JP2712301B2 - オーバーライト可能な光磁気記録媒体 - Google Patents

オーバーライト可能な光磁気記録媒体

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JP2712301B2
JP2712301B2 JP14027588A JP14027588A JP2712301B2 JP 2712301 B2 JP2712301 B2 JP 2712301B2 JP 14027588 A JP14027588 A JP 14027588A JP 14027588 A JP14027588 A JP 14027588A JP 2712301 B2 JP2712301 B2 JP 2712301B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、記録磁界Hbの向きを変調せずに、光の強度
変調だけでオーバーライト(over write)が可能な光磁
気記録媒体に関する。
〔従来の技術〕
最近、高密度、大容量、高いアクセス速度、並びに高
い記録及び再生速度を含めた種々の要求を満足する光学
的記録再生方法、それに使用される記録装置、再生装置
及び記録媒体を開発しようとする努力が成されている。
広範囲な光学的記録再生方法の中で、光磁気記録再生
方法は、情報を使用した後、消去することができ、新た
な情報を記録することができるというユニークな利点の
ために、最も大きな魅力に満ちている。
この光磁気記録再生方法で使用される記録媒体は、記
録層として1層又は多層の垂直磁化膜(perpendicular
magnetic layer or layers)を有する。この磁化膜は、
例えばアモルファスのGdFeやGdCo、GdFeCo、TbFe、TbC
o、TbFeCoなどからなる。記録層は一般に同心円状又は
らせん状のトラックを成しており、このトラックの上に
情報が記録される。ここで、本明細書では、膜面に対し
「上向き(upward)」又は「下向き「downward)」の何
れか一方を、「A向き」、他方を「逆A向き」と定義す
る。記録すべき情報は、予め2値化されており、この情
報が「A向き」の磁化を有するビット(B1)と、「逆A
向き」の磁化を有するビット(B0)の2つの信号で記録
される。これらのビットB1,B0は、デジタル信号の1,0の
何れか一方と他方にそれぞれ相当する。しかし、一般に
は記録されるトラックの磁化は、記録前に強力な外部磁
場を印加することによって「逆A向き」に揃えられる。
この処理は初期化(initialize)と呼ばれる。その上で
トラックに「A向き」の磁化を有するビット(B1)を形
成する。情報は、このビット(B1)の有無及び/又はビ
ット長によって記録される。
ビット形成の原理: ビットの形成に於いては、レーザーの特徴即ち空間的
時間的に素晴らしい凝集性(coherence)が有利に使用
され、レーザー光の波長によって決定される回折限界と
ほとんど同じ位に小さいスポットにビームが絞り込まれ
る。絞り込まれた光はトラック表面に照射され、記録層
に直径が1μm以下のビットを形成することにより情報
が記録される。光学的記録においては、理論的に約108
ビット/cm2までの記録密度を達成することができる。何
故ならば、レーザビームはその波長とほとんど同じ位に
小さい直径を有するスポットにまで凝縮(concentrat
e)するとが出来るからである。
第2図に示すように、光磁気記録においては、レーザ
ービーム(L)を記録層(1)の上に絞りこみ、それを
加熱する。その間、初期化された向きとは反対の向きの
記録磁界(Hb)を加熱された部分に外部から印加する。
そうすると局部的に加熱された部分の保磁力Hc(coersi
vity)は減少し記録磁界(Hb)より小さくなる。その結
果、その部分の磁化は、記録磁界(Hb)の向きに並ぶ。
こうして逆に磁化されたビットが形成される。
フェロ磁性材料とフェリ磁性材料では、磁化及びHcの
温度依存性が異なる。フェロ磁性材料はキュリー点付近
で減少するHcを有し、この現象に基づいて記録が実行さ
れる。従って、Tc書込み(キュリー点書込み)と引用さ
れる。
他方、フェリ磁性材料はキュリー点より低い補償温度
(compensation temperature)を有しており、そこでは
磁化(M)はゼロになる。逆にこの温度付近でHcが非常
に大きくなり、その温度から外れるとHcが急激に低下す
る。この低下したHcは、比較的弱い記録磁界(Hb)によ
って打ち負かされる。つまり、記録が可能になる。この
記録プロセスはTcomp.書込み(補償点書込み)と呼ば
れる。
もっとも、キュリー点又はその近辺、及び補償温度の
近辺にこだわる必要はない。要するに、室温より高い所
定の温度に於いて、低下したHcを有する磁性材料に対
し、その低下したHcを打ち負かせる記録磁界(Hb)を印
加すれば、記録は可能である。
再生の原理: 第3図は、光磁気効果に基づく情報再生の原理を示
す。光は、光路に垂直な平面上で全ての方向に通常は発
散している電磁場ベクトルを有する電磁波である。光が
直線偏光(LP)に変換され、そして記録層(1)に照射
されたとき、光はその表面で反射されるか又は記録層
(1)を透過する。このとき、偏光面は磁化(M)の向
きに従って回転する。この回転する現象は、磁気カー
(Kerr)効果又は磁気ファラデー(Faraday)効果と呼
ばれる。
例えば、もし反射光の偏光面が「A向き」磁化に対し
てθk度回転するとすると、「逆A向き」磁化に対して
は−θk度回転する。従って、光アナライザー(偏光
子)の軸を−θk度傾けた面に垂直にセットしておく
と、「逆A向き」に磁化されたビット(B0)から反射さ
れた光はアナライザーを透過することができない。それ
に対して「A向き」に磁気されたビット(B1)から反射
された光は、(sin2θk)を乗じた分がアナライザー
を透過し、ディテクター(光電変換手段)に捕獲され
る。その結果、「A向き」に磁化されたビット(B1)は
「逆A向き」に磁化されたビット(B0)よりも明るく見
え、ディテクターに於いて強い電気信号を発生させる。
このディテクターからの電気信号は、記録された情報に
従って変調されるので、情報が再生されるのである。
ところで、記録ずみの媒体を再使用するには、(i)
媒体を再び初期化装置で初期化するか、又は(ii)記録
装置に記録ヘッドと同様な消去ヘッドを併設するか、又
は(iii)予め、前段処理として記録装置又は消去装置
を用いて記録ずみ情報を消去する必要がある。
従って、光磁気記録方式では、これまで、記録ずみ情
報の有無にかかわらず新たに情報をその場で記録できる
オーバーライト(over write)は、不可能とされてい
た。
もっとも、もし記録磁界Hbの向きを必要に応じて「A
向き」と「逆A向き」との間で自由に変調することがで
きれば、オーバーライトが可能になる。しかしながら、
記録磁界Hbの向きを高速度で変調することは不可能であ
る。例えば、記録磁界Hbが永久磁石である場合、磁石の
向きを機械的に反転させる必要がある。しかし、磁石の
向きを高速で反転させることは、無理である。記録磁界
Hbが電磁石である場合にも、大容量の電流の向きをその
ように高速で変調することは不可能である。
しかしながら、技術の進歩は著しく、記録磁界HbをO
N、OFFせずに又は記録磁界Hbの向きを変調せずに、照射
する光の強度だけを記録すべき2値化情報に従い変調す
ることにより、オーバーライトが可能な光磁気記録方法
と、それに使用されるオーバーライト可能な光磁気記録
媒体と、同じくそれに使用されるオーバーライト可能な
記録装置が発明され、特許出願された(特開昭62−1759
48号)。以下、この出願を「先々願」と引用する。
〔先々願発明の説明〕
先々願発明の特徴1つは、記録層(第1層)と記録補
助層(第2層)との少なくとも2層構造の多層垂直磁化
膜からなる光磁気記録媒体を使用することである。そし
て、情報を「A向き」磁化を有するビットと「逆A向
き」磁化を有するビットで第1層(場合により第2層に
も)に記録するのである。
先々願発明のオーバーライト方法は、 (a) 記録媒体を移動させること; (b) 初期補助磁界Hini.を印加することによって、
