JP2739805B2 - 耐クリープ性に優れたアクリル系プラスチゾル組成物 - Google Patents

耐クリープ性に優れたアクリル系プラスチゾル組成物

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JP2739805B2 JP5112901A JP11290193A JP2739805B2 JP 2739805 B2 JP2739805 B2 JP 2739805B2 JP 5112901 A JP5112901 A JP 5112901A JP 11290193 A JP11290193 A JP 11290193A JP 2739805 B2 JP2739805 B2 JP 2739805B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐クリープ性に優れた
コーティング乃至成形体を与えるプラスチゾル組成物に
関するもので、より詳細には、長期間の保存に際しても
塗布、成形等に必要な優れた流動性が維持され、一方加
熱に際しては優れたゲル化性能を示すと共に、形成され
たコーティング乃至成形体がアクリル樹脂系のプラスチ
ゾル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】容器蓋等の密封に用いるガスケット、ラ
イナー等としては、優れた流動性を有すること、溶剤等
の揮散成分を含有しないこと、加熱によりゲル化して所
定形状の成形物になること、適度の柔軟性及びクッショ
ン性を有すること等から、プラスチゾル組成物が広く使
用されている。
【0003】このプラスチゾルは、液体の可塑剤を分散
媒とし、これにエマルジョンサイズ或いはサスペンジョ
ンサイズの樹脂粒子を分散させたものであり、室温では
この分散状態が維持されるが、高温では樹脂粒子が可塑
剤を吸収して、樹脂粒子の合体及び可塑化が行われるも
のである。樹脂としては、塩化ビニルのホモポリマーや
コポリマーが広く使用されてきたが、焼却に際して、塩
化水素の大気中への放出を防止し、更にはダイオキシン
等の有害物質を発生するため、アクリル系樹脂のプラス
チゾルを用いることも既に提案されている。
【0004】例えば、特公昭56−26263号公報に
は、少くとも60重量%のアルキルアクリレートまたは
メタクリレート単位を含有する単相の表面活性剤不含ア
クリル重合体または共重合体の粒子を包含しており、而
してその重合体または共重合体が室温で不揮発生であり
そして前記重合体または共重合体の単量体と同一化学構
造を有する単量体ではない相容性液体可塑剤を包含する
表面活性剤不含媒体に分散されていることを特徴とする
熱合着性アクリル樹脂プラスチゾルが記載されている。
【0005】また、非塩化ビニル樹脂型の反応性プラス
チゾルも既に知られており、例えば、特公平1−127
72号公報には、室温で可塑剤に不溶で、高温で可塑性
のポリビニールアセタール樹脂、エポキシ樹脂或いはこ
れとポリエステル系可塑剤との組み合わせ、及びエポキ
シ樹脂の硬化剤からなる反応性プラスチゾルが記載され
ている。
【0006】更に、特開昭62−161849号公報に
は、ポリメタクリレート樹脂、イソシアネート等で変性
されたポリエーテル乃至ポリエステル系可塑剤及び熱反
応開始剤乃至光反応開始剤からなる反応性プラスチゾル
が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、前者
の提案にみられる公知のアクリル系プラスチゾルは、塩
化ビニル樹脂系のプラスチゾル組成物に比してポットラ
イフに劣るのが難点であり、保存中に流動性が低下した
り、また保存後には十分なゲル化性能が得られないとい
う欠点があり、更に加熱によりゲル化された後のコーテ
ィング乃至成形体の耐クリープ性、特に加熱されたとき
の耐クリープ性が十分でないという欠点がある。
【0008】例えば、容器や容器蓋には、密封の目的
で、プラスチゾルのライニングで形成したガスケット乃
至ライニングが設けられているが、アクリル系樹脂プラ
スチゾルで形成されたものは、塩化ビニル樹脂プラスチ
ゾルで形成されたものに比して、耐クリープ性に著しく
劣っており、熱間充填時やレトルト殺菌時の熱により、
クリープや破断等のトラブルを発生して、漏洩の問題を
生じる。
【0009】従って、本発明の目的は、長期間の保存に
際しても塗布、成形等に必要な優れた流動性が維持さ
れ、加熱に際しては優れたゲル化性能を示し、しかも得
られるコーティング乃至成形体が著しく向上した耐クリ
ープ性を示すアクリル樹脂系のプラスチゾル組成物を提
供するにある。
【0010】
【問題点を解決するための手段】本発明によれば、可塑
剤を主体とする分散媒と該分散媒中に分散したアクリル
系樹脂粒子とから成るプラスチゾル組成物において、前
記アクリル系樹脂粒子が(メタ)アクリル酸エステル単
位を主体とし、カルボキシル基、その塩の基、水酸基、
エポキシ基、メチロール基及びエーテル化メチロール基
から成る群より選ばれた官能基を粒子重量当たり15乃
至330ミリモル/100gの濃度で含有する(メタ)
アクリル系樹脂粒子であり、前記分散媒が前記官能基に
対して反応性を有する架橋剤を分散媒中に少なくとも部
分的に可溶化された状態で含有し、前記可塑剤がクエン
酸アセチルトリブチル、フタル酸ブチルベンジル及びブ
チルフタリルブチルグリコレートから成る群より選択さ
れた可塑剤であり、前記架橋剤が液状エポキシ化合物、
変性乃至未変性のポリアミン、変性乃至未変性のポリア
ミドアミンまたはメチロール化乃至エーテルメチロール
化アミノ樹脂であり、アクリル系樹脂粒子100重量部
当たり、架橋剤が2乃至20重量部、及び可塑剤が50
重量部以上で100重量部未満の量で存在し、且つゲル
化した状態での120℃での緩和時間が少なくとも10
分以上であることを特徴とする耐クリープ性に優れたア
クリル系プラスチゾル組成物が提供される。
