JP2720263B2 - 逆止弁一体型ストレーナ付き止水栓 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、湯水の流路の途中に、
止水弁と逆止弁とストレーナとを配設する湯水混合水栓
等において、これらの止水弁と逆止弁とストレーナとを
同一軸上で一体的に組み込むようにした技術に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、湯水混合水栓等にあっては、水
栓本体内の湯水混合室に至る湯と水とのそれぞれの流路
の上流側に、止水弁と，逆止弁と，ストレーナとを配設
している。ストレーナは、湯と水とに含まれている赤錆
等のゴミを取り除くためのものであり、また逆止弁は上
水道等の給水源又は給湯源へ混合水栓内の湯水が逆流す
るのを阻止するためのものである。更に止水弁は、水栓
本体の上流側を閉塞することで、水栓本体内のメインテ
ナンスができるようにするためのものである。

【０００３】而して、従来の湯水混合水栓における止水
弁と、逆止弁と、ストレーナとは、図５に示すように、
これらの三者が一体的に組み込まれたタイプのものと、
図６及び図７に示すように、逆止弁付きストレーナと、
止水弁とが別体に形成されたタイプのものとがある。

【０００４】図５に示す従来技術は、流路１をクランク
状に屈曲形成し、その屈曲部の一箇所において、止水弁
と逆止弁とを兼用する弁体２と、ストレーナ３とを一体
的に組み込んでいる。このことを更に詳しく説明する
と、先ず流路１の屈曲部に流入口４と弁座部５と流出口
６とが形成されたホルダー７を螺着している。そして、
該ホルダー７の外周面に流出口６を覆うべくストレーナ
３を外嵌している。一方、ホルダー７の他端側には、ス
プリング８を介して軸方向に摺動自在な弁体２を有する
調節螺子９が螺着されている。更に、流路本体にはこれ
らの装着孔を閉塞する栓体１０が螺着されている。な
お、ストレーナ３は該栓体１０の鍔部内周面に、接着剤
等により一体的に取り付けられている。

【０００５】通常の使用状態では、スプリング８の付勢
力により、弁体２が弁座部５へ着座している。蛇口を開
く等して流路１の下流側の圧力が低下すると、弁体２は
図５の上方向へ上昇し、流入口４を開口する。これによ
り、湯水がホルダー４内へ流入し、流出口６及びストレ
ーナ３を通過して二次側へ流れ、吐水口から吐出され
る。何等かの原因により二次側の圧力が高くなった場合
は、弁体２が弁座部５へ着座し、逆流を防止するように
なっている。また調節螺子９を更に螺子込んで弁体２を
強制的に弁座部５へ着座させた場合は、止水栓の役目を
するようになっている。

【０００６】図６及び図７に示す従来技術は、浴槽の上
縁面１１にハンドル１２のみを突出させて、その他の部
分は埋め込むタイプの混合水栓１３である。この混合水
栓１３は、その流出側が定量止水栓１４へ接続され、定
量止水栓１４の下流側には更に吐水管１５が接続されて
いる。この混合水栓１３は、止水栓１６とストレーナ付
き逆止弁１７とが別体で組み込まれている。これは湯側
及び水側の流路共に同じである。

【０００７】湯又は水の供給源から供給された湯水は、
先ず止水栓１６を通り、続いて逆止弁及びストレーナ１
７を通過して混合室１８側へ流入する。そして、湯と水
とが混合されて適温の温水となり、混合水栓１３の背面
側へ回ってバイパス管１９から定量止水栓１４へ流入
し、吐水管１５を経て吐出される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところが、図５に示す
従来技術にあっては、流入口４から流入した湯水の赤錆
やその他のゴミ類がストレーナ３によって濾過されてホ
ルダー７内に溜まり、弁体２の正常な弁動作に支障を来
すという問題があった。仮に、栓体１０を緩めてストレ
ーナ３を抜き取り、ホルダー７内のゴミを除去しようと
してもストレーナ３の内周面側がホルダー７の外周面を
摺接して抜き取られるので、ストレーナ３の内周面に付
着したゴミがホルダー７内へ掻き落とされ、却ってゴミ
を多く発生させることになっていた。