記録する前までに、第1層の磁化はそのままにしてお
き、第2層の磁化のみを、「A向き」に揃えておくこ
と; (c) レーザービームを媒体に照射すること; (d) 前記ビーム強度を記録すべき2値化情報に従い
パルス状に変調すること; (e) 前記ビームを照射した時、照射部分に記録磁界
を印加すること; (f) 前記パルス状ビームの強度が高レベルの時に
「A向き」磁化を有するビット又は「逆A向き」磁化を
有するビットの何れか一方を形成させ、ビーム強度が低
レベルの時に、他方のビットを形成させること; からなる。
先々願発明では、記録するときには、例えば (a) 光磁気記録媒体を移動させる手段; (b) 初期補助磁界Hini.印加手段; (c) レーザービーム光源; (d) 記録すべき2値化情報に従い、ビーム強度を、 (1) 「A向き」磁化を有するビットと「逆
A向き」磁化を有するビットの何れか一方のビットを形
成させるのに適当な温度を媒体に与える高レベルと、 (2) 他方のビットを形成させるのに適当な
温度を媒体に与える低レベル とにパルス状に変調する変調手段; (e) 前記初期補償磁界印加手段と兼用されることが
あり得る記録磁界印加手段; からなるオーバーライト可能な光磁気記録装置を使用す
る。
先々願発明では、レーザービームは、記録すべき情報
に従いパルス状に変調される。しかし、このこと自身
は、従来の光磁気記録でも行われており、記録すべき2
値化情報に従いビーム強度をパルス状に変調する手段は
既知の手段である。例えば、THE BELL SYSTEM TECHN
ICAL JOURNAL,Vol.62(1983),1923−1936に詳しく説
明されている。従って、ビーム強度の必要な高レベルと
低レベルが与えられれば、従来の変調手段を一部修正す
るだけで容易に入手できる。当業者にとって、そのよう
な修正は、ビーム強度の高レベルと低レベルが与えられ
れば、容易であろう。
先々願発明に於いて特徴的なことの1つは、ビーム強
度の高レベルと低レベルである。即ち、ビーム強度が高
レベルの時に、記録磁界Hbにより記録補助層(第2層)
の「A向き」磁化を「逆A向き」に反転(reverse)さ
せ、この第2層の「逆A向き」磁化によって記録層(第
1層」に「逆A向き」磁化〔又は「A向き」磁化〕を有
するビットを形成する。ビーム強度が低レベルの時は、
第2層の「A向き」磁化によって第1層に「A向き」磁
化〔又は「逆A向き」磁化〕を有するビットを形成す
る。
なお、本明細書では、 ○○○〔又は△△△〕という表現は、先に〔 〕の外
の○○○を読んだときには、以下の○○○〔又は△△
△〕のときにも、〔 〕の外の○○○を読むことにす
る。それに対して先に○○○を読まずに〔 〕内の△△
△の方を選択して読んだときには、以下の○○○〔又は
△△△〕のときにも○○○を読まずに〔 〕内の△△△
を読むものとする。
すでに知られているように、記録をしない時にも、例
えば媒体における所定の記録場所をアクセスするために
レーザービームを非常な低レベルで点灯することがあ
る。また、レーザービームを再生に兼用するときには、
非常な低レベルの強度でレーザービームを点灯させる
ことがある。本発明においても、レーザービームの強度
をこの非常な低レベルにすることもある。しかし、ビ
ットを形成するときの低レベルは、この非常な低レベル
よりも高い。従って、例えば、先々願発明におけるレ
ーザービームの出力波形は、次の通りになる。
なお、先々願明細書には開示されていないが、本発明
では、記録用のビームは、1本ではなく近接した2本の
ビームを用いて、先行ビームを原則として変調しない低
レベルのレーザービーム(消去用)とし、後行ビームを
情報に従い変調する高レベルのレーザービーム(書込
用)としてもよい。この場合、後行ビームは、高レベル
と基底レベル(低レベルと同一又はそれより低いレベル
であり、出力がゼロでもよい)との間でパルス変調され
る。この場合の出力波形は次の通りである。
先々願発明で使用される媒体は、第1実施態様と第2
実施態様とに大別される。いずれの実施態様において
も、記録媒体は、記録層(第1層)と記録補助層(第2
層)を含む多層構造を有する。
第1層は、室温で保磁力が高く磁化反転温度が低い記
録層である。第2層は第1層に比べ相対的に室温で保磁
力が低く磁化反転温度が高い記録補助層である。なお、
第1層と第2層ともに、それ自体多層膜から構成されて
いてもよい。場合により第1層と第2層との間に第3の
層が存在していてもよい。更に第1層と第2層との間に
明確な境界がなく、一方から徐々に他方に変わってもよ
い。
第1実施態様では、記録層(第1層)の保磁力を
HC1、記録補助層(第2層)のそれをHC2、第1層のキュ
リー点をTC1、第2層のそれをTC2、室温をTR、低レベル
のレーザービームを照射した時の記録媒体の温度をTL
高レベルのレーザービームを照射した時のそれをTH、第
1層が受ける結合磁界をHD1、第2層が受ける結合磁界
をHD2とした場合、記録媒体は、下記の式1を満足し、
そして室温で式2〜5を満足するものである。
上記式中、符号「」は、等しいか又はほぼ等しいこ
とを表す。また上記式中、 については、上段が後述するA(antiparallel)タイプ
の媒体の場合であり、下段は後述するP(parallel)タ
イプの媒体の場合である。なお、フェロ磁性体媒体はP
タイプに属する。
つまり、保磁力と温度との関係をグラフで表すと、次
の如くなる。細線は第1層のそれを、太線は第2層のそ
れを表す。
従って、この記録媒体に室温で初期補助磁界(Hin
i.)を印加すると、式5によれば、記録層(第1層)の
磁化の向きは反転せずに記録補助層(第2層)の磁化の
みが反転する。そこで、記録前に媒体に初期補助磁界
(Hini.)を印加すると、第2層のみを「A向き」−−
ここでは「A向き」を便宜的に本明細書紙面において上
向きの矢で示し、「逆A向き」を下向きの矢で示す
−−に磁化させることができる。そして、Hini.がゼロ
になっても、式4により、第2層の磁化は再反転さぜ
にそのまま保持される。
初期補助磁界(Hini.)により第2層のみが、記録直
前まで「A向き」に磁化されている状態を概念的に表
すと、次のようになる。
ここで、第1層における磁化の向きは、それまでに
記録されていた情報を表わす。以下の説明においては、
向きに関係がないので、以下Xで示す。
ここにおいて、高レベルのレーザービームを照射して
媒体温度をTHに上昇させる。すると、THはキュリー点T
C1より高温度なので記録層(第1層)の磁化は消失して
しまう。更にTHはキュリー点TC2付近なので記録補助層
(第2層)の磁化も全く又はほぼ消失する。ここで、媒
体の種類に応じて「A向き」又は「逆A向き」の記録磁
界(Hb)を印加する。記録磁界(Hb)は、媒体自身から
の浮遊磁界でもよい。説明を簡単にするために「逆A向
き」の記録磁界(Hb)を印加したとする。媒体は移動し
ているので、照射された部分は、レーザービームから直
ぐに遠ざかり、冷却される。Hbの存在下で、媒体の温度
が低下すると、第2層の磁化は、Hbに従い、反転されて
「逆A向き」の磁化となる(状態2H)。
そして、さらに放冷が進み、媒体温度がTC1より少し
下がると、再び第1層の磁化が現れる。その場合、磁気
的結合(交換結合)力のために、第1層の磁化の向き
は、第2層の磁化の向きの影響を受ける。その結果、媒
体に応じて(Pタイプの媒体の場合)又は(Aタイ
プの媒体の場合)が生じる。
この高レベルのレーザービームによる状態の変化をこ
こでは高温サイクルと呼ぶことにする。
次に、低レベルのレーザービームを照射して媒体温度
をTLに上昇させる。TLはキュリー点TC1付近なので第1
層の磁化は全く又はほぼ消失してしまうが、キュリー点
TC2よりは低温であるので第2層の磁化は消失しない。
ここでは、記録磁界(Hb)は、不要であるが、高速度
(短時間)でHbをON、OFFすることは不可能である。従
って、止むを得ず高温サイクルのときのままになってい
る。
しかし、HC2はまだ大きいままなので、Hbによって第
2層の磁化が反転することはない。媒体は移動している
