JP2720533B2 - 縫製品のアタリ解消方法およびアタリ解消用具 - Google Patents

縫製品のアタリ解消方法およびアタリ解消用具

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JP2720533B2 JP17943489A JP17943489A JP2720533B2 JP 2720533 B2 JP2720533 B2 JP 2720533B2 JP 17943489 A JP17943489 A JP 17943489A JP 17943489 A JP17943489 A JP 17943489A JP 2720533 B2 JP2720533 B2 JP 2720533B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は縫製品のアタリ解消方法およびアタリ解消用
具に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 従来、縫製時あるいは洗濯後のアイロンがけにより、
縫製品の縫目部分にいわゆるアタリが発生する場合があ
り、縫製品の品位を著しく損う問題があった。
このアタリは、テカリ、コテビカリとも言われ、縫製
品の縫目部分に存在する糸条がアイロンがけにより全体
として押しつぶされ偏平化することにより発生する現象
である。
この現象は、合成繊維からなる縫製品に顕著に起きや
すく、織編組織,密度,糸使いなどによっても起きやす
さの程度は異なる。その因果関係は現在のところ明確に
されていないが、朱子織や綾織など糸が布帛表面に多く
浮き出た組織の場合に比較的起きやすい傾向が見られ
る。
そして、一旦このアタリが発生してしまうと、これを
解消することはこれまでは不可能と考えられていたので
ある。
[課題を解決するための手段] 上記課題を解決するため、本発明の縫製品のアタリ解
消方法は次の構成を有する。すなわち、風速1〜9m/秒
の加熱空気量から2〜5cmの距離を保ちつつ、少なくと
も1秒以上生地面の表面温度を120〜200℃に保つことを
特徴とする縫製品のアタリ解消方法である。
また、本発明のアタリ解消用具は次の構成を有する。
すなわち、風速1〜9m/秒、風量0.02〜0.3m3/分、125〜
250℃の範囲の熱風を発生することができ、熱風発生口
に2〜5cmの長さの断熱性スペーサーを設けたことを特
徴とする縫製品のアタリ解消用具である。
以下、さらに詳細に本発明について説明する。
本発明の縫製品のアタリ解消方法においては、縫製品
のアタリが発生した縫目部分の生地に加熱空気を当てる
ものであるが、その加熱空気流の風速は縫目部分の生地
から2〜5cmの距離を置いた熱風発生口において1〜9m/
秒とするものである。風速が1m/秒未満では糸のふくら
みが十分に回復せず、アタリ解消効果が不十分となる。
一方、風速が9m/秒を超えると当該縫目部分が吹き飛ぶ
など作業に支障をきたすなどの問題がある。
なお、本発明の縫製品のアタリ解消方法において、加
熱空気流の生地面に対する方向は、効率良く加熱空気流
処理を施すために、生地面に垂直方向を基準(0゜)と
して、+45゜〜−45の範囲であることが好ましい。
また、本発明の縫製品のアタリ解消方法において、縫
製品のアタリが発生した縫目部分の生地面の表面温度
を、少なくとも1秒以上120〜200℃に保つものである。
生地面の表面温度が120℃未満では長時間処理してもア
タリ解消効果が十分でなく、一方、200℃を越えると作
業者がやけどをするおそれがある、素材によって風合が
硬化するなどの問題がある。なお、この温度範囲内にお
いて、高めの温度とする場合には数秒の短時間の処理で
行なっても十分なアタリ解消効果が得られ、低めの温度
とする場合には、数十秒間処理を行なうことにより十分
なアタリ解消効果が得られる。アタリ解消用具の能力や
作業者の好みに応じていずれの条件を選択しても好まし
い結果が得られる。
本発明のアタリ解消用具は、上記した縫製品のアタリ
解消方法に特に適したものであって、風速1〜9m/秒、
