JP2715854B2 - 陰極線管 - Google Patents

陰極線管

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JP2715854B2
JP2715854B2 JP5212434A JP21243493A JP2715854B2 JP 2715854 B2 JP2715854 B2 JP 2715854B2 JP 5212434 A JP5212434 A JP 5212434A JP 21243493 A JP21243493 A JP 21243493A JP 2715854 B2 JP2715854 B2 JP 2715854B2
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良彰 柳井
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関西日本電気株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は陰極線管に関し、詳しく
は、フェースパネル表面での反射防止及び帯電防止を実
現する陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、テレビ受像機やコンピュータの
CRTディスプレイに使用される陰極線管では、フェー
スパネル表面での外来光の反射を低減する一つの手段と
して、図3に示すようにそのフェースパネル1の表面を
粗面化し、外来光Lをフェースパネル1の表面で散乱さ
せることにより光の反射を暈す方法がある。具体的に、
このフェースパネル1の表面の粗面化は、フェースパネ
ル1の表面にシリカ等を凹凸に塗布して焼き付けるスプ
レーコーティング法や、フェースパネル1の表面をサン
ドブラストした上でフッ酸等で洗浄するダイレクトエッ
チング法などがある。
【0003】また、外来光Lの反射を防止する他の手段
として、図4に示すようにガラスパネル2上に多層コー
ティング膜3を蒸着させたものを樹脂4などでフェース
パネル1の表面に接着し、フェースパネル1の表面での
反射を効果的に抑制するようにしている。
【0004】一方、図示しないが、陰極線管では、上述
したフェースパネル1の表面での反射防止とは別に、フ
ェースパネル1の表面に導電性薄膜を被着させて帯電防
止膜を形成することにより、フェースパネル1の表面が
帯電することを未然に防止する技術がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したフ
ェースパネル1の表面での反射防止手段のうち、フェー
スパネル1の表面を粗面化する場合、スプレーコーティ
ング法やダイレクトエッチング法のいずれにしても比較
的安価に製作することが可能である。その反面、外来光
Lの散乱による拡散反射効果により、コントラストが低
下し、また、蛍光体からの発光が散乱され、見かけ上、
解像度が低下するという欠点があった。
【0006】一方、ガラスパネル2の表面に多層コーテ
ィング膜3を蒸着形成しフェースパネル1の表面に接着
した場合、ガラスパネル2の表面での反射率を低下させ
ることができて好ましいが、コーティング膜3を多層に
形成すること、及びガラスパネル2をフェースパネル1
に接着することにより、非常に高価なものになるという
欠点があった。
【0007】そこで、近年では、フェースパネル1の表
面に直接コーティング膜を形成し、各コーティング膜の
屈折率と膜厚とを反射率が低くなるように設定し、これ
により、画面のコントラスト及び解像度を低下させるこ
となく、フェースパネル1の表面での外来光Lの反射を
効果的に防止し、而も、安価に製作することができるも
のが開発されている〔特開平1−180501号公
報〕。
【0008】しかしながら、フェースパネル1の表面で
の反射率を単純に低下させるだけでは、以下に説明する
ような問題があった。例えば、図5に示すようにフェー
スパネル1の表面にコーティング膜5を形成した場合、
そのコーティング膜5に入射する外来光Lは、コーティ
ング膜5の表面で反射する光Laと、コーティング膜5
を透過してフェースパネル1の表面で反射する光Lbと
なる。ここで、外来光Lの反射を抑制するためにはこの
二つの反射光La,Lbを干渉により相殺するようにす
ればよい。垂直入射の場合、外来光Lの波長をλ、コー
ティング膜5の膜厚をd、その屈折率をnとして、光学
膜厚nd=λ/4という関係が成立することが必要であ
る。
【0009】この時、コーティング膜5の屈折率nが、
フェースパネル1の屈折率n0 〔ガラスの屈折率=1.
