JP2017070126A - 液密構造、及び超電導ケーブルの端末構造 - Google Patents

液密構造、及び超電導ケーブルの端末構造 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な構成で構築し易く、任意の方向に設置可能な液密構造、及び超電導ケーブルの端末構造を提供する。【解決手段】部分的に重なり合う重複箇所を有し、常温未満の低温液体が充填される一連の内部空間を形成する内側容器及び外側容器と、両容器を接合する接合材と、接合された両容器の外周に形成される断熱層とを備え、内側容器と接合材との組及び外側容器と接合材との組の少なくとも一方について、内側に位置する方の熱膨張係数が大きい組に含む容器に設けられ、接合材が配置される少なくとも一つの凹部を備え、重複箇所における両容器の界面部は、低温液体に接して低温液体の温度になる一端部と、低温液体が気化する温度になる他端部と、凹部の内面と接合材との間の空間を含むと共に、一端部側から他端部側に向かう低温液体の浸入を阻止し、かつ低温液体が気化したガスの通過を許容する隙間とを有する液密構造。【選択図】図1

Description

本発明は、常温未満の低温液体を液密に保持する場合に利用される液密構造、液体冷媒を利用する超電導ケーブルと常電導機器とを接続する場合に利用される超電導ケーブルの端末構造に関する。特に、簡単な構成で構築し易く、任意の方向に設置可能な液密構造、及び超電導ケーブルの端末構造に関するものである。
従来、液体窒素や液化天然ガスといった常温未満の低温液体が種々の目的に利用されている。例えば、液体窒素は、超電導ケーブルの液体冷媒として利用される(特許文献1など)。
超電導ケーブルは、超電導導体層を有するケーブルコアと、ケーブルコアを収納し、上記超電導導体層を超電導状態に維持する上述の液体冷媒が充填される真空断熱管とを備える構成が代表的である。
超電導ケーブルと、常温環境で利用される常電導機器とを接続する場合、上述のケーブルコアの超電導導体層と常電導機器との間に、常電導材料からなる引出用導体を介在させた端末構造を構築する。特許文献1は、一端部がケーブルコアの超電導導体層にジョイントを介して接続され、他端部が常温環境に配置される引出用導体と、引出用導体の外周に設けられる筒状のブッシングと、超電導導体層と引出用導体との接続箇所及びその近傍を収納すると共に液体冷媒が充填される冷媒槽を内蔵する真空断熱構造の接続箱と、接続箱に突設されて、引出用導体及びブッシングの機器側領域を収納する碍管とを備える端末構造を開示する。
特許文献1の端末構造は、ブッシングにおける液体冷媒に浸漬される領域と、液体冷媒に浸漬されず、液体冷媒から露出した領域との境界近傍において、ブッシングの外周面と冷媒槽の内周面との間に小さな隙間(空間)を有する。この隙間は、冷媒槽の一部をブッシングの外周に沿って細い管状とし、この管状部分の内周面とブッシングの外周面との間に形成される。上記隙間の大きさは、管状の空間に浸入した液体冷媒と、機器側に充填されたガスとが管状の空間内で平衡するように設計される。この設計値を満たすように、ブッシングの大きさ及び冷媒槽の管状部分の大きさが調整される。
特許文献1の端末構造は、冷媒槽が下方、碍管が上方に位置して、引出用導体の軸やブッシングの軸が地表面に対して直交するように設置される。以下、この設置状態を縦置き形態と呼ぶことがある。
特開2005−117724号公報
常温未満の低温液体を充填する低温容器(配管を含む)に接続箇所がある場合、接続箇所から低温液体が漏出せず、液密であることが望まれる。特に、簡単な構成であり、容易に構築できる液密構造が望まれる。
ここで、常温未満の低温液体、特に液体窒素などの非常に低温の液体が充填される低温容器は、低温容器の外周に真空断熱層に代表される気相断熱層を備えて、低温液体を所定の温度に維持することがなされる。液密に維持できず、低温容器の接続箇所から真空断熱層に低温液体が漏出した場合には、断熱性能が低下し得る。超電導ケーブルの端末構造では、断熱性能の低下によって、冷却システム(特に冷凍機)の負荷が増大したり、超電導状態を適切に維持できなかったりするなどの恐れがある。
上記の接続箇所の液密構造の一つとして、上記の接続箇所に特許文献1に記載される微小な隙間を設けることが考えられる。しかし、微小な隙間を精度よく形成するには、接続する二つの容器の双方を高精度に寸法調整する必要がある。二つの容器は通常、成形品であり製造誤差を含むため、例えば、所定の大きさの隙間が形成可能なものを選別したり、成形品を加工したりするなどして、寸法調整に必要な時間が長い。接続作業上の裕度を考慮して、接続する二つの容器の製造公差を大きくした場合には、各容器の製造公差に起因する誤差が大きくなり易く、上記の寸法調整の時間が更に長くなり易い。例えば、一方の部材は製造公差の最大値をとり、他方の部材が製造公差の最小値をとれば、両部材をそのまま組み付けると、上述の気液の平衡状態を適切に発現できないような大きな隙間が形成され得るからである。
一方の容器が上述のブッシングであり、他方の容器が上述の冷媒槽の管状部分である場合、構成材料が異なるために熱収縮量(熱膨張係数)も異なる。また、ブッシングは、電界緩和のための電極箔を多層に内蔵する樹脂成形体といった複雑な構造である。これら構成材料の特性や組合せ状態などをも考慮して寸法調整を行うために、調整時間が更に長くなり易い。
従って、液密性に優れる上に、寸法調整に必要な時間を短縮でき、好ましくは調整自体を不要にできて施工性に優れ、寸法管理が容易であるような簡単な構成の液密構造が望まれる。
また、特許文献1に記載される微小な隙間を設ける構成は、後述するように、上述の縦置き形態にしか実質的に適用できない。そのため、縦置き以外の設置形態にも利用可能な液密構造が望まれる。
ここで、特許文献1の端末構造を縦置き形態とすると、気化したガスは液体冷媒よりも軽いため上方に存在し易く、液体冷媒は上記ガスよりも重いため下方に存在し易い。このように気液が上下に分離し易く、液密を良好に維持できる。しかし、この端末構造を、例えば、ブッシングの軸及び上述の冷媒槽の管状部分の軸が地表面に平行するように水平に設置すると、液体冷媒はその自重によって上述の管状の隙間の下方において、隙間の一端から他端に至る全域に満ちるため、上記隙間で気液を分離した液密状態を維持できない。
従って、液密性に優れる上に、上述のブッシングの軸などが水平に配置される設置状態(以下、横置き形態と呼ぶことがある)などが可能な液密構造が望まれる。
そこで、本発明の目的の一つは、簡単な構成で構築し易く、任意の方向に設置可能な液密構造を提供することにある。本発明の他の目的は、簡単な構成で構築し易く、任意の方向に設置可能な超電導ケーブルの端末構造を提供することにある。
本発明の一態様に係る液密構造は、部分的に重なり合う重複箇所を有し、常温未満の低温液体が充填される一連の内部空間を形成する内側容器及び外側容器と、両容器の間に介在されて、前記両容器を接合する接合材と、接合された前記両容器の外周に形成される断熱層とを備える。
前記内側容器と前記接合材との組、及び前記外側容器と前記接合材との組の少なくとも一方について、内側に位置する方の熱膨張係数が大きい組に含む容器に設けられ、前記接合材が配置される少なくとも一つの凹部を備える。
前記重複箇所における両容器の界面部は、前記低温液体に接して、前記低温液体の温度になる一端部と、前記低温液体が気化する温度になる他端部と、以下の隙間とを有する。
この隙間は、前記凹部を備える容器と前記接合材とにおける前記低温液体による冷却時の熱収縮量の差によって形成され、前記凹部の内面と前記接合材との間の空間を含むと共に、前記一端部側から前記他端部側に向かう前記低温液体の浸入を阻止し、かつ前記低温液体が気化したガスの通過を許容する。
本発明の一態様に係る超電導ケーブルの端末構造は、部分的に重なり合う重複箇所を有し、液体冷媒が充填される一連の内部空間を形成するブッシング及び端末内管と、前記ブッシングと前記端末内管との間に介在されて、前記ブッシングと前記端末内管とを接合する接合材と、接合された前記ブッシング及び前記端末内管の外周に形成される端末断熱層と、前記内部空間に挿通配置される超電導ケーブルの超電導導体部とを備える。
前記ブッシングと前記接合材との組、前記端末内管と前記接合材との組の少なくとも一方について、内側に位置する方の熱膨張係数が大きい組に含む部材に設けられ、前記接合材が配置される少なくとも一つの凹部を備える。
前記重複箇所における前記ブッシングと前記端末内管との界面部は、前記液体冷媒に接して、前記液体冷媒の温度になる一端部と、前記液体冷媒が気化する温度になる他端部と、以下の隙間とを有する。
この隙間は、前記凹部を備える部材と前記接合材とにおける前記液体冷媒による冷却時の熱収縮量の差によって形成され、前記凹部の内面と前記接合材との間の空間を含むと共に、前記一端部側から前記他端部側に向かう前記液体冷媒の浸入を阻止し、かつ前記液体冷媒が気化したガスの通過を許容する。
上記の液密構造、及び上記の超電導ケーブルの端末構造は、簡単な構成で構築し易く、任意の方向に設置可能である。
実施形態1の超電導ケーブルの端末構造の概略縦断面である。 実施形態1の超電導ケーブルの端末構造であって、図1に示す一点鎖線円内を拡大して示す部分拡大断面図である。 実施形態1の超電導ケーブルの端末構造に備える超電導ケーブルの一例を示す横断面である。 実施形態3の液密構造を備える断熱管であって、重複箇所の近傍を拡大して示す概略縦断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る液密構造は、部分的に重なり合う重複箇所を有し、常温未満の低温液体が充填される一連の内部空間を形成する内側容器及び外側容器と、両容器の間に介在されて、上記両容器を接合する接合材と、接合された上記両容器の外周に形成される断熱層とを備える。
上記内側容器と上記接合材との組、及び上記外側容器と上記接合材との組の少なくとも一方について、内側に位置する方の熱膨張係数が大きい組に含む容器に設けられ、上記接合材が配置される少なくとも一つの凹部を備える。
上記重複箇所における両容器の界面部は、上記低温液体に接して、上記低温液体の温度になる一端部と、前記低温液体が気化する温度になる他端部と、以下の隙間とを有する。
この隙間は、上記凹部を備える容器と上記接合材とにおける上記低温液体による冷却時の熱収縮量の差によって形成され、上記凹部の内面と上記接合材との間の空間を含むと共に、上記一端部側から上記他端部側に向かう上記低温液体の浸入を阻止し、かつ上記低温液体が気化したガスの通過を許容する。
上記の液密構造における用語の意味、代表例などを以下に説明する。
・「常温」とは、大気圧(101kPa程度)での室温とする。日本国では、大気圧で20℃±15℃が挙げられる。
・「内側容器」及び「外側容器」とは、低温液体を充填可能な任意の形状のものが挙げられる。具体的には、一端部が開口し、他端部が閉塞した有底筒状のものであって、最終的に開口が塞がれた状態で使用されるものが挙げられる。より具体的には、箱体のような容積が比較的小さいものや短いもの、管材のような両端が開口した筒状材であって最終的に開口部が塞がれた状態で使用される比較的長いものなどが挙げられる。
・「内側容器」及び「外側容器」の構成材料は、同一でも、異種でもよい。低温液体が充填されて保持するという機能と、接合材によって接合可能であることとから、双方の構成材料が金属である形態、一方の容器(例えば内側容器)の構成材料が樹脂を含む材料であり、他方の容器(例えば外側容器)の構成材料が金属である形態などが挙げられる。
