JP2728379B2 - オフセット印刷機用平板およびその製造方法 - Google Patents

オフセット印刷機用平板およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷機
用平板及びその製造方法に関し、原版用の平板または水
版(印刷に寄与しない非画線部用素材)として用いられ
る親水性に優れた表面処理オフセット印刷機用ステンレ
ス製平板とそれの有利な製造方法についての提案であ
る。
【0002】
【従来の技術】かつて、インクをはじく一方で水に濡れ
る性質を示す親水性金属板(アルミニウム陽極酸化皮
膜)を、オフセット印刷の平板および非画線部素材(水
版) として利用する方法があった(特開昭48−20604 号
公報参照) 。ただし、この方法は、湿らし水操作が非常
にやっかいで、改善が望まれていた。これに対して従
来、この親水性アルミニウム板に代わって、“湿らし
水”のいらない平板印刷法が開発され、この方法に供す
る印刷板として、表面を機械的処理, 化学的処理または
電気化学的に処理して粗化面とし、感光膜の密着性と保
水性を改良してなるオフセット印刷機用アルミニウム及
びその合金の平板が提案されている(特開昭53−77702
号公報, 特開昭54−63802 号公報参照) 。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来使用されていたア
ルミニウム, その合金からなる平板は、感光性樹脂膜と
の密着性および親水性には優れていたが、耐久性の面で
不充分であった。というのは、この粗面化したアルミニ
ウム(以下、アルミニウム合金を含めて単に「アルミニ
ウム」という)平板は、粗化面が印刷のとき絶えず高速
で回転しながら他のロールと接触するために、表面の摩
耗が激しく起こるからである。すなわち、このような粗
化面を有するアルミニウム製平板は、金属としては軟質
であるために、摩耗によって表面の粗さが次第に減少
し、その機能を早期に失うことになるのである。
【0004】これに対し、硬質で耐摩耗性に優れたステ
ンレス鋼を利用することも考えられるが、耐摩耗性を向
上させる点では有効であっても、保水性, すなわち親水
性が不十分になり、水版として使用される平板材料とし
ては十分なものが得られないという問題がある。という
のは、従来、水版として望ましい粗化面をもつステンレ
ス鋼を製造する技術が無かったからである。例えば、ス
テンレス鋼に一般的な粗化材料, 例えば、ステンレス鋼
板に親水性を持たせるべく、表面をショットブラスト,
エメリー研摩, ダル圧延等の機械的処理を施した場合に
は、親水性を付与できる程度に十分な凹凸ができなかっ
たり、凹凸ができてもバリが発生し、その中にインクが
残る等の不都合が生じるという欠点があった。
【0005】そこで、この発明の主たる目的は、耐食
性, 耐摩耗性及び親水性のいずれの特性にも優れたオフ
セット印刷機用平板を提供することにある。この発明
は、オフセット印刷機用原版用の平板を提供することに
ある。この発明はさらに、水版として望ましい化学処理
粗化層の形状, 構成を明らかにすることを目的とする。
この発明の他の目的は、上記オフセット印刷機用平板の
有利な製造技術を確立し、これを提案することにある。
とくにこの発明は、表面粗化層を形成するための、好ま
しいエッチング条件,方法を提案することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上掲の各目的を実現すべ
く鋭意研究を続けた結果、発明者らは、オフセット印刷
機用平板として、ステンレス鋼に着目したところ、なか
でもオーステナイト系ステンレス鋼, フェライト系ステ
ンレス鋼や2相ステンレス鋼が有効であるとの知見を得
た。さらに、発明者らは、このステンレス鋼表面に親水
性を付与する条件についても鋭意研究したところ、粗化
処理に当たっては、保水作用を向上させるための窪み構
