JP2723253B2 - 沸騰水型原子炉用燃料集合体 - Google Patents

沸騰水型原子炉用燃料集合体

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JP2723253B2 JP63144705A JP14470588A JP2723253B2 JP 2723253 B2 JP2723253 B2 JP 2723253B2 JP 63144705 A JP63144705 A JP 63144705A JP 14470588 A JP14470588 A JP 14470588A JP 2723253 B2 JP2723253 B2 JP 2723253B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は長さの異なる3種類の燃料棒を組み合わせて
構成される沸騰水型原子炉用燃料集合体に関する。
(従来の技術) 従来の沸騰水型原子炉用燃料集合体では燃料棒の長さ
が一定であったため、あらかじめ必要な上下の反応度差
を設定する目的で燃料棒ごとに上下の濃縮度分布、可燃
性毒物分布を設けている。
例えば、代表的な沸騰水型原子炉用燃料集合体(8×
8燃料)における従来の設計例を第8図に示す。同図
(a)は燃料集合体1体を構成する燃料棒11〜17の配置
例であり、同図(b)に燃料棒11〜15にはそれぞれ濃縮
度e1〜e5の一定のものが使用され、燃料棒16はe3+G2,
また燃料棒17ではその上半部にe3,その下半部にe3+G1
が使用されている。wはウォータロッドである。
したがって、この設計例では1つの燃料棒について濃
縮度は一定であり、上下の反応度差を可燃性毒物の分布
により実現している。すなわち、集合体下部で可燃性毒
物入り燃料の本数が1本多くなっており、また上下の燃
焼速度に差があることに対応して可燃性毒物は下部の濃
度が上部よりも濃くなっている。
第9図は他の従来例であり、同図(a)は燃料集合体
を構成する燃料棒61〜68の配置図,同図(b)に前記燃
料棒61〜66のうち燃料棒61,63,65,66にはそれぞれ濃縮
度e1,e3,e4,e5の一定のものが使用され、燃料棒62,64で
は上半分の濃縮度を下半分より高くしている。また、可
燃性毒物入り燃料棒67,68は上下で本数を同じにしてい
る。これら燃料棒のうち可燃性毒物入り燃料棒67は全長
にわたり濃度e3+G2が用いられ、可燃性毒物入り燃料棒
68はその濃度が上部でG2,下部でG1であるから下部の方
が上部より高くなっている。
上記した従来例はいずれも沸騰水型原子炉に特徴的な
ボイド分布に伴なう上下方向の反応度差を一定の運転期
間にわたって濃縮度と可燃性毒物により相殺し、上下方
向の出力分布を平坦にし、最大線出力密度を抑制するよ
うにしたものであり、現在の沸騰水型原子炉では普通に
使用されている設計である。
(発明が解決しようとする課題) ところで、上記した従来の設計方法は燃料集合体の上
下方向(軸方向)の熱的ピーキングを抑制するために効
果的であり、原子炉の安全性向上に寄与してきた。しか
しながら、現在の8×8燃料を前提として第8図あるい
は第9図に示す従来の設計方式に従って高燃焼度あるい
は長期間運転を目標とした設計を行なうとした場合には
以下に説明するような種々の問題点があることがわかっ
てきた。
すなわち、高燃焼度燃料では燃料が長期間炉心で燃焼
するために核分裂性物質の濃度を従来燃料より高くして
いるが、これに伴ない燃料の余剰反応度が大きくなり、
それによって必要な可燃性毒物の量は増加させねばなら
ないことになる。
しかし、可燃性毒物の相対的な出力は可燃性毒物のな
い燃料棒に対して燃焼初期では1/2程度の出力しか出せ
ないため可燃性毒物本数の増加は格子の局所出力ピーキ
ングを大きくさせる。さらに高燃焼度化に伴ないボイド
反応度が大きくなることを抑制するために燃料棒本数を
減らした8×8燃料ではさらに局所出力ピーキングを大
きくする傾向にある。
また、この局所出力ピーキングを抑制するためには濃
縮度を従来例よりさらに細分化して設計する必要があ
る。
本発明は上記事情の鑑みてなされたもので、その目的
