JP2726828B2 - 高度不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃縮分別装置とその濃縮分別法 - Google Patents

高度不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃縮分別装置とその濃縮分別法

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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、高度不飽和脂肪酸またはそのエステルを含
む混合物(原料混合物)から、所望の高度不飽和脂肪酸
またはそのエステルを効率的に且つ高濃度に濃縮分別す
るのに適した高度不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃
縮分別装置、及びその濃度分別法に関する。特に、魚油
に含まれる多種の脂肪酸から、たとえばエイコサペンタ
エン酸(以下、EPAあるいはC20−5と略記する。)や、
ドコサヘキサエン酸(以下、DHAあるいはC22−6と略記
する。)など所望の長鎖高度不飽和脂肪酸を単離するの
に最適な濃縮分別装置及びその濃縮分別法である。
「従来技術」 従来より、高度不飽和脂肪酸またはそのエステルなど
を含む混合物から所望の成分を濃縮分離する方法として
は、減圧蒸留法、分子蒸留法(真空蒸留法)、高速液ク
ロマトグラフィー法、分取クロマトグラフィー法、或は
超臨界ガス抽出法などが知られている。
上記減圧蒸留法というのは、減圧下において蒸留する
方法である。一般には、常圧蒸留で沸点まで加熱すると
分解したり、不純物の熱分解で無色であるはずの留液が
無色にならない場合、あるいは減圧下では不純物との沸
点差が大きくなり精製が容易になる場合などに、当該減
圧蒸留法が用いられる。
次に、分子蒸留法について簡単に説明する。一般に、
液体を真空中で加熱し、その真空度における平均自由工
程以下のところに冷却面をおくと、蒸発した液体は蒸発
より凝縮までの空間で、多の分子と衝突することなく回
収される。この原理を用いて、成分の濃縮分別を行なう
ものが分子蒸留法(真空蒸留法)である。これは油脂等
の有機高分子物質の他に、各種ビタミン類の蒸留に用い
られる。
次に、クロマトグラフィー法は、吸着剤を用いて混合
気体や液体の各成分を分離する方法で、大別すると液体
クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーがある。
これらのなかで、最近注目をあつめているのが超臨界
ガス抽出法と称されている方法(特公昭54−10539号)
である。この方法は、原理的には、溶質の蒸気圧と溶質
の溶媒に対する親和性の両方を利用する方法であり、温
度と圧力のコントロールによって抽出物からの脱溶媒が
容易且つ完全であること、比較的低温でしかも抽出が速
やかに行なえること等が特長である。しかし、この方法
は、溶解度差によって変化する炭素数の差による分離に
は向いているが、二重結合(不飽和度)の数の差による
濃縮分離には向いていない欠点をもっている。
本発明者の一部も超臨界ガス抽出法について研究し、
先に「超臨界ガスあるいは高圧液化ガスを媒体とした包
接分離法(特開昭61−225139号)を発明した。この発明
は、超臨界あるいは高圧液化ガスを媒体として、その中
においてある種の包接化合物が選択的および可逆的に形
成、分離することを利用して、混合物から目的成分を高
純度、高収率で分離する方法である。この発明は、包接
化合物の安定度の差の大きくない成分が含まれる混合物
から、所望成分を効率よく分離することができる特長が
ある。
また、本発明者達は、超臨界ガス抽出塔の温度分布制
御法として、有限フーリエ変換を用いることにより、集
中定数系に変換し、オブザーバによる状態変数の推定値
をもとに、状態フィードバックを行う(オブザーバとし
て拡張カルアンフィルタを使用する)放物形分布定数系
の制御系の設計法を応用することにより、抽出塔に温度
分布をつけ、これによって還流および精留効果を起こさ
せて、分子量の大きいものが塔底部から、小さいものが
塔頂部から効率的に抽出できる方法を発表した(化学工
学論文集VOL.14,NO.2,147ページ、昭和63年3月10日発
行)。
近年、上記のような混合物からその組成成分を濃縮分
離する技術が注目され、各種の方法が研究開発されるよ
うになった。それは、生化学の発展により自然界の生物
組成成分の中に人間生活にとって有効な成分や薬効成分
等が種々発見され、解明されてきたことに因る。例え
ば、EPAやDHAもその一種である。当該EPAやDHAはマイワ
シ等の魚油に多く含まれる高度不飽和脂肪酸であり、そ
のエステル態、トリグリセライド態とともに、心筋便塞
等の血栓症疾患の予防及び治療に有効であるとされてい
る。しかし、これら有効成分を自然物から効率的に且つ
高純度に目的成分だけを分離抽出することは技術的に困
難なことであった。
例えば、魚油に含まれる多種の脂肪酸から、上記EPA
やDHA等の有効成分を濃縮分離するために、現在実用化
されている技術は、前記減圧蒸留法や分子蒸留法であ
る。
しかるに、これら蒸留法は処理量、処理温度、原料或
は製品の、前処理或は後処理に要する溶剤や時間、エネ
ルギーに関する問題があり、原料が安価であるにもかか
わらず、製品は非常に高価なものになっている。
このため、近年高度不飽和脂肪酸またはそのエステル
を含む混合物からその組成成分であるEPAやDHAを濃縮分
離する改良技術が各方面で研究され提案されている。そ
の先行提案技術を分類すると、 第1に「尿素付加−真空蒸留法」(特開昭57−187397
号)、第2に「真空蒸留−尿素付加法」(特開昭58−80
37号、特開昭57−149400号)、第3に「固体尿素付加
法」(特開昭57−164196号)、第4に「改良クロマトグ
ラフィー法」(特開昭56−115736号)などがそれであ
る。
第1の「尿素付加−真空蒸留法」(特開昭57−187397
号)は、海産物油など天然油脂から得られる脂肪酸混合
物(遊離脂肪酸または脂肪酸エステル)をまず尿素処理
して、低不飽和脂肪酸の大部分を除去して真空蒸留を容
易にすることを特徴とする分離法である。この方法は、
真空蒸留法が工業的分離濃縮技術として簡単且つ経済的
であるが、魚油中にはEPAやDHAよりも沸点の低い飽和脂
肪酸および不飽和度の低い脂肪酸(すなわち低不飽和脂
肪酸)を多量に含むため、これらの成分を前留として留
去するには長時間を要し、且つ熱重合などの変性を起こ
す危険がある。また、EPAやDHAと沸点の近接する低不飽
和脂肪酸も多いため、EPAやDHAのみを単独で完全に分離
することは不可能である。本発明に係る濃縮分離法は、
こういった技術的問題点を克服しようとしたものであ
る。
第2の「真空蒸留−尿素付加法」(特開昭58−8037
号、特開昭57−149400号)は、上記「尿素付加−真空蒸
留法」の技術的欠点を更に改良したものである。即ち、
上記「尿素付加−真空蒸留法」では原料脂肪酸混合物を
直ちに尿素処理に付すため、原料に対して尿素約1.5
倍、アルコールを約10倍使用する必要があり、その結
果、装置が大きくなるとともに、生成した大量の廃棄物
の再生処理が大変であるという難点がある。そこで、真
空蒸留をした後、尿素処理をしようという「真空蒸留−
尿素付加法」が提案された。この方法によれば、尿素及
び反応溶剤の使用量が少なくなるばかりでなく、尿素付
加体精製における精製効率の低下を抑制出来、かつ尿素
付加体の濾過結晶に目的物質が付着することによる収率
低下も避けることが出来るといわれている。更に、使用
した反応溶剤の回収および尿素の再利用に際しての大量
使用の回避、並びにその回収再利用のための設備が「尿
素付加−真空蒸留法」よりも小型簡略化できる利点があ
る。
第3の「固体尿素付加法」(特開昭57−164196号)
は、従来の尿素付加法を改良したものである。従来の尿
素付加法は、アルコールの尿素飽和溶液を用いるため、
高度不飽和脂肪酸のような尿素と付加体をつくらない物
質を得る場合、溶液側にアルコール、尿素、高度不飽和
脂肪酸が混合物として存在し、この中から高度不飽和脂
肪酸を回収するには、アルコール除去後、水洗浄あるい
は抽出という工程が必要になり、収率の低下と操作の煩
雑さを招く。また、従来の尿素付加法では尿素付加体か
ら尿素を回収する際に、複雑な工程を得なければならな
いが、この工程をも簡略化しようとするのが「固体尿素
付加法」である。本分離法で用いる溶剤は、脂肪酸混合
物を溶解し、尿素と付加体をつくらないで、固体尿素と
均一なスラリーを作る炭素数5〜8の脂肪族あるいは脂
環式炭化水素であり、尿素付加体の洗浄及び尿素付加体
の分解にもこの同一溶剤を用いる。
第4に「改良クロマトグラフィー法」(特開昭56−11
5736号)が提案されている。即ち、高純度のEPAやDHAを
濃縮分離するのに効果的な方法として既存の銀イオン・
クロマトグラフィー法が知られているが、その方法は、
硝酸銀けい酸カラムの再生が不可能であり、且つ高純度
のEPAおよびDHAを得るのに長時間を要する欠点を有して
いる。これに対して、提案された方法は、効果的なカラ
ム充填剤と溶離液を見出したことにより、従来のクロマ
トグラフィー法を大幅に改良したものである。
ここで見出されたカラム充填剤は8〜28個の炭素原子
を有するアルキル基をシリカに化学結合させたものであ
る。一方、溶離液は、テトラヒドロフラン−低級アルコ
ール酢酸水溶液系である。このような充填剤および溶離