【0011】本発明において、上記アクリル系樹脂粒子
、(メタ)アクリル酸エステル単位を主体とする樹脂
成分のコアと、官能性基含有モノマー単位を有するアク
リル樹脂成分のシェルとから成ることが最もよい。
【0012】架橋剤は、可塑剤中に少なくとも部分的
に、好ましくは大部分が可溶であり、しかもアクリル系
樹脂中の官能基と反応性を有するものであればよいが、
液状エポキシ化合物、変性乃至未変性のポリアミン、変
性乃至未変性のポリアミドアミンまたはメチロール化乃
至エーテルメチロール化アミノ樹脂等が好適に使用され
る。
【0013】用いる可塑剤は、可塑剤中に60%以上の
量で含有される主用可塑剤が分子量が220乃至420
で、しかも溶解度指数(SP値)が7.9乃至10.0
の範囲にあるものが、ポットライフ、ゲル化性能及び機
械的性能の点で優れている。
【0014】
【作用】本発明では、可塑剤を主体とする分散媒中に分
散させるアクリル系樹脂粒子として、(メタ)アクリル
酸エステル単位を主体とし、カルボキシル基、その塩の
基、水酸基、エポキシ基、メチロール基及びエーテル化
メチロール基から成る群より選ばれた官能基を粒子重量
当たり15乃至330ミリモル/100gの濃度で含有
する(メタ)アクリル系樹脂粒子を使用する一方、分散
媒として、前記官能基に対して反応性を有する架橋剤を
分散媒中に少なくとも部分的に可溶化された状態で含有
する可塑剤を用いる。また、本発明においては、 上記可
塑剤として、クエン酸アセチルトリブチル、フタル酸ブ
チルベンジル及びブチルフタリルブチルグリコレートか
ら成る群より選択された可塑剤を使用すること、 上記架
橋剤として、液状エポキシ化合物、変性乃至未変性のポ
リアミン、変性乃至未変性のポリアミドアミンまたはメ
チロール化乃至エーテルメチロール化アミノ樹脂を使用
すること、 上記アクリル系樹脂粒子100重量部当た
り、上記架橋剤が2乃至20重量部、及び上記可塑剤が
50重量部以上で100重量部未満の量で存在するこ
と、も顕著な特徴である。
【0015】アクリル系樹脂中に存在する上記官能基
は、室温での保存時においてアクリル系樹脂と可塑剤と
が相溶するのを防止して、ポットライフを延長せしめ、
また可塑剤中へのアクリル系樹脂の溶解を防止して流動
性を高め、塗布乃至成形の時の作業性をも高めると共
に、加熱ゲル化の際には、分散媒中の架橋剤と反応し
て、樹脂コーティング乃至成形体中に網状架橋構造を形
成し、このものの耐クリープ性を顕著に向上させる。
【0016】後述する実施例1及び比較例1及び2並び
にゲル化したアクリル系樹脂の各加熱温度における経過
時間と緩和速度との関係を示すグラフ(図1及び図2)
を参照されたい。アクリル系樹脂全体が、(メタ)アク
リル酸エステルのホモポリマーで形成されている場合に
は、ポットライフの日数はわずか二日程度にすぎない
が、この(メタ)アクリル酸エステル単位の樹脂のコア
の表面に、極性基含有モノマー単位(メタクリル酸)を
含む樹脂のシェルを形成させると、ポットライフの日数
が20日以上、特に28日以上に延長されるのである。
しかも、このホモのアクリル系樹脂を用いた場合(比較
例1)や、上記コア−シェル構造の共重合樹脂粒子を用
いるが、分散媒中に架橋剤を入れなかった場合(比較例
2)には、経過時間が或限度を越えると、応力緩和速度
が急に大きくなり、120℃で5分以内で応力緩和が生
じ、10分以内に破断を生じるのに対して、本発明に従
い、官能基を導入したアクリル系樹脂粒子と、架橋剤を
含有させた可塑剤との組み合わせを用いた場合には、同
じ温度で1時間以上の応力緩和時間を示すのである。
【0017】塩化ビニル樹脂プラスチゾルからのライナ
ー等が耐クリープ性に優れており、一方アクリル系樹脂
プラスチゾルからのライナー等が耐クリープ性に劣る理
由は、前者の場合、ゲル化に際して可塑剤中に溶解した
非晶質部分と、可塑剤中に溶解しない結晶部分とが、網
目構造状に存在し、ゴム状弾性と耐クリープ性とを示す
のに対して、アクリル系樹脂の場合、その殆どが非晶質
で可塑剤に相溶し、網目状組織の形成が行われないこと
が原因と思われる。これに対して、本発明のアクリル系
樹脂プラスチゾルでは、ゲル化時にアクリル系樹脂中の
官能基と、分散媒中の架橋剤とが反応して網目構造が生
起し、これが応力緩和を防止する要因となっていると思
われる。
【0018】本発明において、可塑剤−架橋剤分散媒中
に分散させるアクリル系樹脂粒子として、(メタ)アク
リル酸エステル単位を主体とする樹脂成分のコアと、カ
ルボキシル基、その塩の基、水酸基、エポキシ基、メチ
ロール基及びエーテル化メチロール基から成る群より選
ばれた官能基を有するアクリル系樹脂のシェルとから成
るものを使用すると、更に有益な利点が達成される。
【0019】即ち、この構造の粒子では、樹脂中の官能
基(極性基)が表面に集中して存在することにより、室
温での保存時においてアクリル系樹脂と可塑剤とが相溶
するのを防止する能力が極めて高い。一方、コアを形成
する(メタ)アクリル酸エステルは、加熱時に可塑剤と
相溶して良好なゲル化性能を与える。しかも、このゲル
化時には、樹脂粒子表面の官能基が分散媒中の架橋剤と
迅速且つ有効に反応し架橋構造を生起するので、耐クリ
ープ性及びゴム状弾性の発現が効果的に行われるわけで
ある。
【0020】
【発明の好適態様】本発明のプラスチゾルの分散構造
を、模式的に説明するための図3において、このプラス
チゾルは、分散媒4と、この中に分散したアクリル系樹
脂粒子1とから成っている。アクリル系樹脂粒子1は、
(メタ)アクリル酸エステル単位を主体とする樹脂のコ
ア2と、その表面に形成された、酸基、その塩の基、水
酸基、エポキシ基、メチロール基及びエーテル化メチロ
ール基から成る群より選ばれた極性基含有モノマー単位
を有する樹脂のシェル3とからなる。一方、分散媒は可
塑剤とその中に少なくとも一部が溶解した状態で分散さ
れている架橋剤とから成っている。
