JP3743950B2 - 電力変換器の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力変換器の制御装置に係り、特に、受電側の商用電源が瞬間停電もしくは瞬時電圧低下した場合の運転継続の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の制御装置は、特開平6−205586公報に記載されている。この従来の技術では、直流電圧検出値が予め与えられた第1のしきい値以下になったことで直流電圧の低下を検出し、電源電圧の大きさが予め与えられた第2のしきい値以下になったことで停電を検出する。直流電圧低下と停電の両条件が成立した時にコンバータのゲートをブロックする。また、復電時は、電源電圧≧第2のしきい値の状態がある一定時間以上継続した時に復電と判断する。また、直流電圧検出値が予め与えられた第3のしきい値以上になったことで再起動可能直流電圧状態を検出する。復電と再起動可能直流電圧状態の両条件が成立した時にコンバータのゲートをデブロックする。
この従来例では、コンバータのゲートブロック及びデブロックを判断する第1と第3のしきい値は、第1のしきい値>第3のしきい値とすることが良いと述べられている。また、装置の許容する範囲で第1のしきい値はできる限り大きく、第3のしきい値はできる限り小さくすると述べられている。
また、この従来例では、停電を判断する第2の手段として電源周波数を検出し、所定の周波数より外れた場合に停電と判断し、即座にゲートブロックする例、及び、停電を判断する第3の手段として電源電圧と定格値より大きい予め与えられた第3のしきい値より大きくなると、停電と判断し、即座にゲートブロックする例が述べられている。また、コンバータのゲートをデブロックする際、直流電圧指令値を直流電圧検出値あるいは予め与えられたゲートデブロック時の直流電圧指令値に制限し、一定時間後に、通常の直流電圧指令値に復帰させることにより、コンデンサへの充電電流を抑制する手段が述べられている。
また、別の従来の制御装置として、特開2000−102291公報に記載されている。停電が停電検出回路によって検出され、以下の停電時運転継続制御が始まる。直流電圧検出値と目標直流電圧との偏差から速度補正回路で速度補正信号が演算される。速度補正信号は、速度指令に加算され、電動機を減速させるように周波数制御を行い、直流回路に回生する電気エネルギー量を調整しながら直流回路電圧を目標電圧に保持するように、停電時運転継続制御する。つまり、この従来例では、瞬停発生時にインバータ側(負荷側)からエネルギーを回生し、瞬停発生後のコンバータ側の運転継続を図ることを目的としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平6−205586公報に記載の技術の場合、瞬停検出かつ直流電圧<第1のしきい値の条件でコンバータ及びインバータのゲートをブロックする。これは、一旦電力変換器の機能を停止し、エネルギーのやり取りを行わないことで直流電圧をできる限り低下させないようにし、復電時の電圧、電流の変動が極小となることを期待するためである。しかし、ゲートブロックされている間は、モータ側はフリーラン状態になり、モータに負荷がかかっている場合(そもそも電力変換器の目的は負荷を運転することであり、負荷運転状態が通常状態である。)は、モータの回転速度は大幅に低下する、という問題がある。
また、特開2000−102291公報に記載の技術の場合、より積極的にモータからエネルギーを回生し、直流電圧を一定になるように制御するものである。従って、モータの回転速度はより速く低下することになる、という問題がある。更に、この公報には、瞬停期間中のコンバータの処理が明記されておらず、モータ側からの回生エネルギーは、コンバータを介し電源に回生される可能性があり、直流電圧を制御することはできない。
次に、特開平6−205586公報に記載の技術の場合、瞬停検出かつ直流電圧<第1のしきい値の条件でコンバータ及びインバータのゲートをブロックする。さらに、復電検出(電源電圧≧第2のしきい値が一定状態継続)かつ直流電圧>第3のしきい値の条件でコンバータのゲートをデブロックする。第1と第3のしきい値は、第1のしきい値>第3のしきい値とすること、また、装置の許容する範囲で第1のしきい値はできるだけ大きく、第3のしきい値はできるだけ小さくすると述べられているが、具体的な数値や計算方法の記述はない。また、コンバータゲートデブロックとインバータゲートデブロックのタイミング関係の詳細な記述がない。