液を用いることにより、銀イオン・クロマトグラフィー
法では15gのEPA及び8.4gのDHAを得るのに5日間を要し
ていたものが、13時間に短縮出来るようになった。
「発明が解決せんとする問題点」 以上、長鎖高度不飽和脂肪酸の濃縮分離法について最
近提案された技術を挙げてきたが、いずれも前述の普遍
的な濃縮分離技術の欠点を回避する目的で考案されたも
のである。しかし、それらは既存技術を組み合わせた
り、既存技術に若干の改良を加えた分離法であり、一応
それなりの効果を挙げてはいるが、その回収効率と濃縮
度と経済性の両立といった点で、まだ充分満足出来る方
法には至っていない。
発明者は、超臨界ガス抽出による魚油成分分別の可能
性を検討しているうち、次のような長所、欠点のあるこ
とが判明した。この超臨界ガス抽出法は、温度と圧力を
操作因子とし、溶媒の供給量をコントロールするだけ
で、抽出相として所望の溶質成分を選択的、可逆的に収
容連行出来ること、当該抽出相からの脱溶媒が容易且つ
完全に行なえること、比較的低温でしかも抽出が速やか
に行なえること等といった長所がある。しかし、その溶
解度を含めた気液平衡データを鋭意実測し、相関関係を
検討した結果、この超臨界ガス抽出法は、炭素数の差に
よって溶解度がかなり異なるので、炭素数の差を主体と
した分画は高水準に行なえるが、同一炭素数で二重結合
の数に差がある場合には溶解度が類似しているのでそれ
による分画には向いていない欠点をもっていることが解
った。従って、単なる超臨界ガス抽出のみでは、魚油か
ら選択的にEPAやDHAなどの高度不飽和脂肪酸を濃縮単離
することは困難であることを知った。
ところがその後、超臨界ガス中においても脂肪酸や、
そのエステルが尿素やデオキシコール酸と、その不飽和
度に応じて包接化合物の形成・分解が行なわれる現象を
見出した。この包接化合物の形成は、二重結合数の差に
よって、大きく異なること、当該包接形成・分解反応が
気相中(抽剤ガス雰囲気中)で行なわれると、包接化合
物の安定度の大きくない成分が含まれている混合物で
も、効率的に行なえることも判明した。発明者らは、こ
のような研究により知り得た技術知見に基づき、先に
「超臨界あるいは高圧液化ガスを溶媒とした包接分離
法」(特開昭61−225139号)という基本発明をした。本
発明は、当該基本発明を利用した実用性、経済性のある
工業的製造方法と、そのための装置をその後の研究開発
により、具現化したものである。
本発明のプロセスは、発明者が開発した脂肪酸の炭素
数の差を識別する超臨界ガスや高圧液化ガスを溶媒とし
た成分精留分別法と、不飽和度の差を識別する超臨界ガ
スを媒体とした包接分別法(特開昭61−225139号)とを
組み合わせることにより、混合物を炭素数の差を主体と
した精留分画と、二重結合(不飽和度)の差を主体とし
た分画とを、一連の系において整合性を保ちながら連続
的に行なうことにより魚油などの混合物から所望の目的
成分を従来以上に高純度により効率的に濃縮分別するも
のである。
更に、発明者達は、高度不飽和脂肪酸またはそのエス
テル(目的成分)を濃縮分別するプロセスが、超臨界二
酸化炭素ガスや高圧液化二酸化炭素ガスを媒体とする一
貫したシステムを構築する場合には、二酸化炭素ガスの
操作圧力条件(10〜15MPa)、温度条件(30〜60℃)流
量条件(1000〜2000Nl/h)で均衡(バランス)し、整合
性がとれる条件が存在する事実を実験的に見出した。
即ち、高度不飽和脂肪酸が最も超臨界二酸化炭素ガス
(>32℃)に溶解する温度条件は、おおむね40℃付近で
あり、それ以上の高温域では著しく溶解度が低下する事
実を見出した。(「超臨界ガス抽出塔の温度分布制御」
化学工業論文集,VOL.14,No2,P147〜154(H1)Fig.1)。
また、超臨界二酸化炭素ガスを媒体にした高級脂肪酸が
固体尿素等の包接格子成分とアダクト形成する温度条件
は、常識的には低温ほど有利であることが予想されてい
るが、種々の実験結果、40℃近傍が最も効率的に包接化
合物を形成し、その結果として、高度不飽和脂肪酸が、
最も濃縮される条件がある事実を見出したのである。両
者とも、偶然にも40℃前後での濃縮分別が最も効率がよ
く整合性もあるので、その組合わせは両者とも最良条件
下での相乗的濃縮分別効果を実現出来る。しかも、この
ような室温レベルの温度帯での濃縮分別は、高度不飽和
脂肪酸の熱変性や重合等による変質を防ぎ、高純度の濃
縮分別を始めて可能にしたものである。
本発明者等は、上記の知見に基いて、超臨界二酸化炭
素ガスや高圧液化二酸化炭素ガスを媒体とし利用する点
で共通するとともに、操作圧力、温度、流量などの条件
に整合性のある一連の系として組み合わせが可能なこ
と、その平衡条件時の濃縮分別効率が非常に良いこと、
成分を濃縮し分画する作用原理の異なる二つ分別法を分
けて専門的に行うことにより、従来以上の高純度化と効
率化が図れることに着目し、意図的に両分別法を組み合
わせてそれらの相乗効果により実用性のある高度不飽和
脂肪酸またはそのエステルの濃縮分別装置とその濃縮分
別法を具現化しようとしたものである。
「問題を解決するための手段」 本件発明は、大別すると、出発物質である高度不飽和
脂肪酸またはそのエステルを含む混合物(原料混合物)
から、その組成成分である所望の高度不飽和脂肪酸また
はそのエステル(目的成分)を濃縮分別する装置とその
目的成分を高純度、効率的に濃縮分別する方法とからな
る。
まず最初に、高度不飽和脂肪酸またはそのエステルの
濃縮分別装置発明について述べる。
即ち、第1図(イ)(ロ)に示すように、特許を受け
ようとしている第1発明は、抽出塔内に高さ方向に多段
交換帯域と各段毎に温度条件を調整出来る加熱装置を設
け、抽出塔内に導入された高度不飽和脂肪酸またはその
エステルを含む混合物(以下、原料混合物という。)
を、別途供給される超臨界二酸化炭素ガスあるいは高圧
液化二酸化炭素ガス(以下、抽剤ガスと称す。)に接触
して、多段交換帯域毎に溶解度差により抽出相と還流す
る抽残成分相とに分離を繰り返し、炭素数の差を主体に
所望の高度不飽和脂肪酸またはそのエステル(以下、目
的成分という。)を精留分画するようにしたことを特徴
とする成分精留分別装置と、包接格子物質を仕込んだ包
接反応槽を設け、このなかで抽剤ガスを媒体にして原料
混合物を、抽剤ガス雰囲気中で包接格子物質と接触さ
せ、包接形成・分解反応させて二重結合(不飽和度)の
差を主体に、目的成分を分画するようにしたことを特徴
とする包接分別装置とを、連結手段により、成分精留分
別装置で濃縮され分画された目的成分抽出相または溶質
成分(中間濃縮混合物)が包接分別装置の原料供給部に
同じ系のまま導入し得るように組合わせ構成し、一連の
系に組合わされた前記両装置において原料混合物を整合
性のある操作圧力、温度、流量などを操作因子として一
連の系内で連続的に濃縮・分画し得るようになし、目的
成分を高純度、高収率に濃縮分別するようにしたことを
特徴とする高度不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃縮
分別装置である。
本発明は、成分精留分別装置と包接分別装置において
媒体となる抽剤ガスを共通の超臨界二酸化炭素ガスある
いは高圧液化二酸化炭素ガスにし、一連の系内で連続的
に濃縮・分画し得るように組み合わせることにより、そ
の操作因子である圧力、温度、流量が整合性のあるほぼ
同じ条件領域で、高度不飽和脂肪酸またはそのエステル
を、両装置が有する能力の高いレベルで濃縮、分画を効
率的に行えるようにした濃縮分別装置を具現化したもの
でる。媒体である抽剤ガスが超臨界二酸化炭素ガスある
いは高圧液化二酸化炭素ガスという特殊な状態のガスで
あるため、その制御因子の操作の仕方によってその濃縮
・分画作用が極めて敏感に且つ複雑な変化を起こし、そ
の効率や収率が大きく変動してしまう。従って成分精留
分別装置による濃縮・分画作用と、包接分別装置による
濃縮・分画作用とを、二度に分けて行った場合と、同じ
系内で整合性のある圧力、温度、流量により連続的に行
う場合では、高純度、高収率な濃縮分別の効率や収率が
大きく異なってくる。つまり二度に分けて行う場合に
は、圧力、温度、流量の操作を一度止めて、一旦大気圧
まで減圧した後、原料として次の装置に投入し、当該原
料成分を超臨界二酸化炭素ガスあるいは高圧液化二酸化
炭素ガスに溶解させるが、溶解状態は、飽和溶解になら
ざるを得ず、溶質濃度の調節が困難となり次の包接形成
反応が起こりにくくなる。
特許を受けようとしている第2発明は、第2図に示す
ように、一方に、加熱装置を備えた高低差のある抽出塔
と、当該抽出塔内へ原料混合物を供給し得る混合物供給
部と、当該抽出塔へ抽剤ガスを供給し得る抽剤ガス供給
部と、抽出塔内で供給された原料混合物と抽剤ガスが接
触して、溶解度差によって抽出相と還流する抽残成分相
とに分離し、これによって得られる抽出相を抽出塔の外
に取り出す抽出相採取部と、抽出塔内で分離して得られ
る抽残成分相を抽出塔の外に取り出す抽残成分相採取部
と、採取された抽出相から温度と圧力を操作因子として
抽剤ガスを除去し収容連行された溶質成分を分離抽出す
る溶質成分抽出部と、採取された抽残成分相から温度と
圧力を操作因子として抽剤ガスを除去して抽残成分を分
離抽出する抽残成分抽出部とからなる成分分別装置にお
いて、前記抽出塔は、その抽出塔内の高さ方向に可及的
に連続した多段交換帯域を構成し、当該多段交換帯域に
は、各段毎に温度条件を調整できる温度制御部を有する
加熱装置を設け、当該加熱装置により連続した多段交換
