 B2 JP2744646 B2 JP 2744646B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は熱可塑性ポリエステル中に高いガラス転移温
度を有する熱可塑性ポリアミドが不均一に分散した組成
物で形成された,表面に微細な突起を有し独特な風合を
有するポリエステル系繊維に関するものである。
(従来の技術) ポリエステル繊維は合成繊維特有のワキシー感やぬめ
り感を有し,シャリ感に欠けるという欠点を有してい
る。従来,この欠点を解消してポリエステル繊維に天然
繊維様の風合を与えようとする試みが種々なされてい
る。
例えば,特開昭56−131663号公報には,ポリエチレン
テレフタレートにポリスルホンのようなガラス転移温度
の高い重合体を分散させた表面に微細な半球状の突起を
有する繊維が提案されている。しかし,本発明者らが検
討したところによれば,この繊維は溶融紡糸性があまり
良好ではなく,糸切れや毛羽が発生し易いという問題が
あった。
また,本発明者らは先にポリエチレンテレフタレート
中にポリアリレートを不均一に分散させた表面に微細な
突起を有する繊維を提案した(特開昭61−245309号)。
しかし,この繊維は両成分ともポリエステルであるた
め,溶融混合紡糸時に起こるエステル交換反応を完全に
防止することが難しく,均一な組成物となりやすく,微
細な突起が形成され難かったり,コントロールが困難で
あるといった問題があった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は,上記のような問題を解決し,操業性良く製
造することができる表面に微細な突起を有して独特な風
合を有するポリエステル系繊維を提供しようとするもの
である。
(問題点を解決するための手段) 本発明者は,上記の課題を解決するために鋭意検討の
結果,熱可塑性ポリエステル中に高いガラス転移温度を
有する熱可塑性ポリアミドを分散させることが有効であ
ることを見出し,本発明に到達した。
すなわち,本発明は,熱可塑性ポリエステルAを海成
分とし,Aより高いガラス転移温度を有する熱可塑性ポリ
アミドBを島成分とする組成物で形成されており,繊維
表面にBを核とする微細な突起を有することを特徴とす
るポリエステル系繊維を要旨とするものである。
本発明における熱可塑性ポリエステルAとしては,ポ
リエチレンテレフタレート(Tg70℃),ポリブチレンテ
レフタレート(Tg50℃),ポリエチレン2,6−ナフタレ
ート(Tg120℃),ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチ
レンテレフタレート(Tg95℃),ポリ−p−エチレンオ
キシベンゾエート及びこれらを主体とするポリエステル
等が挙げられる。
ここで,Tgはガラス転移温度を示し,DSC法で測定され
る値である。
また,熱可塑性ポリアミドBとしては,5−t−ブチル
イソフタル酸,1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダ
ン−3′,5−ジカルボン酸,3−アミノメチル−3,5,5−
トリメチル−シクロヘキサン,1,3−ジアミノシクロヘキ
サン,m−キシリレンジアミン,1,3−ビス(アミノメチ
ル)シクロヘキサン,2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレ
ンジアミン,ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタ
ン,ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メ
タン等を共重合成分とするポリアミドが好適である。こ
れらの成分を共重合するベースとなるポリアミドは,エ
チレンジアミン,テトラメチレンジアミン,ヘキサメチ
レンジアミン,フェニレンジアミン等のジアミン成分,
アジピン酸,セバシン酸,シクロヘキサンジカルボン
酸,イソフタル酸,テレフタル酸,ナフタレンジカルボ
ン酸等のジカルボン酸成分,ε−アミノカプロン酸及び
そのラクタム,ω−アミノドデカン酸及びそのラクタ
ム,アミノ安息香酸等のアミノ酸成分とを適宜組み合わ
せて得られるものである。
本発明において,ポリアミドBはポリエステルAより
も高いガラス転移温度を有するものであることが必要で
ある。ポリアミドBのガラス転移温度がポリエステルA
のそれよも高くないと,溶融紡糸時あるいは延伸時にポ
リアミドBがポリエステルA中にすじ状に分散してしま
い,繊維表面に突起が形成されない。
ポリアミドBとポリエステルAのガラス転移温度差20
℃以上,好ましくは30℃以上となるようにするのが適当
である。ポリアミドBのガラス転移温度が高いほど繊維
表面に突起を形成する効果は大きいが,あまり高いもの
は重縮合及び溶融紡糸が困難であり,200℃以下のものが
好ましい。
本発明においては,ポリアミドBが島成分となってポ
リエステルA中に分散されていることが必要で,ポリア
ミドBが数十ミリミクロン以上のオーダーの大きさで球
