JPH0782673B2 - オ−バ−ライト可能な光磁気記録媒体 - Google Patents

オ−バ−ライト可能な光磁気記録媒体

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JPH0782673B2
JPH0782673B2 JP61294499A JP29449986A JPH0782673B2 JP H0782673 B2 JPH0782673 B2 JP H0782673B2 JP 61294499 A JP61294499 A JP 61294499A JP 29449986 A JP29449986 A JP 29449986A JP H0782673 B2 JPH0782673 B2 JP H0782673B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、オーバーライト(over write)可能な光磁気
記録媒体、それを使用するオーバーライト可能な光磁気
記録方法、記録装置及び再生方法に関する。
〔従来の技術〕
最近、高密度、大容量、高いアクセス速度、並びに高い
記録及び再生速度を含めた種々の要求を満足する光学的
記録再生方法、それに使用される記録装置、再生装置及
び記録媒体を開発しようとする努力が成されている。
広範囲な光学的記録再生方法の中で、光磁気記録再生方
法は、情報を使用した後、消去することができ、新たな
情報を記録することができるというユニークな利点のた
めに、最も大きな魅力に満ちている。
この光磁気記録再生方法で使用される記録媒体は、記録
層として1層又は多層の垂直磁化膜(perpendicular ma
gnetic layer of layers)を有する。この磁化膜は、例
えばアモルファスのGdFeやGdCo、GdFeCo、TbFe、TbCo、
TbFeCoなどからなる。記録層は一般に同心円状又はらせ
ん状のトラックを成しており、このトラックの上に情報
が記録される。ここで、本明細書では、膜面に対し「上
向き(upward)」又は「下向き(downward」の何れか一
方を、「A向き」、他方を「逆A向き」と定義する。記
録すべき情報は、予め2値化されており、この情報が
「A向き」の磁化を有するビット(B1)と、「逆A向
き」の磁化を有するビット(B0)の2つの信号で記録さ
れる。これらのビットB1,B0は、デジタル信号の1,0の
何れか一方と他方にそれぞれ相当する。しかし、一般に
は記録されるトラックの磁化は、記録前に強力な外部磁
場を印加することによって「逆A向き」に揃えられる。
この処理は初期化(initialize)と呼ばれる。その上で
トラックに「A向き」の磁化を有するビット(B1)を形
成する。情報は、このビット(B1)の有無及び/又はビ
ット長によって記録される。
ビット形成の原理: ビットの形成に於いては、レーザーの特徴即ち空間的時
間的に素晴らしい凝集性(coherence)が有利に使用さ
れ、レーザー光の波長によって決定される回折限界とほ
とんど同じ位に小さいスポットにビームが絞り込まれ
る。絞り込まれた光はトラック表面に照射され、記録層
に直径が1μm以下のビットを形成することにより情報
が記録される。光学的記録においては、理論的に約108
ビット/cm2までの記録密度を達成することができる。
何故ならば、レーザービームはその波長とほとんど同じ
位に小さい直径を有するスポットにまで凝縮(concentr
ate)することが出来るからである。
第2図に示すように、光磁気記録においては、レーザー
ビーム(L)を記録層(1)の上に絞りこみ、それを加
熱する。その間、初期化された向きとは反対の向きの記
録磁界(Hb)を加熱された部分に外部から印加する。そ
うすると局部的に加熱された部分の保磁力Hc(coersivi
ty)は減少し記録磁界(Hb)より小さくなる。その結
果、その部分の磁化は、記録磁界(Hb)の向きに並ぶ。
こうして逆に磁化されたビットが形成される。
フェロ磁性材料とフェリ磁性材料では、磁化及びHcの温
度依存性が異なる。フェロ磁性材料はキュリー点付近で
減少するHcを有し、この現象に基づいて記録が実行され
る。従って、Tc書込み(キュリー点書込み)と引用され
る。
他方、フェリ磁性材料はキュリー点より低い補償温度
(compensation temperature)を有しており、そこで磁
