JP2716832B2 - ゲル絶縁母線及びその製造方法 - Google Patents
ゲル絶縁母線及びその製造方法Info
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- JP2716832B2 JP2716832B2 JP1791990A JP1791990A JP2716832B2 JP 2716832 B2 JP2716832 B2 JP 2716832B2 JP 1791990 A JP1791990 A JP 1791990A JP 1791990 A JP1791990 A JP 1791990A JP 2716832 B2 JP2716832 B2 JP 2716832B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、ゲル状絶縁物を絶縁媒体としたゲル絶縁母
線及びその製造方法に関するものである。
線及びその製造方法に関するものである。
(従来の技術と発明が解決しようとする課題) 従来より電力ケーブルとしてはCVケーブル、OFケーブ
ルが多用され、実用に供されてきた。これらの電力ケー
ブルは、製作工場から敷設現場に輸送されるため、通
常、巨大なドラムに巻かれている。このため、従来の電
力ケーブルの場合には以下に述べる様な種々の制約があ
った。即ち、 1つのドラムに巻くことのできる電力ケーブルの長さ
は自づと決ってしまうため、長い距離をへだてた変電所
間を電力ケーブルで接続する場合には、多数本のドラム
を要し、また、ケーブル間をつなぎ合わさなければなら
ない。
ルが多用され、実用に供されてきた。これらの電力ケー
ブルは、製作工場から敷設現場に輸送されるため、通
常、巨大なドラムに巻かれている。このため、従来の電
力ケーブルの場合には以下に述べる様な種々の制約があ
った。即ち、 1つのドラムに巻くことのできる電力ケーブルの長さ
は自づと決ってしまうため、長い距離をへだてた変電所
間を電力ケーブルで接続する場合には、多数本のドラム
を要し、また、ケーブル間をつなぎ合わさなければなら
ない。
電力ケーブルの絶縁部は、均一に且つ最小径に構成さ
れた性能も充分配慮されるが、接続部分においてはケー
ブル絶縁部が一度とぎれるため、現地接続部(ケーブル
ジャンクション)の絶縁性能を確保するためには、接続
部を被覆するなどの処置を講じなければならず、当初の
ケーブル外径よりも大きくなり、また、軸方向の直線部
分を必要とし、且つ、洞道内作業の場合には、多大な作
業スペースを必要とする。
れた性能も充分配慮されるが、接続部分においてはケー
ブル絶縁部が一度とぎれるため、現地接続部(ケーブル
ジャンクション)の絶縁性能を確保するためには、接続
部を被覆するなどの処置を講じなければならず、当初の
ケーブル外径よりも大きくなり、また、軸方向の直線部
分を必要とし、且つ、洞道内作業の場合には、多大な作
業スペースを必要とする。
電力ケーブルは、所定絶縁性能を確保するために絶縁
物層で構成され、さらにその外側にシース、防食層等が
設けられているため曲りにくい。そのため、輸送のため
に巻きつけるドラム径も大きくなるばかりか、敷設に当
っても、その引きまわし曲率に制約があり、小さな曲率
で曲げることはできない。このためケーブルを敷設する
地下範囲を大きくとる必要が生じる。
物層で構成され、さらにその外側にシース、防食層等が
設けられているため曲りにくい。そのため、輸送のため
に巻きつけるドラム径も大きくなるばかりか、敷設に当
っても、その引きまわし曲率に制約があり、小さな曲率
で曲げることはできない。このためケーブルを敷設する
地下範囲を大きくとる必要が生じる。
電力ケーブルの通電容量が大きくなると、中心部導体
径が大きくなり、従って全体の外径は極めて大きなもの
になる。また、絶縁層は導体部での発熱を熱伝導により
ケーブル外に放出しなければならないが、輸送も考慮す
ると電力ケーブルの通電容量は自づと限界が生じる。こ
のため、送電電力量を増加するには、通電容量が低いケ
ーブルを数条並列して敷設する必要があり、施工工事時
