JP3749189B2 - 発泡樹脂成形ブロック及び該ブロックを用いた積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として土木用盛土構造物の構築に用いられる発泡樹脂成形ブロック及び該ブロックを用いた積層体に関し、更に詳しくは、軟弱地盤の盛土、急傾斜地盛土、裏込めなどの軽量盛土構造物に使用される、製造が容易で、積層作業性が改善され、荷重分散性等の性能に優れた発泡樹脂成形ブロック及び該ブロックを用いた積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、軟弱地盤や傾斜地地盤等への盛土や裏込め等の盛土構造物を構築する工法として、発泡スチロール(EPS)等の合成樹脂発泡体よりなる直方体形状の密実なブロックを盛土材料、裏込め材料として使用する軽量盛土工法が普及している。このようなブロックを用いた盛土構造物の構築方法としては、図9に示すように、ブロック相互のずれや不等沈下を防止するため、隣り合う上下層で目地を合わさないように、ブロックの向きを90度回転させながら交互に積み上げていく方法が一般的である。
【0003】
また、浸水時の浮力対策や排水対策用のブロックが、例えば、特開平6−287955、特開平6−257156、特開2001−279673に開示されている。これらの代表として、図10に特開2001−279673に記載されたブロックを示したが、これらはいずれも、ブロックの上下方向に多数の貫通孔を設け、この貫通孔に雨水や地下水等の水を満たすか、または通すことにより、浮力や排水の問題を解消することを目的としている。
【0004】
また、ブロック相互を連結する金具については、図11に示すような周縁両面に複数個の爪を突設させた連結板タイプがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の発泡樹脂成形ブロック及び該ブロックを用いた盛土工法には、以下のような多くの課題が存在する。
【0006】
(1)密実なブロックを用いて施工された盛土構造物において、上載荷重が作用した場合、積層ブロック内での荷重分散により、下方のブロックになる程ブロック1個当たりに作用する圧縮力は小さくなる。そのため、積層下方では圧縮強度の小さなブロック、例えば密度の小さい(発泡倍率の大きい)ブロックを用いることが可能である。しかしながら、密実なブロックを用いる従来の工法では、密度の異なるブロックを混在させると、それらは外観上区別が困難であるため、ブロックの配置間違いが生じる恐れがあり、また、密度の異なるブロックを選択しながら積み上げる方法は作業性の低下が避けられず、そのため、同一密度のものを用いるのが一般的である。すなわち、積層下方において、必要以上の圧縮密度を有するブロックが採用されており、経済性の面で問題がある。
【0007】
(2)上記(1)の課題を解決する手段として、必要な圧縮強度が確保できる範囲内で、ブロックに貫通孔を設ける方法が考えられる。これにより、ブロックの見掛け密度が減少するため、経済的なブロックが得られる。このような貫通孔を設けたブロックとして、上記の浮力・排水対策用ブロックを流用する方法が考えられる。しかし、これらのブロックは、荷重伝達性の懸念から貫通孔が多数穿設されており、製造に当たり複雑な金型を用いる必要がある等、設備コストが大きくなるほか、製造時に製品ブロックを脱型しにくい等の欠点がある。さらには、貫通孔が多数存在するため、必然的にブロックの外壁厚及び内壁厚が薄くなり、耐荷重性が不十分となる恐れがあるばかりでなく、例えば、施工時や運搬時などにおいて、壁に集中荷重が作用した際に破損する恐れもある。
【0008】
(3)ブロックを連結する金具を従来の浮力・排水対策用ブロックに適用した場合、貫通孔が多数存在しているため、周縁両面に複数個の爪を突設させた連結板タイプでは、爪が貫通孔位置と重なる等、十分な連結効果が期待できない。
【0009】
