JP2738114B2 - 鉄道車両用二軸台車 - Google Patents

鉄道車両用二軸台車

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JP2738114B2 JP5275390A JP5275390A JP2738114B2 JP 2738114 B2 JP2738114 B2 JP 2738114B2 JP 5275390 A JP5275390 A JP 5275390A JP 5275390 A JP5275390 A JP 5275390A JP 2738114 B2 JP2738114 B2 JP 2738114B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は鉄道車両用の走行装置である台車に関するも
のである。台車に求められる機能は、車両の支持、駆
動、誘導の3つであるが、そのうち誘導機能の性能を飛
躍的に向上させる台車の考案である。すなわち、曲線旋
回時の自己操舵性能と高速走行安定性を両立させる台車
である。本発明による台車は、高速での蛇行動安定性を
保ちながら、曲線旋回時に輪軸を曲線半径方向への自己
操舵性能を飛躍的に向上させることができる。
(従来の技術) 従来の鉄道車両用二軸台車では、左右の車輪が剛に結
合され、左右の車輪の回転速度が等しくなる輪軸を用い
ており、これら2つの輪軸の支持装置は前後対称となっ
ている。すなわち、軸箱支持剛性、減衰力作用要素、輪
軸どうしを結合するリンク機構、台車枠と輪軸を結合す
るリンク機構などは前後対称である。
(発明が解決しようとする問題点) この従来の方式の台車では、台車の誘導機能に関して
以下の欠点がある。すなわち、曲線旋回時の自己操舵性
能は十分でなく、曲線半径が小さいと輪軸の操舵は十分
行なわれず大きな横圧の発生を引起こす。さらに、フラ
ンジ接触を起こしやすく、フランジ摩耗や騒音の原因と
もなる。一方、この曲線旋回時の自己操舵性能を向上さ
せようとすると、自励振動の一種である蛇行動が発生す
る臨界速度が低下し、高速時の安定性が低下してしま
う。
本発明の目的は上記の欠点を解決し、実用上十分な高
速時の蛇行動安定性を保ちながら、曲線旋回時の自己操
舵機能を飛躍的に向上させることである。
そこで先ず、従来の台車で曲線旋回時の自己操舵機能
がどのように行われるか、蛇行動がどのように発生し、
従来はいかに防止しているのかを説明する。そして、従
来の蛇行動防止方法は、曲線旋回時の自己操舵性能を低
下させることを説明する。
(従来台車の自己操舵機能) 左右の車輪は剛に結合されており、車輪のレールとの
接触面、すなわち車輪踏面には勾配が付けられている。
よって、輪軸単体が曲線に沿って旋回するときには、曲
線外側に輪軸が変位することにより、左右の車輪の回転
速度は等しくても、車輪の回転半径が外軌側車輪の方が
大きくなり、車輪はすべることなく転がることができ
る。これが輪軸の自己操舵機能の原理である。さらにこ
の機能は、直線走行時においても、軌道不整等による外
乱が作用したときに、輪軸の運動を元の運動に戻すため
の復元作用をも生じさせる。
しかし、このような輪軸単体での自己操舵機能および
復元作用は、蛇行動を発生させ、台車の運動を不安定に
する原因ともなる。そのため、台車枠と輪軸の間に相対
ヨーイング運動を弾性的に拘束する軸箱支持剛性で結合
する。
(蛇行動発生機構) 蛇行動を引起こすレールから輪軸に作用する力は、車
輪の進行方向に対するヨーイング角によって決る横クリ
ープ力、車輪とレール間の進行方向のすべりに依存する
縦クリープ力である。前者は輪軸がヨーイングすなわち
