JP2729675B2 - ブロック積法止工法 - Google Patents

ブロック積法止工法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ブロック積法止工法に関する。
(従来技術) 土止工に使用されている積みブロックは、古くは自然
石を使用していたが、現在はすべてコンクリート製であ
る。
これは自然石よりもコンクリートのほうが成形しやす
く、かつ、安価であることによる。
ブロック積みの安定条件は、各ブロックの合体したも
のが背面土圧に耐えること、各ブロックが個々抜け出し
てバラバラにならないこと、沈下に対して安全であるこ
と等が要請される。さらに、できれば壁面に勾配、つま
り、傾斜を持たせずに垂直積みにして安全であることが
要請される。
(従来技術の問題点) ところが、垂直積みにすると、ブロックに働く背面土
圧は著しく強くなる。そこで、従来は傾斜を持たせてブ
ロックを積んでいた。また、従来のコンクリートブロッ
クは、かなりの重量があるので、石垣等を構築した際に
沈下することがあった。
(問題点を解決するための手段) そこで、垂直積みにしても、背面土圧が強くならない
方法を考えればよい。そこで考え出されるのは垂直方向
から背面の土の安息角上の重量を思い切って軽くし、か
つ、その内部が崩壊しないようにすることである。
本発明者は、実験の結果、従来のようにコンクリート
ブロックを矩形状に積み上げて背面に土圧がある状態と
せず、垂直面から安息角に近い角度に至るまでの土を、
土より軽量で且つ安定であるブロック塊で置換すれば、
土圧の水平分力、及び、垂直分力が非常に小さくなり、
垂直面が倒れようとする力も小さくなり、すべりに耐え
るようになり、各ブロックが結合している限り合体した
ブロックは安定となり、そのため各ブロックが抜け出し
てバラバラになることもないことを確認した。しかし、
垂直面から安息角に近い角度に至るまでの土を、軽量で
安定であるブロックだけで置換することは、施工費がす
こぶる高くなる難点があることも確認した。
上記の知験に基づき、本発明者は、ブロックで壁体を
垂直に構築しても安定で、しかも、施工費が安価なブロ
ック積法止工法を研究し、本発明を完成したものであ
る。
即ち、本発明は、発泡プラスチック製のブロックを上
下及び前後に隣接するブロック相互を連結しつつ安息角
に近い角度に形成した法面に沿って重畳すると共に、各
ブロックに設けた穴口部に土砂を投入充填して各ブロッ
クと各ブロックに投入充填した土砂の荷重が下段のブロ
ックに負荷されるように重畳するようにしたものであ
る。
本発明の実施に際し、強度を考慮してプラスチックの
発泡倍率は10倍前後とすることが望ましい。また、ブロ
ック相互の連結は、ブロックの前面及び背面でのカミ合
わせが望ましいが、接着その他任意の方法を採用でき
る。
(効果) 本発明の構成は上記の通りであって、ブロックの材質
が発泡プラスチックであるから軽量であり、ブロック積
みの作業も土砂を穴口部に投入充填する作業も、容易に
行うことが出来るので施工性が良く、その際に、従来見
捨てられていた床堀土の利用を図ることが出来る。従っ
て、ブロック積法止工のコスト節減を実現できる。ま
た、各ブロックが前後及び左右のブロックと連結されて
合体して壁体を構成し、かつ、投入充填する土量の設定
によって壁体の総重量を所望の重量に設定することがで
きるので、壁体の沈下を防止できるだけでなく、法面の
勾配が安息角よりも多少大きくともブロックが軽すぎる
ために崩壊する危険もないのであって、ブロック構造物
に要請される安定性は充分に確保することが出来る等の
効果がある。
(実施例) 以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
第1図乃至第3図は側面においてH型に形成したブロ
ックを示している。材質は発泡スチロールである。符合
1は前壁、2は後壁、3は前壁1と後壁2を接続してい
る横壁である。前壁1と後壁2の厚さは同一とし、横壁
3の長さは前壁1の厚さの2倍としてある。4は前壁1
に開穿した穴口部、5は後壁2に開穿した穴口部、6は
横壁3の中央に開穿した穴口部である。横壁3の両側は
円弧状の切欠部7となっており、隣接するH型ブロック
の切欠部7と合して穴口部を形成するようになってい
る。
第4図乃至第6図は上記H型ブロックと組みで使用す
るT型に形成したブロックを示している。材質はH型ブ
ロックと同じ発泡スチロールである。符合8は縦壁、9