は、長さの異なる燃料棒を利用して軸方向の濃縮度分布
を調整できるようにした沸騰水型原子炉用燃料集合体を
提供することにある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明は、上記目的を達成するためになされたもの
で、燃料棒の長さが当該燃料集合体の長さと同程度の全
長燃料棒と、断面の面積が上部で大きく下部で小さいウ
ォーターロッドと、前記ウォーターロッドの断面積の小
さい部分の長さと同程度かそれ以下の長さの第1の部分
長燃料棒と、前記第1の部分長燃料棒より長く前記全長
燃料棒より短い第2の部分長燃料棒とからなり、前記各
燃料棒の下端位置を一致させて構成された沸騰水型原子
炉用燃料集合体において、それぞれの部分長燃料棒の核
分裂性物質濃度を上下方向についてほぼ一定値とし、前
記第1の部分長燃料棒の核分裂性物質濃度を当該燃料集
合体の平均の濃度と同じかそれより低い核分裂性物質濃
度とし、前記第2の部分長燃料棒の核分裂性物質濃度を
当該燃料集合体の平均の濃度と同じか平均の濃度よりも
高い核分裂性物質濃度とし、かつ下端から前記第1の部
分長燃料棒の上端までの燃料集合体断面平均濃縮度と前
記第1の部分長燃料棒の上端より前記第2の部分長燃料
棒の上端までの燃料集合体断面平均濃縮度とが異なるよ
うにするとともに前記全長燃料棒の一部に可燃性毒物を
含有していることを特徴とするものである。
(作 用) 本発明では9×9高燃焼度用集合体が有する特徴,す
なわち、あらかじめ燃料の上下方向に燃料棒本数の分布
があり,下部ほど本数が大きくなっているので、燃料棒
の上下方向の各位置で水素原子数対ウラン原子数比(H/
U比という)が平坦化され、燃焼度分布が平坦化される
という特徴を利用したものである。
すなわち、上下方向核分裂性物質濃度分布は出力分布
平坦化の観点から中央部の約1/3を高く、下部約1/3をそ
れより低く、残りの上部は炉停止余裕向上の観点から中
央部より低く設定し、あるいは核分裂性物質濃度分布を
一定とする場合は可燃性毒物本数を下部で多くすること
が熱的ピーク低減化に有効であるが、このような分布を
9×9高燃焼度用集合体を用いて実現するためには、第
1の部分長燃料棒の核分裂性物質濃度をその断面の濃度
の平均値以下とし、第2の部分長燃料棒の核分裂性物質
濃度をその断面の濃度の平均値以上とすることによって
必要な上下反応度分布をつけるか、あるいは第1,第2の
核分裂性物質濃度を平均濃縮度程度として、可燃性毒物
を全長燃料棒の一部と部分長燃料棒の一部に含ませるこ
とにより適切な可燃性毒物入り燃料本数の分布を作るこ
とで適切な上下反応度分布とすることができる。
(実施例) 本発明の実施例を図面を参照して説明する。
第1図(e)は本発明の一実施例の概略側面図であ
り、同図(a),(b),(c)はそれぞれ同図(e)
のA−A線,B−B線,C−C線に沿って燃料集合体内の燃
料棒の配置図,同図(d)は本実施例に用いられる各種
燃料棒の上下方向の核分裂性物質濃度と可燃性毒物の分
布を示した図である。
本実施例の燃料集合体1の内部の燃料バンドル2は第
1図(e)に示すように、長さの異なる燃料棒3,4,5お
よび中央部分を境にして上部が太く下部で細くなってい
るウォーターロッド6(以下図ではSLCWRで示す)を格
子状に組み立て、スペーサー7で束ね、上部を上部タイ
プレート8で固定し、下部を下部タイプレート9で固定
している。全長燃料棒の約2/3程度の長い部分長燃料棒
4は外側から第2列に配置されている。全長燃料棒の約
1/3程度の短い部分長燃料棒5は燃料集合体の中心に位
置するウォーターロッド6が細くなってできた空間にウ
ォータロッドを中心に配置されている。
また、上記燃料集合体は同図(d)に示すような燃料
棒から構成されている。すなわち、全長燃料棒21,22,23
は〜(d)の横断面図に示されるように、その上部に2/
24、下部に1/24の割合で天然ウラン相当濃縮度Nを使用
し、この天然ウランnを除いて上下に一様な濃縮度であ
り、この全長燃料棒21,22,23の順に濃縮度H,M,Lと低く
なっている。濃縮度Mは集合体の平均濃縮度とほぼ同程
度である。全長燃料棒23は同図(a)〜(c)に示すよ
