JP2713074B2 - コンバータ制御装置 - Google Patents

コンバータ制御装置

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JP2713074B2
JP2713074B2 JP34843292A JP34843292A JP2713074B2 JP 2713074 B2 JP2713074 B2 JP 2713074B2 JP 34843292 A JP34843292 A JP 34843292A JP 34843292 A JP34843292 A JP 34843292A JP 2713074 B2 JP2713074 B2 JP 2713074B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はコンバータ制御装置に
係り、特に電圧形PWMコンバータ等において商用電源
が瞬時停電した場合の再起動制御技術に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】電圧形PWMコンバータは、電源力率1
で、高周波電流も少なく、また電源回生もできることか
ら、実用化開発が進められている。この実用化開発のな
かで、電源側の瞬時停電時の高速かつ安定な再起動を実
現することが大きな1つの検討テーマである。もとも
と、電圧形PWMコンバータは、電源電圧低下に対して
は比較的強く、20%程度の電源電圧低下ならば、その
まま運転を継続できる。しかし、それ以上の大きな電圧
低下があると、PWMコンバータ出力である直流電圧を
保持できなくなる。このような場合に、適切な処置をと
らなければ、直流電圧は崩壊してしまい、電源側復電後
に速やかに安定な運転に復することはできなくなるばか
りか、復電時に大きな突入電流を生じる危険性も伴う。
このため、瞬時停電に対応した一時停止・再起動の制御
が必要となるのである。
【0003】図5は、例えば平成4年電気学会論文誌
D、112巻1号、P29〜P37に示されている電圧
形PWMコンバータの瞬停再起動制御装置の内容をブロ
ック図化したものである。図において、1は電圧形PW
Mコンバータ、2は電圧形インバータ、3はコンバータ
用変圧器で、この変圧器を介して電圧形PWMコンバー
タ1は商用電源系統(以下、電源と略称する)100に
接続される。4は電圧形インバータ2に接続された交流
負荷であり、例えば、誘導電導機や同期電動機といった
交流電動機である。5は、直流平滑用のコンデンサ、8
は電圧形PWMコンバータ1を電源100側と切りはな
すためのコンバータ用の遮断器、10は直流電圧検出
器、11は電源100よりコンバータ1へ流れこむ電流
を検出する入力電流検出器、12は電源100の電圧を
検出する入力電圧検出器、32は交流電動機4の回転数
を検出する回転速度検出器、33はインバータ2より出
力される電流を検出する出力電流検出器、50は直流遮
断器、51は、コンデンサ5への充電電流を制動する制
動抵抗器で、コンデンサ5を充電する場合には直流遮断
器50が開放されて、制動抵抗器51により充電突入電
流が抑制される。
【0004】次に制御回路構成を説明する。16は電源
100の電圧に同期し、電源電圧位相を出力するPLL
回路で、入力電圧検出器12より電源電圧検出値が入力
されている。17はコンバータ入力電流を電源電圧に同
期した回転座標系に変換する入力電流座標変換器で、入
力電流検出器11より入力電流検出値が、PLL回路1
6より電源電圧位相が入力されて有効電流分と無効電流
分とに変換する。13は電圧形PWMコンバータ1の出
力側の直流回路の直流電圧指令値を出力する直流電圧指
令器、14は直流電圧指令値と直流電圧検出器10から
の直流電圧検出値との差をとる減算器、15は減算器1
4の減算結果を増幅する直流電圧制御器である。直流電
圧制御器15の出力は、減算器18に入力され、入力電
流座標変換器17の出力である有効電流分との差が演算
される。19は、入力電流の無効電流分の指令器で、通
常は0指令となっている。これにより力率1の運転が行
われるのである。この無効電流指令と入力電流座標変換
器17の出力である無効電流分との差が減算器20でと
られる。減算器18と減算器20との減算結果は、入力
電流制御器21に入力されて増幅される。入力電流制御
器21の出力は座標逆変換器22に入力され、電圧形P
WMコンバータ1が出力すべき実際の変調率指令に変換