間の延長、洞道内スペースの拡張等の配慮が必要となっ
てくる。
径が大きくなり、従って全体の外径は極めて大きなもの
になる。また、絶縁層は導体部での発熱を熱伝導により
ケーブル外に放出しなければならないが、輸送も考慮す
ると電力ケーブルの通電容量は自づと限界が生じる。こ
のため、送電電力量を増加するには、通電容量が低いケ
ーブルを数条並列して敷設する必要があり、施工工事時
間の延長、洞道内スペースの拡張等の配慮が必要となっ
てくる。
電力ケーブルを運転に供した場合、ケーブルにおいて
初期欠陥が発見されたり、運転中に過大サージが侵入
し、絶縁層に電気的な欠陥を新たに生じさせた場合等に
は、ケーブルの欠陥部を除去し、新たなケーブルに交換
する必要があるが、それには多大な時間を要し、ケーブ
ルの停止時間も長大なものとなる。これは電力系統の運
用にとって大きな制約となり、工事期間中は系統の融通
性がかなり低減する。
初期欠陥が発見されたり、運転中に過大サージが侵入
し、絶縁層に電気的な欠陥を新たに生じさせた場合等に
は、ケーブルの欠陥部を除去し、新たなケーブルに交換
する必要があるが、それには多大な時間を要し、ケーブ
ルの停止時間も長大なものとなる。これは電力系統の運
用にとって大きな制約となり、工事期間中は系統の融通
性がかなり低減する。
OFケーブルの場合には、ケーブル絶縁層に絶縁油を加
圧浸透させ、所要の絶縁性能を確保しているが、ケーブ
ル外被に傷、劣化等の欠陥が生じること、その部分から
絶縁油が漏れ、ケーブルの絶縁性能を脅かすことにな
り、最悪状態では、絶縁低下により閃絡事故も引き起こ
しかねない。
圧浸透させ、所要の絶縁性能を確保しているが、ケーブ
ル外被に傷、劣化等の欠陥が生じること、その部分から
絶縁油が漏れ、ケーブルの絶縁性能を脅かすことにな
り、最悪状態では、絶縁低下により閃絡事故も引き起こ
しかねない。
本発明は、以下の欠点を解消するために提案されたも
ので、その目的は、ケーブルの輸送が簡単で、敷設工事
が容易であり、ケーブルルートにも自由度があり、且
つ、信頼性に優れたゲル絶縁母線及びその製造方法を提
供することにある。
ので、その目的は、ケーブルの輸送が簡単で、敷設工事
が容易であり、ケーブルルートにも自由度があり、且
つ、信頼性に優れたゲル絶縁母線及びその製造方法を提
供することにある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 請求項1記載のゲル絶縁母線は、長手方向に分割され
て構成された箱形の金属容器であって、その上部に開口
部が設けられ、前記開口部を閉塞する蓋が設けられた容
器内部に、1本又は複数本の導体を収納し、この導体を
前記容器から絶縁物によって支持し、また、前記容器内
にゲル絶縁物を充填して前記導体と容器間あるいは導体
間を絶縁し、さらに、前記金属容器を所定の方向または
長さに適宜接続したことを特徴とするものである。
て構成された箱形の金属容器であって、その上部に開口
部が設けられ、前記開口部を閉塞する蓋が設けられた容
器内部に、1本又は複数本の導体を収納し、この導体を
前記容器から絶縁物によって支持し、また、前記容器内
にゲル絶縁物を充填して前記導体と容器間あるいは導体
間を絶縁し、さらに、前記金属容器を所定の方向または
長さに適宜接続したことを特徴とするものである。
また、請求項2記載のゲル絶縁母線の製造方法は、ケ
ーブル敷設の際に、現地にて、分割された箱形容器を接
続して設置し、そのなかに絶縁物によって支持した導体
を収納し、蓋を気密に取り付けた後、蓋に設けた真空引
き用バルブを作動させて容器内部を真空にし、ゲル絶縁
物がまだ流動性のある状態のときに容器内部に充填する
ことを特徴とするものである。
ーブル敷設の際に、現地にて、分割された箱形容器を接
続して設置し、そのなかに絶縁物によって支持した導体
を収納し、蓋を気密に取り付けた後、蓋に設けた真空引
き用バルブを作動させて容器内部を真空にし、ゲル絶縁
物がまだ流動性のある状態のときに容器内部に充填する
ことを特徴とするものである。
