JP2717991B2 - 感光性ポリイミド組成物及びその現像法 - Google Patents

感光性ポリイミド組成物及びその現像法

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JP2717991B2 JP2228387A JP22838790A JP2717991B2 JP 2717991 B2 JP2717991 B2 JP 2717991B2 JP 2228387 A JP2228387 A JP 2228387A JP 22838790 A JP22838790 A JP 22838790A JP 2717991 B2 JP2717991 B2 JP 2717991B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、有機溶媒に対して溶解性を有する、シリ
ルオキシ基を側鎖に有する特定な芳香族ポリイミドと感
光性発生剤とが配合されている感光性ポリイミド組成
物、ならびに、銅張り基板、シリコンウエハーなどの基
板上にその組成物の薄膜を形成し、光、X線、電子線な
どの活性エネルギー線を照射して、酸を発生させ、照射
部分のポリマーをヒドロキシル化された芳香族ポリイミ
ドとなし、そのポリイミドをアルカリ性現像液で溶解し
除去して、前記基板上にパターン状の芳香族ポリイミド
被膜を形成する現像法に係わる。
〔従来技術の説明〕
近年、耐熱性、耐薬品性、機械的特性及び卓越した電
気絶縁性が要求される工業材料の分野において、耐熱性
高分子(芳香族ポリイミドなど)と呼ばれる一連の新規
ポリマーが採用されるようになってきた。特に、半導体
工業における固体素子への絶縁膜やパッシベーション膜
の形成材料、及び半導体集積回路や多層プリント配線板
などの層間絶縁材料は、耐熱性及び絶縁性に富むことが
要請される。かかる観点から、上記のパッシベーション
膜等を、絶縁性と共に耐熱性の高いポリイミドで形成す
ることが種々提案されている。
一方、有機溶媒に可溶性のポリイミドに光硬化性基を
有する単量体を混合して、光硬化させることができる耐
熱性フォトレジスト組成物(特開昭54−109828号公報等
参照)が提案されている。
また、テトラカルボン酸二無水物と光架橋性不飽和二
重結合を含むジアミン化合物、例えばジアミノカルコン
とを反応させて、感光性及び耐熱性等に優れたポリイミ
ドを得ること事が提案されている(特開昭57−131227号
公報参照)。
更に、近年、溶媒可溶性のポリイミドを用い、レリー
フパターン形成を行う試み(特開昭58−19821号公報参
照)もなされている。
前記耐熱性フォトレジスト組成物(特開昭54−109828
号)は、光硬化性が劣り、しかも光硬化後のポリイミド
の耐熱性も充分ではない。また、耐熱性に優れている芳
香族ポリイミド(特開昭57−131227号)は、一般に溶媒
に対する溶解性が劣るので、光硬化後に未露光部を有機
溶媒に溶解させる工程を含むパターンの形成には適さな
い。
公知の感光性組成物は、一般に、ネガ型感光性を有す
るものであり、高解像度化、極細線の開孔部の形成など
にはポジ型感光性レジストが望まれている。
近年、感光性を有する可溶性ポリイミドにおいても特
開昭64−60630号公報にポジ型レジストが報告されてい
るが、現像処理されたポリイミド膜を永久被膜として利
用するには、その膜の電気的性質と共に、基板への接着
性が重要な因子であり、前記のポジ型ジレストはこれら
因子を充分満足するものではなかった。
〔解決しようとする問題点〕
本願の発明者らは、上述の現状に鑑み、耐熱性、耐吸
湿性、電気的及び機械的性質を高いレベルに保持してい
ると共に、基材上に被膜を形成した場合にその被膜の接
着性が厳しい環境下でも長期間保持される可溶性芳香族
ポリイミドを提供することを目的として、種々検討した
結果、シリルオキシ基(好ましくはトリエチルシリルオ
キシ基)を側鎖に多数有する芳香族ポリイミドに感光性
の酸発生剤を加えた組成物が、光透過性に優れ、高い感
光性を有すると共に、広い範囲の有機溶媒に可溶性であ
り、上記の目的を達成しうることを知見した。
〔問題点を解決する手段〕
この出願の第1の発明は、(a)2,3,3′,4′−ビフ
ェニルテトラカルボン酸あるいは酸二無水物と、1−ヒ
ドロキシ−2,5−ジアミノベンゼン、1−ヒドロキシ−
3,5−ジアミノベンゼン、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′