ので、照射された部分は、レーザービームから直ぐに遠
ざかり、冷却される。冷却が進むと、再び第1層の磁化
が現れる。現れる磁化の向きは、磁気的結合力のために
第2層の磁化の向きの影響を受ける。その結果、媒体に
よって(Pタイプの場合)又は(Aタイプの場合)
の磁化が出現する。この磁化は室温でも変わらない。
この低レベルのレーザービームによる状態の変化をこ
こでは低温サイクルと呼ぶことにする。
以上、説明したように、第1層の磁化の向きがどうで
あれ、高温サイクルと低温サイクルとによって、互いに
反対向きの磁化又はを有するビットが形成される。
つまり、レーザービームを情報に従い高レべル(高温サ
イクル)と低レベル(低温サイクル)との間でパルス状
に変調することによりオーバーライトが可能となる。
なお、記録媒体は一般にディスク状であり、記録時、
媒体は回転される。そのため、記録された部分(ビッ
ト)は、1回転する間に再びHini.の作用を受け、その
結果、記録補助層(第2層)の磁化は元の「A向き」
に揃えられる。しかし、室温では、第2層の磁化の影響
が記録層(第1層)に及ぶことはなく、そのため記録さ
れた情報は保持される。
そこで、第1層に直線偏光を照射すれば、その反射光
には情報が含まれているので、従来の光磁気記録媒体と
同様に情報が再生される。なお、第1層と第2層の組成
設計によっては、再生前に再生磁界HRを印加することに
より、元の「A向き」に揃えられた第2層に第1層の
情報を転写させる方法や、再生磁界HRを印加せずともHi
ni.の影響がなくなるや否か第2層に第1層の情報が自
然転写されるものがあるので、この場合には、第2層か
ら情報を再生してもよい。
このような記録層(第1層)及び記録補助層(第2
層)を構成する垂直磁化膜は、補償温度を有せずキュ
リー点を有するフェロ磁性体及びフェリ磁性体、並びに
補償温度、キュリー点の双方を有するフェリ磁性体の
非晶質或いは結晶質からなる群から選択される。
以上の説明は、磁化反転温度としてキュリー点を利用
した第1実施態様の説明である。それに対して第2実施
態様は室温より高い所定の温度に於いて低下したHcをを
利用するものである。第2実施態様は、第1実施態様に
於けるTC1の代わりに記録層(第1層)が記録補助層
(第2層)に磁気結合される温度TS1を使用し、TC2の代
わりに第2層がHbで反転する温度TS2を使用すれば、第
1実施態様と同様に説明される。
第2実施態様では、第1層の保磁力をHC1、第2層の
それをHC2、第1層が第2層に磁気的に結合される温度
をTS1とし、第2層の磁化がHbで反転する温度をTS2、室
温をTR、低レベルのレーザービームを照射した時の媒体
の温度をTL、高レベルのレーザービームを照射した時の
それをTH、第1層が受ける結合磁界をHD1、第2層が受
ける結合磁界をHD2とした場合、記録媒体は、下記式6
を満足し、かつ室温で式7〜10を満足するものである。
上記式中、 については、上段が後述するA(antiparallel)タイプ
の媒体の場合であり、下段は後述するP(parallel)タ
イプの媒体の場合である。
第1、第2実施態様ともに、記録層(第1層)、記録
補助層(第2層)が遷移金属(例えばFe,Co)−重希土
類金属(例えばGd,Tb,Dyその他)合金組成から選択され
た非晶質フェリ磁性体である記録媒体が好ましい。
第1層と第2層の双方とも、遷移金属(transition m
etal)−重希土類金属(heavy rareearth metal)合金
組成から選択された場合には、各合金としての外部に現
れる磁化の向き及び大きさは、合金内部の遷移金属原子
(以下、TMと略す)のスピン(spin)の向き及び大きさ
と重希土類金属原子(以下、REと略す)のスピンの向き
及び大きさとの関係で決まる。例えばTMのスピンの向き
及び大きさを点線のベクトルで表わし、REのスピンの
それを実線のベクトル↑で表し、合金全体の磁化の向き
及び大きさを二重実線のベクトルで表す。このとき、
ベクトルはベクトルとベクトル↑との和として表わ
される。ただし、合金の中ではTMスピンとREスピンとの
相互作用のためにベクトルとベクトル↑とは、向きが
必ず逆になっている。従って、と↑との和或いは↓と
との和は、両者の強度が等しいとき、合金のベクトル
はゼロ(つまり、外部に現れる磁化の大きさはゼロ)に
なる。このゼロになるときの合金組成は補償組成(comp
ensation composition)と呼ばれる。それ以外の組成
のときには、合金は両スピンの強度差に等しい強度を有
し、いずれか大きい方のベクトルの向きに等しい向きを
有するベクトル(又は)を有する。このベクトルの
磁化が外部に現れる。例えば はとなり、 はとなる。
ある合金組成のTMスピンとREスピンの各ベクトルの強
度が、どちらか一方が大きいとき、その合金組成は、強
度の大きい方のスピン名をとって○○リッチ例えばREリ
ッチであると呼ばれる。
第1層と第2層の両方について、TMリッチな組成とRE
リッチな組成とに分けられる。従って、縦軸座標に第1
層の組成を横軸座標に第2層の組成をとると、先願発明
の媒体全体としては、種類を次の4象限に分類すること
ができる。先に述べたPタイプはI象限とIII象限に属
するものであり、AタイプはII象限とIV象限に属するも
のである。
一方、温度変化に対する保磁力の変化を見ると、キュ
リー点(保磁力ゼロの温度)に達する前に保磁力が一旦
無限大に増加してまた降下すると言う特性を持つ合金組
成がある。この無限大のときに相当する温度は補償温度
(Tcomp.と呼ばれる。補償温度は、TMリッチの合金組
成においては、室温からキュリー点の間には存在しな
い。室温より下にある補償温度は、光磁気記録において
は無意味であるので、この明細書で補償温度とは室温か
らキュリー点の間に存在するものを言うことにする。
第1層と第2層の補償温度の有無について分類する
と、媒体は4つのタイプに分類される。第1象限の媒体
は、4つ全部のタイプが含まれる。4つのタイプについ
て、「保磁力と温度との関係を表すグラフ」を書くと、
次の通りになる。なお、細線は第1層のそれであり、太
線は第2層のそれである。
ここで、記録層(第1層)と記録補助層(第2層)の
両方についてREリッチかTMリッチかで分け、かつ補償温
度を持つか持たないかで分けると、記録媒体は次の9ク
ラスに分類される。
〔先願発明の説明〕 しかしながら、先々願の明細書に具体的に開示された
媒体では、記録感度を低下させずに、C/N比の高いオー
バーライト可能な光磁気記録媒体を得ることは困難であ
るという問題点があった。
そこで、記録感度を低下させることなく、C/N比の大
きいオーバーライト可能な光磁気記録媒体を提供する発
明が成され、昭和63年4月28日付けで特許出願(NK63−
246)された。この出願を以下、「先願」と引用する。
この先願発明は、 垂直磁気異方性を有する第1層を記録層とし、垂直磁
気異方性を有する第2層を記録補助層とする多層構造を
有し、 層平面に対して上向き又は下向きの何れか一方を「A
向き」とし、他方を「逆A向き」とするとき、 第2層の磁化のみが記録の直前までに初期補助磁界Hi
ni.により「A向き」に揃えられ、 (1) 高レベルのレーザービームが照射された時は、
室温に戻った時の結果として、記録磁界Hbにより第2層
の「A向き」磁化が「逆A向き」に反転させられてお
り、第1層には、第2層の磁化の作用によって媒体のタ
イプに応じて「逆A向き」磁化〔又は「A向き」磁化〕
を有するビットが形成され、 (2) 低レベルのレーザービームが照射された時は、
室温に戻った時の結果として、第2層の「A向き」磁化
はそのまま残っており、第1層には、第2層の磁化の作
用によって媒体のタイプに応じて「A向き」磁化〔又は
「逆A向き」磁化〕を有するビットが形成される、 ことによってオーバーライト可能な光磁気記録媒体にお
いて、下記1条件: TR<TL<TC1<THTC2 を満足し、かつ室温で下記4条件: を満足することを特徴とするものである。
ただし、 TR:室温 TC1:第1層のキュリー点 TC2:第2層のキュリー点 TL:低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