される。以上説明してきた13〜22の構成要素によっ
てコンバータ1の直流出力電圧が指令値どおりに制御さ
れるのである。
【0005】一方、34は、交流電動機4の回転速度の
指令値を出力する回転速度指令器、35は、この回転速
度指令値と回転速度検出器32の出力である回転速度検
出値との差をとる減算器、36はこの減算結果を増幅す
る速度制御器、37は速度制御器36の出力と出力電流
検出器33の出力である出力電流検出値との差をとる減
算器、38はこの減算結果を増幅する出力電流制御器で
ある。出力電流制御器38の出力は、電圧形インバータ
2の実際の変調率指令となってインバータゲート制御器
39に入力されて、ゲートパルスとなって電圧形インバ
ータ2に送られる。以上、34〜38の構成要素によっ
て電圧形インバータ2の負荷である交流電動機4が制御
されるのである。
【0006】次に52は、入力電圧検出器12の入力電
圧検出値がゼロになったことを判定する入力電圧ゼロ判
定器、53は、直流電圧検出器10の直流電圧検出値が
ゼロとなったことを判定する直流電圧ゼロ判定器、54
はゼロ判定器52、53の判定結果をもとに直流遮断器
50の投入開放を制御する直流遮断器制御器である。5
5は直流電圧検出器10からの直流電圧検出値が、あら
かじめ与えられたしきい値(VL)以下となったかを判
定する直流電圧レベル判定器、56はこの直流電圧レベ
ル判定器55の出力をもとに電圧形PWMコンバータ1
のゲートをブロックするか、あるいはデブロックするか
を判定するゲートブロック・デブロック判定器である。
23は、電圧形PWMコンバータ1のゲート信号を制御
するPWMコンバータゲート制御器で、座標逆変換器2
2の出力である変調率指令に応じて、実際のゲートパル
スを出力する一方、ゲートブロック・デブロック判定器
56の出力に応じてゲートパルスをブロックあるいはデ
ブロックする。以上、52〜56の構成要素によって電
源瞬停再起動制御がなされる。
【0007】次に、この従来の電源瞬停再起動制御の動
作について説明する。直流電圧検出器10からの直流電
圧検出値が、あらかじめ指定されたしきい値(VL)よ
り小さくなると直流電圧レベル判定器55が、直流電圧
低下としてゲートブロック・デブロック判定器56へ出
力する。ゲートブロック・デブロック判定器56は直ち
にPWMコンバータゲート制御器23にゲートブロック
を指令し、PWMコンバータゲート制御器23はゲート
をブロックする。これは、もし、電源100が停電する
と、電源100側から電力が供給されず、一方、インバ
ータ側の負荷4はエネルギーを消費するので、その結果
コンデンサ5に蓄えられていたエネルギーが消費され、
直流電圧が低下するという現象を利用しているのであ
る。即ち、瞬停を直接検出してゲートブロックするので
はなく、直流電圧の低下を検出してゲートブロックする
ことにより、間接的に瞬停を検知して一時停止するわけ
である。
【0008】一方、電源100が復電すると、電圧形P
WMコンバータ1のGTOなどのスイッチング素子と逆
並列に接続されているダイオードを通して、このダイオ
ードの整流作用により、再びコンデンサ5が充電され直
流電圧が増加し、やがてしきい値(VL)よりも大きく
なる。こうなれば、再び、直流電圧レベル判定器55
が、直流電圧復帰を判定して、その結果ゲートブロック
・デブロック判定器56は直ちにゲートデブロックを指
令し、電圧形PWMコンバータ1は再起動することにな
る。
【0009】さらに、直流電圧がほとんどゼロにまで低
下してしまった場合や、電源100の電圧低下が著し
く、やはりほとんどゼロにまで低下してしまった場合
は、復電時に逆並列ダイオードを通して、コンデンサ5
への突入電流が非常に大きな値となる危険性があるの
で、入力電圧ゼロ判定器52,直流電圧ゼロ判定器5
3,直流遮断器制御器54により直流遮断器50が開放
され、制動抵抗器51が突入電流を抑制する。従って、
電源100の通例の瞬停に対しては直流電圧のみでその
検出を行い再起動の制御を行う方式としていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
コンバータ制御装置においては、電源100の瞬停の検
出および再起動の制御をもっぱら直流電圧のみの検出出
力に基づいて行っていたので、以下に列挙するような問
題点があった。
【0011】(a)直流電圧の低下は必ずしも瞬停によ