(4)また、設計上問題ない範囲内で、貫通孔に残土を充填し、残土処理の手間やコストを低減することが考えられるが、従来の浮力・排水対策用ブロックでは、貫通孔が小さいため、残土の充填が容易でなく、手間取るという問題がある。
【0010】
本発明は、上述の課題の解決を目的になされたものであり、貫通孔を有する見掛け密度の小さい経済的なブロックでありながら、従来の浮力・排水対策用ブロックを適用した場合のような問題を生じない発泡樹脂成形ブロック及び該ブロックを用いた積層体を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1(請求項1)は、盛土構造物を構成する略直方体形状の発泡樹脂成形ブロックであって、該ブロックの上面から下面に、略長方形の残土充填用貫通孔を、該ブロック平面において2行2列の計4個所配置するとともに、前記残土充填用貫通孔の配置関係を該ブロック平面の長辺方向及び短辺方向に対して対称とし、これらの残土充填用貫通孔による空隙率を20〜40%としたことを特徴とする発泡樹脂成形ブロックを内容とする。
【0012】
好ましい態様としての請求項2は、略直方体形状の発泡樹脂成形ブロックの寸法が、長辺X×短辺Y×高さZからなる場合において、該ブロックを構成する外壁厚(残土充填用貫通孔側面とブロック外面との壁厚)を、長辺方向については0.05X以上、短辺方向については0.1Y以上とし、さらに、ブロックを構成する内壁厚(隣り合う残土充填用貫通孔間の壁厚)を、長辺方向及び短辺方向とも、前記外壁厚の略2倍としたことを特徴とする請求項1記載の発泡樹脂成形ブロックである。
【0013】
本発明の第2(請求項3)は、略直方体形状の発泡樹脂成形ブロックであって、該ブロックの上面から下面に、略長方形の残土充填用貫通孔を、該ブロック平面において2行2列の計4個所配置するとともに、前記残土充填用貫通孔の配置関係を該ブロック平面の長辺方向及び短辺方向に対して対称とし、これらの残土充填用貫通孔による空隙率を20〜40%としてなり、前記略直方体形状の発泡樹脂成形ブロックの寸法が、長辺X×短辺Y×高さZからなる場合において、該ブロックを構成する外壁厚(残土充填用貫通孔側面とブロック外面との壁厚)を、長辺方向については0.05X以上、短辺方向については0.1Y以上とし、さらに、ブロックを構成する内壁厚(隣り合う残土充填用貫通孔間の壁厚)を、長辺方向及び短辺方向とも、前記外壁厚の略2倍とした略直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを用い、上層ブロックの向きを下層ブロックと同じ方向とし、下層ブロックの平面長辺方向と同短辺方向に対して、上層ブロックを、長辺長さの略1/2及び短辺長さの略1/2ずらして千鳥状に積み上げ、さらに、下層ブロックの残土充填用貫通孔と上層ブロックの残土充填用貫通孔とが連通するように積み上げ、該残土充填用貫通孔に残土を充填したことを特徴とする、荷重分散性に優れた発泡樹脂成形ブロックの積層体を内容とする。
【0014】
【作用】
本発明の発泡樹脂成形ブロックは空隙率を20〜40%としたことにより、見掛け密度を20〜40%低減でき、材料のコストダウンが図れるばかりでなく、軽量化され、取り扱いが容易となる。また、残土充填用貫通孔が存在するため、貫通孔の無い一般的なブロックと併用しても、施工時に配置間違いが起こることもない。さらに、ブロックの残土充填用貫通孔を4個所と少なくしたことにより、多数の貫通孔を有する従来の浮力・排水対策用ブロックに比べて、金型の構造が簡単になり、設備コストが低減できるほか、成形後のブロックの脱型もしやすく、生産性が向上する。加えて、残土充填用貫通孔数が少ないため、ブロックの外壁厚及び内壁厚が大きく設定でき、十分な耐荷重性、耐圧強度が得られるとともに、施工時や運搬時に壁が破損することも防止できるほか、連結具も設置しやすく、また十分な連結強度も確保できる。さらには、一つの残土充填用貫通孔を大きくできることから、残土も充填しやすい利点も有する。
