JP2725870B2 - 分解可能なラクチド熱可塑性プラスチック - Google Patents

分解可能なラクチド熱可塑性プラスチック

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JP2725870B2
JP2725870B2 JP1509669A JP50966989A JP2725870B2 JP 2725870 B2 JP2725870 B2 JP 2725870B2 JP 1509669 A JP1509669 A JP 1509669A JP 50966989 A JP50966989 A JP 50966989A JP 2725870 B2 JP2725870 B2 JP 2725870B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本出願は、次の八つの米国特許出願から導かれたもの
であり、それらの優先権を主張するものである:1988年
8月に出願された「生物分解可能な(biodegradable)
包装用ラクチド熱可塑性プラスチック(thermoplastic
s)」と題する米国特許出願Serial No.07/229,896;1988
年8月に出願された「結晶ポリスチレンの生物分解可能
な代替物」と題する米国特許出願Serial No.07/229,93
9;1988年8月に出願された「ポリ乳酸混合物」と題する
米国特許出願Serial No.07/229,894;1989年3月1日に
出願された「分解可能な衝撃性変性ポリラクチド」と題
する米国特許出願Serial No.07/317,391;1989年7月31
日に出願された「生物分解可能な可撓性包装用ラクチド
熱可塑性樹脂」と題する代理人書類番号PF 2767-1;1989
年7月31日に出願された「結晶ポリスチレンの生物分解
可能な代替物」と題する代理人書類番号PF 2771-1;1989
年7月31日に出願された「ポリ乳酸の混合物」と題する
代理人書類番号PF 2772-1;及び1989年7月31日に出願さ
れた「分解可能な衝撃性変性ポリラクチド」と題する代
理人書類番号PF 2781-1。上記出願は全てバテル・メモ
リアル・インスティテュート(Battele Memorial Insti
tute)に譲渡されている。
技術分野 第一の態様として、本発明は、非分解性プラスチック
(例えば、ポリエチレン)が従来使われてきた包装用途
に適したL−ラクチド、D−ラクチド、D,L−ラクチド
及びそれらの混合物からなる可塑化重合体に関する。第
一の態様は、更に可撓性フイルム及び他の包装用物品を
製造する方法及びその独特な製品に関する。本発明は、
通常のプラスチックの特性を有し、然も、生物分解可能
な製品を製造するのに利用される。
第二の態様として、本発明は、配向可能なポリスチレ
ン即ちOPSとして時々知られている結晶ポリスチレンの
代替物即ちその代わりになるものである材料及びその製
造方法を開示する。この材料はOPSの代替物であるが、
約1年の期間で環境中で生物によって分解されるポリエ
ステルからなる。この材料はD−乳酸又はL−乳酸、及
びD,L−乳酸から製造された重合乳酸からなるポリエス
テルである。二つの重合単量体単位の比率、工程処理、
及び或る場合には或る助剤によって、OPS代替物に要求
される条件に必要な正確な物理的性質が決定される。例
えば、L−乳酸/D,L−乳酸が約90/10の比率では、重合
乳酸(PLA)は無色透明で非常に堅く環境条件によく作
用される熱可塑性プラスチックである。包装用プラスチ
ックとしての目的に用いると、PLAは、環境中に放置し
ておくとゆっくり生物分解し、環境的に無害の生成物に
なる。この無害な消滅は、プラスチックによる環境汚染
の大きくなりつつある問題を少なくするのに役立つこと
ができる。
第三の態様として、本発明は、従来の熱可塑性プラス
チックとポリ乳酸とを混合することに関する。これによ
って新規で自然的に(environmentally)分解される熱
可塑性プラスチックが与えられる。自然的に分解可能な
熱可塑性プラスチックは広範な用途で有用である。
第三の態様は、更に可撓性フイルム及び他の包装用物
品の製造方法、及びその独特な生成物にも関する。本発
明は、有用なプラスチックの特性を有し、然も、自然的
に分解可能な製品を製造するのに利用される。
本発明の第四の態様は、ポリラクチドと、相容性のあ
るエラストマーとを混合することに関する。これによっ
て、衝撃性変性ポリスチレンが用いられる用途を含めた
広範な用途に有用な耐衝撃性変性ポリラクチドが与えら
れる。
第四の態様は、更に包装用物品の製造方法及びその独
特な製品に関する。本発明は、有用な耐衝撃性プラスチ
ックの特性を有し、然も、自然的に分解可能な製品を製
造するのに利用される。
背景技術 膨大な量の廃棄プラスチック包装用材料に対する解決
法として自然的に生物分解可能な包装用熱可塑性プラス
チックが要求されている。1987年の米国でのプラスチッ
ク販売量は53.7×1091bであり、その内の12.7×1091bが
包装用プラスチックとして報告されている。このプラス
チックのかなりの量が捨てられ、風景を壊し、海洋生命
への脅威となるプラスチック汚染になっている。死亡推
定値は、1年間海鳥1〜2×106及び海洋哺乳動物100,0
00程の大きな範囲になる。
包装用プラスチック廃棄に伴われる更に別な問題は、
埋立て地用の場所が次第に少なくなってきていることで
ある。殆どの主要都市は1990年代の初期までに固体廃棄
物を捨てるのに利用できる埋立て地を使用し尽くすであ
ろうと推定されている。プラスチックは固体廃棄物の約
3重量%及びその体積の約6体積%を占める。
慣用的プラスチックの一つの他の欠点は、それらが最
終的には石油から誘導され、そのことがプラスチックを
外国原油の輸入と言う不安定性に依存したものにしてい
ることである。一層良好な供給原料は、再生可能な国内
資源から誘導されたものであろう。
しかし、包装用プラスチックを使用する大きな理由が
存在する。それらは、製造し易く特定の製品単位を満た
すことができる魅力的な包装の形で人目を引く美的品質
を与える。包装は清潔性、保存安定性、及び内容物を調
べることができる透明性の如き希望の品質を維持する。
これらの包装はそれらの製造コストが低く、化学的に安
定なことで知られている。しかし、この安定性はプラス
チックの寿命を長くすることになり、その結果その使用
期間が終わった時廃棄された包装物は計算できない位長
い期間環境中に存在し続ける。
乳酸の重合体及び共重合体は、生物適合性(biocompa
tible)で生物による分解可能な熱可塑性物であるた
め、独特な材料としてかなり前から知られている。これ
らの重合体は、数カ月から1年の期間に亙って加水分解
により動物生体中で100%真に生物分解可能な、環境条
件によく作用される熱可塑性プラスチックである。湿潤
環境中では、それらは数週間後に劣化を見せ始め、土壌
又は海水中に放置しておくと約1年間で消失する。分解
生成物は乳酸、二酸化炭素及び水であり、それらは全て
無害である。
実際的には、乳酸は、その環式二量体、ラクチドへ転
化し、それは重合のための単量体になる。乳酸は、穀物
澱粉又はコーンシロップの如き安価な供給原料から入手
でき、或はエチレンの如き石油化学原料から入手するこ
とが可能である。ラクチド単量体は、プラスチック製造
業者によく知られた一般的方法である触媒による溶融重
合により樹脂へ簡単に転化される。中間単量体から重合
を行うことにより樹脂組成を自由に変化させることがで
きる。分子量は容易に調節することができる。特定の性
質を生ずるように組成を変えることができる。
グリコリド、ラクチド、及びラクトンの如き種々の環
式エステルの単独重合体及び共重合体は多くの特許及び
科学的刊行物に記載されている。初期の特許には乳酸、
ラクチド、又はそれらの両方を重合する方法が開示され
ているが、良好な物理的特性を有する高分子量重合体は
得られておらず、重合体生成物は屡々粘着性材料であ
り、良好な物理的性質は持たない。例えば、米国特許第
1,995,970号;第2,362,511号;及び第2,683,136号明細
書参照。ラウエ(Lowe)による米国特許第2,668,162号
明細書は、初めて純粋グリコリド及びラクチドを用いて
ラクチドの高分子量重合体及び共重合体を得ることを教
示している。ラクチドは乳酸のジラクトンであり、乳酸
の内部エステルである。ラクチドが形成された時、副生
成物の水を除去し、次にラクチドを開環して高分子量の
線状ポリエステルへ重合することができ、面倒な縮合法
を用いる必要はない。ラクチドとグリコリドの共重合
は、単独重合体に比較して熱可塑性プラスチックに改良
された加工性及び靭性を与える。優れた物理的性質を持
つ重合体及び共重合体は、中間体ラクチドを用いてPLA
を形成することにより得られている。ラウエの特許に記
載されているラクチドとグリコリドとの共重合体は、強
く、透明で、冷間引張り及び延伸可能であり、210℃で
形の崩れないフイルムに形成することができる。
その特許及び他の文献の同様な記載は、時々吸収性と
呼ばれる生物適合性で生物分解可能な繊維及び補綴用品
に作ることができる非常に強く結晶質で配向した堅い重
合体を生ずるように、ラクチドを重合及び共重合する方
法を開発している。それら重合体は加水分解により徐々
に消失する。例えば、米国特許第2,703,316号;第2,75
8,987号;第3,297,033号;第3,463,158号;第3,531,561
号;第3,620,218号;第3,636,956号;第3,736,646号;
第3,797,499号;第3,839,297号;第3,982,543号;第4,2
43,775号;第4,438,253号;第4,496,446号;欧州特許出
願0146398、国際出願WO86/00533、及びドイツ特許公開
2,118,127参照。
これらの重合体を生体臨床医学用ファスナー、ねじ、
釘、ピン、骨板のための堅い外科用材料として使用する
ことを教えた他の特許がある。例えば、米国特許第3,73
9,773号;第4,060,089号;及び第4,279,249号参照。
ラクチド及び(又は)グリコリドの重合体及び共重合
体と、生物活性化物質との混合物を用いた放出制御用品
が開示されている。例えば、米国特許第3,773,919号;
第3,887,699号;第4,273,920号;第4,419,340号;第4,4
71,077号;第4,578,384号;第4,728,721号;R.G.シンク
レア(Sinclair)、Environmental Science & Technol
ogy,7(10),955(1973);R.G.シンクレア、1978年第5
回生物活性材料放出制御に関する国際会議予稿集(Proc
eedings,5th International Sympoium on Cntrolled Re
lease of Bioactive Materials)5.12&8.2(アンロン
プレス大学)参照。ラクチド重合体及び共重合体のこれ
らの用途では、研磨可能な丈夫でガラス状の材料を必要
とし、熱可塑性包装用材料としての明確な用途のための
物理的性質は開示していない。
従来の文献には、明白な包装用途にラクチド共重合体
を用いることについて幾らか言及されている。例えば、
ラウエによる上記特許には、ラクチドとグリコリドとの
共重合体からなる透明で形の崩れないフイルムが言及さ
れている。米国特許第2,703,316号明細書には、靭性を
持ち配向可能なフイルム形成体としてラクチド重合体が
記載されている。靭性を持ち、可撓性で強く、脆いか又
は可撓性の「包装用紙」が開示されている。しかし、可
撓性を得るためには、ポリラクチドは揮発性溶媒で湿潤
させなければならず、さもないと堅くて脆い重合体が得
られている。ラクチド単量体は120℃より高い融点を有
するものとして特定化されている。L−ラクチド単量体
は95℃で溶融し、D,L−ラクチドは128℃で溶融する。こ
れは、柔軟性を得るためにラクチド重合体を特別に変性
することを教えた従来技術の例の一つである。例えば、
米国特許第3,021,309号明細書には、ラクチドをδバレ
ロラクトン及びカプロラクトンと共重合し、ラクチド重
合体を変性し、靭性で白色の結晶固体を得ている。ラク
チド組成物を用いず、カプロラクトンと2,4−ジメチル
−4−メトキシメチル−5−ヒドロキシペンタン酸との
共重合体だけを用いた軟質で固体の共重合体組成物が言
及されている。米国特許第3,284,417号明細書は、エラ
ストマー及び発泡体を製造するための中間体及び可塑剤
として有用なポリエステルの製造に関する。この特許は
ラクチドを排除し、希望の中間体を得るためのεカプロ
ラクトンの如き7〜9員環ラクトンを基にした組成物を
用いている。抗張力、モジュラス、或は伸び%のデータ
ーは与えられていない。米国特許第3,297,033号明細書
は、縫合糸に適した繊維へ配向することができる不透明
材料を製造するのに、グリコリド及びグリコリド・ラク
チド共重合体を使用することを教示している。そこには
「可塑剤は結晶性を阻害するが、スポンジ及びフイルム
には有用である」と述べられている。これらの記載か
ら、ラクチド重合体及び共重合体は可塑化されていない
と堅いことは明らかである。このことは米国特許第3,73
6,646号明細書についても当て嵌まり、ラクチド・グリ
コリド共重合体は塩化メチレン、キシレン又はトルエン
の如き溶媒を使用することにより軟化されている。米国
特許第3,797,499号明細書では、吸収性縫合糸のための
延伸繊維で一層大きな可撓性を持つものとしてL−ラク
チドとD,L−ラクチドの共重合体が引用されている。こ
れらの繊維は約20%の伸び%と共に50,000psiより大き
な強度を有する。モジュラスは約1×106psiである。こ
れらは、縫合糸としてのそれら用途を反映して、最も可
撓性の包装用組成物と比較して依然として極めて堅い組
成物である。米国特許第3,844,987号明細書には、セル
ロース性材料、大豆粉末、米穀、醸造酵母の如き天然に
産する生物分解性生成物と、生物分解性重合体との混合
物及びグラフトを、種子の発芽及び成長育苗のための媒
体を入れる容器の如き製造物品のためにに使用すること
が記載されている。これらの製造物品は包装用途には適
さない。
米国特許第4,620,999号明細書には、3−ヒドロキシ
ブチレートの重合体と、3−ヒドロキシブチレート/3−
ヒドロキシバレレート共重合体とからなる生物分解性使
い捨て袋組成物が記載されている。比較として乳酸は2
−ヒドロキシプロピオン酸である。米国特許第3,982,54
3号明細書は、可撓性を得るためにラクチド共重合体と
共に可塑剤として揮発性溶媒を用いることを教示してい
る。米国特許第4,045,418号及び第4,057,537号明細書
は、可撓性を得るためにはL−ラクチド又はD,L−ラク
チドであるラクチドとカプロラクトンとの共重合を利用
している、米国特許第4,052,988号明細書は、吸収性縫
合糸のための結び目結合及び結び目安全性を改良するた
めにポリ(p−ジオキサノン)を使用することを教示し
ている。米国特許第4,387,769号及び第4,526,695号明細
書には、変形することはできるが上昇させた温度でのみ
可能なラクチド及びグリコリド重合体及び共重合体を使
用することが記載されている。欧州特許出願0108933は
縫合糸材料として教示されている三ブロック共重合体を
得るために、グリコリド共重合体をポリエチレングリコ
ールで変性することを用いている。前に述べた如く、発
散性揮発性溶媒、又は他のコモノマー材料である可塑剤
によってのみラクチド重合体の可撓性が得られるという
強い合意が存在する。
L−ラクチドとD,L−ラクチドの共重合体は従来から
知られているが、引用文献は可撓性が固有の物理的性質
ではないことを認めている。米国特許第2,758,987号明
細書には、透明で強い配向可能なフイルムへ溶融プレス
することができるものとしてL−又はD,L−ラクチドの
単独重合体が記載されている。ポリ−L−ラクチドの性
質は次のように与えられている:抗張力、29,000psi;伸
び%、23%;引張りモジュラス、710,000psi。ポリ−D,
L−ラクチドの性質は次の通りである:抗張力26,000ps
i;伸び%、48%;及び引張りモジュラス、260,000psi。
L−とD,L−ラクチドの共重合体、即ちL−とD,L−乳酸
の共重合体は重要で50/50混合物についてのみ記載され
ている。粘着点(tack point)特性だけが与えられてい
る(実施例3)。大きな強度を出させるためには一つの
対掌(光学活性、例えばL−ラクチド)単量体物質が好
ましいと主張されている。α−ヒドロキシカルボン酸の
ビード重合を開示している米国特許第2,951,828号明細
書には、L−ラクチド及びD,L−ラクチドの単独重合体
の外に75/25、50/50、及び25/75の重量比のL−ラクチ
ド−/D,L−ラクチド共重合体が例示されている。共重合
体は110〜135℃の軟化点を有する。ビード直径及び110
〜135℃の範囲の軟化点に関する物理的性質を除くと、
堅さ及び可撓性に関する他の物理的性質のデーターは与
えられていない。米国特許第3,636,956号及び第3,797,4
99号明細書には、95/5、92.5/7.5、90/10、及び85/15重
量比のL−ラクチド/D,L−ラクチド共重合体が引用され
ている。それらは延伸繊維からのフィラメントとして評
価されており、50,000psiを越える抗張力、約1×106
モジュラス、及び約20%の伸び%を有する。可撓性を与
えるために、上記米国特許第3,636,956号明細書の場合
と同じ可塑剤が用いられている。ドイツ特許公開2,118,
127には、90/10、L−ラクチド/D,L−ラクチド共重合体
として純白の明らかに結晶質の重合体が言及されてい
る。この重合体についての物理的性質は与えられていな
い。その特許は外科用素材としての使用を教示してい
る。
米国特許第3,297,033号;第3,463,158号;第3,531,56
1号;第3,636,956号;第3,736,646号;第3,739,773号;
及び第3,797,499号明細書は、全て繊維及び縫合糸材料
に適した強い結晶質の配向可能な重合体であるラクチド
重合体及び共重合体を開示している。これらの記載は、
高度に結晶質の材料を用いることを教示しており、それ
らは延伸及びアニーリングにより配向され、典型的に
は、50,000psiより大きな抗張力及び1,000,000psiより
大きな引張りモジュラスを得ている。種々の成形物品へ
の形成性は言及されているが、配向されていない押出し
物の物理的性質及び成形は言及されていない。例えば、
米国特許第3,636,956号明細書には、90/10重量比のL−
ラクチド/D,L−ラクチドの製造が教示されており、延伸
配向繊維が言及されている。しかし、この記載では大き
な結晶性及び延伸繊維強度のために純粋なL−ラクチド
単量体を用いるのが好ましいとされている。
米国特許第3,797,499号明細書には、95/5重量比のL
−ラクチド/D,L−ラクチドの共重合が教示されている
(実施例5)が、その材料はフィラメントへ形成されて
いる。第5欄1行で、シュナイダー(Schneider)は、
本発明で与えらえている範囲の向上した性質に反するこ
とを教示している。三酢酸グリセリル、安息香酸エチル
及びフタール酸ジエチルの如き可塑剤が用いられてい
る。
米国特許第3,736,646号;第3,773,919号;第3,887,69
9号;第4,273,920号;第4,471,077号;及び第4,578,384
号明細書には、生物適合性で生物分解可能な持続性薬剤
放出マトリックスとしてラクチド重合体及び共重合体を
使用することが教示されている。この場合もフイルム押
出し又は成形の如き通常の熱成形法による重合体の物理
的性質は言及されていない。
特に興味のあるものとして、米国特許第4,719,246号
明細書には、L−ラクチド、D−ラクチドの単独重合
体、それらの重合体又は混合物;及びL−ラクチド又は
D−ラクチドと少なくとも一種類の非ラクチドコモノマ
ーとの共重合体を混合することが教示されている。混合
は、ポリ(L−ラクチド)及びトリ(D−ラクチド)の
相互作用を及ぼすセグメントを有する組成物を生成させ
ることを目的としている。
カナダ特許第808,731号明細書には、第II族の二価金
属が構造体の一部分になっているL−とD,L−ラクチド
の共重合体が言及されている。90/10、L−ラクチド/D,
L−ラクチド共重合体(実施例2)及びL−ラクチド単
独重合体は「フイルム及び繊維に適している」として記
述されている。90/10共重合体はスノーホワイト共重合
体として記述されており、L−ラクチド単独重合体は透
明フイルムへ成形することができる。(一層結晶質の重
合体は不透明か又はスノーホワイト材料になるはずであ
り、それは単独重合体である)。その特許は「本発明の
新規なポリラクチドがラクテートの形で触媒の金属成分
を含んでいると言うことは重要であると考えられる」と
記述している。更に、「ポリラクチドは、慣用的熱可塑
性樹脂製造方法により製造されるフイルム及び繊維の製
造に利用できる」と記載されている。フイルムの強度及
び可撓性については物理的性質のデーターは与えられて
いない。
カナダ特許第863,673号明細書には、97/3、95/5、92.