造というのがあり、一方でこうした窪み構造を形造るた
めには、化学的処理(エッチング処理)条件を厳格にコ
ントロールする必要かあることを知見し、以下に述べる
要旨構成にかかる本発明を完成させた。
【0007】このような着想の下に開発した発明は、 (1) 表面に化学処理粗化層を有するステンレス鋼にて構
成したことを特徴とするオフセット印刷機用平板であ
る。 (2) 上記化学処理粗化層が、塩化第二鉄水溶液でエッチ
ング処理された粗化層であることを特徴とする。 (3) 上記化学処理粗化層は、その粗さが、 0.5 μm ≦ Ra ≦ 1.5μm 5 μm ≦ Rmax ≦ 15 μm の範囲であることを特徴とする。 (4) そして、上記化学処理粗化層は、一次窪みとその窪
み底部からさらに窪んだ二次窪みとからなる多段窪み構
造を形造るものである。次に、本発明は、 (5) ステンレス鋼の表面を化学的に処理して粗面化する
ことを特徴とするオフセット印刷機用平板の製造方法を
提案する。 (6) なお、化学的に処理して粗面化する上記の方法は、
オーステナイト系, フェライト系ステンレス鋼または2
相ステンレス鋼の表面を、塩化第二鉄水溶液でエッチン
グ処理することを特徴とする。 (7) 上記化学的処理に当たっては、塩化第2鉄水溶液の
反応温度(T℃)と濃度(Be値) との関係を、下記式; a.オーステナイト系ステンレス鋼の場合、 3Be−90≦T(℃)≦3Be−65 ただし、 Be : 35 〜50 b.フェライト系ステンレス鋼および2相ステンレス鋼
の場合、 3Be−95≦T(℃)≦3Be−75 ただし、 Be : 35 〜50 を満足する条件の下で行うことを特徴とする。 (8) また、上記化学的処理は、素材(ステンレス鋼板)
の搬送経路に沿って配置されたスプレーノズルによる塩
化第2鉄水溶液を噴霧するスプレーエッチング法によっ
て行うことを特徴とする。 なお、本発明におけるオーステナイト, フェライト, 2
相ステンレス鋼として代表的なものに、例えば JIS G 4
305 に規定される鋼種があげられる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明にかかるオフセット印刷機
用平板は、耐食性ならびに耐摩耗性に優れたステンレス
鋼、とくにオーステナイト系ステンレス鋼, フェライト
系ステンレス鋼または2相ステンレス鋼を素材とするも
のであり、これに水版としての適正:親水性を付与する
ために、表面をエッチング処理して粗化したものであ
る。本発明において、素材としてステンレス鋼に着目し
た理由は、耐食性のみならず耐摩耗性にすぐれ、水版と
しての耐久性が良好になるためである。
【0009】本発明においては、上記ステンレス鋼をオ
フセット印刷機用平板, とくに非画線部の水版としての
適正を付与するためには、その表面を塩化第2鉄水溶液
にてエッチング処理し、次のような化学処理粗化層を形
成することが必要である。
【0010】ステンレス鋼表面に、親水性を付与する目
的でエッチング処理して形成した化学処理粗化層は、そ
の表面の粗さが、JIS B 0601 に規定する中心線平均粗
さ(Ra)と最大高さ(Rmax)の表示で、次のような範囲内の
ものにする。 0.5 μm ≦中心線平均粗さ(Ra)≦ 1.5μm 5 μm ≦最大高さ(Rmax) ≦ 15 μm 上記平均粗さ(Ra)を 0.5μm ≦Raに限定した理由は、Ra
が 0.5μm より小さいと、保水性が不十分で、必要な親
水性を付与することができないだけでなく、摩耗が早く
耐久性に劣るからである。一方、このRaが 1.5μm を越
えると、凹凸がまばらになり、やはり親水性が悪くな
る。より好ましくは、0.5 μm ≦Ra≦ 1.0μm の範囲に
調整するのがよい。また、この粗さについては、中心線
平均粗さ(Ra)だけでなく、最大高さ(Rmax)でも規定する
ことが必要である。この理由は、一次の窪みと二次の窪
みが存在する領域を確保するためである。かかる最大高