【0015】
また、本発明の発泡樹脂成形ブロックは、ブロックの寸法を、長辺X×短辺Y×高さZとした場合、外壁厚を長辺方向について0.05X以上、短辺方向について0.1Y以上とし、さらに、ブロックの内壁厚を長辺方向及び短辺方向とも、外壁厚の略2倍とすることにより、後記するように、十分な耐荷重性を有するブロック積層体が得られる。
【0016】
本発明の上記特定寸法、位置関係を満足する発泡樹脂成形ブロックの積層する方法において、上層ブロックの向きを下層ブロックと同じ方向とし、下層ブロックの平面長辺方向と同短辺方向に対して、上層ブロックを、長辺長さの略1/2及び短辺長さの略1/2ずらして千鳥状に積み上げ、さらに、下層ブロックの残土充填用貫通孔と上層ブロックの残土充填用貫通孔とが連通するように積み上げることにより、ブロックの向きが常に一定であるため、従来のようにブロックを90度回転させる手間が省け、施工性が大巾に向上する。また、後記するように、ブロックの残土充填用貫通孔を連通させることで十分な荷重分散性が得られる。さらに、残土充填用貫通孔が揃うことで、ブロックを数段積んだ後で、残土を一度に上層ブロック位置から充填できる利点もある。
【0017】
また、上記積層方法において、ブロックの残土充填用貫通孔に残土を充填することにより、残土処理の手間、コストが低減できる。また、上下のブロックの残土充填用貫通孔が連通しているため、残土の充填も行いやすい。
【0018】
上記積層方法で得られた積層体は、優れた荷重分散性を有するとともに、残土を充填できるので、残土処理の手間及び費用の低減が図られ、更に、浸水時の浮力対策にもなる。
【0019】
【発明実施の形態】
本発明の発泡樹脂成形ブロックは、図1に示すように、盛土構造物を構成する略直方体形状の発泡樹脂成形ブロック1であって、該ブロック1の上面から下面に、略長方形の残土充填用貫通孔2を、該ブロック平面において2行2列の計4個所配置するとともに、前記残土充填用貫通孔2の配置関係を該ブロック平面の長辺X方向及び短辺Y方向に対して対称とし、これらの残土充填用貫通孔2による空隙率を20〜40%としたことを特徴とする。
【0020】
本発明に用いられる発泡樹脂としては特に制限されず、発泡スチロール系合成樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系合成樹脂、ポリウレタン系合成樹脂等が挙げられるが、発泡スチロール系合成樹脂が耐水性、剛性、コストの面で好ましい。発泡スチロール系合成樹脂成形体等の廃材を再利用したものも勿論好適に用いられる。
【0021】
本発明の発泡樹脂成形ブロックは、略直方体形状からなり、該ブロックの上面から下面にかけて、該ブロック平面において2行2列に計4個の残土充填用貫通孔が穿設されるとともに、これらの残土充填用貫通孔は該ブロックの長辺方向及び短辺方向に対してそれぞれ対称に配置され、これらの残土充填用貫通孔の合計空隙率は20〜40%である。
【0022】
発泡樹脂成形ブロックの残土充填用貫通孔の数が多くなると、該ブロックの外壁厚及び内壁厚が薄くなり、耐荷重性が小さくなり、例えば、集中荷重が加わった場合等において破損する虞れがある。また、該ブロックを千鳥状に積み上げる場合には、下層ブロックの残土充填用貫通孔と上層ブロックの残土充填用貫通孔とを揃えて連通させることが困難となり、更に、製造の際には複雑な金型を必要とし、コストアップとなるばかりでなく、成形後に製品ブロックを金型より脱型することが困難となる。
【0023】
また、残土充填用貫通孔を2列2行に配置するとともに、長辺方向及び短辺方向に対してそれぞれ対称に配置することにより、耐荷重性の良好な発泡樹脂成形ブロックが得られ、また該ブロックを千鳥状に積み上げ、下層ブロックと上層ブロックとの残土充填用貫通孔を揃え連通させることが容易となる。
【0024】
