JP3569538B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、帯電防止および外光反射低減の両機能を備えた受像管またはプラズマディスプレイパネル等の画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
室内照明灯等による外光が、受像管等の画像表示装置のガラス製フェースパネルの外面で鏡面反射をすると、再生画像が非常に見づらくなる。この外光反射を、表示画像の解像度を低下させることなく有効に低減するとともに、帯電防止効果を得るために、フェースパネルの外面上に高屈折率薄膜と低屈折率薄膜とを順次積層し、これらの干渉膜としての効果と、低屈折率薄膜の露出表面に形成された多数の凹凸による乱反射面の効果とを併せ持つ外光反射防止膜が、「SIDJapanDisplay ’92;Anti−Glare,Anti−Reflection and Anti−Static(AGRAS) coating for CRTs」に開示されている。
【0003】
この画像表示装置の外光反射防止膜は、次のような構成を有している。すなわち、フェースパネルガラスの外面上には、第1層としてCVD法によりSnO2を主成分とする高屈折率薄膜が形成されており、その上に第2層としてスピンコート法によりSiO2 を主成分とする低屈折率薄膜が形成されている。第2層上には、第2層と同一材料であるSiO2 を主成分とするクレータ状の凹凸膜からなる第3層がスプレーコート法により形成されており、第2層の表面の一部を覆っている。第3層の凹凸膜は、凸部領域が平面形状の凹部平面領域を取り囲む形になっている。凹凸膜の存在しない領域は第2層の露出表面である。このような反射防止膜に入射した光のうち、第2層の露出表面または第3層凹部平面領域の表面に入射した光の反射光は、フェースパネルガラスと第1層との界面、および第1層と第2層との界面での反射光との干渉作用により低減され、また第3層凸部領域に入射した光の反射光は乱反射することで反射像をぼかす。かかる干渉膜と乱反射膜との構成により防眩効果が得られる。
【0004】
このような従来の画像表示装置では、その膜厚設計の基本的な考え方として、第2層の露出表面での反射光、および第3層凹部領域の表面での反射光の反射率の最低値をできるだけ低くすることが重視されている。例えば、第1層の高屈折率薄膜としてSiO2 +SnO2 を用いた場合は、第1層の屈折率は1.82、第2層および第3層の低屈折率薄膜の各屈折率が1.47であるため、各層の最適膜厚は第1層が76nm、第2層が74nm、第3層の凹凸膜の平均膜厚が20nmであるとされている。また、第1層にSnO2 のみを用いたときは、その屈折率は2.0であるので、第1層の最適膜厚は32nm、第2層は74nm、第3層の凹凸膜の平均膜厚は20nmが最適であるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のような膜厚設計による鏡面反射光のスペクトルは、図3の曲線8に示す反射特性となる。このとき、この反射特性の各波長での反射率と人間の視感度とを掛け合わして示される視感反射率は1.5%で、未処理のガラス表面反射率4.5%に比べて反射は十分に低減するが、青色刺激の最も強い436nmでの波長の反射率は5%以上となり、蛍光灯等の強い外光の反射が青く光って目障りであるという問題が生じていた。
【0006】
これは、図7に示す反射スペクトルのシミュレーションのように、第2層の露出表面7での反射光スペクトル10、および第3層凹部平面領域の表面6での反射光のスペクトル11は、それぞれスペクトルの反射率の最低値をほぼ零%となるようにしてあるため、波長による反射特性はシャープなV字形となっている。画像表示装置の使用者の目に入る鏡面反射光は、外光反射防止膜の第2層の露出表面での反射光10と、第3層凹部領域の表面での反射光11との合成光12となるので、その反射率の最低値は約1.5%にまで高くなり、またスペクトルは依然としてシャープなV字形の反射特性となるため、可視光領域の中では特に青色の反射が強くなってしまうのである。
【0007】