化(M)はゼロになる。逆にこの温度付近でHcが非常に
大きくなり、その温度から外れるとHcが急激に低下す
る。この低下したHcは、比較的弱い記録磁界(Hb)によ
って打ち負かされる。つまり、記録が可能になる。この
記録プロセスはTcomp.書込み(補償点書込み)と呼ばれ
る。
もっとも、キュリー点又はその近辺、及び補償温度の近
辺にこだわる必要はない。要するに、室温より高い所定
の温度に於いて、低下したHcを有する磁性材料に対し、
その低下したHcを打ち負かせる記録磁界(Hb)を印加す
れば、記録は可能である。
再生の原理: 第3図は、光磁気効果に基づく情報再生の原理を示す。
光は、光路に垂直な平面上で全ての方向に通常は発散し
ている電磁場ベクトルを有する電磁波である。光が直線
編光(Lp)に変換され、そして記録層(1)に照射され
たとき、光はその表面で反射されるか又は記録層(1)
を透過する。このとき、偏光面は磁化(M)の向きに従
って回転する。この回転する現象は、磁気カー(Kerr)
効果又は磁気ファラデー(Faraday)効果と呼ばれる。
例えば、もし反射光の偏光面が「A向き」磁化に対して
θk度回転するとすると、「逆A向き」磁化に対しては
−θk度回転する。従って、光アナライザー(偏光子)
の軸を−θk度傾けた面に垂直にセットしておくと、
「逆A向き」に磁化されたビット(B0)から反射された
光はアナライザーを透過することができない。それに対
して「A向き」に磁化されたビット(B1)から反射され
た光は、(sin2θk)2を乗じた分がアナライザーを透
過し、ディテクター(光電変換手段)に捕獲される。そ
の結果、「A向き」に磁化されたビット(B1)は「逆A
向き」に磁化されたビット(B0)よりも明るく見え、デ
ィテクターに於いて強い電気信号を発生させる。このデ
ィテクターからの電気信号は、記録された情報に従って
変調されるので、情報が再生されるのである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで、記録ずみの媒体を再使用するには、(i)媒
体を再び初期化装置で初期化するか、又は(ii)記録装
置に記録ヘッドと同様な消去ヘッドを併設するか、又は
(iii)予め、前段処理として記録装置又は消去装置を
用いて記録ずみ情報を消去する必要がある。
従って、光磁気記録方式では、これまで、記録ずみ情報
の有無にかかわらず新たな情報をその場で記録できるオ
ーバーライトは、不可能とされていた。
もっとも、もし記録磁界(Hb)の向きを必要に応じて
「A向き」と「逆A向き」との間に自由に変えることが
できれば、オーバーライトが可能になる。しかしなが
ら、記録磁界(Hb)の向きを、高速度で変えることは不
可能である。例えば、記録磁界(Hb)印加手段が永久磁
石である場合には、磁石の向きを機械的に反転させる必
要がある。しかし、磁石の向きを高速で反転させること
は、無理である。記録磁界(Hb)印加手段が電磁石であ
る場合にも、大容量の電流の向きをそのように高速で変
えることは不可能である。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、ここに新しい原理に基づくオーバーライ
ト可能なディスク状多層光磁気記録媒体、オーバーライ
ト可能な記録方法、同記録装置及びオーバーライト記録
された情報の再生方法を発明した。
本発明は第一に下記記録媒体を提供する。
垂直磁気異方性を有する第1層を記録層とし、垂直磁気
異方性を有する第2層を記録補助層とするオーバーライ
ト可能なディスク状多層光磁気記録媒体であって、 第1層は、第2層に比べて室温で保磁力が高くキュリー
点が低く、かつ第1層は遷移金属−重希土類金属合金組
成から選択された遷移金属リッチ又は重希土類リッチな
磁性薄膜であり、第2層は第1層に比べて室温で保磁力
が低くキュリー点が高く、第2層は第1層のキュリー点
と同一又はその近傍の補償温度を有し、かつ、第2層
は、遷移金属−重希土類金属合金組成から選択された重
希土類リッチな磁性薄膜であり、 前記第1層は、上向き又は下向きの何れか一方の向きで
ある「A向き」の記録磁界を印加されても室温で磁化が
変化せず、 前記第2層は、「A向き」の記録磁界の下では室温で
「A向き」に磁化が揃い、 記録すべき情報に従い変調されたレーザービームが照射