−ジアミノビフェニル、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−
ジアミノビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジ
アミノビフェニル、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジア
ミノジフェニルエーテル、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′
−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ
−3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(3
−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4
−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、あるいは1,3−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミ
ノフェノキシ)ベンゼンである芳香族ジアミンとを、重
合およびイミド化した後、シリル化して得られる、対数
粘度(濃度;0.5g/100ml溶媒、溶媒;N−メチル−2−ピ
ロリドン、測定温度;30℃)が0.2〜5であるシリルオキ
シ基含有の可溶性芳香族ポリイミド、および、(b)35
0〜450nmに吸収波長を持ちその波長の光、X線あるいは
電子線などの活性エネルギー線の照射によって酸を発生
する感光性の酸発生剤が配合されていることを特徴とす
る感光性ポリイミド組成物に関する。
また、この出願の第2の発明は、前記の感光性ポリイ
ミド組成物の薄膜を基板上に形成し、その薄膜上に活性
エネルギー線を照射し、照射部分に酸を発生させて、照
射部分の芳香族ポリイミドのシリルオキシ基をヒドロキ
シ基に変え、ヒドロキシル化された芳香族ポリイミドを
アルカリ性現像液で溶解し除去して、パターン状被膜を
基板上に形成することを特徴とする感光性ポリイミド組
成物の現像法に関する。
以下に、この発明の感光性ポリイミド組成物、並び
に、その現像法を詳述する。
この発明の組成物において使用される可溶性芳香族ポ
リイミドは、高分子量のポリマーであり、例えば、0.5g
/100m溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)の濃度のポ
リマー溶液で、30℃の測定温度で測定した対数粘度(ポ
リマーの重合度の程度を示す。)が、好ましくは約0.3
〜4、特に約0.5〜3程度であり、また、赤外線吸収ス
ペクトル分析で測定されたイミド化効率が約90%以上、
特に95〜100%であることが好ましい。
前記の可溶性芳香族ポリイミドは、広い範囲の溶媒、
例えば、シクロヘキサノン、クロロホルム、ジクロロメ
タン、ジメチルホルムアミド(DM F)、N−メチル−
2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMS
O)等に溶解し、特にシクロヘキサノン、クロロホルム
等の吸湿性の低い溶媒中では、保存安定性が非常に高
い。
前記の可溶性芳香族ポリイミドは、分子主鎖の反復単
位当たり、1〜2個のシリルオキシ基(シリルエーテル
基)を有している。
前記のシリルオキシ基は、 一般式 RO− 〔但しRは、(R′)3Siまたは(R′O)3Siを示
す。〕 (R′は、芳香族基、アルキル基などを示す)などで示
されるシリルオキシ基であればよく、例えば、トリメチ
ルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプ
ロピルシリルオキシ基などのトリ低級アルキルシリルオ
キシ基、トリメトキシシリルオキシ基、トリエトキシシ
リルオキシ基などのトリアルコキシシリルオキシ基など
を好適に挙げることができる。
前記の芳香族ポリイミドは、そのポリマー主鎖を形成
しているベンゼン環などの芳香環にシリルオキシ基を多
数有しているけれども、前記の芳香環には水酸基などの
他の官能基を実質的に有していないことが、耐熱性、耐
薬品性などの点から好ましい。
この発明の組成物において使用する感光性の酸発生剤
としては、350〜450nmに吸収波長を持ち、その波長の