操舵すると進行左右方向に発生する力である。後者は左
右の車輪の回転速度が等しいために、輪軸が左右方向に
変位すると、左右車輪の回転半径の差によりすべりが生
じるために発生する左右の車輪で逆向きの進行方向力で
あり、この力は輪軸をヨーイングさせるモーメントを発
生する。
(従来台車の蛇行動防止方法) 従来の台車では蛇行動を防止するために、これらのク
リープ力と釣りあうように、軸箱に作用する軸箱支持剛
性による弾性力、および減衰力作用要素による減衰力を
作用させる。しかし、縦クリープ力と横クリープ力のう
ち、輪軸の左右速度、ヨーイング速度に依存する力は走
行速度にほぼ反比例するため、速度が高くなると、速度
に依存する輪軸の蛇行動を減衰させる作用は小さくなっ
てしまう。減衰力の減少は自励振動を引起こし、台車の
運動が不安定となる蛇行動が発生する。この蛇行動が発
生して輪軸の運動が不安定になる限界の速度を臨界速度
と呼び、実用上、この臨界速度は運転速度よりも大きく
する必要がある。このために従来用いられてる方法は、
輪軸のヨーイング運動を拘束する前後方向軸箱支持剛性
を大きくすることである。
(従来台車の蛇行動防止法が自己操舵機能を低下させる
理由) 前後方向軸箱支持剛性が大きくなると、曲線での自己
操舵性能は以下の説明のように低下する(図4(b)参
照)。
(イ)先ず始めに、仮に前後の輪軸が曲線半径方向に完
全に操舵した状態を考える。
(ロ)前輪軸と台車枠間に相対ヨーイング変位が生じる
ため、前輪軸には前後方向軸箱支持剛性より、操舵を妨
げる方向のモーメントが発生する。後輪軸にも同様、逆
回りのモーメントが作用する。これらは台車枠を通じた
内力であるため、向きが反対で大きさは等しくなければ
ならない。
(ハ)これらのモーメントと釣りあうために、縦クリー
プ力が両輪軸に作用しなければならない。そのために
は、前輪軸は外側に変位し、後輪軸は内側に変位する。
よって、前後の輪軸は相対左右変位を生じる。
(ニ)一方、(ロ)のように、ヨーイングによる軸箱支
持剛性によるヨーイングモーメントは前後軸で等しくな
ければならないため、台車枠はヨーイングしない。
(ホ)よって、(ハ)(ニ)より、輪軸と台車枠間の相
対左右変位が生じ、左右方向軸箱支持剛性より前輪軸は
曲線内向きに、後輪軸は曲線外向きに左右方向の力を受
ける。
(ヘ)この左右方向力は、車輪とレール間の左右方向力
と釣りあわなければならない。この力は横クリープ力で
あり、輪軸の曲線半径方向の操舵状態から、操舵と逆向
きの輪軸のヨーイング変位がなければ発生しない。
(ト)すなわち、前後方向軸箱支持剛性の存在により、
輪軸を完全に操舵することはできない。図4(b)に、
従来台車が曲線を旋回している状態の輪軸、台車枠の変
位を示す。
曲線半径が小さく、前後方向軸箱支持剛性が大きい
と、輪軸に作用するヨーモーメントは大きくなる。よっ
て、前輪軸の外側への変位はさらに大きくなり、フラン
ジ遊間が狭ければフランジが外軌に接触することにな
る。フランジ接触はフランジやレールの摩耗を導くだけ
でなく、騒音の原因ともなる。
(問題点を解決するための手段) 以上の欠点を解決したのが、本発明である。従来の台
車において、蛇行動防止方法と曲線旋回時の自己操舵機
能を低下させる原因の一つは、台車構成の前後対称性で
ある。よって本発明の基本的な解決法は、台車の構成を
前後非対称にすることである。
本発明では、請求項(1)および(3)の2通りの手
段により問題を解決した。すなわち、請求項(1)で
は、図1に示すように、前軸の前後方向軸箱支持剛性を
後軸のそれよりも小さくし、さらに前軸の速いヨーイン
グ運動に抵抗力を発生する減衰力作用要素を取り付けた