また、合成光12のスペクトルがシャープなV字形の反射特性であるため、第2層の膜厚や第3層の凹凸密度がわずかに変化するだけで反射光の色合いが大きく変化する。したがって、膜厚制御が不十分であると、表示面各部の反射光の色が異なったり、表示装置ごとに反射光の色が異なったりする等の問題が生じていた。そのため、高精度の膜厚制御が必要とされ、製造能率の低下や製造コストの高騰をまねく原因となっていた。
【0008】
本発明は上記従来の問題点を解決するためになされたもので、実用上十分な反射防止効果を得、また目障りな反射光の色を抑えることのできる画像表示装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像表示装置は、ガラス製フェースパネルと、前記ガラス製フェースパネルの外面上に形成された、導電性の高屈折率層からなる第1層と、前記第1層の上に積層された低屈折率からなる第2層と、前記第2層上に形成された、多数の凹凸を露出表面に有する前記第2層と同材質の第3層とからなる反射防止膜とを備え、前記第3層の凹凸は、凸部領域が平面形状の凹部領域を取り囲む形になっており、前記凹部領域および前記凸部領域の存在しない領域は前記第2層の露出表面となっており、前記凹部領域と前記露出表面との面積比がほぼ50:50であり、前記反射防止膜は、鏡面反射光の視感反射率が1.5%以下であるとともにその鏡面反射スペクトルにおいて波長436nmでの反射率が3%以下であり、可視光領域のほぼ全域にわたって低い反射率となる反射特性を有している。
【0010】
【作用】
上記のようにすることで、画像表示装置の使用者が感知する合成光の反射を低減して、実用上十分な反射防止効果を得ることができる。また、同時に、青色刺激の最も強い436nmの波長での反射率を3%以下に低減することで、可視波長の広い範囲にわたってよりブロードな低い反射特性を持つので、目障りな反射光の色を抑えることができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施例の画像表示装置は、ガラス製フェースパネル1の外面上に、第1層2としてSnO2を主成分とする透明導電物質からなる高屈折率薄膜がCVD法等によって膜厚t1 が15nmとなるように均一に形成されている。第1層2上には、第1層2とともに干渉作用により低反射機能を付与するための低屈折率薄膜からなる第2層3が形成されている。第2層3は、例えばアルコール系溶媒中にアルキルシリケート重合体のみを投入したもの等を用い、スピンコート法等によって膜厚t2 が97nmとなるように均一に形成されている。さらに、第2層3の表面の一部には、第3層4として、第2層3と同材質であって、多数の凹凸を露出表面に有するクレータ状の凹凸膜からなる低屈折率薄膜がスプレーコート法等によって形成されている。第3層4の凹部領域6の膜厚t3 は41nmである。コート処理後は400〜450℃で約20分間加熱処理を行う。第3層4のクレータ状の凹凸の密度は、JISZ8741にもとづく鏡面光沢度測定装置を用いて光入射角を60度としたときの反射光沢度が75前後となるように行う。この場合、凹部領域6と第2層の露出表面7との面積比はほぼ50:50となる。
【0013】
図2は、上記画像表示装置の露出表面の拡大平面図を示す。図2に示すように、第3層4が第2層3の表面の一部を覆っている。第3層である凹凸膜は、凸部領域5が平面形状の凹部領域6を取り囲む形になっている。凸部領域5の存在しない領域は第2層3の露出表面7となっている。
【0014】
上記実施例において、各層の形成方法として、第1層をCVD法、第2層をスピンコート法、第3層をスプレーコート法をそれぞれ用いた場合について説明したが、第1層および第2層では膜厚を均一にすること、第3層では必要な凹凸面を形成することができる方法であれば、ディップコート法やスパッタ法等を用いることができる。
【0015】
上記のようにして形成された反射防止膜は、第1層2のSnO2 膜の屈折率が2.0、第2層3および第3層4の各屈折率は1.45となる。
【0016】
上記実施例では、第1層の材料としてSnO2を用いたが、この代わりにIn2O3を用いることもできる。また、これらの屈折率はほぼ2.0であるが、ドープされるアンチモンの量により若干の差異が生じる。この屈折率の変化による反射特性のずれは、膜厚の微調整によりカバーすることができる。
【0017】
