JP2719417B2 - コンタクトレンズの消毒方法 - Google Patents

コンタクトレンズの消毒方法

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はコンタクトレンズの消毒方法に関する。
[従来の技術] コンタクトレンズ(以下、レンズという)、なかでも
含水性のレンズは、目に装用しているあいだや保存液中
に保存しているあいだなどにレンズ表面やレンズ内に細
菌などが繁殖して汚染されやすいので、定期的に消毒が
施される必要がある。
レンズを消毒する方法には、大きく分けて熱を加えて
消毒する加熱消毒方法と、殺菌剤により消毒する、いわ
ゆるコールド消毒方法(化学的消毒方法)とがある。
前記コールド消毒方法は、さらに塩化ベンザルコニウ
ム、クロロヘキシジン塩やチメロサールのような有機水
銀化合物などの通常の殺菌剤を用いて消毒する方法と、
分解させることにより無毒化しうる過酸化水素を用いる
消毒方法とに分けられる。
前記過酸化水素を用いる消毒方法では、消毒後に過酸
化水素を分解する必要があるが、かかる過酸化水素を分
解する方法としては、たとえば白金などの金属触媒を用
いる方法、ピルビン酸などの還元剤を用いる方法、カタ
ラーゼ、ペルオキシダーゼなどの酵素触媒を用いる方法
などが知られている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、加熱消毒方法およびコールド消毒方法
には以下に述べるような欠点や問題点などがある。
(イ)加熱消毒方法 加熱消毒方法においては、加熱する手段として一般に
電気による加熱手段が採用されている。
電気による加熱手段では、一般に電力会社などから供
給される一般家庭用の100V電源を必要とするため、たと
えば旅行などの際にレンズに加熱消毒を施す必要がある
ときに適当なコンセントがなかったり、使用電圧が異な
り、加熱消毒を施すことができないことがある。また、
加熱消毒をするための装置がややもするとコンパクトな
装置とはなりえず、持ち運ぶにはかさばるので不便であ
るという欠点もある。さらには、レンズを完全に消毒す
るためには、塩水溶液中でおよそ1時間もの長時間加熱
処理(加熱開始から煮沸(厚生省基準:100℃、20分以
上))および放冷処理を施す必要があるため、その処理
はきわめて煩わしいものであった。
(ロ)コールド消毒方法 (a)過酸化水素以外の殺菌剤を用いる方法 前記したように、殺菌剤を含む水溶液中にレンズを浸
漬して消毒する方法であるが、とくに含水性のレンズに
あってはそのレンズ中に殺菌剤が浸入して蓄積し、しか
も吸着されやすいので、消毒後にレンズを塩水溶液など
で充分にすすいでも充分にそのレンズ中の殺菌剤を取り
除くことができないことがある。このような状態でレン
ズを眼に装用すると、レンズから徐々に放出される殺菌
剤により、眼の粘膜などに刺激を与えたり、アレルギー
反応を起こす原因にもなるという欠点がある。
(b)過酸化水素を用いる方法 過酸化水素は容易に分解し、無毒化にすることができ
るものであるので、レンズの表面やレンズ中に存在する
過酸化水素を完全に分解してしまえば、前記のような眼
の粘膜などに刺激を与えたり、アレルギー反応を起こす
というような欠点を回避しうるという利点があるとはい
うものの、従来の過酸化水素を分解する方法には以下の
ような欠点がある。
(i)白金黒などの金属触媒により過酸化水素を分解す
る方法 前記白金黒触媒は、過酸化水素の分解力が大きいもの
であるが、その反面、かかる白金黒触媒は、塩化白金酸
を担体上に被覆したのち水素還元してえられるものであ
り、その製造過程が複雑であり、しかも白金黒触媒を用
いる方法は高価な装置を必要とし、また、白金黒の剥離
による遊離白金または遊離白金イオンがレンズ表面やレ
ンズ内部に残留するのでかかるレンズを装用したばあい
には眼に対する安全性に問題がある。さらに、この方法
では低濃度の過酸化水素に対してはそれを分解する効果
が小さい。
