JP2716327B2 - 通信ケーブル - Google Patents

通信ケーブル

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JP2716327B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は２枚の遮水材料層の間に
間挿された補強部材系を有する通信ケーブルに関する。
【０００２】
【従来の技術】光ファイバの用途のうちでも注文の厳し
い用途の一つは船舶における使用である。船舶では一般
的に、光ファイバケーブルは曲がりくねった通路に沿っ
て延長される。船上では、光ファイバケーブルは修理が
行われるまでに極めて多量の水に曝されることがある。
このような間、ケーブルはいつでも使えるように維持さ
れているものと思われる。
【０００３】或る光ファイバケーブルでは、コアは少な
くとも１本の伝達媒体とプラスチックジャケットからな
り、ケーブル内を水が移動することを防止する手段を有
する。このケーブルは、比較的高い弾性率を有する長手
方向に延びるアラミド繊維補強部材と遮水手段を有する
糸様補強部材系を含有する。或る実施態様では、各繊維
状補強部材は高吸水性液体材料で処理されている。この
液体材料は乾燥されると、繊維の隙間を埋め、その外面
部分を被覆する。別の実施態様では、水膨潤性繊維材料
からなるフィラメント状ストランド材料が各繊維状補強
部材の周囲に捲回されている。
【０００４】前記のケーブルは船舶およびケーブルが水
に曝されるようなその他の環境で使用されているが、高
吸水性材料で処理された補強部材系は幾つかの問題を起
こす。例えば、ケーブルの製造中における処理補強部材
の加工が若干困難である。また、高吸水性材料でアラミ
ド繊維糸を被覆するのは比較的高価である。更に、被覆
糸上の塗膜はコアの周囲に捲回すべき供給スプールが巻
き出される際に摩耗されやすい。
【０００５】アラミド繊維は光ファイバケーブルにとっ
て極めて優れた補強部材であるが、アラミド糸を高吸水
性材料で含浸することに伴う欠点が存在する。強度と遮
水性の両方の特性とも、光ファイバケーブル（特に、船
舶で使用されるケーブル）に絶対に必要な特性である。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、船舶で使用するのに適し、従来技術のケーブルより
も簡単に製造することができる光ファイバケーブルを提
供することである。このようなケーブルはケーブル内を
水が流動することを妨げる厳格な要件を満たし、かつ、
曲がりくねった通路内に配線できるように適度な強度を
有しなければならない。
【０００７】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明では、長手軸を有し、少なくとも１本の通信
媒体からなるコアと、プラスチック材料からなり、前記
コアを取り囲むジャケットと前記遮水系の２枚の隣接層
の各々の間に間挿された比較的柔軟な補強部材系とを有
する光ファイバ通信ケーブルであって、前記コアと前記
ジャケットとの間に配置された遮水系、前記遮水系は遮
水材料の少なくとも２枚の同心円状隣接層からなり、各
層はケーブルに沿って長手方向に水が流動することを効
果的に防止しすることを特徴とする光ファイバ通信ケー
ブルを提供する。
【０００８】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明のケーブル
について更に詳細に説明する。
【０００９】図１および図２は符号２０で全体が表され
た通信ケーブルを示す。これは長手軸２１とコア２２を
有する。コア２２は１本以上の光ファイバケーブル部品
２４，２４からなる。光ファイバケーブル部品２４，２
４は中心結束部材２５の周囲に配列されている。この中
心結束部材は例えば、糸状の遮水(waterblocking) 材料
からなる。結束部材２５の製造に使用するのに好適なフ
ァイバは“ランシール−Ｆ”高吸水性ファイバの商品名
で、日本の大阪にある東洋紡から市販されている。中心
結束部材２５の周囲にバインダーを捲回することもでき
る。捲回しなくてもよい。
【００１０】各光ファイバケーブル部品２４は光ファイ
バからなり、この光ファイバは、外径が約２５０μｍの
一重または二重の塗膜内に包み込まれている。別法とし
て、図１および図２に示されているように、各光ファイ