また、残土充填用貫通孔の合計空隙率が20%未満では密度の低減率が小さくなり、材料のコストダウンも小さくなり、また、一方、40%を越えると十分な外壁厚、内壁厚がとれなくなり、耐荷重性が不十分となり、また施工時や運搬時に壁が破損したり、連結具が設置し難くなる。残土充填用貫通孔の形状は特に制限されないが、長方形、長楕円形が下層ブロック及び上層ブロックの残土充填用貫通孔を揃え連通させる作業が容易である点で好ましい。
【0025】
発泡樹脂ブロックのサイズは特に制限はなく、使用目的、使用場所等により適宜決定すればよいが、製造の容易性、取り扱い性、作業性等の観点からは長辺Xは1〜3m程度、短辺Yは0.5〜1.5m程度、高さZは0.5〜1.5m程度が好ましい。また、X:Y:Zも特に制限されないが、通常、1:0.5:0.25近辺が好ましい。
【0026】
本発明の発泡樹脂成形ブロックは、図2及び図3に示すように、略直方体形状の発泡樹脂成形ブロック1の寸法が、長辺X×短辺Y×高さZからなる場合において、該ブロック1を構成する外壁厚(残土充填用貫通孔側面とブロック外面との壁厚)を、長辺方向OX については0.05X以上、短辺方向OY については0.1Y以上とし、さらに、ブロックを構成する内壁厚(隣り合う残土充填用貫通孔間の壁厚)を、長辺方向IX 及び短辺方向IY とも、前記外壁厚の略2倍としたものが特に好適である。
かかる寸法関係、配置関係を満たすことにより、優れた耐荷重性を示すとともに、千鳥状に積み上げ、下層ブロックと上層ブロックの残土充填用貫通孔を揃え連通させる積層方法を採用することが容易である。
【0027】
本発明の発泡樹脂成形ブロックは、水平方向に並設及び高さ方向に積み上げることにより、盛土構造物とされる。この場合、隣接する上下ブロックは、互いに2行2列の残土充填用貫通孔を揃え連通させる直立状に積み上げてもよく、また2行2列の残土充填用貫通孔を1行又は1列ずらせて残土充填用貫通孔を揃え連通させる千鳥状に積み上げてもよい。また、ブロックを90度回転させながら積み上げることもできる。
【0028】
千鳥状に積み上げる場合、上記した特定の寸法関係、配置関係を満たす発泡樹脂成形ブロックが好適に用いられる。
すなわち、図4に示すように、特定の寸法関係、配置関係を満たす発泡樹脂成形ブロックは、上層ブロック1bの向きを下層ブロック1aと同じ方向とし、下層ブロック1aの平面長辺X方向と同短辺Y方向に対して、上層ブロック1bを、それぞれ長辺Xの長さの略1/2及び短辺Yの長さの略1/2ずらして千鳥状に積み上げ、さらに、下層ブロック1aと上層ブロック1bとの残土充填用貫通孔2を揃え貫通させるように積み上げることにより容易に積層することができる。
【0029】
また、本発明の発泡樹脂成形ブロックを積層する際に、残土充填用貫通孔に残土等を充填することにより、残土処理の手間が省けると同時に、浸水時の浮力対策としての効果も期待できる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されないことは云うまでもない。
【0031】
実施例1
本実施例の発泡樹脂成形ブロックは、図2に示すように、発泡スチロールからなるブロック1の上面から下面に、略長方形の残土充填用貫通孔2を、ブロック1の平面に対して2行2列の計4箇所配置し、さらに残土充填用貫通孔2の配置関係を、ブロック1の長辺X方向及び短辺Y方向に対して対称とし、これらの残土充填用貫通孔2による空隙率を36%としたものである。また、本実施例では、ブロック1を構成する外壁厚を、長辺方向OX については0.075X、短辺方向OY については0.12Yとし、さらに、ブロック1を構成する内壁厚を、長辺方向IX については0.15X(外壁厚0.075Xの2倍)、短辺方向IY については0.24Y(外壁厚0.12Yの2倍)としている。尚、長辺Xは2m、短辺Yは1m、高さZは0.5mとした。
【0032】
