JP2743197B2 - ラミネート方法 - Google Patents

ラミネート方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はフィルム等をラミネートする方法に関し、特
にフィルム等を気泡の混入なしにラミネートする方法に
関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
従来、フィルム同士をラミネートする場合、少なくと
も一方のフィルムに、あらかじめラミネートに必要な量
のインキを塗布し、ニップロール等のロールのギャップ
部でフィルムを圧着していた。
しかしながら、この方法では、コートしたインキの面
が不均一な場合や、インキを厚膜にしてラミネートする
場合等に、インキ層に気泡が混入しやすいという問題が
ある。
インキ層に空気が混入すると、十分な性能がでないば
かりか、外観不良、ふくれ(ブリスター)等の原因とな
ったり、またラミネート後インキを硬化させる際に、空
気が反応阻害剤として働き、インキの硬化が不十分であ
る等の問題が生ずる。
従って、本発明の目的は、気泡等の混入のないラミネ
ート方法を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明らは、少なく
とも一方にラミネートに必要な量より多い量のインキを
塗布した一対のフィルムを圧着する際に、その押圧力で
余分なインキを押し出すことにより、インキの溜りを形
成すれば、気泡等の混入を防止できることを見出し、本
発明に想到した。
すなわち、本発明のラミネート方法は、少なくとも一
方に粘度が50,000センチポイズ以下のインキを塗布した
一対のフィルムを一対のニップロールにより圧着してラ
ミネートするもので、前記インキの量をラミネートに必
要な量より多い量に調整し、前記一対のフィルムを前記
一対のニップロールのギャップ部に上向き又は下向きに
送給し、前記ニップロールの下部又は上部のギャップ部
入口で、前記フィルムを圧着する際の押圧力により前記
インキの余分な量を押し出し、もって前記ギャップ部入
口にインキの溜りを形成することにより空気の混入を防
止することを特徴とする。
〔実施例及び作用〕
第1図は本発明の一実施例によるラミネート方法を示
す概略図である。
第1図の装置は、一対のニップロール1及び2と、コ
ーティングロール3と、インキ4の入った塗料ザラ5と
を有する。
このような装置において、一方のフィルム、例えば基
材フィルム6は、ニップロール1とコーティングロール
3との間を通って、ニップロール1と2の間のギャップ
部に送給される。この際コーティングロール3の表面
は、塗料ザラ5中のインキ4で被覆されているので、基
材フィルム6は、前記インキ4が塗布された後、ニップ
ロール1及び2のギャップ部の入口に至ることになる。
ここで、コーティングロール3による基材フィルム6
へのインキ4の塗布量が、ラミネートに必要なインキの
量より多くなるように、コーティングロール3とニップ
ロール1とのギャップを調整する。
一方、他方のフィルム、例えばラミネート用フィルム
7は、ニップロール2の側からギャップ部の入口に送給
される。
ギャップ部の入口に送給された基材フィルム6とラミ
ネート用フィルム7は、ニップロール1、2により押圧
されて、ラミネートされる。その際、ラミネートに必要
な量より多い量のインキが塗布されているので、押圧力
により余分なインキはギャップ部の入口に押し出され、
そこにインキ溜り8が形成される。
このようにインキ溜り8を形成することにより、ラミ
ネート時に、基材フィルム6とラミネート用フィルム7
との接触面はインキに完全に覆われる。このため、両フ
ィルムのラミネートを空気と接触することなく行うこと
ができ、インキ層への空気の混入を防止することができ
る。
なお本実施例においては、インキ溜り8はロールギャ
ップ部の下側に設けられているので、インキ溜り8のイ
ンキは、ある程度溜まると、第1図中に破線の矢印で示
したように、滴下し、フィルム上にインキの液ダレが生
じない。さらに、本実施例のごとく塗料ザラ5でこれを
受ける等、過剰のインキを回収して再利用すれば、経済
性も良好である。
また、インキの塗布量の調節は、基材フィルム6とラ
ミネート用フィルム7の厚さ及び使用するインキに応じ
て、所望のインキ層の厚さとなるように、ニップロール
1及び2のギャップを設定することにより行えばよい。
上述のようにして基材フィルム6とラミネート用フィ
ルム7とをラミネートした後、乾燥装置や紫外線及び電
子線等の硬化手段等によりインキを硬化し、ラミネート
