JP2717505B2 - 管の継手構造 - Google Patents

管の継手構造

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JP2717505B2
JP2717505B2 JP6117601A JP11760194A JP2717505B2 JP 2717505 B2 JP2717505 B2 JP 2717505B2 JP 6117601 A JP6117601 A JP 6117601A JP 11760194 A JP11760194 A JP 11760194A JP 2717505 B2 JP2717505 B2 JP 2717505B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、あらゆる分野の管体の
接合に用いられ、特に自動車等内燃機関の排気系の管体
の接合に最適に利用される管の継手構造に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車においては、排ガス規制、
省燃費対策および省資源対策等々の要請から車両重量の
軽量化が図られている。このため、最近の自動車等内燃
機関の排気系では、従来用いられていた肉厚が10mm
以上という厚板フランジに代わって、肉厚が2mm内外
の鋼板を用いフランジアップ等により機械的強度を補強
したプレスフランジと称する比較的薄肉のフランジが使
用されている。図5はこの種のフランジを用いた管継手
を示している。この管継手は、プレスフランジ20、2
0が対向する向きにそれぞれ溶接された上流側、下流側
排気管21、22を当接させ、この当接部の排気管外周
にシールリング23を介在させた後、プレスフランジ2
0、20をボルト、ナットで締め付けて、両排気管2
1、22を固定するものである(実開昭61−5143
1参照)。
【0003】ところで、この管継手は、プレスフランジ
20、20を両排気管21、22に溶接するので、排気
管の板厚はプレスフランジの板厚に比較して著しく薄く
はできない。 これは、厚板に溶接条件を合わせると薄
板が溶断する虞があり、薄板に溶接条件を合わせると厚
板溶接部の溶接強度が落ちる虞があるためである。従っ
て、板厚2〜3mmのフランジを用いる場合には、排気
管の板厚を薄くしようとしても板厚1.6mm程度の管
が限度であった。
【0004】しかしながら、軽量化の要請はつよく求め
られており、排気管自体のさらなる薄肉化が進められて
いる。また、溶接を行うと、溶接スパッタおよび溶接臭
の発生等による作業環境への問題が常に伴うと共に、製
品に対しては、溶接スパッタの付着および溶接部への粒
界腐食の発生等の問題があった。そこで、本出願人は溶
接を用いない管継手を開発し、先に実用新案登録出願し
た(実開平5−64595参照)。
【0005】図6、図7は、この出願の管継手を示して
いる。図6において、上流側排気管28と下流側排気管
29とは、板厚が0.6〜1.0mm程度の薄肉管であ
る。これら両排気管の当接側端部は、徐々に拡径され、
終端接合部30は断面四半状に膨出されている。これ
ら当接した両排気管の内周には、中央に断面半状のビ
ード部31を有する筒状シール部材32が、当接した両
排気管の内周に沿って密着している。さらにこの筒状シ
ール部材32の内周には、円筒状のシール押え部材33
が設けられ、これら筒状シール部材32とシール押え部
材33とは、溶着されて一体となっている。
【0006】そして、この管継手は、このように構成さ
れた排気管接合部に、上からこの接合部形状に沿った形
状の一対の締付バンド34を掛けてボルト・ナットによ
り締め付けられ、完成する。この管継手は、このように
構成されているので、溶接を用いない上に広い面積で締
め付け固定されているので、従来の溶接による欠点が解
消され、薄肉管相互の管継手として好ましいものであ
る。
【0007】また、前述の内燃機関の排気系の管継手に
限らず、広く一般の金属製管継手においても、溶接を必
須とすることは、前述したように作業環境への問題が常
に伴うと共に、製品においては、前述と同様に溶接スパ
ッタの付着および溶接部への粒界腐食の発生等の問題が
ある。さらに、合成樹脂製管継手においても、合成樹脂
製管と合成樹脂製フランジとの合成樹脂溶接は、合成樹
脂の焼けに伴う悪臭の発生および有害ガスの発生等の作
業環境への問題が発生する。また、別体の継手部を、管
体それぞれに接着して成る合成樹脂製管継手は、接着剤
の溶剤により管に亀裂が発生する虞があると共に、溶剤
