JP2724172B2 - 4輪駆動車のスリップ制御装置 - Google Patents

4輪駆動車のスリップ制御装置

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JP2724172B2 JP63234605A JP23460588A JP2724172B2 JP 2724172 B2 JP2724172 B2 JP 2724172B2 JP 63234605 A JP63234605 A JP 63234605A JP 23460588 A JP23460588 A JP 23460588A JP 2724172 B2 JP2724172 B2 JP 2724172B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、4輪が駆動される車両において各車輪の路
面に対するスリップを抑制する制御を行う4輪駆動車の
スリップ制御装置に関する。
(従来の技術) 車両の走行時において車輪の路面に対するスリップが
大規模なものである場合には、グリップ走行が行われ
ず、適正な走行特性が得られなくなってしまうので、斯
かる場合には、車両に備えられたブレーキ装置を作動さ
せる、あるいは、エンジンの出力を低下させること等に
より、駆動輪の路面に対するスリップを抑制する制御を
行うスリップ制御装置が知られている。
このようなスリップ制御装置により、駆動輪の路面に
対するスリップが抑制されるにあたっては、駆動輪が路
面に対して所定以上のスリップを生じている状態を検出
することや、路面に対する所定以上のスリップを生じて
いる駆動輪についての目標周速度あるいは目標スリップ
率を設定するため、車速を検出することが要求される。
車速は、前輪もしくは後輪のみが駆動される2輪駆動車
においては、通常、路面に対するスリップを生じる頻度
が少ない従動輪の周速度に基づいて比較的容易に検出さ
れ得ることになるが、前輪及び後輪のいずれもが駆動さ
れ得るようにされた4輪駆動車にあっては、それが4輪
駆動状態にされているときには、従動輪となる車輪が存
在しないことになるので、検出が困難とされることにな
る。
斯かる4輪駆動車に伴われる不都合を解消すべく、例
えば、特開昭62−289429号公報には、4輪駆動車におけ
る各車輪についての周加速度を求めるようになされ、そ
の周加速度に基づいて各車輪が路面に対して所定以上の
スリップを生じている状態が検出されるとともに、各車
輪についての周速度のうちの最小のものに基づいて車速
を推定するようにされた、4輪駆動車のスリップ制御装
置が提案されている。
このようなスリップ制御装置にあっては、各車輪の周
速度に基づいて検出された所定以上のスリップを生じて
いる車輪が、例えば、3個以下である場合には、車両の
加速性や走破性等の走行特性が低下せしめられないよう
にすべく、路面に対する所定以上のスリップが生じてい
る車輪にブレーキ装置による制動力を付与させる制御の
みを行い、また、所定以上のスリップが全車輪に生じて
いる場合には、車両の走行安定性に対する影響が大であ
るので、ブレーキ装置による制動力を各車輪に付与させ
る制御に加えて、エンジンの出力を低下させる制御を行
うようにされている。
(発明が解決しようとする課題) 4輪駆動車においては、全車輪が路面に対する所定以
上のスリップを生じているときは、車両の走行安定性に
対する影響が大であるので、車輪に生じているスリップ
を迅速に抑制することが望まれる。しかしながら、上述
の如くにして車速が推定されるようになされたスリップ
制御装置においては、推定された車速と実際の車速との
間に大なる差が生じる場合があり、このような、実際の
車速から大きく外れた推定車速に基づいて、全車輪が路
面に対する所定以上のスリップを生じたとき、ブレーキ
装置による制動力を各車輪に付与させる制御に加えて、
エンジンの出力を低下させる制御が行われると、スリッ
プを生じている車輪に作用する駆動トルクが必要以上に
低下せしめられて、4輪駆動車の走行特性が損なわれる
事態、あるいは、スリップが充分に抑制されず、車両の
走行安定性に影響を与える可能性がある。
また、全車輪が路面に対する所定以上のスリップを生
じたとき、所定の制御態様をもってスリップ制御が行わ
れて、各車輪についてのスリップが抑圧されたとして
も、その後の所定の期間においては、再びスリップ制御
が行われる以前と同様なスリップが生じて車両の走行安
定性が影響を受ける可能性があるので、斯かる場合に
は、通常のスリップ制御とは異なる制御態様をもって、
各車輪について所定以上のスリップを生じさせないよう
になす制御が行われることが望まれる。
斯かる点に鑑み、本発明は、4輪駆動車における車論
のうちの3個以下について、もしくは、全車輪について
路面に対する所定以上のスリップが検出されたとき、夫
々の場合において、検出されたスリップを抑制する制御
が行われるようになされ、しかも、全車輪について路面
に対する所定以上のスリップが検出されたときには、車
輪に作用する駆動トルクが必要以上に低下せしめらる事
態やスリップが充分に抑制されない事態がまねかれるこ
となく、検出されたスリップを迅速に適正に抑制するこ
とができるとともに、上述の如くにして各車輪について
のスリップが迅速に適正に抑制された後の期間におい
て、再び各車輪に所定以上のスリップが生じることを回
避することができるようにされた4輪駆動車のスリップ
制御装置を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 上述の目的を達成すべく、本発明に係る4輪駆動車の
スリップ制御装置は、第1図にその基本構成が示される
如くのものとされ、具体的には、4輪駆動車における各
車輪の路面に対するスリップを検出するスリップ検出手
段と、車輪の夫々に個別に制動力を付与するブレーキ手
段と、4輪駆動車に搭載されたエンジンの出力を変化さ
せる出力調整手段と、制御手段とが備えられて構成さ
れ、制御手段が、スリップ検出手段により車輪のうちの
3個以下について路面に対する所定以上のスリップが検
出されたとき、ブレーキ手段に、スリップが検出された
車輪の周速度に基づいて算出されたスリップ率と目標ス
リップ率とに応じて、スリップが検出された車輪に制動
力を付与する制動動作を行わせる状態、及び、出力調整
手段に、スリップが検出された車輪の周速度に基づいて
算出されたスリップ率と目標スリップ率とに応じて、エ
ンジンの出力を低下させる出力制御動作を行わせる状態
のうちの少なくとも一方をとり、また、スリップ検出手
段により車輪の全てについて路面に対する所定以上のス
リップが検出されたとき、ブレーキ手段に制動動作を行
わせることなく、出力調整手段に、目標スリップ率とは
関わりなく、エンジンの出力を低下させる動作を行わせ
るようにされる。
また、本発明に係る4輪駆動車のスリップ制御装置
は、具体的には、制御手段が、スリップ検出手段により
車輪の全てについて路面に対する所定以上のスリップが
検出されたとき、出力調整手段に出力制御動作を行わせ
る状態をとったことにより、車輪の夫々が実質的にスリ
ップが無い状態とされたとき、制御手段が、出力調整手
段に出力制御動作を再開させ、その際、再開時から所定
の期間においては、ブレーキ手段に制動動作を行わせな
いものとされる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
第2図は、本発明に係る4輪駆動車のスリップ制御装
置の一例を、それが適用された車両とともに概念的に示
す。
第2図において、車両5は4輪駆動車とされており、
その車体10の前部にエンジン12が搭載されている。エン
ジン12は、例えば、4つの気筒11を有し、それらの気筒
11の夫々には、スロットルアクチュエータ13により開閉
駆動されるスロットル弁14が設けられた吸気通路16を通
じて、燃料供給系から供給される燃料と吸入空気とで形
