JP2738620B2 - 加工性の優れた高磁束密度超低鉄損方向性電磁鋼板及びその製造方法 - Google Patents

加工性の優れた高磁束密度超低鉄損方向性電磁鋼板及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はグラス被膜(フォルステ
ライト被膜)を有しない方向性電磁鋼板、特に切断性、
打ち抜き性等の加工性に著しく優れた高磁束密度超低鉄
損方向性電磁鋼板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は一般に軟磁性材料とし
て、主としてトランスその他の電気機器の鉄心として使
用されるもので、磁気特性として、励磁特性と鉄心特性
が良好なものが要求される。
【0003】良好な磁気特性を得るためには、磁化容易
軸である〈001〉軸を圧延方向に高度に揃えることが
重要である。また、板厚、結晶粒度、固有抵抗、被膜等
も磁気特性に大きい影響を与えるため重要である。
【0004】結晶の方向性については、AlN,MnS
をインヒビターとして利用した高圧下最終冷延を特徴と
する方法により大幅に向上し、現在では磁束密度が理論
値に近いものまで製造されるようになってきた。一方、
方向性電磁鋼板の需要家における使用時に、磁気特性と
共に重要なのは被膜特性と共に加工性である。通常、方
向性電磁鋼板は最終仕上焼鈍時に形成するグラス被膜と
絶縁被膜の二層被膜によって表面が処理されている。
【0005】グラス被膜は焼鈍分離剤のMgOと脱炭焼
鈍時に形成するSiO2 の反応物であるフォルステライ
ト(Mg2 SiO4 )が主成分の被膜である。このセラ
ミック被膜は硬質で磨耗性が強く、電磁鋼板加工時のス
リット、切断、打ち抜き等の際の工具類の耐久性に著し
い悪影響を及ぼす。
【0006】例えば、グラス被膜を有する方向性電磁鋼
板の打ち抜き加工を行う場合には、金型の磨耗が生じ、
数千回程度の打ち抜きによって、打ち抜いた時にシート
の返りが大きくなり、使用時に問題が生じる程の返りが
生じる。このため、金型の再研磨、新品との取換えが必
要になる。
【0007】これは需要家における鉄心加工時の作業能
率を低下させ、またコスト上昇を招く結果になる。ま
た、電磁鋼板自体の磁気特性に対しては、たしかに被膜
張力による鉄損の改善効果があるが、形成状態によって
は被膜厚みの増加等によって、非磁性体による磁束密度
の低下の問題がある。
【0008】このため、鋼板板厚の厚い材料のように被
膜張力による鉄損改善効果が期待できないような材料
や、他の手段で磁区細分化を行い、鉄損が改善できるケ
ース等では、むしろ前記問題からグラス被膜を有しない
方向性電磁鋼板が望まれる。
【0009】とりわけ、近年では磁区細分化技術とし
て、光学的、機械的、化学的な手段による技術が発達
し、グラス被膜の張力なしでも鉄損の改善が得られるよ
うになり、むしろグラス被膜を有しない方向性電磁鋼板
の方が磁化の際の磁壁移動のピンニング現象を起こすグ
ラス被膜の内部酸化層等の悪影響がないため有利である
ことも分かってきた。このためグラス被膜を有しない高
磁束密度方向性電磁鋼板の開発は需要家での種々の使用
条件を考える際に重要で、ニーズが高まっている。とり
わけ、現在、方向性電磁鋼板にかわる軟磁性材料とし
て、非晶質合金がクローズアップされているが、磁束密
度が低い占積率が低い、加工性が劣悪等実用化に際して
様々な困難に直面している。従って、鉄損特性におい
て、非晶質合金と対抗し得る方向性電磁鋼板を開発する
ために、グラス被膜を有さない材料を開発することが重
要となって来ている。
【0010】グラス被膜を有さない方向性電磁鋼板の製
造方法としては、例えば特開昭53−22113号公報
に開示のものがある。これは、脱炭焼鈍において酸化膜
の厚みを3μm以下とし、焼鈍分離剤として含水珪酸塩
鉱物粉末を5〜40%含有する微粒子のアルミナを用
い、これを鋼板に塗布し、仕上焼鈍することからなる。
これによると、酸化膜を薄くし、さらに含水珪酸塩鉱物
の配合によって、剥離しやすいグラス被膜が形成され、
金属光沢を有するものが得られるとされている。焼鈍分
離剤によりグラス被膜の形成を抑制する方法としては、
特開昭56−65983号公報に示されるように、水酸
化アルミニウムに不純物除去用添加物20重量部、抑制
物質10重量部を配合した焼鈍分離剤を鋼板に塗布し、
0.5μm以下の薄いグラス被膜を形成する方法があ
る。また、特開昭59−96278号公報には、脱炭焼
鈍で形成した酸化層のSiO2 との反応が弱いAl2
3 と、1300℃以上の高温で焼鈍し、活性を低下させ
たMgOとからなる焼鈍分離剤が提案されている。これ
によると、フォルステライトの形成が抑制されるという
ものである。
【0011】これらの先行技術は、いずれも磁束密度が
8 値で1.88T以下と低く、従って鉄損値も高い低
級な方向性電磁鋼板をベースとする技術であり、本発明
のように、超低鉄損を実現するための条件を満たす方向
性電磁鋼板を安定して得る技術を開発するには至ってい
ない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、打ち抜き