バケーブル部品２４は、一重または二重の塗膜を有する
光ファイバ２６からなる。この光ファイバ２６は例え
ば、“Ｈｙｔｒｅｌ”（登録商標）プラスチックのよう
なプラスチック材料の層２３内に包込まれ、緩衝されて
いる。補強部材系２７がこの緩衝光ファイバを包囲し、
更に、プラスチックジャケット２９がこの補強部材系を
包囲している。一般的に、補強部材系２７は複数本の補
強部材２８，２８から構成されており、各補強部材は繊
維状材料からなる。
【００１１】このような繊維状補強部材の一例はアラミ
ド繊維からなる糸である。このような糸は例えば、“ケ
ブラー”糸の商品名でイー・アイ・デュポン社から市販
されている。“ケブラー(KEVLAR)”は一群のアラミド繊
維に関するデュポン社の登録商標名である。このような
繊維状材料は短繊維であってもよいし、また、フィラメ
ント糸であってもよい。このような繊維状材料は比較的
高い引張強さを有し、その諸特性は１９８０年６月発行
の「インフォメーションブリテンＫ−５０６Ａ」に、
“電磁ケーブルおよびファイバ光学部品におけるケブラ
ー２９およびケブラー４９の特性と使用法”と題して開
示されている。
【００１２】コア２２（図１参照）は外装系３０により
包込まれている。この外装系は光ファイバ部品を包囲す
る遮水補強部材系３２と外部プラスチックジャケット３
４を有する。遮水補強部材系３２は少なくとも２層の長
手方向に延びる遮水層３３，３３を有する。各遮水層３
３は水膨潤性の高吸水性材料で処理された材料などのよ
うな材料の長手方向に延びるストリップからなる。好都
合なことに、部材３３，３３は親水性である。親水性材
料とは、水を容易に吸収する点で、水に対して強い親和
性を有する材料のことである。高吸水性材料は長手方向
に延びる各層３３に遮水能力を付与する。水が層３３に
接触すると、高吸水性材料は水と反応し、ゲル状の反応
生成物を形成する。このゲルは水の流動を阻止するのに
有効である。
【００１３】好ましい実施例では、各層３３は、中間に
高吸水性粉末３７が配設されている２枚のテープ３６，
３６（図２参照）からなるラミネートである。２枚の不
織ポリエステルテープの間には、約６０ｇ／ｍ2 の割合
で分布された高吸水性材料が間挿されている。ラミネー
トにおける高吸水性材料は、蒸留水中における１０分間
の最小膨潤率が１５mmとなる高吸水性ポリマーからな
る。
【００１４】好ましい実施例の遮水テープ３６の坪量は
１１８ｇ／ｍ2 であり、厚さは０．３５mmである。ま
た、引張強さは２５Ｎ／ｃｍ2であり、伸び率は４０％
である。好ましい実施例のラミネートの２枚のテープの
各々のファイバ組成物はポリアクリレート結合剤を有す
るホワイトポリエステルである。高吸水性材料は粉末状
であり、高吸水性ポリマーとして、ポリアクリレート／
ポリアクリルアミドコポリマーの架橋カリウム塩の形に
なっている。
【００１５】別法として、各遮水テープ３３は高吸水性
材料が含浸されたサブストレート材料でもよい。高吸水
性材料は(1) ポリアクリル酸、(2) ポリアクリルアミ
ド、(3)(1)と(2) の混合物、(4)(1)と(2) の塩類、(5)
(1)と(2) のコポリマーからなる群から選択される。こ
れらは米国特許第４８６７５２６号明細書に開示されて
いる。
【００１６】２枚の長手方向に延びる遮水層３３，３３
の間には、補強部材層４０が配設されている。補強部材
層４０は高強度アラミド繊維材料からなり、好ましい実
施例では、この層４０はケブラー糸からなる。ケブラー
糸は前記に説明したとおりのものである。ケブラー糸は
遮水部材３３，３３のうち内側のものの周囲に、同一方
向に撚られるか、または反対方向に撚られて、捲回され
る。
【００１７】好ましい実施例では、補強部材糸の一層が
２枚の遮水テープの間に配設されるが、他の実施態様も
当然使用することができる。例えば、３枚の離隔された
遮水層は各２枚の隣接した層の間に、ケブラー糸のよう
な補強部材の層を含有することもできる。
【００１８】本発明のケーブルでは、ケーブルに沿って
包囲体内に水が長手方向に流動することを阻止するため
の別の手段が講じられている。光ファイバケーブル部品
２４，２４と遮水補強部材系３２との間に、補足的な遮
水部材５０，５０が配設されている。この各遮水部材は
水膨潤性のファイバ材料からなる。部材５０，５０はケ
ーブルの長手軸の周囲に、または長手軸と平行に撚られ
ている。
【００１９】好ましい実施例では、各補足的遮水部材５