成される混合気が供給される。各気筒11内に供給された
混合気は、点火系の作動によって燃焼せしめられて排気
通路17に排出される。このような混合気の燃焼によって
エンジン12が回転せしめられ、その発生トルクが変速機
22,センターディファレンシャル機構23,前輪用のプロペ
ラシャフト24及びディファレンシャル機構25と、後輪用
のプロペラシャフト26及びディファレンシャル機構27と
を含んで形成されるトルク伝達経路を介して、左前輪20
L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rに夫々伝達され
る。
左前輪21L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rに関連
してブレーキ装置30が備えられている。ブレーキ装置30
は、左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rの夫
々に付設されたディスク32と、ディスク32を押圧するブ
レーキパッドが設けられたキャリパ34とから成るディス
クブレーキ35A〜35Dを有している。ディスクブレーキ35
A〜35Dの夫々におけるキャリパ34には、ホイールシリン
ダ36が備えられていて、各ホイールシリンダ36には、液
圧調整部40から伸びる導管37a〜37dが夫々接続されてい
る。各キャリパ34は、ホイールシリンダ36に液圧調整部
40から導管37a〜37dを介してブレーキ液圧が供給される
と、その供給されたブレーキ液圧に応じた押圧力をもっ
てブレーキパッドをディスク32に押し付けて、左前輪20
L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rの制動を行うもの
とされる。
液圧調整部40には、ブレーキペダル41の踏込み操作に
応じた液圧が、ブレーキペダル41に付随して設けられた
パワーシンリダ43から導管42a及び42bを通じて供給され
るとともに、ポンプ44及び調圧弁45により形成される作
動液圧が、導管46を通じて供給される。液圧調整部40
は、スリップ制御が行われない通常制動時には、ブレー
キペダル41の踏込み操作に応じたブレーキ液圧を形成し
て、それを導管37a〜37dを通じてディスクブレーキ35A
〜35Dに供給する動作を行い、スリップ制御時には、内
蔵された電磁開閉弁51〜58の動作状態に応じてディスク
ブレーキ35A〜35Dに対するブレーキ液圧を個別に形成
し、それらをディスクブレーキ35A〜35Dに夫々選択的に
供給する動作を行う。
電磁開閉弁51〜58は、電磁開閉弁51及び52,電磁開閉
弁53及び54,電磁開閉弁55及び56、及び、電磁開閉弁57
及び58に組合わせられ、各組の夫々は、左前輪20L,右前
輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rに設けられたディスクブ
レーキ35A〜35Dに対するブレーキ液圧の調整に関与する
ものとされる。各組のうちの一方の電磁開閉弁51,53,55
及び57が開状態にされて、他方の電磁開閉弁52,54,56及
び58が閉状態にされたときには、ディスクブレーキ35A
〜35Dに供給されるブレーキ液圧が夫々増圧され、それ
とは逆に、各組のうちの一方の電磁開閉弁51,53,55及び
57が閉状態にされ、他方の電磁開閉弁52,54,56及び58が
開状態にされたときには、ディスクブレーキ35A〜35Dに
供給されるブレーキ液圧が夫々減圧され、各組のいずれ
もが閉状態にされたときには、ディスクブレーキ35A〜3
5Dに供給されるブレーキ液圧がそのときの状態に保持さ
れる。
上述の構成に加えて、電磁開閉弁51〜58の開閉制御及
びスロットルアクチュエータ13の動作制御を行うための
コントロールユニット100が設けられている。コントロ
ールユニット100には、左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L
及び右後輪21Rの夫々に関連して設けられた速度センサ6
1〜64から得られる、左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L及
び右後輪21Rの夫々の周速度に応じた検出信号S1〜S
4と、スロットル弁14に関連して設けられたスロットル
開度センサ65から得られる、スロットル開度に応じた検
出信号Stと、アクセルペダル66に関連して設けられたア
クセル開度センサ67から得られる、アクセルペダル66の
踏込量に応じた検出信号Saと、ステアリングホイール68
に関連して設けられた舵角センサ69から得られる、左前
輪20L及び右前輪20Rの舵角に応じた検出信号Sdとが供給
される。
コントロールユニット100は、検出信号S1〜S4の所定
の周期をもって取込み、取込まれた検出信号S1〜S4があ
らわす左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rの
周速度の値に基づいて推定車速の値及び周加速度の値を
算出し、左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21R
の夫々に所定以上のスリップが発生したか否かを、算出
された各周加速度の値を予め定められた所定の値Aaと比
較する。そして、左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L及び
右後輪21Rのうち周加速度の値が値Aa以上であると判断
されたものには、路面に対する所定以上のスリップが発
生したとして、スリップ制御を行い、左前輪20L,右前輪
20R,左後輪21L及び右後輪21Rの各周加速度の値が値Aa未
満であると判断された場合には、通常スロットル開度制
御を行う。
コントロールユニット100により、通常スロットル開
度制御が行われるにあたっては、検出信号Saがあらわす
アクセルペダル66の踏込量に応じて通常目標スロットル
開度が設定され、検出信号Stがあらわすスロットル弁14
の開度が通常目標スロットル開度に近づけられるよう
に、通常目標スロットル開度とスロットル弁14の開度と
の差に応じたスロットル弁駆動信号Ctが形成され、それ
がスロットルアクチュエータ13に供給される。それによ
り、スロットル弁14がスロットルアクチュエータ13によ
り開閉駆動されて、その開度が通常目標スロットル開度
に一致せしめられるべく制御される。なお、通常目標ス
ロットル開度は、アクセルペダル66の踏込量が増加する
に従い、所定の比例関係をもって増大するようにされ
る。
コントロールユニット100により、スリップ制御が行
われるにあたっては、左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L
及び右後輪21Rの夫々についての周加速度の値に基づい
て判断された、路面に対する所定以上のスリップが発生
した車輪(以下、スリップ車輪と呼ぶ)が、4個の車輪
のうちのいずれであるか及びその個数が検知され、さら
に、検知されたスリップ車輪が複数である場合には、複
数のスリップ車輪のうちの略同時に所定以上のスリップ
が発生したものの個数が検知され、検知されたスリップ
車輪,スリップ車輪の個数、及び、複数のスリップ車輪
のうちの略同時に所定以上のスリップが発生したものの
個数に基づいて、目標スリップ率の設定に際して用いら
れる推定車速の算出及びスリップ制御態様の設定が行わ
れる。
コントロールユニット100による推定車速の設定にお
いては、1周期前に取り込まれた検出信号S1〜S4があら
わす左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rの周
速度に基づいて算出された推定車速の値Vn-1(但し、n
は正整数)が、所定の値Vh以上とされる高速走行時、及
び、算出された推定車速の値Vn-1が値Vh未満とされ、か