上記実施例の画像表示装置の鏡面反射光のスペクトルを実測した結果を図3に曲線9として示す。図3から明らかなように、この画像表示装置の視感反射率は1.2%で十分な反射低減効果を有し、また青色刺激の強い波長436nmでの反射率は約2.4%となり、可視光領域のほぼ全域にわたって低い反射率となるブロードな反射特性となるので、目障りな反射光の色を抑えられることができることがわかる。
【0018】
次に、第1層の膜厚を選定することにより上記の効果が得られる理由について、図4に示す鏡面反射スペクトルのシミュレーションを用いて説明する。
【0019】
本発明においては、第2層3の露出表面7での反射光、および第3層4の凹部領域6での反射光反射率の最低値をできるだけ低くするという従来の考え方を大幅に転換し、それぞれの反射光の波長特性ができるだけブロードになるようにした。第1層の膜厚を15nmとすることにより、第2層3の露出表面7での鏡面反射光のスペクトルの曲線13、および第3層4の凹部領域6での反射光のスペクトルの曲線14は、それぞれの反射率の最低値が0.3%および0.8%と多少高くなっているものの、ブロードな反射特性となり、前記各スペクトルを示す曲線13および曲線14の合成光のスペクトルを示す曲線15では反射率の最低値は、従来例とほぼ同等の約1.6%となるとともに、従来例のシャープなV字形のスペクトルに比べ、ブロードな反射特性となることがわかる。なお、図3に示す実測したスペクトルは、図4および図7のシミュレーションでのスペクトルに比べ反射率が低くなっているが、これは実測では第3層4の凸部領域5に入射した光の反射光は乱反射することで鏡面反射が低減するためである。
【0020】
実験によれば、上記反射防止膜は、実用上外光反射を十分に防止し、反射光の色刺激を抑える条件として、視感反射率が1.5%以下で、かつ青色刺激の強い波長436nmでの反射率が3%以下の反射特性を有することが必要であることが確認された。図5に示す第1層の膜厚と反射率との関係から視感反射率が1.5%以下となる条件として第1層の膜厚は10nm以上、また、図6に示す第1層の膜厚と波長436nmにおける反射率との関係から波長436nmにおける反射率が3%以下となる条件として第1層の膜厚は20nm以下である。第1層の膜厚が20nmを越えると、波長436nmにおける反射率は急激に増大する。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像表示装置は、可視光のほぼ全域にわたって低反射効果が実現でき、十分な反射低減効果を有しかつ目障りな反射光の色を抑えるという効果を有する。また、反射光の波長特性がよりブロードであるために、第2層の膜厚や第3層の凹凸密度がわずかに変化しても画像表示装置の部分によって反射光の色が大きく変化することがない。したがって、高精度の膜厚制御を行わなくても実用上十分な反射特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である画像表示装置の要部拡大断面図
【図2】同画像表示装置の露出表面の平面図
【図3】本発明および従来の画像表示装置の各鏡面反射スペクトルの実測例図
【図4】本発明の一実施例である画像表示装置の鏡面反射スペクトル図
【図5】本発明実施例の画像表示装置の反射防止膜における第1層の膜厚と視感反射率との関係図
【図6】同反射防止膜における第1層の膜厚と波長436nmmにおける反射率との関係図
【図7】従来の画像表示装置の鏡面反射スペクトル図
【符号の説明】
1 フェースパネルガラス
2 第1層
3 第2層
4 第3層
5 凸部領域
6 凹部領域
7 第2層の露出表面
【産業上の利用分野】
本発明は、帯電防止および外光反射低減の両機能を備えた受像管またはプラズマディスプレイパネル等の画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
室内照明灯等による外光が、受像管等の画像表示装置のガラス製フェースパネルの外面で鏡面反射をすると、再生画像が非常に見づらくなる。この外光反射を、表示画像の解像度を低下させることなく有効に低減するとともに、帯電防止効果を得るために、フェースパネルの外面上に高屈折率薄膜と低屈折率薄膜とを順次積層し、これらの干渉膜としての効果と、低屈折率薄膜の露出表面に形成された多数の凹凸による乱反射面の効果とを併せ持つ外光反射防止膜が、「SIDJapanDisplay ’92;Anti−Glare,Anti−Reflection and Anti−Static(AGRAS) coating for CRTs」に開示されている。