帯域に、相平衡に基づいてあらかじめ特定されている最
適温度条件に可及的に沿った温度勾配を賦与できるよう
に構成し、連続した多段交換帯域において多段階に成分
を溶解度差によって分離あるいは還流を繰返して目的成
分を精留分画するようにしたことを特徴とする超臨界二
酸化炭素ガスあるいは高圧液化二酸化炭素ガスを用いた
成分精留分別装置を用意する。
他方に、加熱装置を備えた包接格子物質を仕込み得る
包接反応槽と、当該包接反応槽内へ原料混合物を供給し
得る混合物供給部と、当該包接反応槽へ抽剤ガスを供給
し得る抽剤ガス供給部と、包接反応槽内で供給された混
合物中の溶質成分と抽剤ガスが接触し、選択的、可逆的
に包接形成・分解反応を行なって目的成分の連行された
抽出相と包接化合物を含んだ抽残成分相とに分画して得
られる抽出相を包接反応槽の外に取り出す抽出相採取部
と、包接反応槽内で分離して得られる抽残成分相を包接
反応槽の外に取り出す抽残成分相採取部と、採取された
抽出相から温度と圧力を操作因子として抽剤ガスを除去
し収容連行された目的成分を分離抽出する溶質成分捕集
部と、採取された抽残成分相から温度と圧力を操作因子
として抽剤ガスと包接格子物質を除去して抽残成分を分
別する抽残成分捕集部とからなり、包接反応槽内に包接
格子物質を仕込み、原料混合物を包接格子物質に接触さ
せ、包接形成・分解反応をさせ、目的成分を分画するよ
うにしたことを特徴とする包接分別装置を用意する。
そのうえで、前記成分精留分別装置と前記包接分別装
置とを、成分精留分別装置の抽出相採取部若しくは溶質
成分抽出部と包接分別装置の混合物供給部とを同じ系と
なるように連結してなる連結手段により組合せ構成し、
成分精留分別装置で濃縮され分画された目的成分抽出相
または溶質成分(中間濃縮混合物)が連結手段により包
接分別装置の原料供給部に導入し得るようになす。
そして、一連の系に構成された前記両装置において原
料混合物が整合性のある操作圧力、温度、流量などを操
作因子として一連の系内で連続的に濃縮・分画し得るよ
うになし、目的成分を高純度、高収率に濃縮分別するよ
うにしたことを特徴とする高度不飽和脂肪酸またはその
エステルの濃縮分別装置である。
以上のように、本発明は、成分精留分別装置と前記包
接分別装置とを連結手段により一連の系として組合わせ
たことを特徴とする高度不飽和脂肪酸またはそのエステ
ルなどの混合物からの成分濃縮分別装置である。
特許を受けようとする第3発明は、第2発明に記載す
る成分精留分別装置と包接分別装置とを連結手段により
組合せ構成される高度不飽和脂肪酸またはそのエステル
の濃縮分別装置において、包接分別装置を第2発明のも
のとは異なった、半回分式のものに組変えた装置であ
る。
前記包接分別装置は、その加熱装置を備えた高低差の
ある抽出塔を二分割して一対の抽出セルとなし、当該一
対の抽出セル双方には、各抽出セル内へ原料混合物を供
給し得る混合物供給部と、抽剤ガス供給部と、抽出相採
取部と、抽残成分相採取部とを設け、更に各抽出セルに
設けた前記抽出相採取部にはそれぞれ溶質成分抽出部を
設け、双方の抽出セルに設けた両抽残成分相採取部の間
を連結して、原料混合物が両抽出セルのいずれにも選択
的に導入し得るようになすとともに、当該抽残成分相採
取部には抽残成分抽出部を設けるように成し、両抽出セ
ル中には包接格子物質を仕込んでおき、一方の抽出セル
を加熱している際は他方の抽出セルを冷却するようにな
し、加熱した抽出セルにおいては包接分解反応を、冷却
した抽出セルにおいては包接形成反応を行なわせ、これ
によって二重結合(不飽和度)の差を主体とした分画を
行なうように構成する。
他方、混合物の成分精留分別装置は、第2発明に記載
したように構成して溶解差により炭素数の差を主体とし
た精留分画を行ない得るようにしたものである。
前記成分精留分別装置と前記包接分別装置とを、成分
精留分別装置の抽出相採取部若しくは溶質成分抽出部と
包接分別装置の混合物供給部とを同じ系となるように連
結してなる連結手段により組合せ構成し、成分精留分別
装置で濃縮され分画された目的成分抽出相または溶質成
分(中間濃縮混合物)が連結手段により包接分別装置の
原料供給部に導入し得るようになし、一連の系に構成さ
れた前記両装置において原料混合物が整合性のある操作
圧力、温度、流量などを操作因子として一連の系内で連
続的に濃縮・分画し得るようになし、目的成分を高純
度、高収率に濃縮分別するようにしたことを特徴とする
高度不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃縮分別装置で
ある。
特許を受けようとする第4発明は、第6図に示すよう
に高度不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃縮分別法の
発明である。
抽出塔内の高さ方向に可及的に連続した多段交換帯域
を構成し、当該多段交換帯域には、各段毎に温度条件を
調整できる温度制御部を有する加熱装置を設け、当該加
熱装置により連続した多段交換帯域に、相平衡に基づい
てあらかじめ特定されている最適温度条件に可及的に沿
った温度勾配を賦与できるように構成し、抽出塔内に導
入された原料混合物が別途供給される抽剤ガスに接触し
て連続した多段交換帯域毎に溶解度差によって抽出相と
抽残成分相とに分離、還流を繰り返し、炭素数の差を主
体に目的成分を濃縮分別するようにしたことを特徴とす
る超臨界二酸化炭素ガスあるいは高圧液化二酸化炭素ガ
スを用いた成分精留分別装置と、包接格子物質を仕込ん
だ包接反応槽を設け、このなかで抽剤ガスを媒体にして
原料混合物を、抽剤ガス雰囲気中で包接格子物質と接触
させ、包接形成・分解反応させて二重結合の差を主体に
目的成分を分画するようにしたことを特徴とする包接分
別装置とを、連結手段により成分精留分別装置で濃縮さ
れ分画された溶質成分あるいは目的成分抽出相(中間濃
縮混合物)が、同じ系のまま包接分別装置の原料供給部
に導入し得るように組合わせ構成し、一連の系に組合わ
された両装置において原料混合物を整合性のある操作圧
力、温度、流量などを操作因子として一連の系内で連続
的に濃縮・分画し得るようになし、目的成分を高純度、
高収率に濃縮分別するようにしたことを特徴とする高度
不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃縮分別装置を用意
する。
本発明は、当該濃縮分別装置を使用して、原料混合物
から目的成分(所望の高度不飽和脂肪酸またはそのエス
テル)を極めて高濃度に且つ高効率に濃縮分別する方法
である。
その方法は、先ず、前記成分精留分別装置の抽出塔内
に設けられた連続する多段交換帯域に、相平衡に基づい
てあらかじめ所定圧力下における最適温度条件を特定す
る。
次に、各段毎に温度条件を調整できる温度制御部を有
する加熱装置により、抽出塔内の多段交換帯域をその高
さ方向にあらかじめ特定し連続的な最適温度条件に可及
的に沿った温度勾配となるように調整する。
そのうえで、当該可及的に好ましい圧力条件と温度条
件の下で抽剤ガスを溶媒にして溶解度差により主に炭素
数の差を識別しながら分離と還流を各段の交換帯域毎に
繰返し、これによって目的成分を精留し分画して中間濃
縮抽出相(中間濃縮混合物)となす。このように成分精
留分別装置を用い、超臨界二酸化炭素ガスあるいは高圧
液化二酸化炭素ガスを溶媒として原料混合物から目的成
分を精留し分画する(還流抽出分別法)。
その後、当該還流抽出分別法により目的成分抽出相ま
たは溶質成分(中間濃縮混合物)を連結手段により同じ
系のまま包接分別装置の原料供給部に導入する。そし
て、包接分別装置内では抽出ガスを媒体として目的成分
抽出相中の溶質成分を包接格子物質と接触させ、整合性
のある圧力と温度を操作因子として、溶質成分と包接格
子物質とを反応させて、選択的、可逆的に包接化合物を
形成・分解して、二重結合(不飽和度)の差により目的
成分を分画する。
このように包接分別装置を用いて、選択的、可逆的に
包接化合物を形成・分解して、二重結合(不飽和度)の
差により目的成分を分画する方法を行う(包接分別
法)。
本発明は、このように先ず還流抽出分別法を行い、そ
の後包接分別法を共通な抽剤ガスと整合性のある圧力、
温度、流量の条件下で、一連の系内で連続的に行うこと
により原料混合物から目的成分を高純度、高収率に濃縮
分別するようにしたことを特徴とする高度不飽和脂肪酸
またはそのエステルの濃縮分別法である。
「実施例」 以下、本件発明について、図示の実施例に基ずき詳細
に説明する。
原料混合物は、下表−1.のように高度不飽和脂肪酸な
ど多種の脂肪酸が含まれる魚油である。この原料混合物
である魚油から有効成分であるエイコサペンタエン酸
(以下、EPAあるいはC20−5と略記する。)や、ドコサ
ヘキサエン酸(以下、DHAあるいはC22−6と略記す
る。)などの長鎖高度不飽和脂肪酸を目的成分として高
濃度、高収率に濃縮分別する事を本発明の具体的事例と
する。本件発明をそのために必要な高度不飽和脂肪酸ま
たはそのエステルの濃縮分別装置とその濃縮物別法とし
て説明する。
石巻港水揚げのいわしの魚油を構成する脂肪酸組成を
分析した結果、表−1のようになった。この表から解る
ように、組成する脂肪酸は主に炭素数が14−22であり、
二重結合数も0−6というように、性質が類似したもの
が多種混在している。このなかで、EPA(C20−5)は、
炭素数20、二重結合数5であり、14.7%しか含まれてい
ない。また、DHA(C22−6)は、炭素数22、二重結合数
6で、12.7%しか含まれていない。このように、目的成