つ、検出信号Sdがあらわす左前輪20L及び右前輪20Rの舵
角が所定の値θa未満とされる低速直線走行時には、左
前輪20L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rの周速度の
値のうちの最も低いものに所定の補正係数α(<1)
が乗じられて、そのときの推定車速の値Vnが算出され
る。また、推定車速の値Vn-1が値Vh未満で、左前輪20L
及び右前輪20Rの舵角が値θa以上とされる低速旋回走
行時には、検知されたスリップ車輪及びその個数に応じ
て、路面に対する所定以上のスリップが発生していない
車輪(以下、非スリップ車輪と呼ぶ)についての周速度
に基づいて、異なる設定態様のもとで、推定車速が設定
される。
低速旋回走行時における推定車速の設定においては、
スリップ車輪が零もしくは1個であることが検知された
もとで、左前輪20L及び右前輪20Rの舵角に基づいて車両
5の左旋回状態が検知されるとき、左前輪20L及び右後
輪21Rが夫々非スリップ車輪である場合には、左前輪20L
の周速度と右後輪21Rの周速度との平均値に予め定めら
れた補正係数αが乗じられて、推定車速の値Vnが算出
され、また、左前輪20L及び右後輪21Rのうちの少なくと
も一方がスリップ車輪であることが検知されたもとで、
車両5の左旋回が検知されるときには、非スリップ車輪
とされる右前輪20Rの周速度と左後輪21Lの周速度との平
均値に補正係数αが乗じられて、推定車速の値Vnが算
出される。それに対し、スリップ車輪が零もしくは1個
であることが検知されたもとで、車両5の右旋回状態が
検知されるとき、右前輪20R及び左後輪21Lが夫々非スリ
ップ車輪である場合は、右前輪20Rの周速度と左後輪21L
の周速度との平均値に補正係数αが乗じられて、推定
車速の値Vnが算出され、また、右前輪20R及び左後輪21L
のうちの少なくとも一方がスリップ車輪であることが検
知されたもとで、車両5の右旋回が検知されるときに
は、非スリップ車輪とされる左前輪20Lの周速度と右後
輪21Rの周速度との平均値に補正係数αが乗じられ
て、推定車速の値Vnが算出される。
さらに、スリップ車輪が2個であることが検知された
もとでは、非スリップ車輪が左前輪20L及び右前輪20R、
もしくは、左後輪21L及び右後輪21Rである場合には、左
前輪20Lの周速度と右前輪20Rの周速度との平均値、もし
くは、左後輪21Lの周速度と右後輪21Rの周速度との平均
値に予め定められた補正係数αが乗じられて、推定車
速の値Vnが算出される。また、非スリップ車輪が左前輪
20L及び左後輪21L、もしくは、右前輪20R及び右後輪21R
である場合には、非スリップ車輪のうち車両5の重心点
の軌跡に最も近い軌跡をとる車輪の周速度に補正係数α
が乗じられて、推定車速の値Vnが算出される。具体的
には、非スリップ車輪が左前輪20L及び左後輪21Lである
ときには、車両5が右旋回状態である場合は、左前輪20
Lの周速度に補正係数αが乗じられ、車両5が左旋回
状態である場合は、左後輪21Lの周速度に補正係数α
が乗じられ、一方、非スリップ車輪が、右前輪20R及び
右後輪21Rであるときには、車両5が右旋回状態である
場合は、右前輪20Rの周速度に補正係数αが乗じら
れ、車両5が左旋回状態である場合は、右後輪21Rの周
速度に補正係数αが乗じられて、夫々の場合における
推定車速の値Vnが算出される。
一方、非スリップ車輪が左前輪20L及び右後輪21R、も
しくは、右前輪20R及び左後輪21Lである場合には、左前
輪20Lの周速度と右後輪21Rの周速度との平均値、もしく
は右前輪20Rの周速度と左後輪21Lの周速度との平均値
に、補正係数αが乗じられて、推定車速の値Vnが算出
される。
スリップ車輪が3個であることが検知されたもとで
は、非スリップ車輪とされる残りの1個についての周速
度に補正係数αが乗じられて、推定車速の値Vnが算出
される。
左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rの全て
がスリップ車輪であることが検知されたもとでは、斯か
るスリップ車輪が検知される直前に算出された推定車速
の値Vnが、そのときの推定車速の値Vnとされる。
なお、上述の補正係数α1及びαは、スリップ
車輪の個数が増大するに従い、車両5が不安定な状態に
おかれることを勘案して、1>α>α>αとなる
ように設定されるのが望ましい。
このようにスリップ車輪が4個の車輪のいずれである
か及びスリップ車輪の個数に応じた設定態様のもとで、
推定車速が設定されることにより、推定車速が、高価な
対地車速センサ等が用いられることなく、比較的簡単な
構成のもとで、実際の車両5の走行状態が考慮されて、
実際の車速から大きく外れないものに設定されることに
なる。
上述の如くにして推定車速が設定されるもとでコント
ロールユニット100は、スリップ車輪に対するスリップ
制御を、スリップ車輪の個数及び車両5における4個の
車輪のうちの2個以上のものから成る組合せに応じて予
め定められた制御態様に従って、次のように行う。
コントロールユニット100によるスリップ制御におい
ては、スリップ車輪の個数及び車両5における4個の車
輪のうちの2個以上のものから成る組合せに応じて、ブ
レーキ装置30に、左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L及び
右後輪21Rの夫々に対して制動力を付与させるブレーキ
制御と、スロットル弁14の開度を減少させることにより
エンジンの出力を低下させるスロットル制御とが選択的
に行われるようにされるとともに、ブレーキ制御におけ
る目標スリップ率TGBRが、予め定められた3つの値TG1
〜TG3(但し、0>TG1<TG2<TG3)のうちの最も小なる
値TG1に設定され、また、スロットル制御における目標
スリップ率TGTRが、値TG1〜TG3のいずれかが選択されて
設定される。
ブレーキ制御及びスロットル制御が行われる際には、
上述の如くにして算出された推定車速の値Vnが用いられ
て、左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rの夫
々における実際のスリップ率SFL,SFR,SRL及びSRRが、夫
々、式;SFL=(VFLn−Vn)/VFLn,SFR=(VFRn−Vn)/VF
Rn,SRL=(VRLn−Vn)/VRLn、及び、SRR=(VRRn−Vn)
/VRRnにより算出される(VFLn,VFRn,VRLn及びVRRn(但
し、nは正整数)は、夫々、左前輪20L,右前輪20R,左後
輪21L及び右後輪21Rについての周速度の値)。
そして、ブレーキ制御が行われる際には、算出された
実際のスリップ率SFL,SFR,SRL及びSRRと目標スリップ率
TGBRの値TG1との比較に基づいてコントロールユニット1
00により駆動信号Ca〜Chが選択的に形成されて、それが
電磁開閉弁51〜58に供給される。それにより、左前輪20
L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rに付設されたディ
スクブレーキ35A〜35Dに対するブレーキ液圧が調整さ
れ、スリップ車輪のスリップ率が値TG1に一致せしめら
れるべく制御される。
また、スロットル制御が行われる際には、実際のスリ
ップ率SFL,SFR,SRL及びSRRと、値TG1,TG2及びTG3のいず
れかが選択されて設定された目標スリップ率TGTRとの比
較に基づいて、コントロールユニット100によりスロッ
トル弁駆動信号Ctが形成され、それがスロットルアクチ
ュエータ13に供給される。それによりスロットル弁14の
開度が調整されて、スリップ車輪のスリップ率が、値TG
1,TG2もしくはTG3に一致せしめられるべく制御される。
但し、斯かるスロットル制御時に、スロットル弁14の開
度が、アクセルペダル66の踏込量に応じて設定される通
