JP6710409B2 - コンタクトレンズ消毒用過酸化水素の分解触媒およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンタクトレンズ消毒用過酸化水素を分解するための触媒およびその製造方法等に関する。
従来、過酸化水素の高い殺菌力を利用したコンタクトレンズの消毒技術が、種々検討されている。該消毒技術においては、十分に高い濃度で過酸化水素を含む消毒液にコンタクトレンズを浸漬して消毒する一方で、消毒後においては、コンタクトレンズを眼に装着した際に刺激感を生じさせない観点から、消毒液中の過酸化水素が十分に低い濃度まで分解されていることが望まれる。したがって、過酸化水素の分解(2H→2HO+O)には、消毒の開始から所定時間は十分に高い過酸化水素濃度を維持する一方で、所定時間経過後には十分に低い過酸化水素濃度を実現することが要求される。
上記過酸化水素の分解処理としては、白金等の過酸化水素分解活性を有する活性金属を担持した触媒を用いることにより過酸化水素の分解を促進することが知られている。例えば、特許文献1〜3には、コンタクトレンズと過酸化水素の分解触媒とを過酸化水素溶液に浸漬することにより、過酸化水素によるコンタクトレンズの消毒を有効に行いつつ、過酸化水素の分解を行うことが開示されている。
特開平6−226098号公報 特開平7−232072号公報 特開2013−13868号公報
しかしながら、過酸化水素溶液にコンタクトレンズと過酸化水素の分解触媒とを共存させて、消毒および過酸化水素の分解を同時に進行させる場合、従来の触媒ではコンタクトレンズに対する高い消毒効果と所定時間経過後の低い過酸化水素残留濃度とを高いレベルで両立することが困難であった。具体的には、所定時間経過後の過酸化水素残留濃度を低くするために、メッキ法等によって得られる活性金属の含有量が多い触媒や幾何学的表面積(幾何学的形状に基づいて求めた表面積)が大きい触媒を使用すると、過酸化水素が短時間のうちに分解してしまい、消毒効果が不十分となるという問題がある。一方、消毒効果を高めるために、活性金属の含有量が少ない触媒や幾何学的表面積が小さい触媒を使用すると、所定時間経過後の過酸化水素残留濃度を一定のレベル以下にまで低減することができなくなるという問題がある。また、特許文献3の触媒は、処理液への浸漬処理および/または焼成処理を含む担体の準備工程および200℃〜500℃での活性金属の還元処理工程を経て得られるものであり、その製造方法は簡便とは言えない。
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、過酸化水素溶液中にコンタクトレンズと共存させた際に、コンタクトレンズを十分に消毒できるとともに、所定時間経過後には過酸化水素残留濃度を十分に低減でき、かつ、簡便に製造され得る過酸化水素の分解触媒を提供することにある。
本発明のコンタクトレンズ消毒用過酸化水素の分解触媒は、担体と、該担体表面に固定化された白金を含む微粒子と、を含み、該微粒子の平均粒子径が、1000nm以下である。
1つの実施形態においては、上記微粒子の平均粒子径が、300nm以下である。
1つの実施形態においては、上記担体が、有機系材料を含む。
1つの実施形態においては、上記触媒の白金担持重量が、1μg〜300μgである。
本発明の別の局面によれば、上記コンタクトレンズ消毒用過酸化水素の分解触媒の製造方法が提供される。該製造方法は、白金イオンを含む照射用溶液を担体に接触させて、該照射用溶液を該担体に付着させること、および、該照射用溶液が付着した担体に電子線を照射して、白金を含む微粒子を該担体表面に固定化することを含む。
1つの実施形態においては、上記製造方法は、電子線を照射する前に、上記担体表面を改質処理することをさらに含む。
1つの実施形態においては、上記製造方法は、電子線を照射する前に、上記担体をエッチング処理することをさらに含む。
1つの実施形態においては、上記照射用溶液が、粒子径制御剤をさらに含む。
本発明のさらに別の局面によれば、コンタクトレンズの消毒方法が提供される。該消毒方法は、コンタクトレンズと、上記コンタクトレンズ消毒用過酸化水素の分解触媒とを、過酸化水素を含むコンタクトレンズ消毒液に浸漬することを含む。
本発明によれば、白金を含み、かつ、所定の粒子径を有する微粒子を担体に固定化することにより、過酸化水素溶液中でコンタクトレンズと共存させた際に、コンタクトレンズを十分に消毒でき、かつ、所定時間経過後には過酸化水素の残留濃度を十分に低減できる過酸化水素の分解触媒が提供される。該触媒は、電子線照射還元法を用いることにより、簡便に製造され得る。
