JP2730090B2 - 高降伏比マルテンサイト系ステンレス鋼 - Google Patents

高降伏比マルテンサイト系ステンレス鋼

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、油井管や油井用装置の材料に使用される高
降伏比マルテンサイト系ステンレス鋼に関するものであ
る。
(従来の技術) マルテンサイト系ステンレス鋼は、湿潤な炭酸ガス
(CO2)を含む環境下での腐食に対して、Crによる耐食
性向上の効果が著しく、且つ高強度が容易に得られると
いうことから上記の油井管や油井用装置の材料として使
用されている。しかしながら、マルテンサイト系ステン
レス鋼には硫化水素(H2S)を含む環境下では硫化物応
力割れが起こりやすいことが経験的に知られており、こ
のために、H2Sを含む環境下ではその使用が制限されて
いる。
ところで、石油や天然ガスを採取するための井戸の環
境は近年益々過酷なものとなっており、CO2を含有する
井戸でも微量のH2Sを含有することも多く、また、初期
にはCO2のみであっても経時変化により微量のH2Sを含む
ようになることもある。このために、マルテンサイト系
ステンレス鋼についても、H2Sを含む環境においても相
等の耐食性を具備するのが望ましい。
マルテンサイト系ステンレス鋼の硫化物応力割れ感受
性を低減するには最高硬度の制限が有効であることが経
験的に知られており、例えばAPI規格5CTの中にはL−80
13Crが規定されており、最高硬度がHRC23に制限されて
いる。
しかしながら、マルテンサイト系ステンレス鋼は一般
的に降伏比(耐力/引張り強度の比)が低く、耐力に比
べて硬度が高すぎる傾向にある。例えば、H2Sを含む環
境下で比較的多く使用されているAlSI 4130系をベース
にした耐食性油井管用鋼(例えばL−80用の鋼)に比べ
てマルテンサイト系ステンレス鋼は降伏比で10〜20%程
度低く、耐力に比べて硬度が1.5〜2.5程度高い。このた
めに、規定の許容耐力幅の上限付近では硬度上限規定を
超えることが多く、硬度を規定内に入れようとすれば、
焼戻し後の耐力幅が小さくなり、耐力および硬度の両方
を満足するマルテンサイト系ステンレス鋼を実生産ライ
ンで製造するのが難しい。
しかしながら、ユーザー側からは、AlSI 4130系をベ
ースにした耐食性油井管用鋼に比べて、マルテンサイト
系ステンレス鋼は硫化物応力割れ感受性が大きいので、
これを低くするために硬度上限規定を厳しく適用したい
との要望がある。例えば、前記の80グレードのマルテン
サイト系ステンレス鋼では、硬度をHRC22以下にするこ
とが望まれているが、硬度上限値が厳しくなると焼戻し
後の狙いの耐力幅が一層狭くなるので、製造がより困難
となる。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の課題は、工業的にも容易に製造することがで
きる耐力に比べて硬度の低い、即ち硫化物応力割れ感受
性の低いマルテンサイト系ステンレス鋼を提供すること
にある。
(課題を解決するための手段) 上記の問題は、マルテンサイト系ステンレス鋼が一般
的に耐力に比べて硬度が高いという事実に起因するので
ある。そして、硬度は引張り強度と対応することから、
耐力と引張り強度との比、即ち、降伏比を大きくすれば
問題が解消する。
そこで、本発明者らは降伏比に及ぼす組織の影響を検
討した結果、炭化物の分散状態をコントロールすれば降
伏比が上昇するという知見を得た。即ち、通常のマルテ
ンサイト系ステンレス鋼のSi含有量を0.25%以下に低減
すると、焼戻し時の炭化物の粗大化が進み、その結果、
得られた組織は耐力に比べて加工硬化量が小さく、降伏
比が大きくなるのである。
ここに本発明は、下記のとを要旨とする。
重量%で、 C :0.1〜0.30%、 Si:0.25%以下、 Mn:0.25〜1%、 P :0.05%以下、 S :0.005%以下、 Cr:11〜15%、 Ni:0.1%以下、 Al:0.005〜0.1%、 残部:Feおよび不可避不純物 からなり、焼戻しマルテンサイトを主体とする組織を有
する高降伏比マルテンサイト系ステンレス鋼。
(2)上記(1)に記載の成分に加えて更に、下記の第
1群および第2群の一方又は両方から選ばれた1種以上
の元素を含み、残部はFeおよび不可避不純物からなり、
焼戻しマルテンサイトを主体とする組織を有する高降伏
比マルテンサイト系ステンレス鋼。
〔第1群の元素〕 Mo:0.5〜2%、V:0.01〜0.5%、Ti:0.01〜0.5%、Zr:0.