常目標スロットル開度より大とされたときには、斯かる
スロットル制御が停止されて通常スロットル制御が開始
される。
上述の如く、ブレーキ制御及びスロットル制御は、ス
リップ車輪の個数及びスリップ車輪の組合わせに応じて
選択的に行われるが、スリップ車輪が1個であることが
検知されるもとでは、ブレーキ制御のみが行われる。ま
た、スリップ車輪が2個であることが検知されるもとで
は、4個の車輪のうちの2個から成る6通りの組合わせ
の夫々に応じて予め定められた制御態様のうちの1つに
従って行われるようにされる。即ち、左後輪21L及び右
後輪21Rがスリップ車輪である場合には、ブレーキ制御
のみが行われ、左前輪20L及び右前輪20Rがスリップ車輪
である場合には、左後輪21L及び右後輪21Rがスリップ車
輪である場合に比して車両5の走行安定性に対する影響
が大となり易いので、ブレーキ制御に加えて目標スリッ
プ率TGTRが値TG3に設定されたスロットル制御が行わ
れ、スリップ車輪が左前輪20L及び左後輪21L、もしく
は、右前輪20R及び右後輪21Rである場合には、車両5に
ヨー運動が発生する虞があるので、ブレーキ制御に加え
て目標スリップ率TGTRが値TG2に設定されたスロットル
制御が行われ、スリップ車輪が左前輪20L及び右後輪21
R、もしくは、右前輪20R及び左後輪21Lである場合に
は、ブレーキ制御のみが行われる。
このように、スリップ車輪が2個であることが検知さ
れるもとでは、それらのスリップ車輪の組合せに応じて
スリップ制御態様が設定されることにより、車両5の走
行安定性に対する影響が比較的小であるときには、ブレ
ーキ制御のみが行われるので、エンジンの出力が低下せ
しめられて車輪の駆動トルクが必要以上に低減されてし
まうことがなく、加速性や走破性等の4輪駆動車に要求
される走行特性の低下が抑制され、また、車両5の走行
安定性に対する影響が大となり易いときには、ブレーキ
制御に加えてスロットル制御が行われるので、車両5に
影響を及ぼすものとなるヨー運動が発生する事態等が効
果的に回避される。
一方、検知されたスリップ車輪が3個であり、しか
も、それらが略同時に所定以上のスリップが発生したも
のである場合には、車両5の走行状態が極めて不安定な
状態であるので、目標スリップ率TGTRが値TG2に設定さ
れたスロットル制御のみが行われる。また、3個のスリ
ップ車輪が略同時に所定以上のスリップが発生したもの
でない場合には、ブレーキ制御に加えて、目標スリップ
率TGTRが値TG2に設定されたスロットル制御が行われ
る。
さらにまた、スリップ車輪が4個であることが検知さ
れたもとでは、ブレーキ制御が停止させて、目標スリッ
プ率TGTRが零とされてスロットル弁14を全閉状態とする
スロットル制御が行われる。そして、スロットル弁14が
全閉状態とされたもとで、4個の車輪の夫々が実質的に
スリップが無い状態にされたか否かの判断を行うべく、
周速度平均値VAVが式;VAV=(VFLn+VFRn+VRLn+VRR
n)/4により算出され、算出された周速度平均値VAVが用
いられて、総和偏差値εが式;ε=(VFLn−VAV)
(VFRn−VAV)+(VRLn−VAV)+(VRRn−VAV)
により算出されて、算出された総和偏差値εが所定の値
Za以下であるか否かが判断される。総和偏差値εが値Za
より大であると判断された場合には、4個の車輪がスリ
ップが無い状態とされていないので、スロットル弁14の
全閉状態が維持され、総和偏差値εが値Za以下であると
判断された場合には、4個の車輪が実質的にスリップが
無い状態とされたとして、スリップ制御が再開される。
スリップ制御が再開されるにあたっては、総和偏差値
εが値Za以下となった時点から所定の期間Txが経過する
までは、ブレーキ制御は行われず、目標スリップ率TGTR
が値TG1とされたスロットル制御のみが行われる。但
し、目標スリップ率TGTRが値TG1とされたスロットル制
御が行われているとき、スロットル弁14の開度が、アク
セルペダル66の踏込量に応じて設定される通常目標スロ
ットル開度より大とされたときには、斯かるスロットル
制御が停止されて、通常スロットル開度制御が開始され
る。
このように、4個の車輪の全てに路面に対する所定以
上のスリップが生じたことが検知されたとき、ブレーキ
制御が停止されて、4個の車輪が実質的にスリップが無
い状態にされるまでスロットル弁14が全閉状態に維持さ
れて、エンジンの出力が迅速に低下されるようになされ
たことにより、車両5の走行安定性に影響を与える事態
が回避され、迅速に、4個の車輪が実質的にスリップが
発生していない状態にされる。それゆえ、4個の車輪に
路面に対する所定以上のスリップが発生しても、推定車
速と実際の車速とが等しくなる、もしくは、略等しくな
る走行状態が極めて短時間のうちに得られる。また、4
個の車輪がスリップが実質的に無い状態にされた後、期
間Txが経過するまでの間は、再び4個の車輪に路面に対
する所定以上のスリップが発生する可能性が大である
が、上述の如くに、斯かる期間はスロットル制御のみが
行われて所定以上のスリップの発生が抑制されるように
なされるので、4個の車輪がスリップが実質的に無い状
態にされた直後における車両5の走行安定性が確保され
る。
上述の如くのスリップ制御は、主としてコントロール
ユニット100の内蔵されたマイクロコンピュータの動作
に基づいて行われるが、斯かるマイクロコンピュータが
実行するプログラムの一例を、第3図〜第9図のフロー
チャートを参照して説明する。
第3図のフローチャートで示されるメインプログラム
においては、スタート後、プロセス101において初期設
定を行い、プロセス102において検出信号S1〜S4,St,Sa
及びSdを取り込んで必要なデータを作成する処理を行
い、続くプロセス103〜107において、順次、スリップ判
定用プログラム,推定車速設定用プログラム,制御態様
設定用プログラム,スロットル制御用プログラム及びブ
レーキ制御用プログラムを実行してプロセス102に戻
る。
第3図のフローチャートにおけるプロセス103で実行
されるスリップ判定用プログラムは、第4図のフローチ
ャートで示される如くに、スタート後、プロセス111に
おいて、同時スリップ計数フラグSFSを零に設定し、プ
ロセス112において、1周期前の左前輪20Lの周速度の値
VFLn-1を値VWOとおき、また、そのときの左前輪20Lの周
速度の値VFLnを周速度値VWNとおくとともに、スリップ
車輪判定フラグSFQを左前輪スリップフラグSFFLとお
き、プロセス113において、第5図に示される如くのス
リップ検出用プログラムを実行する。
この第5図に示されるスリップ検出用プログラムにお
いては、スタート後、プロセス131において、周速度の
値VWNから周速度の値VWOを減じて左前輪20Lの周加速度
ΔVWを算出し、続くディシジョン132において周加速度
ΔVWが値Aa以上であるか否かを判断し、周加速度ΔVWが
値Aa以上であると判断された場合には、左前輪20Lに所
定以上のスリップが発生したとして、プロセス133にお
いて、スリップ車輪判定フラグSFQを1に設定するとと
もに、同時スリップ計数フラグSFSに1を加算して新た
な同時スリップ計数フラグSFSを設定してこのプログラ
ムを終了し、また、ディシジョン132において、周加速
度ΔVWが値Aa未満であると判断された場合には、プロセ
ス133を経由することなくこのプログラムを終了する。
第5図のプログラムを終了した後には、第4図のフロー
チャートにおけるプロセス114において、左前輪スリッ
プフラグSFFLをスリップ車輪判定フラグSFQにおき代え
てプロセス115に進む。
プロセス115においては、1周期前の右前輪20Rの周速
度の値VFRn-1を値VWOとおき、また、そのときの右前輪2
0Rの周速度の値VFRnを値VWNとおくとともに、スリップ
車輪判定フラグSFQを右前輪スリップフラグSFFRとお