5/7.5、90/10、及び85/15のL−ラクチド/D,L−ラクチ
ド比のL−ラクチドとD,L−ラクチドとの共重合体組成
物が記載されている。これらは全て外科用の延伸フィラ
メントとして特徴を有する。抗張力は約100,000psiで高
く、伸びは約20%であり、可塑剤は可撓性を達成すると
言及されている。15重量%より少ないD,L−ラクチド組
成物が特許請求されている。
カナダ特許第923,245号明細書には、L−ラクチドと
D,L−ラクチドとの共重合体が記載されている(実施例1
5)。90/10共重合体はスノーホワイト色のポリラクチド
であると記載されている。その特許の方法で製造される
ポリラクチドは、慣用的熱可塑性樹脂製造方法で製造さ
れるフイルム又は繊維の製造に用いることができると述
べられている。
米国特許第4,719,246号明細書には、ポリ(S−ラク
チド)及びポリ(R−ラクチド)、それらの混合物の重
合体として言及されているポリL−とポリ(D−ラクチ
ド)の単純な混合物、;及びL−ラクチド又はD−ラク
チドと少なくとも一種類の非ラクチドコモノマーとの共
重合体を使用することが教示されている。実施例は全て
物理的混合物である。ラセミ体化合物形成による「かみ
合い(interlocking)」主幹の特別な性質〔E.L.エリー
ル(Eliel)「炭素化合物の立体化学」(Stereochemist
ry of Carbon Compounds)McGraw-Hill、1962、第45
頁〕。ラセミ体化合物はかみ合った鏡像体からなり、即
ちD型とL型(即ちRとS)が互いに極性力により結合
している。このことは、D対D(又はL対L)力がD対
L力より小さいか又は大きいかによって結晶融点の低下
又は上昇を惹き起こすことになる。その効果を増大する
ために重合体ラセミ体化合物に要求されている(また米
国特許第4,719,246号第4欄48行に述べられている)こ
とは、単独重合体であるか、DとLの両方の鎖長が長い
ことである。これらの構造体の対称性又は規則性が大き
いことにより、非常に規則的な極性力によりそれらを一
緒に適合させるか又はかみ合わせることができる。なぜ
なら、それらは同じか又は鏡像体だからである。このこ
とはかなりの結晶性をもたらす。ラセミ体化合物の分野
は古典的化学にまで戻る長い歴史を持つ。
米国特許第4,661,530号明細書には、ポリ(L−乳
酸)及び(又は)ポリ(D,L−乳酸)、及びセグメント
化ポリエステルウレタン又はポリエーテルウレタンの混
合物が記載されている。外科での復元で生物学的組織及
び器官の合成代替物として有用な生物分解性材料が形成
されている。
可塑剤としてラクチド単量体、乳酸、又は乳酸又はラ
クチドのオリゴマーを用いることによりラクチド重合体
が可撓性で高度に展性な組成物にすることができること
は従来技術のどこにも記載されていない。従来の組成物
の中で、熱可塑性重合体工業の充分規定された包装需要
に適しているものは一つもない。
一つの熱可塑性プラスチックと他のものとの性質を併
合することは予測できないものであることは当業者によ
って認められるであろう。例えば、結晶性ポリスチレン
又はOPSに関して、OPS級の製造及び最終用途の規格に合
致するように何年にも亙って開発されてきたポリスチレ
ンの満足すべき性能についての厳しい条件が存在する。
本発明の簡単な記述 本発明の一般的教示、及び第一の態様は、ラクチド単
量体(単数又は複数)、乳酸、又はラクチド又は乳酸の
オリゴマーで可塑化されたL−ラクチド、D−ラクチ
ド、及びD,L−ラクチドの単独重合体、及びそれらの混
合物の共重合体は、通常の自然的に分解しないプラスチ
ックの性質(例えば、ポリエチレン等の性質)に似せる
ことができる、よく環境条件に作用される(well behav
ed)熱可塑性プラスチックとしての用途を有するという
言うことである。この組成物は次の式: を有し、ラクチド、乳酸、乳酸のオリゴマー、及びそれ
らの混合物からなる群から選択された可塑剤でよく可塑
化される。乳酸のオリゴマーは更に式II(式中、mは整
数であり、2≦m<75である)によって表されるのが好
ましい。しかし、mは2≦m≦10であるのが好ましい。
可塑剤は重合体の2〜60重量%の占めるのが好ましい。
重合体はL−ラクチド、D−ラクチド、メソD,L−ラク
チド、及びそれらの混合物からなる群から選択されたラ
クチド単量体から誘導することができる。nは150≦n
≦20,000であるのが好ましい。
ラクチド単量体は重合体の5〜40重量%の量で存在す
ることができるが、ラクチドオリゴマー又は乳酸及びそ
のオリゴマーは2〜60重量%の量で存在していてもよ
い。この組成物は、可撓性、透明性、及び靭性の如きポ
リエチレンの望ましい特性の多くを与える。
更に生物分解可能な組成物を製造するための方法が与
えられる。その方法は、一種類以上のラクチド単量体及
び触媒を混合、加熱、及び溶融する工程;溶液の単量体
を重合して、重合を完了する前にその重合反応を停止さ
せるのに充分な低い温度で重合体を形成する工程;単量
体の水準を検査する工程;及び重合を完了させる前に単
量体の量を検査によって決定し、反応を停止させ、それ
によって未反応単量体を重合体中に一緒に取り込せるよ
うにする工程;の諸工程を含む。
更にポリ乳酸の可塑化重合体を製造する方法が与え
れ、その方法は、一種類以上のラクチド単量体及び触媒
を混合、加熱、及び溶融し;溶液の単量体を重合して、
反応を停止することなく重合体を形成し、そして可塑剤
を重合体中へ配合することからなり、前記可塑剤はD−
ラクチド、L−ラクチド、メソD,L−ラクチド、乳酸、
乳酸のオリゴマー、及びそれらの混合物からなる群から
選択される。
本発明の第二の態様は、自然的に生物分解される組成
物を製造するための方法、及び式Iのポリ乳酸単位を有
するポリスチレン代替物として有用な自然的に生物分解
可能な組成物を含み、該式中、nは75〜10,000の整数で
あり、α炭素はD−又はL−単位が優勢なL−及びD−
形態物の混合物であり、前記重合体は85〜95重量部のL
−ラクチド又はD−ラクチド、及び15〜5重量部のD,L
−ラクチドから製造され、未配向重合体は少なくとも50
00psiの抗張力、少なくとも200,000psiの接線モジュラ
ス、0.1〜5重量%の分散可塑剤を有する。
本発明の第三の態様は、自然的に分解可能な組成物を
製造する方法を教示するものであり、その自然的に分解
可能な組成物は、ポリ乳酸の物理的混合物;及びエチレ
ンテレフタレートの重合体、スチレン、エチレン、プロ
ピレン塩化ビニル、酢酸ビニル、アルキルメタクリレー
ト、アルキルアクリレート、それらの物理的混合物の重
合体又は共重合体からなる群から選択された一種類以上
の重合体からなる。
第四の態様は自然的に分解可能な組成物を製造する方
法を教示するものであり、ポリ乳酸の物理的混合物と、
混合組成物に改良された衝撃抵抗を与える混合物相容性
エラストマーとの混合物からなる自然的に分解可能な組
成物が開示される。そのようなエラストマーは、例え
ば、ポリブチレンテレフタレートの硬質結晶質セグメン
トと、ポリエーテルグリコールの軟質長鎖セグメントと
のブロック共重合体であるセグメント化ポリエステルで
あるハイトレル(Hytrel)(商標名)でもよい。一つの
例は、商標名ハイトレル4056(デュポン)セグメント化
ポリエステルとして知られている。
図面の簡単な説明 第1図は、組成物中の可塑剤としてのラクチドの%と
抗張力との間の関係を示すグラフである。
第2図は、組成物中の可塑剤としてのラクチドの%と
弾性モジュラスとの間の関係を示すグラフである。
第3図は、組成物中の可塑剤としてのオリゴマーの%
と抗張力との間の関係を示すグラフであり、曲線Aは90
/10共重合体、曲線Bは92.5/7.5共重合体に対応するも
のである。
第4図は、組成物中の可塑剤としてのオリゴマーの%
と弾性モジュラスとの間の関係を示すグラフであり、曲
線Aは90/10共重合体、曲線Bは92.5/7.5共重合体に対
応するものである。
第5図は、実施例5Bのアニールしてない90/10のL−
ラクチド/D,L−ラクチド共重合体の示差熱分析(DSC)
のプロットを例示した図である。
第6図は、実施例5Bの材料の70℃で100分間維持した
後のDSCを例示した図である。
第7図は、実施例5Bの材料の185゜Fで一晩アニールし
た後のDSCを例示した図である。
第8図は、5%の乳酸カルシウムと混合された実施例
5Bの材料のDSCを例示した図である。
第9図は、実施例8Bの場合のように製造されたラクチ
ド重合体及びポリスチレンの剪断速度特性対溶融粘度を
示した図である。
第10図は、実施例8Bの共重合体のDSCを例示した図で
ある。
第11図は、実施例8B共重合体に添加されたL−ラクチ
ド単独重合体についてのDSCを例示した図である。
第12図は、実施例8Bの共重合体とL−ラクチド単独重
合体からなる実施例23の混合組成物についてのDSCを例
示した図である。
第13図は、5重量%のポリスチレンと混合した90/10
のL−ラクチド/D,L−ラクチド共重合体の示差熱分析
(DSC)のプロットを例示した図である。
本発明の詳細な記述及び好ましい態様 第一の一般的態様 ここに記載される自然的に生物分解可能な組成物は、
環境中に許容出来、適合できる材料へ完全に分解するこ
とができる。分解の中間生成物は、乳酸、及びラクチド
又は乳酸の短鎖オリゴマーであり、それらは極めて多種
類の生物によって容易に代謝される広く分布した天然に
産する物質である。それらの自然の最終分解生成物は二
酸化炭素と水である。少量の他の物質、充填剤或は増量
剤を含むものの如きこれら組成物と同等の意図されたも
のも、適当に材料を選択することにより完全に自然的に
分解することができる。ここでの組成物は環境的に許容
出来る材料を与える。なぜなら、それらの物理的劣化及
び分解は、それらによって置き換えられる慣用的非分解
性プラスチックよりも遥かに迅速に且つ完全に行われる
からである。更に、組成物の全て又は大部分がポリ乳酸
及び(又は)乳酸から誘導されたラクチド又はオリゴマ
ーなので、残留物は残らないか、又は一層ゆっくり分解
する残留物のほんの僅かな部分しか残らないであろう。
この残留物は本体生成物よりも大きな表面積を持ち、一
層速い分解速度を持つことが期待されるであろう。
本発明の一般的適用により、本発明の第一の一般的態
様が与えられる。D−ラクチド、L−ラクチド、D,L−
ラクチドの単独重合体、同様に、D−ラクチド、L−ラ
クチド;D−ラクチド、D,L−ラクチド;L−ラクチド、D,L
−ラクチド;及びD−ラクチド、L−ラクチド、D,L−
ラクチド;の共重合体は全て、ラクチド単量体、乳酸、
ラクチドのオリゴマー、乳酸のオリゴマー、及びそれら
の混合物によって可塑化されると、本発明で有用な材料
を生ずる。可塑剤は、重合が完了する前に反応を停止す
ることにより生成させてもよい。ラクチド単量体(D−
ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド、又はそれら
の混合物)、乳酸、ラクチドのオリゴマー、乳酸のオリ
ゴマー、及びそれらの混合物からなる任意的に付加的な
可塑剤を重合体に添加してもよい。重合体は次の式によ
って定義される: 式中、nは重合度(繰り返し単位の数)であり、重合体
を製造するのに用いられた単量体の不完全な重合により
誘導された可塑剤で可塑化される。可塑剤が重合体とよ
く一体化される程、その特性は良くなる。もし望むなら
ば、付加的単量体又はオリゴマーを、組成物中に残って
いる残留単量体又はオリゴマーに追加してもよい。可塑
剤として有用な乳酸のオリゴマーは更に式IIによって定
義され、式中、mは整数であり、2≦m<75であるが、
好ましい範囲は2≦m≦10である。
L−ラクチド、D−ラクチド、及びD,L−ラクチドの
割合は、可撓性熱可塑性プラスチックを得るのに限定的
なものではない。L−ラクチド、D−ラクチド及びD,L
−ラクチドの部は、単独重合体又は共重合体を形成させ
るのに広い重量比に亙って変えることができる。本発明
に従って用いられるラクチド単量体は市販されており、
従って、単量体反応物自体或はそれが製造される方法は
いずれも本発明の一部を構成するものではない。
D−ラクチドはD−乳酸のジラクトン、又は環式二量
体である。同様にL−ラクチドはL−乳酸の環式二量体
である。メソD,L−ラクチドはD−及びL−乳酸の環式
二量体である。ラセミ体D,L−ラクチドは及びL−ラク
チドの混合物からなる。ここで単独で用いた時の用語
「D,L−ラクチド」はメソD,L−ラクチド又はラセミ体D,
L−ラクチドを含むものとする。
文献に報告されたラクチドを製造するための方法の一
つは、高真空中で乳酸を脱水することである。生成物を
高温及び低圧で蒸留する。ラクチド及びそれらの製造は
次のものに論じられている:W.H.カローザス、G.L.ドロ
ー及びM.J.ジョンソン〔J.Am.Chem.Soc.54,761-762(19
32)〕;J.ゲイ・ルサック及びJ.ペラウズ〔Ann.7,43(1
833)〕;C.A.ビショッフ及びP.ウォルデン〔Chem.Ber.2
6,263(1903);Ann.279,171(1984)〕;ハインリッヒ
・バイク〔ドイツ特許267,826(1912);Chem.Abstr.8,5
54,2034(1914)〕 任意的な活性酸は、細菌類Lactobacillus,例えば、L
actobacillus delbrueckiiL.salivariusL.casei
の多くの菌株を用いて殆どの非毒性炭水化物生成物、副
生成物又は廃棄物の直接発酵により製造することができ
る。任意的活性酸は、亜鉛アンモニウム塩、又はその塩
とモルフィンの如きアルカロイドによりラセミ体混合物
を分解することにより得ることもできる。L−ラクチド
は144の分子量の有する白色粉末である。もし不純な市
販生成物を本発明に従って用いる場合には、無水メチル
イソブチルケトンによる再結晶化によりそれを精製する
のが好ましい。純白のL−ラクチド結晶は96〜98℃で溶
融する。
D,L−ラクチドの製造で用いられるD,L−乳酸は市販さ
れている。D,L−乳酸は、ラクトニトリル(アセトアル
デヒド シアノヒドリン)の加水分解、又は細菌類Lact
obacillusの多くの菌株を用いて殆どの非毒性炭水化物
生成物、副生成物又は廃棄物の直接発酵により合成的に
製造することができる。D,L−ラクチドは144の分子量を
有する白色粉末である。もし不純な市販生成物を本発明
に従って用いる場合には、無水メチルイソブチルケトン
による再結晶化によりそれを精製するのが好ましい。90
〜130℃で溶融するどろどろの半固体からなるそのよう
な市販生成物は、メチルイソブチルケトンにより再結晶
化し、木炭を用いて脱色する。そのような再結晶化を3
回行なった後、生成物を窒素気流中減圧で8〜24時間室
温で回転乾燥をする。このようにして得られた純白の結
晶は115〜128℃で溶融するD,L−ラクチド混合物からな
る。
本発明による組成物を製造する際、閉じた減圧容器中
で、18個までの炭素原子を有するカルボン酸の錫エステ
ルの存在下で液相中で反応を行うのが好ましい。しか
し、組成物は、例えば窒素の如き不活性ガスにより遮蔽
された重合装置で大気圧圧力で製造することもできる。
もし重合を酸素又は空気の存在下で行うと幾らかの変色
が起き、分子量及び抗張力の低下が起きる。その方法
は、重合が後期段階で緩やかになり、粘稠な重合体溶融
物中に残留単量体が取り込まれるような温度で行うこと
ができる。この目的にとって好ましい温度は、一般に純
粋L−ラクチドと純粋D,L−ラクチドとの融点の間、即
ち95〜127℃の間にある。本発明の範囲を何ら限定した
くないが、現在約129℃より低いと次のことが起きると
考えられる: 1.L−ラクチド及びD,L−ラクチド単量体のラクチド単量
体混合物は溶融して共融混合物を形成し、それは溶融し
て、一種、二種、又は三種の単量体のよく混合された溶
液である易動性の流体になる。
2.流体溶融物は触媒により重合し、次第に粘稠になる溶
液を形成し、最終的には未反応単量体が、明確な不均質
相ではなく、溶液として重合体中に一緒に取り込まれ
る。単量体はもはや反応することができない。なぜな
ら、反応は極めて拡散によって律速され、重合体の低濃
度の活性末端基と接触することができないからである。
3.重合は止まるか又はかなり遅くなり、その結果室温で