01〜0.5%、B:0.0005〜0.01%、N:0.001〜0.15% 〔第2群の元素〕 La:0.001〜0.05%、Ce:0.001〜0.05% (作用) 以下、本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼の成分
組成を上記の通り限定した理由を説明する。
C: Cはマルテンサイト系ステンレス鋼の強度増加に対し
て、またδ−フェライトの生成を抑制するのに有効な作
用を有するが、0.30%を超える含有量ではかえって靭性
を著しく低下させる。一方、0.1%未満の含有量では、
焼入れ時に出現するδ−フェライトの生成割合が多くな
り、材質の均質化が困難となる。
Si: Siを低減すると焼戻し時の炭化物粗大化が促進されて
降伏比が大きくなり、耐力に比べて硬度の低いものとな
る。
降伏比向上効果はSi含有量が低い程大きく、その効果
は、含有量が0.25%以下で明らかとなり、0.1%以下で
さらに顕著になる。
Mn: Mnはオーステナイト域を広げ、強度と靭性の向上に有
効な作用を有するが、0.25%未満では所望の効果が得ら
れず、1%を超えて含有させても効果が飽和し、経済的
に不利となる。
PおよびS PおよびSは不純物元素であって、含有量は低い程望
ましい。高すぎると硫化物の量が増加し、靭性と耐応力
腐食割れ性を害する。許容できる含有量の上限値は、P
は0.05%、Sは0.005%である。
Cr: CrはCO2−微量H2S−Cl-環境下で腐食速度を減少させ
るのに極めて有効な元素であるが、11%未満の含有量で
はその効果が不十分であり、15%を超えて含有させると
δ−フェライト量が多くなって熱間加工性を阻害する。
Ni: NiはCO2−微量H2S−Cl-環境下で0.1%を超えると顕著
なピッティングの発生と硫化物応力割れをもたらすた
め、その上限含有量を0.1%とする。
Al: Alは脱酸剤として添加されるが、0.1%を超える含有
量ではその効果が飽和し、寧ろ介在物の増大による靭性
の低下を招く。
本願第1発明のマルテンサイト系ステンレス鋼は上記
元素の外、残部はFeおよび不可避不純物からなる。そし
て、その組織は主に焼戻しマルテンサイトからなる。
本願第2発明のマルテンサイト系ステンレス鋼は、第
1発明のマルテンサイト系ステンレス鋼に、更に、前記
の第1群および第2群の一方又は両方から選ばれた1種
以上の元素を含むものである。これら第1群および第2
群の元素の作用効果は、下記のとおりである。
Mo、V、Ti、Zr、B、N: これらの元素は、強度増加に対して有効な作用を有す
る他、Mo、V、TiおよびZrは靭性の向上と耐食性に有効
な基質中のCrの減少を防止する効果もある。また、Bは
組織を微細化して靭性と耐食性とを改善する効果もあ
る。しかし、それぞれの含有量がMo:0.5%、V:0.01%、
Ti:0.01%、Zr:0.01%、B:0.0005%、N:0.001%より少
ないとこれらの効果が小さく、一方、Mo:2.0%、V:0.5
%、Ti:0.5%、Zr:0.5%、B:0.01%、N:0.15%を超えて
含有させると、かえって靭性および/又は耐食性を低下
させる。
La、Ce: これらの元素は鋼中の硫化物の形状を改善し、耐応力
腐食割れ性を向上させる効果がある。それぞれ0.001%
未満の含有量ではその効果が得られず、0.05%を超える
と靭性および耐食性を低下させる。
次に実施例により本発明を更に説明する。
(実施例) 第1表に示す化学組成の鋼を17kgの真空溶解炉で溶製
し、鍛造して60mm厚×90mm幅×110mm長さの鋼片を作製
した。これらの鋼片を1200℃に加熱して仕上げ温度900
