JP2712829B2 - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、光強度変調ダイレクト・オーバーライト
可能な光磁気記録媒体に関するものである。
〔従来の技術〕
第6図は、例えばJournal of Applied Physics vol.6
7 No.9 part II A,(1.May.90,pp.4415〜4416に示され
た従来の光磁気記録媒体の構成図および記録・再生時の
光ビームである。(1)は半導体レーザ等より出射され
レンズにより集光された光ビーム、(2)はHbの磁界を
発生させる外部磁界発生装置、(3)はガラスまたはプ
ラスチックの透明基板、(4)〜(7)は互いに交換結
合した4層の磁性層であり、(4)が第1磁性層、
(5)が第2磁性層、(6)が第3磁性層、(7)が第
4磁性層である。
次に、ダイレクト・オーバーライトのメカニズムにつ
いて説明する。第7図(a)は、ある温度での遷移金属
副格子磁化の方向を示し、第7図(b)に記録時(P
HIGH,PLOW)と再生時(PREAD)の3値変調される光ビ
ームの光強度を示している。PREADは非常に小さなパワ
ーのため磁化状態(記録状態)は変化しないが、PLOW,P
HIGHでは記録膜の温度が上昇し、その最高到達温度はT
LOW、THIGHとなり、以後冷却時の磁化状態の変化により
“0"または“1"の記録が行われ、それぞれ“低パワー・
プロセス”と“高パワー・プロセス”と呼び、この2つ
について説明する。なお、図7(a)において、Tc1
第1磁性層のキュリー温度、Tc2は第2磁性層のキュリ
ー温度、Tc3は第3磁性層のキュリー温度、TAは室温で
あり、Tc2>Tc1>Tc3であり、THIGHはTc2近傍、TLOWはT
c1近傍である。第7図(a)からわかるように、低パワ
ープロセスにおいては媒体温度がTLOWまで上昇し、第2
磁性層(5)と第4磁性層(7)はその遷移金属副格子
磁化の方向に変化なく上向であり、その後の冷却時に第
1磁性層(4)は第2磁性層(5)からの交換力により
遷移金属副格子磁化の方向は揃い上向きとなり“0"が記
録される。また、第7図(a)からわかるように、“高
パワー・プロセス”においては媒体温度がTHIGHまで、
つまり第2磁性層(5)のキュリー温度Tc2近傍まで上
昇し、この時第4磁性層(7)のみが遷移金属副格子磁
化の方向は上向きとなっている。このことから、第7図
には示していないが、第4磁性層のキュリー温度をTc4
とすると、Tc4>Tc2である。その後の冷却時に外部磁界
発生装置(2)による磁界Hbにより第2磁性層(5)の
遷移金属副格子磁化の方向が下向きとなり、次に第1磁
性層(4)が“低パワー・プロセス”同様に第2磁性層
(5)からの交換力により下向きになる。そして、室温
近傍において第2磁性層(5)が第3磁性層(6)から
の交換力により上向きとなる初期化過程が起こるが、第
1磁性層(4)はこの時点では交換力による反転はなく
下向きを保ち“1"が記録される。以上のことから、第1
磁性層から第4磁性層が順次積層され、それぞれの層が
互いに交換結合されるとともに、各磁性層のキュリー温
度がTc2>Tc1,Tc3、Tc4>Tc2であることにより、光強度
変調方式によりダイレクト・オーバーライトが可能とな
ることが示される。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上のような光磁気記録媒体では、第1磁性層は第2
磁性層の交換力の関係などから、TbFeCoを代表とする磁
性層を用いている。
ところで、光磁気記録装置では、高記録密度の達成の
ため記録・再生に用いる光ヘッド(半導体レーザ)の波
長を短くする検討がなされている。しかしながら、従来
の光磁気記録媒体においては現在の波長800nm付近では
再生出力に十分な磁気光学効果(カ−回転角)を有して
いるが、例えば、400nmという現在の波長の半分の波長
に短波長化が達成された場合、カー回転角は現波長で得
られている値の半分以下に減少し、十分な再生出力が得
られないという課題がある。
本発明は上記のような問題点を解消するために成され
たもので、400nmという現在の波長の半分の波長におい
ても十分な再生出力を得ることのできる光強度変調ダイ
レクト・オーバーライト可能な光磁気記録媒体を得るこ
とを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
請求項1.3に記載の光磁気記録媒体は、基板上に垂直
磁気異方性を有する第0磁性層から第4磁性層までの5
層が順次積層され、それぞれの隣接する層は互いに交換