の温度 TH:高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
の温度 HC1:第1層の保磁力 HC2:第2層の保磁力 HD1:第1層が受ける結合磁界 HD2:第2層が受ける結合磁界 Hini.:初期補助磁界 左辺右辺:左辺と右辺がほぼ等しいか又は左辺に比べ
右辺が大きいことを意味する。
一般に記録層(第1層)のキュリー点TC1が高けれ
ば、カー回転角θkが大きくなり、C/N比が向上する。
しかしながら、先々願明細書に具体的に開示された媒
体では、TC1TLのため、TC1を高くすると、TLも高くせ
ざるを得ない。
そうすると、低温サイクル(TL)で高温サイクル
(TH)が生じるのを防止するマージン確保のため、更に
THを上げる必要がある。
そのため、高レベルのビームを照射しても媒体温度が
中々THにまで上がらず、その結果、記録感度が低いこと
が判明した。
そこで、更に研究を進めた結果、情報は磁化が「A向
き」のビットと「逆A向き」のビットで記録しているの
で、オーバーライトする場合、低温サイクルにおいて、
どうしても新たなビットを形成しなければならないの
は、既に記録されているビットとこれから新たに記録
(形成)しようとするビットが異なる場合だけであり、
既に記録されているビットとこれから新たに記録(形
成)しようとするビットが同一の場合には、既に記録さ
れているビットをそのままにしておいても差支えないこ
とが判明した。
そして、前者の場合には、第1層の磁化の向きをオ
ーバーライトにより反転させることになるが、記録前の
ビットの磁化状態は、既にHini.によって第2層の磁化
の向きが「A向き」に揃えられた状態で考えてみると、
次の通りである。
いずれのタイプのビットにせよ、記録直前の状態(既
に初期化された状態)では、第1層、第2層の層間に界
面磁壁 が形成されていることが判明した。この状態は、界面磁
壁エネルギー(σW:交換結合力とも呼ばれる)を蓄えて
おり、準安定な状態にある。この状態が保持される条件
は、外部磁場がない場合を考えると、既述のように、 の2つの条件である。
これは、次の理由から必要な条件となる。媒体が通常
のディスク状を考えた場合、第1層に記録されたビット
は、1回転する間に記録装置に備えられたHini.印加手
段からのHini.を必然的に受けて上述の準安定状態にな
ってしまうので、その場合、折角記録した第1層の情報
が初期化された第2層の磁化によって消去されては元も
子もないし、また、逆に折角Hini.によって初期化され
た第2層の磁化が、記録された第1層の情報(磁化)に
よって、乱されても無意味になるからである。
しかしながら、これは準安定な状態であって、第1層
は、σを介して第2層の磁化の影響を受ける。
先々願発明後の研究によると、レーザービームの照射
を受けて、媒体の温度が室温TR(例えば、10〜45℃)か
ら、高められた温度(例えば75℃)に上昇すると、第1
層の保持力HC1は低下するので、第1層の磁化の向きが
第2層の磁化によって安定状態へと反転させられるこ
とが判明した。つまり、第1層の温度がTC1まで上昇し
てその磁化が消失せずとも、反転可能であることが判
明したのである。
そこで、先願発明では、この反転温度をTLとして、
TL<TC1で低温サイクルを実行したのである。TLは、通
常遭遇する温度TH(例えば、10〜45℃)より安全を見込
んで例えば35℃のマージンを取って、例えば75℃以上と
することが好ましい。
そのため、TC1はTLによらず高く設計することがで
き、カー回転角θkが大きくなってC/N比が向上し、そ
れでいて、TLはTC1によらず低く設計できるので、TH=T
L+α(マージン)で与えられるTHを余り高くしなくて
済み、その結果、記録感度が良くなるのである。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、それでもなお、先願発明の媒体では、
TC1<TH<TC2の関係を有するものであったため、C/N比
を向上させる目的でTC1を高く設定すると、THが高くな
り、その結果、高温サイクル時の記録感度が低下すると
いう問題点があった。
従って、本発明の目的は、先願発明を改良して、C/N
比が高く、それでいて記録感度が低下しないオーバーラ
イト可能な光磁気記録媒体を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、先願発明のオーバーライト可能な光磁気
記録媒体について、更に鋭意研究の結果、 TR<TL<THTC1TC2 の関係を満足する媒体が存在することを見い出し、この
条件を満足する媒体は、C/N比が高く、それでいて記録
感度も低くないことを見い出し、本発明をなすに至っ
た。
従って、本発明は、 垂直磁気異方性を有する第1層を記録層とし、垂直磁
気異方性を有する第2層を記録補助層とする多層構造か
らなる、オーバーライトが可能な光磁気記録媒体におい
て、 TR<TL<THTC1TC2 を満足することを特徴とするオーバーライト可能な光磁
気記録媒体 を提供する。
〔作用〕
本発明の媒体では、低温サイクルは、先願発明(NK63
−246)と同様に行われる。つまり、媒体温度がTLのと
き、第1層、第2層ともに磁化が残存する。そして、そ
こでは、記録磁界Hbがプラスに作用しようがマイナスに
作用しようが、Hini.によって例えば「A向き」に揃え
られた第2層からの磁化の作用によって、第1層には、
媒体のタイプに応じて、「A向き」〔又は「逆A向
き」〕のビットが形成される。そして、このビットの第
2層には、「A向き」の磁化が存在し、第1層と第2層
との間に磁壁は存在しない。
それに対して、高温サイクルは、本発明の特徴とし
て、次のように行われる。つまり、媒体温度がTHのと
き、第1層は磁化が消失し、第2層は弱い磁化が残存
するか、又は第1層、第2層ともに弱に磁化が残存す
る。
そして、そこでは、の場合、HC2<Hbの関係が成立
し、そのため第2層の磁化が、Hbの向きに従わされる。
次に、そのビットが、レーザービームのスポット領域か
ら外れて媒体温度がTHより少し低下したときに、この
第2層の磁化及びHbの作用により同じ向きの磁化が第1
層に出現する。
また、の場合、THは比較的高い温度であるので、第
1層、第2層の保磁力は共に小さくなっており、下記
(1)〜(3)のいずれか1つの関係 を満足する。そのため、両層の磁化は、ほぼ同時に反転
し、Hbの向きに従わされる。
そして、、いずれの場合にも、この状態から室温
に戻ると、第1層には、媒体のタイプに応じて、「逆A
向き」〔又は「A向き」〕のビットが形成される。そし
て、このビットの第2層には、「逆A向き」の磁化が存
在し、第1層と第2層との間に磁壁は存在しない。
ここで第1表に示したクラス1の記録媒体(Pタイプ
・I象限・タイプ1)に属する媒体No.1を例にとり、本
発明のオーバーライト原理について詳細に説明する。
この媒体No.1は、次式11: TR<Tcomp.1<TL<THTC1TC2 及び式11の2:Tcomp.2<TC1 の関係を有する。説明を簡単にする目的から、以下の説
明は、TH<TC1<TC2の関係を有するものについて説明す
る。Tcomp.2は、TLよりも高くとも、等しくとも、低く
ともよいが、説明を簡単にする目的から、以下の説明で
は、TL<Tcomp.2とする。以上の関係をグラフで示す
と、次の如くなる。なお、細線は第1層のグラフを示
し、太線は第2層のグラフを示す。
室温TRで第1層(記録層)の磁界が初期補助磁界Hin
i.により反転せずに第2層のみが反転する条件は、式12
である。この媒体No.1は式12を満足する。
但し、HC1:第1層の保磁力 HC2:第2層の保磁力 MS1:第1層の飽和磁気モーメント (saturation magnetiation) MS2:第2層の飽和磁気モーメント t1 :第1層の膜厚 t2 :第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー (interface wall energy) このとき、Hini.の条件式は、式15で示される。Hini.