ガスが健康を害する虞がある。その上、管材料が何であ
れ、軽量化は、廃棄物および省資源対策の面からも、あ
らゆる技術分野に要請されていることでもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述の内燃
機関の排気系の管継手においては、従来の溶接による欠
点が解消されてはいるが、面接触の締め付けとなってい
るので、シ−ル性が必ずしも良好ではなく、その上、管
周面からの締め付け固定なので、管軸方向の荷重、特に
引っ張り力に対する抵抗性に不安があった。このため、
この管継手は、用途が限定されていた。また、前述の内
燃機関の排気系の管継手以外の一般の金属製管継手にお
いては、前述した溶接に伴う種々の問題に対する適切な
対策がなされていなかった。さらに、合成樹脂製管継手
においても、合成樹脂溶接、および、接着剤使用に伴う
種々の問題に対する適切な対策がなされていなかった。
その上、材料を問わず、製品の軽量化は、廃棄物および
省資源対策の面から今後あらゆる技術分野において常に
推進していかなければならない課題である。
【0009】したがって本発明の第一の目的は、これら
課題を解決するためになされたものであり、溶接部がな
いと共にシ−ル性が良好でかつ管軸方向の荷重に強固な
抵抗性を発揮し、その上軽量化に有効な薄肉管に適し、
かつあらゆる技術分野に適用可能な管継手構造を提供す
ることである。本発明の第二の目的は、内燃機関の排気
系の管継手において、排気ガスのシ−ル性が良好である
と共に管軸方向の荷重に強固な抵抗性を発揮し、かつ、
軽量化に有効な薄肉管に適した内燃機関の排気管継手構
造を提供することである。本発明の第三の目的は、内圧
負荷が小さい気体移送系等の金属製管継手において、溶
接がなく、かつ、移送気体のシ−ル性が良好であると共
に管軸方向の荷重に強固な抵抗性を発揮し、かつ、軽量
化に有効な薄肉管に適した気体移送系等の金属製管継手
構造を提供することである。
【0010】本発明の第四の目的は、内圧負荷が小さい
液体移送系等の金属製管継手において、溶接がなく、か
つ、移送液体のシ−ル性が良好であると共に管軸方向の
荷重に強固な抵抗性を発揮し、かつ、軽量化に有効な薄
肉管に適した液体移送系等の金属製管継手構造を提供す
ることである。本発明の第五の目的は、合成樹脂製管継
手において、製作作業環境を害することなく、かつ、流
通物体のシ−ル性が良好であると共に管軸方向の荷重に
強固な抵抗性を発揮し、かつ、軽量化に有効な薄肉管に
適した合成樹脂製管継手構造を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記第一の目的を達成す
るための本発明の管継手構造は、等口径の第1管と第2
管とを接続する管の継手構造において、 a)端部に、この端部をフレア状に拡径して成る第1フ
レア部を備えた第1管と、 b)この第1管と同軸上に設けられると共にこの第1管
対向する端部に、前記第1フレア部と鏡面対称形構造
を成す第2フレア部を備えた第2管と、 c)これら両管の内面に嵌合されると共に、前記両管を
これらの第1、第2フレア部同士で接触させた際に、相
互のフレア開始点から相互のフレア終端部にかけての部
分が協働して形成する断面三角形状の環状空間のその三
角形の底辺長よりわずかに短い軸方向長さを有する膨出
部を中央部に備えた筒状体と、 d)この筒状体の膨出部の外周に嵌合され、管内物質の
漏洩を防止するシールリングと、 e)中央部に設けられ、前記第1管の外径より僅かに大
きい内径を有する円筒部とこの円筒部からフレア状に拡
径する拡径部とを有する管嵌入部と、この管嵌入部の拡
径部から前記円筒部に対して垂直方向外方に広がる平面
部と、この平面部の中心に対して対称位置にある少なく
とも一対のボルト孔と、前記平面部の縁部に設けられた
折曲部とを備えて成り、前記第1管に遊嵌される第1フ
ランジと、 f)この第1フランジと鏡面対称形構造を成し第2管に
遊嵌される第2フランジと、 g)これら第1、第2フランジ間を、前記ボルト孔を用
いて締結する少なくとも一対のボルト、ナットとからな
り、 シールリングを嵌合した筒状体に、第1管と第2管と
を、これらの第1、第2フレア部が対向するように嵌入
すると共に第1、第2管のそれぞれに、第1フランジと
第2フランジとを、鏡面対称状に嵌入し、これら第1、
第2フランジ間を少なくとも一対のボルト、ナットとで
締結し、前記の第1管と第2管とを接続することを特徴
とするものである。
【0012】前記第二の目的を達成するための本発明の
管継手構造は、前記の第1管と第2管とが、内燃機関の