結合され、 Tc2>Tc1,Tc3 Tc4>Tc2 ただし、Tc1:第1磁性層のキュリー温度 Tc2:第2磁性層のキュリー温度 Tc3:第3磁性層のキュリー温度 Tc4:第4磁性層のキュリー温度 を満たす光強度変調方式によりダイレクト・オーバーラ
イト可能な光磁気記録媒体であって、上記第0磁性層が
Nd(ネオジウム)を含む希土類−遷移金属合金膜である
ものや、上記第0磁性層がPtまたはPdとCoを交互に積層
した磁性層のものである。
請求項2に記載の光磁気記録媒体は、請求項1の光磁
気記録媒体であって、Nd(ネオジウム)を含む希土類−
遷移金属合金膜がNdTbFeCo、NdDyFeCo、NdGdFeCoであ
り、NdのFeCoに対する添加量が20at%(原子%)以下で
あることを特徴とするものである。請求項4に記載の光
磁気記録媒体は、請求項3の光磁気記録媒体であって、
第0磁性層のキュリー温度が第1磁性層のキュリー温度
よりも低いことを特徴とするものである。
〔作用〕
この発明における光磁気記録媒体は、第1磁性層に隣
接して第1磁性層と交換結合しているNd含む希土類−遷
移金属合金膜からなる層又はPtもしくはPdとCoを交互に
積層された磁性層(第0磁性層)を設けたため、光強度
変調方式によりダイレクト・オーバーライト可能であ
り、かつ短波長においても十分な再生出力を得ることが
できる。
〔発明の実施例〕
以下、この発明の一実施例を図について説明する。第
1図に本発明の光磁気記録媒体の構成を示す。(3)は
ガラスまたはプラスチックの透明基板、(4)〜(7)
は互いに交換結合した4層の磁性層であり、(4)が第
1磁性層、(5)が第2磁性層、(6)が第3磁性層、
(7)が第4磁性層であり、(8)が第0磁性層であ
る。この発明の一実施例は透明基板(3)上に第0磁性
層(8)、第1磁性層(4)、第2磁性層(5)と順次
スパッタ法により成膜されている。
実施例1 基 板:1.2mm溝付きガラス基板 誘電体層 :SiNx 第0磁性層:NdTbFeCo4元系非晶質合金 Nd10Tb10Fe40Co40 膜厚:100Å 第1磁性層:TbFeCo3元系非晶質合金 Tb22Fe69Co9 膜厚:600Å 第2磁性層:GdDyFeCo4元系非晶質合金 Gd8Dy17Fe60Co15 膜厚:1000Å 第3磁性層:TbFeCo3元系非晶質合金 Tb18Fe78Co4 膜厚:200Å 第4磁性層:TbCo2元系非晶質合金 Tb30Co70 膜厚:400Å 保 護 層:SiNx 実施例1の光磁気記録媒体を用い、光変調ダイレクト
・オーバーライトの動作確認を行ったところ、ビット長
2μmの信号上にビット長0.76μmの信号を線速11m/se
c印加磁界300 Oe,光ビーム強度13mWと5mWでダイレクト
・オーバーライトし、波長532nmの再生光で再生したと
ころCN比47dBが得られた。
比較例として実施例1の光磁気記録媒体で第0層を省
いた媒体で同様な測定を行った場合は、CN比40dBであっ
た。
第2図に実施例1と比較例の媒体のカー回転角の波長
依存性を示す。波長800nm付近では同程度であるが、400
〜500nmでは、実施例1のほうが比較例に比べ約2倍の
カー回転角を示す。
第3図には第0磁性層のFeCoに対するNdの添加量を種
々変化させた時のカーループを示す。NdがFeCoとの比で
20at%をこえるとループがななめになるため、安定した
記録ビットの保持ができなくなり、雑音が上昇し良好な
CN比を得ることができなくなる。したがって、FeCoに対
するNdの添加量は20at%を越えないことが望ましい。
なお、本実施例では第0磁性層にNdTbFeCo層を用いた
が、NdDyFeCo層、NdGdFeCo層でも同様の結果が得られ
た。
実施例2 基 板:1.2mm溝付きガラス基板 誘電体層 :SiNx 第0磁性層:Pt/Co積層磁性膜 Pt(20Å)/Co(5Å) 膜厚:150Å 第1磁性層:TbFeCo3元系非晶質合金 Tb22Fe69Co9 膜厚:600Å 第2磁性層:GdDyFeCo4元系非晶質合金 Gd8Dy17Fe60Co15 膜厚:1000Å 第3磁性層:TbFeCo3元系非晶質合金 Tb16Fe78Co4 膜厚:200Å 第4磁性層:TbCo2元系非晶質合金 Tb30Co70 膜厚:400Å 保 護 層:SiNx 実施例2の光磁気記録媒体を用い、光変調ダイレクト
・オーバーライトの動作確認を行ったところ、ビット長
2μmの信号上にビット長0.76μmの信号を線速11m/se
c印加磁界300 Oe,光ビーム強度13mWと5mWでダイレクト
・オーバーライトし、波長532nmの再生光で再生したと
ころCN比46dBが得られた。
第4図に第2図と同様に実施例2と比較例の媒体のカ
ー回転角の波長依存性を示す。波長800nm付近ではわず
かに大きなカー回転角を示すが、400〜500nmでは、実施
例2のほうが比較例に比べ約2倍のカー回転角を示す。