性、スリット性、切断性等が極めて優れた、ほぼ均一に
グラス被膜のない高磁束密度超低鉄損方向性電磁鋼板及
び該鋼板を工業的に安価に製造する方法を提供すること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、重量比で、Si:1.0〜7.0%を含み、
トフラットニングの前又は後に、鋼板表面に線状又は点
状キズを付与して磁区細分化した方向性電磁鋼板におい
て、鋼板の金属表面から15μm内に分布する内部酸化
層の量が、当該厚み領域内の酸素含有量で1%以下であ
り、鉄損値W13/50 ≦0.3w/kgである加工性の優れた
高磁束密度超低鉄損方向性電磁鋼板であり、また、板厚
が0.25mm以下であり、鋼板の金属表面上に張力被膜
を有し、磁化方向の張力が付与されることを特徴とす
る。
【0014】更に本発明は、重量比で、C:0.021
〜0.075%、Si:2.5〜4.5%、酸可溶A
l:0.010〜0.040%、N:0.0030〜
0.0130%、S≦0.014%、Mn:0.05〜
0.45%を含有し、残部がFe及び不可避の不純物か
らなるスラブを、1280℃未満の温度で加熱した後、
熱延し、引続き熱延板焼鈍し又はすることなく、1回又
は焼鈍を挟む2回以上の冷延により最終板厚とし、次い
で脱炭焼鈍した後又は脱炭焼鈍の後半で若しくはこれら
の両段階で窒化処理した後に、焼鈍分離剤を塗布し、高
温仕上焼鈍し、ヒートフラットニングの前又は後に鋼板
表面に線状又は点状キズを付与し、磁区細分化すること
からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、焼鈍分離
剤として、MgO100重量部に対し、Li,K,N
a,Ba,Ca,Mg,Zn,Fe,Zr,Sn,S
r,Al等の塩化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫化物
の中から選ばれる1種又は2種以上を2〜30重量部添
加した分離剤を塗布し、次いで最終仕上焼鈍条件とし
て、昇温時、均熱までの雰囲気を少なくともN2 :30
%以上のN2 +H2 で焼鈍し、ヒートフラットニングの
前又は後に、線状又は点状キズを圧延方向に対して45
〜90度の方向に付与した後、絶縁被膜処理を行うこと
を特徴とする加工性の優れた高磁束密度超低鉄損方向性
電磁鋼板の製造方法である。
【0015】更に本発明は、脱炭焼鈍における鋼板酸素
目付量が900ppm 以下で、且つ酸化膜中のFeO/S
iO2 が0.20以下であること、窒化処理における窒
化量が150ppm 以上であること、焼鈍分離剤に使用す
るMgOが、粒子径が10μm以下のものを30%以上
含み、クエン酸活性度CAA値が50〜300秒(30
℃測定値)、水和水分が5%以下であること、線状又は
点状キズの付与条件が、製品を鉄心加工する際に、歪取
焼鈍を行わない場合には深さ5μm未満、歪取焼鈍を行
う場合には深さ5〜50μm、間隔2〜15mmとし、且
つ圧延方向に対して45〜90度の方向に線状又は点状
に処理すること、絶縁被膜剤の塗布に際し、無機、有
機、半有機のうち、いずれかを用いて1回又は2回以上
の焼付処理を行うこと、最終仕上焼鈍条件として、90
0℃〜1050℃の雰囲気を、N250〜90%のN2
+H2 で焼鈍することができる。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
高磁束密度超低鉄損方向性電磁鋼板の製造工程では、ス
ラブ加熱段階ではインヒビター元素、例えばAl,N,
Mn,S等の鋼中への溶解を完全に行わず、脱炭焼鈍
後、材料を強還元雰囲気中で窒化処理することによって
(Al,Si)Nを主成分とするインヒビターを形成さ
せ、仕上焼鈍過程で良好な二次再結晶を発達させた後、
磁区細分化することを基本工程とする。
【0017】前記した成分組成の出発材と工程による本
発明のグラス被膜を有しない高磁束密度方向性電磁鋼板
を得る方法においては、脱炭焼鈍〜仕上焼鈍過程での処
理方法に特徴がある。
【0018】最終板厚に冷延された素材は、連続ライン
において脱炭焼鈍される。この脱炭焼鈍により鋼中のC
の除去と一次再結晶が行われ、同時に鋼板表面にSiO
2 を主成分とする酸化膜の形成が行われる。この際の鋼
板の酸化量は、本発明の第一の要素技術であり、酸素目
付量として900ppm 以下、且つFeO/SiO2
0.20が特に望ましい。
【0019】脱炭焼鈍は800〜875℃、雰囲気はN
2 +H2 中で露点をコントロールして行われる。次いで
脱炭焼鈍の後半あるいは終了後若しくはこれらの両段階
において、同一ライン又は別に設けたラインで窒化処理
が行われる。この際の最適の窒化量は一次再結晶粒径に
もよるが、150ppm 以上、好ましくは150〜300
ppm として処理されるのが特に望ましい。
【0020】この後焼鈍分離剤を塗布し、乾燥して巻き
取り、最終仕上焼鈍される。この際の焼鈍分離剤の組成
は本発明の第二の要素技術であり、グラス被膜の形成制
御や分解反応に重要な役割を持つ。本発明に用いる焼鈍
