JP2713052B2 - ポリイミド樹脂溶液組成物及びコーティング剤 - Google Patents
ポリイミド樹脂溶液組成物及びコーティング剤Info
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Description
によって接着性、耐熱性、電気的特性、機械的特性など
に優れたポリイミド樹脂膜を得ることができるポリイミ
ド樹脂溶液組成物及びコーティング剤に関する。
ミド樹脂は、耐熱性に優れるほか、α線発生源であるウ
ラン、トリウム、更にはナトリウムなどの金属不純物の
含有量が少ないため、電子部品などのコーティング剤と
して広く用いられている。
有機溶剤以外の溶剤には不溶であるため、コーティング
剤として用いる場合は、その前駆体であるポリアミック
酸を有機溶剤に溶解し、これを基材に塗布した後、高温
かつ長時間加熱処理することにより、溶剤を除去すると
共に、脱水環化を起こさせてポリイミド樹脂膜を形成す
る方法が採用されている。このような高温・長時間の加
熱処理は作業工程上省エネルギーの見地から不利であ
り、一方、加熱が不十分であると、得られた樹脂の構造
中にポリアミック酸が残ってしまい、樹脂の耐湿性、耐
食性などの低下を引き起こす原因となる。特に電子部品
の絶縁保護膜に用いる場合、これらの性能の低下は、電
子部品の劣化、短寿命化を招くこととなり、大きな問題
となる。
ポリイミドの形態で溶剤に溶解でき、基材に塗布した
後、溶剤を除去するだけでポリイミド樹脂膜を形成する
ことができるポリイミド樹脂溶液組成物が望まれてい
る。
ポリイミド樹脂についてはいくつかの提案があり、例え
ば米国特許第4395527号には、次式のシロキサン
単位を含有するポリイミドにより、溶解性と接着性が改
良されることが開示されている。
ノールなどを用い、この溶剤中でテトラカルボン酸二無
水物と芳香族ジアミンとを加熱反応させることによっ
て、フェノール系溶剤に可溶なポリイミド樹脂を製造す
る方法が、特公昭47−26878号公報、特開昭55
−65227号公報、特開昭58−187430号公
報、特開昭60−197731号公報などに開示されて
いる。
ポリイミド樹脂をコーティング剤などとして使用する場
合、溶剤揮発時に起こるクレゾール臭などの強い臭気の
問題や、溶剤が皮膚に付着した場合などには薬傷を引き
起こす問題がある。
として用いる場合、一般に接着性が不十分であるため、
この点の解決が要求され、しかも電子部品保護用として
用いる場合、低弾性であることも要求される。
で、低温・短時間の加熱処理によって半導体保護用など
に要求される接着性、低弾性のポリイミド樹脂膜を与え
ることができるポリイミド樹脂溶液組成物及びコーティ
ング剤を提供することを目的とする。
記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、テトラカ
ルボン酸二無水物成分として、下記構造式(2)で表さ
れるシロキサン結合を有するテトラカルボン酸二無水物
5〜100モル%及び下記構造式(3)で表されるテト
ラカルボン酸二無水物95〜0モル%、ジアミン成分と
して下記構造式(4)で表されるジアミンを用い、これ
らを溶剤中で重合させることによって得られるポリアミ
ック酸を脱水閉環することによって下記繰り返し単位A
又は下記繰り返し単位AとBからなるシロキサン変性さ
れたポリイミド樹脂が得られること、このポリイミド樹
脂は、エーテル類、エステル類、セロソルブ類などに良
好な溶解性を示し、このポリイミド樹脂をこれらの溶剤
に溶解することによって得られたポリイミド樹脂溶液組
成物を基材に塗布した後、低温・短時間の硬化により、
高接着性、低弾性、その他諸物性に優れたポリイミド樹
脂膜が得られることを見い出し、本発明をなすに至った
ものである。
一又は異種の炭素数1〜18のアルキル基、シクロアル
キル基、アリール基及びハロゲン置換アルキル基から選
ばれる1価の基、Xは 及び下記構造のジアミノシロキサン残基から選ばれる2
価の基、
単位Aと単位Bの割合B/Aは0≦B/A≦19であ
る。)
は上記繰り返し単位AとBからなるポリイミド樹脂を溶
剤に溶解してなることを特徴とするポリイミド樹脂溶液
組成物及びこれらのポリイミド樹脂溶液組成物からなる
コーティング剤を提供する。
と、本発明のポリイミド樹脂溶液組成物は、上述したよ
うに下記繰り返し単位A又は繰り返し単位AとBからな
るポリイミド樹脂を溶剤に溶解したものである。
4は互に同一又は異種の非置換又は置換の炭素数1〜1