き、プロセス116において、第5図に示される如くのス
リップ検出用プログラムを実行した後、プロセス117に
おいて右前輪スリップフラグSFFRをスリップ車輪判定フ
ラグSFQにおき換えてプロセス118に進む。プロセス118
においては、1周期前の左後輪21Lの周速度の値VRLn-1
を値VWOとおき、また、そのときの左後輪21Lの周速度の
値VRLnを値VWNとおくとともに、スリップ車輪判定フラ
グSFQを左後輪スリップフラグSFRLとおき、プロセス119
において、第5図に示される如くのスリップ検出用プロ
グラムを実行した後、プロセス120において、左後輪ス
リップフラグSFRLをスリップ車輪判定フラグSFQにおき
換えてプロセス122に進む。プロセス122においては、1
周期前の右後輪21Rの周速度の値VRRn-1を値VWOとおき、
また、そのときの右後輪21Rの周速度の値VRRnを値VWNと
おくとともに、スリップ車輪判定フラグSFQを右後輪ス
リップフラグSFRRとおき、プロセス123において、第5
図に示される如くのスリップ検出用プログラムを実行し
た後、プロセス124において、右後輪スリップフラグSFR
Rをスリップ車輪判定フラグSFQにおき換えてプロセス12
5に進む。
プロセス125においては、左前輪スリップフラグSFFL,
右前輪スリップフラグSFFR,左後輪スリップフラグSFRL
及び右後輪スリップフラグSFRRを加算することによりス
リップ車輪計数フラグSFを設定し、続くディシジョン12
6において、アクセルペダル66が解放状態にされている
か否かを判断し、アクセルペダル66が解放状態にされて
いると判断された場合には、プロセス127において、ス
リップ車輪計数フラグSFを零にした後、このプログラム
を終了し、また、ディシジョン126において、アクセル
ペダル66が解放状態にされていないと判断された場合に
は、プロセス127を経由することなくこのプログラムを
終了する。
一方、第3図のフローチャートにおけるプロセス104
で実行される推定車速設定用プログラムは、第6図のフ
ローチャートで示される如くに、スタート後、ティシジ
ョン140において、1周期前に設定された推定車速の値V
n-1が値Vh以上であるか否かを判断し、推定車速の値V
n-1が値Vh以上であると判断された場合には、プロセス1
41において、推定車速の値Vnを検出信号S1〜S4があらわ
す左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rの夫々
についての周速度の値VFLn,VFRn,VRLn及びVRRnのうちの
最小のものに補正係数αを乗じることにより算出し
て、このプログラムを終了し、ディシジョン140におい
て、推定車速の値Vn-1が値Vh未満であると判断された場
合には、ディシジョン142において、検出信号Sdがあら
わす左前輪20L及び右前輪20Rの舵角θが値θa以上であ
るか否かを判断し、舵角θが値θa未満であると判断さ
れた場合には、プロセス141を上述と同様に実行してこ
のプログラムを終了し、舵角θが値θa以上であると判
断された場合には、ディシジョン143に進む。
ディシジョン143においては、スリップ車輪計数フラ
グSFが零もしくは1であるか否かを判断し、スリップ車
輪計数フラグSFが零もしくは1であると判断された場合
には、ディシジョン144において、舵角θに基づいて車
両5が右旋回状態にあるか否かを判断し、車両5が右旋
回状態にあると判断された場合には、ディシジョン145
において、右前輪スリップフラグSFFRが零であるか否か
を判断し、右前輪スリップフラグSFFRが零であると判断
された場合には、ディシジョン146において、左後輪ス
リップフラグSFRLが零であるか否かを判断し、左後輪ス
リップフラグSFRLが零であると判断された場合には、プ
ロセス147において、推定車速の値Vnを式;Vn={(VFRn
+VRLn)/2}×αにより算出してこのプログラムを終
了し、ディシジョン145及び146において、夫々、右前輪
スリップフラグSFFR及び左後輪スリップフラグSFRLが零
でないと判断された場合には、プロセス148において推
定車速の値Vnを式;Vn={(VFLn+VRRn)/2}×α
より算出してこのプログラムを終了する。
一方、ディシジョン144において車両5が右旋回状態
にないと判断された場合には、ディシジョン151におい
て、左前輪スリップフラグSFFLが零であるか否かを判断
し、左前輪スリップフラグSFFLが零であると判断された
場合には、ディシジョン152において、右後輪スリップ
フラグSFRRが零であるか否かを判断し、右後輪スリップ
フラグSFRRが零であると判断された場合には、プロセス
153において推定車速の値Vnを式;Vn={(VFLn+VRRn)
/2}×αにより算出してこのプログラムを終了し、デ
ィシジョン151及び152において、夫々、左前輪スリップ
フラグSFFL及び右後輪スリップフラグSFRRが零でないと
判断された場合には、プロセス154において、推定車速
の値Vnを式;Vn={(VFRn+VRLn)/2}×αにより算
出してこのプログラムを終了する。
また、ディシジョン143において、スリップ車輪計数
フラグSFが零もしくは1でないと判断された場合には、
ディシジョン155において、スリップ車輪計数フラグSF
が2であるか否かを判断し、スリップ車輪計数フラグSF
が2であると判断された場合には、ディシジョン156に
おいて、右前輪スリップフラグSFFRが零であるか否かを
判断し、右前輪スリップフラグSFFRが零でないと判断さ
れた場合には、ディシジョン157において、右後輪スリ
ップフラグSFRRが零であるか否かを判断し、右後輪スリ
ップフラグSFRRが零でないと判断された場合には、ディ
シジョン158において、車両5が右旋回走行状態にある
か否かを判断する。そして、車両5が右旋回走行状態に
あると判断された場合には、プロセス159において、推
定車速の値Vnを式;Vn=VFLn×αにより算出してこの
プログラムを終了する。また、ディシジョン158におい
て、車両5が右旋回走行状態にないと判断された場合に
は、プロセス160において、推定車速後値Vnを式;Vn=VR
Ln×αにより算出してこのプログラムを終了する。
一方、ディシジョン157において、右後輪スリップフ
ラグSFRRが零であると判断された場合には、ディシジョ
ン161において、左前輪スリップフラグSFFLが零である
か否かを判断し、左前輪スリップフラグSFFLが零である
と判断された場合には、プロセス162において、推定車
速の値Vnを式;Vn={(VFLn+VRRn)/2}×αにより
算出してこのプログラムを終了し、ディシジョン161に
おいて、左前輪スリップフラグSFFLが零でないと判断さ
れた場合には、プロセス163において、推定車速の値Vn
を式;Vn={(VRRn+VRLn)/2}×αにより算出して
このプログラムを終了する。
また、ディシジョン156において、右前輪スリップフ
ラグSFFRが零であると判断された場合には、ディシジョ
ン170において、左前輪スリップフラグSFFLが零である
か否かを判断し、左前輪スリップフラグSFFLが零である
と判断された場合には、プロセス164において、推定車
速の値Vnを式;Vn={(VFRn+VFLn)/2}×αにより
算出してこのプログラムを終了し、ディシジョン170に
おいて、左前輪スリップフラグSFFLが零でないと判断さ
れた場合には、ディシジョン165において、左後輪スリ
ップフラグSFRLが零であるか否かを判断する。そして、
左後輪スリップフラグSFRLが零であると判断された場合
には、プロセス166において、推定車速の値Vnを式;Vn=
{(VFRn+VRLn)/2}×αにより算出してこのプログ
ラムを終了する。一方、ディシジョン165において、左
後輪スリップフラグSFRLが零でないと判断された場合に