【0003】
この画像表示装置の外光反射防止膜は、次のような構成を有している。すなわち、フェースパネルガラスの外面上には、第1層としてCVD法によりSnO2を主成分とする高屈折率薄膜が形成されており、その上に第2層としてスピンコート法によりSiO2 を主成分とする低屈折率薄膜が形成されている。第2層上には、第2層と同一材料であるSiO2 を主成分とするクレータ状の凹凸膜からなる第3層がスプレーコート法により形成されており、第2層の表面の一部を覆っている。第3層の凹凸膜は、凸部領域が平面形状の凹部平面領域を取り囲む形になっている。凹凸膜の存在しない領域は第2層の露出表面である。このような反射防止膜に入射した光のうち、第2層の露出表面または第3層凹部平面領域の表面に入射した光の反射光は、フェースパネルガラスと第1層との界面、および第1層と第2層との界面での反射光との干渉作用により低減され、また第3層凸部領域に入射した光の反射光は乱反射することで反射像をぼかす。かかる干渉膜と乱反射膜との構成により防眩効果が得られる。
【0004】
このような従来の画像表示装置では、その膜厚設計の基本的な考え方として、第2層の露出表面での反射光、および第3層凹部領域の表面での反射光の反射率の最低値をできるだけ低くすることが重視されている。例えば、第1層の高屈折率薄膜としてSiO2 +SnO2 を用いた場合は、第1層の屈折率は1.82、第2層および第3層の低屈折率薄膜の各屈折率が1.47であるため、各層の最適膜厚は第1層が76nm、第2層が74nm、第3層の凹凸膜の平均膜厚が20nmであるとされている。また、第1層にSnO2 のみを用いたときは、その屈折率は2.0であるので、第1層の最適膜厚は32nm、第2層は74nm、第3層の凹凸膜の平均膜厚は20nmが最適であるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のような膜厚設計による鏡面反射光のスペクトルは、図3の曲線8に示す反射特性となる。このとき、この反射特性の各波長での反射率と人間の視感度とを掛け合わして示される視感反射率は1.5%で、未処理のガラス表面反射率4.5%に比べて反射は十分に低減するが、青色刺激の最も強い436nmでの波長の反射率は5%以上となり、蛍光灯等の強い外光の反射が青く光って目障りであるという問題が生じていた。
【0006】
これは、図7に示す反射スペクトルのシミュレーションのように、第2層の露出表面7での反射光スペクトル10、および第3層凹部平面領域の表面6での反射光のスペクトル11は、それぞれスペクトルの反射率の最低値をほぼ零%となるようにしてあるため、波長による反射特性はシャープなV字形となっている。画像表示装置の使用者の目に入る鏡面反射光は、外光反射防止膜の第2層の露出表面での反射光10と、第3層凹部領域の表面での反射光11との合成光12となるので、その反射率の最低値は約1.5%にまで高くなり、またスペクトルは依然としてシャープなV字形の反射特性となるため、可視光領域の中では特に青色の反射が強くなってしまうのである。
【0007】
また、合成光12のスペクトルがシャープなV字形の反射特性であるため、第2層の膜厚や第3層の凹凸密度がわずかに変化するだけで反射光の色合いが大きく変化する。したがって、膜厚制御が不十分であると、表示面各部の反射光の色が異なったり、表示装置ごとに反射光の色が異なったりする等の問題が生じていた。そのため、高精度の膜厚制御が必要とされ、製造能率の低下や製造コストの高騰をまねく原因となっていた。
【0008】