【0021】コア2は(メタ)アクリル酸エステルを主
体とする単量体の乳化重合、シード重合、懸濁重合或い
は不均一溶液重合等で製造されるが、シェル3はこれら
の重合工程で一体に重合により形成されていても、或い
は別個に形成されていてもよい。
【0022】[アクリル系樹脂]アクリル系樹脂の主体
となるアクリル酸やメタクリル酸のエステルとしては、
例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)
アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチ
ル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル
酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸n−オクチルなどがある。ただし上記の(メタ)アク
リル酸とはアクリル酸もしくはメタクリル酸を示す。上
記(メタ)アクリル酸エステルは単独でも組み合わせで
も使用でき、また他の単量体との共重合体でもよい。好
適なエステルはメタクリル酸メチルである。これらの単
量体と共に共重合される他の共単量体としては、スチレ
ン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0023】アクリル系樹脂が、コア−シェル構造を取
る場合、コア樹脂成分中における(メタ)アクリル酸エ
ステル単位の含有量は、機械的特性の点で、コア樹脂成
分当たり50重量%以上、特に70重量%以上存在する
のが望ましい。
【0024】一方、反応性の官能基を与える単量体成分
は、カルボキシル基、その塩の基、水酸基、エポキシ
基、メチロール基またはエーテル化メチロール基を有す
るものであり、具体的には次のものが挙げられる。エチ
レン系不飽和カルボン酸またはその無水物;アクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水
イタコン酸等。これらの酸基含有モノマー単位は、ナト
リウム、カリウム、カルシウム等の金属塩類や、アンモ
ニュウム塩、アミン塩等の形で存在していてもよい。
【0025】水酸基含有モノマー単位としては、ビニル
アルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエ
ステル、特に(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエス
テル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステ
ル、等がが挙げられる。
【0026】エポキシ基含有モノマーとしては、(メ
タ)アクリル酸グリシジルエーテル、アリルグリシジル
エーテル、ブタジエンモノオキシド等が挙げられる。
【0027】メチロール基及びエーテル化メチロール基
を有するモノマーとしては、(メタ)アクリルアミドの
ジメチロール化物や、そのエーテル化物、例えばエチル
エーテル化物或いはブチルエーテル化物等が使用され
る。
【0028】これらの官能基含有モノマーは、アクリル
系樹脂中に、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブ
ロック共重合体の形で存在することができる。重合体鎖
間の絡み合いが十分に生じている場合には、単独重合体
の形で存在することも許容される。
【0029】既に指摘した通り、アクリル系樹脂粒子中
における官能基含有モノマー成分の割合は、上述したカ
ルボキシル基、その塩の基、水酸基、エポキシ基、メチ
ロール基及びエーテル化メチロール基から成る群より選
ばれた極性基が、粒子重量当たり15乃至330ミリモ
ル/100g、特に15乃至220ミリモル/100g
の濃度で含有されるものであればよい。極性基の濃度が
上記範囲を下回ると、ポットライフが上記範囲内のもの
に比して低下し、最も重要なことには、耐クリープ性が
上記範囲内のものに比して低下するようになる。一方極
性基の濃度が上記範囲を上回ると、ゲル化性能が上記範
囲内のものに比して低下するようになる。
【0030】アクリル系樹脂粒子がシェル−コアの構造
をとり、シェル中の官能基(極性基)含有モノマー単位
の含有割合が高ければ、樹脂粒子と架橋剤との架橋反応
が迅速にしかも効率よく生じ、しかもシェルの厚み、即
ち粒子全体当たりの割合を少なくし得るので、ゲル化性
能に対する極性基の悪影響が少なくなる。この意味で、
官能基含有モノマー成分は、官能基含有モノマーのホモ
ポリマー乃至ホモポリマーブロックからなっていること
が望ましい。
【0031】アクリル系樹脂粒子は、強靱なフィルムを
形成するのに足る分子量を有するべきであり、一般に1
0万以上、特に20万以上の分子量を有していることが
望ましい。また、アクリル系樹脂粒子は、中心粒径(メ
ジアン径)が0.1〜20μm、特に、0.3〜10μ
mの範囲にあるのがよい。樹脂100g当たりの極性基
のミリモル数に粒子径(μm数)を乗じた値を用いるこ
とで、粒子径とは無関係に、ポットライフとゲル化性能
のバランスのとれたプラスチゾルを提供するために有用
な樹脂粒子の条件が規定できることを見いだした。樹脂
100g当たりのカルボン酸ミリモル数に粒子径(μm
数)を乗じた値をBFと表示すると、ポットライフ及び
ゲル化性能に優れたプラスチゾルを得るためには、樹脂
粒子のBFを、好ましくは2<BF<200の範囲、よ
り好ましくは、7<BF<150の範囲に調整すること
が非常によい結果を与える。尚、BFの決定には、KB
r粉末と樹脂粉末を95:5の比率で均一混合した条件
で、拡散反射法によるIR測定から決定した樹脂100
g当たりのカルボン酸ミリモル数を用いる。拡散反射I
R法を用いると、粒子の表面近傍の情報を選択的に取り
出すことができるため、粒子シェル部のカルボン酸量を