分離剤としては、まず、MgOは、粒径10μm以下の
ものが30%以上であり、CAA値が50〜300秒、
水和水分が5%以下のものが望ましい。このMgOへの
添加剤としては、Li,K,Na,Ba,Ca,Mg,
Zn,Fe,Zr,Sn,Sr,Al等の塩化物、炭酸
塩、硝酸塩、硫酸塩、硫化物の1種又は2種以上を2〜
30重量部用いる。
【0021】本発明において焼鈍分離剤と共に重要なの
は第三の要素技術である最終仕上焼鈍の条件である。本
発明者等は、本発明のように脱炭焼鈍後に窒化処理を行
い、インヒビターとして(Al,Si)Nを主成分とす
るインヒビターを形成し、焼鈍分離剤と最終仕上焼鈍条
件によってグラス被膜の形成制御、分解反応を起こさせ
る工程を採る場合においては、焼鈍雰囲気条件が二次再
結晶の安定化と高磁束密度化に重要な要素となることを
膨大な実験と研究の結果つきとめた。
【0022】即ち、本発明のようにインヒビターとして
MnSを殆ど使用せず、(Al,Si)N系のインヒビ
ターを利用する工程においては、二次再結晶開始温度が
1100℃前後で、従来の高磁束密度方向性電磁鋼板の
製造法によるものより高い。このため、二次再結晶開始
温度領域までグラス被膜形成の抑制、分解反応を行いな
がらインヒビターの強度を一定レベルに保つ必要があ
る。
【0023】これは焼鈍分離剤によって、一旦グラス被
膜の形成が始まり、次いで分解反応を誘起する工程で
は、グラス被膜の分解反応が開始する時期から鋼中のイ
ンヒビターの分解が急速に進行するからである。このた
め、本発明のように特定条件下で仕上焼鈍を行わないと
良好な二次再結晶と高磁束密度が得られない。
【0024】仕上焼鈍条件としては、グラス被膜の分解
反応が開始する昇温時、均熱温度に到達するまでの雰囲
気をN2 30%以上として行われるのが良い。これによ
り、二次再結晶開始時期まで(Al,Si)Nの安定化
が保たれる。
【0025】また、インヒビターの分解速度は、鋼板の
比表面積が大きくなるほど大きくなるので、低鉄損化を
図るために板厚の薄い材料を作るときは、(Al,S
i)Nの更なる安定化を行わなければならない。例え
ば、板厚が0.17mm以下の時は、N2 50%以上の雰
囲気が望ましい。
【0026】仕上焼鈍された鋼板は形状矯正、歪取焼鈍
をかねて連続焼鈍ラインで800〜900℃で絶縁被膜
剤の焼付けとヒートフラットニングされる。このヒート
フラットニングの前又は後にレーザー、歯型ロール、プ
レス、ケガキ、局部エッチング等の局部加工により、深
さ5〜50μm、間隔2〜15mmで圧延方向に対して4
5〜90度の方向に線状キズ又は点状キズが導入され
る。この後、需要家における使用目的に応じて種々の絶
縁被膜剤が塗布され、焼付処理される。
【0027】超低鉄損を実現するための張力被膜を形成
しようとするときは、絶縁被膜剤として、例えば特公昭
53−28375号公報に示されるような、燐酸塩〜コ
ロイダルシリカ系の被膜剤が塗布され、焼付処理され
る。又、後の需要家での使用工程で良加工性を必要とす
る場合には、ヒートフラットニング後の鋼板上に有機被
膜剤又は半有機被膜剤を塗布・焼付処理して使用しても
よいし、無機被膜剤を塗布・焼付処理した後、有機系被
膜剤を塗布・焼付処理して二層被膜を形成して使用して
もよい。
【0028】有機系被膜剤としては、(1)アクリル、
ポリビニル、酢酸ビニル、エポキシ、スチレン等の樹脂
及び/又はこれらの重合体、架橋体の1種又は2種以上
の全有機被膜剤か、(2)前記(1)における樹脂クロ
ム酸塩、燐酸、燐酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩等の1種又は
2種以上の混合物からなる半有機系被膜剤を150〜4
50℃の温度で塗布・焼付処理して使用する。
【0029】これらの有機系被膜剤の塗布・焼付処理に
より、打ち抜き性、スリット性、切断性等が著しく改善
される。本発明によれば、従来のグラス被膜を有する製
品の打ち抜き性が、スチールダイスを使用する場合には
5千回程度であるのに対し、グラス被膜を有さない製品
では、無機絶縁被膜剤を塗布・焼付した場合、約10万
回、さらにこの上に半有機系被膜剤を塗布・焼付した場
合には、200万回程度まで打ち抜き性が向上する。
【0030】次に、本発明における構成要件の限定理由
について述べる。まず、出発材として使用する電磁鋼ス
ラブの成分組成の限定理由は次の通りである。Cはその
含有量が0.021%未満では、二次再結晶が不安定に
なり、二次再結晶した場合にも製品の磁束密度がB8
1.80Tesla 程度と低いものになる。一方、0.07
5%超になると、脱炭焼鈍工程で長時間を要するため、
生産性を阻害する。
【0031】Siは、その含有量によって固有抵抗が変
化する。1.0%未満では、脱炭焼鈍時にSiO2 の酸
化層が鋼板表面に形成されにくく、本発明による、二次
再結晶時の表面シール効果が得られにくい。Si含有量
が8%を超えると、最終製品の靭性が極端に劣化し、実
用に耐えない。なお、超低鉄損の実現し易さという点で
は、Si含有量を2.5%以上として製品の固有抵抗を
確保することが望ましく、生産性の面からは、Si4.