本発明は上記従来の問題点を解決するためになされたもので、実用上十分な反射防止効果を得、また目障りな反射光の色を抑えることのできる画像表示装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像表示装置は、ガラス製フェースパネルと、前記ガラス製フェースパネルの外面上に形成された、導電性の高屈折率層からなる第1層と、前記第1層の上に積層された低屈折率からなる第2層と、前記第2層上に形成された、多数の凹凸を露出表面に有する前記第2層と同材質の第3層とからなる反射防止膜とを備え、前記第3層の凹凸は、凸部領域が平面形状の凹部領域を取り囲む形になっており、前記凹部領域および前記凸部領域の存在しない領域は前記第2層の露出表面となっており、前記凹部領域と前記露出表面との面積比がほぼ50:50であり、前記反射防止膜は、鏡面反射光の視感反射率が1.5%以下であるとともにその鏡面反射スペクトルにおいて波長436nmでの反射率が3%以下であり、可視光領域のほぼ全域にわたって低い反射率となる反射特性を有している。
【0010】
【作用】
上記のようにすることで、画像表示装置の使用者が感知する合成光の反射を低減して、実用上十分な反射防止効果を得ることができる。また、同時に、青色刺激の最も強い436nmの波長での反射率を3%以下に低減することで、可視波長の広い範囲にわたってよりブロードな低い反射特性を持つので、目障りな反射光の色を抑えることができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施例の画像表示装置は、ガラス製フェースパネル1の外面上に、第1層2としてSnO2を主成分とする透明導電物質からなる高屈折率薄膜がCVD法等によって膜厚t1 が15nmとなるように均一に形成されている。第1層2上には、第1層2とともに干渉作用により低反射機能を付与するための低屈折率薄膜からなる第2層3が形成されている。第2層3は、例えばアルコール系溶媒中にアルキルシリケート重合体のみを投入したもの等を用い、スピンコート法等によって膜厚t2 が97nmとなるように均一に形成されている。さらに、第2層3の表面の一部には、第3層4として、第2層3と同材質であって、多数の凹凸を露出表面に有するクレータ状の凹凸膜からなる低屈折率薄膜がスプレーコート法等によって形成されている。第3層4の凹部領域6の膜厚t3 は41nmである。コート処理後は400〜450℃で約20分間加熱処理を行う。第3層4のクレータ状の凹凸の密度は、JISZ8741にもとづく鏡面光沢度測定装置を用いて光入射角を60度としたときの反射光沢度が75前後となるように行う。この場合、凹部領域6と第2層の露出表面7との面積比はほぼ50:50となる。
【0013】
図2は、上記画像表示装置の露出表面の拡大平面図を示す。図2に示すように、第3層4が第2層3の表面の一部を覆っている。第3層である凹凸膜は、凸部領域5が平面形状の凹部領域6を取り囲む形になっている。凸部領域5の存在しない領域は第2層3の露出表面7となっている。
【0014】
上記実施例において、各層の形成方法として、第1層をCVD法、第2層をスピンコート法、第3層をスプレーコート法をそれぞれ用いた場合について説明したが、第1層および第2層では膜厚を均一にすること、第3層では必要な凹凸面を形成することができる方法であれば、ディップコート法やスパッタ法等を用いることができる。
【0015】
上記のようにして形成された反射防止膜は、第1層2のSnO2 膜の屈折率が2.0、第2層3および第3層4の各屈折率は1.45となる。
【0016】
上記実施例では、第1層の材料としてSnO2を用いたが、この代わりにIn2O3を用いることもできる。また、これらの屈折率はほぼ2.0であるが、ドープされるアンチモンの量により若干の差異が生じる。この屈折率の変化による反射特性のずれは、膜厚の微調整によりカバーすることができる。
【0017】
上記実施例の画像表示装置の鏡面反射光のスペクトルを実測した結果を図3に曲線9として示す。図3から明らかなように、この画像表示装置の視感反射率は1.2%で十分な反射低減効果を有し、また青色刺激の強い波長436nmでの反射率は約2.4%となり、可視光領域のほぼ全域にわたって低い反射率となるブロードな反射特性となるので、目障りな反射光の色を抑えられることができることがわかる。
【0018】
次に、第1層の膜厚を選定することにより上記の効果が得られる理由について、図4に示す鏡面反射スペクトルのシミュレーションを用いて説明する。
【0019】