うに4つのコーナ部、全長燃料棒22は全長燃料棒23に隣
接した8つの周辺位置に配置されている。全長燃料棒21
が40本、全長燃料棒22が8本、全長燃料棒23が4本とな
っている。
長い部分長燃料棒24は全長燃料棒21と同一な最高の濃
縮度Hを使用し、短い部分長燃料棒25は全長燃料棒23と
同一な最低の濃縮度Lを使用している。これらの燃料棒
24,25はいずれもブランケットを使用しておらず、下端
部1/24長さは燃料被覆管のみであり、燃料ペレットの代
りに核分裂生成物ガス吸着用ゲッターが挿入されてい
る。長い部分長燃料棒24は同図(b)および(c)に示
すように、外側から第2列に8本対称位置に配置されて
いる。
可燃性毒物入り全長燃料棒26は濃縮度Mであり、可燃
性毒物の濃度はGとなっており、その上部に2/24、下部
に1/24の割合で天然ウラン相当濃縮度Nを使用してい
る。可燃性毒物入り全長燃料棒26は同図(a)〜(c)
に示すように互いに隣接しない対称位置に配置されてい
る。
本実施例は3次元解析プログラムにより平均取り出し
燃焼度38GWd/tないし45GWd/t、運転期間15ないし18ケ月
を想定して検討した結果次に述べるような効果があるこ
とが確認されている。
すなわち、適切な上下濃縮度分布を実現していること
から第4図に示すように、大半の運転期間にわたって平
坦な上下方向の出力分布が実現されており、さらに局所
出力ピーキングは第7図に示すように十分低く、この結
果第5図に示すように、最大線出力密度は従来設計と比
較して十分低くできている。また、第6図に示すように
可燃性毒物濃度を上下に均一としているにもかかわらず
適切な燃焼が実現でき、十分平坦な余剰反応度が実現さ
れている。
このような特性を得るための濃縮度の種類は3種類の
みであり、しかも全長にわたり一様な濃度を採用したこ
とにより、燃料棒の種類数も部分長燃料棒、可変性毒物
入り燃料棒を合せて6種類のみで実現でき、このため製
造ライン上に少種類の濃縮度、燃料棒を準備するのみで
よく、効率的な製造ができ、コストダウンが可能とな
る。
濃縮度種類が少ないことは最大濃縮度と平均濃縮度の
差が小さくできることを意味し、取り出し燃焼度45GWd/
t、平均濃縮度4.0w/o程度の設計であっても最大濃縮度
制限の制約を受ける濃縮度5w/o以下の範囲で設計が可能
であり、本設計でも最大濃縮度は、4.9w/o以下である。
第3図は本発明の第3の実施例の燃料棒の配置図と上
下方向の核分裂性物質濃度と可燃性毒物の分布を示した
図である。なお、第3図(a)〜(c)は上記第1図
(a)〜(c)に相当する燃料棒の配置図である。
本実施例は第3図(d)に示すように、全長燃料棒の
上部に2/24、下部に1/24の割合で天然ウラン相当濃縮度
Nを使用し、全長燃料棒41,42,43はこの天然ウランNを
除いて上下に一様な濃縮度であり、この順に濃縮度が低
くH,M,Lとなっており、濃縮度Mは集合体の平均濃縮度
とほぼ同一となっている。また、同図(a)〜(c)に
示すように全長燃料棒43が4つのコーナ部、全長燃料棒
42は全長燃料棒43に隣接した8つの周辺位置に配置され
ている。
第2の部分長燃料棒44の濃縮度は平均濃縮度相当の中
間濃縮度Mを使用している。また第1の部分長燃料棒45
の濃縮度は最低濃縮度のLを使用している。可変性毒物
は全長燃料棒46と第2の部分長燃料棒47に含まれてお
り、この部分長燃料棒47に含まれる可燃性毒物濃度は全
長燃料棒46のものと同一である。
本実施例の燃料集合体は全長燃料棒41は40本、全長燃
料棒42が8本、全長燃料棒43が4本、部分長燃料棒44が
8本、部分長燃料棒45が4本、可燃性毒物入り燃料棒46
が12本,可燃性毒物入り部分長燃料棒47が2本から構成
されている。
本実施例は第一の実施例による濃縮度分布を2領域と
し、さらに可燃性毒物の分布を付けた例であり、上記第
一実施例および第二実施例と同等の特性が得られる。
なお、上記各実施例では9行9列量集合体について説
明したが、本発明は複数の燃料棒を1つのサブバンドル
とし、このサブバンドルを組合わせて構成した燃料集合