分であるEPAやDHAは、天然油脂のなかでの含有量が低い
ため、医療などの用途には、これらを濃縮しながら分別
する必要がある。
本発明の基本プロセスは、上記のような各種脂肪酸を
含んでいる原料魚油(原料混合物)から、主に脂肪酸の
炭素数の差を識別する機能をもった超臨界二酸化炭素ガ
スあるいは高圧液化二酸化炭素ガスを溶媒とする精留分
別システムと、不飽和度の差を識別する超臨界ガスを媒
体とした包接分別システム(基本発明)とを組合せるこ
とにより、混合物を炭素数の差を主体とした精留分画
と、二重結合(不飽和度)の差を主体とした分画とを一
連の系において連続的に行ない、所望の高度不飽和脂肪
酸またはそのエステルの(目的成分)をより高濃度、よ
り高収率に濃縮分別する方法とそのための装置である。
即ち、例えば、目的成分をEPA(C20−5)とした場
合、上記のように多種の脂肪酸を含んだ原料魚油を超臨
界二酸化炭素ガスあるいは高圧液化二酸化炭素ガスを溶
媒とする精留分別システムにかけて炭素数が20以外の成
分は除去し、炭素数が20である脂肪酸に富んだ成分を溶
解した抽出相(C20−1,C20−4,C20−5を溶解してい
る。)を分別採取する。次に、この分別採取された抽出
相を超臨界二酸化炭素ガスあるいは高圧液化二酸化炭素
ガスを媒体とする包接分別システムにかけて二重結合数
(不飽和度)の差のある成分(C20−1,C20−4.)を分別
して除き、目的成分(C20−5)だけを得る。
本件発明は、そのために必要な高度不飽和脂肪酸また
はそのエステルの濃縮分別装置(以下、濃縮分別装置と
称する。)と、その濃縮分別法とからなる。
そこで、まず最初に、当該濃縮分別装置の実施例につ
いて説明する。
本発明の基本プロセスを装置として基本設計して示し
たのが、第1図(イ)、(ロ)の濃縮分別装置概念図で
あり、本件第1発明、第2発明の基本となる実施例であ
る。
図中、1は、超臨界二酸化炭素ガスあるいは高圧液化
二酸化炭素ガスを溶媒として用い、溶質の蒸気圧と溶質
の溶媒に対する親和性の両方(溶解度差)を利用して分
離と還流を繰返し、温度と圧力を操作因子として、原料
混合物の組成成分のうち任意の高度不飽和脂肪酸または
そのエステル(目的成分)を精留しながら分画する成分
精留分別装置である。
また図中2は、原料混合物を包接格子物質と超臨界ガ
ス或は高圧液化ガス雰囲気中で接触させ、包接化合物を
形成・分解させて原料混合物の組成成分を分画する包接
分別装置である。
そして両装置は連結手段3により成分精留分別装置で
濃縮され分画された目的成分抽出相または溶質成分(中
間濃縮混合物)が他方の装置の原料供給部に同じ系のま
ま導入し得るように組合せ構成し、一連の系に組合わさ
れた前記両装置において原料混合物を整合性のある圧
力、温度、流量などを操作因子として一連の系内で連続
的に濃縮・分画し得るように構成してある。
この両装置の組合わせには2態様があり、第1図
(イ)はそのうちの一態様「成分精留分別装置−包接分
別装置」の組合例で、本願発明の基本構成を示す概念説
明図である。前記成分精留分別装置1は加熱装置15を備
えた抽出塔10と、原料混合物供給部20と抽剤ガス供給部
30と抽出相採取部40とからなり、前記包接分別装置2
は、包接反応槽80と目的成分捕集部90とからなる。
第1図(ロ)に示したのは、本願発明ではないが、他
の組み合わせ態様例で、抽出塔10と包接反応槽80とを逆
になるように組合せ、「包接分別装置−成分精留分別装
置」にしたものである。尚、第1図(イ)と同一構成部
分には対応する同一符合を付したので、その説明は省略
する。
前記「成分精留分別装置−包接分別装置」の組合実施
例を使用する場合には、高度不飽和脂肪酸またはそのエ
ステルを含む原料混合物を混合物供給部20に入れるとと
もに、抽剤ガス供給部30の高圧ポンプ33を作動して系内
を所定圧力にしたあと、抽出塔10内に超臨界二酸化炭素
ガス或は高圧液化二酸化炭素ガスを流通させ、抽出塔10
内で原料混合物と抽剤ガスとを接触させ、原料抽の可溶
成分を選択的、可逆的に溶解させ連行する。このとき、
抽出塔10は、高さ方向に可及的に連続した多段交換帯域
となるように構成し、当該抽出塔10の各段交換帯域毎に
温度制御部を有する加熱装置15を設け、各段交換帯域毎
に最適温度条件に可及的に沿った温度勾配を賦与して多
段階に成分を溶解度差よって分離した抽出相と還流する
抽残成分相とに分画することを繰り返し、目的成分を精
留分別する。
この目的成分の中間濃縮抽出相を抽出相採取部40から
採取した後、これを中間濃縮混合物として連結手段3を
介して包接分別装置2の包接反応槽80に導入する。この
際、当該包接反応槽80内には、包接格子物質を仕込んで
おき、この中で中間濃縮抽出相を、包接格子物質と接触
させて、包接化合物を形成・分解し、目的成分(溶質)
が選択的に溶解された目的成分抽出相と包接化合物を含
んだ抽残成分相とに分画したうえ、目的成分抽出相を取
り出し、目的成分捕集部90に充分濃縮された目的成分
(溶質)を放出させるのである。
次に、本発明にかかる装置発明の具体的実施例につい
て、図面に基ずき説明する。
第2図に示したのは、第1発明に係る濃縮分別装置の
一実施例である。これは基本的には、「成分精留分別装
置−包接分別装置」の組合せ例である。即ち、前記成分
精留分別装置1と、前記包接分別装置2とが連結手段3
にて組み合わされている一連の装置である。
本発明にかかる成分精留分別装置1の構成は、加熱装
置15を備えた高低差のある抽出塔10と、当該抽出塔10内
へ原料混合物を供給し得るように原料供給管21で連結さ
れた混合物供給部20と、当該抽出塔10へ超臨界二酸化炭
素ガスあるいは高圧液化二酸化炭素ガスを供給し得るよ
うに溶媒供給管31でつながった抽剤ガス供給部30と、抽
出塔10内で供給された原料混合物と抽剤ガスが接触して
溶解度差によって抽出相と還流する抽残成分相とに分離
して得られる抽出相を導管41により抽出塔10の外に取り
出す抽出相採取部40と、抽出塔10内で分離して得られる
抽残成分相を導管61により抽出塔10の外に取り出す抽残
成分相採取部60と、採取された抽出相から温度と圧力を
操作因子として抽剤ガスを除去し収容連行された溶質成
分を分離抽出する溶質成分抽出部50と、採取された抽残
成分相から温度と圧力を操作因子として抽剤ガスを除去
して抽残成分を分離抽出する抽残成分抽出部70とからな
る。上記のような基本構成の成分精留分別装置1におい
て、抽出塔10を高さ方向に多段交換帯域10a,10b,10c,10
d…となし、当該抽出塔10の各段交換帯域10a,10b,10c,1
0d…毎に温度制御の可能な加熱装置15,15,…を設け、各
段交換帯域10a,10b,10c,10d…毎に最適温度条件に沿っ
た温度を制御しながら賦与し得るようにしたものであ
る。
尚、本発明の加熱装置15は、図示実施例に限定される
ものではなく、温度制御機能を持っていれば、適当な既
存の加熱手段を用いて構成されても良いこと勿論であ
る。しかるに、発明者らは、当該抽出塔10を全塔にわた
って、温度分布状態を高精度に制御せんとするため、温
度制御部としてコンピュータ制御部18を用いている。以
下は、その加熱装置15の実施例である。即ち、第3図に
示すように、超臨界二酸化炭素ガスあるいは高圧液化二
酸化炭素ガスを用いた前記混合物の組成成分である高度
不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃縮分別装置におけ
る加熱装置15を、抽出塔10の内外適所に温度センサー16
a,16b,16c,…を複数個設けてなる温度測定部16と、抽出
塔10の内外適所にバンドヒーター17a,17b,17c,…を複数
個設けてなるヒータ制御部17と、コンピュータによる温
度制御部18とから構成した。
第5図は、当該コンピュータによる温度制御部18を有
する加熱装置15を用いて抽出塔10に所定の温度勾配を賦
与した実験例である。この図表から解るように、ほぼ30
分後には、最適温度条件として設定したモデル温度勾配
と一致するものとなった。
他方、前記包接分別装置2は、加熱装置81を備えた包
接格子物質を仕込んである包接反応槽80と、当該包接反
応槽80内へ原料混合物を供給し得るように供給管91で連
結された原料供給部90と、当該包接反応槽80へ超臨界二
酸化炭素ガスあるいは高圧液化二酸化炭素ガスを供給し
得るように溶媒供給管101でつながった抽剤ガス供給部1
00と、包接反応槽80内に供給された中間濃度混合物の溶
質成分と包接格子物質とを接触して包接形成・分解反応
を起こさせ、選択的、可逆的に包接化合物を得ることに
より、目的成分抽出相と包接化合物を含んだ残留成分相
とに分離し、得られた目的成分抽出相を導管111により
包接反応槽80の外に取り出す目的成分相採取部110と、
包接反応槽80内で分離して得られる残留成分相を導管12
1により包接反応槽80の外に取り出す残留成分相採取部1
20と、採取された目的成分相から温度と圧力を操作因子
として抽剤ガスを除去し収容連行された目的の溶質成分
を分離抽出する目的成分捕集部130と、採取された残留
成分相から温度と圧力を操作因子として抽剤ガスを除去
して残留成分を分離抽出する残留成分捕集部140とから
なる。尚、本実施例にかかる包接分別装置2は、包接格
子物質を包接反応槽80に供給したり回収したりすること
が出来るように包接成分循環機構82を構成して、包接格
子物質の目的成分抽出相への可溶化や包接化合物の安定
化などの問題に対応出来るようにしてある。
また、図中3は、一方の装置で分画された中間濃縮混
合物を他方の装置の原料供給部90に導入し得るようにし