ってのみ発生するのではない。その他の故障が原因とな
って発生しているかもしれず、もし、その故障が緊急性
を要するものであれば直ちにコンバータ用の遮断器8を
開放し、電源と切り離すべきである。 (b)直流電圧の復帰は必ずしも電源側復電によるとは
限らない。インバータ側からの回生によって直流電圧が
元に戻ることもあり、これらを区別する必要がある。 (c)PWMコンバータが大容量となってくると、直流
遮断器を必要とするような回路構成には無理があり、直
流平滑用のコンデンサの充電のため、全く別の充電器を
もつのが普通となってくるため、それに対応した制御方
法としなければならない。 (d)大容量となってくると、電源に与える影響も大き
いため、復電時の突入電流、再起動時の充電電流の大き
さは、できる限り抑制しなければならない。従来例のよ
うに、一時停止と再起動とを同じ直流電圧レベルで実施
すると、充電・突入電流への不安が残る。 (e)瞬停が発生しても、インバータ側から回生されて
いれば、直流電圧が低下しないので、コンバータはゲー
トブロックしない。この場合、コンバータが大容量であ
るとPWMコンバータ側から電源を逆加圧することにな
り、電源への影響が心配される。さらに、電源側での再
閉路や回線切換といった停電時の連動にも影響を与えか
ねない。
【0012】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、大容量の電圧形PWMコンバー
タであっても安定した瞬停再起動を可能にするととも
に、電源への影響を少なくし、安全で品質の高い瞬停再
起動動作特性を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
るコンバータ制御装置は、商用電源の電圧を検出する電
源電圧検出手段、コンバータの直流出力電圧を検出する
直流電圧検出手段、上記電源電圧検出手段の出力が所定
の第1のしきい値以下となったとき出力する第1の電源
電圧判定手段、上記電源電圧検出手段の出力が所定の第
2のしきい値以上となったとき出力する第2の電源電圧
判定手段、上記直流電圧検出手段の出力が所定の第1の
しきい値以下となったとき出力する第1の直流電圧判定
手段、上記直流電圧検出手段の出力が所定の第2のしき
い値以上となったとき出力する第2の直流電圧判定手
段、上記第1の電源電圧判定手段と上記第1の直流電圧
判定手段との両者の出力があったとき上記商用電源が停
電したと判断して上記コンバータへのゲート信号を停止
するゲートブロック判定手段、およびゲートブロック後
上記第2の電源電圧判定手段と上記第2の直流電圧判定
手段との両者の出力があったとき上記商用電源が復電し
たと判断して上記コンバータへのゲート信号を再開する
ゲートデブロック判定手段を備えたものである。
【0014】この発明の請求項2に係るコンバータ制御
装置は、商用電源の周波数を検出する電源周波数検出手
段、および上記周波数が所定の設定範囲から外れたとき
上記商用電源が停電したと判断してコンバータへのゲー
ト信号を停止する第2のゲートブロック判定手段を付加
したものである。
【0015】この発明の請求項3に係るコンバータ制御
装置は、電源電圧検出手段の出力が定格値より大きい所
定の第3のしきい値以上となったとき出力する第3の電
源電圧判定手段、およびこの第3の電源電圧判定手段の
出力があったとき商用電源が停電したと判断してコンバ
ータへのゲート信号を停止する第3のゲートブロック判
定手段を付加したものである。
【0016】この発明の請求項4に係るコンバータ制御
装置は、ゲートデブロック判定手段によりコンバータへ
のゲート信号再開時、直流電圧指令値を所定の値に制限
する指令値制限手段を付加したものである。
【0017】この発明の請求項5に係るコンバータ制御
装置は、直流電圧検出手段の出力が、第1のしきい値よ
り小さい所定の第3のしきい値以下となったとき出力す
る第3の直流電圧判定手段を備え、この第3の直流電圧
判定手段の出力があったとき遮断器を開放するようにし
たものである。
【0018】この発明の請求項6に係るコンバータ制御
装置は、コンデンサの端子間にチョッパを介して抵抗器
を接続し、コンバータと上記チョッパとを協調制御する
ことにより、交流負荷からの回生エネルギーを分担して
処理するものであって、コンバータとチョッパとに流れ
る電流の比を検出しこの電流比が所定のしきい値以上と
なったとき出力する電流比判定手段、およびこの電流比