また、瞬停状態から復電した時の問題点は、コンバータへの突入電流と、この突入電流により直流電圧が跳ね上がることである。この従来例では、復電状態が成立した時のインバータのゲートデブロックするタイミングや、瞬停状態時や、復電条件が成立した時の直流電圧制御器、コンバータ側の電流制御器の処理が明確でないが、インバータ側の負荷、電源の復電の仕方などに再起動の状態が左右されるため、直流電圧の変動が極めて小さい時以外には安定した復電動作が期待できない。
【0004】
本発明の課題は、上記の問題点に鑑み、瞬停時及び復電時の電源電流、直流電圧の変動を極小化し、瞬停状態でもコンバータ若しくはインバータの運転を継続し、負荷運転状態を保持し続ける好適な電力変換器の制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、コンバータの直流電圧指令値と直流出力電圧検出値との偏差からコンバータの有効電流指令値を出力する直流電圧制御手段と、前記有効電流指令値を電源電圧の有効分に逆比例する値に変化させた指令値を出力する有効電流補償手段と、電源電圧の有効分に基づいて電源電圧変動分を補償する有効電圧分を出力する電源電圧変動補償手段と、前記変化させた有効電流指令値とコンバータに入力する電源電流の有効電流分との偏差からコンバータの有効分電圧指令を作成すると共に、前記有効分電圧指令に前記電源電圧変動分を補償する有効電圧分を加算する電源電流有効分制御手段を備え、瞬停時及び復電時に、電源電圧変動補償手段が出力する電源電圧変動分を補償する有効電圧分は、下記式(a)に基づいて演算し、有効電流補償手段が出力する有効電流指令値は、下記式(b)に基づいて演算し、コンバータの制御は、電源電流有効分制御手段の出力するコンバータの有効分電圧指令に基づいて行う。
記
(a) Vqc=Eq−ωLId
ここで、Vqc:電源電圧変動補償手段出力の有効分、Eq:電源電圧の有効分、Id:電源電流の無効分、L:インダクタンス成分、ω:電源角周波数
(b) Iqsc=Iqs×Eq0/Eq
ここで、Iqsc:有効電流補償手段の出力の有効電流指令、Iqs:直流電圧制御手段の出力の有効電流指令、Eq0:瞬停が発生していない状態での電源電圧有効分(=100%)、Eq:電源電圧の有効分
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による電力変換器の制御装置の構成を示す。図1において、1は電圧形PWMコンバータ、2は電圧形PWMインバータ、3はコンバータ用変圧器であり、この変圧器3を介して電圧形PWMコンバータ1は商用電源系統(以下、電源と略称)9に接続される。4は電圧形PWMインバータ2に接続された交流負荷であり、例えば誘導電導機や同期電動機といった交流電動機である。5は直流平滑用のコンデンサ、10は直流電圧検出器、11は電源9よりコンバータ1へ流れこむ電流を検出する電源電流検出器、12は電源9の電圧を検出する入力電圧検出器である。
【0007】
次に、コンバータ制御回路の構成を説明する。16は電源9の電圧に同期し、電源電圧位相θを出力する周波数制御回路であり、入力は後述する電源電圧座標変換器14の出力である無効電圧分Edである。14は電源電圧を電源電圧位相θに同期した回転座標系に変換する電源電圧座標変換器であり、電源電圧検出器12より電源電圧検出値が周波数制御回路16より電源電圧位相θが入力されて電源電圧を有効電圧分Eqと無効電圧分Edとに変換する。17はコンバータ入力電流を電源電圧に同期した回転座標系に変換する電源電流座標変換器であり、電源電流検出器11より電源電流検出値、周波数制御回路16より電源電圧位相θが入力されて電源電流を有効電流分Iqと無効電流分Idとに変換する。13は電圧形PWMコンバータ1の直流電圧指令値を出力する直流電圧指令器、15はコンバータの直流電圧指令値と直流電圧検出値との偏差からコンバータの有効電流指令値を出力し、直流電圧を制御する直流電圧制御器である。
50は電源電圧の変動を補償する電源電圧変動補償回路であり、入力は電源電流座標変換器17の出力の電源電流有効電流分Iqと無効分Id及び電源電圧座標変換器14の出力の電源電圧有効電圧分Eqである。また、70は電源電圧変動により生じる電源電流有効分Iqの不足を補償する有効電流補償回路であり、入力は直流電圧制御器15の出力である有効電流指令と電源電圧座標変換器14の出力の電源電圧有効電圧分Eqである。