は、ディシジョン167において、車両5が右旋回走行状
態にあるか否かを判断し、車両5が右旋回走行状態にな
いと判断された場合には、プロセス168において、推定
車速の値Vnを式;Vn=VRRn×αにより算出してこのプ
ログラムを終了し、ディシジョン167において、車両5
が右旋回走行状態にあると判断された場合には、プロセ
ス169において推定車速の値Vnを式;Vn=VFRn×αによ
り算出してこのプログラムを終了する。
さらに、ディシジョン155において、スリップ車輪計
数フラグSFが2でないと判断された場合には、ディシジ
ョン171において、スリップ車輪計数フラグSFが3であ
るか否かを判断し、スリップ車輪計数フラグSFが3であ
ると判断された場合には、ディシジョン172において右
前輪スリップフラグSFFRが零であるか否かを判断し、右
前輪スリップフラグSFFRが零であると判断された場合に
は、プロセス173において、推定車速の値Vnを式;Vn=VF
Rn×αにより算出してこのプログラムを終了する。デ
ィシジョン172において、右前輪スリップフラグSFFRが
零でないと判断された場合には、ディシジョン174にお
いて、左前輪スリップフラグSFFLが零であるか否かを判
断し、左前輪スリップフラグSFFLが零であると判断され
た場合には、プロセス175において、推定車速の値Vnを
式;Vn=VFLn×αにより算出してこのプログラムを終
了する。ディシジョン174において、左前輪スリップフ
ラグSFFLが零でないと判断された場合には、ディシジョ
ン176において、右後輪スリップフラグSFRRが零である
か否かを判断し、右後輪スリップフラグSFRRが零である
と判断された場合には、プロセス177において、推定車
速の値Vnを式;Vn=VRRn×αにより算出してこのプロ
グラムを終了し、また、ディシジョン176において、右
後輪スリップフラグSFRRが零でないと判断された場合に
は、プロセス178において、推定車速の値Vnを式;Vn=VR
Ln×αにより算出してこのプログラムを終了する。
一方、ディシジョン171において、スリップ車輪計数
フラグSFが3つでないと判断された場合には、このプロ
グラムを終了する。
そして、第3図のフローチャートにおけるプロセス10
5で実行される制御態様設定用プログラムは、第7図に
示される如く、スタート後、ディシジョン179におい
て、後述される4輪スリップ制御フラグCF4が定常状態
をあらわす零であるか否かを判断し、4輪スリップ制御
フラグCF4が零であると判断された場合には、ディシジ
ョン180において、スリップ車輪計数フラグSFが1であ
るか否かを判断し、スリップ車輪計数フラグSFが1であ
ると判断された場合には、プロセス181において、ブレ
ーキ制御実行フラグEBFを1に設定するとともにスロッ
トル制御実行フラグETFを零に設定し、プロセス182にお
いて、スロットル制御用の目標スリップ率TGTRを値TG2
に設定し、プロセス183において、ブレーキ制御用の目
標スリップ率TGBRを値TG1に設定してこのプログラムを
終了する。
また、ディシジョン180において、スリップ車輪計数
フラグSFが1でないと判断された場合には、ディシジョ
ン184において、スリップ車輪計数フラグSFが2である
か否かを判断し、スリップ車輪計数フラグSFが2である
と判断された場合には、ディシジョン185において、右
前輪スリップフラグSFFRが零であるか否かを判断する。
そして、右前輪スリップフラグSFFRが零であると判断さ
れた場合には、ディシジョン186において、左前輪スリ
ップフラグSFFLが零であるか否かを判断し、左前輪スリ
ップフラグSFFLが零であると判断された場合には、左後
輪21L及び右後輪21Rが路面に対する所定以上のスリップ
を生じているので、プロセス187においてブレーキ制御
実行フラグEBFを1に、また、スロットル制御実行フラ
グETFを零に夫々設定してプロセス182に進み、プロセス
182以降のプロセスを上述と同様に順次実行してこのプ
ログラムを終了する。
一方、ディシジョン186において、左前輪スリップフ
ラグSFFLが零でないと判断された場合には、ディシジョ
ン188において左後輪スリップフラグSFRLが零であるか
否かを判断し、左後輪スリップフラグSFRLが零でないと
判断された場合には、左前輪20L及び左後輪21Lが路面に
対する所定以上のスリップを生じているので、プロセス
189において、目標スリップ率TGTRを値TG2に設定してプ
ロセス194に進む。また、ディシジョン185において、右
前輪スリップフラグSFFRが零でないと判断された場合に
は、ディシジョン190において、右後輪スリップフラグS
FRRが零であるか否かを判断し、右後輪スリップフラグS
FRRが零であると判断された場合には、ディシジョン191
において、左前輪スリップフラグSFFLが零であるか否か
を判断し、左前輪スリップフラグSFFLが零でないと判断
された場合には、左前輪20L及び右前輪20Rが路面に対す
る所定以上のスリップを生じているので、プロセス192
において、目標スリップ率TGTRを値TG3に設定してプロ
セス194に進む。さらに、ディシジョン190において、右
後輪スリップフラグSFRRが零でないと判断された場合に
は、右前輪20R及び右の後輪21Rが路面に対する所定以上
のスリップを生じているので、プロセス193において、
目標スリップ率TGTRを値TG2に設定してプロセス194に進
む。プロセス194においては、ブレーキ制御実行フラグE
BF及びスロットル制御実行フラグEFを共に1に設定し、
続くプロセス183において、目標スリップ率TGBRを値TG1
に設定してこのプログラムを終了する。さらに、ディシ
ジョン188において左後輪スリップフラグSFRLが零であ
ると判断された場合には、左前輪20L及び右後輪21Rが所
定以上のスリップを生じており、また、ディシジョン19
1において左前輪スリップフラグSFFLが零であると判断
された場合には、右前輪20R及び左後輪21Lが所定以上の
スリップを生じているので、斯かる場合には、プロセス
187に進み、プロセス187以降の各プロセスを上述と同様
に実行してこのプログラムを終了する。
一方、ディシジョン184において、スリップ車輪計数
フラグSFが2でないと判断された場合には、ディシジョ
ン196において、スリップ車輪計数フラグSFが3である
か否かを判断し、スリップ車輪計数フラグSFが3である
と判断された場合には、ディシジョン197において、3
輪同時スリップ発生フラグCF3が零であるか否かを判断
し、3輪同時スリップ発生フラグCF3が零であると判断
された場合には、ディシジョン198において、同時スリ
ップ計数フラグSFSが3であるか否かを判断し、同時ス
リップ計数フラグSFSが3でないと判断された場合に
は、プロセス199において、目標スリップ率TGTRを値TG2
に設定するとともに、ブレーキ制御実行フラグEBF及び
スロットル制御実行フラグETFを共に1に設定し、プロ
セス183において目標スリップ率TGBRを値TG1に設定して
このプログラムを終了する。また、ディシジョン197に
おいて3輪同時スリップ発生フラグCF3が零でないと判
断された場合、及び、ディシジョン198において同時ス
リップ計数フラグSFSが3であると判断された場合に
は、プロセス200において、目標スリップ率TGTRを値TG2
に設定し、ブレーキ制御実行フラグEBF及びスロットル
制御実行フラグETFを共に1に設定するとともに、3輪
同時スリップ発生フラグCF3を1に設定し、プロセス183
を上述と同様に実行してこのプログラムを終了する。
ディシジョン196において、スリップ車輪計数フラグS
Fが3でないと判断された場合には、ディシジョン201に
おいて、スリップ車輪計数フラグSFが4であるか否かを
判断し、スリップ車輪計数フラグSFが4であると判断さ