・「重複箇所」とは、内側容器の外周面の一部を覆うように外側容器の内周面の一部が外挿されて配置されて、上記内側容器の外周面の一部と上記外側容器の内周面の一部とが向かい合って配置される箇所である。代表的には、重複箇所は、内側容器の一端部と、外側容器の他端部とを含む(後述する実施形態3参照)。重複箇所は、以下の界面部を含む他、上記内側容器の外周面と上記外側容器の内周面とが所定の範囲内で離間して対向配置される箇所を含むことができる(後述する実施形態1参照)。
・「重複箇所における両容器の界面部」とは、上記内側容器の外周面の一部と上記外側容器の内周面の一部とが上記の特定の隙間を有する程度に近接して配置される箇所である。両容器が低温液体によって冷却される前の状態では、この界面部は上記内側容器の外周面の一部と上記外側容器の内周面の一部とが実質的に接して配置される箇所である。容器に設けられる凹部及び接合材は、この界面部に備える。界面部が重複箇所の一部である形態(後述する実施形態1参照)の他、界面部の全域が重複箇所であり、両者が同一である形態(後述する実施形態3参照)がある。
・「接合材」は、少なくとも低温液体によって冷却される前の両容器を接合可能な材料によって構成される。具体的な材料は、樹脂やゴムなどの有機材料、金属などの無機材料、金属やセラミックスなどの無機材料と樹脂などの有機材料とを含む複合材などが挙げられる。
・「断熱層」とは、低温液体が所定の温度に保持可能な断熱能を有するものとし、気相の他、固相も含む。気相断熱層は、大気圧未満の低圧断熱層、特に1kPa以下、更に100Pa以下、50Pa以下、10Pa以下の真空断熱層が挙げられる。真空断熱層では、真空度が高いほど(圧力が低いほど)、高い断熱性を有する。液体窒素のような低温液体に対する真空断熱層では、真空度が1×10−3Pa以下、更に1×10−4Pa以下といった高真空が望まれる。固相断熱層は、固体断熱材で構成される。気相断熱層と固相断熱層との双方を含むことができる。
・「凹部」は、内側容器と接合材との組において、内側に位置する内側容器の熱膨張係数が接合材よりも大きい場合には内側容器に設けられ、外側容器と接合材との組において、内側に位置する接合材の熱膨張係数が外側容器よりも大きい場合には外側容器に設けられる。両組において内側に位置する部材の熱膨張係数が大きい場合には、内側容器と外側容器との双方に凹部を備えることが好ましい(後述の(4)の形態参照)。但し、熱膨張係数の大きさによっては、いずれかの一方の容器には凹部を有さない場合を許容する。一方の組のみが上述の熱膨張係数について接合材との対比で特定の関係を満たし、この組の容器が凹部を備えることに加えて、上記特定の関係を満たさない組の容器が凹部を備えることもできる。一つの容器に設けられる凹部は、一つ又は複数とすることができる。凹部の内面は、例えば、断面矩形状の凹部であれば、底面と、底面に繋がる側面とを備える。
上記の液密構造は、内側容器及び外側容器の少なくとも一方の容器が、熱膨張係数について接合材との対比で特定の大小関係を有し、かつこの特定の関係を満たす容器における重複箇所の界面部に凹部及び接合材を備える。そして、この液密構造は、接合材による両容器の接続を確保しつつ、界面部の一端部側から他端部側への気体の流通を許容するものの低温液体の流通を阻止するという特定の大きさの隙間を界面部に備えて、液密性に優れる。また、この液密構造は、以下の点から、容易に構築できて施工性に優れる。
(a)少なくとも一方の容器の凹部に接合材が配置され、この凹部及び接合材を覆うように他方の容器が配置されて、両容器の一部が重ね合されるという簡単な構成である。この構成により、一方の容器の所定位置に凹部を設けておき、凹部に接合材(代表的には固化前のもの)を充填した後、両容器の一部を重ね合せるという単純な作業で構築できる。
(b)低温液体の導入時などに界面部の一端部と他端部とに生じる温度差による熱収縮量の差と、凹部を有する容器と接合材との熱膨張係数の差に基づく熱収縮量の差とを利用して、低温液体の流通を阻止し、かつガスの流通を許容するという特定の大きさの隙間を自動的に形成できる(詳細は後述)。従って、微小な隙間を形成するための複雑な作業や高精度な調整などが不要である又は軽減できる。仮に、両容器が製造誤差をある程度有する場合でも、固化前の接合材は任意の形状をとり易く、凹部の形状に沿って容易に充填できるため、接合材量を調整するなどして両容器を確実に接続できる上に、上記の特定の大きさの隙間も形成できる。そのため、上記の液密構造では、上述の寸法調整の時間を短縮できる又は寸法調整を実質的に不要にできる。寸法管理も容易である。
(c)重複箇所に液密性を持たせるものの気密性を問わないため、両容器を単純な形状にできる。例えば、一方の容器が上述のブッシングのような複雑な構造のものであっても容易に製造できる上に、組み付けも容易に行える。
(d)製造過程では、凹部を接合材の位置決め部に利用できるため、接合材を所定の位置に精度よく充填できる。低温液体を充填して両容器が熱収縮すると、凹部と接合材の少なくとも一部とが外れるものの(詳細は後述)、凹部内に充填されていた接合材の一部は凹部に噛み合う突部となり、この突部と凹部とを位置決め部に利用できるため、両容器の位置がずれ難く、所定の位置を良好に維持できる。従って、熱収縮後の位置ずれを防止する部材及びその配置工程を省略できる。
また、上記の液密構造は、液密性に優れるため、任意の設置形態に利用可能であり、汎用性が高い。具体的には、上記の液密構造は、低温液体の浸入方向で分けると、実質的に鉛直方向上向きになる縦置き形態、水平方向になる横置き形態、鉛直方向に交差する方向になる形態(以下、斜め置き形態と呼ぶことがある)、実質的に鉛直方向下向きになる形態(以下、逆さ置き形態と呼ぶことがある)などに適用できて設置形態の自由度が高い。
更に、上記の液密構造は、超電導ケーブル同士を接続する中間接続部、超電導ケーブルと常電導機器との間に構築される終端接続部(後述の端末構造を参照)、低温液体を輸送する各種の冷媒管の接続箇所、超電導ケーブルや上記冷媒管などに収納される各種のセンサに接続される計測線などを常温環境に引き出す引出箇所などに利用できる。これらの適用に際して、上述の各種の設置形態を利用できる。
なお、上記の液密構造では、気化したガスが、重複箇所の界面部に備える隙間のうち、界面部の他端部側寄りの領域に存在し得る。低温液体が、両容器がつくる一連の内部空間を加圧状態で流通する場合には、上記気化したガスは、流通圧力によって重複箇所を経て外部に排出され得る。このガスは低温液体よりも温度が高いため、低温液体自体が外部に漏出する場合に比較して、断熱層の断熱性能の低下などを抑制し易いと考えられる。従って、上述のガスの外部への排出を許容する。
上記の液密構造における上述の重複箇所の界面部に備える隙間を利用した液密のメカニズムを説明する。
まず、熱収縮前の状態を説明すると、内側容器及び外側容器の少なくとも一方に備える凹部に未固化の接合材が凹部の隅々に充填された状態で、内側容器の外周面の一部と外側容器の内周面の一部とが接するように両容器が重ね合される。接合材を適宜固化することで、両容器は接合材によって接合され、凹部の内面と接合材とが密着する。この密着部分を含む両容器の界面が、重複箇所における熱収縮前の界面部となる。
一連の内部空間に低温液体が充填されて、両容器が低温液体によって冷却されると熱収縮する。界面部の一端部は、低温液体に接して低温液体の温度になるため、温度が相対的に低く、界面部の他端部、少なくとも外側容器における界面部の他端部は、低温液体に接触せず、かつ低温液体が気化する温度となるように設けられているため、温度が相対的に高いといえる。この温度差によって、界面部の一端部側領域は、界面部の他端部側領域に比較して熱収縮量が相対的に大きい。後述するように内側容器の内周に熱絶縁部を備える場合には、界面部の一端部と他端部との温度差をより確実に設けられて、上述の熱収縮量の差を大きくし易い。
例えば、接合材よりも内側に位置する内側容器の熱膨張係数αiが、接合材の熱膨張係数αjよりも大きい場合を説明する。内側容器は、内側に向かって熱収縮する。このとき、接合材のうち界面部の一端部側に位置する部分は、αj<αiであるためにその熱収縮量が内側容器の熱収縮量よりも小さく、内側容器の熱収縮に十分に追従できない。その結果、内側容器に設けられた凹部と上述の接合材の一端部側の部分とが剥離して、凹部と接合材との間に凹部の内面に沿った形状の隙間、例えば縦断面Π状の隙間が生じ得る。界面部における凹部の形成箇所近傍も、上述の剥離動作に起因して、隙間が生じ得る。接合材のうち、界面部の他端部側に位置する部分は、上述のように温度が高いため、一端部側の部分に比較して熱収縮量が小さく、内側容器との密着を維持し易い。従って、界面部の他端部側に隙間が生じても、一端部側に生じた隙間よりも小さくなる。
外側容器よりも内側に位置する接合材の熱膨張係数αjが外側容器の熱膨張係数αoよりも大きい場合も同様である。概略を述べると、接合材が内側に向かって熱収縮するとき、αo<αjであるため、外側容器における界面部の一端部側領域の熱収縮量が接合材の熱収縮量よりも小さくて接合材の熱収縮に十分に追従できず、外側容器に設けられた凹部と接合材との間や凹部の形成箇所近傍に隙間が生じ得る。外側容器における界面部の他端部側領域は、上述のように温度が高いため、接合材との密着を維持し易く、界面部の他端部側の隙間は一端部側よりも小さい。
上述のように界面部に形成された隙間の大きさを界面部の一端部側から端部側に向かってみれば、熱収縮量が小さい他端部側に向かって徐々に小さい。この隙間の大きさは、容器及び接合材の構成材料(熱膨張係数)、接合材の充填量、界面部の大きさ(重複長さ)、凹部の大きさ(深さ、幅)や配置位置、複数の凹部を備える場合には隣り合う凹部の間隔などを調整することで変化させられる。凹部を備えると共に、上記の調整を適宜行うことで、表面張力などによって低温液体の浸入を阻止でき、かつ低温液体が気化したガスの通過を許容する程度の大きさの隙間を界面部に備えることができる。
(2)上記の液密構造の一例として、上記外側容器における上記界面部の内周面にその周方向に沿って環状に設けられ、その軸方向に並列される複数の外側凹部を備え、上記内側容器における上記界面部の外周面に上記外側凹部に向かい合ってそれぞれ設けられた複数の環状の内側凹部を備え、上記接合材が上記外側凹部と上記内側凹部とで囲まれる環状の空間に配置される形態が挙げられる。
上記形態は、一方の容器又は双方の容器が上述した熱膨張係数について接合材との対比で特定の大小関係を満たし、両容器の界面部に複数の凹部を備える。この形態は、各容器に環状の凹部をそれぞれ設けておき、各凹部に未固化の接合材を充填した後に両容器の一部を重ね合せるという単純な作業で構築できる簡単な構成であり、容易に構築できて施工性に優れる。
また、上記形態は、両容器に複数の環状の凹部を備えるため、1.接合材量を十分に確保できて両容器を良好に接合できる、2.凹部と接合材との位置決めによってより位置ずれし難い、3.以下の理由により、上述の特定の大きさの隙間を界面部により確実に備えられて液密性に優れる、4.以下の理由により小型化をも図ることができるといった効果を奏する。
3.については、熱収縮量が大きい界面部の一端部側の凹部をその周方向にみると、接合材の剥離箇所が大きくなり易く、隙間が大きくなり易い。界面部の他端部側の凹部をその周方向にみると、接合材との接合箇所が大きくなり易く、隙間が小さくなり易いからである。