(作用) 請求項1記載のゲル絶縁母線によれば、ケーブル敷設
の際は、現地にて、分割された箱形容器を接続して設置
し、そのなかに数メートルおきに絶縁物によって支持さ
れた導体を収納し、ゲル絶縁物がまだ流動性のある状態
のときに容器内部に充填し、数10時間後ゲル絶縁物が硬
化することにより電力ケーブルを構成敷設することがで
きる。
の際は、現地にて、分割された箱形容器を接続して設置
し、そのなかに数メートルおきに絶縁物によって支持さ
れた導体を収納し、ゲル絶縁物がまだ流動性のある状態
のときに容器内部に充填し、数10時間後ゲル絶縁物が硬
化することにより電力ケーブルを構成敷設することがで
きる。
請求項2記載のゲル絶縁母線の製造方法によれば、ケ
ーブル敷設の際は、現地にて、分割された箱形容器を接
続して設置し、そのなかに数メートルおきに絶縁物によ
って支持された導体を収納し、蓋を気密に取り付けた
後、蓋に設けた真空引き用バルブを作動させて容器内部
を真空にし、ゲル絶縁物がまだ流動性のある状態のとき
に内部に充填する。その際、ゲル絶縁物内に混入する気
泡を除去することができ、数10時間後ゲル絶縁物が硬化
することにより電力ケーブルを構成敷設することができ
る。
ーブル敷設の際は、現地にて、分割された箱形容器を接
続して設置し、そのなかに数メートルおきに絶縁物によ
って支持された導体を収納し、蓋を気密に取り付けた
後、蓋に設けた真空引き用バルブを作動させて容器内部
を真空にし、ゲル絶縁物がまだ流動性のある状態のとき
に内部に充填する。その際、ゲル絶縁物内に混入する気
泡を除去することができ、数10時間後ゲル絶縁物が硬化
することにより電力ケーブルを構成敷設することができ
る。
(実施例) 以下、本発明の実施例を第1図乃至第16図に基づいて
具体的に説明する。
具体的に説明する。
第1図は、開口部を有する箱形の金属容器1内に1本
の導体2を収納し、前記開口部を蓋3によって封じると
共に、内部に絶縁のためのゲル絶縁物3を充填したもの
である。また、第2図は、金属容器1の内部に3本の導
体2a〜2cを収納し、3相ケーブルとしたものである。
の導体2を収納し、前記開口部を蓋3によって封じると
共に、内部に絶縁のためのゲル絶縁物3を充填したもの
である。また、第2図は、金属容器1の内部に3本の導
体2a〜2cを収納し、3相ケーブルとしたものである。
さらに、上記のゲル絶縁母線は、第3図に示した様に
組立てられる。即ち、長手方向に分割されて構成された
箱形の金属容器1内には、導体2を金属容器1から絶縁
して支持するための絶縁スペーサ5a,5bが、その両側の
気密状態を保持できるように取付けられている。このよ
うに設定された状態で、絶縁スペーサ5a、5b間に、ゲル
絶縁物をまだ流動性のある状態のうちに流し込み、蓋3
を取り付ける。10数時間から数10時間経過後、ゲル絶縁
物はゲル状に硬化し、電力ケーブルが完成する。なお、
本実施例に使用するゲル絶縁物4としては、シリコンゲ
ル、水酸基末端液状ポリブタジエン等が考えられるが、
一例としてシリコンゲルの特性を第1表に示す。第1表
に示す様に、シリコンゲルは、A液とB液を混合し、約
16時間の後、ゲル状に硬化するものであり、混合当初は
流動性を有する液体である。そこで、流動性を有する間
に第3図に示す金属容器1内に注入する。
組立てられる。即ち、長手方向に分割されて構成された
箱形の金属容器1内には、導体2を金属容器1から絶縁
して支持するための絶縁スペーサ5a,5bが、その両側の
気密状態を保持できるように取付けられている。このよ
うに設定された状態で、絶縁スペーサ5a、5b間に、ゲル
絶縁物をまだ流動性のある状態のうちに流し込み、蓋3
を取り付ける。10数時間から数10時間経過後、ゲル絶縁
物はゲル状に硬化し、電力ケーブルが完成する。なお、
本実施例に使用するゲル絶縁物4としては、シリコンゲ
ル、水酸基末端液状ポリブタジエン等が考えられるが、
一例としてシリコンゲルの特性を第1表に示す。第1表
に示す様に、シリコンゲルは、A液とB液を混合し、約
16時間の後、ゲル状に硬化するものであり、混合当初は