光、あるいは、X線、電子線などの活性エネルギー線の
照射によって、好ましくはブレンステッド酸を発生する
ものが好ましく、例えば、 (前記の一般式において、R、R′、及び、R1〜R5はア
ルキル基、フェニル、ジフェニル、ナフチル、アンスリ
ルなどの芳香族基であり、X-は蔭イオンである。)など
を挙げることができる。
前記の可溶性芳香族ポリイミドは、例えば、芳香族テ
トラカルボン酸又はその酸無水物、あるいはその酸誘導
体と、水酸基が芳香環に直接結合している芳香族ジアミ
ン化合物とから、重合及びイミド化して、側鎖に水酸基
を有する高分子量の芳香族ポリイミドを生成させ、次い
で、該芳香族ポリイミドの溶液にシリルクロライドを添
加して脱塩酸剤の存在下に反応させて、該芳香族ポリイ
ミドの水酸基をシリル化することによって製造すること
ができる。
前記の可溶性の芳香族ポリイミドの製造に使用される
芳香族テトラカルボン酸類としては、2,3,3′,4′−ビ
フェニルテトラカルボン酸またはその酸二無水物が挙げ
られる。
前記の水酸基が芳香環に直接結合している芳香族ジア
ミン化合物としては、1−ヒドロキシ−2,5−ジアミノ
ベンゼン、1−ヒドロキシ−3,5−ジアミノベンゼン、
3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、2,
2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、4,
4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジアミノビフェニル、3,
3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテ
ル、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノジフェニル
エーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジアミノジフ
ェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシ−4−ア
ミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキ
シ−3−アミノフェノキシ)ベンゼン、あるいは1,3−
ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)ベンゼ
ンが使用される。
前記の可溶性芳香族ポリイミドの製法の好適な例とし
ては、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニ
ル(HAB)などの水酸基をベンゼン環に有する芳香族ジ
アミン化合物と、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物(a−BPDA)などの芳香族テトラカルボ
ン酸成分とを、略等モル、有機極性溶媒中、高温下(好
ましくは100〜300℃、特に約140〜250℃の高温度下)
で、一段で重合反応及びイミド化反応させて高分子量の
可溶性芳香族ポリイミド(対数粘度;0.2〜5程度)を生
成させ、次いで、該ポリイミドにトリアリルキルシリル
クロライド類(特にトリメチルシリルクロライド、トリ
エチルシリルクロライド、トリイソプロピルシリルクロ
ライド)などのシリル化剤と、イミダゾール、トリエチ
ルアミン、ピリジンなどの脱塩酸剤とを加えて、該ポリ
イミドの水酸基を実質的に全部シリル化して、『シリル
オキシ基を多数有する可溶性芳香族ポリイミド』を製造
する方法を挙げることができる。
また、前記の可溶性芳香族ポリイミドは、前述の酸成
分とジアミン成分との二成分を、略等モル、有機極性溶
媒中、80℃以下の低温下(特に0〜60℃の低温下)で重
合して、高分子量の芳香族ポリアミック酸(芳香族ポリ
イミドの前駆体、対数粘度;0.2〜5程度)を生成し、次
いで、該芳香族ポリアミック酸を適当な条件でイミド化
して可溶性芳香族ポリイミドを製造し、さらに、該ポリ
イミドの溶液に、トリアルキルシリルクロライド類など
のシリル化剤と、イミダゾールなどの脱塩酸剤とを加え
て、該ポリイミドの水酸基をシリル化して、『シリルオ
キシ基含有の可溶性芳香族ポリイミド』を製造すること
ができる。
前記の触媒としては、特に、イミダゾールなどの脱塩
酸剤を好適に挙げることができ、その使用割合は、シリ