決定できる。
【0032】[アクリル系樹脂の製造]本発明に用いる
アクリル系樹脂粒子は、(メタ)アクリル酸エステルを
主体とする単量体と、官能基含有単量体とを乳化重合、
懸濁重合、不均一溶液重合、シード重合、グラフト重合
等で重合することにより製造される。これらの重合に際
して、後段の重合で、官能基含有単量体を添加するよう
にすれば、官能基含有モノマー成分がシェルとなった粒
子が生成する。また、一旦生成したアクリル系樹脂を鹸
化或いはその他の化学処理に付することによっても、官
能基含有モノマー成分に富んだシェルを形成することが
できる。。
【0033】アクリル系樹脂粒子の製造は、一般に、上
記各成分を油相として水中に乳化乃至懸濁させ、重合開
始剤の存在下に、乳化重合或いは懸濁重合により行う。
水性媒体は、上記単量体成分の総量に対して0.6乃至
4重量倍、特に1乃至2.3重量倍の量で用いるのがよ
い。
【0034】乳化重合では、界面活性剤、特にアニオン
系界面活性剤或いはノニオン系界面活性剤により、水中
へのモノマーの分散粒子サイズを、エマルジョン粒子サ
イズ、一般に0.05乃至0.2μmに制御して、重合
を行う。界面活性剤の使用量は、単量体成分の100重
量部に対して0乃至5重量部であるのが適当である。
【0035】懸濁重合に際しては、通常の懸濁安定剤を
使用して、その分散相の粒径を1乃至20μmの範囲に
調節するのがよい。懸濁安定剤としては、水溶性高分
子、難水溶性の粉末無機化合物、界面活性剤等の従来公
知のものがあげられる。水溶性高分子としては、例えば
ゼラチン、トラガカントゴム、デンプン、メチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコ
ール、ポリアクリル酸塩などがあげられる。また、無機
化合物としてはとしては、例えば硫酸バリウム、硫酸カ
ルシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、リン酸カルシウム、タルク、ベントナイト、ケ
イソウ土、粘土等があげられる。懸濁安定剤の使用量
は、通常、懸濁粒子の100重量部に対して0.1乃至
5重量部であるのが適当である。上記乳化乃至懸濁重合
法における油相の乳化乃至懸濁は、通常の低及び中剪断
攪拌機によっても、また、ホモミキサー、ホモジナイザ
ーなどの高剪断攪拌機によって行われ、コア粒子を目的
に応じた粒径に調整することができる。
【0036】重合開始剤としては、懸濁重合の場合、例
えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、
クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t
−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキ
シド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化
物等の油溶性開始剤が使用され、乳化重合の場合は、例
えば過酸化水素水、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ム、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチルアミジ
ン塩酸塩等の水溶性開始剤が使用される。また、過酸化
物系開始剤は適当な還元剤と組合せてレドックス系低温
開始剤として用いることができる。この他にγ−線、加
速電子線のようなイオン化放射線や紫外線と各種増感剤
との組み合わせを用いることもできる。重合開始剤は単
量体量100重量部当たり0.5乃至10重量部の量で
用いるのが良い。重合は通常、窒素等の不活性雰囲気中
で、温度50〜100℃で2〜12時間程度行うのがよ
い。
【0037】アクリル系樹脂粒子の製造を、不均一溶液
重合によって行うこともできる。この重合法では、単量
体は溶解するが、生成重合体は溶解しないような溶媒、
例えばアルコール等を使用し、溶媒中に単量体を溶解
し、重合開始剤の存在下に重合を行う。この場合には、
重合の進行につれて、生成ポリマーの粒成長を生じ、所
望の樹脂粒子が得られる。アクリル系樹脂粒子の粒度の
調節やコア−シェル構造の生成を、シード重合により行
うこともできる。例えば、乳化重合で得られた樹脂粒子
を、水性媒体に分散させて、単量体と開始剤を添加し
て、シード粒子表面での重合を行うことができる。
【0038】コア粒子表面に、カルボキシル基や水酸基
その他の極性基を有するシェルを形成するためには、次
のような手段が採用される。
【0039】(1) ケン化法 アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、または酢
酸ビニルが少なくとも最外殻に存在すれば、粒子を水中
重合(乳化重合、シード重合、懸濁重合)した後、水酸
化ナトリウムのような強アルカリの存在下で加熱し、エ
ステルを加水分解、すなわちケン化することによって、
容易に粒子最表面にカルボキシル基や水酸基を導入する
ことができる。可塑剤と非相溶の物質層の厚みを最小に
抑えることができるため、ゲル物性への影響が最小に抑
えられる。
【0040】(2) 乳化およびシード重合法 通常の水中重合では、アクリル酸やメタクリル酸のよう
な水溶性のモノマーを重合し、粒子に導入することは困
難である。アニオン性モノマーであれば酸性に、カチオ
ン性モノマーであればアルカリ性にしておくことで、ま
たこれらモノマーに対する非溶媒を添加することで、モ
ノマーの水溶解性を落とし、粒子表面に固定し、重合を
行わせることが可能である。また、モノマーのフィード
を工夫すること、即ち重合の途中で極性モノマーを、必
要により開始剤と共に、一段或いは多段に重合系中に添
加することにより、最外層を極性モノマーリッチにする
ことも可能である。乳化重合では、極性モノマーは最外