れた場合には、ディシジョン202に進む。また、ディシ
ジョン179において、4輪スリップ制御フラグCF4が零で
ないと判断された場合にも、ディシジョン202に進み、
ディシジョン202において、4輪スリップ制御フラグCF4
がスリップ収束状態をあらわす2であるか否かを判断す
る。そして、4輪スリップ制御フラグCF4が2でないと
判断された場合には、ディシジョン203において、4輪
スリップ制御フラグCF4が定常状態をあらわす零である
か否かを判断し、4輪スリップ制御フラグCF4が零であ
ると判断された場合には、プロセス204において、目標
スリップ率TGTRを零,ブレーキ制御実行フラグEBFを
零,スロットル制御実行フラグETFを1,4輪スリップ制御
フラグCF4をスリップ収束過程をあらわす1に設定して
プロセス205に進む。一方、ディシジョン203において、
4輪スリップ制御フラグCF4が零でないと判断された場
合には、そのままプロセス205に進む。
プロセス205においては、周速度の値VFLn,VFRn,VRLn
及びVRRnを加算して4で割ることにより周速度平均値VA
Vを算出し、続くプロセス206において総和偏差値εを
式;ε=(VFLn−VAV)+(VFRn−VAV)+(VRLn−
VAV)+(VRRn−VAV)により算出し、ディシジョン
207において総和偏差値εが所定の値Za以下であるか否
かを判断し、総和偏差値εが値Za以下でないと判断され
た場合には、そのままプロセス183に進み、プロセス183
を上述と同様に実行してこのプログラムを終了する。デ
ィシジョン207において、総和偏差値εが値Za以下であ
ると判断された場合には、プロセス208において目標ス
リップ率TGTRを値TG1に、また、4輪スリップ制御フラ
グCF4を2に設定し、内蔵タイマーをスタートさせて経
過時間Tの計測を開始する。そして、続くディシジョン
210において経過時間Tが所定の時間長Tx以上であるか
否かを判断し、経過時間Tが時間長Tx未満であると判断
された場合には、プロセス183を上述と同様に実行して
このプログラムを終了し、経過時間Tが時間長Tx以上で
あると判断された場合には、プロセス213において、ブ
レーキ制御実行フラグEBF,スロットル制御実行フラグET
F,3輪同時スリップ発生フラグCF3,4輪スリップ制御フラ
グCF4,スリップ車輪計数フラグSFを零にするとともに、
内蔵タイマーをリセットし、プロセス183を上述と同様
に実行した後このプログラムを終了する。また、プロセ
ス201において、スリップ車輪計数フラグSFが4でない
と判断された場合にも、プロセス213及びプロセス183を
上述と同様に実行してこのプログラムを終了する。
第3図のフローチャートにおけるプロセス106のスロ
ットル制御用プログラムは、第8図に示される如く、ス
タート後、ディシジョン220においてスロットル制御実
行フラグETFが零であるか否かを判断し、スロットル制
御実行フラグETFが零であると判断された場合には、プ
ロセス221において、通常スロットル開度制御用プログ
ラムを実行してこのプログラムを終了し、ディシジョン
220において、スロットル制御実行フラグETFが零でない
と判断された場合には、ディシジョン222において、目
標スリップ率TGTRが零であるか否かを判断し、目標スリ
ップ率TGTRが零であると判断された場合には、プロセス
224においてスロットル弁14を全閉にすべく、スロット
ル弁駆動信号Ctをスロットルアクチュエータ13に送出し
てこのプログラムを終了する。
また、ディシジョン222において、目標スリップ率TGT
Rが零でないと判断された場合には、ディシジョン225に
おいて、スロットル弁14の開度Thが、アクセルペダル66
の踏込量に応じて設定される通常目標スロットル開度TK
以下であるか否かを判断し、スロットル弁14の開度Thが
通常目標スロットル開度TKより大であると判断された場
合には、プロセス221において、通常スロットル開度制
御用プログラムを実行してこのプログラムを終了する。
また、ディシジョン225において、スロットル弁14の開
度Thが通常目標スロットル開度TK以下であると判断され
た場合には、プロセス226において、推定車速の値Vnを
用いて左前輪20L,右前輪20R,左後輪21L及び右後輪21Rの
うちの路面に対する所定以上のスリップを生じているも
のの平均スリップ率SAVを算出し、プロセス227において
目標スリップ率TGTRから平均スリップ率SAVを減じるこ
とにより差ΔSを算出する。そして、続くプロセス228
において平均スリップ率SAVを目標スリップ率TGTRに一
致させるべく、差ΔSに応じたスロットル弁駆動信号Ct
を形成し、それをスロットルアクチュエータ13に送出し
てこのプログラムを終了する。
さらに、第3図のフローチャートにおけるプロセス10
7のブレーキ制御用プログラムは、第9図に示される如
く、スタート後、ディシジョン230において、ブレーキ
制御実行フラグEBFが零であるか否かを判断し、ブレー
キ制御実行フラグEBFが零であると判断された場合に
は、プロセス231において、駆動信号Ca〜Chの送出を停
止してディスクブレーキ35A〜35Dを解放状態にした後、
このプログラムを終了し、ディシジョン230において、
ブレーキ制御実行フラグEBFが零でないと判断された場
合には、ディシジョン232において左前輪スリップフラ
グSFFLが零であるか否かを判断する。そして、左前輪ス
リップフラグSFFLが零でないと判断された場合には、プ
ロセス233において、推定車速の値Vnを用いて左前輪20L
の実際のスリップ率SFLを式;SFL=(VFLn−Vn)/VFLnに
より算出し、続くプロセス234において、実際のスリッ
プ率SFLと目標スリップ率TGBRとを一致させるべく、実
際のスリップ率SFLと目標スリップ率TGBRとの比較に基
づき駆動信号Ca及びCbを電磁開閉弁51及び52に選択的に
送出して、ディシジョン235に進む。また、ディシジョ
ン232において、左前輪スリップフラグSFFLが零である
と判断された場合にも、ディシジョン235に進む。ディ
シジョン235においては、右前輪スリップフラグSFFRが
零であるか否かを判断し、右前輪スリップフラグSFFRが
零でないと判断された場合には、プロセス236におい
て、推定車速の値Vnを用いて右前輪20Rの実際のスリッ
プ率SFRを式;SFR=(VFRn−Vn)/VFRnにより算出し、続
くプロセス237において、実際のスリップ率SFRと目標ス
リップ率TGBRとを一致させるべく、実際のスリップ率SF
Rと目標スリップ率TGBRとの比較に基づき駆動信号Cc及
びCdを電磁開閉弁53及び54に選択的に送出して、ディシ
ジョン238に進む。また、ディシジョン235において右前
輪スリップフラグSFFRが零であると判断された場合に
も、ディシジョン238に進む。ディシジョン238において
は、左後輪スリップフラグSFRLが零であるか否かを判断
し、左後輪スリップフラグSFRLが零でないと判断された
場合には、プロセス239において、推定車速の値Vnを用
いて左後輪21Lの実際のスリップ率SRLを式;SRL=(VRLn
−Vn)/VRLnにより算出し、続くプロセス240において、
実際のスリップ率SRLと目標スリップ率TGBRとを一致さ
せるべく、実際のスリップ率SRLと目標スリップ率TGBR
との比較に基づき駆動信号Ce及びCfを電磁開閉弁55及び
56に選択的に送出して、ディシジョン241に進む。ま
た、ディシジョン238において、左後輪スリップフラグS
FRLが零であると判断された場合にも、ディシジョン241
に進む。ディシジョン241においては、右後輪スリップ
フラグSFRRが零であるか否かを判断し、右後輪スリップ
フラグSFRRが零でないと判断された場合には、プロセス
242において、推定車速の値Vnを用いて右後輪21Rの実際