排気管であることを特徴とするものである。このように
第1管と第2管とを内燃機関の排気管とした場合は、こ
れらの第1管と第2管をはじめ、前記筒状体、前記の第
1フランジと第2フランジ、ならびに前記の一対のボル
ト、ナットが、何れも鉄系金属材料から成ると共に、前
記シ−ルリングが、無機材を芯材とし、これを鉄系金属
材料の箔材で包んで成ることが好ましい。また特に、排
気管である第1管と第2管とが薄肉管である場合は、前
記鉄系金属材料が、とりわけステンレス鋼材であること
が好ましい。
【0013】前記第三の目的を達成するための本発明の
管継手構造は、前記の第1管と第2管とが、気体移送系
等の気体移送管であると共に、前記の第1管と第2管、
前記筒状体、前記の第1フランジと第2フランジ、なら
びに前記の一対のボルト、ナットが、何れも金属材料か
ら成り、かつ、前記シ−ルリングが、無機材を芯材と
し、これを金属材料の箔材で包んで成ることを特徴とす
るものである。また、前記気体移送管が、例えば200
℃以下のような比較的低温の気体を移送する管である場
合は、前記シ−ルリングが、ゴム状の単一弾性体から成
ることが好ましい。
【0014】前記第四の目的を達成するための本発明の
管継手構造は、前記の第1管と第2管とが、液体移送系
等の液体移送管であると共に、これらの第1管と第2
管、前記筒状体、前記の第1フランジと第2フランジ、
ならびに前記の一対のボルト、ナットが、何れも金属材
料から成り、かつ、前記シ−ルリングが、ゴム状の単一
弾性体から成ることを特徴とするものである。前記第五
の目的を達成するための本発明の管継手構造は、前記の
第1管と第2管、前記筒状体、ならびに前記の第1フラ
ンジと第2フランジが、何れも合成樹脂材料から成り、
かつ、前記シ−ルリングが、ゴム状の単一弾性体から成
ることを特徴とするものである。また、前記の第1管と
第2管、前記筒状体が、合成樹脂材料から成ると共に前
記シ−ルリングが、ゴム状の単一弾性体から成り、か
つ、前記の第1フランジと第2フランジおよび前記の一
対のボルト、ナットが、金属材料から成ることを特徴と
するものであってもよい。
【0015】
【作用】このように構成される本発明の管の継手構造
は、第1、第2フランジ間をボルト、ナットとで締結す
ることにより第1、第2フランジの広い平面部が相互に
圧着する。これにより、第1管と第2管との第1フレア
部と第2フレア部とがシ−ルリングを圧縮しつつこれら
両管を緊締し、第1管と第2管とをシ−ル状態に接続す
る。すなわち、溶接を行うことなく管相互を接続するこ
とが可能であり、特に薄肉管相互の接続を可能にする。
さらに作業環境を害する虞がなく、かつ、溶接に伴う種
々の欠点がない上にシ−ル性が良好で、かつ、管軸方向
の荷重に対し強固な抵抗性を発揮する。
【0016】
【実施例】以下、本発明の管の継手構造を、図面に示す
実施例に基づいてさらに詳細に説明する。図1〜図4
は、本発明の第一実施例であり、この実施例は本発明の
管の継手構造を、自動車の排気系に適用したものであ
る。図1は、本実施例の継手構造の締結前の全体構造を
示す部分断面図である。図2は、同継手構造の締結時の
全体構造を示す部分断面図である。図3は、図2の側面
図である。図4は、図2の要部Aの拡大図である。
【0017】図1に示すように本実施例の継手構造は、
相互に接続する等口径の第1排気管1と第2排気管2
と、これら両排気管1、2の内面に当接する短尺の筒状
体4と、この筒状体4の外周に嵌合されるシ−ルリング
5と、前記両排気管1、2にそれぞれ遊嵌される第1フ
ランジ10と第2フランジ11と、これら第1、第2フ
ランジ10、11間を締結する一対のボルト12、1
2、ナット13、13とからなる。第1排気管1は、排
気上流側に設けられており、その下流端は略45°のフ
レア状に拡径していて第1フレア部1aを成している。
第2排気管2は、排気下流側に設けられており、その上
流端は略45°のフレア状に拡径していて第2フレア部
2aを成している。すなわち、これらの第1排気管1と
第2排気管2とは、鏡面対称形を成している。これら両
排気管1、2は、本実施例では、約43mmφの外径を
有するステンレス鋼管SUS430(JIS規格)の
0.6mm材からなっている。
【0018】そして、両排気管1、2を両フレア部1
a、2a同士で接触させると、両フレア部1a、2a
は、鏡面対称形を成しているので、両排気管1、2の接
触点でこれらの管壁が外方に突出するような外観を成し
て、相互のフレア開始点から相互のフレア終端部にかけ