台車である。請求項(2)は、進行方向が前後に入替わ
る場合に、請求項(1)を満たす台車を具体的に実現す
る方法であり、図2のように減衰力を切換えられる減衰
力作用要素を台車枠・軸箱間に前後方向に取り付けた台
車である。請求項(3)は、図3のように、後軸のみに
左右車輪が独立に回転できる車輪を用い、さらに前後軸
の相対左右変位および速度に対する拘束を作用させる構
成要素を、前後軸の中心点から前後にずらして非対称と
した台車である。
(作用) 以下に、本発明による手法により、従来台車の問題点
が解決できることを説明する。
(請求項(1)の台車の作用) 図4(a)に、請求項(1)の台車が曲線旋回してい
る状態の輪軸、台車枠の変位を示す。上記の(従来台車
の蛇行動防止法が自己操舵機能を低下させる理由)で示
したように、従来台車において、前後方向軸箱支持剛性
の存在が輪軸の自己操舵機能を妨げる要因は、(ホ)の
軸箱に作用する左右方向力の存在である。よって、この
左右方向軸箱支持剛性による左右方向力が作用しないよ
うな台車構造とすれば良い。そのためには、台車枠が
(ホ)の軸箱左右方向力がなるべく作用しないようにヨ
ーイングすれば良い。すなわち、台車枠の左右方向軸箱
支持剛性取り付け位置での左右変位が、前輪軸の左右変
位とほぼ等しいように台車枠がヨーイングすればよい。
前軸は曲線外側に、後軸は曲線内側に変位するから、台
車枠は左旋回ならば右向きにヨーイングすることにな
る。よって、前軸と台車枠との相対ヨーイング変位は、
後軸と台車枠との相対ヨーイング変位よりも大きくな
る。(ニ)のように、これらの相対ヨーイング変位によ
って生じる前後方向軸箱支持剛性によるヨーイングモー
メントは等しくなければならない。そのためには、前後
方向軸箱支持剛性の大きさが前後の輪軸で異なればこの
条件が成立する。すなわち、前軸と台車枠間の前後方向
軸箱支持剛性の大きさが後軸と台車枠間の前後方向軸箱
支持剛性よりも小さければよい。以上が、請求項(1)
において、前輪軸の前後方向軸箱支持剛性が後輪軸の前
後方向軸箱支持剛性よりも小さくするという構成による
作用の説明である。前輪軸の前後方向軸箱支持剛性を後
輪軸のそれよりも適切に小さくすることにより、理想的
には前後の輪軸は曲線半径方向に完全に自己操舵するこ
とができる。
しかし、この条件のみでは、前軸の前後方向軸箱支持
剛性が小さくなり、前輪軸の蛇行動に対する安定性が低
下してしまう。これを防止する手段が請求項(1)にお
いて、前輪軸と台車枠の相対ヨーイング速度に対して作
用する減衰力作用要素を備え、台車の前後輪軸の前後方
向軸箱支持剛性が非対称であるという条件である。であ
る。上記(蛇行動発生機構)で説明したように、蛇行動
は輪軸の運動について、輪軸のヨーイング速度によって
定まるクリープ力が、速度が高くなるにつれ小さくなる
ことによって生じる。よって、この減衰力を補うように
輪軸と台車枠間に作用する減衰力作用要素を設けて蛇行
動を防止する。なお、従来台車では、減衰力作用要素
は、台車枠と車体の間に左右動ダンパ、ヨーダンパとし
て用いられているが、この位置には減衰力作用要素は用
いられていない。
この減衰力作用要素は速度が大きくなるほど大きな抵
抗力を発生するため、蛇行動のような周波数の高い振
動、すなわちヨーイング速度の大きい運動には大きな力
が作用して効果を発揮するが、曲線旋回における操舵に
よるヨーイングについては、ゆっくりした動きとなるた
め、大きな抵抗力とはならない。そして、ヨーイング速
度がゼロの場合には抵抗力は発生しないため、定常的に
曲線を旋回している状態では、自己操舵性能にはなんら
影響を与えない。よって、従来台車では不可能であっ