状に分散しているものが繊維表面に適度の突起を形成す
る点で好ましい。
このような分散状態の混合物を得るには,ポリエステ
ルAとポリアミドBとの動的混合器又は静的混合器を用
いて溶融混合すればよい。
ポリアミドBの配合量は,2〜25重量%,好ましくは3
〜20重量%とするのが適当である。
本発明の繊維を得る製糸方法としては,(1)ポリエ
ステルAとポリアミドBとを溶融混合して得られた組成
物を溶融紡糸して未延伸糸を得,ポリアミドBのガラス
転移温度よりも低く,ポリエステルAのガラス転移温度
よりも高い温度で延伸する方法,(2)前記組成物を50
00m/分以上程度の高速度で溶融紡糸して一挙に高配向繊
維を得る方法が採用される。
このような方法により製糸すると,ポリアミドBの部
分は伸びにくいため,繊維表面に突起が形成されるので
ある。
突起の大きさ,形状,数等は,ポリエステルAとポリ
アミドBとの混合比率,混合条件(温度,時間,混合器
の構造,混合時の剪断力等),ポリエステルAとポリア
ミドBとのガラス転移温度の差,溶融紡糸時の紡糸速
度,冷却条件,延伸時の温度,倍率,繊維の太さ,断面
形状等により適宜調節される。繊維表面の突起は,高
さ,繊維軸方向及び繊維軸に直角の方向の大きさが数百
ミリミクロンから数ミクロンのオーダーで,繊維長1cm
当たり数十個以上存在することが望ましい。
また,混合温度あるいは紡糸温度は,230〜330℃,好
ましくは240〜320℃とするのが適当である。
なお,本発明の繊維には,上記組成物のみからなる繊
維だけでなく,他の重合体成分とバイメタル状,さや芯
状等の形態で複合された繊維も含まれるものである。ま
た,難燃剤,耐熱剤,耐光剤,つや消剤,着色剤,制電
剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
(実施例) 以下,実施例をあげて本発明を具体的に説明する。
実施例 イソフタル酸45モル部,テレフタル酸5モル部,ヘキ
サメチレンジアミン45モル部,ビス(3−メチル−4−
アミノシクロヘキシル)メタン5モル部及び酢酸0.015
モル部の割合の原料10kgを8kgの純水と共に反応槽に仕
込み,窒素で数回反応槽内の空気をパージした。撹拌し
ながら,温度を90℃まで上昇させて約5時間反応させた
後,加圧下に温度を10時間かけて280℃まで徐々に上昇
させながら反応させた。次いで,放圧して大気圧まで圧
力を下げた後,さらに280℃で6時間重縮合反応を行っ
た。反応終了後,重合体を払出し,切断してベレットを
得た。
得られた重合体は,相対粘度(m−クレゾールを溶媒
として,濃度1g/dl,温度20℃で測定)が1.50で,ガラス
転移温度が150℃のポリアミドであった。
固有粘度(フェノールとテトラクロルエタンとの等重
量混合物を溶媒として,温度20℃で測定)が0.8のポリ
エチレンテレフタレートペレット(PET)と上記ポリア
ミドペレット(PA)とを用いて繊維を製造した。
PETとPAとを第1表に示す割合で,2軸スクリュー式溶
融混合装置に供給し,280℃で5分間溶融混合した後,285
℃で溶融紡糸し,4000m/分の速度で未延伸糸を巻き取っ
た。次いで,この未延伸糸を90℃で,1.6倍に延伸し,75d
/16fの延伸糸を得た。
得らてた延伸糸は,強度3.2〜3.7g/d,伸度28〜31%で
あり,製糸時に糸切れは起こらず,毛羽発生もわかずか
であった(第1表参照)。
得られた延伸糸について電子顕微鏡で表面を観察した
ところ,いずれも繊維表面にミクロンオーダーの微細な
突起が多数観察された。
また,上記延伸糸を用い,経110本/2.54cm,緯100本/
2.54cmの織密度でタフタを製織し,手ざわり(風合)を
調べたところ,いずれもシャリ感のある風合を有してい
た。
(発明の効果) 本発明によれば,表面に微細な突起を有して独特な風
合を有するポリエステル系繊維を操業性良く製造するこ
とができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性ポリエステルAを海成分とし,Aよ
    り高いガラス転移温度を有する熱可塑性ポリアミドBを
    島成分とする組成物で形成されており,繊維表面にBを
    核とする微細な突起を有することを特徴とするポリエス
    テル系繊維。
JP1155515A 1989-06-16 1989-06-16 ポリエステル系繊維 Expired - Lifetime JP2744646B2 (ja)

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JPS61245309A (ja) * 1985-04-17 1986-10-31 Unitika Ltd ポリエステル系繊維とその製造法
JPS62209166A (ja) * 1986-03-11 1987-09-14 Mitsui Petrochem Ind Ltd ポリアミド組成物

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