単量体と重合体との混合物は固溶体となり、可塑性、透
明性及び可撓性を組成物に与える。
4.触媒は活性を失い、そのため後の溶融製造で重合を再
び開始させることはない。
5.可塑化された組成物な極めて安定である。なぜなら、
残留単量体は非常に高い沸点を持ち、例えば、ラクチド
の沸点は8トールで142℃となり、開鎖互変異性体ポリ
ラクチドにしっかりと伴われているからである。
別法として、本方法は、L−ラクチドの融点と200℃
との間の温度で行なってもよく、乳酸又はラクチドを後
で別の処理工程として重合体中へ溶融又は溶媒混合す
る。200℃より高い温度は、共重合体が劣化する傾向が
あるので望ましくない。95〜200℃の範囲で温度を上昇
させると、一般に重合速度が増大する。良好な結果は、
約110℃〜160℃の温度でL−ラクチドとD,L−ラクチド
との混合物を加熱することにより得られている。
本発明に従って用いられる触媒は、18個までの炭素原
子を有するカルボン酸の錫エステルである。そのような
酸の例には、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリ
アン酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプ
リン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、及び安息香酸がある。良好な結果は酢酸第
一錫及びカプリル酸第一錫を用いて得られている。
触媒は通常の触媒として有効な量で用いられる。一般
にL−ラクチドとD,L−ラクチドとの全重量に基づき約
0.001〜約2重量%の範囲の触媒濃度が適切である。約
0.01〜約1.0重量%の範囲の触媒濃度が好ましい。良好
な結果は、触媒濃度が約0.02〜約0.5重量%の範囲にあ
る時得られている。特定な場合の触媒の正確な量は、用
いられる触媒及び時間及び温度を含めた操作変数に大き
く依存する。正確な条件は当業者によって容易に決定す
ることができる。
重合工程の反応時間それ自体は、反応温度、特定の触
媒、触媒量、液体ビヒクルが用いられるか否かを含めた
他の反応変数により支配される。反応時間は、用いられ
る特定の一連の条件により、数分から数時間、或は数日
まで変わることがある。単量体混合物の加熱は、希望の
水準の重合が検出されるまで続けられる。重合の水準は
残留単量体の分析により決定することができる。前に述
べた如く、反応温度は、単量体の配合を促進し、重合反
応器から直接出てくる可塑化組成物を与えるように選択
することができる。反応は、希望の可塑化を達成するの
に望ましい重合体へ単量体を転化させた組成物になった
時に停止させることができる。本発明の好ましい態様と
して、達成しようとする可塑化により約2〜30%のラク
チドを未反応のままに残す。
一般に、活性水素を含む不純物を存在させないで重合
を行うのが好ましい。なぜなら、そのような不純物が存
在すると、触媒を不活性化し、且つ又は誘導時間を増大
する傾向があるからである。実質的に無水の条件で重合
を行うことも好ましい。
本発明の共重合体は、塊状重合、懸濁重合、又は溶液
重合により製造することができる。重合は、例えば、芳
香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン等の如き通常液体の不活性有機ビヒ
クル;アニソール、エチレングリコールのジメチル及び
ジエチルエステルの如き酸素化有機化合物;ヘキサン、
ヘプタン、シクロヘキサン、アルキルシクロヘキサン、
デカヒドロナフタレン等の如き開鎖、環式及びアルキル
置換環式飽和炭化水素を含めた通常液体の飽和炭化水
素;の存在下で行うことができる。
重合反応はバッチ式、半連続式、或は連続式で行うこ
とができる。後の重合のためのラクチド単量体反応物及
び触媒を調製する際、それらは既知の重合法に従いどの
ような順序で混合してもよい。例えば、触媒を単量体反
応物のいずれかに添加し、然る後、触媒含有単量体を他
方の単量体と混合してもよい。別法として、単量体反応
物を互いに混合し、次にその反応混合物へ触媒を添加し
てもよい。もし望むならば、触媒を通常の液体の不活性
有機ビヒクルに溶解又は懸濁させてもよい。もし望むな
らば、単量体反応物を、不活性有機ビヒクル中に入れた
溶液又は懸濁物として、触媒、触媒溶液又は触媒懸濁物
へ添加してもよい。更に別法として、触媒及び単量体反
応物を反応容器に同時に添加してもよい。反応容器には
慣用的熱交換器及び(又は)混合装置を配備してもよ
い。反応容器は重合体製造分野で通常用いられているど
のような装置でもよい。例えば、一つの適当な容器はス
テンレス鋼容器である。
L−ラクチド、D−ラクチド、メソD,L−ラクチドの
比率により本発明に従って製造される自然的に生物分解
される組成物は、慣用的製造法で製造されるフイルム、
繊維、成形物及び積層体の如き製造物品に利用すること
ができる。これらの製造物品は、自然に分解することが
できない一般的プラスチックに置き換えることができる
非医薬的用途、即ち、生体外の用途に用いることも考え
られている。
例えば、フィラメントは共重合体を紡糸口を通して溶
融押出しすることにより形成される。フイルムは、生物
分解可能な組成物の溶液を注型し、次に加熱板を有する
水圧プレス中で固体の生物分解可能組成物をプレスする
か、又はダイスに通して押出して溶媒を除去することに
より形成される。
本発明の共重合体から成形物を製造するのに、ゆっく
りした冷却及び急冷を含む種々の方法を用いることがで
きる。
本発明の組成物と同等な意図されるものは、少量の他
の材料を含むものである。もし望むならば、架橋剤、他
の可塑剤、着色剤、充填剤等を添加することにより本発
明で製造される共重合体を変性してもよい。
架橋はクメンヒドロペルルオキシドの如き遊離基開始
剤と組成物とを混合し、次に上昇させた温度で成形する
ことにより行うことができる。これは耐熱性及び耐溶媒
性を改良する。硬化は、多価アルコールの如き多官能性
化合物と共重合体とを配合し、成形するか、又は加熱真
空中で熱成形することにより行うこともできる。ポリエ
ステルの硬化を行うグラフト押出し器反応は、重合体を
架橋し、鎖延長する明白な方法である。
成形物を製造する際、硬化する前に組成物中に充填剤
を配合してもよい。充填剤は、硬度、強度、温度抵抗性
等を含めた成形物の性質を変える機能を有する。既知の
充填剤には、アルミニウム粉末、炭酸カルシウム粉末、
シリカ、カオリナイト(粘度)、珪酸マグネシウム等が
含まれる。特に有利なのは澱粉であり、それは組成物と
よく混合して、完全に自然的に生物分解される混合物が
得られる。他の適切な変性は、組成物と他のラクチド、
グリコリド、及びカプロラクトンの重合体及び共重合体
とを溶融混合することにより行うことができる。
本発明により製造される組成物は、既知の手順に従
い、補強積層体を製造するのに用いることができる、一
般に積層体は繊維質マットから作られ、或は複数の材料
シートを組合せてマトリックスを形成し、それを繊維質
材料を通して前駆物質又は組成物を溶融流動させ、それ
を成形型又は水圧プレス中に入れたまま硬化して重合体
を形成させることにより一体化した構造体へ固化するこ
とにより製造される。マトリックスを形成するのに用い
られる繊維には、木、綿、リンネル、麻等から誘導され
たセルロース、ガラス、ナイロン、酢酸セルロース等の
如き天然及び合成繊維が含まれる。
本発明の組成物及びそれらの製造を次の特定の実施例
により例示する。
実施例1 80/20、L−ラクチド/ラセミ体D,L−ラクチド いずれも高純度〔プラク社(Purac.Inc)、3回再結
晶〕のL−ラクチド160g及びラセミ体D,L−ラクチド40g
を、一晩乾燥窒素で追い出した500ml丸底フラスコ中に
入れた。第一錫オクトエート(octoate)10mlを無水ト
ルエン60ml中に溶解し、溶媒10mlをディーン・スタルク
(Dean-Stark)トラップへ蒸留し、この触媒溶液の共沸
蒸留による乾燥を行なった。50mlの無水トルエン中に入
れた10mlの第一錫オクトエートから0.20ml部分を注射器
で取り出し、反応フラスコ中のラクチド中へ注入した。
ゴム隔壁を通して反応フラスコ中に入れた注射針結合部
を経て窒素による追い出しを続け、気泡発生器に接続さ
れた一本の管により排気した。窒素の流れは1〜3気泡
/秒に維持された。フラスコを123〜127℃に維持された
油浴中で加熱した。加熱の最初の部分でラクチドは溶融
し、渦巻きにより完全に混合した。それにより、生成物
は全く粘稠になった。20時間加熱した後、フラスコ及び
無色の透明生成物の加熱浴から取り出し、冷却し、フラ
スコを壊し、液体窒素で衝撃を与え、ガラスを生成物か
ら除去した。共重合体を加熱した水圧プレス中で成形し
た。5〜10ミル厚のフイルムへの圧搾成形は、20,0001b
の圧力で170℃で2分間の時間で行うことができた。そ
れらフイルムをインストロン試験器で引っ張り特性につ
いて評価し、結果を表1に列挙する。1/8in厚の試料も
衝撃強度試験のために成形した。生成物の熱重量分析
(TGA)を行い、試料を150℃へ4分で加熱し、150℃の
温度に60分間維持した時の重量損失を測定した。試料の
重量損失は19.5%であり、60分で殆ど完了した。重量損
失はラクチド単量体の損失に起因する。示差熱分析(DS
C)の結果は、組成物が約110℃で発熱を開始し、200℃
まで温度を上昇させると一層顕著になることを表してい
た。融点は観察されなかった。試料を185゜Fで一晩アニ
ールし、再び試験した。それらは無色透明で可撓性のま
まであった。共重合体の試料は、変色又は明確な強度の
損失を起こすことなく6回再成形することができた。薄
いフイルムは繰り返し成形しても無色透明であり全く可
撓性であった。
実施例2 実施例1と同様に、3l丸底フラスコ中に、1.84kgのL
−ラクチド、0.46kgのラセミ体D,L−ラクチド、及び2.3
mlの第一錫オクトエート溶液を入れた。混合物をアルゴ
ンで3時間追い出し、次に125℃の油浴中で等温的に加
熱した。混合物は溶融し、渦巻きによって完全に混合
し、均質で無色透明の流体を形成し、その粘度は数時間
後実質的に上昇した。64時間後、フラスコを加熱用浴か
ら取り出し、冷却し、奇麗な透明固体生成物からガラス
を除去した。ゴム状組成物を薄片に裁断し、ドライアイ
スを用いて粉砕機で1/8in以下の大きさに粉砕した。粉
砕物を100゜Fの空気循環炉で7時間乾燥し、次に外囲温
度で一晩真空乾燥した。実施例1に記載した如く圧搾成
形したフイルムを作り、それらフイルムを表1に示した
如く引張り特性、及びTGAによる重量損失について試験
した。
実施例3 実施例1と同様に、250l丸底フラスコ中に、79.98gの
L−ラクチド、20.04gのラセミ体D,L−ラクチド、及び
0.20mlの第一錫オクトエート溶液を入れた。フラスコを
入口及び出口を通して窒素により追い出し、125℃の油
浴中で加熱した。混合物は溶融し、無色の流体液体にな
り、それをフラスコを回すことによって完全に混合し
た。2時間後、油浴温度を147℃へ上昇させ、14時間の
全加熱時間後、温度を131℃へ低下した。合計加熱時間
は18時間であった。生成物は無色透明でガラス状であっ
た。前の実施例と同様に評価し、結果を表1に記載す
る。
実施例1〜3は、得られた組成物によって与えられた
共重合体の性質に対する反応温度の影響を表している。
実施例4 実施例1及び3の共重合体のフイルムを水中に数カ月
浸漬した。3週間後、実施例1の共重合体は曇ったが、
実施例3の共重合体は約2カ月間奇麗なままであった。
3カ月後、実施例3のフイルムは曇ってきたのが認めら
れ、実施例1のフイルムは白色で不透明になった。実施
例1のフイルムと接触していた水は、酸の味がしたが、
実施例3のそれは味がなかった。
表1のデーターを調べると、実施例1の共重合体はポ
リエチレンに対する自然に生物分解される代替物になる
ことが分かる。当業者は共重合体の物理的性質が多くの
包装用途にとって有用であることが認めるであろう。そ
の抗張力及び初期接線モジュラスは、例えばプラスチッ
クゴミ袋、一般的フイルム包装紙、プラスチック買い物
袋、サンドイッチ包装紙、半ダース詰め袋枠等で用いら
れているポリエチレン組成物に匹敵し、好ましい。応力
歪み曲線の形は、共重合体と、ゴミ袋組成物で一般に用
いられている線状低密度ポリエチレン組成物との両方に
ついてほぼ同じである。性質の比較は表2に示してあ
る。
ラクチド重合は、制御可能なやり方で不完全な単量体
から重合体への転化で停止させることができる。これは
実施例1及び2で例示されている。ラクチド単量体はラ
クチド重合体と非常によく結合する。別法として、組成
物を、ラクチドと、予め形成した重合体と混合すること
により誘導することができる。その場合、添加されたラ
クチドは立体化学に関し重合体を製造するのに用いたも
のと同じでも異なっていてもよく、即ち、L−、D−、
又はD,L−ラクチドでよい。
配合は、溶融重合体とラクチド単量体とを、ミルロー
ル、又は二軸スクリュー混合機の如き慣用的処理装置で
混合することにより達成することができる。通常堅く、
ガラス状のラクチド重合体はラクチドにより可撓性にさ
れ、無色透明で殆ど無臭のままである。ラクチドは余り
発散性ではなく、重量分析でラクチドを除去するのに加
熱、窒素追い出しを必要とし、典型的には170〜200℃で
20〜60分間必要とする。光学的顕微鏡でフイルム中のラ
クチドを見ることはできない。ラクチド領域は1μより
小さい大きさを持つ。ポリ乳酸のこの可撓性化は、使い
捨てのポリオレフィン包装用フイルムの自然的に生物分
解することができる代替物として使用できることを示唆
している。
実施例5〜16 L−ラクチドとラセミ体D,L−ラクチドとの共重合体
を製造し、種々の量のラクチドと溶融混合し、ラクチド
組成物の関数として混合物の物理的性質を評価する一連
の実験を行なった。単量体ラクチド含有量は、前に開発
された等温熱重量分析(TGA)により分析された。ラク
チド含有量は配合及びフイルムへの成形前及びその後で
測定された。
開放2本ロール粉砕機による粉砕は、非常に大きな分
子量のラクチド共重合体に必要な温度ではラクチドを揮
発させる傾向があることが観察された。これらの損失
は、マスターバッチを形成するか、低分子量ラクチド共
重合体(及びそれに伴ってそれらの一層低い混合温度)
を用いることにより最小にすることができた。一層よい
混合及び混和法は慣用的二軸スクリュー押出し機であ
り、それは揮発損失を最小にする。幾つかの結果を表3
に示す。ポリラクチドとラクチド可塑剤との混合物は非
常に可撓性で、ラクチド含有量を増大するに従って一層
可撓性になった。それらは無色透明であった。ラクチド
の非常に僅かな(良い)匂いが検出されたが、識別でき
るラクチドの味は認められなかった。表3の可塑化フイ
ルム試料は引き裂きにくく、容易に折り曲げることがで
き、砕けたり裂けたりすることなく、穴を開けることが
できた。それらはクーラー(5℃、40゜F)中に入れると
幾らか堅くなったが、依然として壊れることなく可撓性
で折り目を付けることができた。これらのフイルムは手
の中で柔らかくなることが認められ、ガラス転移温度が
37℃より低いことを示していた。ラクチド含有量が20%
より低い時、フイルムはポリオレフィンフイルムに典型
的な音を立てるようになる。一層ラクチド含有量が多く
なると、フイルムはPVCの暖かい掛け布の感触を持つ。
表3に示したように弾力性モジュラス(初期接線モジ
ュラス)は、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)と同様
に比較的高くなる。このことは潜在的形態安定性を持つ
ことを示している。モジュラス及び抗張力が低いこと
は、低密度ポリエチレン(LDPE)に似ている。ラクチド
含有量の関数としての物理的性質は、第1図及び第2図
に示したようにプロットされている。表3に関し、約17
〜20%のラクチド含有量では、引張り特性は、ゴミ袋及
び買い物袋で用いられているポリエチレンと同様であ
る。ラクチド含有量が低いと、混合物はポリプロピレン
との類似性を持つ。幾つかのデーターを表3で比較する
ことができる。表4は比較で用いられた慣用的プラスチ
ックを規定している。
表3はラクチドとポリラクチドとの混合物についての
幾つかのデーターを示している。それらの結果は、他の