て、これらの部分が協働して形成する断面三角形状の環
状空間Sが両排気管1、2の内部に生ずる。この環状空
間Sは具体的には、三角形状の寸法で表すと、底辺長さ
L(図4参照)が11mm前後、高さが5mm前後であ
る。なお、管の材質、肉厚は前記のものに限らず、鋼
管、各種ステンレス鋼管等の鉄系材料が用いられ、肉厚
も外径に応じ0.5〜2.0mm等の各種サイズが用い
られる。 また、単一材に限らず、箔材を2〜3層に積
層して前記肉厚にした積層材でもよい。
【0019】筒状体4は、図4に詳しく示すように、両
排気管1、2の内面に嵌合される短尺の管であり、中央
部に外径が約4mm膨出した膨出部3を備えた筒状を成
している。この膨出部3の軸方向長さwは、前述した両
排気管1、2の第1、第2フレア部1a、2a同士を接
触させた際に形成される断面三角形状の環状空間Sのそ
の三角形の底辺長さLよりわずかに短い長さとなってい
る。具体的には、膨出部3はその頂部長さが約7mm、
すそ長さが約11mmとなっており、この筒状体4に、
第1、第2フレア部1a、2aが対向するように両排気
管1、2を嵌入して接触させた際に、膨出部3が前記の
環状空間Sに納まるようになっている。
【0020】この筒状体4は、本実施例では、約41m
mφの外径を有するステンレス鋼管SUS430の肉厚
0.6mm材を用い、その中央部をバルジ加工等で一部
膨出させて膨出部3を形成し、膨出部3の外径を約4
5.5mmφとしており、全長は約25mmとなってい
る。なお、この筒状体4の材質、肉厚および口径も、前
記排気管と同様に、各種鉄系材料および各種サイズを排
気管に応じて用いことができ、また、積層材とするこ
ともできる。
【0021】シ−ルリング5は、石綿、セラミックウ−
ル、スチ−ルウ−ル等の無機材を芯材とし、これらを肉
厚約0.2mmのステンレス鋼SUS430箔材で包ん
でリング状とした弾性と耐熱性を備えた断面外径約4.
0mmのシ−ル材で、筒状体4の膨出部の外周に密着状
に嵌合される。そして、このシ−ルリング5は、前記第
1、第2フランジ10、11を圧着して前記両排気管
1、2を接続した際に、これら両排気管1、2の第1、
第2フレア部1a、2aとで圧縮され、図4に示すよう
に前述した断面三角形状の環状空間Sになじむ形に変形
されてこの継手の排気シ−ルを行う。
【0022】第1、第2フランジ10、11は、図1〜
3に示すように、この両者を圧着して両排気管1、2を
接続するものであり、この両者は鏡面対称形状態で用い
られるがその構造は全く同一である。したがって、以下
に、第1フランジ10のみを説明し、第2フランジ11
の説明は省略する。この第1フランジ10は、中央部に
第1排気管1の外径より僅かに大きい内径を有するごく
短い円筒からなる円筒部6aと、この円筒部6aから第
1フレア部1aと相似形に略45°のフレア−状に拡径
する拡径部6bとからなる管嵌入部6を有する。
【0023】さらに、この管嵌入部6の拡径部6bの終
端から円筒部6aに対して垂直方向外方に、図3に示す
ように外形略菱形になるように平面状に平面部7が広が
っている。そしてさらに、この平面部7の縁部には、円
筒部6aと同方向に平行に折曲部9が立ち上がってい
る。この折曲部9は、菱形の短軸近傍で高く、同長軸近
傍で低く立ち上がっており、この両者間は図1に示すよ
うに連続して変化している。また、この平面部7には、
菱形の長軸上の中心に対して対称位置に一対のボルト孔
8、8が設けられている。
【0024】このように構成された第1フランジ10
は、本実施例では前記第1排気管1と同じステンレス鋼
材SUS430の肉厚2.0mm材を用いており、その
具体的寸法関係は、前記円筒部6aの内径が約43.5
mm、菱形の長軸長さが約103mm、同短軸長さが約
70mmで、また前記一対のボルト孔8、8間は約75
mm、管嵌入部6の平面部7からの立ち上がり高さは約
10mmで、折曲部9の同立ち上がり高さは高所で約1
2mm、低所で約5mmとなっている。この第1フラン
ジ10と第2フランジ11とは、鏡面対称形状態になる
ように第1排気管1と、第2排気管2とにそれぞれ遊嵌
される。
【0025】前記一対のボルト12、12およびこれら
に螺合するナット13、13は、一対のボルト孔8、8
を用いて第1フランジ10と第2フランジ11とを締結
するものである。そして、この締結により、第1、第2
フランジ10、11の広い平面部7、7が相互に圧着さ
れると共に、第1、第2排気管1、2の第1フレア部1
aと第2フレア部2aとがシ−ルリング5を圧縮しつつ
これら両管を緊締し、第1排気管1と第2排気管2とを