流動性を有する液体である。そこで、流動性を有する間
に第3図に示す金属容器1内に注入する。
なお、ゲル絶縁物の絶縁性能をより効果的に発揮させ
るためには、ゲル絶縁物内に混入する気泡を除去するこ
とが望ましい。この様にゲル絶縁物内の気泡を除去する
場合のゲル絶縁母線の構造を第4図に示した。即ち、蓋
3に、金属容器1内を真空にするための真空引き用バル
ブ7と、ゲル絶縁物が流動性を有するうちに注入するた
めの注入用バルブ8が設けられている。ゲル絶縁物は、
注入用バルブ8の接続口9から注入される。この様に構
成することにより、ゲル絶縁物を脱泡して注入すること
が可能となり、より絶縁性能の優れたゲル絶縁母線とす
ることができる。なお、ゲル絶縁物が硬化した後は、真
空引き用バルブ7及び注入用バルブ8を有する蓋3を取
外し、単純な平らな蓋に交換することも可能である。
るためには、ゲル絶縁物内に混入する気泡を除去するこ
とが望ましい。この様にゲル絶縁物内の気泡を除去する
場合のゲル絶縁母線の構造を第4図に示した。即ち、蓋
3に、金属容器1内を真空にするための真空引き用バル
ブ7と、ゲル絶縁物が流動性を有するうちに注入するた
めの注入用バルブ8が設けられている。ゲル絶縁物は、
注入用バルブ8の接続口9から注入される。この様に構
成することにより、ゲル絶縁物を脱泡して注入すること
が可能となり、より絶縁性能の優れたゲル絶縁母線とす
ることができる。なお、ゲル絶縁物が硬化した後は、真
空引き用バルブ7及び注入用バルブ8を有する蓋3を取
外し、単純な平らな蓋に交換することも可能である。
また、本発明のゲル絶縁母線は、第5図に示した様
に、上下に折れ曲るように配置することも可能である。
即ち、折れ曲り部の上側と下側に絶縁スペーサ5a、5bを
設け、上側の開口部10からゲル絶縁物を注入する。この
様にすることにより、母線の這い回しを狭いスペースで
自在に構成することが可能である。
に、上下に折れ曲るように配置することも可能である。
即ち、折れ曲り部の上側と下側に絶縁スペーサ5a、5bを
設け、上側の開口部10からゲル絶縁物を注入する。この
様にすることにより、母線の這い回しを狭いスペースで
自在に構成することが可能である。
次に、長手方向に分割されて構成された箱形の金属容
器1内に配設される導体の接続部の構成について説明す
る。即ち、第6図及び第7図に示した様に、第1の導体
11と第2の導体12とを、接続導体13を介してボルト14に
より締付け接続する。この様に接続した後、前述した様
にしてゲル絶縁物を注入すればよい。また、接続方法の
別の例を第8図に示す。即ち、第1の導体15及び第2の
導体16に、互いに係合する接続段差を設け、ボルト14に
より両者を締結接続したものである。さらに、第9図及
び第10図に示した様な導体接続方法を用いることもでき
る。即ち、第1の導体21及び第2の導体22の中心部に、
それぞれ小径の突起部21a,22aが形成され、それらの突
起部21a,22aを被覆するようにフィンガ23が取付けられ
ている。このフィンガ23の周囲には複数個のコイルバネ
24が取付けられ、フィンガ23を支持固定している。そし
て、前記フィンガ23によって、両導体21,22が電気的に
接続されている。この接続方法の場合も、導体接続後、
ゲル絶縁物を注入すればよい。なお、第11図は、第6図
に示した導体の接続方法を、90゜曲り母線部に適用した
例を示したものである。導体としては、通常、銅あるい
はアルミニウム等の金属製の丸棒またはパイプ材が使用
される。このとき、導体はきわめて長い場合が多いの
で、曲り部にはその両側に接続部18を設ける必要があ
る。即ち、長尺の導体11、12と曲り導体17とを、それぞ
れ接続部18で接続したものである。
器1内に配設される導体の接続部の構成について説明す
る。即ち、第6図及び第7図に示した様に、第1の導体
11と第2の導体12とを、接続導体13を介してボルト14に
より締付け接続する。この様に接続した後、前述した様
にしてゲル絶縁物を注入すればよい。また、接続方法の
別の例を第8図に示す。即ち、第1の導体15及び第2の
