JP2005210834A - 多相超電導ケーブルの接続構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 一対の三相超電導ケーブル100から引き出された各相のケーブルコア102の超電導導体201を接続する三つの導体接続部が収納される接続箱1と、各導体接続部の外周にそれぞれ固定される固体絶縁部材2と、これら固体絶縁部材2を接続箱1に固定する金属フランジ3とを具える。金属フランジ3が接続箱1(冷媒槽11)に固定されることで、導体接続部の位置決めがなされると共に、ケーブルコア102の熱収縮に伴う導体接続部の移動を抑制することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明では、超電導導体を有するケーブルコアを複数具える多相超電導ケーブルを対象とする。例えば、3本のケーブルコアを撚り合わせて断熱管に収納された三芯一括型の三相超電導ケーブルが挙げられる。公知の多相超電導ケーブルでもよい。このような多相超電導ケーブルを一対用意し、一方のケーブルから引き出したケーブルコアの超電導導体と、他方のケーブルから引きだしたケーブルコアの超電導導体とを接続する。
図1は、本発明超電導ケーブルの接続構造を示す概略構成図である。この接続構造は、超電導導体を有するケーブルコア102を複数具える多相超電導ケーブルの中間接続構造である。本例では、3本のケーブルコア102を具える三芯型一括型の三相超電導ケーブル100を示す。なお、図1では、側面方向からみているため2本しか示されていないが、後述する図3(A)に示すように平面方向からみると3本具えている。
<ケーブル構成>
本例で用いた超電導ケーブル100は、図6に示すものと同様の構成のものである。即ち、中心から順にフォーマ、超電導導体、電気絶縁層、シールド層、保護層を具えるケーブルコア102を3本撚り合わせて断熱管内に収納された構成のものである。フォーマは、絶縁被覆された銅線を複数本撚り合わせたものを用いた。超電導導体及びシールド層は、それぞれフォーマの外周、電気絶縁層の外周にBi2223系超電導テープ線(Ag-Mnシース線)を多層に螺旋状に巻回して構成した。電気絶縁層は、超電導導体の外周に半合成絶縁紙(住友電気工業株式会社製PPLP:登録商標)を巻回して構成した。保護層は、シールド層の外周にクラフト紙を巻回して構成した。断熱管は、SUSコルゲート管を用い、外管と内管間に断熱材を多層に配置して真空引きした真空多層断熱構造とした。この内管と各ケーブルコア102間に液体窒素などの冷媒を流通させている。断熱管の外周には、ポリ塩化ビニルからなる保護層を設けた。
上記超電導ケーブル100は撚り合わされた状態で断熱管に収納され、接続箱1に導入される端部において、各ケーブルコア102は、それぞれ別個に取り扱い易くするべく、各コア102間の間隔を根元側から接続端側に向かって広げられて分岐されて接続箱1に収納される。本例では、各ケーブル100において、ケーブルコア102の長手方向(図1において左右方向)に沿って根元側に第一保持具110a、接続端側に第三保持具110c、中間部に第二保持具110bを配置している。第一保持具110aと第二保持具110b間には、半円弧状部材(図示せず)を配置してケーブルコア102を保持すると共に、両保持具110a、110bを連結している。第三保持具110cは、他の保持具110a、110bと連結されていない。第一保持具110aは、中心に環状部を具え、この環状部の外周に三つの半円弧状部材が固定され、3本のケーブルコア102で囲まれる空間のほぼ中心部に環状部の中心が位置するようにコア102間に配置して、コア102間の間隔を広げた状態に保持する。第二保持具110b、第三保持具110cの基本的構成は第一保持具110aとほぼ同様の構成であり、環状部の径を第一保持具110aよりも大きくしている点が異なる。また、これら保持具110a〜110cは、ケーブルコア102の伸縮に伴って接続箱1内を移動できるように、箱1の内周面にほぼ点接触するような摺動部(図示せず)を具える。この摺動部は、環状部の外周で半円弧状部材を固定していない個所に取り付けている。なお、本例において保持具は、接続箱内を移動可能な構成としたが、接続箱内に固定してもよい。