さ(Rmax)を5μm ≦Rmax に限定した理由は、Rmax が
5μm より小さいと、保水力が小さく、インキをはじく
特性に欠けて非画線部から汚れるからであり、一方、こ
のRmax が15μm を越えると、凹凸がまばらな状態とな
り、親水性の付与に欠ける他、摩耗が激しく耐久性に劣
る。より好ましくは 5μm≦Rmax ≦12μm の範囲内と
することが推奨される。
【0011】このようにして得られた化学処理粗化層
は、後で詳しく説明するエッチング条件の選択によっ
て、図1(a) の模式図, ならびに図2(a) の顕微鏡写真
に示すように、結晶の方向によってエッチング量に差が
生ずることで形成される一次窪み(h) とその一次窪みの
底部からさらに凹んだ二次窪み(i) からなる多段窪み構
造を有する。このように、二次窪み(i) があることで、
保水力が極めて強く親水性に優れるのである。この点、
図1(b),図2(b) のように一次窪み(h) だけのものは保
水力が小さく、また図1(c), 図2(c) に示すように実
質的二次窪みだけのものでは耐久性に劣ることが、発明
者らの実験で確かめられている。
【0012】次に、本発明製造方法について説明する。
この方法の特徴は、化学的粗化処理の方法として塩化第
2鉄水溶液を使ったエッチングを行う点にある。ここ
で、エッチング液として、王水やしゅう酸, 硝酸などの
酸ではなく、塩化第2鉄水溶液に着目した理由は、前者
(粒界腐食用)のものに比べると、粗化面(凹凸面)の
形成制御が容易にできるからである。すなわち、この塩
化第2鉄水溶液を用いると、反応が、イオン交換反応: (7FeCl3 +〔Ni, Cr, Fe〕=7FeCl2 +〔NiCl2, CrC
l3, FeCl2 〕 によるところから、エッチングの制御が容易だからであ
る。
【0013】このような背景の下に行われるエッチング
条件は、化学的粗化層を上述の範囲内に制御するため
に、該塩化第2鉄水溶液の反応温度(T℃)と濃度(ボ
ーメ比重計による“Be”値表示) とを、下記式を満足す
るように行うことである。 a.オーステナイト系ステンレス鋼の場合、 3Be−90≦T(℃)≦3Be−65 ただし、 Be : 35 〜50 b.フェライト系ステンレス鋼および2相ステンレス鋼
の場合、 3Be−95≦T(℃)≦3Be−75 ただし、 Be : 35 〜50
【0014】なお、エッチング条件として、液比重(Be
値) と反応温度を上記のように限定した理由を以下に説
明する。 A.オーステナイト系ステンレス鋼(表1, 図2)の場
合; T〔℃〕>3Be−65 の領域では、0.5 μm ≦Ra≦
1.5μm の範囲に入るが、 Rmax が5μm 以下となって
しまい、二次窪み(i) が得られない。…図1(b), 図2
(b) T〔℃〕<3Be−90 の領域では、Ra≦ 0.5μm か
つ Rmax <5μm となってしまい、一次窪み(h) が得ら
れない。…図1(c), 図2(c) したがって、反応温度(T℃)と液比重(Be値) の関係
は、下記式; 3Be−90≦T〔℃〕≦3Be−65 の式に囲まれた範囲で行うことが必要である。
【0015】なお、Be値は、35〜50の範囲内とする。こ
の理由は、Be<35だと、コントロール可能な範囲が狭
く、操業が難しい。一方、Be>50だと、処理温度が高す
ぎて温度変化が激しく管理が難しいからである。より好
ましくは、図3において、abcdにて囲まれた範囲内
がよい。すなわち、Be:37〜47において、下記式; 3Be−85≦T〔℃〕≦3Be−75 の範囲である。
【0016】なお、ここにいうボーメ比重〔Be〕とは、
塩化第2鉄水溶液の比重を室温15℃で測定したものであ
り、測定は、ボーメ比重計で測定したものである。な
お、CrやNi等を多少含んでいてもよい。
【0017】B.フェライト系ステンレス鋼および2相
ステンレス鋼の場合: T〔℃〕>3Be−75 の領域では、0.5 μm ≦Ra≦