判定手段の出力があったとき商用電源が停電したと判断
して上記コンバータへのゲート信号を停止する第4のゲ
ートブロック判定手段を備えたものである。
【0019】
【作用】この発明においては、直流電圧低下と電源電圧
低下との両条件が成立したときコンバータのゲートブロ
ックを行うので、電源の瞬停に正確に応答することにな
る。また、そのゲートデブロックも、直流電圧復帰と電
源電圧復帰との両条件成立で行うので、電源復電の判断
がより正確となり、確実な再起動が達成される。
【0020】また、電源周波数が異常となったり、電源
電圧が異常に上昇した場合は、電源断でコンバータ側か
らの回生出力による現象であることが明かであるので、
コンバータのゲートブロックを行う。
【0021】また、コンバータのゲートデブロック時、
その直流電圧指令値を制限することにより安定した再起
動特性が得られる。
【0022】さらに、直流電圧が極端に低下したとき
は、電源側の遮断器を開放する。これによって、その後
の電源復電時、コンデンサへの過大な突入電流の流入が
阻止される。
【0023】また、回生エネルギーの一部を分担するチ
ョッパ側に多くの電流が片寄った場合は、電源停電と判
断されコンバータのゲートブロックを行う。
【0024】
【実施例】実施例1.図1はこの発明の実施例1による
コンバータ制御装置の構成を示すブロック図である。図
において、従来と同一または相当する場合には同一符号
を付して説明を省略する。
【0025】先ず、この発明の主要部であるゲートブロ
ック判定およびゲートデブロック判定に係る構成につい
て説明する。24は、直流電圧検出器10からの直流電
圧検出値があらかじめ与えられた第1のしきい値
(VL1)以下となったことを判定する第1の直流電圧判
定手段としての第1の直流電圧レベル判定器、25は同
じく直流電圧検出値が、あらかじめ与えられた第2のし
きい値(VL2)以上となったことを判定する第2の直流
電圧判定手段としての第2の直流電圧レベル判定器であ
る。26は、入力電圧検出器12からの入力電圧検出値
をPLL回路16からの電源電圧位相を用いて、電源電
圧に同期した回転座標系での値に変換する入力電圧座標
変換器である。27は、この入力電圧座標変換器26の
出力を用いて入力電圧の大きさを演算する入力電圧値演
算器、28は、入力電圧値演算器27の出力である入力
電圧の大きさがあらかじめ与えられた第1のしきい値
(EL)以下となったことを判定する第1の電源電圧判
定手段としての停電検出器、29は、入力電圧値演算器
27の出力である入力電圧の大きさが、第2のしきい値
(但し、ここでは第2のしきい値=第1のしきい値=E
Lとしている)以上となり、しかも、その状態があらか
じめ与えられた時間設定値以上連続して持続された場合
に復電と判定する第2の電源電圧判定手段としての復電
検出器である。
【0026】30は、第1の直流電圧レベル判定器24
の出力と、停電検出器28の出力とをもとに電圧形PW
Mコンバータ1および電圧形インバータ2のゲートブロ
ックを判定・指令するとともに遮断器8の開放を判定・
指令するゲートブロック判定器、31は、第2の直流電
圧レベル判定器25の出力と、復電検出器29の出力と
をもとに電圧形PWMコンバータ1および電圧形インバ
ータ2のゲートデブロックを判定・指令するゲートデブ
ロック判定器である。58は、ゲートブロック判定器3
0からの遮断器開放指令により、実際に遮断器8を開放
する遮断器制御器である。そして、ゲートブロック判定
器30およびゲートデブロック判定器31からのゲート
ブロック指令、ゲートデブロック指令は、いずれもPW
Mコンバータゲート制御器23およびインバータゲート
制御器39に与えられ、実際にゲート制御が行われる。
【0027】また、6,7,9は、コンデンサ5の初期
充電を行うためのそれぞれ整流器、変圧器および遮断器
で、初期充電時にのみ投入される。
【0028】次に、本発明の動作について説明する。入
力電圧座標変換器26では下式のような、入力電圧の3
相2相変換(いわゆるdq変換)が行われる。
【0029】
【数1】
【0030】ここで、EU,EV,EWは入力電圧検出器
12からの入力電圧検出値3相分、θは、PLL回路1
6からの電源電圧位相である。この演算で得られた
d,Eqが入力電圧座標変換器26の出力となる。入力
電圧値演算器27では下式のような演算を行う。
【0031】
【数2】
【0032】ここで得られたEACは直流量となり、入力