5%以下として、冷間圧延時の割れ、破断防止の困難を
低減することが望ましい。
【0032】本発明の出発材の成分系における特徴の一
つは、Sを0.014%以下とすることにある。従来の
公知技術は、例えば特公昭47−25220号公報に開
示されている技術においては、SはMnSとして二次再
結晶を生起させるに必要な析出物を形成する元素で、前
記公知技術においてSが最も効果を発現する含有範囲が
あり、それは熱延に先立って行われるスラブ加熱段階で
MnSを固溶できる量として規定されていた。
【0033】しかし、近年の研究において、二次再結晶
に必要な析出物として(Al,Si)Nを用いる一方向
性電磁鋼板の製造プロセスにおいて、素材中のSi量の
多いスラブを低温でスラブ加熱して熱延する場合、Sは
二次再結晶不良を助長することが見出された。素材中の
Si量が4.5%以下の場合、S含有量は0.014%
以下、好ましくは0.0070%以下であれば二次再結
晶不良の発生は全く生じない。
【0034】本発明では二次再結晶に必要な析出物とし
て(Al,Si)Nを用いる。従って、必要最低限のA
lNを確保するためには、酸可溶Alは0.010%以
上、Nは0.0030%以上必要である。しかしなが
ら、酸可溶Alが0.040%を超えると熱延中のAl
N量が不適切となり、二次再結晶が不安定となるため、
0.010〜0.040%に制限される。一方、Nの含
有量は、0.0130%を超えるとブリスターと呼ばれ
る鋼板表面の割れが発生し、また一次再結晶の粒径が調
整できないため、0.0030〜0.0130%に限定
する。
【0035】Mnは0.05%未満では二次再結晶が不
安定となる。しかし、多くなるとB8 は高くなるが、一
定量以上添加してもコスト面で不利となる。このため、
0.05〜0.45%に制限される。
【0036】本発明における脱炭焼鈍は、酸素目付量で
900ppm 以下、且つFeO/SiO2 が0.20以下
が望ましい。酸素目付量が900ppm 超では、必然的に
酸化膜中のSiO2 量、FeO量が多くなり、酸化膜の
厚みも増すため、最終仕上焼鈍中でのグラス被膜分解反
応を行うに際して不利となる傾向がある。即ち、表面直
下にSiO2 が残留し、加工性向上効果を弱めたり、完
全に鏡面的なグラスレスの表面状態が得られないばかり
でなく、磁性劣化の原因になる。
【0037】さらに、過剰のSiO2 の形成は、二次再
結晶開始以前に鋼中のインヒビターのAlN等のSiO
2 による分解反応を促進するため、良好な方位を有する
方向性が得られなくなるという問題がある。しかし、極
端に酸化量を抑制しようとすると、脱炭時間が長くなる
という問題があり、生産性を阻害する。特に好ましい範
囲は酸素目付量で400〜700ppm である。
【0038】また、酸化膜中のFeO/SiO2 は0.