実施例で得られた触媒の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 担体上に固定化された微粒子の粒子径分布を示すグラフである。 触媒の耐久性評価の結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は該実施形態には限定されない。
[A.触媒]
本発明の触媒は、コンタクトレンズ消毒用の過酸化水素の分解を促進する触媒である。本発明の触媒は、担体と、該担体表面に固定化された白金(Pt)を含む微粒子(以下、「白金含有微粒子」と称する場合がある)と、を含む。
本発明の触媒は、常温(約25℃)において、10mLの過酸化水素溶液に浸漬された際に、6時間の浸漬期間で、浸漬前の過酸化水素濃度の好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下の濃度まで(例えば、3.5重量%(35000ppm)の過酸化水素溶液に浸漬された場合は、好ましくは350ppm以下、より好ましくは175ppm以下、さらに好ましくは70ppm以下の濃度まで)過酸化水素を分解し得る。
本発明の触媒1つあたりの担体上に固定化された白金の総重量(以下、「触媒の白金担持重量」と称する場合がある)は、好ましくは1μg〜300μg、より好ましくは1μg〜100μgである。また、本発明の触媒において、担体の幾何学的表面積あたりの固定化された白金の重量は、好ましくは0.01μg/cm〜300μg/cm、より好ましくは0.01μg/cm〜100μg/cmである。このように白金の固定化量が少ないにも関わらず、優れた過酸化水素分解活性を発揮し得ることは、本発明の触媒の特徴の1つである。なお、このような効果が奏される理由は定かではないが、以下のように推測される。すなわち、白金を含む活性金属が薄膜状ではなく、微粒子形状を有するように形成されていることから、活性金属の比表面積が増大して触媒活性も増大され得ると推測される。さらに、白金を含む活性金属が特定の平均粒子径を有する微粒子形状に形成されていることから、過酸化水素の分解時に生じる酸素気泡の付着が抑制され、その結果、該気泡の付着に起因する経時的な触媒活性の低下が防止されて、所定時間経過後の過酸化水素濃度を十分に低減し得ると推測される。
[A−1.担体]
担体を形成する材料としては、任意の適切な材料が用いられ得る。担体の形成材料としては、従来用いられている金属、ガラス、セラミック等の無機材料だけでなく、合成樹脂等の有機材料を好ましく用いることができる。合成樹脂等の有機材料は、成形性、操作性、価格等において無機材料よりも有利であり得る。また、高温での焼成を必要としないことも利点の1つである。
合成樹脂の具体例としては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリウレタン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂およびこれらの共重合樹脂が挙げられる。中でも、成形性、価格、過酸化水素に対する耐久性、白金含有微粒子の付着性等の観点から、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂およびこれらの共重合樹脂が好ましい。上記材料は、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いられ得る。
担体の形状は、目的等に応じて適切に設定され得る。担体は、例えば、角板状、円板状、角柱状、円柱状等であり得る。また、幾何学的表面積の増大の観点から、正弦波、矩形波、三角波等の波形状を有するように成形されてもよい。
担体は、その表面が粗面化されていてもよい。表面を粗面化することにより、比表面積を増大することができる。また、白金含有微粒子を担体により強固に固定化することができる。担体の比表面積は、例えば3cm/g〜200cm/g、好ましくは10cm/g〜100cm/gであり得る。
担体は、その表面が正の電荷を帯びていることが好ましい。表面が正の電荷を帯びることにより、白金含有微粒子を担体により強固に固定化することができる。
[A−2.微粒子]
微粒子は、白金を含む。必要に応じて、他の成分をさらに含んでもよい。微粒子中における白金の含有量は、好ましくは80重量%〜100重量%、より好ましくは90重量%〜100重量%、さらに好ましくは95重量%〜100重量%であり得る。
微粒子に含まれ得る他の成分としては、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)等の過酸化水素分解活性を有する活性金属が挙げられる。これらの成分は、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いられ得る。
