JP2727826B2 - 耐環境性ナフタロシアニン組成物及びこれを用いた光学記録媒体 - Google Patents

耐環境性ナフタロシアニン組成物及びこれを用いた光学記録媒体

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JP2727826B2 JP3287814A JP28781491A JP2727826B2 JP 2727826 B2 JP2727826 B2 JP 2727826B2 JP 3287814 A JP3287814 A JP 3287814A JP 28781491 A JP28781491 A JP 28781491A JP 2727826 B2 JP2727826 B2 JP 2727826B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な耐環境性ナフタ
ロシアニン組成物及びこれを用いた光学記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光学記録媒体としては、Te,Te合
金、Bi合金等の低融点金属薄膜の無機系記録層を有す
る記録媒体が提案され実用化に至っているが、真空蒸
着、スパッタリング等、真空中での記録層形成を必要と
する為に、生産性が低く、かつ該媒体では記録層の熱伝
導率が大きいために記録密度の点で問題がある。
【0003】又該媒体は有害な金属を用いているので環
境に対する問題が克服されていない。
【0004】このような問題点を解決する手段として、
例えば、古くから青色〜緑色顔料として知られ、又安定
性に優れた色素として知られるフタロシアニン色素、例
えば銅フタロシアニン、鉛フタロシアニン、チタニウム
フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、錫フタロシ
アニン等を光学記録媒体の記録層として用いる提案が数
多く開示されている(特開昭58−36490号公報、
特開昭59−11292号公報等)。
【0005】しかしながら、これらの色素の吸収スペク
トルは700nm付近に極大を示し、現在、記録用レー
ザとして汎用されている780〜830nm付近に発振
波長を有する半導体レーザとのマツチングが悪い。そこ
で、有機溶剤処理あるいは加熱処理などの手段を用いて
長波長シフト化させる方法が提案されているが、工程が
煩雑となり好ましくなく、又、これら金属フタロシアニ
ン系色素は、有機溶媒への溶解性に乏しく、ポリカーボ
ネート等の熱可塑性樹脂基板上には、溶液塗工等による
薄膜形成が行えないため、真空蒸着、スパッタリング等
の方法に頼らざるを得ず実用に供せられていない。
【0006】上記問題点を解決するために可溶性有機色
素を用いて塗布方法により記録膜を形成した媒体が提案
されている。例えば、ジチオール金属箔錯体、ポリメチ
レン色素、スクアリウム色素、シアニン色素やナフトキ
ノン色素などの半導体レーザ発振波長域に吸収を示し有
機溶剤に可溶な有機色素をスピンコート法で塗布する方
法が開発され、一部実用化に至っている。しかしなが
ら、これらの色素からなる記録膜は、耐久性、耐光性及
び情報の再生に必要な反射率が低いという欠点を有す
る。
【0007】また、耐久性及び耐光性に優れ、又、80
0nm付近に吸収を示す色素としてナフタロシアニン色
素が知られているが[Inorg.Chim.Act
a.,44,L209(1980);Zh,Obshc
h.Khim.,42(3),696(1972)]、
ナフタロシアニン自身及びその金属塩は対応するフタロ
シアニン系化合物に比べて、一般の有機溶媒に対してよ
り一層溶解し難くなるという欠点を有していた。
【0008】近年、これらの溶解性を向上させる目的で
工夫がなされている(特開昭61−268487号公
報、特開昭62−121939号公報、特開昭62−1
21940号公報、特開昭62−122787号公報、
特開昭62−90291号公報、特開昭61−2156
62号公報、特開昭63−57288号公報、特開昭6
3−158294号公報、特開昭63−191690号
公報、特開昭63−57289号公報、特開昭62−5
6191号公報、特開昭63−62794号公報、特開
昭64−54069号公報等)。
【0009】これらのナフタロシアニン色素誘導体は、
情報の読出しの際に必要とされる反射率の高低によって
2つのタイプに分類される。一方は、少なくとも中心金
属に比較的かさ高い置換基を有する高反射率ナフタロシ
アニンであり、このタイプはレーザ光吸収性能にも優れ
るため、低パワーのレーザ光でも容易に記録が行え、し
かも高反射率を示すことから情報の読み出しの際に高い
C/Nが得られるという特徴を有する。
【0010】他方は、中心金属のない無金属ナフタロシ