20以下が望ましい。0.20超になると仕上焼鈍前半
でのグラス被膜形成反応性が極端に増加し、フォルステ
ライト形成量が増大するため、後のフォルステライトの
分解工程で十分に反応が進行しにくい。FeO/SiO
2 ≦0.20であればMgOへの添加物等の効果によっ
て最終仕上焼鈍後では、ほぼ完全にグラス被膜を有しな
い鋼板が得られる。
【0039】脱炭焼鈍後の鋼板の窒化量は150ppm 以
上とする。これは、本発明の工程で安定して良好な二次
再結晶を得るためにインヒビター(Al,Si)Nを形
成するために必要な条件である。150ppm 未満では二
次再結晶が不安定になり、細粒の発生が生じやすい。し
かし、300ppm 超では後の脱N等の反応の際に表面に
肌あれ状のムラを生じたり、後の純化工程で不利になる
場合があるので、300ppm 以下とするのが望ましい。
【0040】次に焼鈍分離剤に使用するMgOは粒子
径、CAA値、水和水分量に特に望ましい条件がある。
本発明の技術では、グラスレス化は仕上焼鈍の昇温時前
段で形成した適度のグラス被膜を昇温時後段で化学反応
により分解除去することにより行われる。即ち、仕上焼
鈍前段の二次再結晶開始までのインヒビターの安定化の
ためには、この時期における適度な量のグラス被膜によ
る追加酸化、窒化等の抑制効果を利用する必要があり、
磁気特性の優れたグラスレスの製品を得るために重要だ
からである。
【0041】このためには、焼鈍分離剤のベースとなる
MgO自体が適度の反応性を持っていることが重要であ
る。即ち、MgOの反応性が極端に悪いと、仕上焼鈍の
昇温過程前半のフォルステライトの形成反応が進行せ
ず、被膜によるシール効果が生じない。
【0042】このような場合、二次再結晶が生じても極
端に結晶方位が悪くなったり、追加酸化により、鋼板表
面直下に残留SiO2 ,Al2 3 或いはこれらのスピ
ネルが生じて鉄損の劣化をもたらす。このため、MgO
の粒子径は10μm以下のものが30%以上であるよう
にするのが望ましい。これが30%未満では、極端に反
応性が悪くなって前記効果を発揮できない。
【0043】またMgOのCAA値は50〜300秒が
望ましい。この値が50秒未満では工業的に使用する際
に極端に水和の進行が早くなって、水和水分のコントロ
ールが困難になり、他方300秒超では、MgO粒子の
反応性が極度に低下して、仕上焼鈍前段での適度なフォ
ルステライトの形成が生じにくくなる。
【0044】また、MgOの水和水分は5%以下が望ま
しい。これが5%超になると、鋼板間の露点が高くなっ
て昇温時前段で追加酸化を生じ、均一なグラスレス化状
態を作ることが困難になり、極端な場合にはインヒビタ
ーにまで影響を与えて二次再結晶不良が生じる。
【0045】MgOへの添加物としては、Li,K,N
a,Ba,Ca,Mg,Zn,Fe,Zr,Sn,S
r,Al等の塩化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫化物
の中から選ばれる1種又は2種以上がMgO100重量
部に対して2〜30重量部配合される。
【0046】これらの化合物の添加により、まず仕上焼
鈍昇温時前段で鋼板表面に適度の薄いフォルステライト
被膜が形成され、次いでフォルステライトの形成抑制
と、追加酸化が防止され、昇温時後段に被膜層中のFe
のエッチング反応により、被膜層が分解され、グラスレ
ス化される。
【0047】これらの化合物の添加量が2重量部未満で
は前段で形成したフォルステライトの分解反応が十分に
進行せず、グラス被膜が残留するため好ましくなく、一
方30重量部超では添加剤中の成分元素が鋼板中に拡散
侵入して粒界エッチングを起こしたり、インヒビターに
影響を与えたり、後の純化処理に影響を与えるため好ま
しくない。最も好ましい範囲は5〜15重量部である。
【0048】最終仕上焼鈍の条件は、本発明のように最
終焼鈍過程でグラス被膜の適度な形成と分解を行う工程
においては非常に重要である。通常、方向性電磁鋼板の
最終仕上焼鈍においては、雰囲気ガスはN2 ,H2 或い
はこれらの混合ガスが用いられるが、表面の酸化制御と
コストの問題からN2+H2 が有利である。
【0049】本発明の場合、グラスレス化反応の過程の
中でインヒビターの強度を制御するため、昇温中の雰囲
気ガスとして少なくともN2 30%以上のN2 ,H2
び他の不活性ガスからなる雰囲気が用いられる。N2
圧力が30%未満では、グラスレス化の反応過程で生じ
る(Al,Si)Nの弱体化の抑制効果がなく、高磁束
密度材が安定して得られない。特にN2 20%以下のよ
うな雰囲気条件では著しい磁気特性の劣化をもたらす。
【0050】しかし、N2 100%のような場合には、
MgOの物性値によっては、鋼板間の酸化度の上昇によ
って、酸化が生じて、鋼板表面にむらが生じることがあ
る。好ましくはN2 30〜90%の範囲である。
【0051】また、板厚が薄くなると、(Al,Si)
Nの分解速度が大きくなり、最適二次再結晶条件を確保
することが困難になる。従って、雰囲気ガス制御による
(Al,Si)Nの分解抑制力を高める必要がある。板
厚が0.17mm以下の時は、N2 50〜90%が、好ま
しい範囲である。これらの雰囲気条件は、実際に二次再
結晶が進行する900℃〜1050℃の温度域で確保す
ることが必要な条件である。
【0052】N2 30%以上のガスの使用に当たって昇
温時全体をこの雰囲気中で焼鈍してもよいが、MgOの
条件等によっては追加酸化が生じることがあり、(A