【０００９】またホルダー７の全体を抜き取り、弁体２
等のメンテナンスをする場合は、元栓を閉塞して行う必
要があり、止水栓の役目を果たすことができないでい
た。更に、この従来技術では、流路１自体にクランク部
が多く、圧損の原因になるという欠点があった。

【００１０】一方、図６及び図７に示す従来技術にあっ
ては、ストレーナ付き逆止弁１７と、止水栓１６とが別
体であるため、この場合も流路が複雑となり、圧損が大
きくなると共に、混合水栓１３の本体の前後方向幅（図
６の上下方向）が大きくなり、大型化するという欠点が
あった。

【００１１】またこの従来技術では、ストレーナ付き逆
止弁１７と止水栓１６とを異なる位置で取り付けなけれ
ばならない関係上、混合水栓１３の本体に定量止水栓１
４への接続用流路を形成することができず、その背面側
でオフセットさせたバイパス管１９を介して接続するよ
うにしている。そのため、定量止水栓１４及び吐水管１
５が、混合水栓１３の右側又は左側へ配置されるかによ
って、そのバイパス管１９の接続位置が異なるようにな
り、右用と左用とを別々に製作して準備しておく必要が
あった。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は従来の前記課題
に鑑みてこれを改良除去したものであって、流路形状及
び混合水栓本体をシンプルにでき且つ定量止水栓等との
接続が右用及び左用を兼用できる混合水栓にすることの
できる逆止弁一体型ストレーナ付き止水栓を提供せんと
するものである。

【００１３】而して、前記課題を解決するために本発明
が採用した手段は、湯又は水の流路の途中に、止水弁と
逆止弁とストレーナとを配設するものにおいて、ホルダ
ー本体の周面に流入口と流出口とを開口し、流入口と流
出口との間のホルダー本体内に逆止弁を配設し、流入口
にストレーナを設け、ホルダー本体の先端側に軸方向摺
動自在で且つ回転不可能に止水弁体を嵌合装着したこと
を特徴とする逆止弁一体型ストレーナ付き止水栓であ
る。

【００１４】

【作用】本発明にあっては、流入口と流出口とを有する
ホルダー本体の上流側の先端に止水弁を組み込み、また
ホルダー本体内に逆止弁を一体的に組み込み、ストレー
ナを流入口の周囲のホルダー本体に取り付けている。こ
れらの止水弁、逆止弁及びストレーナが一体的に組み込
まれているので、湯水混合水栓本体の流路をシンプルに
でき、しかも別々に設置する場合に比較して湯水混合水
栓本体の奥行き寸法を小さくできる。またホルダー本体
を回転させることで、止水弁を流路本体の弁座へ着座さ
せることができる。その状態でホルダー本体を流路本体
から抜き取ることが可能であり、弁体のメンテナンス等
に際し、元栓を閉める必要がない。

【００１５】

【実施例】以下に、本発明の構成を図面に示す実施例に
基づいて説明すると次の通りである。なお、従来の場合
と同一符号は同一部材である。図１乃至図３は本発明の
一実施例に係るものであり、図１は逆止弁一体型ストレ
ーナ付き止水栓２０の全体を用いた湯水混合水栓２１の
部分縦断面図、図２は前記止水栓２０の分解斜視図、図
３は前記止水栓２０を用いた湯水混合水栓２１の全体を
示す部分縦断面図、図４は同平面図である。図１及び図
２に示すように、逆止弁一体型ストレーナ付き止水栓２
０は、筒状のホルダー本体２２の周側面に、流入口２３
と流出口２４とが軸方向に沿って設けられている。流入
口２３の外周面側には、ストレーナ２５が外嵌装着され
ている。

【００１６】そして、流入口２３と流出口２４との間の
ホルダー本体２２内には、カバー２６を介して逆止弁２
７が取り付けられている。カバー２６は、内筒と外筒と
の間を十文字状等の連結部材で連結しており、内筒内に
前記逆止弁２７の弁軸が摺動自在に装着され、外筒はホ
ルダー本体２２内に内嵌装着されている。２８は、前記
逆止弁２７を付勢するスプリング、２９はホルダー本体
２２内に設けられた弁座である。