アニン又は中心金属にかさ高い置換基を持たない低反射
率ナフタロシアニンであり、このタイプは、レーザ光を
吸収する能力が低いため、情報の再生時に照射される再
生レーザ光を長時間照射しても記録層が融解せずピット
の消失(いわゆる再生劣化)が発生しない。又、屈折率
が小さいことから反射率の膜厚依存性が小さく、記録層
の反射率にばらつきがないなどの特徴を有する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高反射
率ナフタロシアニンは、高感度な記録性能を示す反面、
レーザ光吸収能が大きすぎる為に再生時には短時間で再
生劣化が発生するという欠点、及び反射率の膜厚依存性
が大きく、記録媒体の内周部と外周部で反射率に大きな
差異が生じるという欠点を有する。
【0012】一方、低反射率ナフタロシアニンは、逆に
記録感度が低くなるという欠点を有する。また、両者に
共通する問題として、高温高湿加速環境条件下では、そ
れぞれ記録膜の物理変化(例えば、色素の結晶化など)
に伴う性能の劣化が問題となっていた。
【0013】本発明は、高感度な記録が可能でありなが
ら再生劣化を起こさず、耐環境性に優れた光学記録媒
体、及び該光学記録媒体の記録層として好適な耐環境性
ナフタロシアニン組成物及びこれを用いた光学記録媒体
の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(I)
【化3】 [式中、Rは炭素原子数1〜5個のアルキル基を示し、
3で示される複数個のRは同一であっても異なってい
てもよく、R′は炭素原子数1〜6個のアルキル基を示
し、R′3で示される複数個のR′は同一であっても異
なっていてもよい]で表されるシリコンナフタロシアニ
ン誘導体と一般式(II)
【化4】 で表される無金属ナフタロシアニン誘導体を含む耐環境
ナフタロシアニン組成物に関する。
【0015】上記組成物は、ポリカーボネート等の熱可
塑性樹脂基板にダメージを与えない有機溶媒(例えばn
−ヘキサン、ペンタン、n−ヘプタン、シクロヘキサン
等)に優れた溶解性を示すのみならず、同種の環置換基
を有しながら中心金属にかさ高い置換基を有するナフタ
ロシアニンと中心金属を有しないナフタロシアニンとい
うその分子の構造が全く異なる2つのタイプのナフタロ
シアニンを混合することにより、上記ナフタロシアニン
組成物からなる記録層では、従来、各々のタイプのみか
ら形成されていた記録層に比べて、耐環境性が予期せぬ
ほど著しく改善される。
【0016】また、中心金属に置換基を有するナフタロ
シアニンにおいて、従来問題となっていた高感度記録は
可能であるが短時間で再生劣化が起こるという欠点は、
相反する記録再生性能を示す同種の環置換基を有する無
金属ナフタロシアニンを混合させることにより、記録感
度の低下を最小限に抑制しながら著しく改善され、1.
0mWの膜面パワーを有する再生レーザ光を108回照
射しても再生劣化が発生しない。
【0017】また、本発明者らは、最近記録密度向上手
段の1つとして用いられているピットエッジ記録方法の
適用可能性を種々のナフタロシアニン及び種々のナフタ
ロシアニン組成物について検討した結果、上記本願のナ
フタロシアニン組成物は、熱可塑性樹脂基板にダメージ
を与えない有機溶媒に優れた溶解性を示す従来のナフタ
ロシアニンでは一般的であった溶融によるピット形成と
は異なり、昇華型に類似したピット形成を行うことから
鋭いピットエッジが得られ、ピットエッジ記録方法が適
用可能であることが分かった。
【0018】これは、高い昇華性を誘起できるSi置換
基を数多く含む一般式(I)及び(II)の混合物によ
り、光記録媒体が構成されるために融点付近での昇華性
に優れるからであると考えられる。
【0019】前記一般式(I)において、Rの炭素原子
数1〜5個のアルキル基としては、例えば、メチル基、
エチル基、プロピル基、n−ブチル基、ペンチル基、シ
クロプロピル基等があげられ、特性の点からこれらの中
でメチル基が好ましく、R′の炭素原子数1〜6個のア
ルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、n−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、シクロプロピル基等があげられ、特性の
点からこれらの中でn−ブチル基が好ましい。
【0020】一般式(I)で表されるシリコンナフタロ
シアニンと一般式(II)で表されるナフタロシアニン
の組成比(前者/後者、重量比)は、0.1〜10の範
囲であることが性能上好ましく、1.0〜5の範囲であ
ることがより好ましい。これらの組成比は、要求される
性能に応じて適宜選択できる。
【0021】一般式(I)で表されるシリコンナフタロ