が無くなると、第1層、第2層の磁化は界面磁壁エネル
ギーにより互いに影響を受ける。それでも第1層、第2
層の磁化が反転せずに保持される条件は、式13〜14で示
される。この媒体No.1は式13〜14を満足する。
室温で式12〜14の条件を満足する記録媒体の第2層の
磁化は、記録の直前までに次式15: を満足するHini.により例えば に揃えられる。このとき、第1層は前の記録状態のまま
で残る(状態1a又は1b)。
この状態1a、1bは記録直前まで保持される。
そして、記録磁界Hbは に印加するとする。
なお、記録磁界Hbは、一般の磁界がそうであるよう
に、レーザービームの照射領域(スポット領域)と同一
の範囲に絞ることは難しい。媒体がディスク状の場合、
一旦記録された情報(ビット)は、1回転した場合、途
中でHini.の影響を受け、再び状態1a、1bとなる。そし
て、次に、そのビットは、レーザービームの照射領域
(スポット領域)に近いところを通過する。このとき、
状態1a、1bのビットは、記録磁界Hb印加手段に近づくの
でその影響を受ける。この場合、Hbと反対向きの磁化を
有する状態1aのビットの第1層の磁化の向きがHbによっ
て反転させられたとすると、1回転前に記録されたばか
りの情報が消失することになる。そうなってはならない
条件は、 で示され、ディスク状媒体は、室温でこの条件式を満足
させる必要がある。逆に言えば、Hbを決定する1つの条
件は、式15の2で示される。
さて、状態1a、1bのビットは、いよいよレーザービー
ムのスポット領域に到達する。レーザービームの強度
は、先願発明と同様に、低レベルと高レベルの2種があ
る。
−低温サイクル− 低レベルのレーザービームが照射されて、媒体温度が
comp.1以上に上昇する。そうすると、PタイプからA
タイプに移行する。そして、第1層のRE、TM各スピンの
方向は変らないが、強度の大小関係が逆転する。その結
果、第1層の磁化が反転する(状態1a→状態2La、状態1
b→状態2Lb)。
レーザービームの照射が続いて、媒体温度は、やがて
TLになる。すると、 の関係となり、 が存在しても、状態2Laは状態3Lに遷移する。他方、状
態2Lbは、 が存在しても、そのままの状態を保つため、同じ状態3L
になる。
この状態でレーザービームのスポット領域から外れる
と媒体温度は低下を始める。媒体温度がTcomp.1以下に
冷えると、Aタイプから元のPタイプに戻る。そして、
第1層のREスピンとTMスピンとの大小関係が逆転する その結果、第1層の磁化は、「A向き」となる(状
態4L)。
この状態4Lは媒体温度が室温まで下がっても保持され
る。
その結果、第1層に「A向き」のビットが形成され
る。
−高温サイクル− 高レベルのレーザービームが照射されると、媒体温度
は、Tcomp.1を経て低温TLに上昇する。その結果、状態
3Lと同じ状態2Hになる。
高レベルのレーザービームの照射により、媒体温度は
更に上昇する。媒体温度が第2層のTcomp.2を越える
と、AタイプがPタイプに移行する。そして、第2層の
RE、TM各スピンの方向は変らないが、強度の大小関係が
逆転する そのため、第2層の磁化が反転し、「逆A向き」の
磁化になる(状態3H)。
しかし、この温度ではHC2がまだ大きいので、 によって第2層の磁化が反転されることはない。さらに
温度が上昇し、THになると、第1層、第2層は、その温
度がキュリー点に近いので保磁力が小さくなる。その結
果、媒体は、下記(1)〜(3)のいずれか1つの関係
式: を満足する。そのため、両層の磁化は、ほぼ同時に反転
し、Hbの向きに従う。この状態が状態4Hである。
この状態でレーザービームのスポット領域から外れる
と、媒体温度は低下を始める。媒体温度がTcomp.2以下
になると、PタイプからAタイプに移行する。そして、
RE、TMの各スピンの方向は変らないが、強度の大小関係
が逆転する その結果、第2層の磁化は反転し、から「逆A向
き」になる(状態5H)。
媒体の温度がこの状態7Hのときの温度から更に低下し
て、Tcomp.1以下になると、Aタイプから元のPタイプ
に戻る。そして、第1層のREスピンとTMスピンの強度の
大小関係の逆転が起こる その結果、第1層の磁化は反転し、「逆A向き」に
なる(状態6H)。
そして、やがて媒体の温度は状態6Hのときの温度から
室温まで低下する。室温でのHC1は十分に大きい(式15
の3参照)ので第1層の磁化は、 によって反転されることなく、状態6Hが保持される。
こうして、第1層に「逆A向き」のビットが形成さ
れる。
次に第1表に示したクラス4の記録媒体(Pタイプ・
I象限・タイプ4)に属する媒体No.4を例にとり、本発
明のオーバーライト原理について詳細に説明する。
この媒体No.4は、次式26: TR<TL<THTC1TC2 の関係を有する。説明を簡単にする目的から、以下の説
明では、TH<TC1<TC2とする。この関係をグラフで示す
と、次の如くなる。
室温TRで第1層の磁化が初期補助磁界Hini.により反
転せずに第2層のみが反転する条件は、式27である。こ
の媒体No.4は式27を満足する。
このとき、Hini.の条件式は、式30で示される。Hini.
無くなると、第1層、第2層の磁化は界面磁壁エネルギ
ーにより互いに影響を受ける。それでも第1層、第2層
の磁化が反転せずに保持される条件は、式28〜29で示さ
れる。この媒体No.4は式28〜29を満足する。
室温で式27〜29の条件を満足する記録媒体の第2層の
磁化は、記録の直前までに式30: の条件を満足するHini.により例えば に揃えられる。このとき、第1層は記録状態のままで残
る(状態1a又は1b)。
この状態1a、1bは記録直前まで保持される。
そして、記録磁界Hbは に印加するとする。
なお、媒体がディスク状の場合、記録されたビット
(特に第1層がHbと反対向きの状態1bのビット)がHb印
加手段に近づいたときHbによって反転してはならない条
件は、次式30の2: で示され、ディスク媒体は、室温でこの条件式を満足さ
せる必要がある。また、初期化された第2層がHb印加手
段に近づいたときHbによって反転してしまわない条件
は、次式30の3: で示される。逆に言えば、Hbを決定する条件の1つが式
30の2及び式30の3である。
さて、状態1a、1bのビットは、いよいよレーザービー
ムのスポット領域に到達する。レーザービームの強度
は、先願発明と同様に、低レベルと高レベルの2種があ
る。
−低温サイクル− 低レベルのレーザービームが照射されて、媒体温度は
TLに上昇する。そうすると、 の関係が成立する状態となり、状態1aが状態2Lに遷移す
る。他方、状態1bはそのままの状態を保つため同じ状態
2Lになる。
この状態2Lにおいてレーザービームのスポット領域か
ら外れると、媒体温度は低下を始める。
この状態2Lは、媒体温度が室温まで下がっても、室温
でのHC1が十分に大きい(式30の4参照)ので維持され
る。
その結果、第1層に「A向き」のビットが形成され
る。
−高温サイクル− 高レベルのレーザービームが照射されると、媒体温度
は、低温TLに上昇する。その結果、状態低温サイクルの
状態2Lと同じ状態2Hとなる。
ビームの照射が続いて、媒体温度が更に上昇しTHにな
ると、THは第1層、第2層のキュリー点に近くなるので
保磁力が小さくなる。その結果、媒体は、下記(1)〜
(3)のいずれか1つの関係式: を満足する。そのため、両層の磁化は、ほぼ同時に反転
し、Hbの向きに従う。この状態が状態3Hである。
この状態3Hにおいてレーザービームのスポット領域か
ら外れると、媒体の温度は低下を始める。やがて媒体温
度は室温まで低下する。しかし、状態3Hはそのままであ
る。
こうして、第1層に「逆A向き」のビットが形成さ
れる。
次に第1表に示したクラス5の記録媒体(Aタイプ・
II象限・タイプ3)に属する媒体No.5を例にとり、本発
明のオーバーライト原理について詳細に説明する。
この媒体No.5は次式31: TR<Tcomp.1<TL<THTC1TC2 の関係を有する。説明を簡単にする目的から、以下の説
明では、TH<TC1<TC2とする。この関係をグラフで示す
と、次の如くなる。
室温TRで第1層の磁化が初期補助磁界Hini.により反
転せずに第2層のみが反転する条件は、式32である。こ
の媒体No.5は式32を満足する。
このとき、Hini.の条件式は、式35で示される。Hini.