本発明においては、第2層3の露出表面7での反射光、および第3層4の凹部領域6での反射光反射率の最低値をできるだけ低くするという従来の考え方を大幅に転換し、それぞれの反射光の波長特性ができるだけブロードになるようにした。第1層の膜厚を15nmとすることにより、第2層3の露出表面7での鏡面反射光のスペクトルの曲線13、および第3層4の凹部領域6での反射光のスペクトルの曲線14は、それぞれの反射率の最低値が0.3%および0.8%と多少高くなっているものの、ブロードな反射特性となり、前記各スペクトルを示す曲線13および曲線14の合成光のスペクトルを示す曲線15では反射率の最低値は、従来例とほぼ同等の約1.6%となるとともに、従来例のシャープなV字形のスペクトルに比べ、ブロードな反射特性となることがわかる。なお、図3に示す実測したスペクトルは、図4および図7のシミュレーションでのスペクトルに比べ反射率が低くなっているが、これは実測では第3層4の凸部領域5に入射した光の反射光は乱反射することで鏡面反射が低減するためである。
【0020】
実験によれば、上記反射防止膜は、実用上外光反射を十分に防止し、反射光の色刺激を抑える条件として、視感反射率が1.5%以下で、かつ青色刺激の強い波長436nmでの反射率が3%以下の反射特性を有することが必要であることが確認された。図5に示す第1層の膜厚と反射率との関係から視感反射率が1.5%以下となる条件として第1層の膜厚は10nm以上、また、図6に示す第1層の膜厚と波長436nmにおける反射率との関係から波長436nmにおける反射率が3%以下となる条件として第1層の膜厚は20nm以下である。第1層の膜厚が20nmを越えると、波長436nmにおける反射率は急激に増大する。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像表示装置は、可視光のほぼ全域にわたって低反射効果が実現でき、十分な反射低減効果を有しかつ目障りな反射光の色を抑えるという効果を有する。また、反射光の波長特性がよりブロードであるために、第2層の膜厚や第3層の凹凸密度がわずかに変化しても画像表示装置の部分によって反射光の色が大きく変化することがない。したがって、高精度の膜厚制御を行わなくても実用上十分な反射特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である画像表示装置の要部拡大断面図
【図2】同画像表示装置の露出表面の平面図
【図3】本発明および従来の画像表示装置の各鏡面反射スペクトルの実測例図
【図4】本発明の一実施例である画像表示装置の鏡面反射スペクトル図
【図5】本発明実施例の画像表示装置の反射防止膜における第1層の膜厚と視感反射率との関係図
【図6】同反射防止膜における第1層の膜厚と波長436nmmにおける反射率との関係図
【図7】従来の画像表示装置の鏡面反射スペクトル図
【符号の説明】
1 フェースパネルガラス
2 第1層
3 第2層
4 第3層
5 凸部領域
6 凹部領域
7 第2層の露出表面
Claims (3)
- ガラス製フェースパネルと、前記ガラス製フェースパネルの外面上に形成された、導電性の高屈折率薄膜からなる第1層と、前記第1層の上に積層された低屈折率薄膜からなる第2層と、前記第2層上に形成された、多数の凹凸を露出表面に有する前記第2層と同材質の第3層とからなる反射防止膜とを備え、
前記第3層の凹凸は、凸部領域が平面形状の凹部領域を取り囲む形になっており、前記凹部領域および前記凸部領域の存在しない領域は前記第2層の露出表面となっており、前記凹部領域と前記露出表面との面積比がほぼ50:50であり、
前記反射防止膜は、鏡面反射光の視感反射率が1.5%以下であるとともにその鏡面反射スペクトルにおいて波長436nmでの反射率が3%以下であり、可視光領域のほぼ全域にわたって低い反射率となる反射特性を有していることを特徴とする画像表示装置。 - 高屈折率薄膜は、膜厚が10〜20nm、屈折率がほぼ2.0であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 高屈折率薄膜は、SnO2またはIn2O3を主成分とする透明導電物質からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像表示装置。
Priority Applications (10)
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