微粒子の平均粒子径は、1000nm以下であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは15nm以下、さらにより好ましくは10nm以下である。また、該平均粒子径は、好ましくは1nm以上であり、より好ましくは1.5nm以上、さらに好ましくは2nm以上、さらにより好ましくは2.5nm以上である。このような平均粒子径とすることにより、白金等の活性金属の使用量を抑えつつ、その比表面積を増大させることができる。また、活性金属の使用量が少ないことに起因して、過酸化水素溶液に触媒とコンタクトレンズとを共存させた際に、初期段階で過酸化水素の分解が過度に促進されることを防止し得る。さらに、上記範囲の平均粒子径であることに起因して、過酸化水素の分解で発生する酸素の気泡径が適度な大きさとなる。その結果、該気泡に起因する過酸化水素溶液の還流が緩やかになって、初期段階で過酸化水素が過度に分解されることを防止し得る。また、従来の触媒では、時間の経過に伴って酸素気泡が触媒表面に付着してその一部を不活性化してしまう現象が見られるが、本発明の触媒は、粒子径が小さいことにより、酸素気泡の付着が抑制され得る。その結果、最後まで触媒活性を有効に発揮して、所定時間経過後の過酸化水素残留濃度を十分に低いレベルにまで低減することができる。一方、微粒子の平均粒子径が上記範囲外である場合、本発明の効果が得られなくなるおそれがある。例えば、微粒子の平均粒子径が大き過ぎる場合、白金等の使用量が増加する。また、平均粒子径が小さ過ぎる場合には、バルク金属としての触媒活性が消失するおそれや耐久性が低下するおそれがある。
微粒子の平均粒子径は、例えば、後述する製造方法において、照射用溶液中の活性金属イオン濃度を変化させることによって調節できる。具体的には、照射用溶液中の活性金属イオン濃度を高くすることにより平均粒子径を大きくすることができ、該濃度を低くすることにより平均粒子径を小さくすることができる。なお、微粒子の平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法によって決定され得る。
微粒子は、担体表面に点在した状態で固定化されていることが好ましい。各微粒子が点在することにより、微粒子が連なっている場合や、活性金属が層状に形成されている場合に比べて、活性金属の比表面積を増大できるとともに、酸素気泡の付着をより好適に抑制することができる。
[B.製造方法]
本発明のコンタクトレンズ消毒用過酸化水素の分解触媒の製造方法は、白金イオンを含む照射用溶液を担体に接触させて、該照射用溶液を該担体に付着させること(接触工程)、および、該白金イオンを含む照射用溶液が付着した担体に電子線を照射して、白金を含む微粒子を該担体表面に固定化すること(電子線照射工程)を含む。該製造方法は、必要に応じて、担体をエッチング処理すること(エッチング工程)および/または担体表面を改質処理すること(表面改質工程)をさらに含み得る。該製造方法によれば、電子線照射によって照射用溶液中の水が放射線分解されてHラジカル、水和電子等の還元種が生成し、該還元種によって白金イオンが還元されて担体上に白金含有微粒子が形成および固定化される。該製造方法によれば、メッキ法のように有毒な還元剤を使用することなく、簡便にA項に記載の触媒を製造することができる。
[B−1.接触工程]
接触工程においては、白金イオンを含む照射用溶液を担体に接触させて、該照射用溶液を該担体に付着させる。接触方法としては、例えば、照射用溶液に担体を浸漬させる方法、照射用溶液に担体を塗工する方法、照射用溶液を担体に噴霧する方法等が挙げられる。照射用溶液に担体を浸漬させる方法が好ましい。照射用溶液が良好に担体に付着し得るからである。
白金イオンを含む照射用溶液は、ヘキサクロリド白金(IV)酸、ヘキサクロリド白金(IV)酸カリウム、アセチルアセトナト白金(II)等の白金の可溶性化合物またはその塩を水に溶解することによって調製され得る。照射用溶液中における白金イオンの濃度は、好ましくは1mM〜200mM、より好ましくは1mM〜100mM、さらに好ましくは1mM〜10mMである。該照射用溶液は、白金以外の過酸化水素分解活性を有する活性金属のイオンを含んでいてもよい。該活性金属としては、A項に記載したとおりである。他の活性金属イオンを含む場合、照射用溶液中の活性金属イオン(白金イオンを含む)の合計濃度は、好ましくは1mM〜200mM、より好ましくは1mM〜150mM、さらに好ましくは1mM〜100mMである。当該範囲であれば、所望の粒子径を有する微粒子が好適に得られ得る。
白金イオンを含む照射用溶液は、代表的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜3のアルコールをさらに含む。アルコールが還元補助剤として機能することにより、白金イオンが好適に還元され得る。該照射用溶液中におけるアルコールの含有量は、好ましくは0.1体積%〜30体積%、より好ましくは0.5体積%〜10体積%である。