た連結手段である。図示実施例では二系統がある。その
第1系統3aは、前記成分精留分別装置1の抽出相採取部
40を介して抽出塔10の外に採取された抽出相をそのまま
他方の前記包接分別装置2の原料供給部90へ連結し、そ
のままの状態で原料中間濃縮混合物の抽出相となし、包
接反応槽80に導入するようにした系統である。また第2
系統3bは成分精留分別装置1の抽出相採取部40から溶質
成分抽出部50を経て分離抽出された溶質成分を中間濃縮
混合物となし、これを前記包接分別装置2の原料供給部
90における原料槽92へ連結導入する系統である。第2系
統3bの原料槽92には、溶媒供給管102を介して抽剤ガス
供給部100より抽剤ガスを供給し得るようにしておき、
原料中の可溶成分が溶解して溶質成分抽出相となし、そ
れが包接反応槽80に導入し得るように構成されている。
従って、前記包接分別装置2を使用する場合には、包
接反応槽80に包接格子物質を仕込み、高圧ポンプ103を
作動して包接反応槽80を所定の圧力に調整したうえ、抽
剤ガス供給部100の弁104を開けて抽剤ガスを原料槽92へ
供給し、原料中の可溶成分が溶解して抽出相となし、そ
れを包接反応槽80に導入する。
同伴された溶質成分の一部は、当該包接反応槽80内で
包接格子物質と包接化合物を形成し、抽出された目的成
分相とは分離された包接化合物を含む残留成分相となっ
て包接反応槽80内に留まり、他方、抽剤ガスに連行され
る目的成分相は、目的成分相採取部110より包接反応槽8
0の外に流出する。包接化合物の形成は、包接格子物質
と、溶質成分と、溶媒である抽剤ガスの種類に応じて、
その安定性及び形成速度が異なり、これによって、抽剤
ガス中の溶質成分の分画が行なわれる。採取された目的
成分相は、目的成分捕集部130において、温度を低下し
減圧することにより抽剤ガスを除去し、収容連行された
目的の溶質成分を分離抽出する。尚、本包接分別装置で
は、包接反応槽の包接平衡を移動し、包接形成・分解反
応を速やかにするため、昇圧、昇温、流量あるいは溶媒
の種類や組成変化による溶解度の増加などの操作を行な
い、包接化合物の不安定化や包接格子物質の抽出相への
可溶化を図る必要がある。
次に、第3発明に係る濃縮分別装置について説明す
る。これも「成分精留分別装置−包接分別装置」の組合
せ例である。
即ち、前記成分精留分別装置1と、前記包接分別装置
2とが連結手段3にて組み合わされている一連の装置で
ある。
本実施例にかかる成分精留分別装置1の構成は、前記
第2図に示した成分濃縮分別装置例とその基本構成にお
いて同じである。従って、同一構成部分には、対応する
同一番号を付すことにより、ここではその基本構成の説
明は省略する。
ただ、本実施例の相違する点は、第1に抽出塔10を多
段交換帯域毎に数個の部分10a,10b,10c,10d…に分割構
成されており、各部分はフランジ11で接続されているこ
と、第2に抽出相採取部40と抽残成分相採取部60とが、
塔頂部及び塔底部にメイン抽出相採取部40aおよびメイ
ン抽残成分相採取部60aとして設けてあるだけでなく、
抽出塔10の多段交換帯域10a,10b,10c,10d…毎にサイド
カット用の抽出相採取部40bと、抽残成分相採取部60bと
を設けてある。更に、当該各段の抽出相採取部40bには
溶質成分抽出部50bを設け、各段の抽残成分相採取部60b
には、抽残成分抽出部70bを設けるようになしたことで
ある。
また、本実施例にかかる包接分別装置2の構成は、半
回分式のもので、第3図に示したものとは相違してい
る。
上記包接分別装置の加熱装置を備えた高低差のある包
接反応槽80を二分割して一対の抽出セル80a、80bとな
し、当該一対の抽出セル80a、80b双方には、各抽出セル
内へ原料混合物を供給し得る混合物供給部90と、抽剤ガ
ス供給部100と、抽出相採取部110と、抽残成分相採取部
120とを設け、更に各抽出セル80a、80bに設けた前記抽
出相採取部110にはそれぞれ目的成分捕集部130を設け、
双方の抽出セル80a、80bに設けた両抽残成分相採取部12
0間を連結121して、抽出相が両抽出セル80a、80bのいず
れにも選択的に導入し得るようになすと共に、両抽出セ
ル80a、80b中には包接格子物質を仕込んでおき、一方の
抽出セル80aを加熱している際は他方の抽出セル80bを冷
却するようになし、加熱した抽出セル80aにおいては包
接分解反応を、冷却した抽出セル80bにおいては包接形
成反応を行なわせ、これによって二重結合(不飽和度)
の差を主体とした分画を行なうように構成してある。
上記成分精留分別装置1と、前記包接分別装置2と
が、成分精留分別装置1の抽出相採取部40もしくは溶質
成分抽出部50と包接分別装置2の混合物供給部とを同じ
系となるように連結してなる連結手段3によって、成分
精留分別装置1で分画された中間濃縮成分を包接分別装
置2の原料供給部に導入し得るように連結されている。
本実施例でも、前記成分精留分別装置1の抽出相採取部
40を介して抽出塔10の外に採取された抽出相をそのまま
前記包接分別装置2の原料供給部90へ連結し、そのまま
の状態で、包接反応槽80に導入し得るようにした系統3a
と、成分精留分別装置1の抽出相採取部40から溶質成分
抽出部50を経て分離抽出された溶質成分を前記包接分別
装置2の原料供給部90に連結導入する系統3bとの2系統
がある。第2系統3bのは、途中で溶媒である抽剤ガスと
接触し、原料中の可溶成分が溶解して抽出相となって包
接反応槽80に導入し得るように構成されている。
以上のように、本実施例も成分精留分別装置1で濃縮
され分画された目的成分抽出相あるいは溶質成分(中間
濃縮混合物)その抽出相が連結手段により包接分別装置
2の原料供給部90に同じ系で導入し得るように組合せ構
成し、原料混合物が両装置の圧力、温度、流量などの条
件に整合性のある一連の系内で連続的に濃縮され分画さ
れ、所望の目的成分を濃縮分別するようにした原料混合
物から高度不飽和脂肪酸またはそのエステルを濃縮分別
装置である。
尚、発明者が試作した成分精留分別装置1の前記抽出
塔10は、ベンチスケールのものであるため、塔長がおよ
そ2〜3mの縦長円筒形状であり、高圧に耐えるためと、
抽出実験時の内径を可変とするため、圧力保持用のステ
ンレス製の外筒12と、ディクソンパッキングが充填され
ている内筒13とからなっている。内筒13と外筒12との間
には圧力を均衡させるため、炭酸ガスを充満させてあ
る。
次に、混合物供給部20は、原料供給管21により原料タ
ンク22とフィードポンプ23と抽出塔10とを連結すると共
に、当該原料供給管21の途中に余熱器24を設けてなるも
のである。
前記抽剤ガス供給部30は、抽剤ガスの入っているガス
ボンベ32と、抽出塔10との間を連結する溶媒供給管31
と、ガス供給管31の途中に設けた高圧ポンプ33と保圧弁
34と余熱器35とからなる。
当該メイン抽出相採取部40aは、包接反応槽10の塔頂
部より延出する導管41で構成されており、導管41の先方
には減圧弁51と、捕集器52とからなる溶質成分抽出部50
aが設けられている。
また、図中捕集器52の頂部より延出形成した排ガス管
53にはガスメータ54を設けておき、捕集器52の底部より
延出形成した流出管55は、二股に分枝し、一方は開閉弁
を介した取り出し部56を形成し、他方は還流ポンプ57を
介して溶質成分を包接反応槽10内に還流する還流装置部
58を設けてある。
次に、抽残成分相採取部60にも、塔底部に設けたメイ
ン抽残成分相採取部60aと、各段毎の中間部に設けたサ
イドカット用抽残成分相採取部60bとがある。
当該メイン抽残成分相採取部60aも、包接反応槽10の
塔底部より延出する導管61で構成されており、該導管61
の先方には減圧弁71と、捕集器72とからなる抽残成分抽
出部70aが設けられている。
尚、図中捕集器72の頂部より延出形成した排ガス管73
にはガスメータ74が設けてある。
上記のような基本構成の濃縮分別装置において、抽出
塔10を高さ方向に多段交換帯域10a,10b,10c,10d…とな
し、当該抽出塔10の各段交換帯域10a,10b,10c,10d…毎
に加熱装置15,15,…を設け、各段交換帯域10a,10b,10c,
10d…毎に任意の温度を制御しながら賦与し得るように
構成したものである。
次に、本件発明にかかる原料混合物から高度不飽和脂
肪酸またはそのエステルを濃縮分別する方法の発明につ
いて、第6図、第7図に基ずき説明する。
前提として、前記のような成分精留分別装置1と包接
分別装置2とを組み合わせてなる高度不飽和脂肪酸また
はそのエステルの濃縮分別装置を用意する。
そのうえで、第1段階分別工程として超臨界二酸化炭
素ガスあるいは高圧液化二酸化炭素ガスによる還流抽出
分別法を行なう。
まず、抽出塔10に多段交換帯域を有し、交換帯域毎に
任意の温度を賦与し得る成分精留分別装置1を準備す
る。
次に、原料混合物、分離しようとする目的成分、抽剤
ガス、および抽出塔の圧力条件、各段の交換帯域毎の最
適温度条件を特定する。尚、当該交換帯域毎の最適温度
条件は、系の相平衡に基いて算出するか、あるいは実測
によって特定する。
成分精留分別装置1を運転時、前記抽出塔10が各段の
交換帯域毎の最適温度条件に可及的に沿った温度勾配と
なるように調整する。
原料混合物を抽出塔10内に入れ、上記のように交換帯
域毎に可及的に好ましく調整された圧力条件および温度
条件下で原料混合物を抽剤ガスに接触させ、多段階に成
分を分離あるいは還流して、所望の高度不飽和脂肪酸ま
たはそのエステルを精留分別する。そして抽出塔10より