l,Si)Nの安定化に最も効果的な温度である700
℃以後に切り替えるのが好ましい。
【0053】最終仕上焼鈍における均熱温度は本発明に
おいては1180〜1250℃とするのが有利である。
本発明においては、最終仕上焼鈍の均熱に到達した時点
でグラスレス化が実現しており、この時期の温度によっ
てはさらに熱的なエッチングにより、鋼板表面の鏡面化
が得られる。均熱温度が1180℃未満ではこの効果が
弱く、また、純化に対して不利となる。一方、1250
℃超では、鏡面化効果に限界があることと、コイル形状
が悪くなったり、エッジ部の焼付きが発生することがあ
る。
【0054】この後、得られた鋼板に絶縁被膜剤を塗布
し、ヒートフラットニングするに際し、ヒートフラット
ニングの前又は後にレーザー、歯型ロール、プレス、ケ
ガキ、局部エッチング等により、鋼板表面に線状キズを
付与する。
【0055】線状キズの条件は、電磁鋼板の用途によっ
て異なる。需要家で鉄心を加工する際に歪取焼鈍を行わ
ずに使用する場合は、適度な歪みによる効果を利用する
ため、深さは5μm未満のような浅い条件でよい。一
方、歪取焼鈍工程を必要とする巻き鉄心の場合には、線
状キズの状態が重要で深さ5〜50μm、間隔2〜15
mmで圧延方向に対して45〜90度である。
【0056】線状キズの幅は特に特定するものではない
が、できるだけ狭い方がよい。深さ5μm未満では焼鈍
後の鉄損値の改善効果が小さく、50μm超では磁束密
度の低下が大きくなり、高磁場での特性を考えると不利
になる。線状キズの方向はこの領域を外れると鉄損の改
善効果が得られなかったり、劣化が生じる。
【0057】次いで、塗布・焼付処理される絶縁被膜剤
としては使用目的によって、無機、有機、半有機被膜等
が用いられる。鉄損低減を目的として張力効果を得るに
は、コロイド状シリカと燐酸塩を主成分とする処理剤や
燐酸塩単独の処理剤を塗布・焼付処理する。これによっ
て得られる被膜は、耐熱性も良好である。加工性を要求
されるケースでは、無機、有機、半有機被膜剤を1回又
は2回以上塗布・焼付処理される。本発明によりグラス
被膜を有しない超低鉄損材が得られるメカニズムは、以
下のようであると考えられる。本発明においては、脱炭
焼鈍で形成した反応性を制御した適正量の酸化膜と反応
性を制御したMgO及び添加材により、まず仕上焼鈍の
昇温過程前段で適正量のグラス被膜を形成する。これに
より鋼板表面に適度のシール効果が生じ、AlN,Mn
S等のインヒビターの安定化が図れる。
【0058】次いで仕上焼鈍昇温時後段で、MgOに配
合された塩化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、硫化物等の
添加物の作用によってグラス被膜のエッチング、分解反
応が進行する。この後、さらに仕上焼鈍の高温均熱段階
で、サーマルエッチング効果が生じる。
【0059】この段階においては、冷延時の表面荒れ、
脱炭焼鈍での酸化膜の不均一化等によって生じた鋼板地
鉄面の凹凸が平滑化されて鏡面的な表面となる。これ
は、グラスレス化することにより、高温熱処理時の表面
の原子の移動が容易になり、表面張力を下げる結果、表
面の平滑化がもたらされるからである。
【0060】このような反応過程では、二次再結晶開始
前までは、インヒビターの安定化、強化が重要であり、
この対策として、本発明においてはN2 分圧をコントロ
ールする。これにより、インヒビターの安定化が保た
れ、高磁束密度の方向性電磁鋼板が得られる。
【0061】このようにして得られたグラスレスで、且
つ高磁束密度方向性電磁鋼板は、磁区細分化処理により
通常のグラス被膜付きの高磁束密度の方向性電磁鋼板に
比べて大きな鉄損改善効果が得られる。
【0062】これは、1つはグラス被膜を有する製品に
見られるグラス被膜及び内部酸化層がないことと、もう
1つは凹凸が少ないスムーズな表面であることの2つの
効果によって、磁区細分化の時の磁壁移動の際にピンニ
ング現象がないため、高磁束密度の効果と相まって大き
な効果を生み、超低鉄損材が得られるものと考えられ
る。
【0063】
【実施例】実施例1 重量比でC:0.056%、Si:4.01%、Mn:
0.10%、酸可溶Al:0.030%、N:0.00
70%、S:0.0065%を含有し、残部Fe及び不
可避不純物からなる素材を2.0mmに熱延し、1120
℃で2分間焼鈍し、酸洗し、冷延して最終板厚0.22
0mmとした。
【0064】次いで、N2 25%+H2 75%、露点5
5℃の雰囲気中で850℃で3分間の脱炭焼鈍を行っ
た。この時の鋼板の酸素目付量は600ppm であった。
次いで、N2 25%+H2 75%+NH3 の雰囲気中で
770℃で鋼板N量が220ppm になるように窒化処理
を行い、供試材とした。
【0065】この鋼板上に表1に示す組成の焼鈍分離剤
を塗布し、図2(A),(B),(C)に示す雰囲気条
件で最終仕上焼鈍を行った。次いで、この鋼板に歯幅3
0μmの歯型ロールで深さ15μmになるように間隔5
mmで鋼板の圧延方向と直角方向に線状キズを付与した
後、絶縁被膜処理剤として、20%コロイド状シリカ1
00ml+50%Al(H2 PO4 3 50ml+CrO3
5gからなる溶液を乾燥後重量で10g/m2 となるよ
うに塗布し、880℃で45秒間のヒートフラットニン
グと焼付処理を行った。この時の鋼板表面の被膜特性及
び磁気特性を表2に示す。
【0066】この結果本発明によるものは、いずれもほ
ぼ全面的にグラス被膜が形成せず、金属光沢を呈してお