4.については、上記隙間を界面部の一端部側から端部側に向かってみれば、例えば縦断面が直線部分とΠ状の部分とが繰り返される凹凸形状をなすと共に、他端部側に向かって徐々に大きさが小さくなる。このような特定の大きさ及び形状の隙間を界面部に有することで、例えば界面部の長さを短くできるからである。
(3)上記の液密構造の一例として、上記内側容器における上記重複箇所の内周の少なくとも一部に熱絶縁部を備える形態が挙げられる。
上記形態は、熱絶縁部によって、内側容器における重複箇所の少なくとも一部が低温液体に冷却され難くなるため、両容器における界面部の一端部と他端部との温度差を設け易い。従って、上記形態は、上述の特定の大きさの隙間を界面部に有して液密性に優れる上に、熱絶縁部を追加するという簡単な構成であり、容易に構築できて施工性にも優れる。
(4)上記の液密構造の一例として、上記内側容器の構成材料の熱膨張係数をαi、上記接合材の熱膨張係数をαj、上記外側容器の構成材料の熱膨張係数をαoとするとき、αo<αj≦αiを満たす形態が挙げられる。
上記形態は、少なくとも外側容器が上述した熱膨張係数について接合材との対比で特定の大小関係を満たして凹部を有するため、外側容器の凹部と接合材との間の空間を含む上述の特定の大きさの隙間を有して、液密性に優れる。両容器が上述の特定の大小関係を満たす場合には、上述の特定の大きさの隙間を界面部により確実に形成でき、液密の信頼性を高められる。また、各容器が(2)の形態で説明した複数の環状の凹部を備える場合には、上述の1.〜4.の効果をも奏する。上記形態は、αo<αj≦αiを満たす範囲で種々の構成材料からなる容器や接合材を利用できて選択の自由度が高い上に、各容器の構成材料が異なるものの、基本的構成は上述の簡単な構成を維持するため、施工性にも優れる。
(5)上記の液密構造の一例として、上記容器はその軸方向に沿って複数の上記凹部を備え、上記界面部の他端部側から一端部側に向かって、各凹部の大きさが大きい形態が挙げられる。
上記形態は、熱収縮量が相対的に大きい界面部の一端部側に大きな凹部を備え、熱収縮量が相対的に小さい界面部の他端部側に小さな凹部を備える。この構成により、界面部の一端部側では、隙間が大きくなり易く、他端部側では、隙間が小さくなり易い。従って、上述の特定の大きさの隙間を界面部により確実に形成でき、液密の信頼性を高められる。更に、上記形態は、凹部の大きさが異なるものの、基本的構成は上述の簡単な構成を維持するため、施工性にも優れる。各凹部が(2)の形態で説明した環状の凹部であれば、上述の1.〜4.の効果をも奏する。
(6)上記の液密構造の一例として、上記容器はその軸方向に沿って複数の上記凹部を備え、上記界面部の一端部側に位置する上記凹部の内面に離型層を備える形態が挙げられる。
上記形態は、熱収縮量が相対的に大きい界面部の一端部側に位置する凹部の内面に離型層を備えるため、熱収縮によって凹部と接合材とが容易に外れて、上述の特定の大きさの隙間を界面部に形成し易い。各凹部が(2)の形態で説明した環状の凹部であれば、上述の1.〜4.の効果をも奏する。
(7)上記の液密構造の一例として、上記外側容器の一部から、上記界面部の他端部を含んで上記内側容器の一部に亘って、これらの外周を覆うように配置されて、上記気化したガスを封止する封止部と、上記外側容器と上記封止部との対向箇所に介在される気密シール材とを備える形態が挙げられる。
上記形態は、封止部及び気密シール材を備えることで、気化したガスが界面部の他端部から漏出することを防止できる。上記形態は、例えば断熱層が真空断熱層である場合に封止部にガスが貯留されて真空断熱層に漏出しないため、界面部の他端部から漏出したガスが断熱層に接するように封止部が設けられている場合に比較して、漏出したガスによる断熱性能の低下を抑制できる。気密シール材がゴムなどの弾性変形可能な材料から構成されている場合、外側容器が熱伸縮する際の力を気密シール材の弾性変形によって吸収して、この力が封止部に伝達されることを低減できる、好ましくは実質的に伝達されないようにできる。そのため、上記形態は、上記熱伸縮に起因する応力を緩和するベローズ管などが不要であり、封止部を簡単な構成にできて、施工性に優れる。
(8)上記の液密構造の一例として、上記低温液体は、液体窒素、液化天然ガス、液体ヘリウム、液体酸素、液体空気、及び液化石油ガスから選択される1種であり、上記断熱層が真空断熱層である形態が挙げられる。
列挙した各種の低温液体は、代表的には真空断熱層を有する断熱管内を流通させたり、真空断熱層を有する断熱容器内に充填されたりして利用される。上記形態は、このような断熱管や断熱容器の接続箇所などに好適に利用できる。
(9)本発明の一態様に係る超電導ケーブルの端末構造は、部分的に重なり合う重複箇所を有し、液体冷媒が充填される一連の内部空間を形成するブッシング及び端末内管と、上記ブッシングと上記端末内管との間に介在されて、上記ブッシングと上記端末内管とを接合する接合材と、接合された前記ブッシング及び前記端末内管の外周に形成される端末断熱層と、上記内部空間に挿通配置される超電導ケーブルの超電導導体部とを備える。
上記ブッシングと上記接合材との組、上記端末内管と上記接合材との組の少なくとも一方について、内側に位置する方の熱膨張係数が大きい組に含む部材に設けられ、上記接合材が配置される少なくとも一つの凹部を備える。
上記重複箇所における上記ブッシングと上記端末内管との界面部は、上記液体冷媒に接して、上記液体冷媒の温度になる一端部と、上記液体冷媒が気化する温度になる他端部と、以下の隙間とを有する。
この隙間は、上記凹部を備える部材と上記接合材とにおける上記液体冷媒による冷却時の熱収縮量の差によって形成され、上記凹部の内面と上記接合材との間の空間を含むと共に、上記一端部側から上記他端部側に向かう上記液体冷媒の浸入を阻止し、かつ上記液体冷媒が気化したガスの通過を許容する。
上記の超電導ケーブルの端末構造は、上述の(1)の液密構造を備えるといえる。上記の液密構造で説明した作用効果について、低温液体を液体冷媒に、内側容器をブッシングに、外側容器を端末内管に、断熱層を端末断熱層に読み替えるとよい。
主要な作用効果を述べると、上記の超電導ケーブルの端末構造は、上記の液密構造と同様に、重複箇所の界面部に凹部と接合材とを備え、これら凹部と接合材との間の空間を含み、界面部に形成される隙間が特定の大きさであるため、界面部の一端部側から他端部側への液体冷媒の流通を阻止して、液密性に優れる。また、上記の超電導ケーブルの端末構造は、(α)凹部に接合材が充填された端末内管とブッシングとを重ね合せるといった平易な作業で接続可能である、(β)ブッシングや端末内管の寸法調整が容易である又は不要である、(γ)接合箇所が単純な形状であり組み付けが容易、等の理由により、施工性にも優れる。更に、上記の超電導ケーブルの端末構造は、任意の設置形態、例えば上述した縦置き形態、横置き形態、斜め置き形態、逆さ置き形態、その他、特許文献1の端末構造では液密に保持できないために採用できない設置形態にも利用できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下に図面を参照して、本発明の実施形態の具体例を説明する。図において同一符号は同一名称物を意味する。
[実施形態1]
図1〜図3を参照して、実施形態1の超電導ケーブルの端末構造1Aを説明する。以下、超電導ケーブル100に近い側をケーブル側、超電導ケーブル100から離れる側を機器側と呼ぶ。
(全体構成)
この端末構造1Aは、超電導ケーブル100のケーブルコア110に備える超電導導体層112(図3)と常温環境で利用される常電導機器の導体とを、常電導材料から構成される引出用導体(図示せず)を介して電気的に接続する終端接続に利用される。常電導機器は、保護機器や遮断器などで構成される変電設備、地中ケーブルや架空送電線などの常電導ケーブルなどが挙げられる。常電導機器の導体と引出用導体とはアルミニウムや銅などの常電導材料からなるブスバ(図示せず)を介して電気的に接続される。
この端末構造1Aは、超電導ケーブル100の超電導導体部の一部(ここではケーブルコア110に備える超電導導体層112の一部)と、この超電導導体部の一部(ここではコア110の一部)が挿通配置されると共に液体冷媒13Aが充填される一連の内部空間を形成する筒状のブッシング2A及び端末内管3Aと、接続されたブッシング2A及び端末内管3Aの外周に形成される端末断熱層5Aとを備える。ブッシング2Aと端末内管3Aとは、図1に示すように部分的に重なり合って配置される重複箇所10を有する。
この例では、ブッシング2Aの一端部(ケーブル側端部)を含む領域の外周を覆うように、端末内管3Aにおける他端部(機器側端部)を含む領域が重ね合されて重複箇所10を形成する。この例の端末内管3Aは、図1に示すように、その他端部及びその近傍がケーブル側(右側)に折り返されている。従って、この例のブッシング2Aにおける重複箇所10とは、ブッシング2Aの一端部から、端末内管3Aの折り返し箇所(離隔板部33)に対応する位置までの領域である。端末内管3Aにおける重複箇所10とは、ブッシング2Aの一端部に対応する位置から上記折り返し箇所までの領域である。
重複箇所10は、ブッシング2Aの外周面20と端末内管3Aの内周面32とが後述する僅かな隙間g(図2)を有する程度に近接配置された界面部12(図1ではケーブル側の領域)と、両周面20,32を所定の大きさの隙間Gが形成されるように離間して対向配置される領域(図1では機器側の領域)とを有する。この例では、ブッシング2Aの一端部に近い位置に界面部12を有する。
更に、この端末構造1Aは、ブッシング2Aと端末内管3Aとの間に介在されて、ブッシング2Aと端末内管3Aとを接合する接合材4を備える。この例では、端末内管3Aにおける重複箇所10の界面部12の内周面32に、端末内管3Aの軸方向に並列される複数の環状の外側凹部35を備え、ブッシング2Aにおける重複箇所10の界面部12の外周面20であって、外側凹部35に向かい合ってそれぞれ設けられた複数の環状の内側凹部25を備える。内側凹部25と外側凹部35とで囲まれる環状の空間にそれぞれ接合材4が配置されて、これらの複数の接合材4によってブッシング2Aと端末内管3Aとが接合される。
この例では、ブッシング2Aの構成材料の熱膨張係数をαi、接合材4の熱膨張係数をαj、端末内管3Aの構成材料の熱膨張係数をαoとするとき、αo<αj≦αiを満たす。つまり、端末内管3Aと接合材4との組では、端末内管3Aよりも内側に位置する接合材4の方が熱膨張係数が大きい。ブッシング2Aと接合材4との組では、接合材4よりも内側に位置するブッシング2Aの方が熱膨張係数が大きい又は同等である。
そして、この端末構造1Aは、重複箇所10におけるブッシング2Aと端末内管3Aとの界面部12が、液体冷媒13Aに接して、液体冷媒温度13Aの温度になる一端部と、液体冷媒13Aが気化する温度になる他端部とを備えると共に、上述の環状の空間を形成する内面と接合材4との間に形成される空間を含み、以下の特定の大きさの隙間g(図2の下図)を備える点を特徴の一つとする。この隙間gは、界面部12の一端部側から他端部側に向かう液体冷媒13Aの浸入を阻止し、かつ液体冷媒13Aが気化したガスの通過を許容する。この端末構造1Aは、液体冷媒13Aが充填される一連の内部空間を形成する二つの容器としてブッシング2A及び端末内管3Aを備えると共に、両者の重複箇所10の界面部12に凹部25,35及び接合材4を備える。この構成によって、端末構造1Aは、ブッシング2Aを内側容器とし、端末内管3Aを外側容器とし、液体冷媒13Aの導入時などに生じ得る界面部12の一端部側と他端部側との温度差と、凹部25,35を備える容器と接合材4とにおける液体冷媒13Aによる冷却時の熱収縮量の差と、これらの容器及び接合材4における液体冷媒13Aの冷却による熱収縮とを利用して、上述の特定の大きさの隙間gを自動的に形成し、この隙間gによって液密を行う。