無くなると、第1層、第2層の磁化は界面磁壁エネルギ
ーにより互いに影響を受ける。それでも第1層、第2層
の磁化が反転せずに保持される条件は、式33〜34で示さ
れる。この媒体No.5は式33〜34を満足する。
室温で式32〜34の条件を満足する記録媒体の第2層の
磁化は、記録の直前までに式35: の条件を満足するHini.により例えば に揃えられる。このとき、第1層は記録状態のままで残
る(状態1a又は1b)。
この状態1a、1bは記録直前まで保持される。
そして、記録磁界Hbは、 に印加するとする。
なお、媒体がディスク状の場合、前に記録されたビッ
ト(特に第1層がHbと反対向きの状態1aのビット)がHb
印加手段に近づいたときHbによって反転してはならない
条件は、 で示され、ディスク媒体は、室温でこの条件式を満足さ
せる必要がある。また、初期化された第2層が、Hb印加
手段に近づいたときHbによって反転してしまわない条件
は、次式35の3: で示される。逆に言えば、Hbを決定する条件の1つが式
35の2及び式35の3である。
さて、状態1a、1bのビットは、いよいよレーザービー
ムのスポット領域に到達する。レーザービームの強度
は、先願発明と同様に、低レベルと高レベルの2種があ
る。
−低温サイクル− 低レベルのレーザービームが照射されて、媒体温度は
comp.1以上に上昇する。すると、AタイプからPタイ
プに変化する。そして、第1層のRE、TM各スピンの方向
は変わらないが、強度の大小関係が逆転する。そのた
め、第1層の磁化が反転する(状態1a→2La、状態1b→
状態2Lb)。
この状態から、更に媒体温度が上がりTLになると、下
記条件式が満足される。
そうすると、状態2Laは状態3Lに遷移する。他方、状
態2Lbはそのままの状態を保つため同じ状態3Lになる。
この状態でレーザービームのスポット領域から外れる
と媒体温度は低下を始める。媒体温度が更にTcomp.1
下に冷えるとPタイプから元のAタイプにもどる。そし
て、第1層のREタイプとTMスピンとの大小関係が逆転す
その結果、第1層の磁化は、逆転し、「逆A向き」
となる。これが状態4Lである。
やがて、媒体温度は室温まで低下するが、状態4Lが維
持される。
その結果、第1層に「逆A向き」のビットが形成さ
れる。
−高温サイクル− 高レベルのレーザービームが照射されると、媒体温度
は、Tcomp.1を経て低温TLに上昇する。その結果、状態
3Lと同じ状態2Hになる。
ビームの照射が続き、やがて媒体温度はTHに上昇す
る。TH、第1層、第2層のキュリー点に近いので、両層
の保磁力は小さくなる。その結果、媒体は、下記(1)
〜(3)のいずれか1つの関係式: を満足する。そのため、両層の磁化は、ほぼ同時に反転
し、Hbの向きに従う。これが状態3Hである。
この状態3Hにおいてレーザービームのスポット領域か
ら外れると、媒体温度は低下を始める。
媒体温度が低下してTcomp.1以下になると、Pタイプ
から元のAタイプに戻る。そして、第1層のTMスピンと
REスピンの強度の大小関係が逆転する そのため、第1層の磁化が反転し、「A向き」の磁
化になる(状態4H)。
そして、やがて媒体の温度は状態4Hのときの温度から
室温まで低下する。室温でのHC1は十分に大きく、次式3
5の4: が満足されるので、第1層の磁化は状態4Hのまま安定に
維持される。
こうして、第1層に「A向き」のビットが形成され
る。
次に第1表に示したクラス7の記録媒体(Pタイプ・
III象限・タイプ7)に属する媒体No.7を例にとり、本
発明のオーバーライト原理について詳細に説明する。
この媒体No.7は、次式41: TR<TL<THTC1TC2 の関係を有する。説明を簡単にする目的から、以下の説
明ではTH<TC1<TC2とする。この関係をグラフで示す
と、次の如くなる。
室温TRで第1層の磁化が初期補助磁界Hini.により反
転せずに第2層のみが反転する条件は、式42である。こ
の媒体No.7は式42を満足する。
このとき、Hini.の条件式は、式45で示される。Hini.
が無くなると、第1層、第2層の磁化は界面磁壁エネル
ギーにより互いに影響を受ける。それでも第1層、第2
層の各磁化が反転せずに保持される条件は、式43〜44で
示される。この媒体No.7は式43〜44を満足する。
室温で式42〜44の条件を満足する記録媒体の第2層の
磁化は、記録の直前までに式45: の条件を満足するHini.により例えば に揃えられる。このとき、第1層は記録状態のままで残
る(状態1a又は1b)。
この状態1a、1bは記録直前まで保持される。
そして、記録磁界Hbは、 に印加するとする。
なお、媒体がディスク状の場合、記録されたビット
(特に第1層がHbと反対向きの磁化を有する状態1bのビ
ット)が、Hb印加手段に近づいたとき、Hbによって反転
してはならない条件は、次式45の2: で示され、ディスク媒体は、室温でこの条件式を満足さ
せる必要がある。また、初期化された第2層が、Hb印加
手段に近づいたときHbによって反転されてしまわない条
件は、次式45の3: で示される。逆に言えば、Hbを決定する1つの条件は、
式45の2及び式45の3で示される。
さて、状態1a、1bのビットは、いよいよレーザービー
ムのスポット領域に到達する。レーザービームの強度
は、先願発明と同様に、低レベルと高レベルの2種があ
る。
−低温サイクル− 低レベルのレーザービームが照射されて、媒体温度が
TLに上昇する。そうすると、下記条件: が満足され、状態1aが状態2Lに遷移する。他方、状態1b
はそのままの状態を保つため、同じ状態2Lになる。
この状態2Lにおいてレーザービームのスポット領域か
ら外れると、媒体温度は低下を始める。
室温では、HC1は十分に大きい(式45の2参照)の
で、状態2Lは室温でも維持される。
その結果、第1層に「A向き」のビットが形成され
る。
−高温サイクル− 高レベルのレーザービームが照射されて媒体温度は、
低温TLに上昇する。その結果、状態2Lと同じ状態2Hにな
る。
ビームの照射が続いて、媒体温度は更に上昇しTHにな
る。すると、THは第1層、第2層のキュリー点に近くな
るので、その結果、媒体は、下記の(1)〜(3)のい
ずれか1つの関係式: を満足する。そのため、両層の磁化は、ほぼ同時に反転
し、 の向きに従う。これが状態3Hである。
状態3Hにおいてレーザービームのスポット領域から外
れると、媒体温度は低下し始める。
やがて媒体温度は室温に戻る。しかし、状態4Hは変ら
ない。
その結果、第1層に「逆A向き」のビットが形成さ
れる。
次に第1表に示したクラス8の記録媒体(Aタイプ・
IV象限・タイプ2)に属する媒体No.8を例にとり、本発
明のオーバーライト原理について詳細に説明する。
この媒体No.8は、次式46: TR<TL<THTC1TC2 の関係を有する。説明を簡単にする目的から、以下の説
明では、TH<TC1<TC2とする。また、Tcomp.2は、TL
TC1より低くても等しくても高くても良いが、説明を簡
単にする目的から、以下の説明では、TL<Tcomp.2<T
C1とする。この関係をグラフで示すと、次の如くなる。
室温TRで第1層の磁化が初期補助磁界Hini.により反
転せずに第2層のみが反転する条件は、式47である。こ
の媒体No.8は室温で式47を満足する。
このとき、Hini.の条件式は、式50で示される。Hini.