ル化剤1モルに対して、1〜10モル程度であることが好
ましい。
さらに、水酸基を有する芳香族ポリイミドをシリル化
する温度は、0〜60℃程度であることが好ましい。
なお、前述の製法において、シリルオキシ基を多数有
する芳香族ポリイミドが生成した溶液を、多量のメタノ
ール、エタノールなどの低級アルコール、水などの溶媒
中に、添加して、ポリマーを粉末状に析出させ、濾別
し、さらに、必要であれば、前述の低級アルコールで充
分に洗浄して、精製された粉末状の芳香族ポリイミドと
して回収することが好ましい。
前述のシリル化された可溶性芳香族ポリイミドは、ア
ルカリ水溶液、例えば、炭酸ナトリウム、テトラメチル
アンモニウムハイドロオキサイドの水溶液には全く溶解
しないが、そのシリルオキシ化前、或いは、そのポリマ
ーが加水分解されて、側鎖に水酸基を多数有するポリイ
ミドであれば、2%程度のアルカリ水溶液などにも容易
に溶解する。
この発明の組成物において使用する感光性の酸発生剤
の含有割合については、可溶性ポリイミド100重量部に
対し、0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部で含
有させることが望ましい。その酸発生剤の含有量が多す
ぎる場合はパターン精度に悪影響をもたらすので好まし
くない。
この発明の組成物は、有機溶媒に可溶性であり、集積
回路の製作等に使用する場合には、通常、溶液(レジス
ト溶液組成物)の形で用いられる。この場合、前記溶液
組成物は、前述の有機溶媒に、1〜50重量%、好ましく
は5〜30重量%の割合で前記組成物が溶解していればよ
く、その溶液組成物は、回転粘度で示される溶液粘度
が、20〜10000センチポアズ、特に50〜5000センチポア
ズであることが好ましく、そのような濃度および粘度と
なるように調製することが好ましい。この場合に用いる
溶媒としては、前記の可溶性芳香族ポリイミド、酸発生
剤などを均一に溶解し、かつ、シリコン、アルミニウム
などの基板表面に塗布後、該有機溶媒を蒸発させること
により、均一で平滑な塗膜が形成され得るものであるこ
とが好ましく、可溶性芳香族ポリイミドを溶解させるこ
とができる溶媒としてすでに例示したものを好適に使用
することができる。
また、この発明の組成物には、上記成分の他に、必要
に応じて増感剤、染料、可塑剤、その他の樹脂、熱反応
禁止剤等、各種防止剤、接着性改良剤等を添加すること
ができる。
以下に、このレジストパターンの形成する現像法につ
いて説明する。
まず、前述のようにして調製したこの発明の組成物の
溶液を基板に塗布する。この基板への塗布は、例えば、
スピンナーで行うことができる。次いで、塗膜を有する
基板を、温度60〜160℃、好ましくは80〜120℃で、20〜
60分間乾燥して、厚さ約0.1〜50μmの感光性ポリイミ
ド組成物の薄膜を形成する。
その乾燥後に、この基板上の薄膜に対し、ポジ型フォ
トマスクチャートを通して、X線、電子線、紫外線など
の活性エネルギー線を照射すると共に、必要であれば、
照射部分を水で湿らせた濾紙等で覆ったり、水蒸気リッ
チの雰囲気に充分に曝して湿潤状態とした後、80〜160
℃で20〜60分間乾燥させて、露光部分をアルカリ性現像
液で洗い出すことによりレリーフパターンを形成する。
上記アルカリ性現像液としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、メタケイ酸ソーダ、テトラメチルアン
モニウムハイドロオキサイド等の例えば5重量%以下の
濃度の弱アルカリ水溶液を用いることができる。
このようにして形成されたレリーフパターンは、解像
性、コントラストともに良好なものである。
更に、この発明の組成物を用いて、前述のようにして
形成したパターンをマスクとして、銅箔などの基板をエ
ッチングして配線を形成することができる。
〔実施例〕
次に実施例によりこの発明を更に詳細に説明するが、
この発明はこれらの例によってなんら限定されるもので
はない。
実施例1 2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
(a−BPDA)6.8g(23.1m mol)、3,3′−ジヒドロキシ
−4,4′−ジアミノビフェニル(HAB)5.0g(2.31m mo
l)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)400mlに加
え、室温で溶解させた後、No2の濾紙で濾過し、得られ