電圧、従って電源電圧の大きさに比例した値を表すもの
となる。このEACの値をもとに停電検出器28ではEAC
≦ELとなれば停電と判定し、ゲートブロック判定器30
へ停電状態として出力する。一方、第1の直流電圧レベ
ル判定器24は直流電圧検出器10からの直流電圧検出
値VdcがVdc≦VL1となれば、直流電圧低下一段とし
て、ゲートブロック判定器30へ出力する。
【0033】ゲートブロック判定器30は、下記の条件
で判定する。 (a)停電、かつ直流電圧低下一段ならばコンバータ・
インバータともゲートブロック。 (b)直流電圧低下一段のみならば、コンバータ・イン
バータゲートブロックとともにコンバータ遮断器開放。 (c)上記以下はゲートブロックしない。 上記判定結果を、PWMコンバータ制御器23、インバ
ータゲート制御器39、コンバータ遮断器制御器58へ
出力する。
【0034】これにより、停電が原因となった直流電圧
低下時のみ、一時ゲートブロックすることになり、ま
た、停電が発生してないのに直流電圧低下1段となった
時は、他の故障が発生していると考えられるので、ゲー
トブロックとともに遮断器8を開放して、安全が保たれ
る。
【0035】一方、復電検出器29は、EAC≧ELの状
態が、ある一定時間以上持続した時に復電と判定し、ゲ
ートデブロック判定器31へ出力する。これは、一線地
絡等により、電源電圧低下の現象が、3相不平衡の形で
発生する場合も考えられ、この時にはEACの値が、電源
周波数の2倍の周波数で振動する。従って、この2倍周
波数の1サイクル分の時間以上連続してEAC≧ELなら
ば3相不平衡の電圧低下も含めて、復電したものと見な
せるのである。また、第2の直流電圧レベル判定器25
はVdc≧VL2となれば、再起動可能直流電圧状態として
ゲートデブロック判定器31へ出力する。
【0036】ここで、両しきい値はVL1>VL2とするの
がよい。停電による直流電圧低下をできる限り小さくす
るには、なるべく早い段階でゲートブロックするのがよ
い。このゲートブロックが遅れて、直流電圧の低下が大
きくなると、復電時の突入電流が大きくなって、電源1
00へも悪影響を与えるし、あるいは再起動不可能とな
る場合もある。従って、VL1は大きくしたい。一方、復
電後の再起動をできる限り高速化するためには、VL2
なるべく小さくしておきたいわけである。装置の許容す
る範囲で、VL1はできる限り大きく、VL2はできる限り
小さくとることにより、安全性と有効性とを両立する品
質の高い再起動が可能となるのである。本発明が、ゲー
トブロック用とゲートデブロック用との2つの直流電圧
レベル検出をもつのは、以上のような理由によるのであ
る。
【0037】さて、ゲートデブロック判定器31は下記
の条件で判定する。 (a)復電、かつ再起動可能直流電圧状態ならば、コン
バータをゲートデブロックし、コンバータ立ち上がり
後、インバータもゲートデブロック。 (b)上記以外はゲートデブロックしない。 上記判定結果をPWMコンバータゲート制御器23、イ
ンバータゲート制御器39へ出力する。これにより、復
電による直流電圧の復帰時のみ、再起動することにな
り、インバータ側からの回生で直流電圧が復帰したよう
な場合は、再起動せず、PWコンバータ1による電源1
00への逆加圧といった現象も防ぐことができる。
【0038】実施例2.一方、インバータ2側からの回
生運転時に電源100で停電が発生しても、直流電圧の
低下は発生せず、さらに、電圧形PWMコンバータ1が
運転を継続することにより、電源100を逆加圧し、見
かけ上、停電が生じていないような状況が生じる場合が
ある。このような状況は、電源100側の停電復旧に重
大な影響を及ぼすと考えられるので、このケースにおい
ても、電圧形PWMコンバータ1は一時停止し、電源1
00の復電を待たなければならない。
【0039】図2は、上記のように直流電圧低下をとも
なわない回生運転時の停電に対応した停電検知機能を追
加したものである。図2において、41はPLL回路1
6から、電源電圧周波数が入力され、この値が通常の商
用周波数域の外に出た場合に停電と判断する。第2のゲ
ートブロック判定手段としての第1の回生時停電判定器
である。ゲートブロック判定器30は、この判定により
直ちにゲートブロックする。
【0040】回生時の停電により電圧形PWMコンバー
タ1が電源100側を逆加圧していると、電圧形PWM
コンバータ1のPLL回路16は、自分自身の発生する