上記の発泡樹脂成形ブロックを用いて、載荷実験を行った。すなわち、図5に示すように、発泡樹脂成形ブロック(但し、残土充填用貫通孔は省略してある。以下同じ)6個を敷設して第1層とし、この上に長辺Xの長さの1/2及び短辺Yの長さの1/2をずらして該ブロック2個を積み上げて第2層とし、更に、この上に、同様に長辺方向及び短辺方向にずらして該ブロック2個を積み上げて第3層とし(但し、第3層のブロックは長さXの1/2に切断)、得られたブロックの積層体の着色部分(第3層のブロック上面)に上載荷重Pvを加えた場合の最下層ブロック下面の(1)〜(9)のスポットに生じた圧力分布を測定した。結果を図6に示す。この図から、圧力分布の乱れがなく、また載荷中心から離れるに従い圧力値も徐々に減少しており、十分な荷重分散性を有することがわかる。
【0033】
実施例2
本実施例の発泡樹脂成形ブロックは、図3に示すように、外壁厚を、長辺方向OX については0.125X、短辺方向OY については0.15Yとし、内壁厚を、長辺方向IX については0.25X、短辺方向IY については0.3Yとし、残土充填用貫通孔2の空隙率を20%としたもので、その他は実施例1と同様である。
このブロックも実施例1のブロックと略同様の優れた荷重分散性を有するものであった。
【0034】
実施例3
実施例1で得られた発泡樹脂成形ブロックを用いて積層し、盛土構造物を構築した。
すなわち、図4に示すように、ブロック1aを並設して第1層を形成した。次いで、ブロック1bを第1層のブロック1aと同じ方向とし、該ブロック1aの長辺方向と短辺方向に対して、それぞれ長辺Xの長さの1/2、短辺Yの長さの1/2をずらせて千鳥状に積み上げ、さらに第1層のブロック1aと第2層のブロック1bとの残土充填用貫通孔2を揃えて連通させた。
この第1層と第2層とに連通する残土充填用貫通孔2に、図示したように、残土3を充填できるので、残土処理の手間が省けるとともに、浸水時の浮力対策ともなる。
尚、図4では第1層と第2層しか図示されていないが、所定の段数積み上げて目的とする盛土積層物とし、通常、この上に、盛土して築山としたり、コンクリート床板を載置したり、コンクリートを打設し、さらに、必要に応じ、アスファルト層を積載して道路等とされる。
【0035】
参考例1
実施例1において、発泡樹脂成形ブロック1を同じ方向で千鳥状に積み上げる代わりに、図9に示す如く、90度回転させて積み上げた他は実施例1と同様にして、荷重分散性を測定した。載荷実験方法を図7に、結果を図8に示すが、実施例1の場合に比べて、圧力分布に乱れが見られ、また載荷中央(7)の値よりも周辺の(1)、(8)、(9)の値が大きい値となっているなど、載荷中心から離れるに従い圧力値が徐々に減少していないことから荷重分散性に劣ることがわかる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明の発泡樹脂成形ブロック及びその積層体は下記の如く数多くの特徴、利点を有する。
【0037】
(1)本発明の発泡樹脂成形ブロックは、20〜40%の空隙率となる残土充填用貫通孔を設けたことにより材料コストを低減できるとともに、軽量化される。また、貫通孔の無いブロックと併用しても配置間違いが生じない。
【0038】
(2)ブロックに配置する残土充填用貫通孔の個数を4箇所と少なくしたことにより、金型設備コストの低減が図られ、また、製造時の脱型も行いやすくなり、生産性が高められ、総じて、ブロック製造コストを低減できる。
【0039】
(3)残土充填用貫通孔の個数が少ないため、ブロックを構成する外壁および内壁の厚さを大きく取ることができ、十分な耐荷重性が得られるほか、施工時や運搬時の壁損傷が防止できる。また、壁厚が大きいことから、連結具を設置しやすく、十分な連結性能も確保できる。
【0040】