第5図には第0磁性層のPt/Co積層膜の膜厚を変えな
いで、積層周期を種々変化させてキュリー温度を変えた
時のCN比の変化を示す。第1磁性層のキュリー温度は20
0℃であり、この結果より第0磁性層のキュリー温度が
第1磁性層のキュリー温度より低い場合に良好な特性を
示す。この原因は第0磁性層のキュリー温度が第1磁性
層のキュリー温度より高い場合、第1磁性層に記録され
るビットが第0磁性層の磁化の影響を受けて乱されるた
め、雑音が上昇からである。このため第0磁性層のキュ
リー温度が第1磁性層のキュリー温度より低いほうが望
ましい。なお、本実施例では光の照射方向にPtとCoを積
層したPt/Co積層膜を第0磁性層に用いたが、Pd/Co積層
膜でも同様な結果が得られている。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明によれば、基板上に垂直磁気
異方性を有する第0磁性層から第4磁性層までの5層が
順次積層され、それぞれの隣接する層は互いに交換結合
され、 Tc2>Tc1,Tc3 Tc4>Tc2 ただし、Tc1:第1磁性層のキュリー温度 Tc2:第2磁性層のキュリー温度 Tc3:第3磁性層のキュリー温度 Tc4:第4磁性層のキュリー温度 を満たす光強度変調方式によりダイレクト・オーバーラ
イト可能な光磁気記録媒体であって、上記第0磁性層が
Nd(ネオジウム)を含む希土類−遷移金属合金膜や、上
記第0磁性層がPtまたはPdとCoを交互に積層した磁性層
であることにより、光強度変調方式によりダイレクト・
オーバーライト可能であり、かつ短波長においても十分
な再生出力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例による光磁気記録媒体の構
成図、第2図は実施例1と比較例の媒体のカー回転角の
波長依存性、第3図は第0磁性層のFeCoに対するNdの添
加量を種々変化させた時のカーループ。第4図は実施例
2と比較例の媒体のカー回転角の波長依存性。第5図は
第0磁性層のPt/Co積層膜の膜厚を変えないで、積層周
期を種々変化させてキュリー温度を変えた時のCN比の変
化、第6図は従来の光磁気記録媒体の構成および記録・
再生時の光ビームを示す状態図、第7図は第6図による
記録媒体の磁化状態を示す図である。(3)はガラスま
たはプラスチックからなる透明基板、(4)は第1磁性
層、(5)は第2磁性層、(6)は第3磁性層、(7)
は第4磁性層、(8)は第0磁性層、(9)は誘電体
層、(10)は保護層である。なお、図中、同一符号は同
一または相当部分を示す。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に垂直磁気異方性を有する第0磁性
    層から第4磁性層までの5層が順次積層され、それぞれ
    の隣接する層は互いに交換結合され、 Tc2>Tc1,Tc3 Tc4>Tc2 ただし、Tc1:第1磁性層のキュリー温度 Tc2:第2磁性層のキュリー温度 Tc3:第3磁性層のキュリー温度 Tc4:第4磁性層のキュリー温度 を満たす光強度変調方式によりダイレクト・オーバーラ
    イト可能な光磁気記録媒体であって、上記第0磁性層が
    Nd(ネオジウム)を含む希土類−遷移金属合金膜からな
    ることを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】Nd(ネオジウム)を含む希土類−遷移金属
    合金膜がNdTbFeCo、NdDyFeCo、NdGdFeCoであり、NdのFe
    Coに対する添加量が20at%(原子%)以下であることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】基板上に垂直磁気異方性を有する第0磁性
    層から第4磁性層までの5層が積層され、それぞれの隣
    接する層は互いに交換結合され、 Tc2>Tc1,Tc3 Tc4>Tc2 ただし、Tc1:第1磁性層のキュリー温度 Tc2:第2磁性層のキュリー温度 Tc3:第3磁性層のキュリー温度 Tc4:第4磁性層のキュリー温度 を満たす光強度変調方式によりダイレクト・オーバーラ
    イト可能な光磁気記録媒体であって、上記第0磁性層が
    PtまたはPdとCoを交互に積層した磁性層であることを特
    徴とする光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】第0磁性層のキュリー温度が第1磁性層の
    キュリー温度よりも低いことを特徴とする特許請求の範
    囲第3項の光磁気記録媒体。
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