以下、図1,図2を参照して、ブッシング2A、端末内管3A、接合材4、これらを含む重複箇所10及びその関連構成をまず説明し、次に図3を参照して超電導ケーブル100を説明する。
(超電導ケーブルの端末構造)
端末構造1Aは、超電導ケーブル100の端部においてケーブル断熱管120(後述)の端部から露出されたケーブルコア110の端部の外周を覆うように設けられる冷媒層及び断熱層を構築する部材を備える。冷媒層の構成部材として、ブッシング2Aと端末内管3Aとを備える。断熱層(ここでは端末断熱層5A)を構成する部材として、端末内管3Aの外周に設けられる端末外管55と、ブッシング2Aに内蔵される内側断熱管57とを備える。この例の内側断熱管57の一部は、ブッシング2Aにおける重複箇所10の内周の一部に位置して、ブッシング2Aと液体冷媒13Aとの間の熱絶縁部として機能する。その他、この例の端末構造1Aは、液体冷媒13Aが気化してできたガスを封止する封止部6Aを備える。
・冷媒層
・・ブッシング
ブッシング2Aは、円筒状の成形体であり、ケーブルコア110と外部との間の電気的絶縁を行うと共に、電界緩和を行う。端末構造1Aに備えるブッシング2Aの一部、具体的には一端部及びその近傍の領域は、液体冷媒13Aに接し、他端部を含む他部は内側断熱管57が一体化されており、液体冷媒13Aに接触しない。このようなブッシング2Aの主な構成材料は、冷媒温度でも使用可能な電気絶縁材料が好ましく、例えばエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの各種の樹脂が挙げられる。上記構成材料は、特に、エポキシ樹脂などの樹脂成分とガラス繊維などの強化成分とを含む繊維強化プラスチック(FRP)などとすると、強度にも優れる。ブッシング2A中には、更に金属箔(図示せず)を同心状に多層に設けることで電界を調整できる。
この例では、ブッシング2Aの構成材料の熱膨張係数αiが端末内管3Aの構成材料の熱膨張係数αoよりも大きい(αo<αi)。そのため、液体冷媒13Aによって冷却されたときにブッシング2Aの熱収縮量が相対的に大きく、端末内管3Aの熱収縮量が相対的に小さくなり、両者の熱収縮量の差が大きくなることから、ブッシング2A及び端末内管3Aにおける界面部12に隙間を形成し易く好ましい。
この例のブッシング2Aの外周面20は段差が形成されており、他端部から、中間部、一端部に向かうに従って段が低くなっている。外周面20のうち、最も低い段の部分(以下、低段部分と呼ぶ)は、後述の内側凹部25の形成箇所を除いて平滑な面とし、この面をブッシング2Aにおける界面部12とする。この低段部分は、後述する端末内管3Aの肉厚部分が嵌め込まれ、端末内管3Aの位置決め部としても機能する。
ブッシング2Aのうち、界面部12における外周面20に複数の内側凹部25が設けられている。各内側凹部25は、ブッシング2Aの周方向に沿って環状に設けられ、かつブッシング2Aの軸方向に並列されている。そのため、ブッシング2Aの低段部分の外周面20は凹凸形状である。図1,図2では、機器側からケーブル側に向かって3つの内側凹部25i,25m,25oが形成された例を示す。図1、及び後述する図4では、代表して一つの内側凹部についてのみ符号を付している(この点は、後述する外側凹部35についても同様である)。
内側凹部25の縦断面形状(内面の形状)、幅及び深さ(容積)、隣り合う内側凹部25間の間隔、内側凹部25の個数などは、適宜選択することができる。図1では、全ての内側凹部25の形状及び大きさ(幅及び深さ)が等しい例を示す。図1,図2では縦断面形状が矩形状であり、その内面が底面と側面とを備える場合を例示するが、縦断面形状が半円状であり、その内面が連続する曲面で形成されるものなどにすることができる(この点は、後述する外側凹部35についても同様である)。
その他、この例のブッシング2Aの一端部側領域における内周面は、周縁から他端部側(機器側)に向かって、その内径が小さくなるように傾斜している。ケーブルコア110における断熱管120の近傍に、ストレスコーン部分を有する補強絶縁層(図示せず)を設けておき、補強絶縁層の機器側のストレスコーン部分を取り囲むように上述の傾斜した内面を配置すると、ブッシング2Aと補強絶縁層との双方によって電界を良好に緩和できる。また、この例のブッシング2Aの他端部側領域における外周形状は、機器側に向かった先細り形状であり、この傾斜部分がストレスコーンとして機能する。この他端部側領域は、碍管(図示せず)に収納される。中間の段部分の外周には、金属製の固定部200が一体化されており、固定部200が碍管に固定される。固定部200はブッシング2Aの外周に沿って固定される筒状部分と、この筒状部分の径方向外方に突出するフランジ部とを備える。碍管の基本的構成は、公知の構成を利用できる。
・・端末内管
端末内管3Aは、円筒状の部材であり、一端部が超電導ケーブル100のケーブル断熱管120の内管121に接続されて、断熱管120から端末内管3Aを経てブッシング2Aに亘って、液体冷媒13Aが充填される一連の内部空間を形成する。端末内管3Aの一部、具体的には一端部及びその近傍の領域は、液体冷媒13Aに接し、他端部を含む他部はブッシング2Aが存在するため液体冷媒13Aに接触しない。このような端末内管3Aの構成材料には、液体窒素などの冷媒温度で利用可能な耐性を有し、薄くても強度に優れるステンレス鋼などの鉄合金、鉄、銅合金、アルミニウム合金などの金属が好ましい。
端末内管3Aは、例えば、一端部から他端部まで一様な内径及び外径を有するフラット管とすることができるが、この例では、図1,図2に示すようにブッシング2Aの低段部分に向かい合って配置される部分の厚さが、その他の部分の厚さよりも厚い異形管である。この肉厚部分の一面は、後述する外側凹部35の形成箇所を除いて平滑な面とし、端末内管3Aにおける界面部12とする。
端末内管3Aのうち、界面部12における内周面32に複数の外側凹部35が設けられている。各外側凹部35は、端末内管3Aの周方向に沿って環状に設けられ、かつ端末内管3Aの軸方向に並列されている。そのため、端末内管3Aの肉厚部分の内周面32は凹凸形状である。図1,図2では、3つの外側凹部35i,35m,35oが形成された例を示す。上述のブッシング2Aの各内側凹部25i,25m,25oとこれら外側凹部35i,35m,35oとは、端末内管3Aとブッシング2Aとが重ね合された状態では、各凹部25,35の開口部が向かい合うように設けられている。
重複箇所10のうち、界面部12における端末内管3Aの内周面32、及び上述のブッシング2Aの外周面20は上述のように凹凸形状であるものの、外側凹部35の形成箇所、及び内側凹部25の形成箇所を除いて平滑な面(円筒面)である。そのため、端末内管3Aをブッシング2Aに外挿し易く、作業性に優れる。
外側凹部35の縦断面形状、幅及び深さ(容積)、隣り合う外側凹部35間の間隔、外側凹部35の個数などは、適宜選択することができる。この例では、肉厚部分を備えることで、所望の大きさ(特に深さ)の外側凹部35を設けられる。図1では、全ての凹部35の形状及び大きさ(幅及び深さ)が等しい例を示す。また、図1では、凹部25,35の形状、大きさ、配置位置が実質的に等しい例を示す。外側凹部35の個数及び内側凹部25の個数が多いほど、接合材4の配置箇所(環状の空間の個数)を多くでき、接続強度を高められる上に、界面部12の長さ(端末内管3Aの軸方向に沿った長さ)が短くても隙間gの長さを長く形成し易い。
その他、この例の端末内管3Aの他端部側領域は、上述のようにケーブル側に向かって折り返されている。詳しくは、端末内管3Aの軸方向に直交するように配置されて折り返し部分となる環状の離隔板部33と、離隔板部33の外周縁からケーブル側に向かって延設され、端末内管3Aの一部の外周を覆うように配置される筒状部34とを有する。離隔板部33を備えてその外径をある程度大きくすることで、この外径に応じて筒状部34を液体冷媒13Aから離すことができる。筒状部34を備えることで、端末内管3Aの他端部及びその近傍を液体冷媒13Aからより離れた位置に配置し易い。更に、この他端部が端末内管3Aにおける内側断熱管57の配置箇所に対応した位置に配置されることで、上記他端部の温度をより高め易い。その結果、界面部12の他端部の温度を、液体冷媒13Aが気化する温度に調整し易い。また、筒状部34を有することで、後述する封止部6Aの構成部材を安定して配置し易く、施工性に優れる。
・・接合材
ブッシング2Aの内側凹部25i,25m,25oを形成する内面と端末内管3Aの外側凹部35i,35m,35oを形成する内面とで囲まれる環状の空間にはそれぞれ、接合材4i,4m,4oが配置される。この例では、界面部12は、三つの環状の空間を備え、それぞれに接合材4が配置される。
接合材4は、ブッシング2Aと端末内管3Aとを接続可能なものであって、後述するように液体冷媒13Aに接し得ることから冷媒温度でも使用可能なものが挙げられる。例えば、上述のブッシング2Aの項で述べたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの有機材料や、上記の樹脂に金属やセラミックスなどの無機材料を含む複合材などが挙げられる。
この例では、ブッシング2A、端末内管3A、接合材4はいずれも、その全体が一様な構成材料で形成されて一様な熱膨張係数を有し、αo<αj≦αiを満たす。より具体的には、ブッシング2Aの主な構成材料はエポキシ樹脂を含むFRPであり、端末内管3Aの構成材料はステンレス鋼であり、接合材4はエポキシ系接着剤である。接合材4の熱膨張係数αjとブッシング2Aの熱膨張係数αiとは実質的に等しい(αj≒αi)。液体冷媒13Aを液体窒素とするとき、液体窒素によるFRP製のブッシング2A、及び接合材4の最大熱収縮量は約0.6%以上0.8%以下程度、ステンレス鋼製の端末内管3Aの最大熱収縮量は約0.3%程度である。
・・重複箇所
重複箇所10は、上述のようにブッシング2Aと端末内管3Aとが実質的に接して配置された箇所であり、複数の凹部25,35及び複数の接合材4を有する界面部12と、ブッシング2Aの外周面20と端末内管3Aの内周面32との間に所定の大きさの隙間Gが設けられた部分(図1では重複箇所10のうち左側領域)とを有する。隙間Gは隙間gに連通し、液体冷媒13Aが気化したガスが流通される。隙間gの詳細は後述する。
この例の重複箇所は、その一端部は液体冷媒13Aに接し、他端部は液体冷媒13Aに接触しないように設けられる。そのため、界面部12の他端部は、一端部よりも温度を高くし易い。界面部12の長手方向に沿った長さは、ブッシング2Aと端末内管3Aとがつくる一連の内部空間に液体冷媒13Aが充填されたときに、一端部が液体冷媒13Aの温度となり、他端部が液体冷媒13Aが気化する温度となる、という温度勾配を有するように調整される。
この例の界面部12は、向かい合う凹部25,35によって形成される環状の空間が界面部12の一端部側から他端部側に向かって並列され、その内部に接合材4i,4m,4oが配置されている。この例では、各環状の空間の大きさは、凹部25,35に基づいて、実質的に同一である。