風量0.02〜0.3m3/分、125〜250℃の範囲の風量を発生す
る能力を有するものである。すなわち、上記範囲内のす
べての条件の熱風を発生する能力は必ずしも必要ではな
く、上記範囲内のいずれかの条件の熱風を発生する能力
があれば良いのである。縫製品のアタリが発生した縫目
部分の生地面に所定温度、所定風速の熱風処理を施すた
めである。
また、本発明のアタリ解消用具は、一定の距離を保持
しつつ生地面に熱風をあてるために、その熱風発生口に
2〜5cmの長さの断熱性スペーサーを設けるものであ
る。断熱性スペーサーの長さが2cm未満では、熱風発生
口と生地面の距離が小さすぎるために高温の熱風の場
合、生地の風合が硬化しやすいなどの問題がある。一
方、断熱性スペーサーの長さが5cmを越えると生地面に
おける所定風速の維持が困難となる、エネルギーの損失
が大きくなるほどの問題がある。
該断熱性スペーサーの素材としては、熱伝導率が低
く、柔軟で一定強度を有することから、ガラス繊維から
なる布帛、アルミナなどのセラミック繊維からなる布帛
が好ましく用いられる。該スペーサーは断熱性、すなわ
ち、熱伝導率が低いものでないとその先端が生地面に接
触した場合に、生地の風合が硬化したり、変色したり、
極端な場合には接触部が溶融するなどの問題がある。
上記の断熱性が低い布帛に耐熱性の樹脂加工を施すこ
とも、該布帛の表面を滑かにし、また布帛の耐久性を向
上させるので好ましい。
また、該断熱性スペーサーの形状には、一定の距離を
保持することができるものであれば特に制限はなく、短
冊状、円筒状などのいずれでも良く、短冊状の場合に
は、1ヵ所でも複数ヵ所でも良い。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
[実施例] 本発明において、アタリの判定は目視により行なった
が、その基準は次のとおりとした。
5級:全くアタリが目立たないもの 4級:ほとんどアタリが目立たないもの 3級:ややアタリが目立つもの 2級:かなりアタリが目立つもの 1級:著しくアタリが目立つもの (実施例) 経糸に50D−24f、緯糸に75D−36fのポリエステルフィ
ラメントを用いた(経糸密度:268本/in,緯糸密度:136本
/in)、目付65g/m2、厚さ0.42mmのサテン織物を用いて
婦人用ブラウスを縫製した。
縫製の際、縫代を片倒しするため、生地表面温度が14
0℃になるように調整したスチームアイロンHYS−65(直
本工業(株)製)で縫目部分を1回アイロンがけした。
さらに縫製後、仕上げのため上記同様の条件でスチー
ムアイロンがけを行なった。
仕上げられた婦人用ブラウスの縫目部分のアタリの判
定結果を表1に示すように3級であり、ややアタリが目
立ち、実用上問題になるレベルであった。
熱風吹出口に、フッ素樹脂をコーティングした厚さ0.
3mmのガラス繊維からなる平織物を切断した1cm×4cmの
短冊状小片を第1図に示すように3枚とりつけたホット
ブラスターMS5347((株)ミヤモト製作所製)を用い
て、上記婦人用ブラウスをハンガーに吊してアタリの発
生した縫目部分に対し、熱風吹出口から4cm離して生地
に垂直に熱風を2秒間吹付けた。なお、このホットブラ
スターは、風速3〜6m/秒、風量0.075〜0.15m3/分、最
高250℃の熱風を発生する能力を有するものであった。
この際の熱風吹出口における風速は4m/秒、縫目部分
の生地表面温度は140〜160℃であった。
このようにして処理した後の縫目部分のアタリを判定
したところ、表1に示すように4級となり、ほとんどア
タリが目立たなくなり、実用上問題にならないレベルに
改善できた。
表1中の処理前後の値はアタリの判定結果(級)を示
す。
(比較例1) 実施例と同様、婦人用ブラウスを縫製、仕上げの際に
アイロンがけした婦人用ブラウスの縫目部分のアタリの
判定結果は表1に示すように3級であり、ややアタリが
目立ち、実用上問題になるレベルであった。
実施例で用いたのと同じガラス繊維からなる短冊状小
片を3枚とりつけたホットブラスターを用いて、上記婦