方法によって製造された実施例1及び実施例2の同様な
組成物と大して違わない。しかし、当業者は、正確な物
理的性質は混合物の均一性、引張り試験条件、フイルム
を製造するための製造技術により幾らか変わることを認
めるであろう。表3の比較から、ラクチド・重合体混合
物は、多くの慣用的非分解性プラスチック類に似た広い
範囲の調節可能な組成を有することが分かる。
実施例17 オリゴマーポリ乳酸(OPLA)を次の如くポリラクチド
と混合するため製造した。機械的攪拌器及びポット温度
計を取付けた三口フラスコ(1)へL−乳酸88%溶液
(956g)を入れた。理論的希釈水が除去されるまで、反
応混合物を窒素流中で150〜190℃で200mmHgまで1時間
濃縮した。乳酸及びそのオリゴマーを除き触媒は用いな
かった。この温度及び真空を維持し、理論的脱水量の73
%の水が除去されるまで2時間蒸留を継続した。
全必要時間は3時間であった。この時に反応を止め
た。水試料及びポットオリゴマーを0.5N NaOHで滴定し
た。幾らかの乳酸、26.2gが蒸留された水の中に見出さ
れた。ポットオリゴマー(OPLA)も過剰の0.5N NaOHと
共に還流し、次に標準H2SO4で逆滴定した。データーを
表5に記録してある。OPLAは熱い時にはよく流れ、幾ら
かのコールドフローを示した。それは3.4の重合度を持
っていた。それを実施例20で用い、この場合それを実施
例19の重合体と溶融混合した。
実施例18 実施例17の手順を繰り返した。但し蒸留をもっとゆっ
くり行なった。温度をゆっくり63℃から175℃へ200mmHg
で上昇させながら8時間加熱した後、ポットの試料を滴
定し、理論的量の62.2%の水が除去されたことが判明し
た。滴定は4.3の重合度を示していた。OPLAの分子量
は、真空ポンプを用い、179℃で加熱することにより2
時間に亙って更に上昇した。OPLAはもはや0.1N NaOHに
溶解せず、ウォーターホワイト色であり、コールドフロ
ォーを示した。この材料は、実施例1と比較して幾らか
高い重合度を持つOPLA製造の第二の例である。それを実
施例22及び25でポリラクチドと混合した。重合度は約6
〜10であることが推定された。
実施例19 実施例3と同様な方法によりラクチド重合体を製造し
た。90/10重量%のL−ラクチド/ラセミ体D,L−ラクチ
ド共重合体を、100部当たり0.02部の無水第一錫オクト
エート触媒を用いて溶融重合した。同様なやり方で、10
0%L−ラクチド単独重合体(L-PLA)を製造した。共重
合体を90/10の共重合体/単独重合体の重量比で二軸ス
クリュー押し出し機中で350゜Fで単独重合体と溶融混合
した。混合物のゲル透過クロマトグラフ(GPC)は、18
2,000の重量平均分子量(Mw)及び83,000の数平均分子
量(Mn)を示していた。熱重量分析(TGA)により、残
留ラクチド単量体は1.7重量%であった。この混合物を
実施例17のオリゴマーポリ乳酸(OPLA)と混合し、実施
例20を与えた。引張り特性を表6に列挙する。
実施例20 実施例19の重合体を、開放2本ロールミルで実施例17
のOPLAと320゜Fで20分間溶融混合した。混合物を圧搾成
形してフイルムにし、表6に示す如く試験した。GPC分
子量は滑らかな一つの山の分布(Mw/Mn=2.6)を示し、
Mw=192,000及びMn=73,000であった。
実施例21〜25 実施例19の共重合体を実施例19に記載したL-PLA、20
%と溶融混合した。混合物を表6中実施例21として記載
し、その分析値及び引張り特性も記載してある。今度は
実施例21を種々の量の実施例18のOPLAと溶融混合し、前
の如く試験し、表6中実施例22〜25として記載した。表
7はこれらの組成物のGPC分子量を掲載している。抗張
力及びモジュラスは、第3図及び第4図中OPLAの重量%
に対して比較されている(下方の曲線)。
実施例26〜30 第二の一連の共重合体をOPLAと混合した。実施例19及
び21と同様な方法により92.5/7.5、L−ラクチド/D,L−
ラクチド共重合体を製造した。これは表8及び9の実施
例26である。それを開放2本ロールミルで実施例18のOP
LAと325゜Fで約20分間溶融混合した。混合物を3〜5ミ
ルの厚さのフイルムに圧搾成形し、それらの引張り特性
及びGPC分子量を測定した。それらの性質を表8及び9
に記録し、第3図及び第4図にプロットした。この第二
の一連の混合物は引張り特性についてかなり高い値を示
していたが、分子量は低かった。このことは残留ラクチ
ド単量体が少ないこと及び(又は)高重合体組成物への
変化によるものであろう。OPLAポリラクチド混合物は全
て粘着性のない透明フイルムへ容易に成形することがで
きた。
実施例31及び32 可塑剤を用いたフイルム試料及び用いないフイルム試
料をフロリダ州のデイトナで3月から5月まで海水に曝
した。水のpHは7.3〜7.6に変化し、塩分は33.2から38.4
pptへ変化した。試験中水は次第に15から27℃へ暖かく
なった。試料を帯状に切り。周期的な間隔で海水中に入
れる前及び入れた後引張り試験を行なった。結果を表10
に示す。試料は全て白色化及び物理的劣化を示し、それ
は時間と共に進行した。可塑剤がない試料は、海水中に
6週間入れた後白色化及び劣化を示した。OPLAポリラク
チド混合物は一層速く劣化し、3週間後劣化の明確な徴
候を現していた。20%ラクチドを配合すると、直ちに白
色化を起こし、1週間曝した後明白な劣化を起こした。
上記実施例は、全ての乳酸組成物が可撓性のプラスチ
ック容器に有用な可撓性熱可塑性プラスチックになるこ
とができることを確実に示している。比較として、非可
塑化ホモポリ(L−ラクチド)は高度に結晶質の重合体
であり、1%の伸びで約7000psiの抗張力及び500,000ps
iの初期モジュラスを持っていた。それは非常に脆く、
不透明で、容易にひびが入った。それは環境条件に充分
作用されない熱可塑性プラスチックであり、透明でもな
い。ポリ(ラセミ体D,L−ラクチド)は、約50℃のガラ
ス転移温度、約6300psiの抗張力、約12%の伸び、及び1
60,000psiの初期モジュラスを有する無定形ガラス状重
合体である。それも非常に脆いが透明である。全く対照
的に、ラクチドモノマーで可塑化されたL−ラクチド/
ラセミ体D,L−ラクチド共重合体の重合体は著しく異な
っている。例えば、可塑化した重合体は約3900psiの抗
張力、431%の伸び、及び56,000psiの初期モジュラスを
有する。可塑化重合体は無色透明であり、混合物は可塑
剤を除去するためには100℃より高く加熱しなければな
らない。可塑化の結果として理論によれば一層無定形の
構造が予測されるであろうが、驚いたことに、生ずるの
は柔軟な透明で安定な組成物であり、第二に殆ど正確に
ポリエチレンの如き或は包装用途に必要な性質に適合す
る。本発明は、ゆっくり自然的に生物分解できる材料に
そのような初期性質が要求される時代にできたものであ
る。なぜなら、それはプラスチック汚染問題を軽減する
ことができるからである。
高重合体と可塑剤とを極めてよく混合した混合物は希
なものであることは当業者には明らかであろう。可塑化
は初期物理的性質及び自然的生物分解の時間について幅
広い範囲を可能にする。
重合体中の可塑剤の量は、希望する組成物特性に依存
する。もしラクチドを可塑剤として用いると範囲は5〜
45重量%であるのが好ましいのに対し、もしラクチド又
は乳酸のオリゴマーだけを用いると、その範囲は2〜60
重量%になるであろう。驚いたことにオリゴマーは30重
量%まで添加しても実質的に抗張力或はモジュラスに実
質的な影響を与えることはない。第3図及び第4図参
照。30〜60重量%のオリゴマーを添加すると、大きな可
塑化及び物理的性質の低下を生ずる。このことは、オリ
ゴマー乳酸が高重合体乳酸よりも安いので、組成物に大
きな経済性を付与する。オリゴマーは乳酸又はどのラク
チドからでも製造できる。乳酸のオリゴマーは通常かな
りの量の乳酸を、除去しない限り含むことに注意するこ
とは重要である。このことは特定の性質を有する組成物
を配合する際に重要な考えである。当業者及び本発明の
教示を知った人は、重合体に適切な鎖長を得るための反
応条件、及び一般に用いられている包装用熱可塑剤プラ
スチックと類似した性質を持ち、然も比較的速く分解す
ることができる製造組成物を得るように重合体と可塑剤
との割合を選択することができるであろう。例えば、可
塑剤の量を多くすると増大した可撓性及び益々丈夫にな
る物理的性質を有する重合体をもたらすが、得られる劣
化速度も増大するであろう。重合体の鎖長が短いと、長
い鎖のものと同じ性質を得るためには可塑剤を少なくす
る必要があるであろう。
更に本発明の第一の態様により、式(I)を有するポ
リ乳酸の可塑化重合体である自然的に生物分解可能な組
成物を製造すめための方法が与えられる。その方法は、
一種類以上のラクチド単量体及び触媒を調製し;単量体
を重合し、その重合反応を重合が完了する前に停止させ
るのに充分な低い温度で重合体を形成し;単量体の水準
を測定して残留単量体の量を決定し;そして重合を完了
させる前に単量体の決定された量の所で反応を停止し、
予め定められた量の未反応単量体が重合体中に一緒に取
り込まれるようにすることからなる。この方法のラクチ
ド単量体は、D−ラクチド、L−ラクチド、メソD,L−
ラクチド、ラセミ体D,L−ラクチド、及びそれらの混合
物からなる群から選択される。任意に付加的可塑剤を重
合体へ配合してもよく、その場合その可塑剤は更にL−
ラクチド、D−ラクチド、ラセミ体D,L−ラクチド、メ
ソD,L−ラクチド、乳酸、乳酸のオリゴマー、ラクチド
のオリゴマー、及びそれらの混合物からなる群から選択
される。単量体の重合は129℃より低い温度で行われる
のが好ましい。可塑化重合体の最終的生成物への加工
は、可塑剤を重合体中に維持するのに充分な低い温度で
行われるのが好ましい。この温度は129℃より高くても
よい。もし付加的単量体及び(又は)オリゴマーを添加
するならば、単量体の維持は勿論絶対的に必要なことで
はない。
更に本発明の第一の態様により、式Iの重合体を製造
する方法で、一種類以上のラクチド単量体及び触媒を調
製し;単量体を重合して重合体を形成し;そして可塑剤
を別な工程で重合体中へ配合することからなり、可塑剤
がD−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド、乳酸
のオリゴマー及びそれらの混合物からなる群から選択さ
れる方法が与えられる。
本発明の組成物は、300〜20,000psiの抗張力、50〜1,
000%の破断までの伸び、20,000〜250,000psiの接線モ
ジュラスを有すべきである。ポリオレフィン代替物とし
て、組成物は少なくとも3000psiの抗張力、少なくとも2
50%の破断までの伸び、及び少なくとも50,000psiの接
線モジュラスを有するのが好ましい。
本発明の単独重合体及び共重合体は水に可溶性である
が、水と絶えず接触させておくと徐々に分解する。しか
し、本発明によって置き換えられるポリオレフィン組成
物と比較すると、分解は速い。即ち、それら重合体から
作られた使い捨て物品は、それらが無害物質へ徐々に劣
化する点で環境的に魅力のあるものである。もし本発明
の重合体から作られた物品を焼却すると、それらは奇麗
な青色の炎を挙げて燃える。
更に本発明の第一の態様により、配向可能な第一重合
体単位からなる熱可塑性組成物を、配向可能な第二重合
体でその第一重合体単位を置き換えることにより本発明
の生物分解可能な組成物へ置き換えるための方法が与え
られ、然も、前記配向可能な第二重合体は300〜20,000p
siの未配向抗張力、50〜1,000%の破断までの伸び、及
び20,000〜250,000psiの接線モジュラスを有し、前記第
二重合体は式I(式中、nは繰り返し単位の数であり、
nは整数であり、150≦n≦20,000である)の構造のポ
リ乳酸単位からなり、ラクチド、乳酸のオリゴマー、ラ
クチドのオリゴマー、及びそれらの混合物からなる群か
ら選択された可塑剤で可塑化されている。本方法はポリ
オレフィン組成物、特にポリエチレンとポリプロピレ
ン、同様にポリ塩化ビニルとポリエチレン テレフタレ
ートに対し有用である。上述したものの外に、本方法は
スチレン、酢酸ビニル、アルキルメタクリレート、アル
キルアクリレートの重合体の代替物として有用である。
列挙した群中の単量体の混合物から作られた共重合体、
及び上記群の重合体及び共重合体の物理的混合物も同様
に代替物にできることは分かる。
第二の一般的態様 ここでの第二の態様として記述する自然的に生物分解
可能な組成物は、環境上に許容出来、適合する物質へ完
全に分解することができる。分解の中間生成物は、乳酸
であり、それらは極めて多種類の生物によって容易に代
謝される広く分布した天然に産する物質である。それら
の自然の最終分解生成物は二酸化炭素と水である。少量
の他の物質、充填剤或は増量剤を含むものの如きこれら
組成物と同等の意図されたものも、適当に材料を選択す
ることにより完全に自然的に分解することができる。こ
こでの組成物は環境的に許容出来る材料を与える。なぜ
なら、それらの物理的劣化及び分解は、それらによって
置き換えられる慣用的非分解性プラスチックよりも遥か
に迅速に且つ完全に行われるからである。更に、組成物
の全て又は大部分がポリ乳酸及び(又は)乳酸から誘導
されたラクチド又はオリゴマーなので、残留物は残らな
いか、又は一層ゆっくり分解する残留物のほんの僅かな
部分しか残らないであろう。この残留物は本体生成物よ
りも大きな表面積を持ち、一層速い分解速度を持つこと
が期待されるであろう。
本発明の好ましい組成物は、式I〔式中、nは整数で
あり、75〜10,000の値を有し、α炭素はD及びL(又は
R及びS)の無作為的混合物で、純粋な鏡像体の一方が
多量になっている〕の繰り返し単位を持つ重合された乳
酸単位からなる。nが低い時、ポリ乳酸、PLAは容易に
加工できるが、nが大きい場合よりもかなり弱い。nが
かなり大きい場合、例えば、7000以上である場合、PLA
は極めて強いが、射出成形するのが困難である。nは、
溶融加工性と最終用途の物理的性質との釣り合いを最も
よくするためには約500〜3000であるのが好ましい。単
量体は、下で更に論ずるように、重合された乳酸又はそ
れらの環式二量体、ラクチドのL(又はD)/D,L−比率
で選択される。乳酸とラクチドの両方により、上で示し
た繰り返しPLA単位を得ることができるが、ラクチドが
好ましい。なぜなら、それは良好な物理的性質に必要な
高分子量を一層容易に得ることができるからである。次
の構造: を有するラクチドは非対称な二つのα炭素を有するの
で、三つの型のラクチド、即ち、D,D−(又はD−);L,
L−(又はL−);及びメソD,L−ラクチドが存在する。
D−ラクチドは、D−乳酸のジラクチド、又は環式二
量体である。同様にL−ラクチドはL−乳酸の環式二量
体である。メソD,L−ラクチドはD−及びL−乳酸の環
式二量体である。ラセミ体D,L−ラクチドは、D−ラク
チドとL−ラクチドとの50/50混合物からなる。ここで
単独で用いた時の用語「D,L−ラクチド」はメソD,L−ラ
クチド又はラセミ体D,L−ラクチドを含むものとする。
ここで用いられる用語、分散とは、材料が重合体と均質
によく混合されていることを意味する。
純粋なL-PLAは加工特性が悪く、容易にひびが入り不
透明になる。純粋D,L-PLAは容易に加工できるが、適切
なOPS代替物になるのに充分な堅さをもたない。本発明
の好ましい態様として、L−ラクチド/D,L−ラクチドの
共重合体比は85/15〜95/5、好ましくは90/10である。95
/5より大きな比率では、共重合体は亀裂を生ぜずに熱成
形するのが難しく、室温で容易に不透明になる。85/15
より低い比率では、ラクチド共重合体はOPS代替物に望
ましいモジュラスより低いモジュラスを示す。これらの
限界内では、共重合体はプラスチック技術で典型的な製
造/加工装置中で溶融物から急冷され、無色透明で極め
て堅いフイルム及び成形物を与える。上記形成されたま
まのそれらの性質はOPSの性質に非常に似ている。
本発明の別の利点は、全ての乳酸共重合体に、安価な
供給原料を用いることができることである。澱粉及び穀
物からのコーンシロップは、微生物により発酵してL−