されて、 該ビームの強度が高レベルの時にはビームの放射熱で第
1層第2層両方の磁化がゼロ又は弱になり、 次いでビームがなくなり冷却が始まると、その冷却過程
で前記記録磁界の影響で第2層に「A向き」磁化を有す
るビットが形成され、これは更なる冷却過程で反転して
「逆A向き」磁化を有するビットが形成され、更に冷却
が進むと、第2層の「逆A向き」磁化の影響で第1層に
「逆A向き」〔又は「A向き」〕磁化を有するビットが
形成され、 次いで第2層の「逆A向き」磁化が「A向き」の記録磁
界の影響で「A向き」に反転させられても、記録磁界の
影響がなくなる否や今度は第1層の磁化の影響で再反転
して「逆A向き」になり、 前記ビームの強度が低レベルの時にはビームの放射熱で
第1層の磁化のみがゼロ又は弱になり、次いでビームが
なくなり冷却が始まると、その冷却過程で第2層の「A
向き」磁化の影響で第1層に「A向き」〔又は「逆A向
き」〕の磁化を有するビットが形成され、 こうして低レベルビームで形成された第1層第2層のビ
ットは、この後記録磁界の影響を受けても受けなくても
保持されることを特徴とするオーバーライト可能なディ
スク状多層光磁気記録媒体 また、第二に本発明は、次のオーバーライト可能な光磁
気記録方法を提供する。
オーバーライト可能なディスク状多層光磁気記録媒体に
オーバーライト記録する記録方法に於いて、 (a) 前記媒体として次の媒体を使用すること; 垂直磁気異方性を有する第1層を記録層とし、垂直磁気
異方性を有する第2層を記録補助層とするオーバーライ
ト可能なディスク状多層光磁気記録媒体であって、 第1層は、第2層に比べて室温で保磁力で高くキュリー
点が低く、かつ第1層は遷移金属−重希土類金属合金組
成から選択された遷移金属リッチ又は重希土類リッチな
磁性薄膜であり、第2層は第1層に比べて室温で保磁力
が低くキュリー点が高く、第2層は第1層のキュリー点
と同一又はその近傍の補償温度を有し、かつ、第2層
は、遷移金属−重希土類金属合金組成から選択された重
希土類リッチな磁性薄膜であることを特徴とするオーバ
ーライト可能なディスク状多層光磁気記録媒体。
(b) 前記媒体を移動させること; (c) 上向き又は下向きの何れか一方の向きである
「A向き」の記録磁界を印加することによって、前記第
2層の磁化のみを室温で記録直前に「A向き」に揃えて
おくこと; (d) レーザービームを媒体に照射すること; (e) 前記ビームの強度を記録すべき2値化情報に従
いパルス状に変調すること; (f) 前記ビームを照射した媒体部分に記録磁界を印
加すること; (g) 前記ビームの強度が高レベルの時には、まず、
ビームの放射熱で第1層第2層両方の磁化をゼロ又は微
弱な状態にし、次いで、ビームがなくなり冷却が始まっ
た段階で、前記記録磁界により第2層に「A向き」磁化
を有するビットを形成し、更なる冷却過程で磁化反転し
て「逆A向き」磁化を有するビットを形成し、更に冷却
して第2層の前記「逆A向き」磁化により第1層に「逆
A向き」〔又は「A向き」〕磁化を有するビットを形成
し、 次いで、「A向き」の記録磁界の影響で第2層の「逆A
向き」磁化が「A向き」に反転させられても、記録磁界
の影響がなくなるや否や今度は第1層の磁化の影響で再
反転して「逆A向き」とし、 前記ビームの強度が低レベルの時には、まずビームの放
射熱で第1層の磁化のみをゼロ又は微弱な状態にし、次
いで、ビームがなくなり冷却が始まった段階で、第2層
の「A向き」磁化により第1層に「A向き」〔又は「逆
A向き」〕の磁化を有するビットを形成し、 こうして形成された第1層第2層のビットは、この後記
録磁界の影響を受けても受けなくとも保持されること; からなることを特徴とする記録方法。
第三に本発明は次のオーバーライト可能な光磁気記録装
置を提供する。
オーバーライト可能な光磁気記録装置に於いて、この装
置が (a) オーバーライト可能なディスク状多層光磁気記
録媒体を回転させる手段; (b) レーザービーム光源; (c) 記録すべき2値化情報に従いビーム強度を、
(1)上向き磁化を有するビットと下向き磁化を有する
ビットのいずれか一方のビットを形成させるのに適当な
温度を媒体に与える高レベルと、(2)他方のビットを
形成させるのに適当な温度を媒体に与える低レベルとに
パルス状に変調する手段; (d) 記録磁界Hbの印加手段; からなることを特徴とするオーバーライト可能な記録装