り、打ち抜き性が良好であった。また、磁気特性は昇温
雰囲気のN2 分圧の高い本発明の焼鈍条件(A),
(B)によるものは非常に良好であった。しかし、焼鈍
分離剤を本発明のものを用いても焼鈍条件が(C)の条
件によるものは、いずれも磁束密度が低く、良好な磁性
は得られなかった。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】実施例2 実施例1と同一の素材コイルを同様にして処理し、最終
板厚0.17mmの冷延板を得た。次いで、N2 25%+
2 75%中で露点を変更して酸素目付量(1)500
ppm ,(2)750ppm ,(3)1200ppm となるよ
うに脱炭焼鈍し、次いでN2 25%+H2 75%+NH
3 雰囲気中で窒素量が250ppm となるように窒化処理
を行って出発材とした。
【0070】この鋼板に表3に示す組成の焼鈍分離剤を
塗布し、最終仕上焼鈍を図2(A)に示すサイクルで行
った。この後、この鋼板に歯幅20μmのプレスロール
間隔4mm、深さ10μmの条件で圧延方向に直角な方向
に線状キズを付与し、5%H2 SO4 で80℃で10秒
間の軽酸洗をし、絶縁被膜処理剤として、20%コロイ
ダルシリカ100ml+50%Al(H2 PO4 3 50
ml+CrO3 5gからなる処理剤を乾燥後の重量で8g
/m2 になるように塗布した後、890℃で30秒間の
ヒートフラットニングと焼付処理を行った。
【0071】この製品板に別のラインでアクリル系樹脂
をベースとする半有機被膜剤を乾燥後の重量で0.3g
/m2 になるように塗布し、300℃で30秒間焼付処
理を行った。この時の鋼板表面状況及び磁気特性を表4
に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】この結果、本発明によるものは脱炭後の酸
素目付量500ppm ,750ppm の材料はいずれもグラ
スレス化が顕著で、グラス被膜量の定量の結果でもほと
んどフォルステライトが形成されていないことが確認さ
れた。また、打ち抜き性の試験結果においても非常に良
好な結果が得られた。また、磁気特性も酸素目付量50
0ppm ,750ppm の条件では本発明の焼鈍分離剤のも
のは、いずれも高磁束密度で、良好な鉄損値が得られ
た。
【0075】実施例3 重量比でC:0.060%、Si:3.80%、Mn:
0.100%、酸可溶Al:0.026%、N:0.0
075%、S:0.075%を含有し、残部Fe及び不
可避不純物からなる素材を熱延し、1120℃で2分間
焼鈍し、酸洗し、冷延して最終板厚0.150mmとし
た。次いで、脱炭焼鈍条件としてN2 25%+H2 75
%、露点65℃にて830℃×1.5分間の焼鈍を行っ
た。この時の鋼板の酸素目付量は550ppm であった。
次いで、実施例1,2と同様にして窒素量が200ppm
になるように窒化処理を行って出発材とした。
【0076】この鋼板に表5に示す組成の焼鈍分離剤を
塗布し、図2(B)に示す条件で最終仕上焼鈍を行っ
た。この後2%H2 SO4 ,80℃で15秒間の条件で
軽酸洗を行い、絶縁被膜剤として20%コロイダルシリ
カ100ml+50%Al(H2PO4 3 50ml+Cr
3 5gの組成の処理剤を乾燥後の重量で6g/m2
割合で塗布し、850℃で30秒間のヒートフラットニ
ングと焼付処理を行った。
【0077】この製品板にレーザーを用いて鋼板の圧延
方向と直角方向に間隔5mm、照射幅0.15mm、照射痕
の深さ2.0μmの条件で歪み付与処理を行って最終製
品とした。この時の鋼板表面状況と磁気特性の結果を表
6に示す。
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】この結果、本発明によるものは、いずれも
グラスレス化が顕著で、レーザー処理による磁区制御を
行った製品の特性が良好であった。特に、MgOのCA
A値280秒のMgOを使用したものは良好な結果が得
られた。一方、比較材の条件では厚いグラス被膜を形成
したが、磁区制御後の特性がやや悪い結果となった。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、グラス被膜を有しない
加工性の良好な高磁束密度超低鉄損方向性電磁鋼板を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】最終仕上焼鈍におけるインヒビター元素Alの
変化(a)及びNの変化(b)を示す図表である。
【図2】最終仕上焼鈍条件を示す図で、(A),(B)
は本発明の焼鈍条件の例を示す図、(C)は従来の焼鈍
条件を示す図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増井 浩昭 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本 製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (72)発明者 原谷 勤 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本 製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (72)発明者 石橋 希瑞 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本 