JP2735132B2 - 高密度エリンバー型Fe基焼結合金の製造法 - Google Patents
高密度エリンバー型Fe基焼結合金の製造法Info
- Publication number
- JP2735132B2 JP2735132B2 JP9179390A JP9179390A JP2735132B2 JP 2735132 B2 JP2735132 B2 JP 2735132B2 JP 9179390 A JP9179390 A JP 9179390A JP 9179390 A JP9179390 A JP 9179390A JP 2735132 B2 JP2735132 B2 JP 2735132B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- powder
- alloy
- elinvar
- raw material
- based sintered
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、良く知られているエリンバー型Fe基溶解
合金に匹敵する特性を有するエリンバー型Fe基焼結合金
を通常の真空焼結法を用いて製造する方法に関するもの
である。
合金に匹敵する特性を有するエリンバー型Fe基焼結合金
を通常の真空焼結法を用いて製造する方法に関するもの
である。
従来、一般に音叉やメカニカルフィルター、さらに磁
歪振動子やトルク計などの精密機器の構造部材などの製
造に、各種のエリンバー型合金、すなわち弾性率(ヤン
グ率)の温度による変化の小さい合金が広く用いられて
おり、またこれらエリンバー型合金の1つとして、例え
ば特開昭57−149441号公報および特開昭60−59050号公
報に記載される通り、重量%で(以下%は重量%を示
す) Ni:45〜70%、 Cr:0.01〜15%、 Ti:5%以下、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成をもっ
たFe基合金が知られている。
歪振動子やトルク計などの精密機器の構造部材などの製
造に、各種のエリンバー型合金、すなわち弾性率(ヤン
グ率)の温度による変化の小さい合金が広く用いられて
おり、またこれらエリンバー型合金の1つとして、例え
ば特開昭57−149441号公報および特開昭60−59050号公
報に記載される通り、重量%で(以下%は重量%を示
す) Ni:45〜70%、 Cr:0.01〜15%、 Ti:5%以下、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成をもっ
たFe基合金が知られている。
上記のFe−Ni−Cr−Ti系のFe基合金を含め、従来エリ
ンバー型合金は、溶解法により製造されるものであるた
めに、所定形状の最終製品とするには、所定成分組成に
調製した溶湯をインゴットあるいは合金粉末とし、前記
インゴットは直接、合金粉末は粉末冶金法にて焼結イン
ゴットとした状態で、これに圧延や引抜きなどの塑性加
工、さらに打抜きや切削などの機械加工などの多くの工
程を施す必要があり、生産性および製造コストの面で問
題がある。
ンバー型合金は、溶解法により製造されるものであるた
めに、所定形状の最終製品とするには、所定成分組成に
調製した溶湯をインゴットあるいは合金粉末とし、前記
インゴットは直接、合金粉末は粉末冶金法にて焼結イン
ゴットとした状態で、これに圧延や引抜きなどの塑性加
工、さらに打抜きや切削などの機械加工などの多くの工
程を施す必要があり、生産性および製造コストの面で問
題がある。
一方、これら所定形状をもったエリンバー型合金を、
生産性および製造コストの面で有利な粉末冶金法により
直接製造する試みがなされ、例えば上記のFe−Ni−Cr−
Ti系の合金を、原料粉末として、Fe−Ti合金粉末、Fe−
Cr合金粉末、Fe−Cr−Ni合金粉末、Ni粉末、およびカー
ボニル鉄粉を用い、これら原料粉末を所定の配合組成に
配合し、通常の条件で、混合し、圧粉体にプレス成形し
た後、焼結し、さらにホットプレスを施すことにより製
造する試みもなされたが、上記の通りホットプレス付加
によっても高密度化は不可能であるために、上記の従来
エリンバー型溶解合金のもつ特性に比して著しく劣る特
性しか示さず、実用化は困難であるという結果しか得ら
れていない。
生産性および製造コストの面で有利な粉末冶金法により
直接製造する試みがなされ、例えば上記のFe−Ni−Cr−
Ti系の合金を、原料粉末として、Fe−Ti合金粉末、Fe−
Cr合金粉末、Fe−Cr−Ni合金粉末、Ni粉末、およびカー
ボニル鉄粉を用い、これら原料粉末を所定の配合組成に
配合し、通常の条件で、混合し、圧粉体にプレス成形し
た後、焼結し、さらにホットプレスを施すことにより製
造する試みもなされたが、上記の通りホットプレス付加