０は、例えば、水膨潤性ファイバ材料からなる１．６７
番手糸のような糸（図１参照）である。このような糸は
例えば、米国特許第４３６６２０６号明細書に開示され
ている。好ましい実施例における各部材５０の糸は中心
結束部材２５に使用される材料と同一のものでもよい。
ケーブル内の隙間内を長手方向に延びるこれらの部材５
０，５０はケーブルの外径を全く増加させないが、遮水
性能を一層高める。
【００２０】糸部材５０，５０および光ファイバケーブ
ル部品２４，２４は、ケーブルの長手軸の周囲に、同一
方向に撚られて、捲回されている。別の態様では、糸部
材５０，５０および光ファイバケーブル部品は長手軸の
周囲に反対方向に撚られて、捲回されている。
【００２１】ここで重要なことは、遮水部材３３，３３
がケーブルの長手軸２１を横切る全ての平面を被覆する
ことである。また、図２に示されているように、補強部
材系がこのような平面内のケーブルのほぼ全ての内周面
の周囲に延びている。捩率的に平衡された補強部材層４
０、遮水層３３，３３および遮水部材５０，５０の組み
合わせはバランスされた補強系に好適な遮水能力を付与
する。
【００２２】再び図１および図２を参照する。ジャケッ
ト３４が遮水補強部材系３２の周囲に配置されている。
ジャケット３４はプラスチック材料からなり、好ましい
実施例では、低ハロゲン含量、低発煙性、低毒性で低腐
食性の耐火性材料からなる。また、言うまでもなく、ジ
ャケット用のプラスチック材料はＭＩＬ−Ｃ−００８５
０４５で指定される米軍規格に記載されるような流体浸
漬特性を満たすようなものでなければならない。ジャケ
ット３４用の好適な材料は、金属水酸化物充填剤が充填
され、適当な加工助剤を含有するハロゲン不含有の難燃
性ポリオレフィン系材料である。
【００２３】図３は本発明のケーブルの別の実施例を示
す。符号６０で全体が表されたケーブルは中心に配置さ
れた結束部材６２を有するコアを含む。結束部材６２は
遮水部材である。この遮水部材は図１および図２におけ
る中心部材２５の材料のような水膨潤性ファイバ材料か
らなる糸材料から構成することができる。
【００２４】中心に配置された部材６２の周囲には、複
数本の光ファイバケーブル部品６４，６４が配列されて
いる。各光ファイバケーブル部品は構造的に各光ファイ
バケーブル部品２４，２４（図１および図２参照）と類
似のものである。従って、これ以上説明する必要はな
い。
【００２５】光ファイバケーブル部品の周囲には、遮水
補強部材系６６が配置されている。この遮水補強部材系
は３枚の離隔された同心円層６８，６８からなる。この
層は各々、遮水部材からなる。各遮水部材６８は間に粉
末状の高吸水性ポリマーを有する離隔されたテープから
なる。２枚の隣接した遮水層の各々の間には補強部材系
７０（好ましくは、アラミド繊維糸）が間挿されてい
る。２個の隣接する光ファイバケーブル部品６４，６４
の各々の間に、最内層６８と係合して、遮水糸部材７２
が配置されている。この遮水糸部材は図１および図２の
実施例における部材５０に使用されている材料と同一の
材料から構成することができる。遮水補強部材系の周囲
にはジャケット７４が存在する。このジャケットはケー
ブル２０のジャケット３４の材料と同一のプラスチック
材料から形成されている。
【００２６】水圧０．１０２ＭＰａで試験長１ｍのケー
ブルからの水の漏洩を測定することからなる試験を行っ
た。試験長１ｍの従来技術の各ケーブルは、高吸水性材
料が含浸されたケブラー糸の２枚の層内に取り囲まれた
４個の光ファイバユニットを含有していた。下記の表１
に従来技術のケーブルからの漏洩量と本発明によるケー
ブルからの漏洩量を示す。水の漏洩に関する合格ケーブ
ルは漏洩量が３３．０ｍｌを越えないようなケーブルで
ある。表１に示された結果から明らかなように、従来技
術のケーブルも合格基準を満たす漏洩量であるが、本発
明のケーブルは更に一層優れた改善を示している。
【００２７】 表１ ケーブル漏洩量 ケーブル 合格基準 従来技術 本発明 ４ユニット MIL-C-0085045,0.102MPa, ファイバケーブル 6 時間漏洩量≦33ml 18ml 15ml ８ユニット MIL-C-0085045,0.102MPa, ファイバケーブル 6 時間漏洩量≦33ml 27ml 16ml
【００２８】下記の表２に本発明の４ユニット光ファイ
バケーブルに関する老化試験の結果を示す。試験された