は横壁である。このT型ブロックの横壁9は前記H型ブ
ロックの前壁1と後壁2の厚さと一致させて縦壁8から
突出させて形成し、縦壁8の横壁9からの高さは前記H
型ブロックの前壁1の横壁3からの高さと一致させて形
成してあり、こうして縦壁8と横壁9により形成された
空間が前記H型ブロックの前壁1と後壁2に係合して連
結する合欠ぎ部10、11となっている。12はT型ブロック
の縦壁8に開穿した穴口部、13はT型ブロックの横壁9
に開穿した穴口部である。
次に、上記したH型ブロックとT型ブロックの施工法
を第7図乃至第9図を参照して説明する。
まづ、法面を安息角、若しくは安息角に近い角度に形
成する。続いて、設置した底板上に第1段としてH型ブ
ロックを並べ、並べたH型ブロックの穴口部4,5,6、及
び、隣接するH型ブロックの切欠部7と合して穴口部を
形成している切欠部7に土砂を詰める。次に、T型ブロ
ックの下方の合欠ぎ部11がH型ブロックの前壁1とカミ
合うようにT型ブロックをH型ブロックの上に積み、該
T型ブロックの穴口部12,13に土砂を詰める。続いて第
2段目のH型ブロックを積む。第2段目のH型ブロック
は、その前壁1がT型ブロックの縦壁8の背部と接する
ように、かつ、T型ブロックの縦壁8の背部と高さが一
致するように積む。第2段目のH型ブロックのH型ブロ
ックの後壁2は後退した法面に接続される。そして、第
2段目のH型ブロックの穴口部4,5,6、及び、第2段目
の隣接するH型ブロックの切欠部7と合して穴口部を形
成している切欠部7に土砂を詰める。こうして積まれた
T型ブロックの横壁9の上にH型ブロックを積む。H型
ブロックを積むと、T型ブロックの縦壁8と第2段目の
H型ブロックの前壁1は、H型ブロックの前壁1と後壁
2の間に嵌合して連結される。このH型ブロックの後壁
2の背部にもう一つH型ブロックをそのH型ブロックの
後壁2が更に後退した施工地盤に接続するように積んで
第3段目が完成する。そして、第3段目のH型ブロック
の穴口部4,5,6、及び、切欠部7に土砂を詰める。かく
して構築されたブロック壁表面はH型ブロックの前壁1
の間にT型ブロックの横壁9が嵌め込まれた状態とな
る。以下、この手順を繰り返して所望の段数まで積み上
げる。
上記の施工により、積まれたブロックの底面が形成す
る線は背面土の安息角と近くなり、土圧の水平分力、及
び、垂直分力は非常に小さくなる。そこで、ブロック相
互が連結していればブロックが軽量であっても垂直方向
での崩壊する力は殆どなくなるのである。もとより、各
ブロックが抜け出すおそれもない。また、ブロックの材
質が発泡スチロールその他の発泡プラスチックであり、
安定性と連結力を向上するためにブロックに詰める土砂
の重量を加えても従来のコンクリートブロックと比較し
て著しく軽量であって沈下のおそれもない。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示すもので、第1図はH型に形
成したブロックの側面図、第2図はH型に形成したブロ
ックの平面図、第3図はH型に形成したブロックの正面
図、第4図はT型に形成したブロックの側面図、第5図
はT型に形成したブロックの平面図、第6図はT型に形
成したブロックの正面図、第7図は第1図乃至第3図に
示したブロックと第4図乃至第6図に示したブロックを
施工した1例の側面図、第8図は第1図乃至第3図に示
したブロックと第4図乃至第6図に示したブロックを施
工した1例の平面図、第9図は第1図乃至第3図に示し
たブロックと第4図乃至第6図に示したブロックを施工
した1例の正面図である。 1……H型ブロックの前壁 2……H型ブロックの後壁 3……H型ブロックの横壁 4,5,6……H型ブロックの穴口部 7……H型ブロックの切欠部 8……T型ブロックの縦壁 9……T型ブロックの横壁 10,11……合欠ぎ部 12,13……T型ブロックの穴口部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発泡プラスチック製のブロックを上下及び
    前後に隣接するブロック相互を連結しつつ安息角に近い
    角度に形成した法面に沿って重畳すると共に、各ブロッ
    クに設けた穴口部に土砂を投入充填して各ブロックと各
    ブロックに投入充填した土砂の荷重が下段のブロックに
    負荷されるように重畳することを特徴とするブロック積
    法止工法
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