によっても高密度化は不可能であるために、上記の従来
エリンバー型溶解合金のもつ特性に比して著しく劣る特
性しか示さず、実用化は困難であるという結果しか得ら
れていない。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、エリ
ンバー型焼結合金の高密度化をはかるべく、特に上記の
Fe−Ni−Cr−Ti系のFe基焼結合金に着目し研究を行なっ
た結果、原料粉末のうちのTi成分供給用原料粉末として
水素化チタン(以下、TiHxで示す)粉末を用いると、こ
のTiHx粉末は、きわめて高い反応性を有し、焼結時に金
属Tiと水素に分解し、この結果分解水素は他の原料粉末
の表面に付着する酸化物などと反応し、これを除去して
表面活性化に作用し、一方金属Ti自体も活性なTiとなっ
て前記表面活性化した粉末と反応するようになることか
ら、焼結性のきわめて良好な状態となるので、製造され
た焼結体は理論密度比で98%以上の高密度をもつように
なり、このように高密度化した焼結体は、溶解合金と同
等のエリンバー特性をもつほか、機械的性質にもすぐれ
たものになるという研究結果を得たのである。
ンバー型焼結合金の高密度化をはかるべく、特に上記の
Fe−Ni−Cr−Ti系のFe基焼結合金に着目し研究を行なっ
た結果、原料粉末のうちのTi成分供給用原料粉末として
水素化チタン(以下、TiHxで示す)粉末を用いると、こ
のTiHx粉末は、きわめて高い反応性を有し、焼結時に金
属Tiと水素に分解し、この結果分解水素は他の原料粉末
の表面に付着する酸化物などと反応し、これを除去して
表面活性化に作用し、一方金属Ti自体も活性なTiとなっ
て前記表面活性化した粉末と反応するようになることか
ら、焼結性のきわめて良好な状態となるので、製造され
た焼結体は理論密度比で98%以上の高密度をもつように
なり、このように高密度化した焼結体は、溶解合金と同
等のエリンバー特性をもつほか、機械的性質にもすぐれ
たものになるという研究結果を得たのである。
この発明は、上記研究結果にもとづいてなされたもの
であって、原料粉末として、TiHx粉末、Fe−Cr合金粉
末、Fe−Cr−Ni合金粉末、Ni粉末、アトマイズ鉄粉およ
び/またはカーボニル鉄粉を用い、これら原料粉末を、 Ni:35〜45%、 Cr:1〜10%、 Ti:0.1〜5%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成に配合
し、通常の条件で、混合し、圧粉体に成形した後、真空
焼結することにより高密度エリンバー型Fe基焼結合金を
製造する方法に特徴を有するものである。
であって、原料粉末として、TiHx粉末、Fe−Cr合金粉
末、Fe−Cr−Ni合金粉末、Ni粉末、アトマイズ鉄粉およ
び/またはカーボニル鉄粉を用い、これら原料粉末を、 Ni:35〜45%、 Cr:1〜10%、 Ti:0.1〜5%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成に配合
し、通常の条件で、混合し、圧粉体に成形した後、真空
焼結することにより高密度エリンバー型Fe基焼結合金を
製造する方法に特徴を有するものである。
なお、この発明の方法における配合組成は以下の理由
で定められている。
で定められている。
(a)Ni Ni成分には、弾性率の温度による変化を抑制する作用
があるが、その配合割合が35%未満でも、また45%を越
えても弾性率の温度変化が急激に増大するようになるの
で、その配合割合を35〜45%と定めた。
があるが、その配合割合が35%未満でも、また45%を越
えても弾性率の温度変化が急激に増大するようになるの
で、その配合割合を35〜45%と定めた。
(b)Cr Cr成分には、合金の耐食性および耐熱性を向上させる
作用があるが、その配合割合が1%未満では前記作用に
所望の効果が得られず、一方その配合割合が10%を越え
ると弾性率の温度変化が増大するようになることから、
その配合割合を1〜10%と定めた。
作用があるが、その配合割合が1%未満では前記作用に
所望の効果が得られず、一方その配合割合が10%を越え
ると弾性率の温度変化が増大するようになることから、
その配合割合を1〜10%と定めた。
(c)Ti Ti成分は、上記の通り焼結性を向上させる目的でTiHx
の形で配合されるが、その配合割合が0.1%未満では実
質的にTiHxの割合が少なすぎて、所望の良好な焼結性を
確保することができず、またTi成分には合金成分として
含有して結晶微細化に寄与し、合金強度を向上させる作
用があり、所望の強度向上のためにも0.1%以上の配合
は必要であり、一方その配合割合が5%を越えると、合
金の靱性が低下するようになるという理由で、その配合
割合を0.1〜5%と定めたのである。
の形で配合されるが、その配合割合が0.1%未満では実
質的にTiHxの割合が少なすぎて、所望の良好な焼結性を
確保することができず、またTi成分には合金成分として
含有して結晶微細化に寄与し、合金強度を向上させる作
用があり、所望の強度向上のためにも0.1%以上の配合
は必要であり、一方その配合割合が5%を越えると、合
金の靱性が低下するようになるという理由で、その配合
割合を0.1〜5%と定めたのである。
つぎに、この発明の方法を実施例により具体的に説明
する。
する。
原料粉末として、いずれも10〜150μmの範囲内の所
定の平均粒径を有するTiHx粉末、Fe−Cr合金(Cr:13%
含有)粉末、Fe−Cr−Ni合金(Cr:18%、Ni:8%含有)
粉末、Ni粉末、アトマイズ鉄粉、およびカーボニル鉄粉
を用い、これら原料粉末をそれぞれ第1表に示される配
合組成に配合し、ボールミルにて72時間混合し、5ton/c
m2の圧力で圧粉体にプレス成形した後、10-4torrの真空
中、1300〜1500℃の範囲内の所定温度に2時間保持後、
Arガス吹付冷却の条件で焼結することにより本発明焼結
製造法を実施し、2mm×5mm×40mmの寸法をもち、かつ 配合組成と実質的に同一の成分組成をもった本発明Fe基
焼結合金1〜6をそれぞれ製造した。
定の平均粒径を有するTiHx粉末、Fe−Cr合金(Cr:13%
含有)粉末、Fe−Cr−Ni合金(Cr:18%、Ni:8%含有)
粉末、Ni粉末、アトマイズ鉄粉、およびカーボニル鉄粉
を用い、これら原料粉末をそれぞれ第1表に示される配
合組成に配合し、ボールミルにて72時間混合し、5ton/c
m2の圧力で圧粉体にプレス成形した後、10-4torrの真空
中、1300〜1500℃の範囲内の所定温度に2時間保持後、
Arガス吹付冷却の条件で焼結することにより本発明焼結
製造法を実施し、2mm×5mm×40mmの寸法をもち、かつ 配合組成と実質的に同一の成分組成をもった本発明Fe基
焼結合金1〜6をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、通常の高周波誘導炉を用いて、
第1表に示される成分組成をもった溶湯を調製し、鋳造
し、通常の条件で、熱間鍛造および熱間圧延を施すこと
により従来溶解製造法を行ない、従来Fe基溶解合金を製
造した。
第1表に示される成分組成をもった溶湯を調製し、鋳造
し、通常の条件で、熱間鍛造および熱間圧延を施すこと
により従来溶解製造法を行ない、従来Fe基溶解合金を製
造した。
ついで、この結果得られたエリンバー型の本発明Fe基
焼結合金1〜6および従来Fe基溶解合金について、温
度:−30℃,25℃,および100℃におけるヤング率を測定
し、さらに引張強さを測定した。これらの測定結果を第
1表に示した。また、第1表にはFe基焼結合金の理論密
度比も示した。
焼結合金1〜6および従来Fe基溶解合金について、温
度:−30℃,25℃,および100℃におけるヤング率を測定
し、さらに引張強さを測定した。これらの測定結果を第
1表に示した。また、第1表にはFe基焼結合金の理論密
度比も示した。
第1表に示される結果から、本発明焼結製造法で製造
された本発明Fe基焼結合金1〜6は、いずれも理論密度
比で98%以上の高密度を有し、この結果従来溶解製造法
により製造された従来Fe基溶解合金に比してやや劣る
が、ほぼ同等のエリンバー特性を示し、かつより高い強
度をもつようになることが明らかである。
された本発明Fe基焼結合金1〜6は、いずれも理論密度
比で98%以上の高密度を有し、この結果従来溶解製造法
により製造された従来Fe基溶解合金に比してやや劣る
が、ほぼ同等のエリンバー特性を示し、かつより高い強
度をもつようになることが明らかである。
上述のように、この発明の方法によれば、原料粉末と
してTiHx粉末を用いることにより、通常の真空焼結法に
て、従来Fe基溶解合金と同等のエリンバー特性および機
械的性質をもったエリンバー型Fe基焼結合金を製造する
ことができ、これによって生産性および製造コストは大
幅に改善されるようになるなど工業上有用な効果がもた
らされるのである。
してTiHx粉末を用いることにより、通常の真空焼結法に
て、従来Fe基溶解合金と同等のエリンバー特性および機
械的性質をもったエリンバー型Fe基焼結合金を製造する
ことができ、これによって生産性および製造コストは大
幅に改善されるようになるなど工業上有用な効果がもた
らされるのである。
Claims (1)
- 【請求項1】原料粉末として、水素化チタン粉末、Fe−
Cr合金粉末、Fe−Cr−Ni合金粉末、Ni粉末、アトマイズ
鉄粉および/またはカーボニル鉄粉を用い、これら原料
粉末を、 Ni:35〜45%、 Cr:1〜10%、 Ti:0.1〜5%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成(以上
重量%)に配合し、通常の条件で、混合し、圧粉体に成
形した後、真空焼結し、この真空焼結における焼結性を
原料粉末として用いた上記水素化チタン粉末のもつ高い
活性化作用で向上させ、高密度化をはかることを特徴と
する高密度エリンバー型Fe基焼結合金の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9179390A JP2735132B2 (ja) | 1990-04-06 | 1990-04-06 | 高密度エリンバー型Fe基焼結合金の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9179390A JP2735132B2 (ja) | 1990-04-06 | 1990-04-06 | 高密度エリンバー型Fe基焼結合金の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03291352A JPH03291352A (ja) | 1991-12-20 |
JP2735132B2 true JP2735132B2 (ja) | 1998-04-02 |
Family
ID=14036492
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9179390A Expired - Lifetime JP2735132B2 (ja) | 1990-04-06 | 1990-04-06 | 高密度エリンバー型Fe基焼結合金の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2735132B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020158876A (ja) * | 2018-09-27 | 2020-10-01 | 株式会社アテクト | 水素及び/又は水素化物を用いた耐熱性合金製の耐熱部材の製造方法 |
-
1990
- 1990-04-06 JP JP9179390A patent/JP2735132B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03291352A (ja) | 1991-12-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2002501122A (ja) | 焼結製品調製用鋼粉末 | |
US11248284B2 (en) | Non-magnetic austenitic steel with good corrosion resistance and high hardness | |
JP2735132B2 (ja) | 高密度エリンバー型Fe基焼結合金の製造法 | |
CN108500276A (zh) | 金属氧化物制造零件的方法 | |
JPS5935642A (ja) | Mo合金インゴツトの製造方法 | |
US4069043A (en) | Wear-resistant shaped magnetic article and process for making the same | |
JPS62188735A (ja) | TiNi系合金線材又は板材の製造法 | |
JP2738766B2 (ja) | 化合物焼結体の製造方法 | |
JP4140176B2 (ja) | 低熱膨張耐熱合金及びその製造方法 | |
JPS6229481B2 (ja) | ||
JPH0751721B2 (ja) | 焼結用低合金鉄粉末 | |
JP2908018B2 (ja) | 高硬度の焼結部材の製造方法及び金属粉末混合物 | |
JP2579171B2 (ja) | 焼結材料の製造方法 | |
JPS62222044A (ja) | 二相系ステンレス鋼粉の熱間加工方法 | |
JP3300420B2 (ja) | 焼結封着材料用合金 | |
JPS5819722B2 (ja) | コウミツドシヨウケツコウ ノ セイゾウホウホウ | |
JP2760131B2 (ja) | Fe―Co―V系軟磁性焼結合金の製造方法 | |
JPH05263181A (ja) | 高強度および高靭性を有するFe基焼結合金部材の製造法 | |
JPH01219102A (ja) | 焼結添加用Fe−Ni−B合金粉末および焼結法 | |
JPS6358897B2 (ja) | ||
JPH01180902A (ja) | 焼結用Fe粉 | |
JP3938944B2 (ja) | 粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法 | |
JPH0247206A (ja) | 鉄の多孔体の製造方法 | |
JPH01129903A (ja) | 金属圧粉焼結体の製造方法 | |
JPS5823462B2 (ja) | 高密度を有するFe−Cr−Co系スピノ−ダル分解型焼結磁性材料 |