JP2729514B2 - セラミック回路基板用誘電体組成物 - Google Patents

セラミック回路基板用誘電体組成物

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JP2729514B2 JP1178474A JP17847489A JP2729514B2 JP 2729514 B2 JP2729514 B2 JP 2729514B2 JP 1178474 A JP1178474 A JP 1178474A JP 17847489 A JP17847489 A JP 17847489A JP 2729514 B2 JP2729514 B2 JP 2729514B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、セラミック回路基板用誘電体組成物に関
し、さらに詳しくは、低温焼成可能なセラミック回路基
板に内蔵する容量温度係数(以下、T.C.Cという。)の
小さな誘電体組成物に関するものである。
(従来の技術) 現在までに実用化されている低温焼成の温度補償用誘
電体組成物は、Ag−Pb電極を用い1000〜1150℃で焼成さ
れる。
(発明が解決しようとする課題) 一方、Ag電極を用いた低温焼成のセラミック回路基板
は、900℃以下で焼成されるため、このセラミック回路
基板に前記の誘電体組成物を用いてコンデンサを内蔵す
ることはできないという問題があった。また、900℃以
下で焼成可能な誘電体組成物としては、ガラス分を多く
加えてある一般のセラミック回路基板材料があるが、こ
のセラミック回路基板材料では誘電率が10以下と低く、
誘電損失も大きいという問題点があった。一方、誘電率
を大きくしようとすると、T.C.Cが悪くなるという問題
点があった。
本発明の目的は、低温焼成のセラミック回路基板の内
部に内蔵可能なT.C.Cの小さなセラミック回路基板用誘
電体組成物を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 900℃以下の低温で焼成可能な誘電体組成物について
研究した結果、 CaTiO3 5〜35wt% Al2O3 15〜45wt% ホウケイ酸亜鉛系ガラス 40〜60wt% を主成分とする誘電体組成物は、T.C.Cの小さなコンデ
ンサ材料であることがわかった。
また、上記組成物中のCaTiO3の0〜70vol%までをBaT
iO3又はPbTiO3で置換した場合、T.C.Cが改善された。
(作用) CaTiO3は、誘電率を上げる効果があり、T.C.Cは負の
値をとる。該CaTiO3が5wt%以下では、誘電率が低く、
好ましくない。また、該CaTiO3が35wt%以上では、T.C.
Cが悪くなり、好ましくない。
Al2O3は、正のT.C.Cをもつようになり、CaTiO3との混
合量を適当に調整すれば、希望する特性が得られる。配
合量は、CaTiO3との合計がガラス量とほぼ等しくなるよ
うにすればよい。セラミック回路基板の焼結性を考慮す
ると、15〜45wt%が適当な範囲である。
Al2O3は、またセラミック回路基板の骨材としての役
割を持っており、高強度化、他の低誘電率材料との密着
性を良くするためには、上述の量混合するのが好まし
い。
ガラスは、850℃で焼成可能にするために不可欠で、
混合する材料に応じ最適量を選択すればよい。焼結性を
上げるためには、約50wt%のガラス量が必要である。ガ
ラスとしては、ホウケイ酸亜鉛系ガラスが好ましいが、
軟化点が600〜800℃にあるガラスであれば他のガラスで
も使用可能である。
CaTiO3(比重ρ≒4)の70vol%までをBaTiO3(ρ≒
6)又はPbTiO3(ρ≒8)で置換すると、誘電率やQ
(誘電損失の逆数Q=1/tanδ)の低下がなく、温度特
性を制御することが可能になった。しかし、置換量が逆
に多くなると、温度特性とQが悪くなるため好ましくな
い。
(実施例) 次に本発明の実施例について説明する。
下記のようにしてコンデンサ内蔵多層セラミック基板
を製造し、コンデンサ特性を測定した。