た、曲線旋回時の自己操舵をほぼ完全に行ないながら、
かつ蛇行動安定性を十分確保することが可能となる。
(請求項(2)の台車の作用) 請求項(1)を満たす台車は、前後非対称となるた
め、双方向に走行する場合は、進行方向によって、前後
方向軸箱支持剛性を切換え、さらに前後方向に作用する
減衰力作用要素を付け替える必要が生じる。請求項
(2)は、この操作を簡単に行なうことができる台車で
ある。すなわち、図2のように減衰力が切換えられる減
衰力作用要素を取り付けるだけで実現する。進行方向に
対して後軸となる側の減衰力作用要素の減衰力が非常に
大きくなるように切換える。減衰力が非常に大きい場
合、輪軸と台車枠の相対変位は拘束され、両者は剛体の
ような運動をする。すなわち、後軸の前後方向軸箱支持
剛性が等価的に大きくなったことになる。前軸について
は、減衰作用を伴い後軸の前後方向軸箱支持剛性よりも
小さな値を持つことになり、請求項(1)の条件を満た
す台車となる。
(請求項(3)の台車の作用) 従来台車の蛇行動防止法が、輪軸の自己操舵機能を妨
げるという問題点を解決する第二の手段が本発明であ
る。すなわち、台車内の輪軸の支持構造の非対称化だけ
でなく、さらに蛇行動の安定化のために、後軸のみに左
右車輪が独立に回転できる車輪を用いる前後非対称性を
導入する。
この独立回転車輪を用いると、左右の車輪の回転速度
が独立に取り得るため、車輪とレールのすべりが大幅に
減少する。よって、蛇行動の原因のとなる車輪・レール
間に作用する縦クリープ力が非常に小さくなり、臨界速
度は向上し、走行安定性は向上する。しかし、同時に輪
軸の自己操舵機能も失われる。
そこで請求項(3)は、独立回転車輪の持つ走行安定
性向上の長所を生かし、台車の自己操舵機能を保つため
に、進行方向後軸のみに独立回転車輪を用い、前軸には
自己操舵機能を持つ通常の輪軸を用いる考案である。
(請求項(3)の非対称輪軸支持機構) 前軸の自己操舵機能を向上させるために、請求項
(1)と同様、前軸の支持機構と後軸の支持機構を異な
るものとし、非対称とする。ここでは、輪軸の前後およ
び左右方向の運動を拘束する機構として、図5に示すよ
うに、台車枠と軸箱間に作用する前後方向軸箱支持剛性
だけでなく、輪軸と台車枠間に作用するリンク機構、前
後の輪軸を直接結合するリンク機構などについても考慮
し、等価支持剛性で考える。
これらの図5のような各種の台車構造は、前後の輪軸
の相対変位のみに着目すれば、図6のような等価曲げ剛
性kbと等価せん断剛性kseに、等価的に置き換えて考え
ることができる。一般的な輪軸の運動を拘束するこの等
価支持剛性で考えた場合の前後非対称性は、等価せん断
剛性の作用点の前後軸の中心点からのずれで表すことが
できる。これを前後非対称指数と呼びasで表す。この値
は進行方向前側に移動した場合正の値を取るとする。図
5のそれぞれの台車の場合、前後非対称指数、等価曲げ
剛性および等価せん断剛性は次式で表される。
(イ)図5(a)の台車:従来の台車と同じ構成である
が、前後方向の軸箱支持剛性が前後で異なる台車であ
り、前軸の前後方向軸箱支持剛性をkx1、後軸の前後方
向軸箱支持剛性をkx2、前後軸の左右方向軸箱支持剛性
をkyとする。
as =−a(kx1−kx2)/(kx1+kx2) kb =2 kx1 kx2 bx2/(kx1+kx2) kse =ky(kx1+kx2)bx2/ {2 a2ky+(kx1+kx2)bx2} (ロ)図5(b)の台車:輪軸と台車枠をリンクで結合
した台車で、リンクによる輪軸のヨーイング回転中心と
輪軸までの距離が前後軸で異なる方式である。前軸のこ
の距離をa1、後軸のこの距離をa2(進行後側に回転中心