シアニンは公知の方法(特開昭64−54069号公
報)により合成することができる。また、一般式(I
I)で表される無金属ナフタロシアニンは、特開昭61
−215662号公報に示されるように一般式(II
I)で表されるジシアノナフタレン誘導体を、
【化5】 ナトリウムアルコキサイドを含有するアルコール中にア
ンモニアガスを吹き込みながら加熱した後、水を加えて
再度加熱して中心に配位しているNaをH2で置換させ
ることにより得ることができる。本発明の耐環境性ナフ
タロシアニン組成物を用いた記録膜層を基板上に形成す
るには、該ナフタロシアニン組成物を適当な有機溶媒に
溶解させ、スプレーコーティング、スピナーコーティン
グ等の方法が適用可能である。
【0021】本発明のナフタロシアニン組成物を用いた
記録膜層を基板上に形成するには、該ナフタロシアニン
組成物を適当な有機溶媒に溶解させ、スプレーコーティ
ング、スピナーコーティング等の方法が適用可能であ
る。
【0022】上記記録層を担持する基板材料としては、
塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等の
熱可塑性樹脂、またはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステ
ル樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、或いは
ガラス、金属類を用いることができるが、基板側からレ
ーザ光による記録再生を行う場合には使用するレーザ光
波長領域において透明である必要がある。
【0023】また、基板が上記材料で形成された平板の
上に光硬化樹脂を積層し、案内溝パターンが該光硬化性
樹脂層の表面に転写された構造であってもよい。
【0024】上記成膜時に使用可能な溶媒としては、基
板材料が熱可塑性樹脂である場合には、ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペ
ンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化
水素系溶媒やメタノール、エタノール、プロパノール、
イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアル
コール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒が
あり、もちろんこれら溶媒の他にも基板上に形成された
プレグルーブ、プレピットダメージを与えない溶媒であ
れば使用可能である。
【0025】このような溶媒は、ベンゼン、トルエン、
キシレン、クロロベンゼン、1−クロロナフタレン、塩
化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエ
タン、ジエチルエーテル、エチレングリコール、ジメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベ
ンゼン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルプロピ
ルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセ
トンアルコール、ジアセトンアルコール、ジイソブチル
ケトン、プロピレンオキシド、フラン、1,3−ジオキ
ソラン、アセタール、メチルアセテート、ジメトキシメ
タン、ジメトキシプロパン、ジエトキシメタン、1,2
−ジメトキシプロパン、2,2−ジメトキシプロパン、
2−ペンタノン、3−ペンタノン、1,2−ブチレンオ
キシド、n−ブチル−2,3−エポキシプロピルエーテ
ル、二硫化炭素、ジイソプロピルエーテル、ニトロメタ
ン、アセトニトリル、1,3−ジシアノプロパン、ジオ
キサン、エチルアセテート等から選択され、単独でも混
合溶媒としても使用可能である。
【0026】記録層の膜層は50〜10000Åの範囲
が好ましく、特に100〜5000Åの範囲が好まし
い。
【0027】また、形成された記録像を光学的に再生す
る時、反射光を利用することが多い。この場合には必要
に応じてコントラストを高める有効な方法として、基板
側から書き込み、読み出しを行う場合は基板と反対側の
記録層の表面に、高い反射率を示す金属層を設けること
もでき、基板と反対側すなわち記録層側から書き込み、
読み出しを行う場合は、基板と記録層の間に高い反射率
を示す金属層を設けることもできる。この高反射率の金
属としては、Al、Cr、Cu、Au、Pt、Snなど
が用いられる。これらの膜は、真空蒸着、スパッタリン
グ、プラズマ蒸着などの公知の薄膜形成技術で形成する
ことができ、その膜厚は100〜10000Åの範囲で
選ばれる。