1.5μm の範囲に入るが、 Rmax が5μm 以下となって
しまい、二次窪み(i) が得られない。…図1(b), 図2
(b) T〔℃〕<3Be−95 の領域では、Ra≦ 0.5μm か
つ Rmax <5μm となってしまい、一次窪み(h) が得ら
れない。…図1(c), 図2(c) したがって、反応温度(T〔℃〕)と液比重(Be)の関
係は、下記式; 3Be−95≦T〔℃〕≦3Be−75 に囲まれた範囲で行うことが必要である。
【0018】なお、Be値は、35〜50の範囲内とする。こ
の理由は、Be<35だと、コントロール可能な範囲が狭
く、操業が難しい。一方、Be>50だと、処理温度が高す
ぎて温度変化が激しく管理が難しいからである。より好
ましくは、図4において、abcdにて囲まれた範囲内
がよい。すなわち、Be:35〜46において、下記式; 3Be−90≦T〔℃〕≦3Be−80 の範囲である。
【0019】本発明において、上記エッチング処理は、
工業的にスプレーによる方法を採用する。図5は、スプ
レーによるエッチング作業に用いる装置の図である。こ
の装置は、エッチング槽1と水洗槽2で構成される。素
材(ステンレス鋼板)3は、搬送装置4に乗せられ、順
次2つの槽内を通過してエッチング作業が行われる。エ
ッチング槽1内では、塩化第2鉄水溶液が素材表面にス
プレーされる。スプレーノズル5は、エッチング槽1内
上部に多数取付けられており、それらが素材進行方向に
直角に揺動運動することにより、素材表面に万遍なくス
プレーされる。スプレーされた塩化第2鉄水溶液は回収
され、再びポンプ6でスプレーノズル5に送られる。液
温はタンク内の温度を一定に保つことによって管理す
る。エッチング槽1を通過した素材3は、次に水洗槽2
に送られる。この水洗槽2内では、素材表面に残る溶液
を洗い落とす。
【0020】図2は、塩化第2鉄水溶液の濃度・温度を
種々の条件でエッチングを行ったステンレス鋼の表面
を、400 倍の顕微鏡で観察したものである。表面には、
エッチング条件によって異なる形状が認められ、それぞ
れの形状によって次のような特徴を有している。 図2(a) …結晶粒単位で比較的粗い凹凸(一次窪みh)
で溶出が進行すると同時に、細かい単位での溶出(二次
窪みi)も起こり、大きな窪みと小さな窪みが同時に形
成された多段窪み構造を呈している。このような多段窪
み構造を有する表面は、使用時には大きな凹凸(一次窪
み)が徐々に頂上から摩耗されていくが、谷の部分に存
在する細かい凹凸(二次窪み)が残っているために、長
期間にわたって親水性を維持することができる。 図2(b) …ステンレス鋼が塩化第2鉄水溶液により結晶
粒単位として比較的粗い凹凸(一次窪み)のみを生じさ
せる溶出が進行したものである。これは、高温でエッチ
ングが行われた時にこのような表面が生じやすい。した
がって、このような表面は、凹凸が大きいために親水性
が不十分である。 図2(c) …比較的細かい単位で溶出が進行した二次窪み
のみからなるものである。これは、低温でエッチングが
行われたときに生じやすい。このような表面は初期の親
水性は有するものの、短時間の使用で表面の細かい凹凸
が摩耗され、滑らかな表面となり親水性を失いやすい。
【0021】
【実施例】
例1 この試験は、水版適正を有する化学処理粗化層を形成す
るための有効な塩化第2鉄によるエッチングの条件を確
認するために行ったものである。試験は、粗化面に使用
する塩化第2鉄水溶液の濃度および温度を種々変化させ
て行った。 試験法(図1) 厚さ 0.3mmのSUS 304 オーステナイト系ステンレス鋼板
(100×200 mm) 、厚さ0.4mmのSUS 430 フェライト系ス
テンレス鋼板(100×200 mm) およびSUS 329J3L2相ステ
ンレス鋼板(100×200 mm) を、塩化第2鉄水溶液に浸漬
した。その塩化第2鉄水溶液6リットルを底の平らな容
器に満たし、温度を30〜50℃に加温した。溶液を攪拌す