電源電圧変動補償回路50の出力と有効電流補償回路70の出力と電源電流座標変換器17の出力である電源電流有効分Iqは、電源電流有効分制御器21に入力される。電源電流有効分制御器21は、有効電流補償回路70の出力である直流電圧制御器15を補償した有効電流指令値と電源電流座標変換器17の出力である電源電流有効分Iqとの偏差からコンバータの有効分電圧指令を作成し、この有効分電圧指令に電源電圧変動補償回路50が出力する電源電圧変動分を補償する電圧を加算し、コンバータの有効分電圧指令を出力する。また、電源電流座標変換器17の出力である無効電流分Idと電源電流無効電流分指令器19の出力の無効電流指令は電源電流無効分制御器22に入力され、電源電流無効分制御器22からコンバータの無効分電圧指令が出力される。
電源電流有効分電流制御器21の出力と電源電流無効分電流制御器22の出力と電源電圧位相θは座標逆変換器23に入力され、電圧形PWMコンバータ1が出力すべき実際の変調率指令に変換され、コンバータゲート制御器24に入力されてゲートパルスとなって電圧形PWMコンバータ1に送られる。
以上説明した符号13〜24の構成要素によってコンバータ1の直流出力電圧及び電源電流が制御される。
60は瞬停発生時に直流電圧制御器15と周波数制御回路16と電源電流有効分電流制御器21と電源電流無効分電流制御器22とコンバータゲート制御器24の制御の継続を判断するコンバータ運転継続判定回路であり、入力は電源電圧座標変換器14の出力の電源電圧有効電圧分Eqである。
【0008】
次に、インバータ制御装置の構成を説明する。32は交流電動機4の回転速度を検出する回転速度検出器、33は電動機電流検出器、34は交流電動機4の回転速度の指令値を出力する回転速度指令器、36は電動機電流検出値と回転速度指令値と回転速度検出値とから電動機4の速度を制御する速度制御器、38は速度制御器36の出力と電動機電流検出器33の出力である電動機電流検出値から電動機電流を制御する電動機電流制御器である。電動機電流制御器38の出力は、電圧形PWMインバータ2の実際の変調率指令となってインバータゲート制御器39に入力されてゲートパルスとなって電圧形PWMインバータ2に送られる。以上、符号32〜39の構成要素によって電圧形PWMインバータ2の負荷である交流電動機4が制御される。
【0009】
瞬停発生時の本実施形態における電力変換器の動作について説明する。電源電圧位相に同期した回転座標系のコンバータの回路方程式は、下式で与えられる。
【数1】
Vd=Ed+(R+pL)Id+ωLIq (1)
Vq=Eq−ωLId+(R+pL)Id (2)
ここで、Vd,q:コンバータ入力電圧の無効分及び有効分(図1の電源電流無効分制御器22のコンバータの無効分電圧指令及び電源電流有効分制御器21のコンバータの有効分電圧指令に相当)
Ed,q:電源電圧の無効分及び有効分
Id,q:電源電流の無効分及び有効分
R,L:トランスの抵抗及びインダクタンス成分
ω:電源角周波数
〔数1〕のうち電源電圧の無効分Ed及び有効分Eqは、電源電流座標変換器14において下式により、3相分の電源電圧検出値を電源電圧位相に同期した回転座標系(いわゆるdq座標)に変換することで求められる。
【数2】
ここで、eu,ev,ew:3相分の電源電圧検出値
θ:電源電圧位相
この演算で得られたEd,Eqがそれぞれ電源電圧の無効分及び有効分であり、電源電流座標変換器14の出力となる。
ここで、瞬停が発生した場合の電源電圧有効分Eqの挙動について考えてみる。図2は、瞬停が発生した場合の電源電圧有効分Eqの挙動を示した図である。瞬停が発生する前の電源電圧の波高値を100%とし、瞬停が発生し波高値がα%になったとする。電源電圧有効分Eqは瞬停発生前には電源電圧の波高値と同じ大きさの直流量であり、瞬停発生後は、電源電圧の波高値に比例し、その大きさが変化する。電源電圧有効分Eqは、電源電圧変動補償回路50と有効電流補償回路70とコンバータ運転継続判定回路60の入力となり、それぞれ次のように働く。
電源電圧変動補償回路50は、〔数1〕の定常項に相当する下式を演算する。
【数3】
Vdc=Ed+ωLIq (1)
Vqc=Eq−ωLId (2)
ここで、Vdc,qc:電源電圧変動補償回路出力の無効分及び有効分
上式において、〔数3〕(1)式右辺第1項のEdは通常ゼロに制御されているため、式に反映しない場合もある。〔数3〕(2)式右辺第1項のEqは、コンバータの交流側端子電圧の内、電源電圧の大きさに相当する部分である。電源電圧変動補償回路50の出力の有効分Vqcは、電源電流有効分制御器21が作成するコンバータの有効分電圧指令に加算され、このコンバータの有効分電圧指令を電源電圧の大きさに応じて補償する。