又はラセミ体D,L−乳酸になる。ラセミ体D,L−乳酸は、
エチレンを酸化してアセトアルデヒドにし、それをシア
ン化水素と反応させてラクトニトリルを形成し、それを
加水分解してラセミ体D,L−乳酸にすることにより容易
に得ることができる。ラクチドは乳酸を蒸留することに
より簡単に得られる。通常の蒸留/縮合法による乳酸か
らラクチドへの転化では、非対称炭素の立体化学に変化
は起きない。
L−ラクチドとD,L−ラクチドとの反応をここでは論
ずるが、L−ラクチドを特に用いた反応はD−ラクチド
を用いてもよいことは理解されるべきである。例えば、
ここに記載する方法によるD−ラクチドとD,L−ラクチ
ドとの反応は、同等の生成物を与え、唯一の相違点は、
異なった方向に光を回転すると言うことだけである。
本発明の共重合体は、単量体の混合物を加熱して均質
な溶融物を形成し、触媒を添加してラクチドを開環重合
させることにより形成するのが好ましい。重合は、窒素
又はアルゴンの如き不活性無水雰囲気中、又は真空中で
行われるのが好ましい。適当な触媒には、第一錫オクト
エート、酢酸亜鉛、酢酸カドミウム、酢酸アルミニウ
ム、又はブタン酸アルミニウム、塩化錫、安息香酸錫、
及び酸化アンチモンの如き二価の金属酸化物及び有機金
属化合物が含まれる。触媒の必要量は単量体に基づき約
0.02〜2重量%の範囲にすることができる、約0.2%で
あるのが好ましい。共重合体の分子量及び溶融粘度は触
媒及び(又は)グリコール酸の如き鎖移動剤の量により
調節することができる。重合の反応温度は約100〜200℃
である。最も僅かな色の発生は140℃より低い温度で起
き、重合速度は135℃より高い時に最もよい。ラセミ体
D,L−ラクチドは127℃で溶融するので、127℃より高い
温度で重合させるのが単量体から重合体への転化に最も
よい。
OPS代替物として透明性が要求される場合、本発明の
共重合体は、一般に125〜150℃の範囲にあるそれらの融
点よりも高い温度で不活性雰囲気中で重合される。溶融
したラクチド共重合体を重合装置から糸或は棒の形に押
出し、急冷し、ペレット化し、後の成形及び押出し操作
で用いるために袋中に保存する。
同様に、共重合体の融点より高い温度で成形及び押出
し、製造された物品を速く冷却することにより、熱成形
された包装用フイルム及び成形物品の透明性が得られ
る。その後、共重合体はそれらのガラス転移温度Tgより
高く、融点Tmよりは低い温度で数時間加熱しない限り、
透明なままである。熱成形したシート、板、フイルム、
及び成形物品をゆっくり冷却すると、共重合体中に球状
結晶を生じ、それは製造物品の熱安定性をよくするが、
透明性を幾らか失わせる。安息香酸ナトリウム、乳酸カ
ルシウム等の如き核生成剤も実質的な結晶化を迅速に惹
き起こすことがある。共重合体をそのTgとTmとの間で適
度の量延伸すると重合体分子の配向を起こし、透明性を
失うことなく物理的性質を実質的に改良することができ
る。
異なった種類のラクチド重合体又は共重合体を混合す
ることにより、物理的性質を実質的に変化させることが
できる。一例として、高融点L−ラクチド重合体と低融
点ラクチド共重合体とを混合することにより、透明性を
維持するのに充分な量及び種類の結晶を有する透明材料
を与えることができる。成形されたフイルムの透明性、
大きな固さ、高い熱変形温度、熱加工性、自然的生物分
解性は希な性質の組合せであることが当業者には認めら
れるであろう。例えば、最終的配合熱可塑性プラスチッ
クの加工性及び最終的性質について広範囲の選択が行え
るように、重合体を混合し、更には核生成させ、配向
し、分子量制御を行うことができる。
本発明の共重合体は湿分の存在で加水分解されて乳酸
へ戻る。外囲空気及び湿分の存在下で、加水分解は約12
〜18カ月で顕著になる。共重合体は次に粘着性で幾らか
不透明になり、そして非常に脆くなる。水中に浸漬して
おくと、共重合体は、組成、分子量、外囲温度、表面対
体積比、共重合体がおかれている特定の水性環境によ
り、1〜4カ月で明白な加水分解効果を示す。更に微生
物が乳酸を二酸化炭素と水へ還元する。おおよその尺度
として、共重合体は数カ月の保存寿命を有するが、完全
に湿潤させておくと約1年以内に消失する。
次の実施例は本発明を単に例示するものである。実施
例1B〜7Bでは、一連の組成物が製造され、評価されてい
る。従来法とは対称的にL−ラクチド/D,L−ラクチド共
重合体の加工特性及び物理的性質に明確な差があること
が発見されている。
実施例1B 乾燥した500mlの丸底フラスコ中に、16gのL−ラクチ
ド〔プラク社(Purac,Inc)、「三つ星(triple-sta
r)」級〕及び40gのラセミ体D,L−ラクチド〔プラク
社、「三つ星」級〕を入れた。この混合物を、ストッパ
ーの入口及び出口を通して連続的に窒素を流しながらス
トッパー下で123〜129℃で約1時間加熱した。単量体は
透明な溶融物を形成し、それはその溶融物に渦巻きを生
じさせて完全に混合した。触媒溶液を共沸蒸留により調
製し、乾燥した。即ち、10mlの第一錫オクトエート〔ポ
リサイエンシズ社(Polysciences,Inc.)〕を60mlのト
ルエンに溶解した。微量の水と共に10mlのトルエンを、
乾燥用管を通して通気されたディー・スタルクトラップ
へ蒸留した。0.20mlの第一錫オクトエート溶液をピペッ
トで溶融物中へ入れ、完全に混合した。窒素による追い
出しを続け、溶融物は次の3時間で次第に粘着になっ
た。加熱を123〜127℃で20〜24時間継続した。混合物を
室温へ冷却し、フラスコを更にシールドの後ろから液体
窒素で冷却した。ガラスを粉砕し、軽くたたいて重合体
から取り出した。共重合体は無色透明で、表1Bで示した
一連の試験で評価した。後の引張り試験のため、加熱水
圧プレス中で170℃でフイルムを圧搾成形した。ASTM D2
56、刻み目付きアイゾット衝撃試験及びASTM D648、熱
偏向温度による試験のために1/8in厚さの板を成形し
た。ガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm、発熱の中心)
を示差熱分析(DSC)により評価した。
実施例2B〜7B 実施例1Bの手順を繰り返した。但しL−ラクチドとラ
セミ体D,L−ラクチドとの比率を、試験結果を示した表1
Bに記載したように変化させた。純粋L−ラクチド重合
体、実施例7Bは、170〜200℃では必ずしもよく成形され
なかった。なぜなら、それは型中で冷却すると屡々ひど
く亀裂を生じたからである。それは冷却すると屡々不透
明になった。
実施例8B 実施例4B及び5Bと同様に、90/10重量比のL−ラクチ
ド/ラセミ体D,L−ラクチド共重合体を製造した。窒素
追い出しをした乾燥2lフラスコ中に1045.8gのL−ラク
チド及び116.4gのラセミ体D,L−ラクチドを入れた。1.0
mlの無水第一錫オクトエート溶液(トルエン1ml当たり
0.2ml)を添加した。フラスコを一晩窒素で追い出し、
次に単量体が溶融するまで141℃の油浴中で加熱し、よ
く混合し、加熱をゆっくり125℃へ低下させ、72時間継
続した。冷却すると重合体は徐々に白色になった。ガラ
スを取り除いた後、曇った無色のガラス状共重合体を評
価した。ゲル透過クロマトグラフにより、522,000の重
量平均分子量(Mw)及び149,000の数平均分子量(Mn)
が得られた。
ラクチド重合体のDSCは、145℃の強いTmを現してい
た。第10図参照。ラクチド重合体を溶融し、急冷し、再
びDSCで調べたが、結晶化又は融点は現れなかった。し
かし、Tgは約50〜55℃で現れた。この結果は重合体がそ
の熱履歴により結晶質になったり或は無定形になったり
することを示している。
実施例9B〜12B 一連の組成物を実施例1Bの手順を用いて引き伸ばし
た。但し別のL−ラクチドとラセミ体D,L−ラクチドの
比率を用い、加熱は125℃で2時間、125〜147℃で14時
間、次に147〜131℃で2時間であった。結果を表2Bに示
す。
上記実施例の結果は、或る組成物だけがOPS代替物に
必要な性質を有することを示している。OPS状材料のた
めの主要な条件は、透明で無色であること、7000psiよ
り大きな抗張力、400,000psiより大きな接線モジュラス
(堅さ尺度)及び環境条件によく作用される熱可塑性を
もつことである。表3Bは結晶ポリスチレン(OPS)と、8
7.5重量%のL−ラクチド及び12.5重量%のラセミ体D,L
−ラクチドのランダム共重合体との幾つかの比較を並べ
て列挙したものである。
実施例13B 実施例2Bの共重合体を成形し、数回再成形して、フイ
ルム中に色が発生するか否か及び分子量が大きなままで
いるか否かを決定した。このことは、実際的製造にとっ
て重要な考慮すべき点であり、その共重合体がリサイク
ルできるか否かを決定するものである。表4Bの結果は、
共重合体を上昇させた温度で空気に繰り返し露出したに
も拘わらず、加熱及び成形を繰り返した後でも完全に透
明なままであることを示している。
実施例14B〜18B 実施例2B、3B及び6Bの共重合体を約20〜30ミルの厚さ
のフイルムへ圧搾成形し、加熱インストロン試験器に入
れ、フイルムを83℃で0.5ain/分の速度でそれらの長さ
の5倍に延伸した。フイルムをインストロンから取り出
して急冷すると、厚さが約5ミルであることが判明し
た。それらは無色透明であった。引張り特性を評価し、
表5Bに列挙してある。それらの長さを8〜10倍に延伸す
るとフイルムは曇りを発生し、幾らか透明性を失うこと
により、結晶が形成された証拠を示していた。
結果は、OPS代替物に適切な堅さ及び透明性を有する
非常に薄いフイルムを作ることができることを示してい
る。従って、ポリスチレンに比べてラクチド共重合体の
密度が高いにも拘わらず、丈夫なOPS代替物のために少
ない材料を使用することができる。
実施例19B 第1B表のラクチドの共重合体のフィルムを数箇月間水
の中に浸漬した。共重合体は約2か月間は透明なままで
あった;3か月後には僅かな曇りが現れた。湿った空気中
で頻繁に取り扱う棚の上に載せて置いたとき、フィルム
はインストロンデータが数箇月後には強度と伸びにゆっ
くりした低下を示すであろうが約1年間は大きな変化が
ないままであった。埋立地では、埋めたフィルムは埋立
地の湿気、pH、温度、組成、表面対容量比、および生物
活性に依存して6か月〜2年で消滅した。どのフィルム
もきれいな青い炎をもって燃焼した。
実施例20B 実施例5Bのラクチド共重合体(急冷した圧縮成形フィ
ルム)をDSCによって試験したところ、約130℃での結晶
化度が2%未満であった(第5図参照)。実施例5Bの共
重合体の厚さ1/8インチのサンプルを185゜Fをオーブンで
16時間熱処理した。サンプルは曇りを生じサンプルのDS
C(第7図参照)は結晶化度の明かな増加を示した。サ
ンプルは264psi加熱撓み温度(HDT)が90〜95℃であっ
た。熱処理しなかった類似サンプルはそのTgに相当する
50〜55℃の加熱撓み温度を示した。
実施例21B 乳酸カルシウム5重量%を、加熱ミルロールで実施例
5Bのラクチド共重合体と、1707℃で約5分間ブレンドし
た。このブレンドをロールからシートとして剥ぎ取り試
験した。それは剛性であり、強度があり、かつ曇ってい
た。82倍の光学顕微鏡検査では数μ〜30μのサイズ範囲
の異質ドメインがあらわれた。DSCは約145℃において結
晶化度の実質的増加を示し(第8図参照)、それは急冷
し再加熱してもそのままであった。これら結果は実施例
8Bと20Bと21Bを比較すると、核剤がラクチド共重合体の
結晶化度の誘発にとってより刺激的かつ効率的であるこ
とを証明している。カルボン酸の塩のような核剤を使用
してもよく、乳酸の塩が好ましい。
実施例22B 機械撹拌機と窒素入口および出口を装備した500mlの
三つ口丸底フラスコに180.7gのL−ラクチドと40.2gの
ラセミD,L−ラクチド[両者とも、ボリンガー・アンド
・インゲルハイム(Boehringer and Ingelheim)製グレ
ードS]を装填した。フラスコの内容物を窒素掃引下で
110℃に加熱してラクチドを溶融し、そして20.1gのポリ
スチレン[アモコ(Amoco)R3、ミルトインデックス3.5
g/10分]を添加した。加熱を185℃に上げながら一晩撹
拌することによってポリスチレンは高度に膨潤し部分的
に溶解した。温度を141℃に下げ、そして0.2mlの無水オ
クタン酸第一錫溶液(0.2ml/トルエン1ml)を添加し
た。撹拌機を止め、そして141℃で3日間、ラクチドを
重合させた。高度に膨潤したポリスチレンは撹拌機の停
止後には表面に浮遊した。それより下方のポリラクチド
の相を冷却し、そしてDSCによって検査した。このサン
プルは低いTg、約35℃を有し、またそうでなくても明白
な温度転移を欠いていた。圧縮成形したフィルムは透明
で、無色で、かつ、非常に可撓性であった。これら結果
はポリスチレンが結晶化生成を完全に阻止したことを意
味している。
実施例23B 実施例8Bのラクチド共重合体と実施例7Bで製造したL
−ラクチド単独重合体20重量%をミルロールでブレンド
した。単独重合体のサンプルをDSCで分析した(第11図
参照)。ブレンドサンプルはDSCで検査したところ、59
〜63℃のTgと、150℃および166℃での強いTmを有してい
た(第12図参照)。フィルムはプレス後の冷却速度に依
存して透明乃至僅かに曇っていた。急冷したサンプルは
約80〜90℃に加熱したときには容易に結晶化した。結果
として、ブレンドの加熱撓み温度は実に高くなった。ブ
レンドは80〜90℃で曇ったが、ブレンドしなかった90/1
0共重合体を撓ませるような加熱によっても撓むことが
なかった。第6B表に示した引張データは配向してない圧
縮成形フィルムについて得たものであり、同様にポリス
チレンについて得たデータと比較されている。
この実施例は共重合体の性質を改善してポリスチレン
に似た有益な性質を具現化させるためには溶融ブレンド
が優れた方法であるということを例証している。重合体
とブレンドされるL−ラクチド(またはD−ラクチド)
系単独重合体の量が高くなると、加熱撓み温度が高くな
るが、曇り度も増加する。従って、単独重合体の添加は
透明度を維持しながらポリスチレンに似た性質を増加さ
せるための別の方法と組み合わされてもよい。
別の例として、重合体から製造したフィルムを配向す
ることは引張性質を向上させる。8〜10倍の延伸では、
物理的性質はなお向上するが、材料は曇ってくる。従っ
て、配向度は制御される必要があり、かつ、ポリスチレ
ンに似た最適特性を達成するための他の性質改変方法と
組み合わされる必要がある。
実施例24B〜27B 実施例24B〜27Bは制御された量の連鎖移動剤を用いて
のラクチドの重合であり、グリコール酸のような連鎖移
動剤を使用して分子量を制御できることを実証する。結
果は第7B表に示されている。連鎖移動剤の量と重量平均
分子量の逆数との間には直線に近い関係がある。好まし
い連鎖移動剤は乳酸である。
実施例28B 実施例2Bのラクチド共重合体の4.0ミルの圧縮成形フ
ィルムをASTM法によってバリヤフィルムとして評価し
た。結果は第8B表に示されている。ラクチド共重合体は
ポリスチレンよりもはるかに優れた、二酸化炭素および
酸素に対するバリヤである。他の幾つかのバリヤフィル
ムと比較したとき、ラクチド共重合体は多数の包装分野
にとって適切なバリヤフィルムであった。
実施例29B 実施例1B〜6Bのラクチド共重合体の厚さ1/8インチの
シートを石油エーテルと塩化メチレンの混合液中に一晩
浸漬した。石油エーテル/塩化メチレンの70/30〜60/40
の比では、共重合体は沸騰水中に入れたときに発泡する
ものである。不規則ではあるが十分に発泡した発泡体が
形成されるはずである。
実施例30B 市販の結晶ポリエステル(タイプ210、ハンツマンケ
ミカル社)と実施例8Bのラクチド重合体を溶融粘度につ
いて比較した。ポリスチレンのメルトインデックスASTM
D1238(G)は標準荷重5kgを使用して200℃で1.6g/10
分であった。ラクチド重合体のメルトインデックスは同
一条件下で40〜60g/10分であったが、160℃での値は8.0
g/10分であった。より詳細な溶融粘度の比較は2つの重
合体の溶融粘度をインストロン細管粘度計で観測するこ
とによって得た。比較結果は第9図に示されている。押