導体16に、互いに係合する接続段差を設け、ボルト14に
より両者を締結接続したものである。さらに、第9図及
び第10図に示した様な導体接続方法を用いることもでき
る。即ち、第1の導体21及び第2の導体22の中心部に、
それぞれ小径の突起部21a,22aが形成され、それらの突
起部21a,22aを被覆するようにフィンガ23が取付けられ
ている。このフィンガ23の周囲には複数個のコイルバネ
24が取付けられ、フィンガ23を支持固定している。そし
て、前記フィンガ23によって、両導体21,22が電気的に
接続されている。この接続方法の場合も、導体接続後、
ゲル絶縁物を注入すればよい。なお、第11図は、第6図
に示した導体の接続方法を、90゜曲り母線部に適用した
例を示したものである。導体としては、通常、銅あるい
はアルミニウム等の金属製の丸棒またはパイプ材が使用
される。このとき、導体はきわめて長い場合が多いの
で、曲り部にはその両側に接続部18を設ける必要があ
る。即ち、長尺の導体11、12と曲り導体17とを、それぞ
れ接続部18で接続したものである。
ところが、一般に、導体部に負荷電流を流すと、その
幾分かは金属容器1に誘導され誘導電流が流れる。従来
の電力ケーブルではシース電流をキャンセルするため、
ケーブル接続部においてシースのクロスボンドが行わ
れ、シース電流を打ち消し合うように構成されている。
本発明のゲル絶縁母線においても、シース即ち金属容器
1に流れるシース電流をクロスボンドにより打ち消すた
め、金属容器1をある長さ毎に電気的に切り離す必要が
ある。この構造の一例を第12図に示した。即ち、金属容
器1aと1bはギャップgにより電気的に切り離されてい
る。この間は絶縁物25により両容器1a,1bを接続し、容
器内の絶縁を確保するとともに内部のゲル絶縁物が流体
状態のときに容器外部に漏れ出さないように構成されて
いる。この様に構成することにより容器のクロスボンド
が可能となり、容器に流れる誘導電流を打ち消すことが
できる。
幾分かは金属容器1に誘導され誘導電流が流れる。従来
の電力ケーブルではシース電流をキャンセルするため、
ケーブル接続部においてシースのクロスボンドが行わ
れ、シース電流を打ち消し合うように構成されている。
本発明のゲル絶縁母線においても、シース即ち金属容器
1に流れるシース電流をクロスボンドにより打ち消すた
め、金属容器1をある長さ毎に電気的に切り離す必要が
ある。この構造の一例を第12図に示した。即ち、金属容
器1aと1bはギャップgにより電気的に切り離されてい
る。この間は絶縁物25により両容器1a,1bを接続し、容
器内の絶縁を確保するとともに内部のゲル絶縁物が流体
状態のときに容器外部に漏れ出さないように構成されて
いる。この様に構成することにより容器のクロスボンド
が可能となり、容器に流れる誘導電流を打ち消すことが
できる。
また、第3図に示した実施例において用いられる絶縁
スペーサとしては、導体を支持固定するとともにゲル絶
縁物を注入する際に隣接する空間を区分する必要がある
場合は、第13図に示した様に、導体配設用の穴5cのみを
形成した形状とする。また、母線の長さが長くなった場
合に、ゲル絶縁物の区分を必要とせず導体を支持固定す
るだけで良い場合があるが、この場合には第14図に示し
た様に、導体配設用の穴5cとゲル絶縁物が移動可能な切
欠き部5dとを形成した形状としても良い。
スペーサとしては、導体を支持固定するとともにゲル絶
縁物を注入する際に隣接する空間を区分する必要がある
場合は、第13図に示した様に、導体配設用の穴5cのみを
形成した形状とする。また、母線の長さが長くなった場
合に、ゲル絶縁物の区分を必要とせず導体を支持固定す
るだけで良い場合があるが、この場合には第14図に示し
た様に、導体配設用の穴5cとゲル絶縁物が移動可能な切
欠き部5dとを形成した形状としても良い。
さらに、ゲル絶縁物は硬化前に脱泡することにより絶
縁性能の向上と信頼性向上を計ることができることは前
述した。この場合、容器内を真空引きしながらゲル絶縁
物を注入する必要があるが、容器内を真空引きするとき