(ii)ピルビン酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩などの還元
剤により過酸化水素を分解する方法 前記還元剤は、過酸化水素に対する分解力が金属触媒
や酵素触媒と比べて小さく、安定性および速効力が低
い。また、たとえば酢酸イオンなどのイオンが発生する
ため、それがレンズ表面およびその内部に残留したばあ
いには眼に対する安全性にも問題がある。また、使用の
際には還元剤特有の臭いがあり、還元剤の色がレンズに
付着することがあるなどの欠点がある。
(iii)過酸化物および中和剤を含む錠剤により過酸化
水素を分解する方法 この方法では錠剤の製造過程が複雑であり、また、過
酸化水素溶液への錠剤の溶解が均一になりにくいという
欠点がある。
(iv)電気分解により過酸化水素を分解する方法 この方法では、過酸化水素を分解するための装置が複
雑でかつ高価になるという欠点がある。
(v)カタラーゼ、ペルオキシダーゼなどを用いた酵素
触媒により過酸化水素を分解する方法 酵素触媒に含まれるタンパク質がレンズに付着し、洗
浄に手間がかかり、さらに酵素触媒に含まれるタンパク
質が付着したレンズをそのまま放置しておくとレンズが
白濁する原因になったり、そのレンズを眼に装用すれ
ば、付着したタンパク質により眼にアレルギー反応が生
じるという問題点がある。
そこで本発明者は、前記従来技術に鑑みて簡便でしか
も確実にレンズを消毒することができ、さらに消毒後の
レンズに残留物などが含まれない方法を見出すことを目
的として鋭意研究を重ねたところ、レンズに過酸化水素
を用いて消毒処理を施しているあいだにまたは消毒処理
を施したのちに、処理溶液中に存在している過酸化水素
およびレンズ表面やレンズ内部に付着している過酸化水
素を分解させたばあいには、前記目的が達成されること
を見出し、本発明を完成するにいたった。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明はレンズを過酸化水素溶液を用いて
消毒する方法であって、消毒処理中または消毒処理後に
OH型陰イオン交換体を用いて過酸化水素を分解すること
を特徴とするレンズの消毒方法に関する。
[作用および実施例] 本発明においては、過酸化水素には、通常水溶液の状
態のもの、すなわち過酸化水素溶液が用いられる。前記
過酸化水素溶液における過酸化水素の濃度は、消毒効果
が充分に発揮され、かつレンズに形状変化や損傷を与え
ない濃度であればとくに限定はないが、通常およそ0.1
〜10W/V%の範囲内にあることが好ましい。前記過酸化
水素の濃度が10W/V%よりも高いばあいには、レンズに
損傷を与えるおそれがあり、また0.1W/V%よりも低いば
あいには、充分な消毒効果が発揮せられなくなる傾向が
ある。前記過酸化水素のさらに好ましい濃度は0.5〜5W/
V%であるが、とくに3W/V%程度であることが一般に市
場で入手しやすく、しかもレンズに損傷を与えずに充分
な消毒効果が発揮されるという点で好ましい。
なお、前記過酸化水素溶液には、必要に応じて過酸化
尿素などの過酸化物が含まれていてもよく、また安定化
剤、緩衝剤、等張化剤およびpH調整剤などが適宜配合さ
れていてもよい。
前記安定化剤は、レンズの消毒を開始する前に過酸化
水素が容易に分解しないようにするために用いられる成
分である。かかる安定化剤の具体例としては、たとえば
リン酸、バルビツール酸、尿酸、アセトアニリド、オキ
シキノリン、ピロリン酸四ナトリウム、フェナセチン、
スズ酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなどがあげられ、こ
れらの成分は単独でまたは2種以上を混合して用いられ
る。前記安定化剤の濃度は、通常過酸化水素溶液中にお
いて0.01mol/以下、なかんづく0.0001〜0.01mol/と
なるように調整されるのが好ましい。前記安定化剤の濃
度が0.01mol/をこえるばあい、レンズの表面やレンズ
内部に安定剤が残留することにより眼に対する障害が発
生するおそれがある。