8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びハ
ロゲン置換アルキル基から選ばれる1価の基であり、具
体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基な
どのアルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル基
などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフ
チル基などのアリール基;あるいはこれらの基の炭素原
子に結合している水素原子の一部又は全部をハロゲン原
子で置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基
などが挙げられる。
基であり、これらについては後に詳述する。上記単位A
と単位Bとの割合B/Aは、0≦B/A≦19、好まし
くは1≦B/A≦19を満足する数であり、pは0〜1
00以上の整数、好ましくは0〜40の整数である。
可溶であり、このような有機溶剤としては例えばジメチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンな
どのエーテル類;アセトン、ジメチルケトン、アセトフ
ェノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの
エステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテルな
どのセロソルブ類などが挙げられる。また、これらの有
機溶剤に溶解する場合、ポリイミド樹脂の濃度は一般に
1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲であ
る。
二無水物成分として、下記構造式(2)で表されるテト
ラカルボン酸二無水物5〜100モル%及び下記構造式
(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物95〜0モ
ル%、ジアミン成分として下記構造式(4)で表される
ジアミンを用い、これらを溶剤中で重合させて下記繰り
返し単位A’又は繰り返し単位A’とB’とからなるポ
リアミック酸を得た後、このポリアミック酸を溶剤中で
脱水閉環することにより得ることができる。
それぞれ上記と同様の意味を示す。また、単位A’と
B’の割合B’/A’は0≦B’/A’≦19、単位A
とBの割合B/Aは0≦B/A≦19である。)
ン結合を有するテトラカルボン酸二無水物は、本発明に
かかるポリイミド樹脂をシロキサン変性するための成分
であり、具体的には下記式で表されるものが挙げられ
る。
成分である上記式(3)で表されるテトラカルボン酸二
無水物中のYは4価の有機基であり、上記ポリイミド樹
脂中のYはこの式(3)で表されるテトラカルボン酸二
無水物に由来するものである。このYとしては、下記の
ものが使用される。
物としては、2,2’−ビス(3,4−ベンゼンジカル
ボン酸アンヒドリド)パーフルオロプロパン、1,3−
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,
3−テトラメチルジシロキサンジアンヒドリド、ビスフ
ェノール−A−二無水物が用いられ、これらの1種を単
独で又は2種以上を併用して使用することができる。
トラカルボン酸二無水物を5〜100モル%、好ましく
は5〜50モル%、式(3)で表されるテトラカルボン
酸二無水物を95〜0モル%、好ましくは95〜50モ
ル%の範囲で併用する。
のXは2価の有機基であり、上記ポリイミド樹脂中のX
はこの式(4)で表されるジアミンに由来するものであ
り、具体的にXを例示すると次のようなものが挙げられ
る。
例えばジアミノジフェニルエーテル、メタフェニレンジ
アミン、パラフェニレンジアミン、2,6−ナフタレン
ジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、4,4’−ジ
アミノジフェニルエーテル−3−カルボンアミド、3,
4’−ジアミノジフェニルエーテル−4−カルボンアミ
ド、2,4−トルエンジアミンなどが挙げられ、これら
のジアミンの1種を単独で又は2種以上を併用して使用
することができる。
させる目的で、ジアミン成分として下記一般式(6)で
表されるジアミノシロキサンを上述したジアミンと併用
して使用することが好ましい。
キサンを例示すると次のようなものが挙げられる。