のスリップ率SRRを式;SRR=(VRRn−Vn)/VRRnにより算
出し、続くプロセス243において、実際のスリップ率SRR
と目標スリップ率TGBRとを一致させるべく、実際のスリ
ップ率SRRと目標スリップ率TGBRとの比較に基づき駆動
信号Cg及びChを電磁開閉弁57及び58に選択的に送出し
て、このプログラムを終了する。また、ディシジョン24
1において、右後輪スリップフラグSFRRが零であると判
断された場合には、プロセス231を上述と同様に実行し
てこのプログラムを終了する。
なお、上述の例においては、4個の車輪について所定
以上のスリップが検出されたとき、4個の車輪のスリッ
プが実質的に無くなるまでエンジンの出力が低下せしめ
られ、その後の所定の期間においては、各車輪のスリッ
プ率を所定の値となすスロットル制御が行われるように
なされているが、必ずしもそのようにされる必要はな
く、上述の所定の期間においては、各車輪のスリップ率
が所定の値以下に抑えられるようにスロットル制御が行
われるようにされてもよく、そのようにされた場合に
も、上述の例と同様な作用効果を得ることができる。
また、上述の例においては、4個の車輪について路面
に対する所定以上のスリップが検出されたとき、4個の
車輪のスリップが実質的に無くなるまでスロットル弁が
全閉状態にされてエンジンの出力が低下せしめられた
後、所定の期間、ブレーキ制御が行われることなくスロ
ットル制御のみが行われるようにされているが、必ずし
もそのようにされる必要はなく、4個の車輪が路面に対
するスリップが実質的に無い状態にされた後は、ブレー
キ制御、または、ブレーキ制御及びスロットル制御が再
開されるようにされてもよく、そのようにされた場合に
は、4個の車輪が路面に対するスリップが実質的に無い
状態にされた後においては、推定車速が、実際の車速に
等しい、もしくは、略等しいものとされているので、適
正なスリップ制御が再開されることになる。
さらに、上述の例においては、スリップ制御時におけ
るエンジンの出力が、スロットル開度を変化させること
により調整するようにされているが、必ずしもそのよう
にされる必要はなく、スロットル開度に代えて空燃比,
点火時期,排気還流量,吸排気弁開閉時期,過給圧、及
び、燃料噴射時期等を変化させることにより、調整する
ようにされてもよい。
さらにまた、上述の例は、常時、4輪駆動状態をとる
ようにされたフルタイム式の4輪駆動車に適用されてい
るが、本発明はそれに限られず、4輪駆動状態と2輪駆
動状態とが選択的にとり得るようにされたパートタイム
式の4輪駆動車にも適用できる。
(発明の効果) 以上の説明から明らかな如く、本発明に係る4輪駆動
車のスリップ制御装置によれば、全車輪に所定以上のス
リップが生じたとき、車両の走行安定性に影響を与える
ことなく、迅速に、各車輪を実質的にスリップを生じな
い状態とすることができ、それゆえ、全車輪に所定以上
のスリップが発生した場合に、推定される車速が実際の
車速に等しくなる、もしくは、略等しくなる走行状態が
極めて短時間のうちに得られ、その後、推定された車速
に基づいて適正にスリップを抑制する制御を行うことが
できる。
また、本発明に係る4輪駆動車のスリップ制御装置に
よれば、全車輪に所定以上のスリップが生じたとき、各
車輪についてのスリップが低減せしめられた後、所定の
期間、各車輪の路面に対する所定以上のスリップの再発
生が防止される状態を得ることができ、それにより、車
両の走行安定性を維持することができることになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る4輪駆動車のスリップ制御装置を
特許請求の範囲に対応させて示す基本構成図、第2図は
本発明に係る4輪駆動車のスリップ制御装置の一例を、
それが適用された車両とともに示す概念図、第3図〜第
9図は第2図に示される例のコントロールユニットにマ
イクロコンピュータが用いられた場合における、斯かる
マイクロコンピュータが実行するプログラムの一例を示
すフローチャートである。 図中、5は車両、12はエンジン、13はスロットルアクチ
ュエータ、14はスロットル弁、20Lは左前輪、20Rは右前
輪、21Lは左後輪、21Rは右後輪、30はブレーキ装置、35
A〜35Dはディスクブレーキ、40は液圧調整部、61〜64は
速度センサ、65はスロットル開度センサ、67はアクセル
開度センサ、100はコントロールユニットである。
フロントページの続き (72)発明者 長岡 満 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 渡辺 憲一 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−289429(JP,A) 特開 昭62−15127(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4輪駆動車における各車輪の路面に対する
    スリップを検出するスリップ検出手段と、 上記車輪の夫々に個別に制動力を付与するブレーキ手段
    と、 上記4輪駆動車に搭載されたエンジンの出力を変化させ
    る出力調整手段と、 上記スリップ検出手段により上記車輪のうちの3個以下
    について路面に対する所定以上のスリップが検出された
    とき、上記ブレーキ手段に、上記スリップが検出された
    車輪の周速度に基づいて算出されたスリップ率と目標ス
    リップ率とに応じて、上記スリップが検出された車輪に
    制動力を付与する制動動作を行わせる状態、及び、上記
    出力調整手段に、上記スリップが検出された車輪の周速
    度に基づいて算出されたスリップ率と目標スリップ率と
    に応じて、上記エンジンの出力を低下させる出力制御動
    作を行わせる状態のうちの少なくとも一方をとり、ま
    た、上記スリップ検出手段により上記車輪の全てについ
    て路面に対する上記所定以上のスリップが検出されたと
    き、上記ブレーキ手段に上記制動動を行わせることな
    く、上記出力調整手段に、上記目標スリップ率とは関わ
    りなく、上記エンジンの出力を低下させる出力制御動作
    を行わせる状態をとる制御手段と、 を具備して構成される4輪駆動車のスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】スリップ検出手段により車輪の全てについ
    て路面に対する所定以上のスリップが検出されたとき、
    出力調整手段が、エンジンのスロットル開度を全閉状態
    となすものとされることを特徴とする請求項1記載の4
    輪駆動車のスリップ制御装置。
  3. 【請求項3】スリップ検出手段により車輪の全てについ
    て路面に対する所定以上のスリップが検出され、制御手
    段が出力調整手段に出力制御動作を行わせる状態をとっ
    たことにより、上記車輪の夫々が実質的にスリップが無
    い状態とされたとき、上記制御手段が、上記出力調整手
    段に上記出力制御動作を再開させることを特徴とする請
    求項1記載の4輪駆動車のスリップ制御装置。
  4. 【請求項4】出力調整手段が出力制御動作を再開したと
    きから所定の期間においては、制御手段がブレーキ手段
    に制動動作を行わせないことを特徴とする請求項3記載
    の4輪駆動車のスリップ制御装置。
  5. 【請求項5】出力調整手段が出力制御動作を再開したと
    きから所定の期間においては、スリップ検出手段により
    車輪のうちの3個以下について路面に対する所定以上の
    スリップが検出されたときに比して、目標スリップ率が
    小とされることを特徴とする請求項3記載の4輪駆動車
    のスリップ制御装置。
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