出および射出成形中に通常遭遇するせん断速度は約100
〜1000秒-1である。第9図のデータを検討することによ
って、160℃におけるラクチド重合体の溶融粘度は200℃
におけるポリスチレンのそれに非常に良く似ていること
がわかる。
上記結果はラクチド重合体がポリスチレンより低い温
度で、非常に良く似た方法によって、溶融加工できるこ
とを示している。
実施例31B〜34B 精製した(再結晶化し、そして乾燥した)メソラクチ
ド(メソD,L−ラクチド)の小規模な試験重合を、単独
重合体および共重合体として行った。分子量はGPCによ
って求め、そしてD,L−ラクチドの同類物と比較した。
結果は第9B表に提示されている。これら重合体を溶融プ
レスしてフィルムにし、それらの物理的性質を測定し比
較した。それが第10B表に示されている。シート厚さお
よび分子量の実験上の差異の範囲では、これら共重合体
は実験誤差内で似ていた。メソラクチドの単独重合体は
やや弱かった。
本発明の第二の態様の組成物の総合的記述は式I(式
中、nは75〜10,000の整数であり、そしてα炭素はD−
またはL−どちらかの単位が優勢であるL−配置とD−
配置の混合物である)の構造の重合した乳酸単位からな
る環境下生分解性重合体を包含し、その重合体はポリス
チレンの代替用に適している。重合体のD−およびL−
単位は好ましくは、85〜95重量部はL−ラクチドまたは
D−ラクチドから、そして15〜5重量部はD,L−ラクチ
ドから製造される。
ポリスチレンの性質により似た改善された性質をもつ
環境下生分解性組成物は式I(式中、nは75〜10,000の
整数であり、そしてα炭素はD−またはL−どちらかの
単位が優勢であるL−配置とD−配置のランダム混合物
である)の構造の重合した乳酸単位と、D−ラクチドま
たはL−ラクチドのラクチド単独重合体との物理的混合
のブレンドからなる。150〜10,000の整数に等しいnを
有する組成物は強度と溶融加工性とが良くバランスされ
ている。
第二態様の組成物を製造する方法についての一般的記
述は触媒と混合し、加熱し、そしてL−ラクチドまたは
D−ラクチド単量体およびD,L−ラクチド単量体を溶融
することによってL−ラクチド単量体またはD−ラクチ
ド単量体が85〜95重量部の量でありD,L−ラクチド単量
体が15〜5重量部の量である均一溶液を生成し;その溶
液を重合し;そして重合体を処理して、ポリスチレン代
替用として適する重合体を製造するように、その諸性質
を改質することからなる。組成物の諸性質は核剤を添加
することにより;D−ラクチドまたはL−ラクチド単独重
合体をブレンディングによって添加して物理的混合物を
生成することにより;重合体を配向することより;核剤
およびD−ラクチドまたはL−ラクチド重合体をブレン
ディングによって添加することにより;核剤およびD−
ラクチドまたはL−ラクチド重合体をブレンディングに
よって添加し、そして重合体を配向することにより;ポ
リスチレン代替向きに特性を調節するように連鎖移動剤
を重合工程に添加し、高温で熱処理し、そしてD−ラク
チド、L−ラクチド、メソD,L−ラクチド、乳酸、ラク
チドオリゴマー、乳酸オリゴマー、およびそれらの混合
物からなる群から選ばれた追加可塑剤を添加することに
より調節されてもよい。単量体が可塑剤として選ばれる
場合には、組成物中のポリラクチドを得るために使用さ
れたものとは立体的に異なる単量体を添加することによ
って独特の組成物を得てもよい。同様に、重合体の重合
中に得られるであろうものとは立体的に異なるオリゴマ
ーの添加は独特の生成物をもたらす。カラー体質は重合
を不活性雰囲気中でかつ好ましくは140℃以下の反応温
度で遂行することによって排除できる。本発明の教示を
知った後の当業者にとって明らかになるであろうような
最適特性を得るためには上記処理の様々な組合せが使用
できる。
上記第一の態様で認識することができるように、高量
の単量体またはオリゴマーは有意な影響を与えることが
できる。この第二の態様においては、剛性を付与するに
は少ない量の単量体およびオリゴマーが好ましい。0.1
〜5%の量で存在する可塑剤が好ましい。通常、組成物
は可塑剤を、重合条件または重合後に添加される量に依
存する量で含有している。可塑剤として使用される追加
単量体はD−ラクチド、L−ラクチド、ソメD,L−ラク
チド、ラセミD,L−ラクチド、およびそれらの混合物か
らなる群から選ばれてもよい。ラクチドまたは乳酸のオ
リゴマーが添加されてもよい。組成物中の重合体用に選
ばれるものとは立体的に異なる単量体またはオリゴマー
の添加によって独特の組成物が得られる。
本発明の第二の態様によってさらに提供されるのは、
熱可塑性組成物を本発明の生分解性組成物で置き換える
方法である。この場合、熱可塑性組成物は第一の配向可
能なポリスチレン単位からなり、この第一の重合体単位
が、少なくとも5,000の未配向引張強さと少なくとも20
0,000の接線モジュラスを有する第二の配向可能な重合
体によって置き換えられる;この第二の重合体は式I
(式中、nは反復単位の数であり、75≦n≦10,000の整
数であり、そしてα炭素はD−単位またはL−単位どち
らかが優勢であるL−配置とD−配置の混合物である)
の構造のポリ乳酸単位からなり、この重合体はL−また
はD−ラクチド85〜95重量部とD,L−ラクチド15〜5重
量部から製造され、そしてラクチド、乳酸のオリゴマ
ー、ラクチドのオリゴマー、およびそれらの混合物から
なる群から選ばれた可塑剤0.1〜5.0重量%によって可塑
化されている。
本発明の組成物の均等物として意図されるものは他の
物質を少量含有するものである。本発明に従って製造さ
れる組成物は望むならば、交叉結合剤、他の可塑剤、着
色剤、充填剤などの添加によって、改質することができ
る。
ここでは組成物は溶融成形加工によって、使い捨て容
器、食器、トレー、プレート、飲用カップ、シングルサ
ービングトレー、注射器、医用トレー、パッキングフィ
ルムなどのような自己支持性構造を有する有効な製品に
加工できる。この組成物は通常のポリスチレンの特性を
有することが可能であるのでそれに取って代わることが
でき、それでいて環境中で分解するという点で有用であ
る。この組成物は一度しか使用しない製品や捨てる迄の
使用の予想寿命が短い製品に特に有効である。
第三の一般的態様 第三の態様はポリ乳酸(PLA)をポリスチレン(P
S)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、およびポリプロピレン(PP)とブレンドす
ることを開示する。この態様はポリ乳酸がそれら慣用熱
可塑性樹脂と溶融混和性であるということ及びそれらの
物理的性質に対する効果を開示するものである。
ここに開示された環境下分解性組成物は少なくとも一
部分解性である。即ち、この組成物のポリ乳酸部分はブ
レンド中のより安定な部分に比べて比較的迅速に分解し
ブレンド材料の物理的劣化を生じさせる。例えば、組成
物が小ドメインサイズの均一かつ均質なブレンドである
場合、物理的劣化は元の成形品を破壊する。ここで、こ
の組成物はその物理的劣化および崩壊が従来の非分解性
プラスチックよりもはるかに急速であるので環境上許容
できる材料を提供する。さらに、この組成物のかなりの
部分がポリ乳酸および/または乳酸由来ラクチドもしく
はオリゴマーであることが可能であるので、少量部分の
もっと遅く分解する熱可塑性残余(たとえばポリスチレ
ン)だけが残る。この残余は大きな表面積を有するであ
ろうので、成形品本体よりも速く分解することが期待さ
れる。
D−ラクチドはD−乳酸のジラクトンすなわち環状二
量体である。同様に、L−ラクチドはL−乳酸の環状二
量体である。メソD,L−ラクチドはD−乳酸とL−乳酸
の環状二量体である。ラセミD,L−ラクチドはD−ラク
チドとL−ラクチドの50/50混合物からなる。ここで単
独で使用されるとき、用語「D,L−ラクチド」はメソD,L
−ラクチドまたはラセミD,L−ラクチドを包含すること
を意図している。ポリ乳酸は上記の一つまたはそれ以上
から製造されてもよい。
実施例1C 最適混和性を決定するために、ポリスチレンとポリ乳
酸をCH2Cl2から溶液ブレンドし、そして溶液流延した。
溶液流延フィルムは半透明であり、そして「非チーズ
様」に見えた。サンプルは肉眼には均質に見え、そして
割けることなく折曲げおよび取扱いに対して抵抗性であ
った。310倍の光学顕微鏡検査は3μ以下の異質ドメイ
ンを示した。このブレンドは非常に混和性であるようで
あった。それは2年の間、不安定物質の「ブルーミン
グ」に関する変化を示さず、しかも、その物理的性質は
崩壊の徴候を示さなかった。
実施例2C ポリプロピレン8525(ハーキュリーズ)を同様にブラ
ベンダー(Brabender)で400゜Fでポリ乳酸と溶融ブレン
ドした。用意したPP/PLAの比は対照用100/0と、90/10
と、75/25であった。
実施例3C〜5C 溶融ブレンドをポリ乳酸とポリスチレンとから製造し
た。高分子量ポリスチレン(ピコラスチックE-125、ハ
ーキュリーズ)および低分子量ポリスチレン(ピコラス
チックD-100)の両方について試験した。さらに、汎用
ポリスチレン[ハンツマン(Huntsman)ポリスチレン20
8)、結晶ポリスチレンも使用した。これらはブラベン
ダーで325゜Fでポリ乳酸と様々な比率で混合された。
ハンツマン208汎用ポリスチレンについては、使用し
たポリスチレン/ポリ乳酸の比は対照用の100/0と、90/
10と、75/25であった。
実施例6C〜7C 2つのタイプのポリエチレンテレフタレート(グッド
イヤー社の「クリアスタッフ」と、イーストマン社のコ
ダパックTN-0148)を使用した。これらを90℃で一晩乾
燥し、そしてブラベンダーで525゜Fで数分間でポリ乳酸
と溶融ブレンドした。ポリ乳酸は溶融粘度を低下させ
た。
実施例8C〜16C 実施例2C〜7Cからのポリプロピレン、汎用ポリスチレ
ン、およびポリエチレンテレフタレート(イーストマン
社製)について対照物およびブレンド物をアッベイ錬磨
機で錬磨し、そして約5ミルのフィルムに圧縮成形し
た。ポリプロピレン−ポリ乳酸フィルムは約400゜Fで成
形され;ポリスチレン−ポリ乳酸フィルムは250〜300゜F
で得られ;ポリエチレンテレフタレート−ポリ乳酸フィ
ルムは約525゜Fで成形された。それらを相対湿度50%お
よび23℃で24時間コンディショニングした後にインスト
ロンで試験した。対照物も同様に処理した。圧縮成形フ
ィルムのサンプルを耐候性について評価するためにアト
ラス社製ウェザロメーターにセットした(日照で102分
と雨で18分のサイクル)。これら実施例の結果は第1C表
に示されている。
実施例17C〜19C ポリ(D,L−乳酸)を使用して100%ポリ乳酸のサンプ
ルを3つ、上記のように、但し10〜15ミルのフィルム厚
さで製造した。試験を下記実施例20C〜27Cと同じように
実施した。但し、第二サンプルは72゜Fで50%の相対湿度
に82時間曝した後に試験した。
実施例20C〜27C 高密度ポリエチレンHDPE(0.960g/cc)とポリ乳酸を
ブラベンダープラスチコーダーで151℃で10分間溶融ブ
レンドした。高密度ポリエチレン/ポリ乳酸のブレンド
比は対照用の100/0と、80/20と、50/50を使用した。各
々につきサンプルを2つ製造した。ブレンドをアッベイ
錬磨機で錬磨し、そして10〜15ミルのフィルムに圧縮成
形した。フィルムは51分間の炭素アーク光と9分間の散
水に設定したアトラス社製ウェザロメーターで試験し
た。温度は周囲温度から140゜Fまで変動させた。サンプ
ルに対して、引張強さ、降伏までの伸び試験および引張
破損の等級付けを実施し、そして第2C表に示した。
実施例28C〜33C 低密度ポリエチレンLDPE(0.917g/cc)とポリ乳酸を
ブラベンダープラスチコーダーで151℃で10分間溶融ブ
レンドした。低密度ポリエチレン/ポリ乳酸のブレンド
比は対照用の100/0と、90/10と、50/50を使用した。各
々についてサンプルを2つ製造した。サンプルを実施例
20C〜27Cの場合と同じように処理し試験した。結果は第
2C表に示されている。
実施例34C 機械的撹拌機と窒素入口および出口を装備した500ml
の三つ口丸底フラスコに、180.7gのL−ラクチドと、4
0.2gのラセミD,L−ラクチド(両方とも、ボリンガー・
アンド・インゲルハイム製のグレードS)を装填した。
フラスコの内容物を窒素掃引下で110℃に加熱してラク
チドを溶融し、そして20.1gのポリスチレン(アモコR
3、メルトインデックス3.5g/10分)を加えた。一晩撹拌
し加熱を185℃に上げる間に、ポリスチレンは高度に膨
潤し、そして部分溶解した。温度を141℃に下げ、そし
て0.2mlの無水オクタン酸第一錫溶液(0.2ml/トルエン1
ml)を加えた。撹拌機を止め、そしてラクチドを141℃
で3日間重合させた。高度に膨潤したポリスチレンは撹
拌機が停止した後には表面へと浮遊した。それより下方
のポリラクチド相を冷却し、そして示差走査熱量計(DS
C)によって試験した。サンプルは約35℃の低Tgを有し
ており、そしてそうでなくても明白な温度転移を欠いて
いた。圧縮成形フィルムは透明、無色で、かつ非常に可
撓性であった。これら結果はポリスチレンがこれら条件
下での結晶化生成を完全に阻止したことを表わしてい
る。
実施例35C ポリ乳酸と結晶ポリスチレンをミルロールでブレンド
した。このブレンドはポリ乳酸中に分散されたポリスチ
レンの優れた混和性を提示した。従って、5重量%のポ
リスチレンが170℃で2本ロールミルで90/10比のL−/
ラセミD,L−ラクチド共重合体の中に分散された。この
材料は熱分析によって曇りを生じ、かなりの結晶化度を
示した。この実施例はこれら条件下でポリスチレンが容
易にポリ乳酸に結晶化を誘発させることを実証してい
る。この材料の熱分析(第13図参照)はこの材料が加熱
され冷却されたときにさえ結晶質を維持することを表し
ている。
実施例34Cおよび35Cはここで環境下非分解性プラスチ
ックとブレンドしたポリ乳酸が混合またはブレンドに使
用された技術に依存して混合物に最終性質をもたらすこ
とができるということを例証している。
全てのタイプのブラベンダー溶融ブレンドは10μ以下
の小さな異質粒子サイズを示した。引張強さは模擬屋外
暴露の前および後に測定した。アトラス製ウェザロメー
ターで1248時間(52日)経過後には、全てのポリプロピ
レンサンプルは白化し、極めて脆く、そして試験不可能
になっていた。ポリプロピレンサンプルは第1C表に示さ
れているように短い間隔で再試験した。アトラス製ウェ
ザロメーターでの約300時間の屋外暴露で、サンプルは
有意な環境下分解を示した。
ポリ乳酸によるポリスチレンブレンドは300時間の模
擬屋外暴露後に見られた環境下分解を示した。ポリエチ
レンテレフタレートブレンドも約300時間で目に見えて
環境下分解を生じた。
ポリ乳酸、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン
およびそれらのブレンドを模擬屋外暴露の前および後で
物理的強度について試験し、結果を第2C表に示した。
ポリ乳酸およびそのブレンドは純な低密度または高密
度ポリエチレンよりもはるかに環境下分解性であった。
高密度ポリエチレンサンプルは重量損失なしで実質的に
分解したが、高密度ポリエチレン−ポリ乳酸ブレンドは
重量損失を示した。特に、顕微鏡検査はポリ乳酸がフィ
ルムの表面に露出していることを示した。顕微鏡検査に
よって示されるように高密度ポリエチレンは化学作用光
に暴露されることによって分解した。
全てのサンプルで、ポリ乳酸の割合が増加すると模擬
屋外暴露の前および後の引張強さが減少した。ポリ乳酸
の導入はポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン
テレフタレート、および高密度および低密度ポリエチレ
ンのブレンド物での速い分解を誘発させた。多分、化学
作用光ならびにポリエステルの加水分解が重合体を分解
させる。ブレンド中の小さなサイズの球形の微細異質ド
メインは疑いもなくポリ乳酸であり、それは大抵は埋め
込まれている。従って、ポリ乳酸の加水分解はゆっくり
である。加水分解による速い分解はポリ乳酸の位置を制
御することによって達成できる。転じて、これは溶融ブ