目的成分が抽剤ガスに溶解した中間濃縮抽出相を採取す
る。
必要により、目的成分が抽剤ガスに溶解した中間濃縮
抽出相より抽剤ガスを除去して中間濃縮混合物を得る。
次に、第2段階分別工程として包接分別法を行なう。
まず、包接反応槽80内に包接格子物質を仕込んだ包接
分別装置2を準備する。
前記第1段階分別工程で濃縮分別されて得た目的成分
抽出相あるいは中間濃縮混合物を原料にして、これを包
接分別装置の原料混合物供給部に供給する。目的成分抽
出相の場合にはそのまま、包接反応槽内に導入するよう
にし、中間濃縮混合物の場合には抽剤ガスと接触させ
て、これを溶媒とした溶質成分抽出相を得たうえで、当
該溶質成分抽出相を包接反応槽内に同じ系で導入する。
包接反応槽内では、抽出相中の溶質成分と包接格子物
質とを接触させて選択的、可逆的に包接形成・分解反応
を行ない、目的成分抽出相と、包接化合物を含んだ抽残
成分相に分画する。
圧力と温度を操作因子として包接反応槽内より目的成
分が抽剤ガスに溶解した目的成分抽出相を採取する。
目的成分抽出相より溶媒である抽剤ガスを除去して、
所望の目的成分を取得する。
本発明は、前記第1段階分別工程と第2段階分別工程
を組み合わせたものであるが、第1段階分別工程では炭
素数の差を主体とした精留分画を行ない、第2段階分別
工程で二重結合(不飽和度)の差を主体とした分画を行
なう。しかも両方の分画を同じ系で連続的に行なうこと
により、原料混合物から所望の目的成分を非常に高濃度
に且つ高効率的に濃縮分別するようにした高度不飽和脂
肪酸またはそのエステルの濃縮分別する方法である。
尚、本願発明ではないが前記第1段階分別工程と第2
段階分別工程との組合せを逆にし、最初に原料混合物に
対して前記第2段階分別工程記載の包接分別法をおこな
って二重結合(不飽和度)の差を主体とした分画をした
後、同じ系で連続的に前記包接分別法により分画されて
得た中間濃縮混合物あるいは目的成分抽出相を原料にし
て前記還流抽出分別法を行ない、これにより炭素数の差
を主体とした濃縮と分画を行う。このように、両方の濃
縮、分画を、整合性のある圧力、温度、流量などの条件
で一連の系内で連続的に行なうことにより原料混合物か
ら所望の高度不飽和脂肪酸またはそのエステル(目的成
分)を高濃度に且つ高効率的に濃縮分別することも可能
である。
即ち、この濃縮分別法は、第7図に示したように、ま
ず、包接分別装置2と成分精留分別装置1とが連結手段
3で組み合わされている濃縮分別装置を用意する。
それから、包接分別装置2の原料槽に原料混合物を入
れ、抽剤ガスを供給して原料混合物から溶質成分相を得
たうえ、これを包接反応槽80に導入する。当該包接反応
槽80内では、仕込まれている包接格子物質に溶質成分相
の溶質成分を接触させ、包接形成・分解反応を起こさ
せ、所望の目的成分を溶解した中間濃縮抽出相を得る。
これを連結手段3を介して、そのまま成分精留分別装置
1の抽出塔10内に導入するか、中間濃縮混合物を得てか
ら、成分精留分別装置の抽出塔内に導入する。
この際、所定圧力下での抽出塔の多段階交換帯域にお
ける最適温度条件を、系の相平衡に基ずいて特定してお
き、加熱装置を操作して、抽出塔の温度を前記最適度条
件に適合するよう調整する。そのうえで、抽出塔内で中
間濃縮混合物と抽剤ガスとを接触させ、所定の圧力条件
と最適温度条件下で、多段階に成分を分離あるいは還流
して、所望の目的成分を濃縮した状態で溶解している目
的成分抽出相を得、これから圧力と温度とを操作して溶
解している目的成分(所望の高度不飽和脂肪酸またはそ
のエステル)を取得する。
以下、本発明にかかる高度不飽和脂肪酸またはそのエ
ステルの濃縮分別法を用いた実施例について説明する。
(実験例1) 魚油から脂肪酸のエチルエステル(DHA濃度10%)を
原料として以下の実験を行なった。
まず、成分精留分別装置の抽出塔には、塔頂温度50
℃、塔低温度35℃となるような気液平衡測定結果に基ず
く最適温度条件に近似した温度勾配を設けたうえ、上記
脂肪酸のエチルエステル(DHA濃度10%)を原料として
混合物供給部を介して抽出塔内に導入した。なお、成分
精留分別装置の抽出塔内の充填材にはディクソンバッキ
ンを用いた。
次に、溶媒として120kg/cm 2.Gの高圧液化二酸化炭素
ガスを抽出塔下部の抽剤ガス供給部から抽出塔に流通さ
せ、多段交換帯域ごとに分離と還流を繰返して効率的な
濃縮分画を行なわせる。抽出塔上部の抜き出しバルブを
開けて抽出相を採取し、高圧炭酸ガスに溶解しているDH
A中間濃縮フラクション(表−1)の分別を開始した。
このときのDHAの濃度は55.03%に濃縮されている。
次に、成分精留分別装置によって分別された原料脂肪
酸エチルエステルのDHA中間濃縮フラクション(表−
2)を、包接分別装置に供して以下の実験を行なった。
すなわち、包接分別装置の包接反応槽内温度を40℃と
し、包接格子物質として尿素132g、及びDHA中間濃縮フ
ラクション17gを導入する。
次に、溶媒として100kg/cm 2.Gの高圧液化炭酸ガスを
抽出セル下部から流通させ、包接形成・分解反応をさせ
る。
包接反応槽の圧力が100kg/cm 2.Gになった後、包接反
応槽の抜き出しバルブを開けて、DHA中間濃縮フラクシ
ョンに混在している飽和脂肪酸等の不要成分の除去を開
始した。
実験結果を、第8図に示す。高圧液化炭酸ガス流通量
100Nm3付近からDHA濃度90%以上の高純度フラクション
が流出し始め、DHA濃度90%品が4.7g採取された。
(実験例2) 表−3に示す組成をした原料魚油(EPA濃度29.4%含
む。)2.2kg,エタノール1.3kgを混合したものに、エタ
ノール0.44kgに溶解したKOH22gを加えリフラックス下で
2時間、エステル交換反応を行ない、粗エステル品を得
た。
次に、包接分別装置にこの粗エステル品にヘキサン1
3.2を加え、7.7kgの尿素およびメタノール400を加
え、超臨界二酸化炭素ガス雰囲気下で2時間、撹拌し、
包接形成反応した。
次いで、減圧濾過により濾液を収集し、尿素付加物は
ヘキサン7で洗浄、濾過し、濾液を濃縮して、尿素付
加処理品を570g得た。
次に、この尿素付加処理品(EPA濃度59.1%)を中間
濃縮混合物として、成分精留分別装置を用いて以下の実
験を行なった。
まず、成分精留分別装置の抽出塔には、塔頂温度60
℃、塔低温度35℃となるような気液平衡測定結果に基ず
く最適温度条件に近似した温度勾配を設けて、原料570g
を下部の混合物供給部を介して抽出塔内に導入した、な
お、充填材はディクソンバッキンを用いた。
次に、溶媒として120kg/cm 2.Gの高圧二酸化炭素ガス
を成分精留分別装置下部から流通させ、成分濃縮分別装
置の圧力が120kg/cm 2.Gになった後、抜き出しバルブを
開けてエステルの成分分別を開始した。
実験結果を第9図に示す。炭酸ガス流通量45Nm3位ま
でに、炭素数14−18での成分はほとんど流出され、それ
以後は、濃度90%以上(最高濃度94.5%)に濃縮された
EPAが167.95g、採取された。
(実験例3) 魚油脂肪酸エチルエステルを、包接分別装置にかけて
尿素付加処理することによって得られた、不飽和脂肪酸
エチルエステル含有量が高い中間濃縮混合物(EPA濃度6
2%、DHA濃度12%、その他26%)を成分精留分別装置に
かけて以下の実験を行なった。
まず、抽出塔内部に充填材として、ディクソンバッキ
ンを充填し、塔頂温度60℃、塔低温度35℃となるような
気液平衡測定結果に基ずく最適温度条件に近似した温度
勾配を設けた後、原料645.5gを抽出塔下部の混合物供給
部を介して抽出塔内に導入した。
次に、溶媒として120kg/cm 2.Gの高圧液化二酸化炭素
ガスを抽出塔下部から流通させ、抽出塔の圧力が120kg/
cm 2.Gになった後、抽出塔上部の抜き出しバルブを開け
て、高圧液化二酸化炭素ガスに溶解している原料脂肪酸
エチルエステルの成分分別を開始した。
実験結果を第10図に示す。二酸化炭素ガス抜き出し開
始後から、二酸化炭素ガス流通量35Nm3位までに炭素数1
4−18までの成分はほとんど流出され、それ以後は、濃
度90%以上(最高濃度94.9%)に濃縮されたEPAが193.0
8g回収された。
(実験例4) 下記表−4に示した魚油成分を有する原料魚油(いわ
し油)を、まず成分精留分別装置にかけて炭素数差によ
る分別を行なった。次に、当該原料魚油(いわし油)の
中間濃縮混合物を、包接分別装置にかけて二重結合を主
体とした分画をおこなった。特に、EPAに着目した濃縮
や分画を確認した。
(1)成分精留分別装置を用いた分別 抽出塔における下記表−5に示す実験条件についてエ
ステルの分離性を比較し、塔頂温度、塔底温度、抽出圧
力の影響を把握した。
実験区−1、2、3それぞれについて、組成成分の炭
素数毎にエステル濃度(%)とエステル溶解量(%/c
o2)を調べた。詳細な経過数値はここでは省略するが、
その中でEPAに着目した実験結果は、表−6の通りであ
った。
尚、EPAの分離性は『塔頂温度が60℃>55℃』、『抽
出圧力120atm>130atm』で良好であった。
(2)包接分別装置を用いた分別 次に、前記成分精留分別装置を用いた分別実験に際し
て集めたサンプル原料(EPA濃度28%)を用いて包接分
別装置により成分分別をおこなった(尿素繰返し使用時
のMeOHのエントレーナを確認)。尚、超臨界流体中での
尿素付加を4回繰り返した。
その結果、尿素の繰り返し使用に伴うEPAの濃度変化
を示すのが第11図である。
<実験結果の考察> これらの結果から、高度不飽和脂肪酸またはそのエス