体にも適用できることは勿論である。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば3種類以上の長
さの異なる燃料棒を用いて、軸方向の濃縮度分布をつけ
ることができるので、従来のように多種類の燃料棒を必
要とせず、また、局所出力ピーキングも十分低くできか
つ十分平坦な余剰反応度を備えた効率的な製造ができる
沸騰水型原子炉用燃料集合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b),(c)はそれぞれ同図(e)の
A−A線,B−B線,C−C線に沿った燃料集合体内の燃料
棒の配置図,同図(d)は本実施例に用いられる各種燃
料棒の上下方向の核分裂性物質濃度と可燃性毒物の分布
を示した図,同図(e)は本発明の一実施例の概略側面
図、第2図は本発明の第3実施例の燃料棒の配置図と各
種燃料棒の上下方向の核分裂性物質濃度と可燃性毒物の
分布図、第3図は本発明の燃料集合体の運転期間と上下
方向出力ピーキングとの関係を示す図、第4図は本発明
の燃料集合体の運転期間と最大線出力密度との関係を示
す図、第5図は本発明の燃料集合体の運転期間と余剰反
応度との関係を示す図、第6図は本発明の燃料集合体の
最大線出力密度発生時点の局所出力ピーキングを示した
図、第7図および第8図はそれぞれ従来の燃料集合体の
燃料棒の異なる配置図、第9図は本発明の水素対ウラン
原子数比を説明するための図、第10図は本発明の上下方
向燃焼度分布図である。 1……燃料集合体全体 2……燃料バンドル 3……全長燃料棒 4……長い部分長燃料棒 5……短い部分長燃料棒 6……ウォーターロッド 7……スペーサ 8……上部タイプレート 9……下部タイプレート 21,31,41……全長燃料棒最高濃縮度 22,32,42……全長燃料棒中間濃縮度 23,33,43……全長燃料棒最低濃縮度 24,34,44……長い部分長燃料棒 25,35,45……短い部分長燃料棒 26,36,46……可燃性毒物入り全長燃料棒 37,47……可燃性毒物入り部分長燃料棒
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−211584(JP,A) 特開 昭63−127190(JP,A) 特開 昭62−259088(JP,A) 特開 昭62−194494(JP,A) 特開 昭62−263495(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料棒の長さが当該燃料集合体の長さと同
    程度の全長燃料棒と、断面の面積が上部で大きく下部で
    小さいウォーターロッドと、前記ウォーターロッドの断
    面積の小さい部分の長さと同程度かそれ以下の長さの第
    1の部分長燃料棒と、前記第1の部分長燃料棒より長く
    前記全長燃料棒より短い第2の部分長燃料棒とからな
    り、前記各燃料棒の下端位置を一致させて構成された沸
    騰水型原子炉用燃料集合体において、それぞれの部分長
    燃料棒の核分裂性物質濃度を上下方向についてほぼ一定
    値とし、前記第1の部分長燃料棒の核分裂性物質濃度を
    当該燃料集合体の平均の濃度と同じかそれより低い核分
    裂性物質濃度とし、前記第2の部分長燃料棒の核分裂性
    物質濃度を当該燃料集合体の平均の濃度と同じか平均の
    濃度よりも高い核分裂性物質濃度とし、かつ下端から前
    記第1の部分長燃料棒の上端までの燃料集合体断面平均
    濃縮度と前記第1の部分長燃料棒の上端より前記第2の
    部分長燃料棒の上端までの燃料集合体断面平均濃縮度と
    が異なるようにするとともに前記全長燃料棒の一部に可
    燃性毒物を含有していることを特徴とする沸騰水型原子
    炉用燃料集合体。
  2. 【請求項2】第1の部分長燃料棒および第2の部分長燃
    料棒の少なくとも一部の部分長燃料棒に可燃性毒物を含
    有していることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
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