無くなると、第1層、第2層の磁化は界面磁壁エネルギ
ーにより互いに影響を受ける。それでも第1層、第2層
の各磁化が反転せずに保持される条件は、式48〜49で示
される。この媒体No.8は式48〜49を満足する。
室温で式47〜49の条件を満足する記録媒体の第2層の
磁化は、記録の直前までに式50: の条件を満足するHini.により例えば に揃えられる。このとき、第1層は記録状態のままで残
る(状態1a又は1b)。
この状態1a、1bは記録直前まで保持される。
そして、記録磁界Hbは に印加するとする。
なお、媒体がディスク状の場合、1回転前に記録され
たばかりのビット(特に第1層がHbと反対向きの磁化を
有する状態1bのビット)がHbによって反転してはならな
い条件は、次式50の2: で示され、ディスク媒体は、室温でこの条件式を満足さ
せる必要がある。逆に言えば、Hbの大きさを決定する1
つの条件は、式50の2で示される。
さて、状態1a、1bのビットは、いよいよレーザービー
ムのスポット領域に到達する。レーザービームの強度
は、先願発明と同様に、低レベルと高レベルの2種があ
る。
−低温サイクル− 低レベルのレーザービームが照射されて、媒体温度が
TLに上昇する。そうすると、下記条件式: が満足され、状態1aが状態2Lに遷移する。他方、状態1b
はそのままの状態を保つため、同じ状態2Lになる。
この状態2Lにおいてレーザービームのスポット領域か
ら外れると、媒体温度は低下を始める。状態2Lは、媒体
温度が室温まで下がってもHC1が十分に大きい(式50の
2参照)ので、維持される。
その結果、第1層に「逆A向き」のビットが形成さ
れる。
−高温サイクル− 高レベルのレーザービームが照射されて媒体温度は、
先ず低温TLに上昇する。その結果、低温サイクルの状態
2Lと同じ状態2Hになる。
高レベルのレーザービームの照射により、媒体温度は
更に上昇する。媒体温度がTcomp.2を超えると、Aタイ
プからPタイプに移行する。そして第2層のREスピン
(↑)及びTMスピン()の向きは変わらずに、強度の
大小関係が逆転する その結果、第2層の磁化は反転して「逆A向き」と
なる。この状態が状態3Hである。
しかし、この温度ではHC2がまだ大きいので、第2層
の磁化は で反転されることはない。
更にビームの照射が続き、やがて媒体温度は更に上昇
してTHになる。すると、媒体温度は第1層、第2層のキ
ュリー点近くになるので、両層の保磁力は小さくなる。
その結果、媒体は、下記(1)〜(3)のいずれか1つ
の関係式: を満足する。そのため、両層の磁化は、ほぼ同時に反転
し、 の向きに従う。これが状態4Hである。
この状態4Hにおいてレーザービームのスポット領域か
ら外れると、媒体温度は低下を始める。媒体温度がT
comp.2より下がると、Pタイプから元のAタイプに戻
る。そして、第2層のREスピン(↓)及びTMスピン
()の向きは変わらずに、強度の大小関係が逆転する その結果、第2層の磁化は反転して「逆A向き」と
なる。この状態では、HC2は既に相当大きくなっている
ので第2層の磁化は により反転されることはない。この状態が状態5Hであ
る。
やがて媒体の温度は状態5Hのときの温度から室温まで
低下する。しかし、状態5Hは変わらない。
こうして、第1層に「A向き」のビットが形成され
る。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本
発明はこれに限定されるものではない。
(実施例……クラス8) 3元のRFマグネトロン・スパッタリング装置を用い、
ターゲットとして組成の異なるTbFeCo合金、TbFeCo合金
の2個を置く。そして、厚さ1.2mm、直径200mmのガラス
基板を該装置のチャンバー内にセットする。
該装置のチャンバー内を一旦7×10-7Torr.以下の真
空度に排気した後、Arガスを5×10-3Torr.導入する。
そして、堆積(deposition)速度約2Å/秒で、スパッ
タリングを行なう。
最初にターゲットとして第1のTbFeCo合金を用いて、
基板上に、厚さ600ÅのTb21Fe70Co9(注:添字の数字
は、原子%;以下同じ)の垂直磁化膜からなる第1層
(記録層)を形成する。
続いて、真空状態を保持したまま、ターゲットを第2
のTbFeCo合金に取り替え、同様にスパッタリングを行な
い、第1層の上に厚さ500ÅのTb26Fe52Co22の垂直磁化
膜からなる第2層(記録補助層)を形成する。
こうして、クラス8(Aタイプ・第IV象限・タイプ
2)属する2層光磁気記録媒体No.8が製造される。
この媒体の製造条件及び特性を下記第2表に示す。M
s、Hc、σの値は、いずれも25℃での値である。
この媒体は、式47: を満足している。また、式50に於いて、 であるので、初期補助磁界Hini.を例えば「A向き」↑
の9000 Oeとすれば、式50が満足される。そうすれば、
第1層の磁化は室温でHini.によって反転されずに、第
2層の磁化のみが反転される。
を満足しているので、Hini.が取り去られても、第1
層、第2層の磁化はそれぞれ保持される。
また、記録磁界HbをHini.と同じ の350 Oeとすれば、室温で式50の2: が満足されるので、記録されたビットの第1層の「逆A
向き」磁化が、室温で再び の影響を受けても反転することはない。
更に、低温サイクルで第1層に「逆A向き」のビッ
トが形成されたとき、このビットは、その直後、室温で の影響を受けるが、この媒体は、室温で上式50の2を満
足するので、その磁化は、 で反転することはない。
ところで、この媒体は、115℃で次の値を示す。
MS1=82emu/cc HC1=2250 Oe σ=2.61 つまり、 の条件式が満足され、115℃では、Hbが存在しても、第
2層の磁化によって第1層の磁化が反転させられる。
また、この媒体は、209℃で次の値を示す。
MS1=35emu/cc MS2=24.5emu/cc HC1=100 Oe HC2=750 Oe σ=0.1 σ=0.1 従って、関係式(2): が満足され、209℃では、Hbによって、第1層、第2層
の磁化は共に反転させられることになる。
そこで、TL=115℃、TH=209℃に設定すれば、式46:T
R<TL<THTC1TC2も満足され、オーバーライトが可
能になる。
そして、本媒体は、 式46の2:Tcomp.2=150℃<TC1=215℃ も満足する。
〔参考例1……オーバーライト可能な光磁気記録装置〕 この装置は記録専用であり、その全体構成を第4図
(概念図)に示す。
この装置は、基本的には、 (a) 記録媒体20を移動させる手段の一例としての回
転手段21; (b) 初期補助磁界Hini.印加手段22 (c) レーザービーム光源23; (d) 記録すべき2値化情報に従い、ビーム強度を、
(1)上向き磁化を有するビットと下向き磁化を有する
ビットの何れか一方のビットを形成させるのに適当な媒
体温度THを与える高レベルと、(2)他方のビットを形
成されるのに適当な媒体温度TLを与える低レベルとにパ
ルス状に変調する手段24; (e) 記録磁界Hb印加手段25; からなる。
ここでは、手段22としてHini.=9000Oe「A向き」↑
の永久磁石を使用し、手段25として、Hb=350 Oe「A
向き」↑の永久磁石を使用する。
永久磁石22と25は、ディスク状記録媒体20の半径方向
の長さに相当する長さを有する棒状のものである。この
磁石22と25は、本記録装置に固定して設置し、光源23を
含むピックアップと共に移動させることはしないことに
する。
〔参考例2……C/N比の測定〕 参考例1の記録装置(第4図参照)を使用して光磁気
記録を実施する。まず、回転手段21で実施例1の記録媒
体(クラス8)20を12m/秒の一定線速度で移動させる。
その媒体20に対し、レーザービームを照射する。このビ
ームは、手段24により高レベル時:90mW(on disk)、低
レベル時:3.8mW(on disk)の出力がでるように調整さ
れている。そしてビームは、手段24により情報に従いパ
ルス状に変調される。ここでは、記録すべき情報を周波
数1MHzの信号とした。従って、ビームを周波数1MHzで変
調させながら媒体20に照射した。これにより、1MHzの信
号が記録されたはずである。レベルが1.5mW(on disk)
のレーザービームを用い、別の光磁気再生装置で再生す
ると、C/N比は60dBであり、記録されていることが確か
められた。
次に媒体20の既に記録した領域に、今度は周波数1.2M
Hzの信号を新たな情報として記録した。この情報を同様
に再生すると、C/N比=59dBで新たな情報が再生され
た。このとき、1MHzの信号(前の情報)全く現れなかっ
た。
この結果、オーバーライトが可能であることが判っ
た。
なお、この条件では、媒体の温度は、高レベル時:TH
=209℃、低レベル時:TL=115℃に達する。
従って、本実施例の媒体は、先願発明(NK63−246)
のクラス8の媒体より高いC/N比を示すことが確かめら
れた。
〔発明の効果〕
以上のとおり、本発明によれば、先ず先願発明と同様
に特異な低温サイクルを採用し、そのためTL<TC1とし
たことで、高いTC1の媒体を選択でき、従って、C/N比が
高くなり、しかも、先願発明(TC1<TH)とは異なっ
て、本発明では、 THTC1TC2 を満足する媒体を選択したので、高いTC1を選択してもT
Hが高くならないので、高温サイクル時の記録感度が低
下しないで済む。
また、TC1を独自に高くすることで室温での第1層のM
S HCエネルギー積が増加するので、第1層の膜厚を薄
くできるため、レーザービームの照射により直ぐに所望
の温度に上昇させることができ、つまりは、高い記録感
度が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例にかかるオーバーライト可能
な光磁気記録媒体の縦断面を示す概念図である。 第2図は、光磁気記録方式の記録原理を説明する概念図
である。 第3図は、光磁気記録方式の再生原理を説明する概念図
である。 第4図は、先々願発明にかかるオーバーライト可能な光