ミン成分とを重合反応させる方法は、従来から公知の方
法で行うことができる。例えばテトラカルボン酸二無水
物成分とジアミン成分とをN−メチル−2−ピロリド
ン、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシドなどの極性溶媒中に仕込み、低温、具体的には2
0〜60℃の範囲で反応させ、ポリイミド樹脂の前駆体
であるポリアミック酸を合成する。
80〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度範
囲に溶液を昇温することによりポリアミック酸の酸アミ
ド部分に脱水閉環反応が進行し、目的とするポリイミド
樹脂を合成することができる。
完全に進行させるためには、トルエン、キシレンなどの
共沸脱水剤を併用することが好ましい。脱水閉環反応に
よるイミド化が終了した後は、この反応溶液を冷却し、
メタノール中に再沈させ、沈殿物を乾燥して本発明にか
かるポリイミド樹脂を単離することができる。
上述した低沸点有機溶剤に溶解して本発明のポリイミド
樹脂溶液組成物を得ることができる。
常の方法により基材に塗布した後、低温・短時間の熱処
理、具体的には0.5〜3時間で100〜300℃の加
熱処理によって、接着性、耐熱性、電気特性、機械的特
性などに優れるポリイミド樹脂膜を簡単に得ることがで
きる。
るポリイミド樹脂中にゲル化などを引き起こすような官
能基を持たないため、長時間室温で安定に保存すること
が可能であり、また、ポリアミック酸樹脂溶液と異な
り、被処理物に塗布してポリイミド樹脂膜を形成する場
合、高温長時間の加熱処理による脱水操作を全く必要と
しないものである。
物は、半導体素子表面へのパッシべーション膜保護膜、
ダイオード、サイリスタ、トランジスタなどにおける接
合部のジャンクション保護膜、VLSIのα線シールド
膜、層間絶縁膜、イオン注入マスク、プリントサーキッ
トボードのコンフォーマルコート、液晶表示素子の配向
膜、ガラスファイバーの保護膜、太陽電池の表面保護膜
などの用途にコーティング剤として広い範囲に亘り利用
することができる。
的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるもので
はない。
装置を具備したフラスコ内に、テトラカルボン酸二無水
物成分として下記式(3−a)で表されるビスフェノー
ル−A−二無水物10.93g(0.021モル)と下
記式(2−a)で表されるテトラカルボン酸二無水物1
0.78g(0.009モル)、更にN−メチル−2−
ピロリドン70gを仕込み、これにジアミン成分として
下記式(4−a)で表される2,4−トルエンジアミン
3.66g(0.03モル)を含有するN−メチル−2
−ピロリドン溶液33.58gを反応系の温度が50℃
を超えないように調整しつつ滴下した。滴下終了後、更
に室温で12時間攪拌した。
却器を取り付けた後、キシレン20gを加え、反応系を
160℃に昇温し、4時間160℃の温度を保持して反
応させ、黄褐色透明のポリイミド樹脂溶液を得た。な
お、この反応において、0.89gの水が副生した。次
いでこのポリイミド樹脂溶液をメタノール中に投入して
再沈させ、樹脂を得た。この樹脂を60℃で15時間減
圧乾燥して下記式(1−a)で示される繰り返し単位x
と繰り返し単位yからなるポリイミド樹脂21.23g
を単離した。
ルを観測したところ、ポリアミック酸に基づく吸収は観
測されず、1780cm-1と1720cm-1とにイミド
基に基づく吸収が確認された。
a)で表されるビスフェノール−A−二無水物10.9
3g(0.021モル)と下記式(2−b)で表される
テトラカルボン酸二無水物17.44g(0.009モ
ル)、ジアミン成分として上記式(4−a)で表される
2,4−トルエンジアミン3.66g(0.03モル)
を用いて、実施例1と同様の操作により下記式(1−
b)で示される繰り返し単位xと繰り返し単位yからな
るポリイミド樹脂27.23gを得た。
a)で表されるビスフェノール−A−二無水物14.0
5g(0.027モル)と上記式(2−a)で表される
テトラカルボン酸二無水物3.59g(0.003モ
ル)、ジアミン成分として上記式(4−a)で表される
2,4−トルエンジアミン3.66g(0.03モル)
を用いて、実施例1と同様の操作により下記式(1−
c)で示される繰り返し単位xと繰り返し単位yからな
るポリイミド樹脂18.11gを得た。
a)で表されるビスフェノール−A−二無水物14.0
5g(0.027モル)と上記式(2−b)で表される