容器の外側からは大気圧が加わるため、これに耐えられ
る容器にする必要がある。第1図、第2図に示すような
箱形形状であっても、容器を構成する板材の厚さを増や
したり、内部あるいは外部にリブ等の補強を設けること
により、容器の強度を増加することは可能であるが、容
器重量が増加し形状は複雑になる。そこで、真空引きを
考慮して容器形状を第15図及び第16図に示した様に構成
することが望ましい。いづれも容器31は半円状に形成し
てあり、上部の蓋32は外側に向って湾曲した形状として
ある。このような形状とすることにより、容器31、32内
の真空引きをしても、容易に耐えられる強度を有する容
器とすることができる。
縁性能の向上と信頼性向上を計ることができることは前
述した。この場合、容器内を真空引きしながらゲル絶縁
物を注入する必要があるが、容器内を真空引きするとき
容器の外側からは大気圧が加わるため、これに耐えられ
る容器にする必要がある。第1図、第2図に示すような
箱形形状であっても、容器を構成する板材の厚さを増や
したり、内部あるいは外部にリブ等の補強を設けること
により、容器の強度を増加することは可能であるが、容
器重量が増加し形状は複雑になる。そこで、真空引きを
考慮して容器形状を第15図及び第16図に示した様に構成
することが望ましい。いづれも容器31は半円状に形成し
てあり、上部の蓋32は外側に向って湾曲した形状として
ある。このような形状とすることにより、容器31、32内
の真空引きをしても、容易に耐えられる強度を有する容
器とすることができる。
また、容器内部に充填するゲル絶縁物としては種々の
ものがあるが、ゲル絶縁母線に適用するには、絶縁性能
及び耐熱性に優れ、長期間の使用に対し特性が変化せ
ず、且つ、施工しやすく安価なものが望ましい。その一
例としてシリコンゲル、ポリブタジエンゲル等がある。
いづれも当初は流動性を有するが、10数時間から数10時
間後硬化する。シリコンゲルはいわゆる絶縁油に対し、
約1.5倍の絶縁性能を有し、また、3.0kg/cm2のSF6ガス
に比べ1.4倍の絶縁性能を有するため縮小化も可能であ
る。
ものがあるが、ゲル絶縁母線に適用するには、絶縁性能
及び耐熱性に優れ、長期間の使用に対し特性が変化せ
ず、且つ、施工しやすく安価なものが望ましい。その一
例としてシリコンゲル、ポリブタジエンゲル等がある。
いづれも当初は流動性を有するが、10数時間から数10時
間後硬化する。シリコンゲルはいわゆる絶縁油に対し、
約1.5倍の絶縁性能を有し、また、3.0kg/cm2のSF6ガス
に比べ1.4倍の絶縁性能を有するため縮小化も可能であ
る。
この様に、本実施例によれば、ケーブル敷設の際は、
分割された箱形容器を現地にて接続して設置し、そのな
かに数メートルおきに絶縁スペーサによって支持された
導体を収納し、ゲル絶縁物がまだ流動性のある状態のと
きに容器内部に充填し、数10時間後ゲル絶縁物が硬化す
ることにより電力ケーブルを構成敷設することができる
ので、ケーブルの敷設が容易であり、ケーブルルートの
曲率に制約がなく、また高電圧、大電流の大容量ケーブ
ルであっても、その大きさを自由に設定することができ
る。またゲル絶縁物は、一度硬化してしまうと、仮に容
器に穴があいても漏れることがないので、信頼性の高い
電力ケーブルとすることができる。また、ゲル絶縁物を
容器に充填する際に加圧する必要がないので、収納する
容器の必要強度を大幅に低減できる。さらに、敷設にあ
たっても、絶縁スペーサで仕切りながら追加し、接続す
ることが可能なため、従来の電力ケーブルのような巨大
ドラムの持ち込みが不要であるし、接続部構造も極めて
簡素化することができる。さらに、万一、不具合が発生
し、ゲル絶縁母線の一部に欠陥が発見された場合にも、
その欠陥部の切除、再生は容易で、短時間のうちにもと
の状態に復旧することができる。
分割された箱形容器を現地にて接続して設置し、そのな
かに数メートルおきに絶縁スペーサによって支持された
導体を収納し、ゲル絶縁物がまだ流動性のある状態のと
きに容器内部に充填し、数10時間後ゲル絶縁物が硬化す