前記緩衝剤は、過酸化水素溶液のpHを安定させるため
に用いられる成分である。かかる緩衝剤の具体例として
は、たとえばリン酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、炭酸塩
などがあげられ、これらの塩類は単独でまたは2種以上
を混合して用いられる。前記緩衝剤の濃度は、通常過酸
化水素溶液中において0.1mol/以下、なかんづく0.005
〜0.05mol/となるように調整されるのが好ましい。前
記緩衝剤の濃度が0.1mol/をこえるばあい、緩衝剤が
レンズ表面やレンズ内剤に残留することにより眼に対す
る障害が発生するおそれがある。
前記等張化剤は、過酸化水素溶液の浸透圧をレンズに
とってもっとも好ましい浸透圧(涙液とほぼ同じ浸透
圧)と同等程度にするために用いられる成分である。か
かる等張化剤の具体例としては、たとえば塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、グリセリン、ブドウ糖、酢酸ナトリ
ウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、四ホウ酸ナトリ
ウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナ
トリウムなどがあげられるが、これらのなかではOH型陰
イオン交換体の過酸化水素の分解能力を維持するという
点でグリセリン、ブドウ糖などの非電解質が好ましい。
前記等張化剤の濃度は、過酸化水素分解後の前記緩衝剤
および安定化剤を含んだ消毒液の浸透圧が250〜350mmol
/kgとなるような濃度、たとえば過酸化水素溶液中にお
いて0.01〜1mol/、なかんづく0.1〜0.5mol/となる
ように調整されるのが好ましい。かかる等張化剤の濃度
は1mol/をこえるばあい、過酸化水素溶液の浸透圧が
涙液の浸透圧よりも高くなるので、レンズが変形した
り、等張化剤がレンズ表面やレンズ内部に残留すること
があるため、レンズを装用したばあいに眼への刺激がお
こる傾向がある。
前記pH調整剤は、OH型陰イオン交換体で過酸化水素を
分解したときには、過酸化水素溶液中の陰イオン交換に
より発生した水酸基の量が増加してpHが高くなるので、
水素イオンを過酸化水素溶液中に放出し、pHを眼に刺激
のない値、通常6〜8となるようにするために用いられ
る。
前記pH調整剤の代表例としては、H型陽イオン交換樹
脂などがあげられる。前記H型陽イオン交換樹脂の具体
例としては、たとえばアンバーライトIR−120B、IR−12
1(以上、ローム・アンド・ハース社製、商品名)、ダ
イヤイオンSK1B、PK208(以上、三菱化成工業(株)
製)などがあげられる。前記pH調整剤は、過酸化水素溶
液10mlに対して通常0.001〜1g、なかんづく0.01〜0.1g
用いられるのが好ましい。
本発明においては、レンズの消毒処理中または消毒処
理後にOH型陰イオン交換体を用いて過酸化水素を分解す
る。前記OH型陰イオン交換体は、眼に有害な物質を溶出
せず、一般に精製水製造過程で用いられているものであ
れば使用しうる。OH型陰イオン交換体は、pHや温度によ
る影響を受けず、物理的強度や耐久性にもすぐれ、しか
も一般に流通しており、入手が容易でかつ安価であるな
どという長所を有する。前記OH型陰イオン交換体は、三
次元的に共重合した共重合体などの高分子基体にイオン
交換基として4級アンモニウム基を結合させ、かかる4
級アンモニウム基にOH基が静電的に結合した物質であ
る。
前記OH型陰イオン交換体の代表例としては、以下に示
すものがあげられるが、本発明に用いられるものはこれ
らの例示のみに限定されるものではない。
(a) スチレン−ビニルベンゼン共重合体に4級アン
モニウム基を結合させ、かかる4級アンモニウム基にOH
基が静電的に結合した、たとえばくり返し単位: (ただし、gおよびhは を満足する1以上の整数を示す)を基本構成単位とし、
これが不規則に結合した高分子化合物。