た溶液を窒素気流中180℃で11時間、加熱撹拌して、生
成水を含むNMP110mlを流出させて、重合およびイミド化
を1段で行って、水酸基を有する可溶性芳香族ポリイミ
ドを生成させた。得られた均一なポリマー溶液を室温に
戻した後、イミダゾール6.3g(92.5m mol)およびトリ
イソプロピルシリルクロライド19.76ml(92.5m mol)を
加え、室温で6時間撹拌を続けて、最後に、メタノール
1000ml中でポリマーを析出させた。得られたポリマー粉
末は、更に1000mlのメタノールで洗い、五酸化リンの存
在下に一晩真空乾燥して、17g(収率93%)の粉末状の
白色ポリマーを得た。
この芳香族ポリイミドはDMF、NMP、DMSOといった溶媒
から、クロロホルム、シクロヘキサノンまでの幅広い溶
媒に室温で10重量%以上の割合で均一に溶解し、そし
て、その対数粘度(濃度;0.5g/100ml溶媒、溶媒;NMP、
測定温度;30℃)が0.277である。『シリルオキシ基を多
数有する可溶性芳香族ポリイミド(イミド化率;100
%)』であった。
前述のようにして得られた芳香族ポリイミドの粉末の
熱重量分析の結果を第1図に示し、そして、芳香族ポリ
イミドのプロトンNMRの結果を第2図に示す。
前述のようにして得られた芳香族ポリイミドをシクロ
ヘキサノンに溶解して、ポリマー濃度10重量%の均一な
芳香族ポリイミド溶液を調製した。
更に、この芳香族ポリイミド溶液を、ドクターナイフ
を用いてガラス板上に塗布し、約80℃で30分間、続いて
200℃で30分間乾燥して、7μmの厚さの芳香族ポリイ
ミド製の薄膜を形成させた。
この薄膜について、自記分光光度計((株)日立製作
所製、380型)を使用して、560〜200nmの波長の光線の
光透過性を測定した。その結果、460〜560nmの波長の光
の透過率が75〜83%であり(400nmの波長の光で30%で
あった)、360nm以下の波長の紫外線の透過率が2%以
下であった。
実施例2 a−BPDA4.54g(15.4m mol)、s−BPDA2.27g(7.7m
mol)、HAB5.0g(23.1m mol)をNM0200mlに加え、窒素
気流中、180℃で3時間、加熱撹拌し、生成水を含むNMP
25mlを流出させた。室温まで冷却した後イミダゾール6.
3g(92.5m mol)、および、トリエチルシリルクロライ
ド15.6ml(92.5ml)を加え、室温で7時間撹拌した。得
られた均一溶液を水1000ml中に加えたポリマーを析出さ
せ、更にメタノール1000mlで2回洗浄し一晩真空乾燥し
14gの白色粉末を得た。(収率86.1%) 得られたポリマーの熱重量分析(TGA)、プロトンNMR
の結果を、第3図、第4図にそれぞれ示す。
また、実施例1同様にして、前記の可溶性芳香族ポリ
イミド溶液から8μmの薄膜を形成して、560〜200nmの
波長の光線の光透過性を測定した結果、460〜560nmの波
長の光の透過率が75〜83%であり(400nmの波長の光で3
0%であった)、360nm以下の波長の紫外線の透過率が2
%以下であった。
前述のようにして得られたシリルオキシ基を有する可
溶性芳香族ポリイミドの10重量%のシクロヘキサノン溶
液を2000rpmで基板上にスピンコートした試料を80℃で
乾燥させ、200℃で30分間熱処理した後、1mm間隔で100
個の枡目を付け、120℃水蒸気気流中20時間処理をし、
粘着テープでピール剥離試験をした。その結果、残膜率
は、99%以上であった。
なお、シリルオキシ化前の水酸基を有する可溶性芳香
族ポリイミド10重量%のNMP溶液を使用したほかは、前
述と同様のピール剥離試験を行った結果、残膜率は76%
であった。前述のようにして得られたシリルオキシ基を
多数有する可溶性芳香族ポリイミド0.62g、p−ニトロ
ベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホ
ネート(NBAS)0.062gをシクロヘキサノン6.2gに溶解
し、シリコンウエハーの上に1000rpm、60秒間、スピン
コートにより0.8μmの塗膜を作成する。この塗膜を150
℃で10分で乾燥し、ポリイミドと酸発生剤との組成物の
薄膜をシリコンウエハー上に形成し、パターン状マスク
をその薄膜に重ね合わせ、400mj/cm2の強さの光を照射
できる超高圧水銀ランプに曝して、光照射を行うと共
に、さらに、水/メタノール=1で湿らせた濾紙に覆い