ることにより電力ケーブルを構成敷設することができる
ので、ケーブルの敷設が容易であり、ケーブルルートの
曲率に制約がなく、また高電圧、大電流の大容量ケーブ
ルであっても、その大きさを自由に設定することができ
る。またゲル絶縁物は、一度硬化してしまうと、仮に容
器に穴があいても漏れることがないので、信頼性の高い
電力ケーブルとすることができる。また、ゲル絶縁物を
容器に充填する際に加圧する必要がないので、収納する
容器の必要強度を大幅に低減できる。さらに、敷設にあ
たっても、絶縁スペーサで仕切りながら追加し、接続す
ることが可能なため、従来の電力ケーブルのような巨大
ドラムの持ち込みが不要であるし、接続部構造も極めて
簡素化することができる。さらに、万一、不具合が発生
し、ゲル絶縁母線の一部に欠陥が発見された場合にも、
その欠陥部の切除、再生は容易で、短時間のうちにもと
の状態に復旧することができる。
[発明の効果] 以上述べた様に、本発明によれば、長手方向に分割さ
れて構成された箱形の金属容器であって、その上部に開
口部が設けられ、前記開口部を閉塞する蓋が設けられた
容器内部に導体を収納し、この導体を容器から絶縁物を
介して支持し、また、容器内にゲル絶縁物を充填し、さ
らに、前記金属容器を所定の方向または長さに適宜接続
することによって、ケーブルの輸送が簡単で、敷設工事
が容易であり、ケーブルルートにも自由度があり、且
つ、信頼性に優れたゲル絶縁母線及びその製造方法を提
供することができる。
れて構成された箱形の金属容器であって、その上部に開
口部が設けられ、前記開口部を閉塞する蓋が設けられた
容器内部に導体を収納し、この導体を容器から絶縁物を
介して支持し、また、容器内にゲル絶縁物を充填し、さ
らに、前記金属容器を所定の方向または長さに適宜接続
することによって、ケーブルの輸送が簡単で、敷設工事
が容易であり、ケーブルルートにも自由度があり、且
つ、信頼性に優れたゲル絶縁母線及びその製造方法を提
供することができる。
第1図及び第2図は本発明のゲル絶縁母線の一実施例を
示す断面図であり、第1図は単相形、第2図は三相形を
示し、第3図は第1図及び第2図に示した実施例の組立
て途中を示す斜視図、第4図は母線内を真空引きする場
合に用いられる容器の一例を示す断面図、第5図は母線
の屈曲部に本発明を適用した例を示す斜視図、第6図及
び第7図は導体の接続部の構成を示すもので、第6図は
斜視図、第7図は断面図、第8図は導体の接続部の構成
の他の例を示す断面図、第9図及び第10図も導体の接続
部の構成の他の例を示すもので、第9図は斜視図、第10
図はその断面図、第11図は直角に屈曲した母線部分の導
体の接続部の構成を示す平面図、第12図は本発明におけ
る金属容器の絶縁区分の構成を示す斜視図、第13図及び
第14図は本発明に用いられる絶縁スペーサの一例を示す
斜視図、第15図及び第16図は本発明のゲル絶縁母線の他
の実施例を示す断面図である。 1……金属容器、2……導体、3……蓋、4……ゲル絶
縁物、5a,5b……絶縁スペーサ、5c……穴、5d……切欠
き、7……真空引き用バルブ、8……注入用バルブ、9
……接続口、10……開口部、11……第1の導体、12……
第2の導体、13……接続導体、14……ボルト、15……第
1の導体、16……第2の導体、17……曲り導体、18……
接続部、21……第1の導体、22……第2の導体、21a,22
a……突起部、23……フィンガ、24……コイルバネ、25
……絶縁物、31……金属容器、32……蓋。
示す断面図であり、第1図は単相形、第2図は三相形を
示し、第3図は第1図及び第2図に示した実施例の組立
て途中を示す斜視図、第4図は母線内を真空引きする場
合に用いられる容器の一例を示す断面図、第5図は母線
の屈曲部に本発明を適用した例を示す斜視図、第6図及
び第7図は導体の接続部の構成を示すもので、第6図は
斜視図、第7図は断面図、第8図は導体の接続部の構成
の他の例を示す断面図、第9図及び第10図も導体の接続
部の構成の他の例を示すもので、第9図は斜視図、第10