【0028】また、基板自身の表面平滑性が問題になる
ときは、基板上に有機高分子の均一な膜を設けるとよ
い。これらのポリマーとしては、ポリエステル、ポリ塩
化ビニルなどの市販のポリマーが適用可能である。
【0029】さらに、最外層に保護層を設け、これによ
り安定性、保護性を増し、さらに、表面反射率の低減に
よる感度増加を目的とする層を設けることもできる。
【0030】このような保護層に用いられる材料として
は、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリ
デンとアクリロニトリル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポ
リイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアク
リレート、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリビニル
アルコール、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリビニ
ルブチラール、フッ素ゴム、ポリエステル、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂、酢酸セルロースなどがある。これ
らは、単独でまたはブレンドとして用いられる。
【0031】また、保護層は2層に重ねることもでき
る。上述した保護層用の材料は、適当な溶剤に溶解して
塗布するか、薄いフイルムとしてラミネートする方法が
適用可能である。このような保護層の膜厚は0.1〜1
0μmの厚みに設けるが、好ましくは0.1〜2μmで
用いられる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により更に具体的に本発明を説
明する。
【0033】合成例 (n−Bu3SiO)2SiNc
(SiMe34〔一般式(I)においてR′=n−C4
9、及びR=CH3である化合物〕及びH2Nc(Si
Me34〔一般式(II)の化合物〕の合成 文献(特開昭61−215662号公報)に準じて合成
した化5で示される6−トリメチルシリル−2,3−ジ
シアノナフタレン(30g、120mmol)を無水メ
タノール(250ml)と金属ナトリウム(1.5g、
65.4mmol)から調製したナトリウムメトキシド
のメタノール溶液に加えた後、無水アンモニアガスを吹
き込みながら2時間加熱還流した。放冷後、反応液に分
散している濃緑色固体(2.1g)をろ別した後、ろ液
中のメタノール約200mlを減圧下で留去して、水
(500ml)中に注ぎ込んだ。析出した固体をろ取し
た後、充分水/メタノール(1/1)混合溶媒で洗浄し
た。得られた固体を減圧下で乾燥して、淡黄色固体(2
9.7g、92.7%)を得た。
【0034】この淡黄色固体はIRスペクトル及び元素
分析値より6−トリメチルシリル−1,3−ジイミノベ
ンゾ[f]イソインドリンであることが分かった。IR
スペクトルを図1として示した。一方、先に得られた濃
緑色固体をメタノール/水(9/1)中で6時間加熱還
流した後、n−ヘキサン/エタノールから再結晶を行
い、mp>300℃の濃緑色結晶を得た。この濃緑色結
晶は、1H−NMRスペクトル(図2)、IRスペクト
ル(図3)、電子スペクトル(図4)及び元素分析結果
からH2Nc(SiMe34であることが分かった。
【0035】 H2Nc(SiMe3)の元素分析値 C H N 計算値 71.81% 5.83% 11.17% 分析値 71.63 5.95 10.98
【0036】次に、6−トリメチルシリル−1,3−ジ
イミノベンゾ[f]イソインドリン(29.0g、10
8mmol)のキノリン(600ml)懸濁液に、四塩
化けい素(55ml)を加えて、210℃で3時間反応
させた。反応終了後、室温まで冷却した反応生成液を、
約−50℃に冷却したメタノール(1l)中に徐々に注
ぎ込んだ後、濃アンモニア水(400ml)を液温が急
激に上昇しないように徐々に加えた。その後、突沸に注
意して4時間還流した後、冷却した反応生成液を水/メ
タノール(1/1、2l)に注ぎ込み、固体をろ取し
た。メタノール、エタノール次にn−ヘキサンで洗浄し
た後、減圧乾燥して緑色固体(38.2g、133%)
を得た。
【0037】この固体は、IRスペクトル(図5)及び
電子スペクトル(図6)から不純物を含む(HO)2
iNc(SiMe34であることが分かった。この化合
物は精製せずに次の反応に用いた。
【0038】次に、(HO)2SiNc(SiMe34
(35g)及びトリ−n−ブチルシラノール(30m
l)を、キノリン(800ml)中180℃で3時間か
く拌後、減圧下140〜150℃でキノリンを留去し