白金イオンを含む照射用溶液は、好ましくは粒子径制御剤をさらに含む。粒子径制御剤としては、白金等の活性金属と、該金属同士よりもエネルギー的に安定な結合を形成し得る化合物(例えば、白金等の活性金属同士の混合熱よりも小さな混合熱を与える化合物)が好ましく用いられ得る。その具体例としては、ホスフィン酸ナトリウム(NaPH)、ホスホン酸ナトリウム(NaPHO)等のリン化合物、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)、チオ硫酸ナトリウム(Na)等の窒素化合物、亜硫酸ナトリウム(NaSO)等の硫黄化合物が挙げられる。例えば、白金イオンおよび該リン化合物を含む照射用溶液に電子線を照射すると、白金含有微粒子とリン化合物とが反応してPt−P結合を形成し、核となった白金含有微粒子に次の白金原子が結合することが阻害される。このように、粒子径制御剤を含むことにより、白金含有微粒子の成長が抑制されて、微粒子をより微細化することができる。照射用溶液中における粒子径制御剤の濃度は、好ましくは0.05mM〜50mM、より好ましくは0.1mM〜10mMである。
白金イオンを含む照射用溶液は、必要に応じて、pH調整剤、キレート剤等の任意の構成成分をさらに含有していてもよい。任意の構成成分の具体例としては、水酸化ナトリウム、アンモニア、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。
接触条件は、目的等に応じて適切に設定され得る。
[B−2.電子線照射工程]
電子線照射工程においては、白金イオンを含む照射用溶液が付着した担体に電子線を照射する。これにより、白金イオンが担体表面で還元されて、白金含有微粒子が担体表面に固定化される。電子線照射は、照射用溶液に浸漬された状態の担体に対して行われてもよく、照射用溶液に浸漬後に引き上げられ、表面が濡れた状態の担体に対して行われてもよく(ディップEB法)、また、照射用溶液に浸漬後に引き上げられ、外観的に乾燥した状態の担体に対して行われてもよい(ドライEB法)。ディップEB法を用いた場合は、照射用溶液のコストが抑えられるという利点がある。
照射される電子線の加速エネルギーは、好ましくは0.5MeV〜10MeV、より好ましくは1MeV〜8MeVである。また、電子線照射における担体への吸収線量は、好ましくは1kGy〜100kGy、より好ましくは10kGy〜50kGyである。このように電子線を照射することにより、所望の粒子径を有する微粒子が好適に得られ得る。
電子線照射条件は、目的等に応じて適切に設定され得る。例えば、電子線の照射は、大気圧および室温条件で行うことができる。照射時間は、活性金属イオン濃度、電子線の線量等に応じて適切に設定され得る。照射時間は、例えば1秒〜1分、好ましくは2秒〜30秒、より好ましくは3秒〜10秒程度であり得る。電子線は、連続的に照射されてもよく、間欠的に照射されてもよい。間欠的に照射される場合、上記照射時間は、その合計である。
照射用溶液に浸漬された状態の担体に電子線照射を行う場合、電子線照射に先立って、照射用溶液中の溶存酸素を窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスで置換することがより好ましい。
上記のとおり、電子線の照射時間は極めて短時間であり、照射の際にはバッチ式だけでなく、ベルトコンベアー式も採用することができる。よって、本発明の製造方法は、A項に記載の触媒の大量生産に非常に好適である。
[B−3.エッチング工程]
エッチング工程においては、担体をエッチング処理する。エッチング処理により、担体表面を粗面化してその比表面積を増加させることができる。エッチング工程は、電子線照射工程の前に行われ、好ましくは接触工程の前に行われる。
エッチング処理は、化学的または電気化学的に行われ得る。化学的エッチング処理は、代表的には、担体表面をエッチング液で処理することによって行われる。エッチング液としては、担体の形成材料等に応じて任意の適切なエッチング液が用いられ得る。例えば、過マンガン酸、クロム酸、過ヨウ素酸、硫酸、硝酸、カルボン酸、クロロ酢酸、またはこれらの塩;アミン;またはこれらの混合物;を含む溶液が挙げられ、その具体例としては、WO2008/132926、WO2015/060196等に記載のエッチング液が挙げられる。
化学的エッチング処理としては、担体表面をエッチング液に接触させる処理であればよく、噴霧、塗布、浸漬等が挙げられる。接触させる際のエッチング液の液温は、例えば0℃〜100℃、好ましくは35℃〜55℃である。接触時間は、例えば1分〜60分間、好ましくは5分〜30分間である。