殻に疎水性モノマーは内部に集まる傾向があるので、コ
ア/シェル構造に制御することも比較的簡単である。重
合条件は既に述べた条件でよい。
【0041】[架橋剤]可塑剤中に存在させる架橋剤と
しては、前述したアクリル系樹脂中の官能基に対して反
応性を有し且つ可塑剤中に少なくとも一部が可溶である
樹脂成分が使用される。アクリル系樹脂のカルボキシル
基やその塩の基に対してはアミノ基や水酸基或いはエポ
キシ基等を有するもの、水酸基に対してはカルボキシル
基や、エポキシ基、メチロール基或いはエーテル化メチ
ロール基を有すもの、エポキシ基に対してはカルボキシ
ル基、その塩の基、水酸基、アミノ基、メチロール基或
いはエーテル化メチロール基を有するもの、メチロール
基及びエーテル化メチロール基に対してはカルボキシル
基、その塩の基、水酸基、エポキシ基、メチロール基及
びエーテル化メチロール基を有するもの等が使用され
る。
【0042】この様な硬化剤樹脂成分として、液状エポ
キシ化合物、変性乃至未変性のポリアミン、変性乃至未
変性のポリアミドアミンまたはメチロール化乃至エーテ
ルメチロール化アミノ樹脂が使用される。これらは単独
で使用しても、複数の組み合わせで使用してもよく、ま
た他の硬化助剤や硬化触媒との組み合わせで用いてもよ
い。
【0043】液状エポキシ化合物としては、分子内に2
個以上のオキシラン環を有する液状エポキシ化合物、特
にエポキシ樹脂が使用され、中でも、ビスフェノールA
等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの重縮合に
より得られたビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適で
あり、そのエポキシ当量は一般に100乃至500、特
に150乃至300の範囲及び数平均分子量は、250
乃至1000、特に300乃至700の範囲にあるもの
が好ましい。
【0044】変性ポリアミンとしては、分子内に1級、
2級或いは3級のアミノ基を多数有する脂肪族系或いは
脂環族系或いは芳香族系の化合物の内前記条件を満足す
るものが使用され、例えば、ポリアルキレンポリアミ
ン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン等や、それ
らの脂肪酸、ロジン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、
等による変性物が使用される。可塑剤に対する溶解性の
点で変性物が好ましい。変性ポリアミドアミンとして
は、分子内に1級、2級或いは3級のアミノ基を多数有
する低分子脂肪族系ポリアミド、例えば、脂肪酸二量体
(ダイマー酸)とジアミン類或いは上記ポリアミンとの
反応生成物等が使用され、またそれらの脂肪酸、ロジ
ン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、等による変性物が
使用される。可塑剤に対する溶解性の点で変性物が好ま
しい。
【0045】メチロール化乃至エーテルメチロール化ア
ミノ樹脂としては、分子内に多数のメチロール基を有す
る尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等を
挙げることができる。エーテル型樹脂は、上記樹脂のエ
ーテル基をエタノールやブタノール等のアルコール類で
エーテル化したものが使用される。
【0046】[プラスチゾル組成物]本発明のプラスチ
ゾル組成物は、アクリル系樹脂用可塑剤とこの可塑剤中
に少なくとも一部溶解した架橋剤とから成る分散媒と、
この分散媒中に分散した表面極性化アクリル系樹脂粒子
とから成る。
【0047】可塑剤としては、クエン酸アセチルトリブ
チル、フタル酸ブチルベンジル及びブチルフタリルブチ
ルグリコレートから成る群より選択された可塑剤が使用
される。
【0048】好適な可塑剤は、可塑剤中に60重量%以
上の量で含有される主用可塑剤が分子量が220乃至4
20で、しかも溶解度指数(SP値)が7.9乃至1
0.0の範囲にある
【0049】ここで、溶解度指数(Solubilit
y Parameter、SP値)は、物質の相溶性を
評価するための目安として、広く使用されているもので
ある。
【0050】このSP値とは、J.BRANDRUP等
編 PolymerHandbook(1967年)
第4章に定義されているように、凝集エネルギー密度の
1/2乗値であり、物質の水素結合の程度を表してお
り、水素結合の程度が大きいと、大きい値を取る。
【0051】アクリル系樹脂粒子と可塑剤との重量比
は、塗布成形時に十分な流動性が得られ、ゲル化時には
十分な物性が得られるようなものであり、アクリル系樹
脂粒子100重量部当たり、50重量部以上で100重
量部未満、特に60重量部以上で100重量部未満の範
囲にあるのがよい。
【0052】一方、アクリル系樹脂粒子と架橋剤との重
量比は、架橋反応に関与する官能基の夫々の濃度等によ
っても相違するが、アクリル系樹脂粒子100重量部当
たり、2乃至20重量部の範囲にあるのがよい。架橋剤
の量比が上記範囲よりも少ないと、アクリル系樹脂粒子
の架橋の程度が低下して、十分な耐クリープ性が得られ
なくなる傾向がある。一方、架橋剤の量比が上記範囲よ
りも多いと、塗布成形時の流動性が低下したり、或いは
ゲル化生成物の硬度が高くなりすぎて、クッション性や
柔軟性等が失われる不都合がある。
【0053】このプラスチゾルには、それ自体公知の樹
脂配合剤、例えば、充填剤、着色剤、熱安定剤、発泡
剤、架橋剤、酸化防止剤、増粘剤、減粘剤、酸素吸収剤
等をそれ自体公知の処方に従って配合することができ
る。
【0054】[用途]本発明のアクリル系樹脂プラスチ
ゾル組成物は、優れたポットライフを有し且つゲル化性
能にも優れており、しかも得られたコーティング乃至成
形体が耐クリープ性に優れていることから、PVCプラ
スチゾルが従来広く使用されている各種用途、例えばパ