フィルムを得ることができる。
上述したような本発明のラミネート方法で使用しうる
基材フィルム6としては、インキ層を支持するに十分な
機械的強度を有するものであれば特に限定されず、用途
に応じ種々の素材のものを使用することができる。具体
的にはポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナ
イロン等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリ
ルレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどの合成樹
脂のフィルム、シート、合成紙、天然紙等が挙げられ
る。
これらのフィルム等は、そのままあるいはエンボス、
マット等の表面加工を施して使用することができる。
また、ラミネート用フィルム7も特に限定されず、上
記基材フィルム6と同様の素材を用いることができる。
また本発明において使用するインキは特に限定され
ず、紫外線及び電子線硬化型樹脂等や、各種有機及び無
機インキ等を使用することができるが、ラミネート時に
おいてその粘度は、50,000センチポイズ以下であるのが
好ましい。インキの粘度が50,000センチポイズを超える
と、ラミネートの際のインキの押し出しが良好に行われ
ず、空気が混入しやすくなる。
以上本発明を第1図に基づいて説明してきたが、本発
明はこれに限定されることなく、種々の変更を施すこと
ができる。
例えば、ニップロール1、2に向けて、基材シート6
(インキは塗布済み。)及びラミネート用フィルム7を
側方より送給することもできる。その一例として、第2
図に示すように、基材シート6を上方より、またラミネ
ート用フィルム7を側方よりそれぞれ送給してもよい。
この場合インキ溜り8は、ギャップ部の側方のフィルム
7上に形成される。なおこの例では、基材シート6とラ
ミネート用フィルム7とを入れ換えてもよい。
また、第3図に示すように、ニップロール1、2に、
基材シート6(インキは塗布済み。)及びラミネート用
フィルム7を上方よりそれぞれ送給し、ラミネートした
後、下方に誘導してもよい。この場合インキ溜り8は、
ギャップ部の上部に形成されるため、インキ溜り8内部
に気泡が発生しても脱気されやすい。
以上、本発明のラミネート方法を添付図面を参照して
説明したが、本発明はこれに限定されることなく、本発
明の思想を逸脱しない限り、種々の変更を施すことがで
きる。
本発明を以下の具体的実施例により、より詳細に説明
する。
実施例1 ウレタンアクリレート(EB250、ダイセルユーシービ
ー(株)製)85重量部と、1,6−ヘキサンジオールジア
クリレート15重量部を混合し、60℃に加温して粘度を40
00センチポイズに調整し、インキとした。このインキ
を、押し出しノズル方式にて厚さ100μmの易接着性ポ
リエステルフィルム(HP-7、帝人(株)製)に、ラミネ
ートに必要な量より多量にコートした。その後、ただち
に第2図に示す方式で、インキ溜りを形成して、ラミネ
ート用フィルムをラミネートした。
なおラミネート用フィルムとしては、厚さ26μmのマ
ット処理したポリエステルフィルム(X-45、東レ(株)
製)を用いた。またニップロール間のギャップは130μ
mに設定した。
ラミネート後、エレクトロンカーテン型電子線(EB)
照射装置(ESI社製)により175kVの加速電圧にて電子線
を5Mrad照射し、塗膜を硬化させた。硬化後ラミネート
用フィルムを除去し、硬化塗膜の膜圧の測定及び目視に
よる空気の混入の有無の確認を行ったところ、硬化塗膜
は膜厚が100μmであり、塗膜中に空気の混入は認めら
れず、均一であった。
実施例2 ウレタンアクリレート(UV3000B、日本合成化学工業
(株)製)50重量部と、1,6−ヘキサンジオールジアク
リレート50重量部を混合し、これをインキパン中で40℃
に加温し、粘度を300センチポイズに調整してインキと
した。このインキをロールコート法により、厚さ200μ
mの塩化ビニルフィルム(BC-801、三宝樹脂工業(株)
製)にラミネートに必要な量より多量にコートした。そ
の後、ただちに第1図に示す方式で、インキ溜りを形成
してラミネート用フィルムをラミネートした。
なおラミネート用フィルムとしては、厚さ25μmのポ
リエステルフィルム(ルミラーT-60、東レ(株)製)を
用いた。またニップロール間のギャップは175μmに設
定した。
ラミネート後、インキを実施例1と同様に電子線(E
B)硬化させた。硬化後ラミネート用フィルムを除去
