JP2736353B2 - 丸刃工具 - Google Patents

丸刃工具

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JP2736353B2
JP2736353B2 JP14834989A JP14834989A JP2736353B2 JP 2736353 B2 JP2736353 B2 JP 2736353B2 JP 14834989 A JP14834989 A JP 14834989A JP 14834989 A JP14834989 A JP 14834989A JP 2736353 B2 JP2736353 B2 JP 2736353B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、白板紙,ダンボール紙等の厚紙の切断に使
用される丸刃工具、とくにその刃先に関するものであ
る。
[従来の技術] 磁気テープ製造用の丸刃工具としてジルコニア製のも
のが知られている(特開昭61−14170号公報)。また、
各種のセラミックス製の鋏について、150μmのアート
紙の切断試験結果から、刃先角度を20〜90゜および刃先
厚みを0.02〜0.8mmとすることが提案されている(特開
昭59−108585号公報)。
いっぽう、厚紙を切断するための丸刃工具の材料とし
ては、もっぱら高速度工具鋼が用いられており、きれい
な切り口をえ、紙粉の発生を少なくするために刃物の切
れ味が重視されてその刃先角は15〜45゜から選ばれてい
る。
[発明が解決しようとする課題] ところで、丸刃工具で切断される厚紙は、通常550g/m
2程度以下のものであるが、400g/m2以上の厚い紙を切断
するには刃物同士の押付け圧力を高くしなければなら
ず、このような厚いものを切断する場合従来使用されて
いる高速度工具鋼は、摩耗がはなはだしくて寿命がごく
短い。
近年、ジルコニア基セラミックスが切削材料として開
発されているが、これらは鋼よりも靭性に劣り、刃先を
15〜45゜にした厚紙切断用丸刃の刃部として用いると、
高い押付け圧力によってはなはだしくチッピングをおこ
して実用にならない。しかし、ジルコニア基セラミック
スは鋼よりはるかに耐摩耗性に富むので、このチッピン
グの問題を解決することができれば、上記の従来の高速
度工具鋼製のものよりも寿命の長い丸刃工具となる。
そこで、本発明者らは、ジルコニア基セラミックスを
丸刃工具とし、その刃先を60゜にして400〜550g/m2の厚
紙を切断したところ、紙粉の発生がはなはだしいだけで
なく、チッピングも激しかった。
本発明は、このような問題の解決、すなわち刃部がジ
ルコニア基セラミックスからなる、厚紙を切断するため
の丸刃工具において、これらの材料がチッピングをおこ
しやすいという欠点を克服した、寿命の長い、そのうえ
切れ味のよい丸刃工具を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、ジルコニア基セラミックスを400g/m2
以上の厚紙を切断しても、刃先を刃殺しし、その刃殺し
部の角度および幅ならびに切れ刃角を特定の範囲のもの
とすれば、切れ味(切り口の状態,紙粉の発生状況な
ど)および耐チッピング性のいずれの点にも優れた丸刃
工具となることを見出だして本発明に到達した。
すなわち、本発明は、厚紙を切断するための丸刃工具
において、ジルコニア基セラミックスからなる、切れ刃
角15〜45゜,刃殺し角75〜90゜および刃殺し幅0.05〜0.
2mmの刃部をもつことを特徴とする刃丸工具、を要旨と
するものである。
刃部における切れ刃角,刃殺し角および刃殺し幅をこ
れらの条件を満たすものとすることにより、上記の本発
明の目的を達成することができる。これら切れ刃角,刃
殺し角および刃殺し幅のいずれかが小さすぎると、チッ
ピングがおきやすくなり、いっぽう、それらのいずれか
が大きすぎると、切れ味がわるくなる。たとえば、刃殺
し角が75゜未満であって刃殺し幅が0.2mmをこえると、
チッピングがおきやすく、かつチッピングがおこる前か
ら切れ味がわるい。
本発明の丸刃工具は、刃部のみをジルコニア基セラミ
ックスとしてもよく、また丸刃全体にこれらの材料を使
用してもよい。ジルコニア基セラミックスしては、とく
に靭性に富むY2O32〜4モル%の部分安定化ジルコニア