テトラカルボン酸二無水物5.81g(0.003モ
ル)、ジアミン成分として上記式(4−a)で表される
2,4−トルエンジアミン3.66g(0.03モル)
を用いて、実施例1と同様の操作により下記式(1−
d)で示される繰り返し単位xと繰り返し単位yからな
るポリイミド樹脂19.99gを得た。
ド樹脂をテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジ
エチレングリコールジメチルエーテル、γ−ラクトンな
どのエーテル類、エステル類、セロソルブ類の溶剤に5
〜30%濃度で溶解させたところ、いずれの樹脂もこれ
らの溶剤に可溶であった。
a)で表されるビスフェノール−A−二無水物15.6
2g(0.03モル)、ジアミン成分として上記式(4
−a)で表される2,4−トルエンジアミン3.66g
(0.03モル)を用いて、実施例1と同様の操作によ
り下記式で示される繰り返し単位からなるポリイミド樹
脂16.39gを得た。
a)で表されるビスフェノール−A−二無水物15.6
2g(0.03モル)、ジアミン成分として上記式(4
−a)で表される2,4−トルエンジアミン2.56g
(0.021モル)と下記式(6−a)で表されるジア
ミノシロキサン7.56g(0.009モル)とを用い
て、実施例1と同様の操作により下記式で示される繰り
返し単位xと繰り返し単位yからなるポリイミド樹脂2
1.88gを得た。
a)で表されるビスフェノール−A−二無水物15.6
2g(0.03モル)、ジアミン成分として上記式(4
−a)で表される2,4−トルエンジアミン2.56g
(0.021モル)と下記式(6−b)で表されるジア
ミノシロキサン14.22g(0.009モル)とを用
いて、実施例1と同様の操作により下記式で示される繰
り返し単位xと繰り返し単位yからなるポリイミド樹脂
27.54gを得た。
a)で表されるビスフェノール−A−二無水物10.9
3g(0.021モル)と下記式(7)で表されるテト
ラカルボン酸二無水物9.16g(0.009モル)、
ジアミン成分として上記式(4−a)で表される2,4
−トルエンジアミン3.66g(0.03モル)を用い
て、実施例1と同様の操作により下記式で示される繰り
返し単位xと繰り返し単位yからなるポリイミド樹脂2
0.19gを得た。
a)で表されるビスフェノール−A−二無水物10.9
3g(0.021モル)と下記式(8)で表されるテト
ラカルボン酸二無水物15.82g(0.009モ
ル)、ジアミン成分として上記式(4−a)で表される
2,4−トルエンジアミン3.66g(0.03モル)
を用いて、実施例1と同様の操作により下記式で示され
る繰り返し単位xと繰り返し単位yからなるポリイミド
樹脂25.85gを得た。
リイミド樹脂を不揮発分が20%になるようにN−メチ
ル−2−ピロリドンに溶解してポリイミド樹脂溶液組成
物を調製した。
コンウエハー上に塗布し、硬化条件150℃,1時間及
び250℃,1時間加熱した後、碁盤目剥離テストを行
い、接着性を調べた。また、ポリイミド溶液組成物を硬
化条件150℃,1時間及び250℃,1時間でフィル
ムに形成し、このフィルムについてヤング率、ガラス転
移点(Tg)及び膨張係数(α1)を測定した。結果を
表1に示す。
溶液組成物は、シロキサン変性により高い接着性を示す
と共に、他のシロキサン変性されたポリイミド樹脂と比
較して、同じシロキサン含有量において更に低弾性を示
すことが認められる。
低温・短時間の加熱処理によって高接着性で低弾性のポ
リイミド樹脂膜を形成できるものであり、電子部品のコ
ーティング剤として有効に用いられるものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記繰り返し単位A又は繰り返し単位A
とBからなるポリイミド樹脂を溶剤に溶解してなること
を特徴とするポリイミド樹脂溶液組成物。 【化1】 【化25】(但し、式中R1、R2、R3、R4は互に
同一又は異種の炭素数1〜18のアルキル基、シクロア
ルキル基、アリール基及びハロゲン置換アルキル基から
選ばれる1価の基、Xは 及び下記構造のジアミノシロキサン残基から選ばれる2
価の基、 【化27】 から選ばれる4価の基、pは0〜100の整数である。
単位Aと単位Bの割合B/Aは0≦B/A≦19であ
る。) - 【請求項2】 請求項1記載のポリイミド樹脂溶液組成
物からなるコーティング剤。
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