がある場合は符号を負とする)、リンクの剛性をk0、前
後軸の前後方向軸箱支持剛性をkxとする。
as =(a1+a2)/2 kb =kx bx2 kse =k0 kx bx2 [{a+(a1−a2)/2}2k0+kx bx2] (ハ)図5(c)の台車:前後輪軸をリンクで結合した
台車で、リンクの交点が中心からのずれている方式であ
る。この前方へのずれをasc(後方へのずれは負とす
る)、リンクの剛性をks、前後軸の前後方向軸箱支持剛
性をkxとする。
as =asc kb =kx bx2 kse =ks なお、軸箱支持剛性およびリンク剛性はそれぞれ1輪
軸当りの剛性である。また、減衰力作用要素についても
全く同様である。
(実施例) 本発明の台車について、蛇行動に対する臨界速度、曲
線旋回時の自己操舵性能を計算した結果を図7、8に示
す。図7は、請求項(1)および(2)の台車の性能で
あり、図8は請求項(3)の台車の性能を示す。
図7(a)は請求項(1)および(2)の台車と、従
来の台車の自己操舵性能の比較である。直線区間から84
mの緩和曲線を経て曲率半径400m、カント量210mmの定常
曲率の曲線区間を速度100km/hで走行した場合の輪軸の
左右変位、ヨーイング変位を示す。左右変位は軌道中心
からの内側変位を正とし、ヨーイング変位は、完全に輪
軸が操舵して輪軸が曲線半径方向に操舵した状態からの
ヨーイング変位、すなわちアタックアングルで表し、曲
線旋回と逆向きを正変位とした。すなわち、アタックア
ングルが零のとき、完全な操舵が行われている。従来台
車(破線で示す)では、操舵が十分行われていないばか
りか、フランジ接触を起こす。一方、本発明による台車
(実線で示す)では、ほぼ理想的に自己操舵が行われて
おり、フランジ接触も避けられる。
図7(b)は、請求項(1)および(2)の台車につ
いて、蛇行動が発生する臨界速度の計算結果である。横
軸に1輪軸当りの後軸の前後方向軸箱支持剛性の大き
さ、縦軸に1輪軸当りの前後軸の左右方向軸箱支持剛性
の大きさを取り、臨界速度の等高線を実線で示す。破線
は前後軸の前後方向軸箱支持剛性の比を示す。この計算
例では、後軸の前後方向軸箱支持剛性を約106N/m以上、
それに応じて前軸の前後方向軸箱支持剛性は後軸の0.2
から0.4倍程度、左右方向軸箱支持剛性を106N/m程度に
選択すれば、速度288km/hまで蛇行動は発生せず、通常
の鉄道において実用上問題はないことがわかる。
なお、ここでの計算は線形運動方程式で表し、台車の
諸定数は通常用いられている値とし、以下の値を用い
た。
輪軸の質量:1525kg、輪軸のヨーイング慣性モーメン
ト:461.3kgm2、軌間:1067mm、軸箱取り付け距離:bx=0.
82m、軸距の半分:a=1.05m、車輪回転半径:r=0.43m、
車輪踏面勾配:λ=0.1、縦クリープ係数:κ1=5.6×
106N、横クリープ係数:κ2=5.0×106N、台車枠質量:
3400kg、台車枠のヨーイング慣性モーメント:2877.8kgm
2、枕ばね左右剛性:6.86×105N/m、左右動ダンパの減衰
係数:10Ns/m、ヨーダンパの減衰係数:2×105Nms。
図7(a)についてはさらに、従来台車の1輪軸当り
の前後および左右方向軸箱支持剛性:kx=107N/m ky=5
×105N/m、請求項(1)および(2)の台車について、
1輪軸当りの左右方向軸箱支持剛性:ky=5×105N/m、
1輪軸当りの前軸の前後方向軸箱支持剛性:kx1=1.43×
106N/m、同後軸の剛性:kx2=107N/m、減衰力作用要素の
1輪軸当りの減衰係数:5×104Ns/m、同取り付け距離:0.