シ−ル状態に接続する。
【0026】つぎに、このような構成部品から成る本実
施例の装着方法を説明する。まず、シールリング5を嵌
合した筒状体4を用意する。そして、図1に示すよう
に、この筒状体4に、第1排気管1と第2排気管2と
を、これらの第1、第2フレア部1a、2aとが対向
るように嵌入する。つぎに、第1、第2排気管1、2の
それぞれに、第1フランジ10と第2フランジ11と
を、鏡面対称状に嵌入する。そして、これら第1、第2
フランジ10、11に設けられた一対のボルト孔8、8
にボルト12、12を貫通し、これらにナット13、1
3を螺合する。ついで、ボルト12、12、ナット1
3、13を締めつけて第1、第2フランジ10、11の
広い平面部7、7を相互に圧着する。これにより、図2
および図4に示すように、第1排気管1と第2排気管2
との第1フレア部1aと第2フレア部2aとが、シール
リング5を圧縮して変形させつつ、これら両排気管1、
2を緊締し、第1排気管1と第2排気管2とをシール状
態に接続する。
【0027】このように組み立てられた本実施例の管継
手は、溶接を行うことなく管相互を接続することが可能
であり、特に溶接が困難な薄肉管相互の接続に適してい
る。その上、溶接に伴う溶接スパッタおよび溶接臭の発
生等による作業環境の悪化がないと共に、製品への溶接
スパッタの付着および溶接部の粒界腐食の発生等の問題
がない。さらに、溶接がないので、排気管をはじめ構成
部品の薄肉化が実施でき、製品の軽量化を果たせる。
【0028】また、第1、第2フランジ10、11の管
軸方向への圧着により、第1排気管1と第2排気管2と
を接続しているので、管軸方向の荷重、特に引張り力に
対し強固な抵抗性を発揮すると共に、管半径方向の荷重
に対しても、第1、第2フランジ10、11の相互に圧
着された広い平面部7、7により、十分抵抗性を有す
る。さらに、シ−ルリング5は、弾性と耐熱性とを備え
ると共に強く圧縮されて前記環状空間Sになじむ形に変
形されているので、この継手の排気シ−ルは十分であ
り、排気管内の排気ガスが、この継手部から外部に漏洩
することはない。
【0029】本実施例は、前述したような構成から成っ
ているが、必ずしもこれに限られるものではなく、以下
に示すごとく種々変更することができる。本実施例の構
成部品それぞれは、材質、肉厚および口径等は前述した
ものに限られず、鋼材、各種ステンレス鋼材等の鉄系材
料が用いられ、肉厚および口径も用途に応じ各種サイズ
のものを用いることが可能であることは、勿論である。
ただし、薄肉材では、耐久性の面から各種ステンレス鋼
材が好ましく、オ−ステナイト型ステンレス鋼材、フェ
ライト型ステンレス鋼材、マルテンサイト型ステンレス
鋼材等のJIS規格に規定された各種ステンレス材料を
広く用いることができる。
【0030】具体的には、例えば以下に示した材料等を
用いることができる。 ・オ−ステナイト型ステンレス鋼材:SUS301、S
US302B、SUS304、SUS309S、SUS
310S、SUS316、SUS317、SUS32
1、SUS347。 ・フェライト型ステンレス鋼材:SUS405、SUS
410L、SUS430、SUS434。 ・マルテンサイト型ステンレス鋼材:SUS403、S
US410、SUS431。 なお、構成部品は、すべて同一材料を用いることが好ま
しく、鋼材とステンレス鋼材とを併用することは避けた
方がよい。これらを併用すると電位の相違から腐食を早
める虞があることと、熱膨張率に相違があり歪みが生ず
る虞があることのためである。また、各種ステンレス鋼
材相互間でも、程度は低いがこれらの影響があるので、
同一材を用いるのが好ましい。
【0031】つぎに、本発明の第二実施例を説明する。
この実施例は本発明の管の継手構造を、空気等の気体移
送系の気体移送管に適用したものである。本実施例にお
いても、構成部品は形状的には前記第一実施例とまった
く同一であるので、図面は省略する。そして、前記排気
管1、2と同様に使用条件が高温状態でかつ多少の反応
性のある気体移送系の気体移送管の場合は、材質を含め
て第一実施例の排気管1、2とまったく同一である。
【0032】ただし、使用条件が高温状態でなく、か
つ、非反応性である空気、窒素、不活性ガス等の気体移
送管の場合は、材質は鉄系金属材料ばかりでなく、銅、
黄銅、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)等種々
の金属材料を用いることができる。また、この場合、特
に使用条件が例えば200℃以下のような比較的低温の