・・封止部
この例の超電導ケーブルの端末構造1Aは、重複箇所10の界面部12に備える上述の隙間gに介在するガスが外部に放出されることを防止し、ガスを貯留する封止部6Aを備える。液体冷媒13Aが加圧状態で流通されている場合には、この加圧によって、ガスが押し出され易いことからも、封止部6Aを備えることが好ましい。
封止部6Aは、端末内管3Aの一部から、界面部12の他端部を含んでブッシング2Aの一部に亘って、これらの外周を覆うように配置される。この例の封止部6Aは、ブッシング2Aの外周面の一部と、端末内管3Aの離隔板部33と、ブッシング2Aに取り付けられた固定部200のフランジ部と、管材60とを備える。管材60は、その一端部側領域を端末内管3Aの筒状部34の外周を覆う領域とし、その他端部に固定部200のフランジ部に当接するフランジ部を備える。更に、封止部6Aは、端末内管3Aの筒状部34と管材60の一端部側領域との対向箇所との間、及び固定部200のフランジ部と管材60のフランジ部との間にそれぞれ介在される環状の気密シール材61,62を備える。封止部6Aは、界面部12の他端部を覆うように設けられるため、この例の端末構造1Aは、液密構造に加えて気密構造をも備える。この例の気密構造は、管材60と気密シール材61,62とを追加することで容易に構築でき、施工性に優れる。
管材60は、端末内管3Aの一部(筒状部34)から界面部12の他端部(離隔板部33)を経てブッシング2Aの一部に亘って、これらの外周を覆うように配置される。管材60の構成材料は、気密性に優れる材料、例えば上述のステンレス鋼などの金属などが好ましい。管材60は、そのフランジ部がブッシング2Aの固定部200のフランジ部に当接されて、ボルトなどの締結部材(図示せず)によってブッシング2Aに取り付けられる。管材60は、端末内管3Aの離隔板部33の大きさに応じて、ブッシング2Aの外周面から離間されて配置される。従って、管材60の長さ及び離隔板部33の大きさなどを調整することで、ブッシング2Aの外周面の一部と、離隔板部33と、管材60と、固定部200とで囲まれる環状の空間の大きさを調整できる。この環状の空間を封止部6Aにおけるガスの貯留空間として利用する。
気密シール材61,62は、液体冷媒13Aに接触しないため、常温環境で使用可能な適宜なもの、例えばゴムなどを利用できる。ゴムなどの弾性変形可能なものを気密シール材61(軸シール材)に用いると、端末内管3Aが熱伸縮した場合に、この熱伸縮時の力を気密シール材61の弾性変形によって吸収して(緩和して)、管材60や固定部200に伝達される力を低減できる、好ましくは実質的に無くすことができる。そのため、管材60をフラット管のような単純な形状とすることができ、上記の力の緩和部材としてベローズ管などの伸縮可能な部材を不要にできる。そのため、簡素な構成であり、施工性に優れる。図1では、複数の気密シール材61を配置する例を示すが、個数は適宜変更できる。
・断熱層
この例の端末断熱層5Aは、端末内管3Aの外側に設けられるケーブル側断熱層50と、ブッシング2Aの内側に設けられる内側断熱層52とを備え、両断熱層52,50の一部が重複して設けられている。両断熱層52,50はいずれも真空断熱層である。
この例のブッシング2Aは、内周面のケーブル側領域に一体化された有底筒状の内側断熱管57を備える。内側断熱管57内に内側断熱層52を備える。内側断熱管57内にはケーブルコア110が挿通配置されると共に、コア110(特に超電導導体層112)を冷却する液体冷媒13Aが充填されて冷媒流路に利用される。内側断熱管57の他端部には終端真空容器(図示せず)が接続される。終端真空容器は、コア110の端部や、超電導導体層112が接続される引出用導体などを収納する。
内側断熱管57は、その主体をコルゲート管などとする他、図1に示すように主としてフラット管によって形成されると、端末構造1Aの小型化、液体冷媒13Aの流通抵抗の低減といった効果、ケーブルコア110の挿入性に優れる、ブッシング2Aの成形性に優れるといった効果が期待できる。内側断熱管57は液体冷媒13Aに接することから、その構成材料には、端末内管3Aと同様な材料を利用できる。
ブッシング2Aの内側に内側断熱層52を設けることに代えて、ブッシング2Aの外周に真空断熱容器及び真空断熱層を設けることができる。
この例のケーブル側断熱層50は、端末内管3Aと、その外周を覆うように配置され、封止部6Aの管材60に接続される端末外管55と、両管3A,55の一端部を封止する封止栓56とで囲まれる空間内に設けられる。封止栓56は、その一面を両管3A,55の一端部の封止面とし、他面をケーブル断熱管120との接続面とする。端末外管55は、例えば、ステンレス鋼のフラット管(図1)やコルゲート管などが挙げられる。
端末断熱層5Aは、内側断熱層52の一部とケーブル側断熱層50の一部とを重複して備えることで、液体冷媒13Aの断熱を良好に行える。封止部6Aの外周を覆う中間真空容器(図示せず)を別途設けて、中間真空容器内に真空断熱層を備える形態とすると、断熱性能を更に高められる。
端末内管3Aと端末外管55との間、内側断熱管57内、中間真空容器内には、スーパーインシュレーション(商品名)などの断熱材(図示せず)を備えると、より高い断熱性能を有する。
・重複箇所の熱収縮の挙動
ブッシング2A及び端末内管3Aが液体冷媒13Aによって冷却される前、例えば常温環境などでは、ブッシング2Aの低段部分の外周面20における内側凹部25以外の平坦箇所と、端末内管3Aの肉厚部分の内周面32における外側凹部35以外の平坦箇所とは、面接触する。また、凹部25,35の内面と接合材4とが面接触する(図2の上図参照)。この面接触部分が、重複箇所10における熱収縮前の界面部であり、この界面部は、接合材4によって密着している。
ブッシング2A及び端末内管3Aが液体冷媒13Aによって冷却されて熱収縮する。
このとき、液体冷媒13Aに接する界面部12の一端部側では、相対的に大きな熱膨張係数αiを有するブッシング2Aがその内側に向かって熱収縮する。相対的に小さな熱膨張係数αoを有する端末内管3Aは、ブッシング2Aの熱収縮に十分に追従できず、ブッシング2Aと端末内管3Aとの間に隙間が生じ得る。ブッシング2Aの熱膨張係数αiと実質的に等しい熱膨張係数αjを有する接合材4は、ブッシング2Aの熱収縮に概ね追従して、一体に熱収縮する。この結果、界面部12の一端部側に位置する接合材4oの少なくとも一部と端末内管3Aの外側凹部35oとが外れて、両者の間に隙間が生じ得る。なお、接合材4の熱膨張係数αjがブッシング2Aの熱膨張係数αiよりも小さい場合には、ブッシング2Aの熱収縮に十分に追従できず、接合材4oの少なくとも一部とブッシング2Aの内側凹部25oとが外れて、両者の間に隙間が生じ得る。
ブッシング2A、端末内管3A、接合材4の熱収縮量は、温度が相対的に高い界面部12の他端部側に向かうほど小さい。そのため、界面部12の他端部側では、ブッシング2Aと端末内管3Aとの間の隙間が小さく、接合材4iの少なくとも一部と端末内管3Aの外側凹部35iとの間に生じる隙間も小さい、又は接合材4iの一部と外側凹部35i及び内側凹部25iとが密着した状態を維持する。また、接合材4における凹部25,35から外れた部分は、凹部25,35に噛み合うように突出しているため、位置決め部として機能し、ブッシング2Aと端末内管3Aとの位置ずれを防止する。このことからも、上述の密着状態を維持し易い。
上述の熱収縮によって、界面部12の一端部側から他端部側に向かってみると、上述の外周面20と内周面32との平坦箇所の間、及び上述の各環状の空間を形成する内面と接合材4との間に隙間gが形成される(図2の下図参照)。隙間gは、界面部12の一端部側から他端部側に向かってみると凹凸形状である。隙間gにおける界面部12の一端部側の大きさは、例えば液体冷媒13Aが流通可能な大きさ、他端部側の大きさは、ガスの流通を許容するものの、表面張力などによって液体冷媒13Aの流通を阻止可能な大きさとなり易い。従って、隙間gは、界面部12の一端部側から他端部側に向かってみると、徐々に小さくなりながら上述の重複箇所10の隙間Gに連通する。
このような隙間gは、界面部12の一端部寄りに位置する部分を液体冷媒13Aが浸入する液相領域とし、他端部寄りに位置する部分を上記気化したガスが存在する気相領域とする。隙間gは、上述のように凹凸形状であることでその全長を界面部12の長さよりも長くできることから、他端部側に向かって小さくなるものの、上述の気液の分離が可能な容積を確保できる。実施形態1の超電導ケーブルの端末構造1Aは、隙間gの途中で気液を分離して液密を維持できることから、重複箇所10に特定の大きさの隙間gを積極的に存在させる。また、重複箇所10に上記特定の大きさの隙間gを自動的に形成できるように、端末構造1Aは、接合材4を備えると共に、ブッシング2A、端末内管3A、接合材4の三者の熱膨張係数(熱収縮量)の関係を勘案して、ブッシング2A及び端末内管3Aの少なくとも一方に接合材4が配置される凹部を備える界面部12を含むこととする。
図2の下図の黒矢印は、液体冷媒13Aの流通を例示する。図2の下図では、分かり易いように隙間gを誇張して示す。なお、図2の下図では、分かり易いように、一端部側から他端部側に向かって連続する隙間gを有する場合を示すが、少なくとも一つの凹部25,35(特に他端部側の凹部25i,35i)をその周方向にみれば、この凹部の内面に接合材4が接合された部分を有し、この部分には隙間gを実質的に有さない。
・超電導ケーブル
超電導ケーブル100は、超電導導体部と、超電導導体部を収納するケーブル断熱管120とを備える。この例に示す超電導導体部は、ケーブルコア110に備える超電導導体層112である。コア110は、中心から順にフォーマ111、超電導導体層112、電気絶縁層113、遮蔽層114、保護層115を同軸状に備える。このケーブル100は、1本のコア110が一つの断熱管120に収納された単心ケーブルであると共に、超電導導体層112及び電気絶縁層113が断熱管120に収納されて、双方が液体冷媒13Aによって冷却される低温絶縁型のケーブルである。例えば、このような単心ケーブルを3本布設して、各ケーブルを各相の送電に利用する三相交流送電路や、単心ケーブルを2本布設して、一方のケーブルを往路、他方のケーブルを復路に利用する直流送電路などを構築することができる。ケーブル100は公知の構成を利用できる。以下に、コア110の一例を説明する。
・・ケーブルコア
・・・フォーマ
フォーマ111は、超電導導体層112を支持する機能を有する。図3に例示するフォーマ111は、パイプといった中空体であり、その内部空間を液体冷媒13Aの流路(例えば復路)に利用する。フォーマ111の構成材料は、冷媒温度で利用可能な金属(端末内管3Aの項参照)が挙げられる。又は、フォーマ111は、絶縁被覆銅線の撚り線などを用いた中実体が挙げられる。
・・・超電導導体層
超電導導体層112は、フォーマ111の外周に複数の超電導線材を螺旋状に巻回して形成された少なくとも1層の線材層を備える。超電導線材は、例えばBi系銀シース線材やRE123系薄膜線材などの酸化物超電導相を備えるテープ状線材が挙げられる。この場合、液体冷媒13Aには、液体窒素が好適に利用できる。
・・・電気絶縁層
電気絶縁層113は、超電導導体層112とその外部との電気的絶縁を確保する。電気絶縁層113は、超電導導体層112の外周に絶縁テープ材を巻回して構成される。絶縁テープ材は、例えば、クラフト紙やPPLP(登録商標;Polypropylene Laminated Paper)といった半合成紙などの絶縁紙からなるテープ材が挙げられる。