テルを含んだ原料混合物から成分精留分別装置を用いて
超臨界二酸化炭素ガスまたは高圧液化二酸化炭素ガスで
精留し、高度不飽和脂肪酸またはそのエステルをその炭
素数を主体として濃縮分別できることが解った。
また高度不飽和脂肪酸またはエステルを含んだ原料混
合物を包接分別装置を用いて超臨界二酸化炭素ガスまた
は高圧液化二酸化炭素ガス(抽剤ガス)雰囲気中で接触
し、包接形成・分解反応により高度不飽和脂肪酸または
そのエステルを、その二重結合を主体に濃縮分別できる
ことが解った。
つまり、両濃縮分別法は、その原理や作用が全く相違
するので、両者を組む合わせた場合、前工程になっても
後工程になっても高濃度な濃縮分別が可能である。濃縮
分別しようとする高度不飽和脂肪酸またはそのエステル
(目的成分)の種類、その含有量、含有態様などによ
り、作業時間、経済性などが大きく変わるので、これら
を考慮して、望ましい組み合わせ方を選定すればよい。
また、本発明は、成分精留分別装置と包摂分別装置と
を一連の系として組合わせた濃縮分別装置を用いるが、
両装置に用いるその油剤ガスが、共通の超臨界二酸化炭
素ガスまたは高圧液化二酸化炭素ガスにしたことが、相
乗的に高濃度、高効率な濃縮・分別を得ることが出来る
ことになったのである。それは、両分別法の原理が異な
るのに、それぞれの分別法において最も盛んに分画・濃
縮作用を起こす際の温度、圧力、流量などの条件が、偶
然にもほぼ同じだったからである。つまり、共通の超臨
界二酸化炭素ガスまたは高圧液化二酸化炭素ガスを用
い、一連の系として整合する温度、圧力、流量などの操
作因子を操作して、連続的に両分別法を行うと両方とも
最良の分画・濃縮作用を起こすので、相乗的に高濃度、
高効率な濃縮・分別を実現できることになる。
「効 果」 叙上のように、本件発明の成分濃縮分別装置は、成分
精留分別装置と包接分別装置とを連結手段により一連の
系に組み合わせた構成となっている。このように作用の
異なる2装置が別々に構成されているので、当該装置の
構造は単純化し、性能は専門化し、操作性が向上するな
ど装置全体が高性能化されたものとなっている。
特に、成分精留分別装置は抽出塔にその高さ方向に連
続した多段交換帯域を設け、各段毎には温度制御部を有
する加熱装置を設けて、各段交換帯域毎に最適温度条件
に可及的に沿った温度に調節し得るようにしたので、多
段階にわたって、最適な温度条件と圧力条件下で分離と
還流を繰り返すため組成成分は精留されて、従来の単純
な構造の抽出装置に比較して目的成分が充分濃縮された
状態で高効率に得られるようになっている。
また、本件発明にかかる包接分別装置の方は、包接格
子物質と原料混合物とが抽剤ガス雰囲気中(気相中)で
接触し、包接形成・分解反応を起すような包接反応槽を
設けたので、従来の液相中での反応に比較して、包接形
成・分解反応が非常に効率良く迅速に行なわれるように
なっている。
従って、上記両者を組み合わせた本発明装置は、従来
のこの種装置に比較して、目的成分をより高純度に、よ
り効率的に、濃縮分離することが出来る効果がある。
本装置は、温度と圧力と流量を操作因子にし、そのコ
ントロールをするだけで本発明装置の自在な運転が出来
る整合性があるので、操作が簡単である。
更に、同一抽剤ガス系のなかで分別出来るように構成
され、しかも常温付近における連続反応なので、エネル
ギー的にも有利である。
更にまた、抽出塔のサイズやガスの圧縮ポンプの能力
を変えることにより、原料処理能力を自在に設計出来る
ので、工業的生産方式としても好適である。
次に、本件発明に係る濃縮分別法は、従来のこの種の
成分濃縮分別法に比較して、所望の目的成分を非常に高
純度に、且つ効率的に濃縮分別することができる点に特
色がある。
即ち、その濃縮分別法は、炭素数を主体とした濃縮・
分画と、二重結合を主体とした分画との2段に分けて、
それぞれの段階で狙いを絞った濃縮や分画を行なうこと
になるので、効率的に、且つ高レベルの濃縮分別を行な
うことができるのである。
また、本発明による高度不飽和脂肪酸またはそのエス
テルの精製は、操作圧力、温度、流量などの条件に整合
性のある一連の系において超臨界二酸化炭素ガスまたは
高圧液化二酸化炭素ガスを媒体とした一貫したシステム
で連続的に行なわれるようにしたので、本発明を構成す
る成分精留分別法も包接分別法も上記整合性のある操作
条件下では、それぞれ最も効率の良い濃縮分別を行うこ
とができる。つまり、両分別法の組み合わせは、媒体を
超臨界二酸化炭素ガスまたは高圧液化二酸化炭素ガスに
することにより、最も効率的な最適条件での高純度な濃
縮分別の相乗効果を発揮する。しかも、従来の高度不飽
和脂肪酸を高純度に濃縮分別するプロセスは、どうして
も220℃程度の高温状態に高度不飽和脂肪酸を晒さねば
ならず、熱変性、重合等の変質を受け易いが、本発明の
組み合わせの場合には、40℃前後の室温レベルで高度不
飽和脂肪酸を高純度に濃縮分別することが可能となっ
た。
尚、本発明は成分精留分別法と包接分別法が整合性の
ある一連の系において連続的に行なわれ、有機溶剤の除
去といった分別工程を省くことが出来るので、工程の簡
略化が出来る。
更に、本件発明の成分精留分別法は、抽出塔に前記多
段交換帯域を設け、所望の目的成分を濃縮分別するのに
最適な温度条件を系の相平衡に基いて特定しておき、運
転時、前記抽出塔内が各段の交換帯域毎の最適温度条件
に可及的に沿った温度勾配となるように調整し、好まし
く調整された圧力条件および温度条件下で、多段階に成
分を分離あるいは還流して、所望の目的成分をより効率
的に濃縮分別出来るようにしたことと、本件発明にかか
る包接分別法の方は、包接格子物質と原料混合物とが抽
剤ガス雰囲気中(気相中)で接触し、非常に効率的に包
接形成・分解反応を起すようにしたことが組み合わさっ
て相乗的効果を起こすので、本濃縮分別法は、その濃縮
度および分別度の水準が高く高純度の高度不飽和脂肪酸
またはそのエステルの濃縮分離ができるし、その作業効
率も極めて良好である。
【図面の簡単な説明】
第1図(イ)は本発明に係る高度不飽和脂肪酸またはそ
のエステルの濃縮分別装置の基本構成概念説明図、同
(ロ)は他の高度不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃
縮分別装置の基本構成概念説明図、第2図は本発明に係
る高度不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃縮分別装置
の一実施例を示す構成説明図、第3図は同装置の他実施
例における構成説明図、第4図は加熱装置の一実施例の
構成を示す説明図、第5図は抽出塔内の温度分布制御例
を示すグラフ、第6図は本発明に係る濃縮分別法の一実
施例の構成説明図で、第7図は他の高度不飽和脂肪酸ま
たはそのエステルの濃縮分別装置の構成説明図であり、
8図〜第11図は実験1〜実験4の成分濃縮分別結果を示
すグラフである。 [主な符合の説明] 1:成分精留分別装置 2:包接分別装置 3:連結手段 10:抽出塔 10a,10b,10c…:交換帯域 15:加熱装置 20:混合物供給部 30:抽剤ガス供給部 40:抽出相採取部 50:溶質成分抽出部 60:抽残成分採取部 70:抽残成分抽出部 80:包接反応槽 90:混合物供給部 100:抽剤ガス供給部 110:抽出相採取部 120:両抽残成分相採取部 130:目的成分捕集部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C11C 1/10 C11C 1/10 (72)発明者 斉藤 正三郎 宮城県仙台市松ケ丘7―2 (72)発明者 新井 邦夫 宮城県仙台市富沢3丁目4番6号 (56)参考文献 特開 昭61−225139(JP,A) 特開 平1−249102(JP,A) 「化学工学論文集」社団法人化学工学 協会発行 Vol.14 No.2 147 〜154ペ−ジ(昭和63年3月10日)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抽出塔内に高さ方向に多段交換帯域と各段
    毎に温度条件を調整出来る加熱装置を設け、抽出塔内に
    導入された高度不飽和脂肪酸またはそのエステルを含む
    混合物(以下、原料混合物という。)を、別途供給され
    る超臨界二酸化炭素ガスあるいは高圧液化二酸化炭素ガ
    ス(以下、抽剤ガスと称す。)に接触して、多段交換帯
    域毎に溶解度差により抽出相と還流する抽残成分相とに
    分離を繰り返し、炭素数の差を主体に所望の高度不飽和
    脂肪酸またはそのエステル(以下、目的成分という。)
    を精留分画するようにしたことを特徴とする成分精留分
    別装置と、 包接格子物質を仕込んだ包接反応槽を設け、このなかで
    抽剤ガスを媒体にして原料混合物を、抽剤ガス雰囲気中
    で包接格子物質と接触させ、包接形成・分解反応させて
    二重結合(不飽和度)の差を主体に、目的成分を分画す
    るようにしたことを特徴とする包接分別装置とを、 連結手段により、成分精留分別装置で濃縮され分画され
    た目的成分抽出相または溶質成分(中間濃縮混合物)が
    包接分別装置の原料供給部に同じ系のまま導入し得るよ
    うに組合わせ構成し、一連の系に組合わされた前記両装
    置において原料混合物を整合性のある圧力、温度、流量
    などを操作因子として一連の系内で連続的に濃縮・分画
    し得るようになし、目的成分を高純度、高収率に濃縮分
    別するようにしたことを特徴とする高度不飽和脂肪酸ま
    たはそのエステルの濃縮分別装置。