４ユニット光ファイバケーブルは、間にケブラー糸の層
が間挿された２枚の遮水層３３，３３を含有していた。
本発明のケーブルの２個のサンプルについて６０日間に
わたって試験を行ったが、水の漏洩量は基準の外側限界
値３３ｍｌ以下のままであった。
【００２９】 表２ 暴 露 日 数 試 験 条 件 漏 洩 量 ０日（基準値） 無 暴 露 １０ｍｌ ７日 ８５℃，９５％ＲＨ １５ｍｌ ２０日 ８５℃，９５％ＲＨ １６ｍｌ ３０日 ８５℃，９５％ＲＨ １６ｍｌ ４０日 ８５℃，９５％ＲＨ １８ｍｌ ５０日 ８５℃，９５％ＲＨ ２３ｍｌ ６０日 ８５℃，９５％ＲＨ ２３ｍｌ
【００３０】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のケーブル
は従来のケーブルに比べて遮水性が一段と強化され、極
めて低い水漏洩性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のケーブルの一例の部分切欠き概要斜視
図である。
【図２】図１のケーブルの断面図である。
【図３】本発明のケーブルの別の例の断面図である。
【符号の説明】
２０ 本発明のケーブル ２１ 長手軸 ２２ コア ２３ プラスチック材料層 ２４ 光ファイバケーブル部品 ２５ 中心結束部材 ２６ 光ファイバ ２７ 補強部材系 ２８ 補強部材 ２９ プラスチックジャケット ３０ 外装系 ３２ 遮水補強部材系 ３３ 遮水層 ３４ 外側プラスチックジャケット ３６ 遮水テープ ３７ 高吸水性粉末 ４０ 補強部材層 ５０ 補足的遮水部材 ６０ 本発明の別のケーブル ６２ 中心結束部材 ６４ 光ファイバケーブル部品 ６６ 遮水補強部材系 ６８ 遮水部材 ７０ 補強部材系 ７２ 遮水糸部材 ７４ ジャケット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジル バチェラー フルーフォグ アメリカ合衆国 30092 ジョージア ノークロス、ステーションミル ドライ ヴ 6307 (72)発明者 クリシュナスワミー カシレサン アメリカ合衆国 30066 ジョージア マリエッタ、モルガンレイク ドライヴ 2544 (56)参考文献 特開 昭62−102211（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−162307（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−42019（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−67120（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−73110（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 少なくとも１本の通信媒体を含むコア
    （２２）と、 前記コア（２２）を包囲するプラスチック材料製のジャ
    ケット（３４）と、 前記コア（２２）と前記ジャケット（３４）との間に配
    置された遮水系層（３３，３６，３７，４０）と、前記コア（２２）と前記遮水系層（３３，３６，３７，
    ４０）との間に前記コアに沿って長手方向に配置された
    水膨潤性ファイバ材料からなる遮水部材（５０）と、 からなる通信ケーブルにおいて、 前記遮水系層（３３，３６，３７，４０）は、 遮水材料製の少なくとも２枚の同心円状の隣接層（３
    ３，３３）と前記遮水材料製の２枚の隣接層（３３，３
    ３）の間に間挿された比較的柔軟な補強部材層（４０）
    とからなり、 前記隣接層（３３）は、２枚の長手方向に延びるテープ
    （３６，３６）と、前記テープ（３６，３６）の間に配
    置された高吸水性材料粉末（３７）とからなるラミネー
    ト構造であることを特徴とする通信ケーブル。
  2. 【請求項２】 前記高吸水性材料粉末（３７）は、(1)
    ポリアクリル酸、(2) ポリアクリルアミド、(3) 前記
    (1) と(2) の混合物、(4) 前記(1) と(2) の塩類、およ
    び(5)前記(1) と(2) のコポリマー類からなる群から選
    択される請求項１の通信ケーブル。
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