ッキング乃至ガスケット、内装品、玩具、日用品、雑
貨、各種コーティング、各種バッキング、フィルム乃至
シート等の成形乃至コーティングに広く使用できる。
【0055】成形には、スラッシュ成形、回転成形、注
型、浸漬成形等の手段を用いることができ、またコーテ
ィングには、スプレッド法、デッピング法、スピンコー
ト法、グラビアコート法、スプレー塗布法、スクリーン
コート法等が採用される。本発明のアクリル系樹脂プラ
スチゾルは、特に各種容器や容器蓋の密封用ガスケット
乃至ライナー等をスピンコートで形成するのに特に有用
である。
【0056】本発明のアクリル系樹脂プラスチゾル組成
物は、一般に室温で0.5乃至1000ポイズの粘度を
有することが、塗布、成形時の作業性の点で好ましく、
一方ゲル化時の硬度は、用途によっても相違するが、前
述した密封用ガスケット乃至ライナー等の用途には、1
5乃至75の硬度(JIS−A)を有するのがよい。プ
ラスチゾルの硬化は、100乃至230℃の温度に加熱
することにより容易に行うことができる。
【0057】
【実施例】本発明を次の例で更に詳細に説明する。 硬化剤の説明 サイメル325 :三井サイアナミッド社製メラミン系
硬化剤 サイメル1123:三井サイアナミッド社製ベンゾグア
ナミン系硬化剤 アデカEH203:旭電化社製変性ポリアミドアミン系
硬化剤 アデカEH331:旭電化社製変性ポリアミドアミン系
硬化剤 例中の略号は次の表1の意味を有する。
【0058】
【表1】
【0059】[実施例1]乳化剤としてドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、開始剤としてペルオキソ2硫
酸カリウムを用い、通常の乳化重合法及びシード重合法
で、メタクリル酸メチル(MMA)/グリシジルメタク
リレート(GMA)重量比、95/5の共重合体樹脂粒
子分散液を作製した。マイクロトラックによる粒子径測
定では、平均粒径1.8μmという値が得られた。この
分散液に、樹脂分当たり4重量部の水酸化ナトリウムを
加え、95℃−5時間の条件で加水分解を行いコア/シ
ェル粒子を調整した。等量以上の希塩酸水溶液で中和
し、固形分を吸引濾過した後、90℃の電気オーブン中
で乾燥し、反応性共重合体樹脂粉末を調整した。
【0060】ここで調整した粒子は反応性の官能基とし
て、グリシジル基とカルボキシル基を有しており、テト
ラヒドロフラン(THF)を溶剤としたGPC測定によ
り、樹脂の分子量は180万であると決定できた。尚、
拡散反射IR測定により、樹脂100g当たりのカルボ
ン酸ミリモル数が21ミリモル、BFは38と決定でき
た。
【0061】乳鉢に、可塑剤としてBPBGを40部、
架橋剤としてエピコート828を2部、サイメル703
を1.3部、及びキャタリスト6000の0.1部を仕
込み、乳棒で混ぜて均一に溶解させた。ここで使用した
エピコート828は油化シェルエポキシ社製の液状エポ
キシ樹脂であり、サイメル703及びキャタリスト60
00は、それぞれ、三井サイアナミッド社のメラミン樹
脂と硬化触媒である。尚、入手したサイメル703の固
形分は80%であり、残りはブタノールであった。
【0062】上記、可塑剤と架橋剤の均一溶液に、既に
調製しておいた反応性共重合体樹脂粉末50部を加え、
乳棒でこねて、均一透明なプラスチゾルを調製した。減
圧乾燥器中で脱泡した後、アルミ板とブリキ板上に、そ
れぞれ、ナイフコーターで約1mmの厚みに塗り広げ、
180℃の熱風循環式電気オーブンで3分間熱処理し、
ゲル化シートを作製した。アルミ板上でゲル化させたサ
ンプルシートは完全にアルミ板と接着しており、板から
剥離させることが不可能であった。ブリキ板から剥離し
たゲル化シートは柔軟であり、7mm幅に切り出した約
1mm厚のサンプル片は、室温では手で引きちぎれない
ほど強靱であった。硬度測定では、JIS−A硬度で6
0を示した。
【0063】耐クリープ性の試験(応力緩和測定) 耐クリープ性の評価は、応力緩和測定で行った。応力緩
和特性とクリープ特性は表裏一体の関係にある。具体的
には、7mm幅、厚み約1mmのサンプル片を上下2個
のチャックに挟み、瞬間的に50%の引張歪をサンプル
に印加し、サンプルに歪を印加した瞬間から時間ととも
に応力が緩和していく様子を観測した。120℃の場合
について、約1時間、測定を実施した。
【0064】歪印加後、0.1秒後の応力を初期応力σ
0とし、t時間後の応力をσtとしたとき、σt/σ0がe
-1(=0.368)となる時間tを緩和時間とした。シ
ーリングガスケットとして使用中にクリープ変形を起こ
さず、優れたシール性を長時間保持し、尚且つ、耐熱性
が要求されるような用途に適用できるシーリングガスケ
ットを提供するためには、120℃での緩和時間が少な
くとも10分以上であることが必要である。尚、120
℃−1時間の測定でサンプルに破断をきたすような場合
は、シーリングガスケットとして使用不可能である。応
力緩和測定を実施した結果、120℃での緩和時間は1
時間以上で実測不可能であり、測定中のサンプル破断は
観測されなかった。
【0065】密封性の試験 口径53mmのホワイトキャップ用シェルに、前記プラ
スチゾル組成物をライニングし、180℃−3分間の熱
処理を行いプラスチゾルをゲル化させ、ライナー部を形
成した。内容量225mlの肉厚の厚いガラス瓶に水を
150g入れ、ホワイトキャップで密封し、110℃−
60分のレトルト処理を行い、レトルト前後の重量変化
を観測した。密封はライナーに40%の圧縮歪を与える
条件で行った。その結果、レトルト前後での重量変化は
観測されず、レトルト条件で密封性が保持されているこ
とが確認できた。また、ライナー部の目視観察では、何
れの損傷も観測されなかった。
【0066】ポットライフの評価 プラスチゾルのポットライフの評価は粘度測定のデータ
をもとに行った。粘度測定はB形粘度計を用い、No.