【００１７】またホルダー本体２２の先端側には六角形
等の角孔３０が穿設されており、該角孔３０に止水弁体
３１の弁軸頭部３２が軸方向へ摺動自在に嵌合装着され
ている。更に、ホルダー本体２２の上端側には、調節ス
ピンドル３３が螺子部に配設された接着剤により一体的
に取り付け固定されており、逆止弁２７のカバー２６の
抜け止めとなっている。調節スピンドル３３の筒軸部に
は湯水混合水栓２１の本体３４へ螺着される栓体３５が
外嵌装着され、抜け止めリング３６により抜け止めがな
されている。

【００１８】このように構成された逆止弁一体型ストレ
ーナ付き止水栓２０は、図３に示すように、止水弁体３
０の弁軸先端側の螺子部３７が、湯水混合水栓２１の本
体３４の一部へ螺合装着される。そして、栓体３５を湯
水混合水栓２１の水栓本体３４へ螺着する。このような
状態で、調節スピンドル３３の頭部をドライバー等の工
具で回転させると、その回転力はホルダー本体２２を介
して先端側の止水弁体３１へ伝達される。止水弁体３１
は、ホルダー本体２２に対しては角孔３０と弁軸頭部３
２との嵌合により軸方向へ摺動自在であり、水栓本体３
４に形成された弁座３８（図１参照）との間の隙間を調
節することが可能である。仮に、止水弁体３１を弁座３
８へ着座させた場合は、止水状態となる。

【００１９】図３及び図４を見れば明らかなように、こ
の逆止弁一体型ストレーナ付き止水栓２０は、三つの機
能を持つそれぞれの部品を一つのホルダー本体２２内に
カートリッジ式に組み込んでおり、三者が同一軸上に配
設されているので、湯水混合水栓３１へ取り付けた状態
にあっては、その前後方向の幅寸法を著しく減少させる
ことが可能である。そのため、この止水栓２０を用いた
場合は、水栓本体３４の背面側に流路４０を一体的に形
成することが可能であり、従来のようにバイパス管は不
要である。

【００２０】通常の使用状態では、湯及び水は前記止水
弁体３１と弁座３８との間に形成される隙間を通ってス
トレーナ２５へ達し、ストレーナ２５及び流入口２３か
らホルダー本体２２内へ流入する。そして、逆止弁２７
をスプリング２８の付勢力に抗して押し上げ、流出口２
４から湯水混合水栓３１の混合室３９へ流れ、湯と水と
が混合されて適当な温水となる。この混合室３９は、図
３及び図４に示すように、水栓本体３４の背面側に形成
された流路４０，４０を介して水栓本体３４の両端側に
形成された流出接続口４１，４１へ連通している。この
場合、右側の流出接続口４１は閉塞されている。混合室
３９へ流入した温水は、前記流路４０を介して定量止水
栓１４へ流れ、吐水管１５から吐出される。

【００２１】次に、逆止弁２７及びストレーナ２５の清
掃及びメンテナンスを行う場合を説明する。この場合に
は、先ず、通常の使用状態から調節スピンドル３３の頭
部を工具で回転させ、ホルダー本体２２を介して止水弁
体３１を回転させる。これにより、止水弁体３１の螺子
部３７が、水栓本体３４の雌螺子部に対して螺合前進
し、やがて止水弁体３１を弁座３８へ着座させ、水栓本
体の流入側を閉塞させるようになる。つまり、止水状態
が得られる。

【００２２】然る後は、引き手４２を介して栓体３５を
回転させ、これを水栓本体３４から螺脱させる。そし
て、この状態で引き手４２を引き揚げると、栓体３５の
上端面凹部が調節スピンドル３３の抜け止めリング３６
へ当接係合するようになり、栓体３５と一緒に調節スピ
ンドル３３及びホルダー本体２２が一体的に抜き出され
る。止水弁体３１は、水栓本体３４へ螺着されたまま残
っている。従って、別途に元栓等を閉塞する必要はな
い。勿論、前記ホルダー本体２２には、逆止弁２７とス
トレーナ２５とが組み込まれており、水栓本体３４から
取り出した後は、これらの清掃及びメンテナンスを行う
ことが可能である。