必要に応じて、化学的エッチング処理を行った後に、無機酸を用いた後処理を行ってもよい。後処理を行うことにより、マンガン等の担体表面における付着物を除去することができる。無機酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、ホウ酸等を単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。
なお、エッチング処理は、担体の比表面積を増大させるだけでなく、エッチング処理によって生じた微細な凹凸によるアンカー効果や、担体表面にヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基が露出することによる化学的または物理的相互作用により、微粒子の固定化をより強固にする効果を発揮し得る。
[B−4.表面改質工程]
表面改質工程においては、白金含有微粒子がより好適に固定化されるように担体表面を改質処理する(ただし、上述のエッチング処理は除く)。表面改質工程は、電子線照射工程前に行われる。好ましくは、表面改質処理は、エッチング工程の後であって接触工程の前に行われる。
1つの実施形態においては、カチオン系界面活性剤で担体を処理することにより、担体表面が正電荷を帯びるように改質する。これにより、白金含有微粒子がより好適に固定化され得る。このような効果が奏される理由としては、以下のように推測される。すなわち、照射用溶液中において、負イオンが白金イオンを取り囲むように配位している。該溶液を表面が正電荷を帯びる担体に接触させると、負イオンが担体表面と静電的相互作用を生じ、白金イオンも担体表面に吸着される。この状態で電子線照射を行うことにより、白金イオンの還元が担体表面で進行し、結果として、白金含有微粒子が担体表面に好適に固定化され得る。
カチオン系界面活性剤としては、水に溶解した際に親水基部分がカチオンに電離し得るものであれば、任意の適切な界面活性剤が用いられ得る。例えば、脂肪族アミン塩型または第四級アンモニウム塩型の界面活性剤が用いられ得る。脂肪族アミン塩型の界面活性剤の具体例としては、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩およびドデシルアミン塩酸塩等が挙げられる。第四級アンモニウム塩型界面活性剤の具体例としては、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムおよび塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等の脂肪族第四級アンモニウム塩、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウム等の芳香族第四級アンモニウム塩、塩化ブチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム(1−ドデシルピリジニウムクロリド)および塩化セチルピリジニウム等の複素環第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤を用いた担体の処理方法としては、担体表面をカチオン系界面活性剤に接触させる処理であればよく、カチオン系界面活性剤を含む水溶液を用いた噴霧、塗布、浸漬等が挙げられる。接触させる際の水溶液の液温は、例えば0℃〜100℃、好ましくは35℃〜55℃であり、接触時間は、例えば1分間〜30分間、好ましくは3分間〜15分間である。また、水溶液中におけるカチオン系界面活性剤の濃度は、例えば1体積%〜10体積%、好ましくは3体積%〜8体積%である。担体表面にカチオン系界面活性剤を接触させることにより、カチオン系界面活性剤の疎水基部分が担体表面に吸着される一方で、カチオンである親水基部分が表面に露出するので、担体表面が正に帯電し得る。
上記の各工程間、または、最終工程後においては、必要に応じて、担体または担体/白金含有微粒子を洗浄し得る。洗浄液としては、水、アルコール等が用いられ得る。
[C.消毒方法]
本発明のコンタクトレンズの消毒方法は、コンタクトレンズと、A項に記載の触媒とを、過酸化水素を含むコンタクトレンズ消毒液に浸漬することを含む。
コンタクトレンズ消毒液における過酸化水素の濃度は、例えば1.0重量%〜5.0重量%、好ましくは2.5重量%〜4.0重量%である。
コンタクトレンズ消毒液は、必要に応じて、任意の適切な添加成分を含み得る。該添加成分としては、例えば、キレート剤、界面活性剤、等張化剤、緩衝剤、増粘剤、防腐剤等が挙げられる。これらの添加成分は、単独で、あるいは、2種以上組み合わされて用いられ得る。消毒液における各添加成分の濃度は、目的等に応じて適切に設定され得る。