製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (72)発明者 小野 正雄 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本 製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (72)発明者 美嶋 洋一 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本 製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (56)参考文献 特開 平3−294427(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、Si:1.0〜7.0%を含
    み、ートフラットニングの前又は後に、鋼板表面に線
    状又は点状キズを付与して磁区細分化した方向性電磁鋼
    板において、鋼板の金属表面から15μm内に分布する
    内部酸化層の量が、当該厚み領域内の酸素含有量で1%
    以下であり、鉄損値W13/50 ≦0.3w/kgであることを
    特徴とする加工性の優れた高磁束密度超低鉄損方向性電
    磁鋼板。
  2. 【請求項2】 板厚が0.25mm以下であり、鋼板の金
    属表面上に張力被膜を有し、磁化方向の張力が付与され
    たことを特徴とする請求項1記載の加工性の優れた高磁
    束密度超低鉄損方向性電磁鋼板。
  3. 【請求項3】 重量比で、 C :0.021〜0.075%、 Si:2.5〜4.5%、 酸可溶Al:0.010〜0.040%、 N :0.0030〜0.0130%、 S≦0.014%、 Mn:0.05〜0.45%、 残部がFe及び不可避の不純物からなるスラブを、12
    80℃未満の温度で加熱した後、熱延し、引続き熱延板
    焼鈍し又はすることなく、1回又は焼鈍を挟む2回以上
    の冷延により最終板厚とし、次いで脱炭焼鈍した後又は
    脱炭焼鈍の後半で若しくはこれらの両段階で窒化処理し
    た後に、焼鈍分離剤を塗布し、高温仕上焼鈍し、ヒート
    フラットニングの前又は後に鋼板表面に線状又は点状キ
    ズを付与し、磁区細分化することからなる方向性電磁鋼
    板の製造方法において、焼鈍分離剤として、MgO10
    0重量部に対し、Li,K,Na,Ba,Ca,Mg,
    Zn,Fe,Zr,Sn,Sr,Al等の塩化物、炭酸
    塩、硝酸塩、硫酸塩、硫化物の中から選ばれる1種又は
    2種以上を2〜30重量部添加した分離剤を塗布し、次
    いで最終仕上焼鈍条件として、昇温時、均熱までの雰囲
    気を少なくともN2:30%以上のN2 +H2 で焼鈍
    し、ヒートフラットニングの前又は後に、線状又は点状
    キズを圧延方向に対して45〜90度の方向に付与した
    後、絶縁被膜処理を行うことを特徴とする加工性の優れ
    た高磁束密度超低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 脱炭焼鈍における鋼板酸素目付量が90
    0ppm 以下で、且つ酸化膜中のFeO/SiO2 が0.
    20以下であることを特徴とする請求項記載の加工性
    の優れた高磁束密度超低鉄損方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 窒化処理における窒化量が150ppm 以
    上であることを特徴とする請求項3記載の加工性の優れ
    た高磁束密度超低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 焼鈍分離剤に使用するMgOが、粒子径
    が10μm以下のものを30%以上含み、クエン酸活性
    度CAA値が50〜300秒(30℃測定値)、水和水
    分が5%以下であることを特徴とする請求項3記載の加
    工性の優れた高磁束密度超低鉄損方向性電磁鋼板の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 線状又は点状キズの付与条件が、製品を
    鉄心加工する際に、歪取焼鈍を行わない場合には深さ5
    μm未満、歪取焼鈍を行う場合には深さ5〜50μm、
    間隔2〜15mmとし、且つ圧延方向に対して45〜90
    度の方向に線状又は点状に処理することを特徴とする請
    求項3記載の加工性の優れた高磁束密度超低鉄損方向性
    電磁鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 絶縁被膜剤の塗布に際し、無機、有機、
    半有機のうち、いずれかを用いて1回又は2回以上の焼
    付処理を行うことを特徴とする請求項3記載の加工性の
    優れた高磁束密度超低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】 最終仕上焼鈍条件として、900℃〜1
    050℃の雰囲気を、N2 50〜90%のN2 +H2
    焼鈍することを特徴とする請求項3記載の加工性の優れ
    た高磁束密度超低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法。
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