【００２３】逆止弁２７とストレーナ２５の清掃及びメ
ンテナンスが終了した後は、ホルダー本体２２と調節ス
ピンドル３３を水栓本体３４の装着孔へ押し込み、ホル
ダー本体２２の角孔３０を止水弁体３１の弁軸頭部３２
へ嵌合させる。そして、栓体３５を水栓本体３４へ螺着
し、最後に調節スピンドル３３を回動させて止水弁体３
１を弁座３８から離座させて流路を開状態にすればよ
い。これにより、通常の使用状態となる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように本発明にあっては、
流入口と流出口とを有するホルダー本体の上流側の先端
に止水弁体を組み込み、またホルダー本体内に逆止弁を
一体的に組み込みむと共に、流入口の外周面にストレー
ナを取り付けたから、これらの止水弁体、逆止弁及びス
トレーナを一つのカートリッジとすることができる。そ
のため、湯水混合水栓本体の流路にクランク部を設ける
等の必要がなく、シンプルにできるので圧損が少なく、
吐出水勢に優れている。

【００２５】しかも、止水弁体と、逆止弁と、ストレー
ナとを別々に併設する場合に比較して、一軸構造である
ため湯水混合水栓本体の奥行き寸法を小さくでき、コン
パクト化が可能である。そのため、湯水混合水栓本体の
左右側に、定量止水栓等との接続用の流出口を形成する
ことができ、一つの水栓本体で右用及び左用を兼用する
ことが可能である。

【００２６】またホルダー本体を回転させることで、止
水弁体を流路本体の弁座へ着座させることができ、その
状態でホルダー本体を流路本体から抜き取って逆止弁及
びストレーナのメンテナンスを行うことができ、従来の
ように別途に元栓を閉塞する必要がなく、便利である。

【００２７】更には、ストレーナを逆止弁の上流側へ配
設したから逆止弁の駆動部分へごみ等がかみこむことは
なく、確実な動作を保証することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る逆止弁一体型ストレーナ付き止水
栓を組み込んだ湯水混合水栓の部分縦断面である。

【図２】本発明に係る逆止弁一体型ストレーナ付き止水
栓の分解斜視図である。

【図３】本発明に係る逆止弁一体型ストレーナ付き止水
栓を適用した湯水混合水栓の全体を示す部分縦断面図で
ある。

【図４】本発明に係る逆止弁一体型ストレーナ付き止水
栓を適用した湯水混合水栓の平面図である。

【図５】従来の逆止弁一体型ストレーナ付き止水栓の縦
断面図である。

【図６】従来のストレーナ付き逆止弁と、止水栓とを別
々に設置した湯水混合水栓の平面図である。

【図７】従来のストレーナ付き逆止弁と、止水栓とを別
々に設置した湯水混合水栓の部分縦断面図である。

【符号の説明】

２０…逆止弁一体型ストレーナ付き止水栓 ２１…湯水
混合水栓 ２２…ホルダー本体 ２３…流入
口 ２４…流出口 ２５…スト
レーナ ２７…逆止弁 ２８…スプ
リング ２９…弁座 ３０…角孔 ３１…止水弁体 ３３…調節
スピンドル ３５…栓体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−57974（ＪＰ，Ａ) 実開 平６−32852（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−180775（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 湯又は水の流路の途中に、止水弁と逆止
   弁とストレーナとを配設するものにおいて、ホルダー本
   体の周面に流入口と流出口とを開口し、流入口と流出口
   との間のホルダー本体内に逆止弁を配設し、流入口にス
   トレーナを設け、ホルダー本体の先端側に軸方向摺動自
   在で且つ回転不可能に止水弁体を嵌合装着したことを特
   徴とする逆止弁一体型ストレーナ付き止水栓。