電圧に同期しようとして動作するので、PLL回路16
は次第に発散し、周波数が異常な値となっていくのを利
用したものである。
【0041】実施例3.図2の42は、同じく回生時の
停電検知を行うための第3のゲートブロック判定手段と
しての第2の回生時停電判定器で、停電の主たるモード
である短絡モードと開放モードの内、特に開放モードの
場合に有効となるものである。図2において、第2の回
生時停電判定器42は、入力電圧値演算器27から入力
電圧EACが入力され、この値が定格値より大きいあらか
じめ与えられた第3のしきい値より大きくなると停電と
判定して出力する。この停電判定によりゲートブロック
判定器30は直ちにゲートブロックする。
【0042】開放モードで回生時停電すると、電圧形P
WMコンバータ1は回生電流を流そうとして電圧を増加
させるが、開放モードのため、電圧を増加させても必要
な回生電流を流すことができず、その結果、さらに電圧
を増加させていくという現象を利用したものである。
【0043】実施例4.さらに、図3は再起動時ゲート
デブロックでのコンデンサ5への充電電流が過大値にな
らないように新たな機能を追加したものである。図3に
おいて、40は直流電圧指令器13からの直流電圧指令
値に制限を与える指令値制限手段としての直流電圧指令
制限器である。この直流電圧指令制限器40は以下のよ
うな動作をする。ゲートデブロック判定器31から電圧
形PWコンバータ1へのゲートデブロック指令が出力さ
れたならば、その直流電圧指令値を、直流電圧検出器1
0からの、低い値となっている直流電圧検出値あるいは
あらかじめ与えられたゲートデブロック時直流電圧指令
値に制限し、一定時間後に、直流電圧指令器13からの
直流電圧指令値に復帰させる。
【0044】このように、ゲートデブロック時に、本来
の直流電圧指令値より低い直流電圧指令を与えることに
より、ゲートデブロック時のコンデンサ5への充電電流
を抑制することが可能となる。これにより、逆にゲート
デブロック用の直流電圧しきい値VL2をさらに小さくす
ることも可能となるのである。
【0045】実施例5.同じく図3の57は、さらに瞬
停再起動制御装置の安全性を高めるために追加したもの
で、直流電圧検出器10からの直流電圧検出値が、あら
かじめ与えられた第3のしきい値(VL3)以下となれば
再起動不可直流電圧状態として遮断器制御器58へ遮断
器8の開放指令を出力する第3の直流電圧判定手段とし
ての第3の直流電圧レベル判定器である。このしきい値
L3は、VL1,VL2よりさらに小さな値に設定すること
になる。
【0046】直流電圧がVL3以下となっている時に、電
源100が復電すると、逆並列ダイオードを介したコン
デンサ5への突入電流が、もはや許容値を超えて危険な
レベルになるので、遮断器8を開放することによりこの
危険を取り除くことができるのである。遮断器8を開放
した後、装置の運転を再開する場合、先ず、必要となる
コンデンサ5の初期充電は、既述した通り、遮断器9を
投入し、変圧器7および整流器6を介して行うことにな
る。
【0047】実施例6.図4は、PWMコンバータ1と
インバータ2とをリンクする直流回路に、さらにチョッ
パ装置43,チョッパ用の抵抗器44,チョッパ電流検
出器45,コンバータ直流電流検出器46等を付加した
PWMコンバータシステムに対応した回生時停電検知機
能を備えた瞬停再起動制御装置の例である。
【0048】このようなPWMコンバータシステムは、
例えば平成3年電気学会交通電気鉄道・リニアドライブ
合同研究会資料TER−91−23に述べられている。
この報告によれば、電圧形PWMコンバータ1とチョッ
パ装置43とは、互いに協調して直流電圧を制御するよ
うに、直流電圧協調制御器47およびチョッパ用ゲート
制御器48が動作する。
【0049】特に、回生時の協調動作については、次の
ことがいえる。 (a)過渡的には、PWMコンバータ1とチョッパ43
とが両方とも動作して回生エネルギーを処理するが、定
常的にはPWMコンバータが全て処理する。 (b)停電等によりPWMコンバータ1の電源100へ
回生が不可能となると、自動的にチョッパ43が動作し
て回生エネルギーを全て処理するようになる。このこと
から、回生エネルギーの処理分担比をみれば、停電を検
知することができるので、この発明の実施例6は、この
分担比の変化から電源停電を検出するものである。
【0050】PWMコンバータ1とチョッパ43との処