人用ブラウスをハンガーに吊してアタリの発生した縫目
部分に対し、熱風吹出口から4cm離して生地に垂直に熱
風を2秒間吹付けた。
この際の熱風吹出口における風速は6m/秒、縫目部分
の生地表面温度は95〜115℃であった。
このようにして処理した後の縫目部分のアタリを判定
したところ、表1に示すように処理前と同じ3級であ
り、アタリの改善効果は認められなかった。
(比較例2) 実施例と同様、婦人用ブラウスを縫製、仕上げの際に
アイロンがけした婦人用ブラウスの縫目部分のアタリの
判定結果は表1に示すように3級であり、ややアタリが
目立ち、実用上問題になるレベルであった。
実施例で用いたのと同じガラス繊維織物の短冊状小片
を3枚とりつけたホットブラスターを用いて、上記婦人
用ブラウスをハンガーに吊してアタリの発生した縫目部
分に対し、熱風吹出口から4cm離して生地に垂直に熱風
を2秒間吹付けた。この際の熱風吹出口における風速は
3m/秒、縫目部分の生地表面温度は210〜230℃であっ
た。このようにして処理した後の縫目部分は熱のため変
色して著しい風合硬化をきたし、実用上着用不可能な縫
製品となった。
(比較例3) 実施例と同様、婦人用ブラウスを縫製、仕上げの際に
アイロンがけした婦人用ブラウスの縫目部分のアタリの
判定結果は表1に示すように3級であり、ややアタリが
目立ち、実用上問題になるレベルであった。
実施例で用いたのと同じガラス繊維からなる短冊状小
片を3枚とりつけたホットブラスターを用いて、上記婦
人用ブラウスをハンガーに吊してアタリの発生した縫目
部分に対し、熱風吹出口から4cm離して生地に垂直に熱
風を2秒間吹付けた。
この際の熱風吹出口における風速は0.5m/秒、縫目部
分の生地表面温度は140〜160℃であった。
このようにして処理した後の縫目部分のアタリを判定
したところ、表1に示すように処理前とほぼ同じ3〜4
級であり、アタリの改善効果はほとんど認められなかっ
た。
(比較例4) 実施例と同様、婦人用ブラウスを縫製、仕上げの際に
アイロンがけした婦人用ブラウスの縫目部分のアタリの
判定結果は表1に示すように3級であり、ややアタリが
目立ち、実用上問題になるレベルであった。
実施例で用いたのと同じガラス繊維からなる短冊状小
片を3枚とりつけたホットブラスターを用いて、上記婦
人用ブラウスをハンガーに吊してアタリの発生した縫目
部分に対し、熱風吹出口から4cm離して生地に垂直に熱
風を2秒間吹付けた。
この際の熱風吹出口における風速は10m/秒、縫目部分
の生地表面温度は120〜140℃であった。
このようにして処理する際、風速が速いため処理すべ
き縫目部分が吹き飛んで目標が定まらず、アタリの改善
効果は認められなかった。
[発明の効果] 本発明のアタリ解消方法によって、従来不可能とされ
ていたアタリの解消が可能となった。
また、本発明のアタリ解消用具はアタリ解消方法を実
施するのに極めて都合の良いものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のアタリ解消用具の一例を示す側面図で
ある。 図中、 1:断熱性スペーサー 2:ホットブラスター

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】風速1〜9m/秒の加熱空気流から2〜5cmの
    距離を保ちつつ、少なくとも1秒以上生地面の表面温度
    を120〜200℃に保つことを特徴とする縫製品のアタリ解
    消方法。
  2. 【請求項2】風速1〜9m/秒、風量0.02〜0.3m3/分、125
    〜250℃の範囲の熱風を発生することができ、熱風発生
    口に2〜5cmの長さの断熱性スペーサーを設けたことを
    特徴とする縫製品のアタリ解消用具。
JP17943489A 1989-07-11 1989-07-11 縫製品のアタリ解消方法およびアタリ解消用具 Expired - Lifetime JP2720533B2 (ja)

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