なお、 が0.2以上であるばあいには、過酸化水素の分解速度が
小さくなる傾向がある。また、前記 を満足することがとくに好ましい。
前記OH型陰イオン交換体(a)の具体例としては、た
とえばアンバーライトIRA−400、401、900(以上、ロー
ム・アンド・ハース社製、商品名)、ダイヤイオンSA10
A、SA11A、PA306(以上、三菱化成工業(株)製、商品
名)、ダウエックスSAB(ダウ・ケミカル社製、商品
名)などのイオン交換樹脂;セレミオンAMV、ASV(以
上、旭硝子(株)製、商品名)、アシプレックスA−10
1、A−102(以上、旭化成(株)製、商品名)、ネオセ
プタAV−4T、AF−4T(以上、徳山曹達(株)製、商品
名)などのイオン交換膜などがあげられる。
(b) スチレンとジビニルベンゼンの共重合体に4級
アンモニウム基を結合させ、かかる4級アンモニウム基
にOH基が静電的に結合した、たとえばくり返し単位: (ただし、iおよびjは を満足する1以上の整数を示す)を基本構成単位とし、
これが不規則に結合した高分子化合物。
なお、 が0.2以上であるばあいには、過酸化水素の分解速度が
小さくなる傾向がある。また、前記 を満足することがとくに好ましい。
前記OH型陰イオン交換体(b)の具体例としては、た
とえばアンバーライトIRA−410、411、910(以上、ロー
ム・アンド・ハース社製、商品名)、ダイヤイオンSA20
A、SA21A、PA406(以上、三菱化成工業(株)製、商品
名)、ダウエックスSAR(ダウ・ケミカル社製、商品
名)などのイオン交換樹脂などがあげられる。
(c) ポリ四フッ化エチレン(フッ素系樹脂)に4級
アンモニウム基を結合させ、かかる4級アンモニウム基
にOH基が静電的に結合した、たとえば一般式: (式中、pは0または1、qは1〜5の整数、rは0〜
3の整数、xは1以上の整数、yは1以上の整数、R1
R2およびR3はCH3またはC2H5を示す)で表わされる高分
子化合物。
前記OH型陰イオン交換体(c)の具体例としては、た
とえばIE−SA48、IE−DF34、IE−SF34(以上、東ソー
(株)製、商品名)などのイオン交換膜などがあげられ
る。
(d) アクリレート−ジビニルベンゼン共重合体に4
級アンモニウム基を結合させ、かかる4級アンモニウム
基にOH基が静電的に結合した、たとえばくり返し単位: (ただし、kおよびlは を満足する1以上の整数、sは1〜3の整数、R1、R2
よびR3は前記と同じ)を基本構成単位とし、これが不規
則に結合した高分子化合物。
なお、 が0.2以上であるばあいには、過酸化水素の分解速度が
小さくなる傾向がある。また、前記 を満足することがとくに好ましい。
(e) メタクリレート−ジビニルベンゼン共重合体
(メタクリル系樹脂)に4級アンモニウム基を結合さ
せ、かかる4級アンモニウム基にOH基が静電的に結合し
た、たとえばくり返し単位: (ただし、mおよびnは を満足する1以上の整数、yは1〜3の整数、R1、R2
よびR3は前記と同じ)で表わされる高分子化合物。
なお、前記 は0.2以上であるばあい、過酸化水素の分解速度が小さ
くなる傾向がある。また、前記 を満足することがとくに好ましい。
前記OH型陰イオン交換体(a)〜(e)のなかでは、
精製水製造、水処理(脱イオン)、精製などの際に用い
られ、市販品として安価で容易に入手することができる
前記OH型陰イオン交換体(a)および(b)は、とくに
好適に使用することができるものである。
なお、前記OH型陰イオン交換体(a)および(b)に
は、イオン交換基が のような一般にいわゆるCl型と称せられている構造を有
し、市販品として流通しているものが多い。このような
型のイオン交換体は、水酸化ナトリウムで処理を施すこ
とによりOH型陰イオン交換体に変換して使用しうる。
前記OH型陰イオン交換体は、過酸化水素溶液の体積よ
りも大きくない体積において使用可能であり、該OH型陰
イオン交換体の使用量は、過酸化水素溶液10mlに対して
0.1〜10g、好ましくは0.5〜5g、とくに好ましくは1〜3