るために、底から2cmの高さで、直径10cmの羽根車を 2
00回転/分で回転させた。浸漬する上記ステンレス鋼板
は、回転する羽根の下に着座させ、10分後に取り出し水
洗した。水洗は流水中で行い、表面を布でこすり、付着
するスマットを取り除いた。
【0022】 エッチング結果を、図3(オーステナ
イト系ステンレス鋼)、図4(フェライト系ステンレス
鋼, 2相ステンレス鋼)について、それぞれの好ましい
エッチング条件の範囲を、塩化第2鉄水溶液の濃度〔単
位 Be ボーメ〕と反応温度の関係で示した。使用した材
料の化学成分を表1に、また、各試験条件下で得られた
粗さ(Ra, Rmax)と、顕微鏡観察結果および実機でのテス
ト結果を表2, 表3に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】比較例 厚さ 0.3mmのSUS 304 オーステナイト系ステンレス鋼板
(100×200 mm) の表面を、各種の機械的処理によって粗
面化したものについて、本発明例No.3と比較した。その
結果を表4に示す。 a.エメリー研磨: エンドレスベルト(150番手) にて
研磨した。 b.珪砂ブラスト: 粒度#100 のショットを、空気圧
力 3.7kg/cm2にて、ノズルからの距離50cmで処理した。 c.圧延ダル: ダル加工したロールで冷間圧延を行っ
た後、焼鈍を行った。 d.アルミ板: 電解粗面化処理法(現在一般のオフセ
ット印刷にて使用されているもの) e.塩化第2鉄でエッチング(本発明法) ・耐久性: オフセット印刷機で水版として使用して、
その性能を評価した。 ・親水性試験:親水性のある表面であれば、水版として
使用したときにインクが付着してしまい、白紙であるべ
き紙面にインク汚れが付着するか否かで評価した。 ・耐久性試験:親水性が維持できた使用回数をカウント
した。30万部の印刷を1回として何回印刷できたかを評
価した。
【0027】
【表4】
【0028】表4に示すとおり、この比較試験では以下
のとおりの結果が得られた。 a.エメリー研磨処理したものは、目が浅く、ほとんど
親水性がなく、紙面がインクでよごれてしまい、まった
く使用できなかった。 b.珪砂でブラスト処理したものは、親水性は比較的よ
く、10万部程度は印刷できたが、15万部程度で紙面
がインクでよごれてしまった。原因は、顕微鏡で観察し
た結果、板表面にバリの発生が見られ、比較的親水性は
よいものの、印刷が進むとバリの中にインクが入り込
み、正常な印刷ができずに、紙面が汚れてしまったもの
と思われる。 c.圧延ダルは、表面に凹凸ができにくく、ほとんど使
用できなかった。 d.アルミ板は、非常に良好であるが、1回の使用(30
万部印刷) で表面がほとんど摩耗してしまい、2回目の
印刷はできなかった。 e.本発明法のステンレス板は、25回の印刷が可能であ
った。
【0029】例2 〔オフセット印刷用原版としての適
用例〕 本発明で得られた、表2 No.1のSUS 304 ステンレス鋼
板、表3 No.13のSUS410Sステンレス鋼板、表3 No.16
のSUS 329J3Lステンレス鋼板からなる各平板に、水洗乾
燥後ポジティブ・タイプのo−ジアゾオキサイド系の感
光物を感光層として、乾燥後の厚さが 2.5g/m2となる
ように塗布し、乾燥した。このようにして得られた感光
性の印刷版を露光し現像した後、ハイデルベルグKOR
印刷機につけて印刷を行った結果、5万枚の優れた印刷
物を得ることができた。
【0030】
【発明の効果】以上説明したとおり本発明は、耐食性,
耐摩耗性に優れたステンレス鋼の表面を好適条件のエッ
チング処理によって、オフセット印刷機用平板として望
ましい親水性を付与したものであるから、極めて耐久性
に優れた水版素材を提供できる。従って、オフセット印
刷などを低いメンテナンスで実行でき、印刷コストの低
減に有効に寄与する。また、本発明方法によれば、ステ
ンレス鋼を水版として用いるための好適な粗化面を確実