53〕の平方根に等しい。即ち、n=√n0 なる関係が
成立すれば反射は0となる。しかし、コーティング膜5
の屈折率nが1.53の平方根である1.2程度になる
ような実用上の材料を選定することは困難で、更に、フ
ェースパネル1の表面での帯電防止を考慮して、コーテ
ィング膜5を帯電防止膜として機能させようとすると、
金属成分を含ませて導電性を具備させる必要上、その屈
折率が大きくならざるを得ず、1.2程度の適正な屈折
率を有するものを選定することがより一層困難である。
そして、コーティング膜5の屈折率nがn0 (=1.5
3)よりも大きくなると、コーティング膜5は反射増加
膜として作用することになる。
【0010】一方、人間にとっての可視光範囲は、35
0〜400nmの青〔B〕から700〜750nmの赤
〔R〕までであり、その中間に550nmの緑〔G〕が
位置する。故に、上述したnd=λ/4の関係式に基づ
いて、例えば、反射率が最低となる波長を550nmの
緑〔G〕に設定したとすると、フェースパネル1の表面
での反射率曲線aは、図6に示すように550nmの緑
〔G〕で最小値となるような曲線を描く。その結果、5
50nmの緑〔G〕の領域では反射率が小さくなるのに
反して、350〜400nmの青〔B〕や700〜75
0nmの赤〔R〕の領域では、反射率がそれ程小さくな
らない。このように特定の波長領域での反射率だけが低
下すると反射光に色が付き、波長による反射率の変化が
大きいほど、フェースパネル1の反射色が濃く、膜厚の
わずかな変化によって反射色の色あいが大きく変化する
という問題もある。
【0011】そこで、コーティング膜5に反射防止及び
帯電防止効果の両方を持たせる方法として、コーティン
グ膜5を二層構造とする方法がある。この場合、第1の
薄膜の膜厚d1 、屈折率n1 、第2の薄膜の膜厚d2
屈折率n2 とした時、n11=λ/4、n22=λ/4
として、n1 /n2 =√n0 なる関係が成立すれば、、
波長λにおける反射率を0にすることができる。この場
合、n1 とn2 は、その比が√n0 になるようにすれば
よいので、選択の幅が広がる。しかし、この場合、波長
と反射率の関係は単層膜の場合よりもカバーできる波長
範囲が更に狭くなる。
【0012】そこで、本発明は上記問題点に鑑みて提案
されたもので、その目的とするところは、安価に製作す
ることが容易で、波長による反射率の変化を抑制すると
共にその反射率を小さくし得る反射及び帯電防止膜を具
備した陰極線管を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の技術的手段として、本発明は、陰極線管バルブのフェ
ースパネル表面に、外来光の反射を防止すると共に帯電
を防止する第1及び第2の薄膜を積層した二層コーティ
ング膜を形成した陰極線管において、フェースパネル表
面に被着された第1の薄膜は、その屈折率を1.8
2.0、膜厚を10〜20nmとし、第1の薄膜上に形
成された第2の薄膜は、その屈折率を1.42〜1.4
8、膜厚を110140nmとしたことを特徴とす
る。この第1の薄膜は、その屈折率を2.0、薄膜を1
9nmとし、第2の薄膜は、その屈折率を1.46、膜
厚を125nmとすることが望ましい。また、第1の薄
膜は、酸化スズの材質からなり、第2の薄膜は、酸化ケ
イ素の材質からなることが好ましい。
【0014】
【作用】本発明に係る陰極線管では、フェースパネル表
面に第1及び第2の薄膜からなる二層のコーティング膜
を形成し、その第1及び第2の薄膜、特に、フェースパ
ネル表面に形成される第1の薄膜の屈折率及び膜厚を所
定値に設定することにより、反射率曲線を補正して反射
率を小さく維持したままで、波長による反射率の変化を
抑制する。また同時に、第1の薄膜を導電性とすること
により、あわせて帯電防止効果を持たせる。
【0015】
【実施例】本発明に係る陰極線管の一実施例を図1及び
図2に示して説明する。尚、図3乃至図6と同一部分に
は同一参照符号を付して重複説明は省略する。
【0016】本発明の陰極線管は、図1に示すように陰
極線管バルブのフェースパネル1の表面に、外来光Lの
反射を防止すると共に帯電を防止する第1及び第2の薄
膜6,7を積層した二層コーティング膜8を形成する。
この二層コーティング膜8における第1及び第2の薄膜
6,7の屈折率n1 ,n2 及び膜厚d1 ,d2 を以下の
ように設定する。
【0017】即ち、フェースパネル1の表面に被着され
た第1の薄膜6は、その屈折率n1を1.8〜2.0、
膜厚d1 を10〜20nmとし、第1の薄膜6上に形成