82mを用いた。また、図7(b)で、前軸の前後方向軸
箱支持剛性の値は、自己操舵性能が計算上最適となるよ
うに次式で定めた。この最適となる条件は、曲線の曲率
半径には依存しない。
as =a b λ kx2/(2 a κ1 λ+kx2 b r) kx1 =kx2(a−as)/(a+as) 図8は、請求項(3)の台車について、任意の曲率を
持つ曲線軌道を旋回するとき、定常状態での自己操舵角
が完全な操舵状態の80%満足される条件で、等価支持剛
性を変えて蛇行動臨界速度を求めたものである。図8
(a)は請求項(3)の条件(イ)および(ロ)のよう
に、後軸を独立回転車輪とした場合で、縦軸に等価せん
断剛性、横軸に等価曲げ剛性をとって臨界速度の等高線
を実線で示したものである。破線は前後非対称性指数as
の値である。asが零の時は対称となり、一点鎖線で示
す。この計算例では、asをおよそ1から2mとする非対称
性を導入すると、臨界速度が向上することがわかる。図
8(b)は、前後軸とも通常の輪軸を用いた場合の計算
結果である。図8の計算条件では、一般的に台車の蛇行
動安定性を向上させる枕ばねや左右動ダンパ、ヨーダン
パ装置などが装備されていない条件で、台車単体が走行
する場合の計算結果である。このため、図8(b)で対
称となるas=0の一点鎖線上で表される従来の台車で
は、蛇行動の臨界速度が非常に低い。しかし、請求項
(3)の台車は、このように従来台車では実用が不可能
な条件であり、かつ曲線旋回時の自己操舵性能が全く同
じであるにもかかわらず、蛇行動の臨界速度を向上さ
せ、実用上問題ない安定性を確保することができる。な
お、図8(b)でasが零でない状態は、請求項(1)の
条件(イ)のみを満たす台車であり、条件(ロ)を満た
さないと、この計算例では安定性が確保できないことが
わかる。請求項(3)の台車では、後軸のみ独立回転車
輪を用いることにより、減衰力作用要素がなくても蛇行
動の臨界速度の向上が図れることになる。また、本計算
では、簡単化のため、台車枠の質量を無視し、その他の
定数は図7の条件と同一である。
(発明の効果) 以上のように、本発明により、台車の蛇行動安定性を
実用上十分保ちながら、曲線旋回時の自己操舵性能を飛
躍的に向上させることができる。よって、車輪とレール
間に作用するすべりを大幅に減少させることができるた
め、車輪踏面やレールの摩耗を防止することができる。
また、同時に車輪とレールの間に作用するクリープ力も
減少するため、レールに作用する横圧を大幅に低下する
ことが可能となり、軌道破壊の防止にも役立つ。さら
に、フランジ接触も避けやすくなり、フランジやレール
の摩耗の防止、フランジ接触による騒音の防止が可能と
なる。すなわち、実用上極めて有用な台車となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明請求項(1)の実施例を示す台車の平面
図。 第2図は請求項(2)を示す台車の改良部分の側面図。 第3図は請求項(3)を示す台車の平面図。 第4図は、曲線旋回時の輪軸の挙動について、従来台車
と本発明請求項(1)および(3)の台車の比較を示
す。 第5図は請求項(3)の実施例を示す台車の平面図。 第6図は請求項(3)における台車内の輪軸支持装置の
等価せん断剛性、等価曲げ剛性を示す図である。 第7図は請求項(1)および(2)の効果を示す計算結
果である。 第8図は請求項(3)の効果を示す計算結果である。 1:台車枠、2:前輪軸、3:後輪軸、4:軸箱、5:左右方向軸
箱支持剛性、6:前輪軸前後方向軸箱支持剛性、7:後輪軸
前後方向軸箱支持剛性、8:減衰力作用要素、9:車輪、1
0:軸ばね、11:減衰力が切換えられる減衰力作用要素、1
2:独立回転車輪、13:等価せん断剛性、14:前後方向軸箱
支持剛性、15:等価曲げ剛性、16:輪軸・台車枠間結合リ
ンク、17:輪軸間結合リンク

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】走行状態の二軸台車において、進行方向に
    対し、前輪軸の前後方向軸箱支持剛性が後輪軸の前後方
    向軸箱支持剛性よりも小さく、かつ前輪軸と台車枠の相
    対ヨーイング速度に対して作用する減衰力作用要素を備
    え、台車の前後輪軸の前後方向軸箱支持剛性が非対称で
    あることを特徴とする鉄道車両用二軸台車。
  2. 【請求項2】減衰力作用要素が軸箱と台車枠の前後方向
    の相対速度に対して減衰力を発生し、かつ発生する減衰
    力の大きさを切換えできることを特徴とする請求項
    (1)記載の鉄道車両用二軸台車。
  3. 【請求項3】走行状態の二軸台車において、進行方向に
    対し、前輪軸は左右の車輪が一体となって回転する輪軸
    であり、後輪軸は左右の車輪が独立に回転する独立車輪
    からなり、前後輪軸の相対左右変位および相対左右速度
    に対して作用する等価剪断剛性および等価剪断減衰要素
    が前後輪軸の中心からずれた位置に存在し、前後輪軸の
    相対左右変位および相対左右速度により前後輪軸に対し
    てヨーイングモーメントを発生するように構成したこと
    を特徴とする鉄道車両用二軸台車。
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