4ローター、6回転、25℃の条件で実施した。粘度値
が1000ポイズを超えた時点での保存日数をポットラ
イフの目安とした。実用的に有用なプラスチゾルを製造
するためには、ここでのポットライフが20日以上であ
ることが好ましい。粘度測定は4週間まで実施し、4週
間後にもまだ粘度が1000ポイズに達しないものは、
ポットライフとして>28と表示した。評価結果は>2
8で、安定であった。
【0067】[比較例1]実施例1のプラスチゾル組成
物から、架橋剤だけを抜いたものを調製し、実施例1と
同様な評価を実測した。応力緩和測定では、120℃の
緩和時間が5分であり、測定開始後、8分でサンプルが
破断したことより、耐クリープ性に劣ることが確認され
た。密封性の試験では、レトルト前後で10gの重量変
化があることが確認され、ライナー部の目視観察から、
ライナーに微細な亀裂が生じていることがわかった。こ
の比較例より、耐クリープ性及び密封性に優れたプラス
チゾル組成物を提供するためには、架橋剤が必須成分で
あることがわかる。尚、プラスチゾルのポットライフの
評価は実施例と同様であった。
【0068】図1及び図2は、それぞれ、実施例1及び
比較例1の応力緩和測定の結果である。時間t(秒)に
対して緩和弾性率Er(t)(dyn/cm2 )をプロ
ットしたものであり、応力緩和測定を90℃及び120
℃で実施した結果である。これらの図から、実施例1の
組成物が耐クリープ性に優れていることが明かである。
【0069】[比較例2]実施例1との比較のために、
実施例1と同じ重合条件でMMA単独重合体粒子粉末を
調製した。分子量及び粒子径は、それぞれ、200万と
1.8μmであった。樹脂粒子を反応性共重合体からM
MA単独重合体に変えた以外は、実施例1と同じ組成、
同じ条件でプラスチゾル組成物を作製し、耐クリープ
性、密封性及びポットライフの評価を実施した。
【0070】応力緩和測定では、120℃の緩和時間が
4分であり、測定開始後、4分でサンプルが破断したこ
とから、耐クリープ性に劣ることが確認された。密封性
の試験においても、レトルト前後の重量変化及びライナ
ー部の亀裂の発生が確認され、反応性のない重合体粒子
から調製されたプラスチゾルでは、耐クリープ性及び密
封性に優れたシーリングガスケットを製造し得ないこと
がわかった。言い換えると、反応性重合体粒子は耐クリ
ープ性及び密封性に優れたプラスチゾル組成物を与える
ための必須成分であると云える。また、ポットライフの
評価は2日で、貯蔵安定性にも劣っていた。
【0071】[比較例3]比較例3では実施例1の硬化
剤成分を変更した場合の検討結果について示す。可塑剤
としてBPBG40部と、硬化剤としてエピコート82
8、2部、東洋インキ製造(株)から入手した四メチロ
ール化ビスフェノールA(フェノール樹脂A)、2部を
予備混合し、更に、実施例1で用いた反応性共重合体樹
脂粉末50部との組み合わせでプラスチゾル組成物を作
製した。フェノール樹脂Aは固形分50%のブタノール
溶液の形で入手した。フェノール樹脂Aと可塑剤の予備
混合により、液が白濁し、フェノール樹脂Aの分散体が
形成され、フェノール樹脂Aは可塑剤と相溶しないこと
が確認された。
【0072】耐クリープ性及び密封性の評価を実施した
結果、応力緩和測定において、測定開始5分で突然破断
が生じ、密封性の試験においても、レトルト前後の重量
変化、及びライナー部の損傷が確認された。この結果、
硬化剤成分と可塑剤が相溶しない場合、均一な架橋反応
が進行せず、硬化剤の配合効果が発現しないことがわか
った。
【0073】[実施例2]更に、実施例2では実施例1
の硬化剤成分を変更した場合の検討結果について示す。
可塑剤としてBPBG40部と、硬化剤としてエピコー
ト828、2部、アデカハードナー6302、1部、ア
デカハードナーEH252、0.2部を予備混合し、更
に、実施例1で用いた反応性共重合体樹脂粉末50部と
の組み合わせでプラスチゾル組成物を作製した。アデカ
ハードナーは旭電化社の硬化剤であり、6302は変性
ポリアミドアミン、EH252は変性脂肪族ポリアミン
である。何れも、樹脂分100%の液状物の形で入手し
た。アデカハードナー6302とBPBGの相溶性が悪
く、完全に溶解しなかったが、無色透明のBPBGがか
なり強く着色され、アデカハードナー6302がBPB
Gに部分的に可溶化されていることが確認できた。
【0074】耐クリープ性及び密封性の評価を実施した
結果、応力緩和測定においては、120℃の緩和時間が
1時間以上であり、破断も観測されなかった。また、密
封性の試験においても、レトルト前後での重量変化がな
く、ライナーの損傷も生じていなかった。実施例2の結
果から、硬化剤は可塑剤中に部分的に可溶化されていれ
ば、十分に硬化を発揮することが確認できた。
【0075】[実施例3〜、比較例4〜10] 実施例3〜及び比較例4〜10では、反応性共重合体
樹脂粒子の組成、樹脂分子量、粒子径、可塑剤の種類、
架橋剤の組成や量を変えた種々のプラスチゾルの組成物
を調製し、実施例1と同様にして耐クリープ性及び密封
性の評価を実施した。実施例及び比較例で用いた樹脂、
可塑剤、及び硬化剤等の詳細については表2に示して説
明した。
【0076】
【表2】
【0077】尚、表2には、アルミパンにプラスチゾル
試料を少量とり、180℃−3分の条件で熱処理した場
合のゲル化性能についても記載した。柔軟で強靱なゲル
化シートが得られた場合を○、柔軟シートであるが若干
強度が落ちる場合を△、柔軟シートとならない場合を×
で表示した。そして、柔軟シートが得られたプラスチゾ
ル組成物についてだけ、耐クリープ性の試験及び密封性
の試験を実施した。評価結果は、表3で説明する。
【0078】
【表3】
【0079】[実施例10] 乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
開始剤としてペルオキソ2硫酸カリウムを用い、乳化重
合法及びシード重合法で、メタクリル酸メチル(MM
A)/メタクリル酸(MAA)重量比、90/10の共
重合体樹脂分散液を作製した。この時、MMAの3/4
量を単独重合した後、MMAの1/4量とMAAの全量
を用い、MMA/MAA比を順次上げていく多段フィー
ドを実施して重合を行った。マイクロトラックによる粒
子径測定では、平均粒子径1.6μmという値が得られ
た。この分散液を噴霧乾燥し、更に、90℃以下の条件