上記超電導ケーブル100の端部がそれぞれ接続箱1に導入されて接続される。接続箱1は、冷媒10が充填されて導体接続部が収納される冷媒槽11と、この冷媒槽11を収納する断熱槽12とを具える二重構造である。本例において冷媒槽11及び断熱槽12は、ケーブルコア102の長手方向に分割可能な半割れ片を組み合わせて一体化する構成のものを用いた。例えば、設置場所がマンホール内の場合、マンホールの大きさは、一般に、長さ5〜6m×奥行き5〜6m×高さ2m程度であり、接続箱1は、長さ4mほどである。そのため、接続箱を分割できない一体構成とすると、マンホールへの導入が困難であるだけでなく、マンホール内での接続作業が行いにくい。また、導体接続部は、接続箱の中央部近傍に配置することが好ましいが、一体の接続箱を一方のケーブル100の根元側に逃がして超電導導体の接続作業を行うとすると、接続箱の逃し代を大きくとる必要があるだけでなく、箱を逃がした側と反対側で導体接続部が形成されるため、接続作業後、箱を導体接続部側に移動させると、導体接続部は、箱内の一方側(接続作業を行った側)に偏って配置される恐れがある。これに対し、ケーブルコア102の長手方向に分割可能な半割れ片を組み合わせる構成とすると、半割れ片は、2m程度とすることができるため、マンホール内への導入が行い易く、逃し代も小さくすることができる。かつ、接続する両ケーブル100の根元側にそれぞれ半割れ片を逃がしておくことで、導体接続部を形成後、導体接続部を接続箱1の中央部近傍に容易に配置することができる。また、本例の接続箱1は、加圧冷媒の流通による圧損を抑制するべく円筒状とした。
冷媒槽11には、液体窒素などの冷媒が充填される。本例において冷媒槽11は、ステンレスにより形成した。この冷媒槽11を構成する各半割れ片は、両端が開口した筒状部材11Aと、筒状部材11Aの一端に取り付けられる端面板11Bとを具えるもので、筒状部材11Aの一端に端面板11Bを取り付けると共に、筒状部材11Aの開口した他端同士を接続することで、図1に示すような閉空間を構成する。筒状部材11Aの接続は、溶接などにより行う。
断熱槽12には、上記冷媒槽11が収納される。本例において断熱槽12は、ステンレスにて形成した。また、本例では、冷媒槽11と断熱槽12間を真空引きすることで断熱を行う。この断熱槽12を構成する各半割れ片は、両端が開口した筒状部材12Aと、筒状部材12Aの一端に取り付けられる端面板12Bとを具えるもので、筒状部材12Aの一端に端面板12Bを取り付けると共に、筒状部材12Aの開口した他端同士を接続することで、図1に示すような閉空間を構成する。筒状部材12A同士の接続は、溶接などにより行う。本例では、筒状部材12A同士を接続し易いように筒状部材12Aの内周面にリング状部材12cを配置している。そのほか、断熱槽12内には、冷媒槽11の自重を支持する支持治具12a、槽12内における冷媒槽11の長手方向の位置を固定する固定具12bをそれぞれ配置している。支持治具12aは、冷媒槽11の筒状部材11Aの外周及び断熱槽12の筒状部材12Aの内周に沿った円弧状であり、強度に優れるステンレスにて形成した。固定具12bは、冷媒槽11の端面板11Bに当接できる大きさのリング状であり、熱伝導しにくいFRPにて形成した。
図2は、導体接続部の構造を説明する概略模式図である。本例において、導体接続部は、各相のケーブルコアから露出させた超電導導体201の端部と、導体201の端部が挿入される接続スリーブ4とから構成される。そして、本発明では、この導体接続部の外周に固体絶縁部材2を配置する。本例では、特に接続スリーブ4の外周に固体絶縁部材2を配置させている。接続スリーブ4は、導電性材料からなる棒状部材であり、両端部に超電導導体201が挿入される接続部4aを具え、中央部は、固体絶縁部材2が配置可能な大きさを有している。本例において接続スリーブは、銅製としたが、アルミニウムなどでもよい。また、接続スリーブ4の外周への固体絶縁部材2の装着作業は、工場などで行い、接続スリーブ4と超電導導体201との接続作業のみ、マンホール内などの接続構造を形成する現場などで行ってもよい。
本例において固体絶縁部材2は、エポキシ樹脂からなるストレスコーンを用い、ストレスコーンの収縮力により接続スリーブ4の外周に密着させている。ストレスコーンは、両端側がテーパー状の一体形状であり、後述する金属フランジ3に固定し易いように、ストレスコーンの周方向にリング状に突起部21を設け、固定金具33によりフランジ3(固定フランジ31)に固定する。本例において突起部21は、固体絶縁部材2に一体に形成した。
導体接続部(電気絶縁層202の端部、超電導導体201の端部、接続スリーブ4の端部)の外周には、図1、2に示すように絶縁性を補強するための補強層20を具える。本例において補強層20は、クラフト紙を巻回することにて形成した。
上記固体絶縁部材2は、金属フランジ3を介して接続箱1(冷媒槽11)に固定する。本例において金属フランジ3は、3つの固体絶縁部材2が挿通配置される固定フランジ31と、固体絶縁部材2の突起部21を押える押えフランジ32とを具える。本例においてこれら固定フランジ31及び押えフランジ32は、強度に優れるステンレス(SUS304)により形成した。
その他、本例では、各超電導ケーブル100から引き出されたケーブルコア102のシールド層同士をシールド接続部40にて接続し、短絡させている。この構成により、各ケーブルコア100の外部に漏れ磁場が発生しにくい。