gであることが望ましい。前記使用量が0.1g未満である
ばあい、OH型陰イオン交換体による過酸化水素を分解す
る効果が小さくなる傾向があり、また10gをこえるばあ
い、過酸化水素溶液とOH型陰イオン交換体との体積差が
小さくなり、レンズを消毒するための充分なスペースが
失われたり、過酸化水素の分解が急激に起こり、充分な
消毒効果がえられなくなる傾向がある。
本発明のレンズの消毒方法は、レンズを消毒する段階
と過酸化水素を分解する段階からなり、かかる消毒方法
としては、たとえば以下のような消毒システムを用いた
方法などがあげられる。かかる消毒システムとしては、
たとえば(イ)単一溶液によりレンズの消毒と過酸化水
素の分解を行なう1液システム、(ロ)レンズの消毒と
過酸化水素の分解を異なる溶液によって行なう2液シス
テム、(ハ)レンズを過酸化水素により消毒処理したの
ち、OH型陰イオン交換体に直接接触させて過酸化水素を
分解する直接接触システムなどがあげられる。
前記いずれのシステムにおいても過酸化水素が水と酸
素とに分解されるため、たとえばピルビン酸塩、亜硫酸
塩、チオ硫酸塩などの還元剤を用いたばあいのように、
過酸化水素と還元剤との反応によって、たとえば酢酸イ
オン、硫酸イオン、テトラチオン酸イオンなどのイオン
が発生するおそれがない。
前記1液システムとは、レンズを過酸化水素溶液によ
り消毒すると同時にまたは一定時間消毒したのちに、該
過酸化水素溶液にOH型陰イオン交換体を接触させて過酸
化水素を分解するものである。該1液システムにおいて
過酸化水素とOH型陰イオン交換体とを接触させる方法と
しては、たとえば 消毒用容器の中にあらかじめOH型陰イオン交換体を入
れておき、容器の中に過酸化水素溶液を入れ、そののち
すぐにレンズを入れて消毒する方法、 先に消毒用容器中に過酸化水素溶液を入れておき、そ
の中にレンズを入れて消毒し、そののちただちにまたは
一定時間経過後にOH型陰イオン交換体を該溶液の中に入
れる方法、 消毒用容器内にOH型陰イオン交換体と過酸化水素溶液
とをたがいに接触しない位置にあらかじめセットしてお
き、たとえば容器を転倒させるなどの方法により過酸化
水素溶液とOH型陰イオン交換体とを接触させ、そのの
ち、レンズを過酸化水素溶液に入れて消毒し、かつ過酸
化水素を分解する方法などがあげられる。
前記1液システムにおいては、過酸化水素の分解時に
発生する酸素の微小な泡によりレンズ表面に付着した汚
れが除去され、しかもこの泡によりレンズ消毒時に過酸
化水素溶液の対流がひきおこされるので消毒の効果が高
くなるという利点がある。
前記2液システムとは、レンズを過酸化水素溶液によ
り消毒したのち、該過酸化水素溶液からレンズを取り出
し、OH型陰イオン交換体の入った水の中にレンズを浸漬
し、レンズ表面やレンズ内部に残留した過酸化水素をOH
型陰イオン交換体を入れた水の中に拡散させて分散する
システムをいう。
前記直接接触システムとは、たとえばシート状にOH型
陰イオン交換体を形成しておき、レンズを過酸化水素溶
液により消毒したのち、該過酸化水素溶液からレンズを
取り出し、前記シート状のOH型陰イオン交換体にレンズ
を包み込み、レンズ表面やレンズ内部に残留していた過
酸化水素をOH型陰イオン交換体に直接接触させて分解す
るシステムをいう。
なお、本発明においては、市販のOH型陰イオン交換体
を用いずに、高分子基体の原料となる化合物を共重合す
ることなどによりえられた高分子基体に4級アンモニウ
ム基を導入したものを用いることもできる。かかるOH型
陰イオン交換体は、たとえばスチレンモノマーの一部を
重合したのち、これにジビニルベンゼン、ジメチルフタ
レートなどの可塑剤および過酸化ベンゾイルなどを加え
て共重合し、えられた共重合物に含まれる可塑剤を抽出
し、ついで無水塩化アルミニウム触媒の存在下でクロロ
メチルエーテルで約20℃にて40分間程度クロロメチル化
し、さらにジメチルアミノエタノールで約110℃で4時
間程度アミノ化し、4級アンモニウム基を導入すること