・・・遮蔽層
遮蔽層114は、電気絶縁層113の外周に設けられて電界遮蔽を行う。遮蔽層114は、銅やアルミニウム、金属化紙、金属化カーボンといった常電導材料からなるテープや線材などを巻回して構成される。
・・・保護層
保護層115は、ケーブルコア110の最外周に配置され、その内側に配置された部材(特に超電導導体層112)の機械的保護、導電性を有する遮蔽層114と、金属製のケーブル断熱管120との間の電気的絶縁の確保を目的として設けられる。保護層115は、上述の絶縁紙のテープ材を遮蔽層114の外周に巻回して構成される。
その他、ケーブルコア110は、電気絶縁層113の外周に外側超電導層(図示せず)を備えることができる。外側超電導層は、上述の超電導線材を螺旋状に巻回してなる巻回層を積層に備える。外側超電導層は、例えば、交流送電用途では磁気遮蔽層に利用できる上に、遮蔽層114の構成部材とすることができる。
・・・ケーブル断熱管
ケーブル断熱管120は、内管121と外管122とを有する二重管であり、内管121と外管122との間の空間に真空断熱層が形成された断熱管である。内管121の内部空間は、ケーブルコア110の収納空間であると共に、超電導導体層112の超電導状態を維持するための液体冷媒13Aが流通される流路(例えば、往路)に利用される。内管121及び外管122には、冷媒温度で利用可能な金属(端末内管3Aの項参照)から構成され、可撓性に優れるコルゲート管やベローズ管や、表面積を小さくできるフラット管などが利用できる。この例の断熱管120は、内管121と外管122との間に上述の断熱材(図示せず)を備えており、より高い断熱性能を有する。
ケーブル断熱管120の外管122の外側には、ビニルやポリエチレンなどの防食材から構成される防食層124を備える。
(超電導ケーブルの端末構造の製造方法)
実施形態1の超電導ケーブルの端末構造1Aは、例えば、以下の工程を備える製造方法によって構築できる。以下、各工程の概略を説明する。
・準備工程
超電導ケーブル100は、その端部においてケーブル断熱管120から所定の長さのケーブルコア110を露出して段剥ぎなどし、フォーマ111、超電導導体層112などを順に露出して、引出用導体を接続できるようにする。
内側凹部25及び内側断熱管57を備えるブッシング2A、外側凹部35を備える端末内管3Aを用意し、凹部25,35に未固化の接合材を充填した状態でブッシング2Aの一端部側領域の外周に端末内管3Aの一部を重ね合せる。この例では、ブッシング2Aの低段部分に端末内管3Aの肉厚部分を嵌め合せる。こうすることで、重複箇所10に、熱収縮前の界面部を形成できる。未固化の接合材は、凹部25,35の形状に沿って隅々まで充填できて、作業性に優れる。上述の嵌め合せ後に必要に応じて未固化の接合材を固化(硬化)するとよい。固化したものが接合材4を形成する。このブッシング2Aと端末内管3Aとの接合作業は、工場、布設現場などのいずれでも容易に行える。
・封止部及び断熱層の形成工程
ケーブルコア110を覆うように、接合材4によって接続されたブッシング2A及び端末内管3Aをコア110に外挿した後、端末内管3Aの他端部側領域の外周に管材60を配置して、ブッシング2Aの固定部200に固定する。この固定前に、端末内管3Aの筒状部34と管材60との間に気密シール材61,61、固定部200のフランジ部と管材60のフランジ部との間に気密シール材62を介在させる。上記の固定により、封止部6Aを構築できる。
端末内管3Aの一端部側領域を覆うように、端末外管55を端末内管3Aに外挿する。端末外管55の一端部には封止栓56を取り付けておくとよい。端末内管3Aの一端部を封止栓56に固定して、封止栓56によって両管3A,55の間を封止し、端末外管55の他端部を封止部6Aに固定して、端末外管55の他端部を封止する。
・コアと引出用導体との接続工程
ケーブルコア110の超電導導体層112と引出用導体とを電気的に接続する。接続には、適宜な接続部材(スリーブなど)が利用できる。
・終端真空容器の配置工程
上述の超電導導体層112と引出用導体との接続箇所を含み、引出用導体を覆うように終端真空容器を設ける。終端真空容器の一端部と、ブッシング2Aに内蔵する内側断熱管57の他端部とを接続する。なお、ブッシング2Aの他端部側領域(機器側領域)を覆うように碍管を設けて、適宜な時期に碍管内に絶縁流体を導入する。内側断熱管57の他端部は、碍管から突出させる。
・真空引き工程
端末内管3Aと端末外管55との間、内側断熱管57、終端真空容器、適宜中間真空容器を真空引きして、ケーブル側断熱層50、内側断熱層52などの真空断熱層を形成する。別個に真空引きを行ってもよいが、まとめて行うと、真空装置の用意などが一度でよく、施工性に優れる。ケーブル断熱管120は、予め工場などで真空引きを行える。
・冷媒充填工程
以上の工程を終えたら、液体冷媒13Aを導入する。液体冷媒13Aの充填によって、超電導導体層112を超電導状態に維持できて、超電導ケーブル100は、常電導機器との間で電力の授受を行える。かつ、界面部12の構成材料の熱膨張係数αo、αj、αiの差と、重複箇所10の界面部12の一端部と他端部との熱収縮量の差とを利用して、上述の特定の大きさであり、液密な隙間gを形成できる。
(効果)
実施形態1の超電導ケーブルの端末構造1Aは、ブッシング2Aと端末内管3Aとの重複箇所10の界面部12に特定の大きさの隙間gを備えて、界面部12における液体冷媒13Aに接する一端部側から常温環境に近づく他端部側への液体冷媒13Aの流通を阻止できる。この隙間gは、液体冷媒13Aに冷却されて界面部12を構成するブッシング2A、端末内管3A、接合材4が熱収縮する量の差によって、自動的に形成されるという簡単な構成である。この端末構造1Aの施工にあたり、具体的な作業は、上述のように凹部25,35に接合材4を充填してブッシング2Aと端末内管3Aとを重ね合せ、液体冷媒13Aを充填するという単純なものである。従って、実施形態1の超電導ケーブルの端末構造1Aは、特許文献1の端末構造のように微小な隙間を形成する部材の寸法調整の作業や寸法管理の負担を軽減できて施工性に優れながら、良好な液密を実現できる。内側凹部25を備えるブッシング2Aや外側凹部35を備える端末内管3A自体も、単純な形状であって容易に成形できるため製造性に優れる上に、両者の組み付けを容易に行える。
かつ、実施形態1の超電導ケーブルの端末構造1Aは、液密性に優れるため、任意の設置形態に利用可能である。具体的には、端末構造1Aは、ケーブルコア110の軸方向やブッシング2Aの軸方向が鉛直方向となり、ブッシング2Aの機器側が上向きとなる縦置き形態は勿論、図1に示すように、ブッシング2Aの軸方向などが水平方向となる横置き形態、その他、ブッシング2Aの軸方向などが鉛直方向に交差する斜め置き形態、ブッシング2Aの機器側が下向きとなる逆さ置き形態などに利用できる。
特に、この例の端末構造1Aは、ブッシング2Aにおける重複箇所10の内周の一部に内側断熱管57(熱絶縁部)を備えて、液体冷媒13Aに接する界面部12の一端部と、液体冷媒13Aに接しない他端部との温度差を十分に設け易い。そのため、界面部12の一端部と他端部との熱収縮量の差を大きくし易く、界面部12の一端部側が大きく、他端部側に向かって小さくなるという特定の大きさの隙間gをより確実に形成できる。そのため、この例の端末構造1Aは、液密な隙間gを良好に備えられて、液密の信頼性を高められる。
また、この例の端末構造1Aは、ブッシング2A、端末内管3A、接合材4の三者の熱膨張係数についてαo<αj≦αiを満たし、かつブッシング2A及び端末内管3Aの双方に複数の環状の凹部25,35を備える。αo<αiであるため、液体冷媒13Aで冷却したとき、ブッシング2Aと端末内管3Aとの熱収縮量の差が十分に大きく、両者の間に隙間を形成し易い。また、少なくともαo<αjであるため、端末内管3Aと接合材4との間に隙間を形成できる。αj<αiであれば、ブッシング2Aと接合材4との間にも隙間を形成できる。更に、複数の環状の凹部25,35を備えるため、各凹部25,35の周方向にみれば、上記隙間を有する部分と、隙間が小さく接合材4と密着した部分とを有することができる。従って、この例の端末構造1Aは、複数の凹部25,35及び接合材4によって、液密性に優れる隙間gをより確実に形成でき、このような隙間gを備えることで液密の信頼性を高められる。また、この例の隙間gは、複数の環状の凹部25,35及び接合材4によって凹凸形状になるため、図1に示すように界面部12が短い場合でも十分な長さを有する液密な隙間とすることができる。更に、この例の端末構造1Aは、接合材4を十分に確保できて良好に接合できる上に、接合材4における凹部25,35から外れた突部分による位置決めを良好に行える。
その他、この例の端末構造1Aは、封止部6Aを備えるため、界面部12の他端部、更には重複箇所10の他端部をも通過したガスが外部に漏出しない。そのため、例えば、中間真空容器を備える場合でも、上記他端部から排出されたガスによって断熱性能の劣化が実質的に生じない。
また、この例の端末構造1Aは、端末内管3Aの他端部を折り返すことで、この他端部の温度を高め易いため、界面部12の他端部の温度を高め易く、液体冷媒13Aを気化し易い。この例では重複箇所10に界面部12の隙間gに連通する隙間Gを備える箇所を設けて、この箇所の内周に熱絶縁部を備えることからも、界面部の他端部の温度を高め易い。
加えて、この例の端末構造1Aでは、液体冷媒13Aがブッシング2Aの固定部200に直接接触しない。そのため、固定部200に液体冷媒13Aが直接接する構成に比較して、端末構造1Aは、液密信頼性、気密信頼性を高められる。
[実施形態2]
実施形態1の超電導ケーブルの端末構造1Aにおいて、界面部12の一端部側に位置する凹部の内面に離型層8を備えることができる。特に、界面部12において一端部側に位置する凹部の内面に離型層8を備えると、上述のように熱収縮量が大きい箇所であるため、凹部と接合材4oとがより外れ易い。そのため、凹部の内面と接合材4oとの間に、液相領域となる大きさの隙間をより確実に形成し易い。図2の上図では、端末内管3Aの外側凹部35oに離型層8を備える場合を示すが、ブッシング2Aの内側凹部25oを形成する内面に離型層8を備えることもできる。離型層8は、後述する実施形態についても適用できる。
[実施形態3]
図4を参照して、実施形態3の液密構造1Bを説明する。図4は、二重管の部分縦断面図であって、一点鎖線で示す中心線を中心として、上半分のみを示す。
(全体構成)
実施形態1では、熱膨張係数が異なる材料で構成されたブッシング2Aと端末内管3Aとの重複箇所10の界面部12に特定の大きさの隙間gが形成された液密構造を備える場合を説明した。実施形態3の液密構造1Bは、接続される二つの容器を同種の材料で構成された内側容器3i及び外側容器3oとする点、両容器3i,3oの互いの端部側領域が重なり合って重複箇所10の全域が界面部12となっており、この界面部12に特定の大きさの隙間(図示せず)を備える点、を実施形態1との主な相違点とする。この例では、接合された両容器3i,3oは、二重構造の断熱管の内管を形成する。以下、相違点を詳細に説明し、実施形態1と同様の構成及び効果については詳細な説明を省略する。