瞬停が発生した場合や復電した場合、電源電圧の変化に対してコンバータの交流側端子電圧はできるだけ早く反応する必要がある。電源電圧変動補償回路50は、電源電圧の検出値をフィードフォワードの形で用いることにより、制御の遅れを極小化することができる。
有効電流補償回路70は、電源電圧の大きさが瞬停により減少した分、有効電流Iqを増加させ、電源から入出力されるエネルギーを一定に補償する回路である。
ここでは、まず直流電圧制御回路15のみでの問題点を考えてみる。直流電圧制御回路15では、直流電圧検出値が直流電圧指令に一致するようにフィードバック制御(主に比例積分制御)により有効電流指令を演算する。しかし、フィードバック制御であるため、応答に制限があり、瞬停時電源電圧が急激に低下し、電源からの入力エネルギーが減少すると、制御遅れにより直流電圧が低下する。有効電流補償回路70では、下式により電源電圧低下分による入出力エネルギーの変化分を有効電流Iqに転化して高速に補償する。
【数4】
Iqsc=Iqs×Eq0/Eq
ここで、Iqsc:有効電流補償回路70の出力の有効電流指令
Iqs:直流電圧制御回路15の出力の有効電流指令
Eq0:瞬停が発生していない状態での電源電圧有効分
(=100%)
〔数4〕により、電源電圧低下に反比例し、有効電流Iqを増加させ、電源電圧状態に拘らず電源からやり取りするエネルギーを一定にできる。この補償は、フィードフォワード制御の形で電源電圧低下分を有効電流Iqに反映するため、制御遅れを極小化でき、直流電圧変動を最小に制御できる。
【0010】
コンバータ運転継続判定回路60は、電源電圧有効分Eqの大きさから瞬停の状態を判断し、直流電圧制御器15と周波数制御回路16と電源電流有効分電流制御器21と電源電流無効分電流制御器22とコンバータゲート制御器24の制御の状態(動作停止)を決める回路である。コンバータ運転継続判定回路60は、電源電流座標変換器14からの電源電圧有効分Eqが予め与えられたしきい値Eq1以下になったことを判定し、運転継続/停止信号を発生する手段を持つ。しきい値Eq1は、本実施形態の場合、定格電源電圧の10%程度の値とする。この値はコンバータを構成するスイッチング素子の特性によるコンバータ端子電圧の最小値の制限や、コンバータ自身のロスを考慮した値であり、理想的な変換器の場合はゼロに設定できる。
【0011】
この判定値を用い、直流電圧制御器15では直流電圧制御演算を図3に示すように行う。図3は直流電圧制御器内部の構成を示す。直流電圧制御器15は、直流電圧指令値と直流電圧検出値の差ΔVdcを演算する減算器160、切り換え回路161、比例係数Kpの比例回路162、積分係数Kiの積分回路163、加算器164で構成する。
コンバータ運転継続判定回路60から与えられる運転継続/停止信号によって電源9の正常時は切り換え回路161のスイッチをオンし、比例回路162、積分回路163に入力が与えられ、制御演算が行なわれる。一方、電源9の異常時はスイッチをオフして入力を零にすることにより、比例演算出力をゼロに、積分演算出力を前回値保持にし、制御演算動作を停止させる。
周波数制御回路16、電源電流有効分電流制御器21、電源電流無効分電流制御器22も同様な回路構成で制御演算動作を制御する。
コンバータゲート制御器24は、コンバータ運転継続判定回路60から与えられる運転継続/停止信号によって即座にゲート信号をデブロック/ブロックする。一方、インバータ側に関しては、この間も運転を継続し、制御の停止やゲートブロック等は行わない。これは、連続圧延設備のように瞬停時にも負荷側の運転状態を変えず、運転を継続することが必要であり、逆に負荷状態が維持できない場合には再起動を必要としない用途に適している。
【0012】
図4は、本発明の他の実施形態による電力変換器の制御装置の構成を示す。図1の実施形態との相違点のみ述べる。相違点は、瞬停発生時に速度制御器36と電動機電流制御器38とインバータゲート制御器39の制御の継続を判断するインバータ運転継続判定機80が追加された点である。インバータ運転継続判定回路80は、電源電流座標変換器14からの電源電圧有効分Eqが予め与えられたしきい値Eq2以下になったことを判定し、運転継続/停止信号を発生する手段を持つ。しきい値Eq2は、コンバータ1の最大容量Pcmax、インバータ2の最大負荷Pimaxから下式のように決める。
【数5】
Eq2=Eq0×Pimax/Pcmax