された第2の薄膜7は、その屈折率n2 を1.42〜
1.48、膜厚d2110〜140nmとする。第1
及び第2の薄膜6,7の屈折率n1 ,n21.8
1.42より小さい場合、又は2.0,1.48より大
きい場合、反射防止効果が小さくなって不適である。ま
た、第1及び第2の薄膜6,7の膜厚d1 ,d2 が10
nm,110nmより小さい場合、又は20nm,14
0nmより大きい場合、反射防止効果が小さくなって不
適である。
【0018】ここで、第1の薄膜をその屈折率n1
2.0であり、膜厚d1 が27nmに、また、第21の
薄膜7をその屈折率n2 が1.46であり、膜厚d2
125nmに設定すると、図2の反射率曲線aに示す反
射率となる。この場合は、反射率の波長による変化が大
きい。この反射率の変化を小さくするため、第1の薄膜
6をその屈折率n1 が2.0であり、膜厚d1 が19
に、また、第2の薄膜7をその屈折率n2 が1.46
であり、膜厚d2 が125nmに設定する。この場合
は、図2の反射率曲線bに示すように反射率は波長によ
る変化が小さくなる。
【0019】尚、上述した屈折率n1 ,n2 及び膜厚d
1 ,d2 の設定に基づいて、第1の薄膜6の材質として
は、酸化スズ、第2の薄膜7の材質としては、酸化ケイ
素が好ましい。この第1及び第2の薄膜6,7として
は、二層コーティング膜8の屈折率n1 /n2 が、第1
の薄膜6の屈折率n1 と第2の薄膜7の屈折率n2 との
比となるので、それぞれの各屈折率n1 ,n2 として、
金属成分を含む導電性を有し、大きな屈折率を持つ材質
を選択することができるので、反射防止膜としての機能
に加えて、帯電防止膜としての機能を具備させることも
容易である。
【0020】このようにして、図2に示すように、35
0〜400nmの青〔B〕から、中間の550nmの緑
〔G〕を経て、700〜750nmの赤〔R〕までに至
る人間にとっての可視光範囲において、フェースパネル
1の表面での反射率曲線bは、図中実線で示すように、
外来光Lの波長、即ち、色の違いによる反射率の変化が
小さい曲線となる。ここで、350〜400nmの青
〔B〕や700〜750nmの赤〔R〕の紫外及び赤外
領域に近いところでは、反射率の変化がそれ程小さくな
らなくても、視感度が低いので実際上、それ程問題とは
ならない。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、フェースパネル表面
に、所定の屈折率及び膜厚を有する第1及び第2の薄膜
からなる二層コーティング膜を形成したことにより、反
射率曲線を補正して反射率を小さく維持したままで、波
長による反射率の変化を抑制できる陰極線管を安価に製
作することが容易となり、反射防止及び帯電防止の両機
能を備えた高品質の陰極線管を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る陰極線管の一実施例を示すフェー
スパネルの要部拡大部分を含む断面図
【図2】本発明の陰極線管を使用した場合の反射率曲線
を示す特性図
【図3】陰極線管の従来例を説明するためのもので、表
面を粗面化したフェースパネルを示す要部拡大部分を含
む断面図
【図4】多層コーティング膜を形成したフェースパネル
を示す要部拡大部分を含む断面図
【図5】コーティング膜を形成したフェースパネルでの
外来光の反射状態を示す部分拡大断面図
【図6】従来の陰極線管での反射率曲線を示す特性図
【符号の説明】
1 フェースパネル 6 第1の薄膜 7 第2の薄膜 8 二層コーティング膜 L 外来光 n1,n2 屈折率 d1,d2 膜厚

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陰極線管バルブのフェースパネル表面に、
    外来光の反射を低減すると共に帯電を防止する第1及び
    第2の薄膜を積層した二層コーティング膜を形成した陰
    極線管において、フェースパネル表面に被着された第1
    の薄膜は、その屈折率を1.8〜2.0、膜厚を10〜
    20nmとし、第2の薄膜は、その屈折率を1.42〜
    1.48、膜厚を110〜140nmとしたことを特徴
    とする陰極線管。
  2. 【請求項2】第1の薄膜は、その屈折率を2.0、膜厚
    16〜19nmとし、第2の薄膜は、その屈折率を
    1.46、膜厚を125nmとしたことを特徴とする請
    求項1記載の陰極線管。
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