(4)千鳥状に積み上げ、上下ブロックの残土充填用貫通孔を合わせ連通させることにより、大きな残土充填用貫通孔が空いているにも拘らず、十分な荷重分散性能が得られる。さらに、残土充填用貫通孔が大きいため該貫通孔に残土を充填することも容易で、残土処理手間及び費用の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一例を示す発泡樹脂成形ブロックの斜視図である。
【図2】 本発明の他の例を示す発泡樹脂成形ブロックの平面図である。
【図3】 本発明の更に他の例を示す発泡樹脂成形ブロックの平面図である。
【図4】 本発明の発泡樹脂成形ブロックの積層方法の一例を示す斜視図である。
【図5】 本発明のブロックを残土充填用貫通孔を連通させながら千鳥状に積層した場合の載荷実験方法を示すもので、上は平面図、下は正面図である。
【図6】 本発明のブロックを残土充填用貫通孔を連通させながら千鳥状に積層した場合の載荷実験結果を示すグラフである。
【図7】 本発明のブロックを90度回転して積層した場合の載荷実験方法を示すもので、上は平面図、下は正面図である。
【図8】 本発明のブロックを90度回転して積層した場合の載荷実験結果を示すグラフである。
【図9】 従来のブロックの積層方法を示す斜視図である。
【図10】 従来の浮力・排水対策用ブロックを示す斜視図である。
【図11】 従来の連結具(連結板タイプ)を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 発泡樹脂成形ブロック
1a 下層ブロック
1b 上層ブロック
1A、1B、1C、1D 水平方向に隣接するブロック
2 残土充填用貫通孔
3 残土
11 従来の発泡樹脂成形ブロック
12 従来の浮力・排水対策用ブロック
13 貫通孔
14 従来の連結具(連結板タイプ)
Claims (3)
- 盛土構造物を構成する略直方体形状の発泡樹脂成形ブロックであって、該ブロックの上面から下面に、略長方形の残土充填用貫通孔を、該ブロック平面において2行2列の計4個所配置するとともに、前記残土充填用貫通孔の配置関係を該ブロック平面の長辺方向及び短辺方向に対して対称とし、これらの残土充填用貫通孔による空隙率を20〜40%としたことを特徴とする発泡樹脂成形ブロック。
- 略直方体形状の発泡樹脂成形ブロックの寸法が、長辺X×短辺Y×高さZからなる場合において、該ブロックを構成する外壁厚(残土充填用貫通孔側面とブロック外面との壁厚)を、長辺方向については0.05X以上、短辺方向については0.1Y以上とし、さらに、ブロックを構成する内壁厚(隣り合う残土充填用貫通孔間の壁厚)を、長辺方向及び短辺方向とも、前記外壁厚の略2倍としたことを特徴とする請求項1記載の発泡樹脂成形ブロック。
- 略直方体形状の発泡樹脂成形ブロックであって、該ブロックの上面から下面に、略長方形の残土充填用貫通孔を、該ブロック平面において2行2列の計4個所配置するとともに、前記残土充填用貫通孔の配置関係を該ブロック平面の長辺方向及び短辺方向に対して対称とし、これらの残土充填用貫通孔による空隙率を20〜40%としてなり、前記略直方体形状の発泡樹脂成形ブロックの寸法が、長辺X×短辺Y×高さZからなる場合において、該ブロックを構成する外壁厚(残土充填用貫通孔側面とブロック外面との壁厚)を、長辺方向については0.05X以上、短辺方向については0.1Y以上とし、さらに、ブロックを構成する内壁厚(隣り合う残土充填用貫通孔間の壁厚)を、長辺方向及び短辺方向とも、前記外壁厚の略2倍とした略直方体形状の発泡樹脂成形ブロックを用い、上層ブロックの向きを下層ブロックと同じ方向とし、下層ブロックの平面長辺方向と同短辺方向に対して、上層ブロックを、長辺長さの略1/2及び短辺長さの略1/2ずらして千鳥状に積み上げ、さらに、下層ブロックの残土充填用貫通孔と上層ブロックの残土充填用貫通孔とが連通するように積み上げ、該残土充填用貫通孔に残土を充填したことを特徴とする、荷重分散性に優れた発泡樹脂成形ブロックの積層体。
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