気体を移送する管である場合は、シ−ルリングは、前記
の無機材と金属材との複合材である必要はなく、ゴム、
シリコンゴム等の天然ゴム、合成ゴムおよび合成樹脂か
らなるゴム状の単一弾性体とすることが好ましい。この
ような弾性体からなるシ−ルリングを用いることによ
り、シ−ル性が一層向上する。
【0033】本実施例は、このように構成されているの
で、溶接がなく、かつ、移送気体のシ−ル性が良好であ
ると共に管軸方向の荷重に強固な抵抗性を発揮し、か
つ、軽量化に有効な薄肉管に適した気体移送系等の金属
製気体移送管の継手構造となっている。
【0034】つぎに、本発明の第三実施例を説明する。
この実施例は本発明の管の継手構造を、水等の液体移送
系の液体移送管に適用したものである。この液体移送管
は、使用条件が例えば100℃以下のような温度条件で
かつ反応性の少ない液体移送系の液体移送管であること
が好ましく、酒、食酢、醤油、食用油等の液体食品、燃
料油、機械油、真水、海水、河川水、下水等の液体移送
管が考えられる。本実施例においても、構成部品は形状
的には前記第一実施例とまったく同一であるので、図面
は省略する。
【0035】そして、この第三実施例は、移送液体の性
状に応じて、材質は鉄系金属材料ばかりでなく、銅、黄
銅、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)等種々の
金属材料を用いることができる。例えば、食酢、海水等
では、ステンレス鋼材が適当であり、燃料油、機械油等
では、鋼材が適当であり、エンジン冷却系の冷却水では
アルミニウム合金が適当である。なお、この第三実施例
の継手構造の前記シ−ルリングは、前記の無機材と金属
材との複合材である必要はなく、ゴム、シリコンゴム等
の天然ゴム、合成ゴムおよび合成樹脂からなるゴム状の
単一弾性体とすることが好ましい。このような弾性体か
らなるシ−ルリングを用いることにより、シ−ル性が一
層向上する。
【0036】本実施例は、このように構成されているの
で、溶接がなく、かつ、移送液体のシ−ル性が良好であ
ると共に管軸方向の荷重に強固な抵抗性を発揮し、か
つ、軽量化に有効な薄肉管に適した液体移送系等の金属
製液体移送管の継手構造となっている。
【0037】つぎに、本発明の第四実施例を説明する。
この実施例は本発明の管の継手構造を、合成樹脂材料か
ら成る配管系に適用したものである。合成樹脂材料から
成る配管系は、合成樹脂材料の性状と合致する物質であ
れば、気体、液体を問わず移送管として利用できるが、
一般に高温物質には適当でなく、また、その種類に応じ
て相互に反応する物質、例えば、揮発油を含むオイルに
は塩化ビニル管は使用できない。本実施例においても、
構成部品は形状的には前記第一実施例とまったく同一で
あるので、図面は省略する。
【0038】そして、この第四実施例は、前記の第1管
と第2管、前記筒状体、前記の第1フランジと第2フラ
ンジが、何れも合成樹脂材料から成り、かつ、前記シ−
ルリングが、ゴム状の単一弾性体から成っている。この
ゴム状の単一弾性体は、具体的には、天然ゴム、合成ゴ
ムおよび合成樹脂からなるゴム、シリコンゴム等であ
る。この実施例は、比較的締結力が弱くても支障がない
場合の継手に用いられ、締結のためのボルト、ナットは
合成樹脂であっても、金属材料であってもよい。
【0039】つぎに、本発明の第五実施例を説明する。
この実施例は前記第四実施例を一部変形したもので、第
1管と第2管および前記筒状体が、合成樹脂材料から成
ると共に前記シ−ルリングが、ゴム状の単一弾性体から
成り、かつ、前記の第1フランジと第2フランジおよび
前記の一対のボルト、ナットが、金属材料から成ってい
る。したがって、この配管系の移送物質は第四実施例と
同様であるが、継手をより強く締結することが可能であ
り、第四実施例より強い締結力とシ−ル性が要求される
場合に適当である。なお、シ−ルリングは第四実施例と
同様である。本第四、第五実施例は、このように構成さ
れているので、製作作業環境を害することなく、かつ、
流通物体のシ−ル性が良好であると共に管軸方向の荷重
に強固な抵抗性を発揮し、かつ、軽量化に有効な薄肉管
に適した合成樹脂製管の継手構造となっている。
【0040】なお、前述の第一〜第五実施例はいずれ
も、第1フランジと第2フランジとを締結するのに一対
のボルト、ナットを用いたが、強く締結可能な締めつけ
具であればこれに限らない。たとえば、いずれか一方の
フランジに設けるボルト孔を、ボルトと螺合するネジ切
りバ−リング孔とし、ボルトをねじ込むようにしてもよ