によりえられる。このようにしてえられたOH型陰イオン
交換体は、たとえば消毒用容器の内面に被覆する、
消毒用容器用材料に混入したのち消毒用容器を成形する
などして用いることができる。このような消毒用容器
は、レンズを消毒すると同時にOH型陰イオン交換体で過
酸化水素を分解することができるという利点を有するも
のである。
つぎに本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明す
るが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものでは
ない。
実施例1 レンズの消毒液として3W/V%過酸化水素溶液を調製し
た。
約20ml容のバイアル瓶にOH型陰イオン交換体(イオン
交換樹脂:ローム・アンド・ハース社製、商品名:アン
バーライトIRA−410)2gおよびソフトコンタクトレンズ
((株)メニコン製、商品名:メニコンソフトMA)2枚
を入れ、これに前記過酸化水素水溶液10mlを加えてOH型
陰イオン交換体とソフトコンタクトレンズ2枚が完全に
浸るようにし、レンズの消毒を行ないつつ過酸化水素の
分解を行なった。
一定時間経過ごとに、消毒液中の残留過酸化水素濃度
を日本薬局方の「オキシドールの定量法」にしたがって
0.1mol/過マンガン酸カリウムにて定量した。その結
果を第1表に示す。
実施例2 OH型陰イオン交換体(イオン交換樹脂:ローム・アン
ド・ハース社製、商品名:アンバーライトIRA−400)2g
を用いたほかは実施例1と同様にしてレンズの消毒を行
ないつつ過酸化水素の分解を行なった。
つぎに、実施例1と同様にして一定時間経過ごとに消
毒液中の残留過酸化水素濃度を測定した。その結果を第
1表に示す。
実施例3 OH型陰イオン交換体(イオン交換膜:(株)旭硝子
製、商品名:セレミオンAMV)を用いたほかは実施例1
と同様にしてレンズの消毒を行ないつつ過酸化水素の分
解を行なった。
つぎに実施例1と同様にして一定時間経過ごとに消毒
液中の残留過酸化水素濃度を測定した。その結果を第1
表に示す。
実施例4 過酸化水素が3W/V%、グリセリンが2.5W/V%、スズ酸
ナトリウムが0.007W/V%、硝酸ナトリウムが0.003W/V%
含まれ、さらに0.01mol/のリン酸緩衝液によりpH7に
緩衝された過酸化水素溶液を調製した。
約20ml容のバイアル瓶にOH型陰イオンを交換体(イオ
ン交換樹脂:ローム・アンド・ハース社製、商品名:ア
ンバーライトIRA−410)2g、pH調整剤としてH型陽イオ
ン交換樹脂(ローム・アンド・ハース社製、商品名:ア
ンバーライトIR−120B)0.05gおよびソフトコンタクト
レンズ((株)メニコン製、商品名:メニコンソフトM
A)2枚を入れ、前記過酸化水素溶液10mlを加えてOH型
陰イオン交換体とソフトコンタクトレンズが完全に浸る
ようにし、レンズの消毒を行ないつつ過酸化水素の分解
を行なった。
一定時間経過ごとに実施例1と同様にして消毒液中の
残留過酸化水素濃度を測定した。その結果を第1表に示
す。
実施例5 過酸化水素が3W/V%、塩化ナトリウムが0.85W/V%、
スズ酸ナトリウムが0.007W/V%、硝酸ナトリウムが0.00
3W/V%含まれ、0.01mol/のリン酸緩衝液によりpH7に
緩衝された過酸化水素溶液を調製した。
約20ml容のバイアル瓶にソフトコンタクトレンズ
((株)メニコン製、商品名:メニコンソフトMA)を2
枚入れ、前記過酸化水素溶液10mlに完全に浸るように
し、ソフトコンタクトレンズの消毒を20分間行なった。
消毒後、レンズを取り出し、約20ml容のバイアル瓶にOH
型陽イオン交換体(イオン交換樹脂:ローム・アンド・
ハース社製、商品名:アンバーライトIRA−410)2gおよ
び精製水10mlを入れた過酸化水素分解用容器に移し、レ
ンズの表面やレンズ内部に付着した過酸化水素を分解し
た。一定時間経過ごとに実施例1と同様にして過酸化水
素分解用容器中の残留過酸化水素濃度を測定した。その
結果を第1表に示す。