ただし、インバータ2の最大負荷Pimaxにはインバータ2やコンバータ1でのロス分も考慮される必要がある。このしきい値Eq2は、コンバータ1が直流電圧を一定に維持しつつ、インバータ2の負荷運転を継続できる最小値である。電源電圧がこの値以下になると、直流電圧は一定値に維持できず、低下し始める。従って、電源電圧がこのしきい値Eq2より小さくなった場合にはインバータ側の負荷運転を停止し、直流電圧が低下しないようにし、復電時にスムーズに運転が再開できるようにする。
本実施形態は、ファンやブロワなどのように、瞬停により一旦負荷状態が維持できなくなった後も、一定時間以内に再起動すればよい用途に適する。
【0013】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電源電圧の有効分に基づいて電源電圧変動分を補償する有効電圧分を演算し、この有効電圧分を用いてコンバータの有効分電圧指令を発生することにより、コンバータ端子電圧を高速に制御し、瞬停時及び復電時の急激な電流変動を抑制することができる。また、電源電圧低下に反比例し、有効電流を増加させ、電源電圧状態に拘らず電源からやり取りするエネルギーを一定にすることにより、瞬停時及び復電時の直流電圧変動を抑制することができる。
また、電源電圧の有効分の大きさから運転継続/停止を判断し、この運転継続/停止の判断によって、即座に変換器のゲート信号をデブロック/ブロックすることができ、加えて瞬停状態でも変換器の運転を継続し、負荷運転状態を保持し続けることができ、また、復電時にスムーズに制御を再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による電力変換器の制御装置の構成図
【図2】本発明の瞬停が発生した場合の電源電圧有効分の挙動を示した図
【図3】本発明の直流電圧制御器の内部構成図
【図4】本発明の他の実施形態による電力変換器の制御装置の構成図
【符号の説明】
1…電圧形PWMコンバータ、2…電圧形PWMインバータ、3…コンバータ用変圧器、4…交流負荷、5…直流平滑用のコンデンサ、8…遮断器、9…電源系統、10…直流電圧検出器、11…電源電流検出器、12…電源電圧検出器、13…直流電圧指令器、14…電源電圧座標変換器、15…直流電圧制御器、16…周波数制御回路、17…電源電流座標変換器、21…電源電流有効分制御器、22…電源電流無効分制御器、23…座標逆変換器、24…コンバータゲート制御器、32…回転速度検出器、33…電動機電流検出器、34…回転速度指令器、36…速度制御器、38…電動機電流制御器、39…インバータゲート制御器、50…電源電圧変動補償回路、60…コンバータ運転継続判定回路、70…有効電流補償回路、80…インバータ運転継続判定回路、160…減算器、161…切り換え回路、162…比例回路、163…積分回路、164…加算器
Claims (1)
- 商用電源に接続され、交流電源を直流電源に変換するコンバータと、コンバータの出力である前記直流電源に平滑用コンデンサを介して接続され、前記直流電源を交流電源に変換するインバータから構成される電力変換装置において、
前記コンバータの直流電圧指令値と直流出力電圧検出値との偏差からコンバータの有効電流指令値を出力する直流電圧制御手段と、前記有効電流指令値を電源電圧の有効分に逆比例する値に変化させた指令値を出力する有効電流補償手段と、前記電源電圧の有効分に基づいて電源電圧変動分を補償する有効電圧分を出力する電源電圧変動補償手段と、前記変化させた有効電流指令値と前記コンバータに入力する電源電流の有効電流分との偏差からコンバータの有効分電圧指令を作成すると共に、前記有効分電圧指令に前記電源電圧変動分を補償する有効電圧分を加算する電源電流有効分制御手段を備え、
瞬停時及び復電時に、前記電源電圧変動補償手段が出力する電源電圧変動分を補償する有効電圧分は、下記式(a)に基づいて演算し、前記有効電流補償手段が出力する有効電流指令値は、下記式(b)に基づいて演算し、
前記コンバータの制御は、前記電源電流有効分制御手段の出力するコンバータの有効分電圧指令に基づいて行うことを特徴とする電力変換器の制御装置。
記
(a) Vqc=Eq−ωLId
ここで、Vqc:電源電圧変動補償手段出力の有効分、Eq:電源電圧の有効分、
Id:電源電流の無効分、L:インダクタンス成分、ω:電源角周波数
(b) Iqsc=Iqs×Eq0/Eq
ここで、Iqsc:有効電流補償手段の出力の有効電流指令、Iqs:直流電圧制御手段の出力の有効電流指令、Eq0:瞬停が発生していない状態での電源電圧有効分(=100%)、Eq:電源電圧の有効分
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