レンディング中のブレンドのレオロジーに関係する。分
散された異質ドメインの小さなサイズは混合重合体の良
好な混和性を意味している。
光が排除されている模擬埋立地においては、対照物も
ブレンド物もはるかに遅い分解速度を示した。加水分解
だけでは、ポリ乳酸サンプルはゆっくり白化し、他方、
ブレンドは試験した期間では定性的に変化しなかった。
逆に、たとえば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リエチレンテレフタレート、高密度および低密度ポリエ
チレンを使用しての混和性ブレンドを生成するためのポ
リ乳酸への少量の非分解性熱可塑性樹脂の添加はポリ乳
酸の分解速度を遅延させる。好ましい組成範囲はポリ乳
酸80〜99重量%である。
一般的に記述すると、この環境下分解性組成物はポリ
乳酸(ポリラクチド)と、エチレンテレフタレートの重
合体、スチレン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、
酢酸ビニル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキ
ルの重合体または共重合体、およびそれらの物理的混合
物からなる群から選ばれた重合体との物理的混合のブレ
ンドからなる。その他の可能な組成のブレンドは下記の
本発明の方法の態様の記述中に列挙されている。
ブレンドは好ましくは、式I(式中、nは75〜10,000
の整数である)のポリ乳酸と;ポリスチレン、ポリエチ
レン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリプロピ
レンからなる群から選ばれた重合体との物理的混合を使
用するが、その他の組成物もさらに後述されている。好
ましい組成物はポリ乳酸が組成物の5〜50重量%を構成
するものである。好ましい組成物は10〜20重量%のポリ
乳酸含量を有する。
添加重合体を成す上記群から選ばれる重合体は単独で
または組合せで使用できる。群は上記のものに制限され
るものはない。何故ならば、他のタイプの重合体もポリ
乳酸と混和性であると認められるからである。これらは
エチレン、プロピレン、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビ
ニル、メタクリル酸アルキル、およびアクリル酸アルキ
ルの群から成る重合体および共重合体を包含する。ここ
で使用される用語「共重合体」は列挙された群の中の単
量体の混合物から製造された重合体を包含する。上記群
の重合体および共重合体の物理的混合物も同様に本発明
に有効である。
第三の態様はさらに、組成物の製造方法を提供する。
その方法はポリ乳酸を用意し;エチレンテレフタレート
の重合体、スチレン、エチレン、プロピレン、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸ア
ルキルの重合体または共重合体、およびそれらの物理的
混合物からなる群から重合体を選び;そして重合体をブ
レンドすることを含む。ブレンディングはミルロール上
での溶融ブレンドによってもよいし、または押出機中で
の配合によってもよいし、またはその他の機械的手段に
よってもよい。用意するポリ乳酸は好ましくは式Iを有
する。
それはさらに本発明の組成物を製造する方法を提供す
る。その方法はD−ラクチド、L−ラクチド、メソD,L
−ラクチド、ラセミD,L−ラクチド、およびそれらの混
合物からなる群から選ばれたラクチドを用意し;スチレ
ン、エチレン、エチレンテレフタレート、プロピレン、
塩化ビニル、酢酸ビニル、メタクリル酸アルキル、アク
リル酸アルキルの重合体または共重合体、およびそれら
の物理的混合物からなる群から重合体を選ぶことを含
む。選ばれたラクチドと重合体を混合し、そして加熱し
てラクチドを溶融し、かつ重合体を少なくとも部分的に
溶解する。最後に、ラクチドを少なくとも部分的に重合
してポリラクチドと未重合ラクチド単量体と選択重合体
とのブレンドを得る。好ましくは、重合はラクチドの残
存量を監視し、そして重合を所定レベルで停止すること
によって制御される。望むならば、重合は完了まで行っ
てもよい。第一の一般的態様において教示した様に、所
望の特性を得るために可塑剤として追加のラクチド単量
体、乳酸、ラクチドオリゴマー、乳酸オリゴマー、およ
びそれらの混合物を可撓性生成量で添加することができ
る。
ポリ乳酸と添加重合体の割合はそれらの相互溶解度に
依存して広範囲で変動可能であることが当業者には明ら
かになろう。溶解度は転じて混合の完全性および混合温
度によって変動する。ポリ乳酸と添加重合体の両方を相
互溶剤溶液中に入れることで両者は均一になるであろう
が、溶剤の使用は多くの商業的方法にとって実際的では
ない。ミルロールまたは押出機上での溶融ブレンディン
グのような物理的混合はより実際的であるが、均一性を
達成するには制御されなければならない。すなわち、所
望の均一性を達成するには高いせん断力が必要である。
均一混合をもってさえ、異なる重合体は混和性ではない
かも知れない。すなわち、それらは例えば10〜100μサ
イズまたはそれ以上の比較的大きな異質ドメインに分か
れるかも知れない。これは「チーズ様」混合物または劣
った諸性質を有するブレンドを生じる。驚異的なことは
ポリ乳酸が極性および無極性重合体のどちらをも含めて
広く様々な他の重合体と混和性で容易にブレンドすると
いうことである。
ポリ乳酸とその他の重合体との溶融ブレンディング温
度はポリ乳酸と一つ又はそれ以上の添加重合体との割合
に合わせるように変動可能である。低い温度では、溶解
度が十分でないかも知れないが、温度が高過ぎると、混
合物の分解の原因になるであろう。一般的な温度範囲は
100〜220℃であり、そして好ましい範囲は130〜180℃で
ある。同等に有意なのは異なる重合体成分の溶融粘度で
ある。分子量が増大すると、粘度が鋭く増加する。ポリ
乳酸と添加重合体(単数又は複数)の割合、温度、混合
のタイプおよび時間、および分子量を制御することによ
って、広範囲の混合物を得ることができる。従って例え
ば、ポリ乳酸は添加重合体(単数または複数)の中に分
散できる。またはその逆も可能である。そして分散相の
サイズおよび幾何学は非常に多様であり、様々な直径ま
たは長さの離散球体からストランドにまで及ぶ。これは
物理的性質および環境中での分解時間について広い寛容
度を生じさせる。ポリ乳酸対選択重合体の重量%比は9
9:1から1:99まで可能である。
ラクチド単量体が添加重合体を溶解するのに使用され
ラクチドが実質的に重合される場合には、混合および重
合の温度は相互溶解性とラクチドの反応性との間でバラ
ンスされなければならない。高い温度は一般に低い分子
量のポリ乳酸を生じさせる。本発明のさらに別の態様は
上記のように分散相の幾何学上の多様性を達成するため
に或る温度で混合し別の温度で重合することである。
ここでは組成物は溶融成形加工によって自己支持性構
造を有する有効な製造品たとえば使い捨て容器、食器、
トレー、プレート、飲用カップ、シングルサービングト
レー、注射器、医用トレー、パッキングフィルムなどに
加工することができる。この組成物は通常のプラスチッ
クの特徴を有することが可能であるのでそれらを置き換
えながら環境中で分解するという点で有用である。この
組成物は特に、一回しか使用しない製品や捨てる前の使
用の予想寿命が短い製品に有効である。
第四の一般的態様 本発明の第四の態様には、弾性体的でありポリ乳酸と
溶融混和性である耐衝撃性向上剤が含まれる。「溶融混
和性」は、第三の一般的態様において述べたようにポリ
乳酸と均一に混合できる全ての重合体を意味する。この
混合は実質的に均質ブレンドを生じさせるであろう。
ここに開示されている環境下分解性組成物は少なくと
部分分解性である。すなわち、この組成物中のポリ乳酸
部分はブレンド中のより安定な部分に比べて比較的急速
に分解し、そしてブレンド材料の物理的劣化を引き起こ
す。たとえば、組成物が小さなドメインサイズをもった
均一かつ均質なブレンドである場合には、物理的劣化は
元の成形品を破壊する。ここでは、組成物はその物理的
劣化および崩壊が従来の非分解性プラスチックよりも遥
かに急速であるので環境上許容できる材料を提供する。
さらに、組成物の主要部はポリ乳酸、および/または乳
酸由来ラクチドもしくはオリゴマーであるので、より遅
く分解するエラストマー残余(たとえばセグメントポリ
エステル)の少量部だけが残る。この残余は高い表面積
を有しており、成形品本体よりも速く分解することが期
待される。
下記実施例はポリ乳酸(PLA)に、ハイトレル(Hytre
l)TMすなわち、ポリエチレンテレフタレートの硬質結
晶質セグメントとポリエーテルグリコールの軟質長鎖セ
グメントのブロック共重合体であるセグメントポリエス
テルをブレンドすることを示す。それはポリ乳酸がこの
エラストマーと溶融混和性であるということとその物理
的性質に対する効果を示している。
D−ラクチドはD−乳酸のジラクチドすなわち環状二
量体である。同様に、L−ラクチドはL−乳酸の環状二
量体である。メソD,L−ラクチドはD−ラクチドとL−
ラクチドの50/50混合物からなる。ここで単独で使用す
るとき用語「D,L−ラクチド」はメソD,L−ラクチドまた
はラセミD,L−ラクチドを包含することを意図してい
る。ポリ乳酸は上記の一つまたはそれ以上から製造され
てもよい。
実施例1D ハイトレルTMセグメントポリエステル無しのポリ乳酸
共重合体を、米国出願第229,939号の第二の一般的態様
の実施例1Bの手順を使用して製造し、そしてアイゾット
衝撃強さについて試験した。結果は第1D表に示されてい
る。さらに比較のために、第二の一般的態様の第1B表に
は別の比率のL−ラクチド対D,L−ラクチドについての
アイゾット衝撃強さが列挙されている。
実施例2D 三つ口の250mlの丸底フラスコの中に10.96gのD,L−ラ
クチド、108.86gのL−ラクチド、および5.27gのハイト
レルTM4056セグメントポリエステル(デュポン、熱可塑
性弾性体)を秤量して装填した。ハイトレル4056セグメ
ントポリエステルは、ショアDジュロメーター、低い曲
げモジュラス、高い溶融粘度、メルトインデックス7、
比重1.17、融点334゜F、ビカー軟化温度234゜F、および押
出温度340゜F〜400゜Fを有するポリエステルエラストマー
である。フラスコに機械撹拌機と窒素入口および出口を
取りつけた。油浴によって内容物を加熱した。ハイトレ
TMセグメントポリエステルは170℃で溶融ラクチド中
に溶解した。10mlのオクタン酸第一錫を60mlのトルエン
中に溶解し、そして10mlをトルエン中に蒸留することに
よって触媒溶液を調製した。触媒溶液の100μl部を、
ラクチドとハイトレルTMセグメントポリエステルの溶液
の中に注入した。混合物を窒素下で155℃で約64時間撹
拌した。
粘度は鋭く増加し、そして混合物は曇った。この生成
物は強靭でかつ不透明であった。155℃で8〜9ミルの
厚さのフィルムに圧縮成形し、引張性質を測定し、それ
を第1D表に示した。
厚さ1/8インチの平板に圧縮成形し、そしてそれらの
アイゾット衝撃強さを2ポンドのペンダルを使用して測
定した。結果第1D表に報告されている。それらデータは
ハイトレルTMセグメントポリエステル無しの実施例1Dの
同類のポリラクチド共重合体のデータおよび中耐衝撃性
ポリエステルと呼ばれているもののデータ、実施例7Dと
比較されている。
実施例3D ハイトレルTMセグメントポリエステルを削除して実施
例2Dに似た方法によって1.0mlの触媒溶液を使用して80
0.0gのL−ラクチドと202.3gのラセミD,L−ラクチドを
共重合した。このラクチド共重合体は透明無色であっ
た。別の重合では、104.0gのL−ラクチドを、触媒100
μlを使用して、溶融重合した。重合体(L-PLA)は白
色、結晶質であり、そして叩くと容易にクレイズを生じ
た。
電気加熱2本ロールミルを375゜Fに加熱してから、8.4
gのハイトレルTMセグメントポリエステルと19.2gのL-PL
Aのロールで合わせた。これに172.4gのラクチド共重合
体を添加した。この混合物は容易にブレンドした。これ
をロールから取り出し、実施例2Dと同じように成形し試
験した。データは第1D表に報告されている。
実施例4D 実施例3Dのラクチド共重合体80gと、実施例3DのL-PLA
10gと、ハイトレルTM4056セグメントポリエステル10gを
先の実施例3Dに記載の如く2本ロールミルでブレンドし
た。このブレンドを先のように試験し、そのデータを第
1D表に報告した。
実施例5D 実施例3Dのブレンド100gをさらに20gのハイトレルTM4
056セグメントポリエステルとブレンドした。この混合
物はロール上で容易に混合され、そして明らかに完全に
混和性であった。物理的性質を先に記載の如く測定し、
そして第1D表に報告した。
実施例6Dおよび7D 代表的な結晶ポリエステルと中耐衝撃性ポリスチレン
を試験し、そして比較対照のために使用した。
−−−−−−−−− 上記結果はポリラクチドが耐衝撃性を改質されること
ができることを明確に表わしている。ブレンドは結晶ポ
リスチレン対照より有意に高いアイゾット衝撃強さをも
たらし、かつ中耐衝撃性ポリスチレンに比べてやや低い
か又は同等の衝撃強さを与える。当業者は、第1D表の衝
撃強さのデータが更に耐衝撃性向上剤の量及びタイプの
最適化によって改善できるということを認識するであろ
う。
ポリラクチドは上記第三の一般的態様において、他の
多数の化合物および熱可塑性樹脂とブレンド混和性であ
ることが示されているので、ポリラクチドの耐衝撃性を
改質する方法は包括的にはポリラクチドと、ブレンド混
和性である弾性体との混合物に及ぶ。また当業者には、
第1D表のデータはブレンドが圧縮形成ではなく射出成形
されたとき改善されるだろうことが確認されるであろ
う。何故ならば、後者はしばしば試料の配向およびその
結果としての衝撃強さの十分な改善を包含するからであ
る。
この組成物は押出や成形のような通常の方式によって
溶融加工できる有効な熱可塑性材料である。
ブレンドは好ましくは、式I(式中、nは75〜10,000
の整数である)のポリ乳酸と、セグメントポリエステル
からなる重合体との物理的混合物を使用する。有効な組
成物はポリ乳酸が組成物の50〜99重量%を成すものであ
る。好ましい組成物は70〜80重量%のポリ乳酸含量を有
する。
組成物を製造するための一般的方法の2つの態様は
(1)セグメントポリエステルのような改善された耐衝
撃性を付与するブレンド混和性重合体をPLAと溶融ブレ
ンドすること、および(2)ハイトレルTMセグメントポ
リエステルがPLA中に溶解されている実施例2Dにおける
ようにPLA重合時に溶液ブレンドすることである。用意
されるポリ乳酸は好ましくは式Iを有する。望むなら
ば、ラクチド単量体、乳酸オリゴマー、乳酸、およびそ
れらの混合物からなる群から選ばれる可塑剤を可撓性生
成量でブレンドに添加してもよい。可塑剤の添加は上記
の第一、第二、および第三の態様で述べたように付随の
独特の物理的性質を付与するであろう。
ハイトレルTMセグメントポリエステル/ポリ乳酸混合
物の顕微鏡検査は分散されたハイトレルTMセグメントポ
リエステルが数μ以下のサイズの小さな球状ドメインで
存在していることを示していた。これらドメインのサイ
ズは混合の時間、速度、および温度のような混合条件に
よって調節できる。
従って、たとえば、ポリ乳酸に添加された重合体(単
数または複数)は一般に10μ未満の小さな異質ドメイン
サイズを有しているべきであり、そして超顕微鏡的であ
ることができるか、またはポリ乳酸中に溶解することが
できる。加えて、この耐衝撃性向上剤は弾性体的でなけ
ればならない。
特定の理論に固定するつもりはないが、本発明はポリ
乳酸と混和性の熱可塑性弾性体であることから亀裂防止
体として作用するハイトレルTMセグメントポリエステル
の均一混合顕微鏡的ドメインを含有するポリ乳酸の連続
マトリックスを提供すると考えられる。
この目的のためには、耐衝撃性向上剤は弾性体的でな
ければならず、そしてポリ乳酸中に離散異質相として均
一に結着されていなければならない。添加重合体すわな
ち耐衝撃性向上剤はこの弾性挙動を達成するために熱可
塑性弾性体または交叉結合したゴムであってもよい。例
は天然ゴムやスチレン−ブタジエン共重合体である。