い。また、ボルト、ナットの締結箇所は、複数組み設け
てもよい。さらに、本発明は前記実施例に限らず、発明
の要旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能であ
る。
【0041】なお、前述のように種々の実施例を挙げて
本発明の管の継手構造を説明してきたが、本発明の管の
継手構造は、高圧物質の移送管および毒物の移送管の継
手構造としては、機械強度および密閉性に厳格な信頼性
はないので好ましくない。すなわち、高圧ガスプラン
ト、化学反応プラントおよび高圧でかつ放射性物質を含
む原子力発電所等の配管系には、不適当である。
【0042】
【発明の効果】本発明は、前述のように構成され、等口
径の第1管と第2管の各端部にフレア部を設けて鏡面対
称形に対向させるとともに、内面に筒状体を配置してこ
れらの間に断面三角形状の環状空間が形成されるように
し、各管に遊嵌されるフランジを締結することにより上
記環状空間に配置するシ−ルリングを圧縮変形してシー
ルするようにしたので、溶接がないと共にシ−ル性が良
好でかつ管軸方向の荷重に強固な抵抗性を発揮し、その
上、軽量化に有効な薄肉管に適しかつあらゆる技術分野
に適用可能な管の継手構造を実現する。
【0043】とくに本発明を内燃機関の排気系の管継手
に適用した場合は、排気ガスのシ−ル性が良好であると
共に管軸方向の荷重に強固な抵抗性を発揮し、かつ、軽
量化に有効な薄肉管に適した内燃機関の排気管の継手構
造を実現する。また、本発明を内圧負荷が小さい気体移
送系等の金属製管継手に適用した場合は、溶接がなく、
かつ、移送気体のシ−ル性が良好であると共に管軸方向
の荷重に強固な抵抗性を発揮し、かつ、軽量化に有効な
薄肉管に適した気体移送系等の金属製気体移送管の継手
構造を実現する。
【0044】さらに、本発明を内圧負荷が小さい液体移
送系等の金属製管継手に適用した場合は、溶接がなく、
かつ、移送液体のシ−ル性が良好であると共に管軸方向
の荷重に強固な抵抗性を発揮し、かつ、軽量化に有効な
薄肉管に適した液体移送系等の金属製液体移送管の継手
構造を実現する。さらにまた、本発明を合成樹脂製管継
手に適用した場合は、製作作業環境を害することなく、
かつ、流通物体のシ−ル性が良好であると共に管軸方向
の荷重に強固な抵抗性を発揮し、かつ、軽量化に有効な
薄肉管に適した合成樹脂製管の継手構造を実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係る管の継手構造の締結
前の全体構造を示す部分断面図である。
【図2】同継手構造の締結時の全体構造を示す部分断面
図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】図2の要部A拡大図である。
【図5】従来の第一例の管の継手構造を示す部分断面図
である。
【図6】従来の第二例の管の継手構造を示す部分断面図
である。
【図7】図6の管の継手構造の中央部横断面図である。
【符号の説明】
1 …… 第1排気管(第1管) 1a…… 第1フレア部 2 …… 第2排気管(第2管) 2a…… 第2フレア部 3 …… 膨出部 4 …… 筒状体 5 …… シ−ルリング 6 …… 管嵌入部 6a…… 円筒部 6b…… 拡径部 7 …… 平面部 8 …… ボルト孔 9 …… 折曲部 10…… 第1フランジ 11…… 第2フランジ 12…… ボルト 13…… ナット

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】等口径の第1管(1)と第2管(2)とを
    接続する管の継手構造において、 a)端部に、この端部をフレア状に拡径して成る第1フ
    レア部(1a)を備えた第1管(1)と、 b)この第1管(1)と同軸上に設けられると共にこの
    第1管(1)と対向する端部に、前記第1フレア部(1
    a)と鏡面対称形構造を成す第2フレア部(2a)を備
    えた第2管(2)と、 c)これら両管(1、2)の内面に嵌合されると共に、
    前記両管(1、2)をこれらの第1、第2フレア部(1
    a、2a)同士で接触させた際に、相互のフレア開始点
    から相互のフレア終端部にかけての部分が協働して形成
    する断面三角形状の環状空間(S)のその三角形の底辺
    長(L)よりわずかに短い軸方向長さ()を有する膨
    出部(3)を中央部に備えた筒状体(4)と、 d)この筒状体(4)の膨出部(3)の外周に嵌合さ
    れ、管内物質の漏洩を防止する圧縮可能のシールリング