  2. 【請求項2】一方に、加熱装置を備えた高低差のある抽
    出塔と、当該抽出塔内へ原料混合物を供給し得る混合物
    供給部と、当該抽出塔へ抽剤ガスを供給し得る抽剤ガス
    供給部と、抽出塔内で供給された原料混合物と抽剤ガス
    が接触して、溶解度差によって抽出相と還流する抽残成
    分相とに分離し、これによって得られる抽出相を抽出塔
    の外に取り出す抽出相採取部と、抽出塔内で分離して得
    られる抽残成分相を抽出塔の外に取り出す抽残成分相採
    取部と、採取された抽出相から温度と圧力を操作因子と
    して抽剤ガスを除去し収容連行された溶質成分を分離抽
    出する溶質成分抽出部と、採取された抽残成分相から温
    度と圧力を操作因子として抽剤ガスを除去して抽残成分
    を分離抽出する抽残成分抽出部とからなる成分分別装置
    において、 前記抽出塔は、その抽出塔内の高さ方向に可及的に連続
    した多段交換帯域を構成し、当該多段交換帯域には、各
    段毎に温度条件を調整できる温度制御部を有する加熱装
    置を設け、当該加熱装置により連続した多段交換帯域
    に、相平衡に基づいてあらかじめ特定されている最適温
    度条件に可及的に沿った温度勾配を賦与できるように構
    成し、連続した多段交換帯域において多段階に成分を溶
    解度差によって分離あるいは還流を繰返して目的成分を
    精留分画するようにしたことを特徴とする超臨界二酸化
    炭素ガスあるいは高圧液化二酸化炭素ガスを用いた成分
    精留分別装置を用意し、 他方に、加熱装置を備えた包接格子物質を仕込み得る包
    接反応槽と、当該包接反応槽内へ原料混合物を供給し得
    る混合物供給部と、当該包接反応槽へ抽剤ガスを供給し
    得る抽剤ガス供給部と、包接反応槽内で供給された混合
    物中の溶質成分と抽剤ガスが接触し、選択的、可逆的に
    包接形成・分解反応を行なって目的成分の連行された抽
    出相と包接化合物を含んだ抽残成分相とに分画して得ら
    れる抽出相を包接反応槽の外に取り出す抽出相採取部
    と、包接反応槽内で分離して得られる抽残成分相を包接
    反応槽の外に取り出す抽残成分相採取部と、採取された
    抽出相から温度と圧力を操作因子として抽剤ガスを除去
    し収容連行された目的成分を分離抽出する溶質成分捕集
    部と、採取された抽残成分相から温度と圧力を操作因子
    として抽剤ガスと包接格子物質を除去して抽残成分を分
    別する抽残成分補集部とからなり、包接反応槽内に包接
    格子物質を仕込み、原料混合物を包接格子物質に接触さ
    せ、包接形成・分解反応をさせ、目的成分を分画するよ
    うにしたことを特徴とする包接分別装置を用意し、 前記成分精留分別装置と前記包接分別装置とを、成分精
    留分別装置の抽出相採取部若しくは溶質成分抽出部と包
    接分別装置の混合物供給部とを同じ系となるように連結
    してなる連結手段により組合せ構成し、成分精留分別装
    置で濃縮され分画された目的成分抽出相または溶質成分
    (中間濃縮混合物)が連結手段により包接分別装置の原
    料供給部に導入し得るようになし、一連の系に構成され
    た前記両装置において原料混合物が整合性のある操作圧
    力、温度、流量などを操作因子として一連の系内で連続
    的に濃縮・分画し得るようになし、目的成分を高純度、
    高収率に濃縮分別するようにしたことを特徴とする高度
    不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃縮分別装置。
  3. 【請求項3】第2請求項に記載する成分精留分別装置と
    包接分別装置とを連結手段により組合せ構成される高度
    不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃縮分別装置におい
    て、 前記包接分別装置は、その加熱装置を備えた高低差のあ
    る抽出塔を二分割して一対の抽出セルとなし、当該一対
    の抽出セル双方には、各抽出セル内へ原料混合物を供給
    し得る混合物供給部と、抽剤ガス供給部と、抽出相採取
    部と、抽残成分相採取部とを設け、更に各抽出セルに設
    けた前記抽出相採取部にはそれぞれ溶質成分抽出部を設
    け、双方の抽出セルに設けた両抽残成分相採取部間を連
    結して、原料混合物が両抽出セルのいずれにも選択的に
    導入し得るようになすとともに、当該抽残成分相採取部
    には抽残成分抽出部を設けるように成し、両抽出セル中
    には包接格子物質を仕込んでおき、一方の抽出セルを加
    熱している際は他方の抽出セルを冷却するようになし、
    加熱した抽出セルにおいては包接分解反応を、冷却した
    抽出セルにおいては包接形成反応を行なわせ、これによ
    って二重結合(不飽和度)の差を主体とした分画を行な
    うように構成し、 他方の混合物の成分精留分別装置は、第2請求項に記載
    したように構成して溶解差により炭素数の差を主体とし
    た精留分画を行ない得るようになし、 前記成分精留分別装置と前記包接分別装置とを、成分精
    留分別装置の抽出相採取部若しくは溶質成分抽出部と包
    接分別装置の混合物供給部とを同じ系となるように連結
    してなる連結手段により組合せ構成し、成分精留分別装
    置で濃縮され分画された目的成分抽出相または溶質成分
    (中間濃縮混合物)が連結手段により包接分別装置の原
    料供給部に導入し得るようになし、一連の系に構成され
    た前記両装置において原料混合物が整合性のある操作圧
    力、温度、流量などを操作因子として一連の系内で連続
    的に濃縮・分画し得るようになし、目的成分を高純度、
    高収率に濃縮分別するようにしたことを特徴とする高度
    不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃縮分別装置。
  4. 【請求項4】抽出塔内の高さ方向に可及的に連続した多
    段交換帯域を構成し、当該多段交換帯域には、各段毎に
    温度条件を調整できる温度制御部を有する加熱装置を設
    け、当該加熱装置により連続した多段交換帯域に、相平
    衡に基づいてあらかじめ特定されている最適温度条件に
    可及的に沿った温度勾配を賦与できるように構成し、抽
    出塔内に導入された原料混合物が別途供給される抽剤ガ
    スに接触して連続した多段交換帯域毎に溶解度差によっ
    て抽出相と抽残成分相とに分離、還流を繰り返し、炭素
    数の差を主体に目的成分を濃縮分別するようにしたこと
    を特徴とする超臨界二酸化炭素ガスあるいは高圧液化二
    酸化炭素ガスを用いた成分精留分別装置と、 包接格子物質を仕込んだ包接反応槽を設け、このなかで
    抽剤ガスを媒体にして原料混合物を、抽剤ガス雰囲気中
    で包接格子物質と接触させ、包接形成・分解反応させて
    二重結合の差を主体に目的成分を分画するようにしたこ
    とを特徴とする包接分別装置とを、 成分精留分別装置で濃縮され分画された溶質成分あるい
    は目的成分抽出相(中間濃縮混合物)を連結手段により
    同じ系のまま包接分別装置の原料供給部に導入し得るよ
    うに組合わせ構成し、 一連の系に組合わされた両装置において原料混合物を整
    合性のある操作圧力、温度、流量などを操作因子として
    一連の系内で連続的に濃縮・分画し得るようになし、目
    的成分を高純度、高収率に濃縮分別するようにしたこと
    を特徴とする高度不飽和脂肪酸またはそのエステルの濃
    縮分別装置を用意し、 前記成分精留分別装置の抽出塔内に設けられた連続する
    多段交換帯域に、相平衡に基づいてあらかじめ所定圧力
    下における最適温度条件を特定し、 各段毎に温度条件を調整できる温度制御部を有する加熱
    装置により抽出塔内の多段交換帯域をその高さ方向にあ
    らかじめ特定し連続的な最適温度条件に可及的に沿った
    温度勾配となるように調整し、 当該可及的に好ましい圧力条件と温度条件の下で抽剤ガ
    スを溶媒にして溶解度差により主に炭素数の差を識別し
    ながら分離と還流を各段の交換帯域毎に繰返し、これに
    よって目的成分を精留し分画して中間濃縮抽出相(中間
    濃縮混合物)となし超臨界二酸化炭素ガスあるいは高圧
    液化二酸化炭素ガスを溶媒とした還流抽出分別法により
    濃縮し分画して目的成分抽出相(中間濃縮混合物)を得
    た後、 当該目的成分抽出相または溶質成分(中間濃縮混合物)
    を連結手段により同じ系のまま包接分別装置の原料供給
    部に導入し、当該抽剤ガスを媒体として目的成分抽出相
    中の溶質成分を包接格子物質と接触させ、整合性のある
    圧力と温度を操作因子として、溶質成分と包接格子物質
    とを反応させて、選択的、可逆的に包接化合物を形成・
    分解して、二重結合(不飽和度)の差により目的成分を
    分画し(包摂分別法)、 これによって原料混合物から目的成分を高純度、高収率
    に濃縮分別するようにしたことを特徴とする高度不飽和
    脂肪酸またはそのエステルの濃縮分別法。
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