がよく、それにアルミナを1〜50wt%添加したものはそ
のうえ硬度が高くいっそう寿命の長いものとなる。
[実施例] 実施例 1 部分安定化ジルコニア粉末 100重量部 (東ソ−(株)製 TZ−3Y,Y2O3 3モル%) イオン交換水 28重量部 ワックスエマルジョン 1.0重量部 (中京油脂(株)製 WA−320) ポリカルボン酸塩 1.0重量部 (東亜合成(株)製 A−6114)にアルミナボールを加
え、アルミナポット中で一昼夜粉砕混合し高濃度ジルコ
ニア泥しょうとした。
この泥しょうを外径240mm,内径157mm,厚さ7mmの石こ
う型キャビティ内に注入した。泥しょうが固化したの
ち、成形体を型から取出し、室温で一昼夜乾燥した後、
空気中で1500℃、2時間焼成した。その後、アルゴンガ
スで1500℃、1500気圧で2時間HIP処理し、ジルコニア
基セラミックス丸刃工具用素材を得た。
次いで、このジルコニア基セラミックス丸刃工具用素
材を研削加工、刃付け加工して外径180mm、内径120mm、
厚さ4mmの丸刃工具とした。このようにして製作した同
じ仕様の上下の丸刃によるコート紙切断試験を行なっ
た。
第1図に、その刃部の刃先の仕様を示す。図中、t,
θ,α,βは、それぞれ刃殺し幅,刃殺し角,切れ刃
角,逃げ角である。
切れ刃角αは45゜、逃げ角βは15゜に固定とした。ま
た刃殺し幅tおよび刃殺し角θは、第1表に示す通りで
ある。
被削材として、350g/m2,400g/m2,450g/m2および550g/
m2の白板紙を選定した。
第1表に試験結果を示す。これらの白板紙全部を上記
の順序に切断した。白板紙の切口および紙粉の発生状態
については、それらの全ての白板紙において、良好な試
験結果を得たものを◎、550g/m2の白板紙の切断時に切
断状態が悪化したものを○、450g/m2の白板紙の切断時
に切断状態が悪化したものを△、450g/m2よりも薄い白
板紙の切断時に切断状態が悪化したものを×とした。ま
た、耐チッピング性に関しては、試験後、刃がぼろぼろ
になったもを×、若干チッピングを生じるものを△、全
くチッピングが生じないものを○とした。
この第1表に示した結果からわかるように、厚さ0.5m
m以上の白板紙を切断する場合には本発明のジルコニア
基セラミックス丸刃工具は良好な切れ味を示し、高い耐
チッピング性と良好な切れ味を併せ持っていることがわ
かる。
実施例2 上記、実施例1と同様な製造方法で作製したジルコニ
ア基セラミックス丸刃工具用素材を、刃殺し角および刃
殺し幅をそれぞれθ=80゜、t=0.2mmに固定して、ま
た逃げ角βを8゜として、切れ刃角αを10゜,15゜,30
゜,45゜,60゜と変化させて実施例1と同様な白板紙の切
断試験を行った。
その試験結果を第2表に示す。これより、切れ刃角が
15〜45゜の範囲であれば、耐チッピング性,紙の切口の
状態および紙粉の状態のいずれも良好なジルコニア基セ
ラミックス丸刃工具となることがわかる。
以上、実施例1および実施例2の結果より本発明の丸
刃工具は薄いものだけでなく、450g/m2以上の厚いシー
トの切断にも非常に良い性能を示すことがわかる。
[発明の効果] 上記の実施例で試験した550g/m2の白板紙は、丸刃工
具によって切断される厚紙の中でも通常もっとも厚く硬
い、すなわちもっとも難削なものに属するものである。
その結果から明らかなように、本発明の丸刃工具は、厚
紙を支障なく、すなわち、チッピングをおこさず、切れ
味よく切断することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実地例で作製し、使用した丸刃工具の刃先
の、寸法および角度の入った断面図である。図中の符号
の意味は、つぎのとおりである。 α……切れ刃角、β……逃げ角 θ……刃殺し角、t……刃殺し幅

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚紙を切断するための丸刃工具において、
    ジルコニア基セラミックスからなる、切れ刃角15〜45
    ゜,刃殺し角75〜90゜および刃殺し幅0.05〜0.2mmの刃
    部をもつことを特徴とする、丸刃工具。
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