にかつ安価に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化学処理粗化層の拡大断面構造を示す模式図。
【図2】化学処理粗化層の拡大断面構造を示す金属顕微
鏡写真。
【図3】オーステナイト系ステンレス鋼のエッチングの
温度と濃度との関係を示すグラフ。(図中の番号は実施
例の表1中のNo. を示す)
【図4】フェライト系、2相ステンレス鋼のエッチング
の温度と濃度との関係を示すグラフ。(図中の番号は実
施例の表2中のNo. を示す)
【図5】スプレー式エッチング装置の概略図。
【図6】試験装置の概略図。
【符号の説明】
1 エッチング槽 2 水洗槽 3 素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩野 太郎 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日本冶金工業株式会社 技術研究所内

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に化学処理粗化層を有するステンレ
    ス鋼にて構成したことを特徴とするオフセット印刷機用
    平板。
  2. 【請求項2】 上記化学処理粗化層が、塩化第二鉄水溶
    液でエッチング処理された粗化層である、請求項1に記
    載のオフセット印刷機用平板。
  3. 【請求項3】 上記化学処理粗化層は、その粗さが、 0.5 μm ≦ Ra ≦ 1.5μm 5 μm ≦ Rmax ≦ 15 μm の範囲である、請求項1または2に記載のオフセット印
    刷機用平板。
  4. 【請求項4】 上記化学処理粗化層は、一次窪みとその
    窪み底部からさらに窪んだ二次窪みとからなる多段窪み
    構造を形造るものである、請求項1〜3のいずれか1項
    に記載のオフセット印刷機用平板。
  5. 【請求項5】 ステンレス鋼の表面を化学的に処理して
    粗面化することを特徴とするオフセット印刷機用平板の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 化学的に処理して粗面化する上記の方法
    が、オーステナイト系, フェライト系ステンレス鋼また
    は2相ステンレス鋼の表面を、塩化第二鉄水溶液でエッ
    チング処理することである、請求項5に記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 上記化学的処理に当たって、塩化第2鉄
    水溶液の反応温度(T℃)と濃度 (Be値) との関係を、
    下記式; a.オーステナイト系ステンレス鋼の場合、 3Be−90≦T(℃)≦3Be−65 ただし、 Be : 35 〜50 b.フェライト系ステンレス鋼および2相ステンレス鋼
    の場合、 3Be−95≦T(℃)≦3Be−75 ただし、 Be : 35 〜50 を満足する条件のもとで行う、請求項5または6に記載
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記化学的処理を、素材(ステンレス鋼
    板)の搬送経路に沿って配置されたスプレーノズルによ
    る塩化第2鉄水溶液を噴霧するスプレーエッチング法に
    よって行う、請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造
    方法。
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CN112941528B (zh) * 2021-02-01 2022-10-21 西安航天发动机有限公司 一种06Cr19Ni10增材制造薄壁夹层结构内腔粉末颗粒的去除方法

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