また、本例では、金属フランジ3(固定フランジ31)に冷媒流通用の流通孔31aを設ける構成としたが、図5に示すように冷媒槽11においてフランジ3により区分けされる両空間を接続するようにバイパス流路5を設けた構成としてもよい。バイパス流路5は、例えば、接続箱1と同様に断熱構造の管路とすることが挙げられる。具体的には、図5に示すように冷媒槽と断熱槽との二重構造とした断面]状のパイプ部50を用いることが挙げられる。また、パイプ部50の両端の開口部にフランジ51を設けると共に、冷媒槽11及び断熱槽12の筒状部材にパイプ部50と接続可能な接続パイプ部13と、接続パイプ13の開口部にフランジ51が接合されるフランジ14とを設けておく。そして、バイパス流路5のフランジ51と接続箱1側のフランジ14とを接合させ、ボルトなどの締付金具52により固定させる構成としてもよい。また、バイパス流路5には、バルブ53を設け、このバルブ53の開閉により、冷媒の流量などを調整するとよい。なお、冷媒槽11の接続パイプ13部分は、中間部で脱着可能な構成、例えば、コネクタを取り付けるなどとしておくと、断熱槽12内に配置し易く好ましい。また、中間部を可撓管としておくと、より挿入性をよくすることができて好ましい。
上記中間接続構造は、以下の手順にて組み立てるとよい(図1参照)。接続する一対の超電導ケーブル100端部の断熱管を切断して除去し、各ケーブル100から出たケーブルコア102に、断熱管と接続箱1とを接続する管接続部120、断熱槽12の端面板12B、筒状部材12A、固定具12b、冷媒槽11の端面板11B、筒状部材11Aを順に挿通させて、各ケーブル100の根元側に逃がしておく。このとき、各ケーブル100のケーブルコア102の接続端側が露出された状態となる。なお、超電導ケーブルの真空構造を保持した状態で接続箱に取り込む場合、ケーブル端部の断熱管を切断除去しなくてもよい。
12 断熱槽 12A 筒状部材 12B 端面板
12a 支持治具 12b 固定具 12c 接続部 13 接続パイプ 14 フランジ
2 固体絶縁部材 20 補強層 21 突起部
3 金属フランジ 30 挿通孔 31 固定フランジ 31a 流通孔
32 押えフランジ 33,34 固定金具
4 接続スリーブ 4a 接続部
40 シールド接続部 41 円筒状部材 42 連結部材
5 バイパス流路 50 パイプ部 51 フランジ 52 締付金具 53 バルブ
100 三相超電導ケーブル 101 断熱管 101a 外管 101b 内管
102 ケーブルコア 103 空間 104 防食層 110a〜110c 保持具
120 管接続部
200 フォーマ 201 超電導導体 202 電気絶縁層 203 シールド層
203a 内層 203b 外層 204 保護層 300 シールド連結部
Claims (9)
- 超電導導体を有するケーブルコアを複数具える一対の多相超電導ケーブルと、
異なるケーブルから引き出されたケーブルコアの超電導導体を接続する導体接続部が複数収納される接続箱と、
前記各導体接続部の外周にそれぞれ固定される固体絶縁部材と、
前記複数の固体絶縁部材を前記接続箱に対して固定する金属フランジとを具えることを特徴とする多相超電導ケーブルの接続構造。 - 接続箱内には、ケーブルコアを冷却する冷媒が充填され、
金属フランジには、冷媒の流通可能な流通孔を具えることを特徴とする請求項1に記載の多相超電導ケーブルの接続構造。 - 接続箱は、ケーブルコアの長手方向に分割される分割片を組み合わせて構成されることを特徴とする請求項1に記載の多相超電導ケーブルの接続構造。
- 接続箱は、円筒状であることを特徴とする請求項1に記載の多相超電導ケーブルの接続構造。
- 更に、超電導導体の外周には、シールド層を具え、
一方のケーブルから引き出された各ケーブルコアのシールド層同士を短絡させるシールド接続部を具えることを特徴とする請求項1に記載の多相超電導ケーブルの接続構造。 - シールド接続部は、常電導材料及び超電導材料の少なくとも一方からなることを特徴とする請求項5に記載の多相超電導ケーブルの接続構造。
- 更に、一方のケーブルから引き出された各ケーブルコアのシールド層と、他方のケーブルから引き出された各ケーブルコアのシールド層とを接続するシールド連結部を具えることを特徴とする請求項5又は6に記載の多相超電導ケーブルの接続構造。
- シールド連結部は、常電導材料及び超電導材料の少なくとも一方からなることを特徴とする請求項7に記載の多相超電導ケーブルの接続構造。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の多相超電導ケーブルの接続構造を具えることを特徴とする多相超電導ケーブル線路。
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