    (5)と、 e)中央部に設けられ、前記第1管(1)の外径より僅
    かに大きい内径を有する円筒部(6a)とこの円筒部
    (6a)からフレア状に拡径する拡径部(6b)とを有
    する管嵌入部(6)と、この管嵌入部(6)の拡径部
    (6b)から前記円筒部(6a)に対して垂直方向外方
    に広がる平面部(7)と、この平面部(7)の中心に対
    して対称位置にある少なくとも一対のボルト孔(8、
    8)と、前記平面部(7)の縁部に設けられた折曲部
    (9)とを備えて成り、前記第1管(1)に遊嵌される
    第1フランジ(10)と、 f)この第1フランジ(10)と鏡面対称形構造を成し
    第2管(2)に遊嵌される第2フランジ(11)と、 g)これら第1、第2フランジ(10、11)間を、前
    記ボルト孔(8、8)を用いて締結する少なくとも一対
    のボルト(12、12)、ナット(13、13)とから
    なり、 シールリング(5)を嵌合した筒状体(4)に、第1管
    (1)と第2管(2)とを、これらの第1、第2フレア
    部(1a、2a)が対向するように嵌入すると共に第
    1、第2管(1、2)のそれぞれに、第1フランジ(1
    0)と第2フランジ(11)とを、鏡面対称状に嵌入
    し、これら第1、第2フランジ(10、11)間を少な
    くとも一対のボルト(12、12)、ナット(13、1
    3)とで締結し、前記の第1管(1)と第2管(2)と
    を接続することを特徴とする管の継手構造。
  2. 【請求項2】前記の第1管(1)と第2管(2)とが、
    内燃機関の排気管であることを特徴とする請求項1記載
    の管の継手構造。
  3. 【請求項3】前記の第1管(1)と第2管(2)、前記
    筒状体(4)、前記の第1フランジ(10)と第2フラ
    ンジ(11)、ならびに前記の一対のボルト(12、1
    2)、ナット(13、13)が何れも鉄系金属材料から
    成ると共に、前記シ−ルリング(5)が、無機材を芯材
    とし、これを鉄系金属材料の箔材で包んで成ることを特
    徴とする請求項2記載の管の継手構造。
  4. 【請求項4】前記鉄系金属材料が、ステンレス鋼材であ
    ることを特徴とする請求項3記載の管の継手構造。
  5. 【請求項5】前記の第1管(1)と第2管(2)とが、
    気体移送系等の気体移送管であると共に、前記の第1管
    (1)と第2管(2)、前記筒状体(4)、前記の第1
    フランジ(10)と第2フランジ(11)、ならびに前
    記の一対のボルト(12、12)、ナット(13、1
    3)が、何れも金属材料から成り、かつ、前記シ−ルリ
    ング(5)が、無機材を芯材とし、これを金属材料の箔
    材で包んで成ることを特徴とする請求項1記載の管の継
    手構造。
  6. 【請求項6】前記シ−ルリング(5)が、ゴム状の単一
    弾性体から成ることを特徴とする請求項1記載の管の継
    手構造。
  7. 【請求項7】前記の第1管(1)と第2管(2)とが、
    液体移送系等の液体移送管であると共に、前記の第1管
    (1)と第2管(2)、前記筒状体(4)、前記の第1
    フランジ(10)と第2フランジ(11)、ならびに前
    記の一対のボルト(12、12)、ナット(13、1
    3)が、何れも金属材料から成り、かつ、前記シ−ルリ
    ング(5)が、ゴム状の単一弾性体から成ることを特徴
    とする請求項1記載の管の継手構造。
  8. 【請求項8】前記の第1管(1)と第2管(2)、前記
    筒状体(4)、ならびに前記の第1フランジ(10)と
    第2フランジ(11)が、何れも合成樹脂材料から成
    り、かつ、前記シ−ルリング(5)が、ゴム状の単一弾
    性体から成ることを特徴とする請求項1記載の管の継手
    構造。
  9. 【請求項9】前記の第1管(1)と第2管(2)および
    前記筒状体(4)が、合成樹脂材料から成ると共に、前
    記シ−ルリング(5)が、ゴム状の単一弾性体から成
    り、かつ、前記の第1フランジ(10)と第2フランジ
    (11)および前記の一対のボルト(12、12)、ナ
    ット(13、13)が、金属材料から成ることを特徴と
    する請求項1記載の管の継手構造。
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