上記の二重構造の断熱管は、部分的に重なり合う重複箇所10を有し、常温未満の低温液体13Bが充填される一連の内部空間を形成する内側容器3i及び外側容器3oと、両容器3i,3oが接続されてなる内管3Bの外周を覆う外管59と、内管3Bの外周に形成される断熱層5Bとを備える。この断熱管は、内側容器3iの一端部側領域(図4では右側領域)と他方の外側容器3oの他端部側領域(同左側領域)とが重ね合されて重複箇所10を形成する。この重複箇所10はその全域が、内側容器3iの外周面20と外側容器3oの内周面32とが僅かな隙間を有する程度に近接配置されており、界面部12をなす。界面部12に関する基本的事項は、構成材料に関する点を除いて、実施形態1のブッシング2Aを内側容器3iに,端末内管3Aを外側容器3oに読み替えて適用できる。
(低温液体)
断熱管の内部空間に充填される常温未満の低温液体13Bは、例えば、液体窒素(77K程度)、液体酸素(90K程度)、液体空気(83K程度)、液体ヘリウム(4K程度)、及び液化天然ガス(111K程度)、液化石油ガス(プロパン:231K程度)から選択される1種の液体が挙げられる。この項における括弧内の温度は、1気圧下での代表的な沸点である。
(断熱管)
・低温液体層
内管3Bを構成する両容器3i,3oの構成材料は、接触する低温液体13Bに応じた耐性を備えるものが利用できる。低温液体13Bが、上述のような沸点が非常に低い液体の場合には、上記構成材料には、実施形態1の端末内管3Aと同様のもの、例えばステンレス鋼などの金属が好適に利用できる。この例では、両容器3i,3oの構成材料を同種としており、熱膨張係数が等しい(αo=αi)。
内管3Bのうち一方の内側容器3iは、一端部を含む全長に亘って低温液体13Bに接し、低温液体の温度になる。低温液体13Bの種類(温度)によっては、特に上述のような沸点が非常に低い液体では、後述するように内側容器3iにおける重複箇所10(ここでは界面部12)の内周の少なくとも一部に筒状の熱絶縁部39を備えることができる。他方の外側容器3oは、その他端部側領域が、内側容器3iの一端部側領域の外周を覆うように外挿される。そのため、外側容器3oの他端部側領域は、低温液体13Bに接触せず、残りの領域が、低温液体13Bに接して、内側容器3iと同様に低温液体13Bの温度になる。
この例の液密構造1Bは、実施形態1と同様に、両容器3i,3oに凹部25,35をそれぞれ備える。詳しくは、内側容器3iにおける界面部12の外周面20に複数の環状の内側凹部25が設けられ、外側容器3oにおける界面部12の内周面32に複数の環状の外側凹部35が設けられている。各凹部25,35は、容器3i,3oの周方向に沿って環状に設けられ、内管3Bの軸方向に並列される。これら凹部25,35によって、内側容器3iの一端部側領域の外周面20、外側容器3oの他端部側領域の内周面32はそれぞれ凹凸形状である。図4では、3つの内側凹部25,外側凹部35が形成された例を示す。両容器3i,3oが重ね合された状態では、外側凹部35の開口部に内側凹部25の開口部が向かい合うように内側凹部25がそれぞれ設けられている。この例では、図4に示すように、各容器3i,3oにおける界面部12を形成する端部側領域の厚さをその他の領域よりも厚くしている。この点は、実施形態1の端末内管3Aの肉厚部分と同様である。凹部25,35の詳細は実施形態1を参照するとよい。
内側容器3iの内側凹部25を形成する内面と外側容器3oの外側凹部35を形成する内面とで囲まれる環状の空間にはそれぞれ、複数の接合材4(ここでは4i,4m,4o)が配置される。両容器3i,3o間に介在されるこれらの接合材4によって両容器3i,3oが接合され、一連の内管3Bを形成する。接合材4は、金属製の両容器3i,3oを接続可能であり、低温液体13Bの温度でも使用可能なものが好ましい。具体例として、実施形態1の接合材の項で説明したエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの有機材料や、有機材料を含む複合材、その他、ハンダやロー材などの金属が挙げられる。この例の接合材4は、その熱膨張係数αjが外側容器3oの熱膨張係数αoよりも大きいものとする(αo<αj)。即ち、外側容器3oは、接合材4との対比で、内側に位置する接合材4の方が熱膨張係数が大きいものであり、接合材4は、熱膨張係数がより小さい両容器3i,3oに挟まれる。
両容器3i,3oのうち、図4に示すように少なくとも界面部12及びその近傍をフラット管とすると、上述の肉厚部分を形成し易い。この場合に両容器3i,3oの残部、又は少なくとも一部をコルゲート管やベローズ管などの可撓性に優れるものとすると、曲げ易く、熱収縮の吸収などもできる。
・・重複箇所
界面部12は、低温液体13Bに接する一端部と、低温液体が気化する温度になる他端部と、特定の大きさの隙間(図示せず)とを備える。この隙間は、少なくとも凹部35の内面と接合材4との間の空間を含むと共に、界面部12の一端部側から他端部側に向かう低温液体13Bの浸入を阻止し、かつ低温液体13Bが気化したガスの通過を許容する大きさを有する。この隙間の詳細は後述する。
この例の界面部12の一端部は、内側容器3iの一端部と、外側容器3oにおける内側容器3iの一端部に対応する箇所とで形成され、界面部12の他端部は、外側容器3oの他端部と、内側容器3iにおける外側容器3oの他端部に対応する箇所とで形成される。この例の液密構造1Bは、上記界面部12の他端部の温度が相対的に高いという温度差を有し易いように、後述する熱絶縁部39及び低温液体13Bが気化したガスを封止する封止部6Bを備える。また、界面部12の一端部が低温液体13Bに接し、他端部が低温液体13Bに接触せず、低温液体13Bが気化する温度となるように、界面部12の長さが調整されている。
・・熱絶縁部
熱絶縁部39は、内側容器3iの一端部側領域の内周面に設けられて、この一端部側領域の冷却を緩和し、重複箇所10の他端部を低温液体13Bが気化する温度にし易くすることに寄与する。熱絶縁部39の構成材料は、例えば、ブッシング2Aの構成材料で説明したような低温液体3Bに対する耐性に優れる樹脂などの固体絶縁材などが挙げられる。熱絶縁部39は、その長手方向に厚さが均一的な筒状とすることができるが、図4に示すように、内側容器3iの一端部から離れる方向に向かって厚さが厚くなるテーパ状の筒体などとすると、界面部12の他端部側を低温液体13Bによって更に冷却され難くすることができる。
・・封止部
この例の液密構造1Bは、界面部12に備える上述の隙間に介在するガスが外部、ここでは真空断熱層である断熱層5Bに放出されることを防止し、ガスを貯留する封止部6Bを備える。そのため、上記ガスによる断熱層5Bの断熱性能の劣化を防止できる。
この例の封止部6Bは、内側容器3iの外周面の一部と、内側容器3iの外周面から径方向に突設する円環状の端板36と、外側容器3oの外周面から径方向に突設して端板36に離間して対向配置され、端板36の外径と等しい外径を有し、端板36の内径よりも小さい内径を有する円環状の端板38と、内側容器3iの外周面の一部を覆うと共に、両端板36,38の周縁に接続される筒部37とを備える。封止部6Bは、界面部12の他端部を覆うように設けられるため、この例の液密構造1Bは、気密性に優れる上に、両端板36,38と筒部37とを追加することで容易に構築でき、施工性にも優れる。内側容器3iの外周面の一部と、両端板36,38と、筒部37とで囲まれる環状の空間をガスの貯留空間とする。封止部6Bの構成材料は、気密性に優れる材料、例えば上述のステンレス鋼などの金属などが好ましい。
封止部6Bのうち、筒部37は、両容器3i,3oよりも外管59に近く、外管59が設置される外部環境により近い位置に配置される。そのため、封止部6Bにおける外管59に近い領域は、内側容器3iに近い領域よりも相対的に高温になり易く、封止部6Bは、低温液体13Bよりも高い温度になる領域を有することができる。この封止部6Bと上述の熱絶縁部39とによって、界面部12の他端部を、低温液体13Bが気化する温度により確実にすることができる。封止部6Bの大きさ(特に筒部37の位置)、熱絶縁部39の厚さや形成領域などは、界面部12の他端部が、低温液体13Bが気化する温度となり、界面部12に上述の特定の大きさの隙間が形成可能なように適宜調整するとよい。
・断熱層
内管3Bと、その外周に設けられる外管59との間の空間を断熱層5Bとする。断熱層5Bは、低温液体13Bの維持温度に応じて選択するとよい。低温液体13Bが上述のように沸点が120K以下程度(−150℃以下程度)の非常に低い液体である場合には、断熱層5Bは真空断熱層とすることが好ましい。内管の外周に断熱材(図示せず)を備えると、より高い断熱性能を有して好ましい。低温液体13Bが、沸点が比較的高い液体である場合には、真空断熱層ではなく空気断熱層、空気断熱層に固体断熱材を組み合せたもの、固体断熱材による固相絶縁層などを利用できる。なお、図4では外管59がフラット管である場合を例示しているが、コルゲート管などが利用できる。
・重複箇所の熱収縮の挙動
液密構造1Bでは、両容器3i,3oは同種の材料で構成されて、熱膨張係数が同じであるものの、外側容器3oと接合材4とは熱膨張係数が異なる。また、界面部12の一端部と他端部とでは上述のように温度差があって熱収縮量が異なる。具体的には界面部12における低温液体13Bに接する一端部側領域の熱収縮量が相対的に大きく、低温液体13Bに接しない他端部に向かうにつれて熱収縮量が小さい。
このような両容器3i,3oは低温液体13Bによって冷却される前、接合材4によって密着状態が維持される。この例では、両容器3i,3oにおける肉厚部分の表面のうち、凹部25,35以外の箇所は平坦な面で形成され、この平坦な面同士が面接触して、熱収縮前の界面部をなす。
両容器3i,3oが低温液体13Bによって冷却されると、界面部12の一端部側では、熱膨張係数αjが大きい接合材4がより内側に熱収縮することに外側容器3oが十分に追従できない。この外側容器3oと接合材4とにおける低温液体13Bによる冷却時の熱収縮量の差によって、外側凹部35と接合材4(特に4o)とが外れる。外側凹部35の内面に上述の離型層8を備えると、接合材4が外側凹部35から更に外れ易い。外側凹部35と接合材4とが外れることで、外側凹部35と接合材4との間に縦断面凹凸形状の隙間が形成される。接合材4よりも内側に位置して熱膨張係数が小さい内側容器3iの内側凹部25には、接合材4が押し付けるように収縮して、両者はより密着する。このようにして界面部12における凹部35の形成箇所以外でも、内側容器3iの外周面20と外側容器3oの内周面32との間に縦断面において直線状の隙間が形成される。界面部12の一端部に形成される上記の隙間は、低温液体13Bの流通を許容し得る大きさである。一方、界面部12の他端部側では、熱収縮量が相対的に小さいため、上述の隙間が形成されるものの隙間の大きさが小さく、低温液体13Bの流通を阻止し得る大きさである。
このように界面部12には、実施形態1と同様に、界面部12の一端部側から他端部側に向かって大きさが順次小さくなると共に、凹凸形状の隙間が形成される。
・液密構造の製造方法
実施形態3の液密構造1Bは、例えば、以下の工程を備える製造方法によって構築できる。以下、各工程の概略を説明する。
(接続工程)肉厚部分に凹部25,35が形成された容器3i,3oを用意し、凹部25,35に未固化の接合材を充填した状態で、内側容器3iの一端部側領域の外周に外側容器3oの他端部側領域を重ね合せて内管3Bを形成する。接合材は必要に応じて固化(硬化)する。内側容器3iは、熱絶縁部39を備えることができる。