図はその断面図、第11図は直角に屈曲した母線部分の導
体の接続部の構成を示す平面図、第12図は本発明におけ
る金属容器の絶縁区分の構成を示す斜視図、第13図及び
第14図は本発明に用いられる絶縁スペーサの一例を示す
斜視図、第15図及び第16図は本発明のゲル絶縁母線の他
の実施例を示す断面図である。 1……金属容器、2……導体、3……蓋、4……ゲル絶
縁物、5a,5b……絶縁スペーサ、5c……穴、5d……切欠
き、7……真空引き用バルブ、8……注入用バルブ、9
……接続口、10……開口部、11……第1の導体、12……
第2の導体、13……接続導体、14……ボルト、15……第
1の導体、16……第2の導体、17……曲り導体、18……
接続部、21……第1の導体、22……第2の導体、21a,22
a……突起部、23……フィンガ、24……コイルバネ、25
……絶縁物、31……金属容器、32……蓋。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−271760(JP,A) 特開 平2−49326(JP,A) 特開 平2−87910(JP,A) 特開 平2−180671(JP,A) 特開 平2−193507(JP,A) 特開 平3−45111(JP,A) 特開 平3−70419(JP,A) 特開 平3−139114(JP,A) 特開 平3−164018(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】長手方向に分割されて構成された箱形の金
属容器であって、その上部に開口部が設けられ、前記開
口部を閉塞する蓋が設けられた容器内部に、1本又は複
数本の導体を収納し、この導体を前記容器から絶縁物に
よって支持し、また、前記容器内にゲル絶縁物を充填し
て前記導体と容器間あるいは導体間を絶縁し、さらに、
前記金属容器を所定の方向または長さに適宜接続したこ
とを特徴とするゲル絶縁母線。 - 【請求項2】ケーブル敷設の際に、現地にて、分割され
た箱形容器を接続して設置し、そのなかに絶縁物によっ
て支持した導体を収納し、蓋を気密に取り付けた後、蓋
に設けた真空引き用バルブを作動させて容器内部を真空
にし、ゲル絶縁物がまだ流動性のある状態のときに容器
内部に充填することを特徴とするゲル絶縁物の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1791990A JP2716832B2 (ja) | 1990-01-30 | 1990-01-30 | ゲル絶縁母線及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1791990A JP2716832B2 (ja) | 1990-01-30 | 1990-01-30 | ゲル絶縁母線及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03226217A JPH03226217A (ja) | 1991-10-07 |
JP2716832B2 true JP2716832B2 (ja) | 1998-02-18 |
Family
ID=11957172
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1791990A Expired - Fee Related JP2716832B2 (ja) | 1990-01-30 | 1990-01-30 | ゲル絶縁母線及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2716832B2 (ja) |
-
1990
- 1990-01-30 JP JP1791990A patent/JP2716832B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03226217A (ja) | 1991-10-07 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |