JP2730615B2 - ポルトランドセメントを含有する速硬性結合剤混合物並びに該結合剤混合物を含有するモルタル及びコンクリート - Google Patents

ポルトランドセメントを含有する速硬性結合剤混合物並びに該結合剤混合物を含有するモルタル及びコンクリート

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水及び場合により骨材
及び添加剤と一緒に使用するための速硬性結合剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】概念“珪酸カルシウムセメント”とは、
その耐圧性発生が水と混練した後に主として珪酸カルシ
ウム水和物の形成に起因する水硬結合剤を意味する。従
って、これはDIN1164に基づき規格された全ての
セメントを包含する。広義においては、該概念は、強度
発生が専ら又は主として別の硬化機構、例えばいわゆる
アルミナセメント又はハイアルミナもしくはCAセメン
トにおけるアルミン酸カルシウムの水和に起因する結合
剤に対する制限のために役立つ。
【0003】概念“ポルトランドセメント”は、当業界
において狭義においてポルトランドセメントと称されか
つ例えばASTM規格C150に記載されているような
水硬結合剤である解されるべきであり、この場合タイプ
I,II又はIIIが特に本発明の目的のために有利で
あり、但し別の型のポルトランドセメントも適当であ
る。
【0004】概念“添加剤”及び“骨材”は、DIN1
045及びDIN4226に基づく概念規定の意味おけ
る物質を包含すべきである。
【0005】高い早期及び最終強度を有する速硬性の水
硬結合剤を開発するために、過去において多数の種々の
ステップが取られかつ今日では多数の方法及び組成物が
公知である。
【0006】特殊な原料を使用した特別の粗製混合物を
基礎とする、特殊な速硬性セメントクリンカーの焼成、
ひいてはまた特定の生産地の依存性を回避するために、
ここ10年来混合セメントの分野での激しい研究及び開
発作業が駆り立てられた。
【0007】この場合、様々な研究者からますます性能
の良い系が開発された。
【0008】その第1番目に、ここには、ポルトランド
セメントとアルミナセメントの混合物を基礎とする結合
剤が挙げられる。
【0009】この場合、適度の早期及び最終強度の高速
結合剤を生じる、市販の又は変性されたポルトランドセ
メントとアルミン酸カルシウムもしくはアルミナセメン
トとの前記混合物は、一連の詳細に規定された有効物質
を添加することにより一層良好に調整可能な硬化開始、
急速に開始する早期強度発生及び良好な最終強度を有す
る速硬性セメントに更に開発された。
【0010】このための技術水準を以下に詳細に記載す
る:ヨーロッパ特許公開第0228595号明細書か
ら、ポルトランドセメントクリンカー、反応性アルミン
酸カルシウム及び/又はアルミナセメント、反応性硫酸
カルシウム、有機結合遅延剤並びにアルカリ金属炭酸塩
を含有する、速硬性結合剤混合物が公知である。
【0011】この結合剤混合物の場合には、高い早期及
び最終強度を有する可使時間の使用後の急峻特性が生じ
る。
【0012】この結合剤の欠点は、出発物質の選択にお
いて必然的に厳しいかつ制限する要求にある。例えば、
主成分として市販のポルトランドセメントでなく、少量
の硫酸カルシウムが配合された、石膏添加物なしで粉砕
されたポルトランドセメントクリンカーを使用しなけば
ならない。
【0013】更に、ヨーロッパ特許公開第021339
0号明細書により、通常の骨材及び添加物の他に反応性
珪酸カルシウム、反応性アルミン酸塩、水酸化カルシウ
ム、硫酸カルシウム水和物、無水硫酸カルシウムII及
び有機結合遅延剤を含有するモルタル混合物が記載さ
れ、この場合には反応性アルミン酸塩の量の増大が早期
及び最終強度の上昇をもたらし、この手段は材料コスト
を著しく高める。
【0014】前記タイプの速硬性結合剤中の反応性アル
ミン酸カルシウムもしくはアルミナセメントの含量に関
しては、前記刊行物は、当業界は5重量%以上の割合、
一般に高い割合は構わないと見なしていると示してい
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
技術水準の前記速硬性結合剤の欠点を排除することであ
った。
【0016】
【課題を解決するための手段】ところで、本発明を用い
れば、アルミン酸カルシウムもしくはアルミナセメント
を全く選択しないで極めて高い早期強度及び最終強度を
有する速硬性の水硬結合剤を簡単に製造することができ
ることが判明した。
【0017】前記課題は、本発明により、常用の添加剤
を有する、ポルトランドセメントを含有する速硬性結合
剤混合物において、 a)ポルトランドセメント94.70〜99.79重量
%、及び付加的に結合すべき混合物100重量%になる
までの以下の成分: b)珪酸カルシウムの水和のための無機促進剤としてア
ルカリ金属炭酸塩0.1〜2.0重量%、 c)珪酸カルシウムの水和を抑制しかつ強度を増大する
有機作用物質として、少なくとも1種のリグニンスルホ
ン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩0.1〜
3.0重量%、 d)硫酸カルシウムアルミニウムの水和を抑制する有機
結合遅延剤として、オキシカルボン酸及び/又はその易
水溶性塩0.01〜0.30重量%を含有し、その際ブ
レーンに基づく比表面積2,500〜20,000を有
するポルトランドセメントが含有されており、かつ成分
b:cの比がポルトランドセメントの微細度に相応して
決定されている、但し反応性アルミン酸カルシウム又は
アルカリ金属アルミン酸塩を含有していないことにより
解決される。
【0018】最初の硬化開始を調整するために、なおア
ルミン酸硫酸カルシウム水和物の形成のための遅延剤、
特にオキシカルボン酸、例えば酒石酸又はクエン酸及び
/又はそれらの易水溶性塩、例えばアルカリ金属塩を
0.01〜0.3重量%の量で使用する。
【0019】一方ではアルカリ金属炭酸塩及び他方では
アルカリ金属及びアルカリ土類金属リグニンスルホン酸
を使用する速硬性の水硬結合剤に関しては、多数専門文
献に報告されている。Stephan Brunaue
r,Jan Skalny,Ivan Odler及び
Marvin Yudenfreund著、CEMEN
T and CONCERETE RESEARCH,
Vol.21972及びVol.31973の研究を参
照されたい。
【0020】この調査、並びに米国特許第3,689,
294号明細書は、石膏もしくは硫酸カルシウムが混合
物中に含有されていない場合、即ち該系がポルトランド
セメント−クリンカー、アルカリ金属及びアルカリ土類
金属リグニンスルホン酸塩及びアルカリ金属炭酸塩から
なる場合にのみ、このような系は十分な加工特性を有す
る著者の一致した意見を記載している。
【0021】米国特許第3,960,582号明細書で
は、アルカリ金属炭酸塩の代わりに、長い加工時間を達
成する目的で、アルカリ金属水素炭酸塩が使用される。
このような石膏不含の系においては、水と混練した後に
まさに複雑かつ完全な、添加物とクリンカー及びまた相
互の明らかな反応が生じる。アルミン酸カルシウムの形
成の他に、アルカリ金属炭酸塩はなかんずくまたアルカ
リ金属水酸化物、ひいては混練水中のpH値の上昇をも
たらし、このことは液化物質として並びにまた珪酸カル
シウムの水和に関する遅延物質としての該混合物中のC
++イオンの濃度への作用、ひいては例えばリグニン
スルホン酸カルシウムの作用を有する。
【0022】液化及び硬化遅延作用するという、リグニ
ンスルホン酸塩の前記の両者の特性の他に、これはま
た、アルカリ金属炭酸塩と共働して自体で能動的に強度
の発生に好適に作用する性能を有する。このためには、
勿論添加されるリグニンスルホン酸塩のある程度の最低
量が必要である。ところで、固有の調査により、通常の
微細度及び通常の粒子構造を有する市販されている硫酸
カルシウム含有ポルトランドセメント中の珪酸カルシウ
ムの水和を急激に遅延させる、前記の必要なかつ石膏不
含の系で有効な量でリグニンスルホン酸塩を添加する
と、ポルトランドセメントに早期強度を付与することが
でき、ひいてはこのようにして極めて高い早期強度を有
する速硬性セメントを得ることができることが判明し
た。
【0023】更に、驚異的にも、本発明による系内で硫
酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物及び/
又は無水硫酸カルシウムの形の硫酸イオン担体を使用す
ることは、加工特性に不利に影響しないことが判明し
た。そして、このようなことは、詳細には、ポルトラン
ドセメントの代わりに相応する量の微粉セメントを使用
する場合、またこれが硫酸イオン担体を規格DIN11
64の相応する量で、又は更にセメントクリンカーの反
応おために最適な十分な量で含有する場合にあてはま
る。
【0024】本発明による前記のような微粉セメント
は、第一に、ブレーン(Blaine)に基づく比表面積9,
000cm3/g及び16ミクロンより大の粒度割合5
重量%未満を有することを特徴とする。
【0025】微粉セメントの高い比表面積及びその著し
く低い粗粒子の割合、そのそれに結び付いた相応して高
い反応性、すなわち特にその水添加直後の高い反応転化
率により、必要な、比較的高い割合のリグニンスルホン
酸塩をポルトランドセメント中の有効物質としてアルカ
リ金属炭酸塩と一緒に使用することができ、しかも一般
にそれによって惹起される、珪酸カルシウムの水和の極
めて強力な遅延を甘受する必要がない。
【0026】アルカリ金属炭酸塩と共働して特に顕著で
あるリグニンスルホン酸塩の液化作用は、微粉セメント
の添加によりまず高められた水の需要を相殺する。組成
及び量がセメントクリンカーの反応性に最適に合わされ
た、微粉セメント硫酸イオン担体を使用することによ
り、捏和水との初期反応の際に確かにセメントの高い微
細度、大量のアルミン酸三カルシウム(CA)に相応
してエトリンジャイト(CA・3CaSO・32H
O)が生じる。しかし、これはまずセメント粒子上の
小茎状の結晶の形で形成され、それによりセメントの加
工特性は十分に長時間に亙って劣化されずに維持され
る。
【0027】更に、微粉セメントの反応性に合わせられ
た硫酸イオン担体の種類及び量によりカードケーシング
状にセメント粒子間に成長しかつそれによりセメントラ
イム、モルタル又はコンクリートの加工特性を著しく劣
化するモノ硫酸塩相もしくはアルミン酸塩水和物の形成
が回避される。少量の周知のかつ通常の遅延剤、例えば
酒石酸、クエン酸及びそれらの水溶性塩、例えばアルカ
リ金属塩を使用することにより、水との捏和直後の結合
剤の不作用期間が更に最適化される。
【0028】例えばアルミン酸ナトリウムのような硬化
促進剤を少量添加することにより、水と捏和後の不作用
時間を短縮することができる。
【0029】現代のポルトランドセメントは、極一般的
に種類及び量に基づきそのつど使用されるクリンカーの
反応性に最適化された硫酸カルシウムを使用して製造さ
れる。それにより、該ポルトランドセメントは本発明の
範囲内で使用するためにも好適である。
【0030】従って、本発明はまた、アルカリ金属炭酸
塩及びリグニンスルホン酸塩との混合物中の平均的ない
し高い比微細度を有するポルトランドセメントの変更に
より硬化時間の制御及び広い範囲内での硬化特性の調整
を可能にする速硬性セメント系を提供する。
【0031】この場合、微粉セメントの高い割合は、一
般に高い強度並びにまたモルタル又はコンクリートの高
い最終強度を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−105927(JP,A) 笠井、小林編「セメント・コンクリー ト用混和材料」昭和61年5月15日技術書 院発行 P327.337.338

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常用の添加剤を有する、ポルトランドセ
    メントを含有する速硬性結合剤混合物において、 a)ポルトランドセメント94.70〜99.79重量
    %、及び付加的に結合すべき混合物100重量%になる
    までの以下の成分: b)珪酸カルシウムの水和のための無機促進剤として
    ルカリ金属炭酸塩0.1〜2.0重量%、 c)珪酸カルシウムの水和を抑制しかつ強度を増大する
    有機作用物質として、少なくとも1種のリグニンスルホ
    ン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩0.1〜
    3.0重量%、 d)硫酸カルシウムアルミニウムの水和を抑制する有機
    結合遅延剤として、オキシカルボン酸及び/又はその易
    水溶性塩0.01〜0.30重量%を含有し、その際ブ
    レーンに基づく比表面積2,500〜20,000を有
    するポルトランドセメントが含有されており、かつ成分
    b:cの比がポルトランドセメントの微細度相応して
    決定されている、但し反応性アルミン酸カルシウム又は
    アルカリ金属アルミン酸塩を含有していないことを特徴
    とする、ポルトランドセメントを含有する速硬性結合剤
    混合物。
  2. 【請求項2】 ブレーンに基づく比表面積が9,000
    〜20,000cm/gであるポルトランドセメント
    94.70〜99.39重量%、アルカリ金属炭酸塩 0.5〜2.0重量%、少なくとも1種のリグニンスルホン酸のアルカリ金属塩
    又はアルカリ土類金属塩 0.1〜3.0重量%、オキシカルボン酸及び/又はその易水溶性塩 0.01〜
    0.3重量%を含有する、請求項1記載の結合剤混合
    物。
  3. 【請求項3】 ブレーンに基づく比表面積が2,500
    〜6,000cm/gであるポルトランドセメント9
    8.00〜99.39重量%、アルカリ金属炭酸塩 0.5〜1.5重量%、少なくとも1種のリグニンスルホン酸のアルカリ金属塩
    又はアルカリ土類金属塩0 .1〜0.4重量%、オキシカルボン酸及び/又はその易水溶性塩 0.01〜
    0.1重量%を含有する、請求項1記載の結合剤混合
    物。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の結合剤混合物95〜5重
    量%及び請求項2記載の結合剤混合物5〜95重量%か
    らなる、請求項1記載の結合剤混合物
  5. 【請求項5】 使用ポルトランドセメントがDIN11
    64,Pkt.4.6.1に基づく高いスルフェート抵
    抗を有するポルトランドセメントである、請求項1記載
    の結合剤混合物
  6. 【請求項6】 使用ポルトランドセメントが疎水性化さ
    れている、請求項1記載の結合剤混合物
  7. 【請求項7】 使用ポルトランドセメントが石灰石、フ
    ライアッシュ、冶金用砂又はトラスを含有する、請求項
    1記載の結合剤混合物
  8. 【請求項8】 請求項1からまでのいずれか1項記載
    の結合剤混合物を含有するモルタル。
  9. 【請求項9】 請求項1からまでのいずれか1項記載
    の結合剤混合物を含有するコンクリート。
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