キレート剤は、消毒液の安定性を向上させて、その長期保存の点で有効である。キレート剤としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)またはその塩、エチドロン酸またはその塩、DTPMP[ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)]、スズ酸ナトリウム等が挙げられる。消毒液におけるキレート剤の濃度は、一般に、0.01重量%〜0.5重量%程度である。
界面活性剤は、コンタクトレンズ消毒液に、脂質の除去作用等の有効なコンタクトレンズ洗浄効果を付与し得る。界面活性剤としては、コンタクトレンズ用液剤等に一般的に用いられている公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、およびカチオン系界面活性剤が用いられ得る。具体例としては、高級アルコールのポリエチレングリコールエーテル、高級脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、高級脂肪酸のポリグリセリンエステル、アルキルフェノールのポリエチレングリコールエーテル、ポリエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール(ポロクサマー)、エチレンジアミンテトラポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ポロキサミン)等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロックコポリマーまたはその誘導体(ポロクサマーまたはポロキサミン)が好ましく用いられる。
等張化剤は、コンタクトレンズ消毒液(消毒前および消毒後)の浸透圧の調整を目的として添加される。等張化剤としては、コンタクトレンズ用液剤等に一般的に用いられている公知の等張化剤が用いられ得る。
コンタクトレンズ消毒液は、水系媒体中に、各成分を溶解または分散させることによって調製され得る。水系媒体としては、水、生理食塩水等が挙げられる。添加順序に制限はなく、各成分を順次または同時に添加して、それぞれ、分散または溶解させることによって、目的とする消毒液を容易に得ることが出来る。
コンタクトレンズ消毒液の使用量は、コンタクトレンズと触媒とを浸漬可能な量であればよい。該使用量は、例えば、5.0mL〜20mLである。1つの実施形態においては、コンタクトレンズ消毒液の使用量は、触媒に担持される白金1μgあたり、例えば0.01mL〜20mL、好ましくは0.05mL〜10mL、より好ましくは0.1mL〜5mLであり得る。
消毒対象であるコンタクトレンズとしては、含水性または非含水性、いわゆるソフトまたはハードの材質等にかかわらず、すべての種類のコンタクトレンズが適用可能である。本発明の消毒方法は、ソフトコンタクトレンズに特に好適である。ソフトコンタクトレンズとしては、含水性のハイドロゲルからなるものが知られており、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、メタクリル酸等の親水性モノマーの重合体または共重合体にて形成されたもの、該親水性モノマーに、シリコーンを含有する疎水性のモノマーを組み合わせて、共重合することにより製造される共重合体にて形成されたもの等が挙げられる。
本発明の消毒方法においては、過酸化水素によるコンタクトレンズの消毒と触媒による過酸化水素の分解とが好適に両立され得る。触媒とコンタクトレンズとは、最初から消毒液中に共存させてもよく、コンタクトレンズを浸漬した後に触媒を加えて両者を共存させてもよい。いずれの場合であっても、触媒の消毒液への浸漬時間が、例えば30分〜480分、好ましくは120分〜360分となるように浸漬することが望ましい。浸漬温度は、好ましくは5℃〜40℃であり、より好ましくは10℃〜30℃である。
1つの実施形態において、消毒後の消毒液における過酸化水素の濃度は、例えば150ppm以下、好ましくは100ppm以下である。該過酸化水素残留濃度であれば、消毒後のコンタクトレンズをそのまま装着したとしても痛み、刺激感等の発生を回避し得る。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
≪平均粒子径の測定≫
実施例で得られた触媒の表面を透過型電子顕微鏡(日本電子社製、製品番号「JEM−2100」)で観察および撮像した。得られた画像中の任意の50個の微粒子についてその一次粒子径を測定し、これらの平均値(相乗平均)を平均粒子径として算出した。なお、微粒子が真球形状でない場合は、長径を測定した。
≪白金濃度の測定≫