で減圧乾燥して、完全に乾燥した反応性共重合体樹脂粉
末を調整した。
【0080】THFを溶剤としたGPC測定より、樹脂
の分子量は230万であると決定できた。尚、拡散反射
IR測定より、樹脂100g当たりのカルボン酸ミリモ
ル数が82ミリモル、BF131と決定できた。
【0081】上記反応性樹脂粉末50部、ATBC40
部、エピコート828を4部、サイメル703を2.5
部、キャタリスト6000を0.2部の組み合わせでプ
ラスチゾルペーストを調整し、実施例1と同様にして、
耐クリープ性、密封性、及びポットライフを評価した。
【0082】耐クリープ性の試験では、120℃での緩
和時間が1時間以上であり、緩和測定中のサンプル破断
は観測されなかった。密封性の試験では、レトルト前後
の重量変化がなく、ライナー部の損傷も観測されていな
い。ポットライフは>28日であり、非常に安定であっ
た。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、可塑剤を主体とする分
散媒中に分散させるアクリル系樹脂粒子として、(メ
タ)アクリル酸エステル単位を主体とし、カルボキシル
基、その塩の基、水酸基、エポキシ基、メチロール基及
びエーテル化メチロール基から成る群より選ばれた官能
基を粒子重量当たり15乃至330ミリモル/100g
の濃度で含有する(メタ)アクリル系樹脂粒子を使用す
る一方、分散媒として、前記官能基に対して反応性を有
する架橋剤を分散媒中に少なくとも部分的に可溶化され
た状態で含有する、クエン酸アセチルトリブチル、フタ
ル酸ブチルベンジル及びブチルフタリルブチルグリコレ
ートから成る群より選択された可塑剤を用い、 架橋剤と
して、液状エポキシ化合物、変性乃至未変性のポリアミ
ン、変性乃至未変性のポリアミドアミンまたはメチロー
ル化乃至エーテルメチロール化アミノ樹脂を用い、
に、アクリル系樹脂粒子100重量部当たり、架橋剤が
2乃至20重量部、及び可塑剤が50重量部以上で10
0重量部未満の量で存在させることにより、長期間の保
存に際しても塗布、成形等に必要な優れた流動性が維持
され、加熱に際しては優れたゲル化性能を示し、しかも
得られるコーティング乃至成形体が著しく向上した耐ク
リープ性、即ち、ゲル化した状態での120℃での緩和
時間が少なくとも10分以上であるアクリル系樹脂プラ
スチゾルを提供することができた。
【0084】即ち、アクリル系樹脂中に存在する上記官
能基は、室温での保存時においてアクリル系樹脂と可塑
剤とが相溶するのを防止して、ポットライフを延長せし
め、また可塑剤中へのアクリル系樹脂の溶解を防止して
流動性を高め、塗布乃至成形の時の作業性をも高めると
共に、加熱ゲル化の際には、分散媒中の架橋剤と反応し
て、樹脂コーティング乃至成形体中に網状架橋構造を形
成し、このものの耐クリープ性を顕著に向上させる。
【0085】このアクリル系樹脂プラスチゾルは、塩化
ビニルのホモポリマーやコポリマーのプラスチゾルに匹
敵する諸性能が得られるため、焼却に際して、塩化水素
の大気中への放出や、ダイオキシンの発生を防止し、環
境上大きな利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の応力緩和測定の結果であって、時間
t(秒)に対して緩和弾性率Er(t)(dyn/cm
2 )をプロットしたグラフである。
【図2】比較例1の応力緩和測定の結果であって、時間
t(秒)に対して緩和弾性率Er(t)(dyn/cm
2 )をプロットしたグラフである。
【図3】本発明のプラスチゾルの分散構造を、模式的に
説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 アクリル系樹脂粒子 2 アクリル系樹脂のコア 3 官能基含有モノマー成分からなるシェル 4 分散媒
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C08L 33/04 61:32 63:00 79:02 77:00) (C08L 51/06 61:32 63:00 79:02 77:00) (56)参考文献 特開 昭56−82838(JP,A) 特開 昭56−65047(JP,A) 特開 昭53−144950(JP,A) 特開 昭54−117553(JP,A) 特開 平5−279539(JP,A) 特開 平5−255563(JP,A) 特開 平6−322225(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可塑剤を主体とする分散媒と該分散媒中
    に分散したアクリル系樹脂粒子とから成るプラスチゾル
    組成物において、前記アクリル系樹脂粒子が(メタ)ア
    クリル酸エステル単位を主体とし、カルボキシル基、そ
    の塩の基、水酸基、エポキシ基、メチロール基及びエー
    テル化メチロール基から成る群より選ばれた官能基を
    子重量当たり15乃至330ミリモル/100gの濃度
    で含有する(メタ)アクリル系樹脂粒子であり、前記
    散媒が前記官能基に対して反応性を有する架橋剤を分散
    媒中に少なくとも部分的に可溶化された状態で含有し、
    前記可塑剤がクエン酸アセチルトリブチル、フタル酸ブ
    チルベンジル及びブチルフタリルブチルグリコレートか
    ら成る群より選択された可塑剤であり、前記架橋剤が液
    状エポキシ化合物、変性乃至未変性のポリアミン、変性
    乃至未変性のポリアミドアミンまたはメチロール化乃至
    エーテルメチロール化アミノ樹脂であり、アクリル系樹
    脂粒子100重量部当たり、架橋剤が2乃至20重量
    部、及び可塑剤が50重量部以上で100重量部未満の
    量で存在し、且つゲル化した状態での120℃での緩和
    時間が少なくとも10分以上であることを特徴とする耐
    クリープ性に優れたアクリル系プラスチゾル組成物。
  2. 【請求項2】 前記アクリル系樹脂粒子が(メタ)アク
    リル酸エステル単位を主体とする樹脂成分のコアと、前
    記官能性基含有モノマー単位を有するアクリル樹脂成分
    のシェルとから成るアクリル系樹脂粒子である請求項1
    記載のプラスチゾル組成物。
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