た。次に、メタノールを加えてフラスコ中の固体をほぐ
しガラスフィルターを用いてろ取した後、シクロヘキサ
ンを用いて固体中の可溶成分を溶かし出した。シリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(トルエン/シクロヘキサ
ン、1/3)を用いて原点成分を取り除いた後、シクロ
ヘキサン/エタノールから再結晶を行い、mp>300
℃の緑色結晶(10.4g、28.6%)を得た。
【0039】この結晶は、IRスペクトル(図7)、1
H−NMRスペクトル(図8)、電子スペクトル(図
9)及び元素分析結果から(n−Bu3SiO)2SiN
c(SiMe34であることが分かった。
【0040】 (n−Bu3SiO)2SiNc(SiMe34の元素分析値 C H N 計算値 69.08% 7.59% 7.67% 分析値 69.09 7.84 7.44
【0041】上記合成法において、無水メタノールに溶
解させる金属ナトリウムのモル比を変えることにより、
2Nc(SiMe34と(n−Bu3SiO)2SiN
c(SiMe34の生成比を調整することができる。
【0042】実施例1 厚さ1.2mm、直径130mmのポリカーボネート基
板上に、ナフタロシアニン組成物1重量部とシクロヘキ
サン99重量部からなる液をスピンコート法で塗布し、
記録層を形成した。記録層の厚さはSloan社製De
ktak3030で測定した。
【0043】このようにして作製した光学記録媒体をナ
カミチ製OMS−2000を用いて情報を記録し、(レ
ーザの発振波長830nm、レーザパワー7mW、線速
6m/sec、記録周波数3.7MHz、Duty50
%)
【0044】次に、レーザの出力を1.0mWとして記
録した情報を再生した。108回再生後のC/Nを評価
した。また、このようにして作製した光学記録媒体の耐
環境性を高温高湿(80℃、90%RH)条件下に放置
し、3000時間経過後のC/Nを測定した。以上の評
価結果を表1として示した。
【0045】
【表1】 いずれの組成物(No.1〜7)でも、情報再生のC/
N(dB)は、108回再生後及び、80℃、90%R
H3000時間後ともに、初期の値とほとんど変化な
く、非常に有効な光学記録媒体が形成しているものと考
えられる。
【0046】比較例1 本願組成物の構成成分である(n−Bu3SiO)2Si
Nc(SiMe34(SiNcと略記する)及びH2
c(SiMe34(H2Ncと略記する)各々につい
て、実施例と同様にして光学記録媒体を作製し記録再生
性能及び耐環境性を評価し、表2にその結果を示した。
【0047】
【表2】 表2に示すように、H2Ncでは、80℃、90%RH
3000時間後のC/N(dB)は、まったくトラッキ
ングがとれず評価不能であった。また、SiNcでは測
定可能ではあったが、C/N(dB)が、初期値52か
ら46へと減少した。実施例1及び比較例2から明らか
なように、(n−Bu3SiO)2SiNc(SiM
34及びH2Nc(SiMe34、それぞれ単独で使
用した光学記録媒体では、80℃、90%RH3000
時間の耐環境加速試験において、膜の結晶化に起因する
と思われるC/Nの劣化が観測された。しかしながら、
両化合物を混合して用いることにより、表1に示したよ
うに、耐環境加速試験において、記録媒体の劣化による
C/Nの著しい変化がまったくなく、予期せぬ優れた光
学記録媒体を得ることができた。 比較例2 (n−Bu3Sio)2SiNc(S−Nde34を記録
層とした光学記録媒体について、記録時のレーザパワー
を1〜mWとした以外は実施例1と同様にして、C/N
の記録時レーザパワー依存性を比較した。その結果を図
10に示した。
【0048】実施例2 本願組成物No.5を記録層とした光学記録媒体につい
て、記録時のレーザパワーを1〜10mWとした以外は
実施例1と同様にして、C/Nのレーザパワー依存性を
比較した。その結果を図11として示した。
【0049】低パワー領域(1〜4mW)領域では(n
−Bu3SiO)2SiNc(SiMe34単独系に比べ
てC/Nの低下がみられるが、実用域(5〜10mW)
ではC/Nの低下はないことが分かった。さらに(n−
Bu3SiO)2SiNc(SiMe34単独系は8mW
を超える記録パワーでは、エッジ形状がゆがんだピット
が形成される為にトラッキングがはずれ、十分なパワー
マージンを確保できなかった。これに対して、組成物を
用いた記録層では、10mW以上の記録パワーでもエッ
ジ形状が鋭いピットが形成されるので、トラッキングエ
ラーは発生せず実用に供せられるパワーマージンを与え
ることが分かった。
【0050】比較例3 (n−Bu3SiO)2SiNc(SiMe34及びH2
Nc(SiMe34それぞれのシクロヘキサン溶液を用