実施例で得られた触媒(Pt/ABS)を王水8mL(HCl:HNO=3:1)に浸漬させ、白金含有微粒子を溶解した。得られた溶液4mLを超純水で50mLに希釈して試料溶液とした。該試料溶液を用いて誘導結合プラズマ原子発光分析法(島津製作所社製、製品番号「ICPE−9000」)により白金濃度を測定した。得られた濃度に基づいて担体の幾何学的表面積あたりの固定化された白金の重量を算出した。
≪過酸化水素濃度の測定≫
硫酸チタン溶液(30%、和光純薬工業株式会社)を5%に希釈して過酸化水素を含む試料と混合し、407nmにおける吸光度を測定することで過酸化水素濃度を測定した。
≪実施例1A≫
ポリプロピレン製の容器に、超純水4.55mL、2−プロパノール0.05mLおよび0.05M HPtCl 0.4mLを加え、混合することにより、照射用溶液を調製した。該照射用溶液に、担体(長さ20mm×幅15mm×厚み1mmのABS樹脂板(AS−ONE社製、型番「2−9229−01」)、幾何学的表面積:6.7cm)を浸漬し、次いで、加速エネルギー4.8MeV、線量20kGy、照射時間約7秒の照射条件で電子線照射を行った。白金微粒子が固定化された担体を取り出し、超純水に浸漬させて10分間超音波洗浄した。これにより、過酸化水素の分解触媒1Aを得た。該触媒1AのTEM写真を図1(a)に示す。
図1(a)に示されるとおり、担体表面には、白金微粒子が固定化されていた。また、該白金微粒子の粒子径分布を図2に示す。図2に示されるとおり、固定化された白金微粒子は4nm〜10nmの粒子径を有しており、その平均粒子径は、6.2nmであった。また、触媒1Aの担体の幾何学的表面積あたりの固定化された白金の重量は0.87μg/cmであった。
≪実施例2A≫
実施例1Aと同様のABS樹脂板を、0.16mM 過マンガン酸カリウムおよび3.6mM 硫酸を含む水溶液(エッチング液)に20分間浸漬することによりエッチングし、次いで、超純水で洗浄した。該ABS樹脂板を照射用溶液に浸漬したこと以外は実施例1Aと同様にして過酸化水素の分解触媒2Aを得た。触媒2Aにおける担体の幾何学的表面積あたりの固定化された白金の重量は1.82μg/cmであった。
≪実施例3A≫
実施例1Aと同様のABS樹脂板を、カチオン系界面活性剤であるヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(奥野工業社製、製品番号「コンディライザーFRコンク」)を5重量%の濃度で含む水溶液に5分間浸漬することにより表面改質処理した。該ABS樹脂板を照射用溶液に浸漬したこと以外は実施例1Aと同様にして過酸化水素の分解触媒3Aを得た。触媒3Aにおける担体の幾何学的表面積あたりの固定化された白金の重量は1.31μg/cmであった。
≪実施例4A≫
実施例1Aと同様のABS樹脂板を0.16mM 過マンガン酸カリウムおよび3.6mM 硫酸を含む水溶液に20分間浸漬することによりエッチングし、超純水で洗浄した後、カチオン系界面活性剤であるヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(奥野工業社製、製品番号「コンディライザーFRコンク」)を5重量%の濃度で含む水溶液に5分間浸漬することにより表面改質処理した。該ABS樹脂板を照射用溶液に浸漬したこと以外は実施例1Aと同様にして過酸化水素の分解触媒4Aを得た。触媒4Aにおける担体の幾何学的表面積あたりの固定化された白金の重量は1.73μg/cmであった。
≪実施例5A≫
超純水4.54mL、2−プロパノール0.05mL、0.05M HPtCl 0.4mLおよび0.25M NaPH 0.01mLを混合することによって照射用溶液を調製したこと以外は実施例1Aと同様にして過酸化水素の分解触媒5Aを得た。該触媒5AのTEM写真を図1(b)に示す。図1(a)および(b)を比較すると、粒子径制御剤を用いずに調製された触媒1Aよりも粒子径制御剤を用いて調製された触媒5Aにおいて、より微細な白金微粒子がより多く固定化されていることが確認できる。なお、触媒5Aにおける担体の幾何学的表面積あたりの固定化された白金の重量は0.76μg/cmであり、白金微粒子の平均粒子径は、4.9nmであった。
≪比較例1≫
市販のコンタクトレンズ消毒用過酸化水素の分解触媒(アルコン社製のコンタクトレンズケア製品(製品名「AOSEPT」)に付属のディスポカップに収納されている中和ディスク)を過酸化水素の分解触媒C1として用いた。触媒C1は、無機材料で形成された担体と該担体表面にメッキ法によって薄膜状に固定化された白金層とを有する。触媒C1の白金含有量は約1500μgであった。なお、触媒C1の担体は、円筒部と、該円筒部の外表面から略放射状に突出する凸部とを有し、その幾何学的表面積は約10.4cmであった。
≪実施例1B≫