水中に5分間浸漬した材料の試験においては、この材
料は水に曝さなかった材料に比べて脆化していた。更に
水は酸性に転じており、そのことはポリ乳酸が乳酸に分
解したことを意味している。さらに、ポリ乳酸単独では
ハイトレルTMセグメントポリエステル/ポリ乳酸混合物
よりも速く分解したようであった。従って、ハイトレル
セグメントポリエステルはポリ乳酸の分解速度を遅延さ
せるためにも使用できる。
改善された混和性を達成するために上記成分と混和性
である第三成分を添加することができる。従って、ポリ
乳酸と耐衝撃性向上剤とが劣った混和性を有する場合に
は、混和性改善のために第三成分を添加してもよい。第
三成分が他の2つの成分とそれぞれに混和性であり、そ
して他の2つの成分すなわちポリ乳酸と耐衝撃性向上剤
が非常に不混和性である場合には、通常、この第三成分
が添加される。これはポリ乳酸と弾性体的耐衝撃性向上
剤との間の界面結合を増大させることにより作用する。
しかしながら、驚異的なことはポリ乳酸と他の重合体タ
イプ(極性でも無極性でも)との混和性の寛容度が広い
ことである。これは第三の一般的態様にも引用できる。
ここでは組成物は溶融加工によって有効な製品、たと
えば容器、食器、トレー、プレート、飲用カップ、シン
グルサービングトレー、注射器、医用トレーなどに加工
できる。この組成物は特に、使い捨てにする、一回しか
使用しない製品や短い使用寿命の製品に有効である。
以上、本発明を様々な具体的実施例および態様を参考
に記述したが、本発明はかかる例示した実施例や態様に
限定されるものではなく、請求の範囲内で様々に実施で
きることが理解されよう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 27/06 C08L 27/06 31/04 31/04 D 33/06 33/06 (31)優先権主張番号 317,391 (32)優先日 1989年3月1日 (33)優先権主張国 米国(US) (56)参考文献 特開 平2−500593(JP,A)

Claims (40)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性重合体組成物の代替物として有用
    な自然的に生物分解可能な組成物において、式: の重合体からなり、ラクチド、乳酸のオリゴマー、ラク
    チドのオリゴマー、及びそれらの混合物からなる群から
    選択された可塑剤で可塑化されており、式中、nは繰り
    返し単位の数であり、nは整数で、150≦n≦20,000で
    あり、未延伸状態で300〜20,000psiの抗張力、50〜1,00
    0%の破断までの伸び、及び20,000〜250,000psiの接線
    モジュラスを有する組成物。
  2. 【請求項2】重合体が、L−ラクチド、D−ラクチド、
    メソD,L−ラクチド、及びそれらの混合物からなる群か
    ら選択されたラクチドの単量体から誘導されている請求
    項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】乳酸又はラクチドのオリゴマーが、式: (式中、mは整数で、2≦m≦75である)を有する請求
    項1に記載の組成物。
  4. 【請求項4】D−ラクチド、L−ラクチド、メソD,L−
    ラクチド、ラセミ体D,L−ラクチド、及びそれらの混合
    物からなる単量体の群から選択された付加的可塑剤を、
    組成物中に分散させて更に含み、前記分散した単量体の
    少なくとも一部分が重合体を製造するのに用いられたも
    のとは立体化学的に異なっている請求項1に記載の組成
    物。
  5. 【請求項5】重合体の重合中に生じないオリゴマーを、
    組成物中に分散して更に含む請求項1に記載の組成物。
  6. 【請求項6】ポリ乳酸からなる自然的に生物分解可能な
    組成物を製造する方法において、 a.ラクチド単量体及び触媒を調製し、 b.工程(a)の単量体の重合による重合体の形成を、重
    合完了前に重合反応を停止させるのに充分な低温におい
    て行い、 c.工程(b)における単量体の水準を検査して残留する
    単量体の量を決定し、そして d.反応完了前に、工程(b)の重合を工程(c)で決定
    された単量体の量で停止させ、形成された重合体が20,0
    00〜250,000psiの接線モジュラスを有するように、予め
    定められた量の未反応単量体を重合体中に一緒に取り込
    ませる、 ことからなる生物分解可能な組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】e.L−ラクチド、D−ラクチド、メソD,L−
    ラクチド、乳酸、ラクチドのオリゴマー、乳酸のオリゴ
    マー、及びそれらの混合物からなる群から更に選択され
    た付加的可塑剤を組成物中に配合する、 ことを更に含む請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】付加的可塑剤が、請求項6の工程(a)に
    記載のラクチド単量体とは立体化学的に異なるように選
    択される請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】ポリ乳酸からなる生物分解可能な組成物を
    製造する方法において、 a.ラクチド単量体及び触媒を調製し、 b.工程(a)の溶液の単量体を重合して重合体を形成
    し、そして c.重合体が20,000〜250,000psiの接線モジュラスを示す
    ように、工程(b)の重合体へ、D−ラクチド、L−ラ
    クチド、D,L−ラクチド、乳酸のオリゴマー、ラクチド
    のオリゴマー、及びそれらの混合物からなる群から選択
    された可塑剤を配合する、 ことからなる生物分解可能な組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】ポリスチレンの代替物として有用な自然
    的に生物分解可能な組成物において、 式: (式中、nは75〜10,000の整数であり、α炭素はL−及
    びD−形態の混合物であり、D−又はL−単位のいずれ
    かが多量になっている) のポリ乳酸単位からなり、然も、前記重合体が85〜95重
    量部のL−ラクチド又はD−ラクチド及び15〜5重量部
    のD,L−ラクチドから製造され、未配向重合体は少なく
    とも5000psiの抗張力、少なくとも200,000psiの接線モ
    ジュラスを有し、0.1〜5重量%の可塑剤が分散されて
    いる、生物分解可能な組成物。
  11. 【請求項11】D−ラクチド、L−ラクチド、メソD,L
    −ラクチド、ラセミ体D,L−ラクチド、及びそれらの混
    合物からなる群から選択された単量体を、組成物中に分
    散して更に含み、前記分散した単量体の少なくとも一部
    分が重合体を製造するのに用いられた単量体とは立体化
    学的に異なっている請求項10に記載の組成物。
  12. 【請求項12】重合体の重合中に得られたものとは立体
    化学的に異なったオリゴマーを更に含む請求項10に記載
    の組成物。
  13. 【請求項13】ポリスチレンの代替物として有用な自然
    的に生物分解可能な組成物において、 a.式: (式中、nは75〜10,000の整数であり、α炭素はL−及
    びD−形態の混合物であり、D−又はL−単位のいずれ
    かが多量になっている) のポリ乳酸単位を有する第一重合体、と b.D−ラクチド又はL−ラクチドのラクチド単独重合
    体、 との物理的混合物である混合物からなり、然も、未配向
    組成物が少なくとも5000psiの抗張力、少なくとも200,0
    00psiの接線モジュラスを有し、可塑剤が分散されてい
    る、生物分解可能な組成物。
  14. 【請求項14】0.1〜5重量%の分散した可塑剤を更に
    含む請求項13に記載の組成物。
  15. 【請求項15】重合した乳酸が98〜75重量%の量で存在
    し、ラクチド単独重合体が2〜25重量%の量で存在する
    請求項13に記載の組成物。
  16. 【請求項16】D−ラクチド、L−ラクチド、メソD,L
    −ラクチド、ラセミ体D,L−ラクチド、及びそれらの混
    合物からなる単量体の群から選択された可塑剤を更に含
    み、前記分散した単量体の少なくとも一部分が第一重合
    体及び単独重合体を製造するのに用いられたものとは立
    体化学的に異なっている請求項13に記載の組成物。
  17. 【請求項17】請求項10に記載の組成物を製造する方法
    において、 a.L−ラクチド又はD−ラクチド単量体及びD,L−ラクチ
    ド単量体を触媒と混合し、加熱し、そして溶融し、然
    も、前記L−ラクチド単量体又はD−ラクチドが85〜95
    重量部で、D,L−ラクチド単量体が15〜5重量部であ
    り、 b.工程(a)の溶液を重合し、そして c.工程(b)の重合体を、D−ラクチド又はL−ラクチ
    ド共重合体を混合することにより添加することによって
    処理してその性質を改良する、 ことからなる製造方法。
  18. 【請求項18】処理が、核生成剤、及びD−ラクチド又
    はL−ラクチド重合体を混合することにより添加するこ
    とを含む請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】処理が更に、 a.工程(b)の重合を鎖移動剤を添加することにより制
    御して、そして b.核生成剤、及びD−ラクチド又はL−ラクチド単独重
    合体を混合することにより添加する、 ことを含む請求項17に記載の方法。
  20. 【請求項20】D−ラクチド、L−ラクチド、メソD,L
    −ラクチド、乳酸、ラクチドオリゴマー、乳酸オリゴマ
    ー、及びそれらの混合物からなる群から選択された付加
    的可塑剤を組成物へ添加することにより処理する工程を
    更に含む請求項17に記載の方法。
  21. 【請求項21】D−ラクチド又はL−ラクチド共重合体
    中の少なくとも一つの単量体単位が、請求項17の工程
    (a)に記載のD−ラクチド又はL−ラクチド単量体と
    立体化学的に異なるよう選択される請求項17に記載の方
    法。
  22. 【請求項22】a.ポリ乳酸、と b.エチレンテレフタレートの重合体、スチレン、エチレ
    ン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アルキルメ
    タクリレート、アルキルアクリレート、及びそれらの物
    理的混合物の重合体又は共重合体からなる群から選択さ
    れた重合体、 との物理的混合物である混合物からなる自然的に分解可
    能な組成物。
  23. 【請求項23】ポリ乳酸対選択された重合体の重量%比
    が99:1から1:99の比率である請求項22に記載の組成物。
  24. 【請求項24】a.ポリ乳酸を与え、 b.エチレンテレフタレートに重合体、スチレン、エチレ
    ン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アルキルメ
    タクリレート、アルキルアクリレート、及びそれらの物
    理的混合物の重合体又は共重合体からなる群からの重合
    体を選択し、そして c.工程a及びbの重合体を混合する、 ことからなる製造方法。
  25. 【請求項25】D−ラクチド、L−ラクチド、メソD,L
    −ラクチド、乳酸、ラクチドオリゴマー、乳酸オリゴマ
    ー、及びそれらの混合物からなる群から選択された可塑
    剤を更に含む請求項22に記載の組成物。
  26. 【請求項26】自然的に分解可能な組成物の製造方法に
    おいて、 a.D−ラクチド、L−ラクチド、メソD,L−ラクチド、ラ
    セミ体D,L−ラクチド及びそれらの混合物からなる群か
    ら選択されたラクチド単量体を与え、 b.エチレンテレフタレートの重合体、スチレン、エチレ
    ン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アルキルメ
    タクリレート、アルキルアクリレート、及びそれらの物
    理的混合物の重合体又は共重合体からなる群からの重合
    体を選択し、 c.(a)で選択されたラクチドと、(b)で選択された
    重合体とを混合し、前記ラクチドを溶融するのに適合し
    且つ前記重合体を少なくとも部分的に溶解するのに適合
    した条件で加熱し、そして d.工程(c)の混合物中のラクチドを重合してポリラク
    チドと重合体との混合物を得る、 ことからなる製造方法。
  27. 【請求項27】e.混合物を形の崩れない構造体へ成形す
    る、 工程を更に含む請求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】残留する単量体の量を検出し、工程
    (d)の重合を制御して残留単量体を含む混合物を得る
    ことを更に含む請求項26に記載の方法。
  29. 【請求項29】e.ラクチド単量体、ラクチドオリゴマ
    ー、乳酸オリゴマー、乳酸、及びそれらの混合物からな
    る群から選択された可塑剤を、重合後の混合物へ添加す
    る、 ことを更に含む請求項26に記載の方法。
  30. 【請求項30】a.ポリ乳酸と、 b.前記ポリ乳酸に改良された衝撃抵抗を与える混合物相
    容性重合体、 との物理的混合物である混合物からなる自然的に分解可
    能な組成物。
  31. 【請求項31】ポリ乳酸が組成物の50〜99重量%を占め
    る請求項30に記載の組成物。
  32. 【請求項32】混合物相容性重合体がセグメント化ポリ
    エステルである請求項30に記載の組成物。
  33. 【請求項33】混合物相容性重合体が、ポリブチレン
    テレフタレートの硬質結晶質セグメントと、ポリエーテ
    ルグリコールの軟質長鎖セグメントとのブロック共重合
    体である請求項32に記載の組成物。
  34. 【請求項34】a.ポリ乳酸を与え、 b.衝撃抵抗を増大する混合物相容性重合体を選択し、そ
    して c.工程(a)及び(b)の重合体を混合する、 ことからなる請求項30に記載の組成物を製造する方法。
  35. 【請求項35】セグメント化ポリエステルが選択される
    請求項34に記載の方法。
  36. 【請求項36】ポリブチレン テレフタレートの硬質結
    晶質セグメントと、ポリエーテルグリコールの軟質長鎖
    セグメントとのブロック共重合体、又は天然ゴム及びス
    チレン・ブタジエン共重合体が選択される請求項34に記
    載の方法。
  37. 【請求項37】a.D−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラ
    クチド、及びそれらの混合物からなる群から選択された
    一種類以上のラクチドと、組成物に改良された衝撃抵抗
    を与える混合物相容性重合体とを混合し、 b.工程(a)のラクチド(単数又は複数)中の混合物相
    容性重合体を加熱して溶解し、溶液を形成し、そして c.前記溶液中のラクチド(単数又は複数)を重合する、 ことからなる請求項30に記載の組成物の製造方法。
  38. 【請求項38】組成物を溶融製造により有用な形態へ製
    造する工程を更に含む請求項37に記載の方法。
  39. 【請求項39】セグメント化ポリエステルからなる混合
    物相容性重合体を選択することを更に含む請求項37に記
    載の方法。
  40. 【請求項40】ポリブチレン テレフタレートの硬質結
    晶質セグメントと、ポリエーテルグリコールの軟質長鎖
    セグメントとのブロック共重合体、及び天然ゴム及びス
    チレン・ブタジエン共重合体又はそれらの混合物からな
    る群からの混合物相容性重合体を選択することを更に含
    む請求項37に記載の方法。
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