理分担比は、コンバータ直流電流検出器46からのコン
バータ直流電流検出値とチョッパ電流検出器45からの
チョッパ電流検出値との比較でわかる。49は、この比
(チョッパ電流検出値/コンバータ直流電流検出値)を
計算し、あらかじめ与えられたしきい値以上となると停
電と判定する第4のゲートブロック判定手段としての第
3の回生時停電判定器である。この判定によりゲートブ
ロック判定器30が直ちにゲートブロックする。
【0051】実施例7.なお、上記各実施例において
は、停電検出器28および復電検出器29の入力である
電源100の電圧信号としては、入力電圧検出器12で
検出した3相交流電圧瞬時値を入力電圧座標変換器26
でd−q2相に変換し、さらに入力電圧値演算器27で
その平方根平均値をとった形態のものとしたが、この発
明の各実施例の適用上、上記形態のものに限定されるも
のではなく、例えば、入力電圧検出器12の検出信号か
ら波高値絶対値を求め、これらの3相分平均値をとった
形態のものとしてもよい。
【0052】また、上記各実施例における停電検出器2
8および復電検出器29は、その判定演算のためのしき
い値を等しくELとしたが、例えば、後者のそれを前者
のそれより小さくする等、互いに異なる値を設定するよ
うにしてもよい。
【0053】また、以上では、コンバータ、インバータ
はPWM制御方式のものとして説明したが、この発明の
適用上必ずしもこの方式のものに限られるものではな
い。
【0054】
【発明の効果】この発明は以上のように、電源電圧検出
手段と直流電圧手段とを設け、直流電圧低下と電源電圧
低下との両条件が成立したときコンバータのゲートブロ
ックを行うので、電源の瞬停に正確に応答することにな
る。また、そのゲートデブロックも、直流電圧復帰と電
源電圧復帰との両条件成立で行うので、電源復電の判断
がより正確となり、正確な再起動が達成される。
【0055】また、電源周波数検出手段を設けその出力
が設定範囲外か否かを検出し、また、電源電圧が異常に
上昇しているか否かを検出する判定手段を設けたので、
回生運転時の電源側停電を確実に検出してゲートブロッ
クによる保護動作を行うことができる。
【0056】さらに、コンバータのデブロック時、その
直流電圧指令値を制限する指令値制限手段を設けたの
で、安定した再起動特性が得られる。
【0057】また、直流電圧が極端に低下したときは、
電源側の遮断器を開放するようにしたので、電源復電時
のコンデンサへの過大な突入電流の流入が防止される。
【0058】また、コンバータとチョッパとで回生エネ
ルギーを分担して処理する装置において、その分担比の
判定からコンバータのゲートをブロックする手段を設け
たので、回生運転時の電源停電を確実に検出して適確な
保護動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1によるコンバータ制御装置
の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施例2および実施例3によるコン
バータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施例4および実施例5によるコン
バータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施例6によるコンバータ制御装置
の構成を示すブロック図である。
【図5】従来のコンバータ制御装置の構成を示すブロッ
ク図である。
【符号の説明】
1 電圧形PWMコンバータ 2 電圧形インバータ 4 交流電動機 5 コンデンサ 8 遮断器 10 直流電圧検出器 12 入力電圧検出器 13 直流電圧指令器 23 PWMコンバータゲート制御器 24 第1の直流電圧レベル判定器 25 第2の直流電圧レベル判定器 27 入力電圧値演算器 28 停電検出器 29 復電検出器 30 ゲートブロック判定器 31 ゲートデブロック判定器 40 直流電圧指令制限器 41 第1の回生時停電判定器 42 第2の回生時停電判定器 43 チョッパ装置 44 抵抗器 45 チョッパ電流検出器 46 コンバータ直流電流検出器 49 第3の回生時停電判定器 57 第3の直流電圧レベル判定器 58 遮断器制御器 100 商用電源 Vdc 直流電圧 EAC 電源電圧(入力電圧)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−248968(JP,A) 特開 平2−106169(JP,A) 特開 平4−138062(JP,A) 特開 平2−241319(JP,A) 実開 平5−60189(JP,U) 実開 平4−10590(JP,U)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遮断器を介して商用電源と接続されたコ