角板状のABS樹脂板の代わりに、触媒C1の担体と同様の形状に成形したABS樹脂(幾何学的表面積:約12.4cm)を用いたこと以外は実施例1Aと同様にして、触媒1Bを得た。
≪実施例2B≫
角板状のABS樹脂板の代わりに、触媒C1の担体と同様の形状に成形したABS樹脂(幾何学的表面積:約12.4cm)を用いたこと以外は実施例2Aと同様にして、触媒2Bを得た。
≪実施例3B≫
角板状のABS樹脂板の代わりに、触媒C1の担体と同様の形状に成形したABS樹脂(幾何学的表面積:約12.4cm)を用いたこと以外は実施例3Aと同様にして、触媒3Bを得た。
≪実施例4B≫
角板状のABS樹脂板の代わりに、触媒C1の担体と同様の形状に成形したABS樹脂(幾何学的表面積:約12.4cm)を用いたこと以外は実施例4Aと同様にして、触媒4Bを得た。
[過酸化水素分解触媒活性の評価1]
触媒1Bと触媒C1の過酸化水素分解活性を次のようにして調べた。各触媒を、25℃の恒温器内で3.5重量%(35000ppm)の過酸化水素水溶液5mLに浸漬させ、10分後、20分後、30分後、および360分後の残留過酸化水素濃度を測定した。結果を表1に示す。
表1に示されるとおり、触媒C1によれば、浸漬から20分後には過酸化水素濃度が当初の10%以下にまで低下した。これに対し、実施例の触媒1Bによれば、浸漬から20分後において、当初の30%程度の過酸化水素濃度を維持しつつ、浸漬から6時間後には、8ppmという極めて低い残留過酸化水素濃度を達成した。
[耐久性評価]
触媒1B〜4Bの耐久性を次のようにして調べた。各触媒を3.5重量%の過酸化水素水溶液10mLに浸漬させ、6時間後の残留過酸化水素濃度を測定した。その後、各触媒をNガンで乾燥させて、再度、3.5重量%の過酸化水素水溶液10mLに浸漬させ、6時間後の残留過酸化水素濃度を測定した。該浸漬および乾燥を計5回行った。残留過酸化水素濃度の変化を図3に示す。
図3に示されるとおり、エッチング処理も表面改質処理も行わなかった触媒1Bは、繰り返して使用すると残留過酸化水素濃度が上昇した。一方、エッチング処理のみを行った触媒2B、表面改質処理のみを行った触媒3Bおよびその両方を行った触媒4Bはそれぞれ、5回繰り返して使用しても、残留過酸化水素濃度は20ppm以下であり、十分な触媒活性を維持していた。
[過酸化水素分解触媒活性の評価2]
実施例で得られた触媒1Aおよび触媒5Aをそれぞれ、25℃の恒温器内で3.5重量%(35000ppm)の過酸化水素水溶液5mLに浸漬させ、360分後の残留過酸化水素濃度を測定した。その結果、触媒5Aの残留過酸化水素濃度は、触媒1Aの残留過酸化水素濃度の5分の1以下であった。このことから、粒子径制御剤の使用により、触媒活性が向上したことがわかる。
本発明の触媒は、コンタクトレンズの消毒において好適に用いられ得る。

Claims (9)

  1. 担体と、該担体表面に固定化された白金を含む微粒子と、を含み、
    該微粒子の平均粒子径が、1.5nm以上1000nm以下であり、
    該担体の幾何学的表面積あたりの白金担持量が、0.01μg/cm 〜100μg/cm である、コンタクトレンズ消毒用過酸化水素の分解触媒。
  2. 前記微粒子の平均粒子径が、1.5nm以上300nm以下である、請求項1記載の触媒。
  3. 前記担体が、有機系材料を含む、請求項1または2に記載の触媒。
  4. 白金担持重量が、1μg〜300μgである、請求項1から3のいずれかに記載の触媒。
  5. 白金イオンを含む照射用溶液を担体に接触させて、該照射用溶液を該担体に付着させること、および
    該照射用溶液が付着した担体に電子線を照射して、白金を含む微粒子を該担体表面に固定化すること
    を含む、請求項1から4のいずれかに記載のコンタクトレンズ消毒用過酸化水素の分解触媒の製造方法。
  6. 電子線を照射する前に、前記担体表面を改質処理することをさらに含む、請求項5に記載の製造方法。
  7. 電子線を照射する前に、前記担体をエッチング処理することをさらに含む、請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 前記照射用溶液が、粒子径制御剤をさらに含み、
    該粒子径制御剤が、白金同士よりもエネルギー的に安定な結合を白金と形成可能な化合物である、請求項5から7のいずれかに記載の製造方法。
  9. コンタクトレンズと、請求項1から4のいずれかに記載のコンタクトレンズ消毒用過酸化水素の分解触媒とを、過酸化水素を1.0重量%〜5.0%重量%の濃度で含むコンタクトレンズ消毒液に浸漬することを含む、コンタクトレンズの消毒方法。
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