℃で熱間圧延を行い、10mm厚に仕上げた。
その後、980℃の温度で15分間保持する溶体化処理を
施して空冷した後、700℃の温度で30分、又は740℃の温
度で30分保持する焼戻しを行い、マルテンサイト組織の
ステンレス鋼の板材を製造した。
これより、4mm丸の引張り試験片と10mm厚×15mm幅×2
5mm長さの硬度試験片と2mm厚×10mm幅×75mm長さの切欠
付4点曲げの耐食性試験片を採取して、機械的性質およ
び耐硫化物応力割れ性を調べた。その結果を第2表に、
また、耐力と硬度の関係についてまとめた結果を添付図
に示す。
なお、耐硫化物応力割れ性については、試験片を30
℃、5%NaCl、0.1atm H2S/N2bal.の環境で、切欠部に
応力1σY.S.(σY.S.は0.2%耐力)を付与して500時間
浸漬した後、切欠部を顕微鏡で観察し割れの有無を調べ
た。そして、この試験を3個の試験片に対して実施し、
その中で2個以上の試験片に割れが発生したものを不良
とした。
第2表から明らかなように、本発明鋼はいずれも降伏
比が高い。添付図は第2表の耐力と硬度をグラフにした
ものであるが、同じ耐力レベル(例えば60kgf/mm2)で
あれば本発明鋼の硬度は比較鋼よりはるかに低い。
このことは、高い耐力をもちながら先に述べた硬度の
上限値を上まわることのない材料が容易に製造できるこ
とを意味する。
また、耐硫化物応力割れ性については、Siの低い本発
明鋼では、高耐力の範囲まで耐食性が優れているが、Si
の高い比較鋼では耐食性の良好な耐力レベルが低い。
(発明の効果) 以上説明した如く、本発明のマルテンサイト系ステン
レス鋼は、耐力に比べて硬度が低い。従って、耐硫化物
応力割れ性において優れるとともに、焼戻し時の狙いの
耐力幅が広がるので、従来のマルテンサイト系ステンレ
ス鋼を用いる場合に較べて、例えば高強度の継目無し管
が容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
添付図は、実施例における結果を耐力と硬度の関係でま
とめたグラフである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 C:0.1〜0.30%、Si:0.25%以下、Mn:0.25〜1%、P:0.0
    5%以下、 S:0.005%以下、Cr:11〜15%、Ni:0.1%以下、Al:0.005
    〜0.1%、 残部:Feおよび不可避不純物からなり、焼戻しマルテン
    サイトを主体とする組織を有する高降伏比マルテンサイ
    ト系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】重量%で、 C:0.1〜0.30%、Si:0.25%以下、Mn:0.25〜1%、P:0.0
    5%以下、 S:0.005%以下、Cr:11〜15%、Ni:0.1%以下、Al:0.005
    〜0.1%、 ならびに下記の第1群および第2群の一方又は両方から
    選ばれた1種以上の元素を含み、残部がFeおよび不可避
    不純物からなり、焼戻しマルテンサイトを主体とする組
    織を有する高降伏比マルテンサイト系ステンレス鋼。 〔第1群の元素〕 Mo:0.5〜2%、V:0.01〜0.5%、Ti:0.01〜0.5%、Zr:0.
    01〜0.5%、 B:0.0005〜0.01%、N:0.001〜0.15% 〔第2群の元素〕 La:0.001〜0.05%、Ce:0.001〜0.05%
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