    ンバータ、およびこのコンバータの直流出力側に直流平
    滑用のコンデンサを介して接続され、交流出力側に交流
    負荷が接続された電圧形インバータを備え、直流電圧指
    令値に基づき上記コンバータの直流出力電圧を制御する
    コンバータ制御装置において、 上記商用電源の電圧を検出する電源電圧検出手段、上記
    コンバータの直流出力電圧を検出する直流電圧検出手
    段、上記電源電圧検出手段の出力が所定の第1のしきい
    値以下となったとき出力する第1の電源電圧判定手段、
    上記電源電圧検出手段の出力が所定の第2のしきい値以
    上となったとき出力する第2の電源電圧判定手段、上記
    直流電圧検出手段の出力が所定の第1のしきい値以下と
    なったとき出力する第1の直流電圧判定手段、上記直流
    電圧検出手段の出力が所定の第2のしきい値以上となっ
    たとき出力する第2の直流電圧判定手段、上記第1の電
    源電圧判定手段と上記第1の直流電圧判定手段との両者
    の出力があったとき上記商用電源が停電したと判断して
    上記コンバータへのゲート信号を停止するゲートブロッ
    ク判定手段、およびゲートブロック後上記第2の電源電
    圧判定手段と上記第2の直流電圧判定手段との両者の出
    力があったとき上記商用電源が復電したと判断して上記
    コンバータへのゲート信号を再開するゲートデブロック
    判定手段を備えたことを特徴とするコンバータ制御装
    置。
  2. 【請求項2】 商用電源の周波数を検出する電源周波数
    検出手段、および上記周波数が所定の設定範囲から外れ
    たとき上記商用電源が停電したと判断してコンバータへ
    のゲート信号を停止する第2のゲートブロック判定手段
    を備えたことを特徴とする請求項1記載のコンバータ制
    御装置。
  3. 【請求項3】 電源電圧検出手段の出力が定格値より大
    きい所定の第3のしきい値以上となったとき出力する第
    3の電源電圧判定手段、およびこの第3の電源電圧判定
    手段の出力があったとき商用電源が停電したと判断して
    コンバータへのゲート信号を停止する第3のゲートブロ
    ック判定手段を備えたことを特徴とする請求項1または
    2記載のコンバータ制御装置。
  4. 【請求項4】 ゲートデブロック判定手段によりコンバ
    ータへのゲート信号再開時、直流電圧指令値を所定の値
    に制限する指令値制限手段を備えたことを特徴とする請
    求項1ないし3のいずれかに記載のコンバータ制御装
    置。
  5. 【請求項5】 直流電圧検出手段の出力が、第1のしき
    い値より小さい所定の第3のしきい値以下となったとき
    出力する第3の直流電圧判定手段を備え、この第3の直
    流電圧判定手段の出力があったとき遮断器を開放するよ
    うにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
    に記載のコンバータ制御装置。
  6. 【請求項6】 コンデンサの端子間にチョッパを介して
    抵抗器を接続し、コンバータと上記チョッパとを協調制
    御することにより、交流負荷からの回生エネルギーを分
    担して処理するコンバータ制御装置において、 上記コンバータとチョッパとに流れる電流の比を検出し
    この電流比が所定のしきい値以上となったとき出力する
    電流比判定手段、およびこの電流比判定手段の出力があ
    ったとき商用電源が停電したと判断して上記コンバータ
    へのゲート信号を停止する第4のゲートブロック判定手
    段を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれ
    かに記載のコンバータ制御装置。
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