磁気記録装置の主要部を説明する概念図である。 〔主要部分の符号の説明〕 L……レーザービーム LP……直線偏光 B1……「A向き」磁化を有するビット B0……「逆A向き」磁化を有するビット 1……記録層(第1層) 2……記録補助層(第2層) S……基板 20……オーバーライト可能な光磁気記録媒体 21……記録媒体を回転させる回転手段 22……初期補助磁界Hini.印加手段 23……レーザービーム光源 24……記録すべき2値化情報に従い、ビーム強度を、
(1)「A向き」磁化を有するビット又は「逆A向き」
磁化を有するビットの何れか一方を形成するのに適当な
温度を媒体に与える高レベルと、(2)他方のビットを
形成するのに適当な温度を媒体に与える低レベルとの間
でパルス状に変調する手段 25……記録磁界Hb印加手段

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】垂直磁気異方性を有する第1層を記録層と
    し、垂直磁気異方性を有する第2層を記録補助層とする
    多層構造からなるオーバーライトが可能な光磁気記録媒
    体において、次の条件式: (1) TR<TL<THTC1TC2 を満足し、そして室温で次の各条件式: を満足することを特徴とするオーバーライト可能な光磁
    気記録媒体。 ただし、 TR :室温 TC1:第1層のキュリー点 TC2:第2層のキュリー点 TL :低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 TH :高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 HC1:第1層の保磁力 HC2:第2層の保磁力 HD1:第1層が受ける結合磁界 HD2:第2層が受ける結合磁界
  2. 【請求項2】垂直磁気異方性を有する第1層を記録層と
    し、垂直磁気異方性を有する第2層を記録補助層とする
    多層構造からなるオーバーライトが可能な光磁気記録媒
    体において、次の条件式: (1) TR<TL<THTC1TC2 を満足し、そして室温で次の各条件式: を満足することを特徴とするオーバーライト可能な光磁
    気記録媒体。 ただし、 TR :室温 TC1 :第1層のキュリー点 TC2 :第2層のキュリー点 TL :低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒
    体の温度 TH :高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒
    体の温度 HC1 :第1層の保磁力 HC2 :第2層の保磁力 HD1 :第1層が受ける結合磁界 HD2 :第2層が受ける結合磁界 Hini.:初期補助磁界
  3. 【請求項3】請求項第1項記載のオーバーライト可能な
    光磁気記録媒体において、第1層と第2層とは、いずれ
    も遷移金属−重希土類合金組成から選択したものである
    ことを特徴とするオーバーライト可能な光磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】第1層が重希土類リッチで室温とキュリー
    点との間に補償温度を有する遷移金属−重希土類合金、
    第2層が重希土類リッチで室温とキュリー点との間に補
    償組成を有する遷移金属−重希土類合金からなり、か
    つ、次の条件式: (1) TR<Tcomp.1<TL<THTC1TC2 を満足し、そして室温で次の各条件式: (2) HC1>HC2+σw/2MS1t1+σw/2MS2t2 (3) HC1>σw/2MS1t1 (4) HC2>σw/2MS2t2 (5) HC2+σw/2MS2t2<|Hini.|<HC1−σw/2MS1t1 を満足する請求項第3項記載のオーバーライト可能な光
    磁気記録媒体。 ただし、 TR:室温 Tcomp.1:第1層の補償温度 TC1:第1層のキュリー点 TC2:第2層のキュリー点 TL:低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 TH:高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 HC1:第1層の保磁力 HC2:第2層の保磁力 MS1:第1層の飽和磁気モーメント MS2:第2層の飽和磁気モーメント t1:第1層の膜厚 t2:第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー Hini.:初期補助磁界
  5. 【請求項5】第1層が重希土類リッチで室温とキュリー
    点との間に補償温度を有しない遷移金属−重希土類合
    金、第2層が重希土類リッチで室温とキュリー点との間
    に補償組成を有しない遷移金属−重希土類合金からな
    り、かつ、次の条件式: (1) TR<TL<THTC1TC2 を満足し、そして室温で次の各条件式: (2) HC1>HC2+σw/2MS1t1+σw/2MS2t2 (3) HC1>σw/2MS1t1 (4) HC2>σw/2MS2t2 (5) HC2+σw/2MS2t2<|Hini.|<HC1−σw/2MS1t1 を満足することを特徴とする請求項第3項記載のオーバ
    ーライト可能な光磁気記録媒体。 ただし、 TR:室温 TC1:第1層のキュリー点 TC2:第2層のキュリー点 TL:低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 TH:高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 HC1:第1層の保磁力 HC2:第2層の保磁力 MS1:第1層の飽和磁気モーメント MS2:第2層の飽和磁気モーメント t1:第1層の膜厚 t2:第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー Hini.:初期補助磁界
  6. 【請求項6】第1層が重希土類リッチで室温とキュリー
    点との間に補償温度を有する遷移金属−重希土類合金、
    第2層が遷移金属リッチで室温とキュリー点との間に補
    償組成を有しない遷移金属−重希土類合金からなり、か
    つ、次の条件式: (1) TR<Tcomp.1<TL<THTC1TC2 を満足し、そして室温で次の各条件式: (2) HC1>HC2+|σw/2MS1t1+σw/2MS2t2| (3) HC1>σw/2MS1t1 (4) HC2>σw/2MS2t2 (5) HC2+σw/2MS2t2<|Hini.|<HC1−σw/2MS1t1 を満足することを特徴とする請求項第3項記載のオーバ
    ーライト可能な光磁気記録媒体。 ただし、 TR:室温 Tcomp.1:第1層の補償温度 TC1:第1層のキュリー点 TC2:第2層のキュリー点 TL:低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 TH:高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 HC1:第1層の保磁力 HC2:第2層の保磁力 MS1:第1層の飽和磁気モーメント MS2:第2層の飽和磁気モーメント t1:第1層の膜厚 t2:第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー Hini.:初期補助磁界
  7. 【請求項7】第1層が遷移金属リッチで室温とキュリー
    点との間に補償温度を有しない遷移金属−重希土類合
    金、第2層が遷移金属リッチで室温とキュリー点との間
    に補償組成を有しない遷移金属−重希土類合金からな
    り、かつ、次の条件式: (1) TR<TL<THTC1TC2 を満足し、そして室温で次の各条件式: (2) HC1>HC2+σw/2MS1t1+σw/2MS2t2 (3) HC1>σw/2MS1t1 (4) HC2>σw/2MS2t2 (5) HC2+σw/2MS2t2<|Hini.|<HC1−σw/2MS1t1 を満足することを特徴とする請求項第3項記載のオーバ
    ーライト可能な光磁気記録媒体。 ただし、 TR:室温 TC1:第1層のキュリー点 TC2:第2層のキュリー点 TL:低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 TH:高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 HC1:第1層の保磁力 HC2:第2層の保磁力 MS1:第1層の飽和磁気モーメント MS2:第2層の飽和磁気モーメント t1:第1層の膜厚 t2:第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー Hini.:初期補助磁界
  8. 【請求項8】第1層が遷移金属リッチで室温とキュリー
    点との間に補償温度を有しない遷移金属−重希土類合
    金、第2層が重希土類リッチで室温とキュリー点との間
    に補償組成を有する遷移金属−重希土類合金からなり、
    かつ、次の条件式: (1) TR<TL<THTC1TC2 を満足し、そして室温で次の各条件式: (2) HC1>HC2+|σw/2MS1t1+σw/2MS2t2| (3) HC1>σw/2MS1t1 (4) HC2>σw/2MS2t2 (5) HC2+σw/2MS2t2<|Hini.|<HC1−σw/2MS1t1 を満足することを特徴とする請求項第3項記載のオーバ
    ーライト可能な光磁気記録媒体。 ただし、 TR:室温 TC1:第1層のキュリー点 TC2:第2層のキュリー点 TL:低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 TH:高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 HC1:第1層の保磁力 HC2:第2層の保磁力 MS1:第1層の飽和磁気モーメント MS2:第2層の飽和磁気モーメント t1:第1層の膜厚 t2:第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー Hini.:初期補助磁界
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