し、硬化塗膜の膜厚の測定及び目視による空気の混入の
有無の確認を行ったところ、硬化塗膜は膜厚が30μmで
あり、塗膜中に空気の混入は認められず、均一であっ
た。
実施例3 ウレタンアクリレート(UV7500B日本合成化学工業
(株)製)をメチルエチルケトンに溶解し、50重量%の
ウレタンアクリレート濃度になるように調整し、インキ
とした。このインキをロールコート法により厚さ50μm
の易接着性ポリエステルフィルム(HP-7、帝人(株)
製)に50g/m2になるようにコートした。その後、乾燥ゾ
ーンを通して溶剤を除去し、樹脂が温まった状態で第3
図に示す方式で、インキ溜りを形成して、ラミネート用
フィルムをラミネートした。
なおラミネート用フィルムとしては、厚さ25μmのポ
リエステルフィルム(ルミラーT-60、東レ(株)製)を
用いた。またニップロール間のギャップは70μmに設定
した。
ラミネート後、インキを実施例1と同様に電子線(E
B)硬化させた。硬化後ラミネート用フィルムを除去
し、硬化塗膜の膜厚の測定及び目視による空気の混入の
有無の確認を行ったところ、硬化塗膜は膜厚が10μmで
あり、空気の混入は認められず、均一であった。
比較例1 実施例1のインキを、ロールコート法により厚さ100
μmの易接着性ポリエステルフィルム(HP-7、帝人
(株)製)に100g/m2になるようにコートし、従来のラ
ミネート方法で、インキ溜りを形成せずにラミネート用
フィルムをラミネートした。
なおラミネート用フィルムとしては、厚さ25μmのポ
リエステルフィルム(ルミラーTタイプ、東レ(株)
製)を用いた。
ラミネート後、インキを実施例1と同様に電子線(E
B)硬化させた。硬化後ラミネート用フィルムを除去
し、目視により硬化塗膜への空気の混入の有無を確認し
たところ、得られた硬化塗膜は、その表面及び内部に一
部空気が混入し、空気の混入した部分では硬化は不十分
であり、所望の均一なフィルムは得られなかった。
〔発明の効果〕
以上詳述した通り、本発明の方法によれば、粘度が5
0,000センチポイズ以下のインキをラミネートに必要な
量より多い量塗布するとともに、一対のフィルムを一対
のニップロールのギャップ部に上向き又は下向きに送給
し、ロールのギャップ部入口で余分な量のインキを押し
出し、インキ溜りを形成してフィルムをラミネートして
いるので、インキ層に空気が混入しない。さらに前記イ
ンキの溜りが形成される前記ニップロールのギャップ部
入口が上向きである場合は、フィルム上にインキの液だ
れが生じることがなく、また下向きである場合は、イン
キの溜り内に気泡が発生しても気泡が上昇して脱気され
やすい。
このため空気の混入がなく、均一なインキ層を有する
ラミネートフィルムを効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例によるラミネート方法を示す
概略図であり、 第2図及び第3図は本発明の別の実施例によるラミネー
ト方法を示す模式図である。 1、2……ニップロール 3……コーティングロール 4……インキ 5……塗料ザラ 6……基材フィルム 7……ラミネート用フィルム 8……インキ溜り

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方に粘度が50,000センチポイ
    ズ以下のインキを塗布した一対のフィルムを一対のニッ
    プロールにより圧着してラミネートする方法において、
    前記インキの量をラミネートに必要な量より多い量に調
    整し、前記一対のフィルムを前記一対のニップロールの
    ギャップ部に上向き又は下向きに送給し、前記ニップロ
    ールの下部又は上部のギャップ部入口で、前記フィルム
    を圧着する際の押圧力により前記インキの余分な量を押
    し出し、もって前記ギャップ部入口にインキの溜りを形
    成することにより空気の混入を防止することを特徴とす
    る方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法において、前記イン
    キを含有する容器に部分的に浸漬されているコーティン
    グロールと、片方のニップロールとの間に一方のフィル
    ムを通過させることにより前記インクを塗布し、前記イ
    ンキを介して両フィルムを張り合わすように前記一対の
    ニップロールのギャップ部に上向きに送給することを特
    徴とする方法。
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