一晩放置して光照射部分を湿潤化し、その後、光照射さ
れた薄膜を有するシリコンウエハーを、200℃で30分間
乾燥させて、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイ
ド2%の水溶液に2分浸し光照射部分を除去してパター
ン被膜を形成する現像を行う。さらに、パターン被膜の
形成されたシリコンウエハーを水で洗浄し乾燥すること
により、6μm間隔のパターン被膜がきれいに形成され
ているのが確認された。
〔本発明の作用効果〕
この発明における感光性ポリイミドと酸発生剤とを含
有する組成物は、既にイミド化されている芳香族ポリイ
ミドが使用されているので、イミド化のために高い熱処
理を必要とせず、また、電子線、X線、電磁波、紫外線
などの活性エネルギー線の照射部と未照射部との溶解度
差をつけることが容易に可能であり、この場合にも特別
の複雑な操作や高い温度を必要としないので、精密なパ
ターンを形成する現像を容易に行うことができるのであ
り、更に、前述の可溶性芳香族ポリイミドを含有してい
る組成物の膜(実質的のポリイミドからなる膜)は、そ
の側鎖の多数有しているシリルオキシ基によって高い接
着性で基板に接合されるのである。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第3図は、ポリマーの熱重量分析の結果のチ
ャートを示す図面であり、第2図及び第4図は、ポリマ
ーのH−NMRスペクトルのチャートを示す図面である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカ
    ルボン酸あるいは酸二無水物と、1−ヒドロキシ−2,5
    −ジアミノベンゼン、1−ヒドロキシ−3,5−ジアミノ
    ベンゼン、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフ
    ェニル、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェ
    ニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジアミノビフェニ
    ル、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノジフェニル
    エーテル、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノジフ
    ェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジアミ
    ノジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシ−
    4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒ
    ドロキシ−3−アミノフェノキシ)ベンゼン、あるいは
    1,3−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)
    ベンゼンである芳香族ジアミンとを、重合およびイミド
    化した後、シリル化して得られる、対数粘度(濃度;0.5
    g/100ml溶媒、溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、測定
    温度;30℃)が0.2〜5であるシリルオキシ基含有の可溶
    性芳香族ポリイミド、および、 (b)350〜450nmに吸収波長を持ちその波長の光、X線
    あるいは電子線などの活性エネルギー線の照射によって
    酸を発生する感光性の酸発生剤が配合されていることを
    特徴とする感光性ポリイミド組成物。
  2. 【請求項2】請求項第1項記載の感光性ポリイミド組成
    物の薄膜を基板上に形成し、その薄膜上に活性エネルギ
    ー線を照射し、照射部分に酸を発生させて、照射部分の
    芳香族ポリイミドのシリルオキシ基をヒドロキシ基に変
    え、ヒドロキシル化された芳香族ポリイミドをアルカリ
    性現像液で溶解し除去して、パターン状被膜を基板上に
    形成することを特徴とする感光性ポリイミド組成物の現
    像法。
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