誘電体グリーンシートの作製 CaTiO3(共立窯業製)、Al2O3(昭和電工製AL−4
5)、ホウケイ酸亜鉛系ガラス(一例としてSiO2 35wt
%、B2O3 15wt%、Al2O3 5%wt、ZnO 20wt%、PbO 20wt
%、CaO 5wt%)およびBaTiO3又はPbTiO3を所定量混合
後、これに有機バインダー、溶剤などを加えてスリップ
にし、ドクターブレード法でシート状に成形し、誘電体
グリーンシートを作製した。そして、該誘電体グリーン
シートで層間の配線の必要な所には、ヴィアホールをパ
ンチングで形成した。
印刷 ヴィアホールの充填と、コンデンサ電極および配線導
体の印刷をスクリーン印刷機により行った。
積層 前述した誘電体グリーンシートを複数枚重ねた後、熱
プレスで圧着し、一体化した。
焼成 400℃で脱バインダー後、850℃で焼成した。
誘電特性の測定 セラミック回路基板の内部に形成したコンデンサの特
性を、次の方法で測定した。なお、εrは比誘電率、I.
R.は絶縁抵抗である。
(1)εr,Q LCRメーター(HP4284A)を用い、1MHz,1Vで静電容量
およびQを測定し、計算によりεrを求めた。
(2)T.C.C −55〜+125℃の温度範囲で静電容量を測定し、25℃
を基準とし、次式により求めた。
T.C.C =(CT−C25)/[C25×(T−25)] CT:温度Tでの容量 C25:25℃での容量 (実施例の表中には、−55〜+25℃と25℃〜125℃のT.
C.C(PPm/℃)を示した。) (3)I.R DC50Vを印加し、1分後の抵抗値を測定した。
各実施例および比較例の測定結果は下表の如くであっ
た。
上記表において、比較例1,実施例1〜3,比較例2は、
ホウケイ酸亜鉛系ガラスの配合%を一定にしておいて、
CaTiO3の配合%を徐々に多くし、Al2O3の配合%を徐々
に少なくした場合の、各特性の測定結果を示している。
実施例4,5は、CaTiO3とAl2O3の配合%を減少させ、ホ
ウケイ酸亜鉛系ガラスの配合%を増加させたときの、各
特性の測定結果を示す。
実施例6〜8、及び比較例3はCaTiO3の一部をBaTiO3
で置換した実施例を示しており、実施例6はCaTiO3の約
14Vol%を、実施例7は同じく約40Vol%を、比較例8は
同じく約70Vol%を、比較例3は同じく100Vol%をそれ
ぞれBaTiO3にて置換した場合の各特性の測定結果を示し
ている。
実施例9,10及び比較例4はCaTiO3の一部をPbTiO3で置
換した場合を示しており、実施例9はCaTiO3の約30Vol
%を、実施例10は同じく約70Vol%を、比較例は同じく1
00Vol%を置換した場合の各特性の測定結果を示してい
る。
(発明の効果) 以上説明したように本発明に係るセラミック回路基板
内コンデンサ用誘電体組成物によれば、 CaTiO3 5〜35wt% Al2O3 15〜45wt% ホウケイ酸亜鉛系ガラス 40〜60wt% を主成分としたことにより、低温焼成セラミック回路基
板の内部に内蔵可能なT.C.Cの小さな誘電体組成物が得
られ、前記組成物中のCaTiO3の0〜70vol%までをBaTiO
3又はPbTiO3で置換することにより、誘電率やQを低下
させることとなるT.C.Cを改善することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】CaTiO3 5〜35wt% Al2O3 15〜45wt% ホウケイ酸亜鉛系ガラス 40〜60wt% を主成分とするセラミック回路基板用誘電体組成物。
  2. 【請求項2】前記組成物中のCaTiO3の0〜70vol%まで
    をBaTiO3又はPbTiO3で置換した請求項(1)に記載のセ
    ラミック回路基板用誘電体組成物。
JP1178474A 1989-07-11 1989-07-11 セラミック回路基板用誘電体組成物 Expired - Lifetime JP2729514B2 (ja)

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