比較例1 直径15mm、厚さ10mmのペレット状の酸化アルミニウム
を塩化白金酸カリウム(K2[PtCl6])0.5%水溶液10ml
中に10分間浸漬したのち乾燥し、その後、2kg/cm2、25
℃の水素気体中に6時間放置して白金黒触媒をえた。
OH型陰イオン交換体の代わりに前記白金黒触媒を用い
たほかは、実施例1と同様にしてレンズの消毒を行ない
つつ過酸化水素の分解を行なった。
つぎに実施例1と同様にして一定時間経過ごとに消毒
液中の残留過酸化水素濃度を測定した。その結果を第1
表に示す。
比較例2 過酸化水素が3W/V%、塩化ナトリウムが0.85W/V%、
スズ酸ナトリウムが0.007W/V%、硝酸ナトリウムが0.00
3W/V%含まれ、0.01mol/のリン酸緩衝液によりpH7に
緩衝された過酸化水素溶液を調製した。
約20ml容のバイアル瓶にソフトコンタクトレンズ
((株)メニコン製、商品名:メニコンソフトMA)を2
枚入れ、前記過酸化水素溶液10mlに完全に浸るように
し、ソフトコンタクトレンズの消毒を20分間行なった。
消毒後、レンズを取り出し、約20ml容のバイアル瓶に精
製水10mlを入れた希釈容器に移し、レンズをよくすすい
で、レンズの表面やレンズ内部に付着した過酸化水素を
希釈した。一定時間経過ごとに実施例1と同様にして希
釈容器中の残留過酸化水素濃度を測定した。その結果を
第1表に示す。
第1表から明らかなように、1液システムを採用した
実施例1〜4では、いずれのOH型陰イオン交換体も2時
間後にはほぼ完全に過酸化水素を分解したことがわか
る。また、実施例1〜4で用いられたOH型陰イオン交換
体は比較例1で用いられた触媒に比べて過酸化水素の分
解が速やかでかつ、完全であることがわかる。また、2
液システムを採用した実施例5では、レンズを消毒液か
ら過酸化水素分解用容器に移す操作が加わるため初期の
在留過酸化水素濃度が小さいこともあり、過酸化水素は
実施例1〜4よりも短時間で分解されたが、OH型陰イオ
ン交換体を加えない比較例2では、24時間経過後でも過
酸化水素がかなりの濃度で残留したままであることがわ
かる。
[発明の効果] 本発明のレンズの消毒方法は以下の効果を有する。
本発明のレンズの消毒方法によれば、レンズを過酸化
水素溶液によって消毒する際に、消毒処理中または消毒
処理後に比較的簡単な操作により従来用いられていた触
媒などよりも過酸化水素をさらに速やかに分解すること
ができる。
本発明のレンズの消毒方法においては、過酸化水素が
水と酸素とに分解されるため、有害な酸化生成物が発生
するおそれがなく、しかも1液システムを採用すれば過
酸化水素によるレンズの消毒および過酸化水素の分解を
すすぎのための中和液を必要とせずに、単一の工程のみ
で完了することができる。
なお、前記1液システムにおいては、過酸化水素の分
解時に発生する酸素の微小な泡によりレンズ表面に付着
した汚れが除去され、しかもこの泡によりレンズ消毒時
に過酸化水素溶液の対流がひきおこされるので消毒の効
率を高めるという効果を奏する。
本発明においては、用いられるOH型陰イオン交換体
は、眼に有害な物質が溶出されることがなく、pHや温度
によって過酸化水素を分解する能力が低下せず、物理的
強度や耐久性においてもすぐれ、しかも一般に流通して
おり入手が容易であり、安価であるという効果を奏す
る。
本発明においては、市販のOH型陰イオン交換体を用い
ずに、高分子基体の原料となる化合物を共重合するなど
してえられた高分子基体に4級アンモニウム基を導入し
たものを用いることもできる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンタクトレンズを過酸化水素溶液を用い
    て消毒する方法であって、消毒処理中または消毒処理後
    にOH型陰イオン交換体を用いて過酸化水素を分解するこ
    とを特徴とするコンタクトレンズの消毒方法。
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