(封止工程)重複箇所10(=界面部12)の他端部に封止部6Bを設ける。
(断熱工程)封止部6B及び内管3Bの外周に外管59を設け、外管59内を必要に応じて真空引きして、断熱層5Bを形成する。
(冷媒充填工程)以上の工程を終えたら、内管3Bの内部空間に低温液体13Bを導入して、少なくとも一方の容器(ここでは外側容器3o)と接合材4の熱膨張係数の差と、界面部12の一端部と他端部との熱収縮量の差を利用して、上述の特定の大きさであり、液密な隙間を形成できる。
(効果)
実施形態3の液密構造1Bは、接続される両容器3i,3oが同種の材料から構成されるものの、両容器3i,3oの重複箇所10の界面部12に特定の大きさの隙間を備えて、界面部12における低温液体13Bに接する一端部側から常温環境に近づく他端部側への低温液体13Bの流通を阻止できる。この隙間は、低温液体13Bに冷却されて界面部12を構成する少なくとも一方の容器(ここでは外側容器3o)と接合材4との熱収縮量の差を利用して、自動的に形成されるという簡単な構成である。そのため、実施形態3の液密構造1Bは、実施形態1と同様に、単純な作業で容易に構築できて施工性に優れながら、良好な液密を実現できる。凹部25,35を備える両容器3i,3o自体も、単純な形状であって容易に成形できて製造性に優れる上に、両者の組み付けを容易に行える。
かつ、実施形態2の液密構造1Bは、液密性に優れるため、任意の設置形態に利用可能である。具体的には、液密構造1Bは、断熱管の軸方向が鉛直方向となる縦置き形態、図4に示すように断熱管の軸方向が水平方向となる横置き形態、断熱管の軸方向などが鉛直方向に交差する斜め置き形態などに利用できる。
特に、この例の液密構造1Bは、熱絶縁部39を備えたり、封止部6Bの大きさ(筒部37の位置など)を調整したりすることで、界面部12の他端部の温度を良好に調整できて、所定の温度差を設けられるため、上述の特定の大きさの隙間をより確実に形成できる。そのため、この例の液密構造1Bは、液密な隙間を良好に備えられて、液密の信頼性を高められる。また、この例の液密構造1Bは、外側容器3oと接合材4との組合せについて、内側に位置する接合材4の方が熱膨張係数が大きく、外側容器3oに外側凹部35を備えることに加えて、接合材4と内側容器3iとの組合せについて内側に位置する内側容器3iの方が熱膨張係数が小さいものの、内側容器3iにも内側凹部25を備える。この構成によって、接合材4による両容器3i,3oの接合強度を高められる。更に、この例の液密構造1Bは、実施形態1と同様に両容器3i,3oに複数の環状の凹部25,35を備えることからも、液密の信頼性を高められる。
その他、この例の液密構造1Bは、封止部6Bを備えるため、界面部12の他端部を通過したガスが断熱層5Bに漏出せず、断熱性能の劣化を実質的に生じない。従って、この液密構造1Bは、長期に亘り、低温液体13Bを所定の温度に良好に維持できる。
[実施形態4]
実施形態1〜3では、凹部25,35の大きさがいずれも等しい形態を説明した。その他、容器の軸方向に沿って複数の凹部を備える場合に、各凹部の大きさを異ならせることができる。例えば、界面部12の他端部側から一端部側に向かって、凹部の大きさが大きい形態とすることができる。複数の凹部25,35の組を備える場合も同様に少なくとも1組の大きさを異ならせることができる。例えば、界面部12の他端部側から一端部側に向かって、凹部25,35の組(環状の空間)の大きさが大きい形態とすることができる(25i<25m<25o,35i<35m<35o)。この形態は、界面部12の一端部側では、接合材4の熱収縮量(絶対量)が大きくなるため、凹部と接合材4とが外れ易くなって、隙間gをより形成し易いと期待される。
[実施形態5]
実施形態1〜4では、内側凹部25及び外側凹部35の双方を備える形態を説明した。また、端末内管3Aや外側容器3oと接合材4との対比で、内側に位置する接合材4の方が熱膨張係数が大きい場合を説明した。その他、接合材4とブッシング2Aや内側容器3iとの対比で、内側に位置するブッシング2Aや内側容器3iの方が熱膨張係数が大きい場合には、この内側に位置するブッシング2Aや内側容器3iが内側凹部25を備え、外側凹部35を備えない形態とすることができる。この形態でも、界面部12の一端部は、ブッシング2Aや内側容器3iが接合材4から離れるようにより内側に熱収縮することで、上述の特定の大きさの隙間gを形成できる。熱膨張係数について、両容器3i,3oと接合材4との大小関係によらず、実施形態3の両容器3i,3oのように凹部25,35を備えることができる。この場合、接合材4の量を十分に確保できる上に、未固化の接合材4を配置し易い。
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
(1)例えば、界面部12の軸方向に複数の凹部を備えるのではなく、一つの凹部のみとする。
(2)例えば、界面部12に備える凹部を容器の周方向に連続する環状の凹部ではなく、少なくとも一つの凹部をC字状などといった、容器の周方向の一部に設ける形状とする。
(3)例えば、実施形態3の液密構造は、超電導導体部を有しておらず常電導導体部を有する場合に、常電導導体部を低温領域から常温領域に引き出す引出箇所に適用することができる。上記常電導導体部の具体例は、各種のセンサに接続される計測線などが挙げられる。
(4)例えば、実施形態1の超電導ケーブルの端末構造は、電気絶縁層が液体冷媒に含浸されない常温絶縁型の超電導ケーブルに適用することができる。
本発明の液密構造は、常温未満の低温液体が充填される配管や容器の接続箇所などといった、液密であることが望まれる箇所に利用できる。本発明の超電導ケーブルの端末構造は、超電導ケーブルと常温環境に配置される常電導機器(例えば常電導ケーブル)との接続箇所に利用できる。
1A 超電導ケーブルの端末構造 1B 液密構造 g,G 隙間
10 重複箇所 12 界面部 13A 液体冷媒 13B 低温液体
2A ブッシング
20 外周面 25,25i,25m,25o 内側凹部 200 固定部
3A 端末内管 3B 内管 3i 内側容器 3o 外側容器
32 内周面 33 離隔板部 34 筒状部
35,35i,35m,35o 外側凹部
36,38 端板 37 筒部 39 熱絶縁部
4,4i,4m,4o 接合材
5A 端末断熱層 5B 断熱層
50 ケーブル側断熱層 52 内側断熱層
55 端末外管 56 封止栓 57 内側断熱管(熱絶縁部) 59 外管
6A,6B 封止部
60 管材 61 気密シール材(軸シール) 62 気密シール材
8 離型層
100 超電導ケーブル 110 ケーブルコア
111 フォーマ 112 超電導導体層 113 電気絶縁層 114 遮蔽層
115 保護層
120 ケーブル断熱管 121 内管 122 外管 124 防食層

Claims (9)

  1. 部分的に重なり合う重複箇所を有し、常温未満の低温液体が充填される一連の内部空間を形成する内側容器及び外側容器と、
    両容器の間に介在されて、前記両容器を接合する接合材と、
    接合された前記両容器の外周に形成される断熱層とを備え、
    前記内側容器と前記接合材との組、及び前記外側容器と前記接合材との組の少なくとも一方について、内側に位置する方の熱膨張係数が大きい組に含む容器に設けられ、前記接合材が配置される少なくとも一つの凹部を備え、
    前記重複箇所における両容器の界面部は、
    前記低温液体に接して、前記低温液体の温度になる一端部と、
    前記低温液体が気化する温度になる他端部と、
    前記凹部を備える容器と前記接合材とにおける前記低温液体による冷却時の熱収縮量の差によって形成され、前記凹部の内面と前記接合材との間の空間を含むと共に、前記一端部側から前記他端部側に向かう前記低温液体の浸入を阻止し、かつ前記低温液体が気化したガスの通過を許容する隙間とを有する液密構造。
  2. 前記外側容器における前記界面部の内周面に、その周方向に沿って環状に設けられ、その軸方向に並列される複数の外側凹部を備え、
    前記内側容器における前記界面部の外周面に、前記外側凹部に向かい合ってそれぞれ設けられた複数の環状の内側凹部を備え、
    前記接合材は、前記外側凹部と前記内側凹部とで囲まれる環状の空間に配置される請求項1に記載の液密構造。
  3. 前記内側容器における前記重複箇所の内周の少なくとも一部に熱絶縁部を備える請求項1又は請求項2に記載の液密構造。
  4. 前記内側容器の構成材料の熱膨張係数をαi、前記接合材の熱膨張係数をαj、前記外側容器の構成材料の熱膨張係数をαoとするとき、αo<αj≦αiを満たす請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の液密構造。
  5. 前記容器は、その軸方向に沿って複数の前記凹部を備え、
    前記界面部の他端部側から一端部側に向かって、各凹部の大きさが大きい請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の液密構造。
  6. 前記容器は、その軸方向に沿って複数の前記凹部を備え、
    前記界面部の一端部側に位置する前記凹部の内面に離型層を備える請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の液密構造。
  7. 前記外側容器の一部から、前記界面部の他端部を含んで前記内側容器の一部に亘って、これらの外周を覆うように配置されて、前記気化したガスを封止する封止部と、
    前記外側容器と前記封止部との対向箇所に介在される気密シール材とを備える請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の液密構造。
  8. 前記低温液体は、液体窒素、液化天然ガス、液体ヘリウム、液体酸素、液体空気、及び液化石油ガスから選択される1種であり、
    前記断熱層は、真空断熱層である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の液密構造。
  9. 部分的に重なり合う重複箇所を有し、液体冷媒が充填される一連の内部空間を形成するブッシング及び端末内管と、
    前記ブッシングと前記端末内管との間に介在されて、前記ブッシングと前記端末内管とを接合する接合材と、
    接合された前記ブッシング及び前記端末内管の外周に形成される端末断熱層と、
    前記内部空間に挿通配置される超電導ケーブルの超電導導体部とを備え、
    前記ブッシングと前記接合材との組、前記端末内管と前記接合材との組の少なくとも一方について、内側に位置する方の熱膨張係数が大きい組に含む部材に設けられ、前記接合材が配置される少なくとも一つの凹部を備え、
    前記重複箇所における前記ブッシングと前記端末内管との界面部は、
    前記液体冷媒に接して、前記液体冷媒の温度になる一端部と、
    前記液体冷媒が気化する温度になる他端部と、
    前記凹部を備える部材と前記接合材とにおける前記液体冷媒による冷却時の熱収縮量の差によって形成され、前記凹部の内面と前記接合材との間の空間を含むと共に、前記一端部側から前記他端部側に向かう前記液体冷媒の浸入を阻止し、かつ前記液体冷媒が気化したガスの通過を許容する隙間とを有する超電導ケーブルの端末構造。
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