いて形成した記録膜について、830nmでの反射率の
膜厚依存性を実測値に基づくシュミレーションから求め
た。(図12及び図13に、それぞれの膜厚依存性を示
す。) 実施例3 組成物No.6のシクロヘキサン溶液から形成した記録
膜の830nmでの反射率の膜厚依存性を実測値に基づ
くシュミレーションから求めた。(図14に、その膜厚
依存性を示す。) (n−Bu3SiO)2SiNc(SiMe34は高い最
大反射率を与えるが、この領域では反射率の膜厚依存性
が大きいことが分かった(図12)。また、H2Nc
(SiMe34は膜厚依存性が小さい反面、最大反射率
は約15%と非常に低いことが分かった(図13)。こ
れらに対してNo.6の組成物は反射率も大きく膜厚に
対する依存性が小さくなっていることが分かった(図1
4)。
【0051】組成物No.6の膜厚80nmにおける反
射スペクトルを図15に、(n−Bu3SiO)2SiN
c(SiMe34の膜厚700nmにおける反射スペク
トルを図16に、H2Nc(SiMe34膜厚102n
mにおける反射スペクトルを図17に示した。
【0052】
【発明の効果】830nmの発振波長を有する半導体レ
ーザを用いた記録再生が可能な光学記録媒体において、
記録層として本願のナフタロシアニン組成物を用いるこ
とにより、実用域の記録感度を低下させることなく、再
生レーザ光の長時間照射に対する安定性を100倍以上
向上させることができる。又、優れた溶解性を示す2種
の異なる分子構造を有するナフタロシアニンを混合して
使用することにより、光学記録媒体としての耐環境性を
予期せぬほど大幅に向上できる。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】6−トリメチルシリル−1,3−ジイミノベン
ゾ[f]イソインドリンのIRスペクトル。
【図2】H2Nc(SiMe341H−NMRスペクト
ル。
【図3】H2Nc(SiMe34のIRスペクトル。
【図4】H2Nc(SiMe34の電子スペクトル。
【図5】(HO)2SiNc(SiMe34のIRスペ
クトル。
【図6】(HO)2SiNc(SiMe34の電子スペ
クトル。
【図7】(n−Bu3SiO)2SiNc(SiMe34
のIRスペクトル。
【図8】(n−Bu3SiO)2SiNc(SiMe34
1H−NMRスペクトル。
【図9】(n−Bu3SiO)2SiNc(SiMe34
の電子スペクトル。
【図10】(n−Bu3SiO)2SiNc(SiM
34に関するC/Nのレーザパワー依存性を示すグラ
フ。
【図11】組成物No.5に関するC/Nのレーザパワ
ー依存性を示すグラフ。
【図12】(n−Bu3SiO)2SiNc(SiM
34記録膜が示す反射率の膜厚依存性を示すグラフ。
【図13】H2Nc(SiMe34記録膜が示す反射率
の膜厚依存性を示すグラフ。
【図14】組成物No.6記録膜が示す反射率の膜厚依
存性を示すグラフ。
【図15】組成物No.6記録膜の反射スペクトル。
【図16】(n−Bu3SiO)2SiNc(SiM
34記録膜の反射スペクトル。
【図17】H2Nc(SiMe34記録膜の反射スペク
トル。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】[式中、Rは炭素原子数1〜5個のアルキル基
    を示し、R3で示される複数個のRは同一であっても異
    なってもよく、R′は炭素原子数1〜6個のアルキル基
    を示し、R′で示される複数個のR′は同一であっても
    異なっていてもよい]で表されるシリコンナフタロシア
    ニン誘導体と一般式(II) 【化2】 で表される無金属ナフタロシアニン誘導体を含む耐環境
    ナフタロシアニン組成物。
  2. 【請求項2】 組成比(一般式(I)で表されるシリコ
    ンナフタロシアニン誘導体/一般式(II)で表される
    無金属ナフタロシアニン誘導体、重量比)が1.0〜1
    0である請求項1記載の耐環境性ナフタロシアニン組成
    物。
  3. 【請求項3】 組成比(一般式(I)で表されるシリコ
    ンナフタロシアニン誘導体/一般式(II)で表される
    無金属ナフタロシアニン誘導体、重量比)が1.0〜
    5.0である請求項1記載の耐環境性ナフタロシアニン
    組成物。
  4. 【請求項4】 一般式(I)中、R′がn−C49であ
    る請求項1,2又は3記載の耐環境性ナフタロシアニン
    組成物。
  5. 【請求項5】 基板上に請求項1,2,3又は4記載の
    耐環境性ナフタロシアニン組成物からなる有機薄膜が形
    成されていることを特徴とする光学記録媒体。
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