置。
ただし、記録磁界Hbは次の条件を満足する。
ここで、複合(;±)は、上段が第1層が遷移金属リ
ッチな場合であり、下段が第1層が重希土類リッチな場
合であり、使用した記号は次の意味である。
Hc1:第1層の保磁力 Hc2:第2層の保磁力 Ms1:第1層の飽和磁気モーメント Ms2:第2層の飽和磁気モーメント t1:第1層の膜厚 t2:第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー Hb:記録磁界 第四に本発明は次の再生方法を提供する。
次の記録方法でオーバーライト記録されたオーバーライ
ト可能なディスク状多層光磁気記録媒体の第2層にレー
ザービームを照射して再生する再生方法。
(a) 前記媒体として次の媒体を使用すること; 垂直磁気異方性を有する第1層を記録層とし、垂直磁気
異方性を有する第2層を記録補助層とするオーバーライ
ト可能なディスク状多層光磁気記録媒体であって、 第1層は、第2層に比べて室温で保磁力で高くキュリー
点が低く、かつ第1層は遷移金属−重希土類金属合金組
成から選択された遷移金属リッチ又は重希土類リッチな
磁性薄膜であり、第2層は第1層に比べて室温で保磁力
が低くキュリー点が高く、第2層は第1層のキュリー点
と同一又はその近傍の補償温度を有し、かつ、第2層
は、遷移金属−重希土類金属合金組成から選択された重
希土類リッチな磁性薄膜であることを特徴とするオーバ
ーライト可能なディスク状多層光磁気記録媒体。
(b) 前記媒体を移動させること; (c) 上向き又は下向きの何れか一方の向きである
「A向き」の記録磁界を印加することによって、前記第
2層の磁化のみを室温で記録直前に「A向き」に揃えて
おくこと; (d) レーザービームを媒体に照射すること; (e) 前記ビームの強度を記録すべき2値化情報に従
いパルス状に変調すること; (f) 前記ビームを照射した媒体部分に記録磁界を印
加すること; (g) 前記ビームの強度が高レベルの時には、まず、
ビームの放射熱で第1層第2層両方の磁化をゼロ又は微
弱な状態にし、次いで、ビームがなくなり冷却が始まっ
た段階で、前記記録磁界により第2層に「A向き」磁化
を有するビットを形成し、更なる冷却過程で磁化反転し
て「逆A向き」磁化を有するビットを形成し、更に冷却
して第2層の前記「逆A向き」磁化により第1層に「逆
A向き」〔又は「A向き」〕磁化を有するビットを形成
し、 次いで、「A向き」の記録磁界の影響で第2層の「逆A
向き」磁化が「A向き」に反転させられても、記録磁界
の影響がなくなるや否や今度は第1層の磁化の影響で再
反転して「逆A向き」とし、 前記ビームの強度が低レベルの時には、まずビームの放
射熱で第1層の磁化のみをゼロ又は微弱な状態にし、次
いで、ビームがなくなり冷却が始まった段階で、第2層
の「A向き」磁化により第1層に「A向き」〔又は「逆
A向き」〕の磁化を有するビットを形成し、 こうして形成された第1層第2層のビットは、この後記
録磁界の影響を受けても受けなくとも保持されること; からなることを特徴とする記録方法。
〔作用〕
本発明では、レーザービームは、記録すべき情報に従い
パルス状に変調される。しかし、このこと自身は、従来
の光磁気記録でも行われており、記録すべき2値化情報
に従いビーム強度をパルス状に変調する手段は既知の手
段である。例えば、THE BELL SYSTEM TECHNICAL JOURNA
L,Vol.62(1983),1923-1936に詳しく記載されている。
本発明に於いて特徴的なことの1つは、ビーム強度の高
レベルと低レベルである。
即ち、ビーム強度が高レベルの時に、レーザービームの
放射熱で第1層(記録層)第2層(記録補助層)の両層
の磁化をゼロ又は弱に低下させると、次にビームのスポ
ットから外れるに従い媒体温度が低下する訳であるが、
その冷却(放冷)通過で、記録磁界(Hb)により第2層
に「A向き」磁化を有するビットが形成され、これは更
なる冷却過程で反転(reverse)して「逆A向き」磁化
を有するビットが形成され、更に冷却される過程で第2
層の「逆A向き」の影響で第1層に「逆A向き」磁化
〔又は「A向き」磁化〕を有するビットが形成されるの
である。
ビーム強度が低レベルの時は、レーザービームの放射熱
で第1層(記録層)の磁化のみがゼロ又は弱に低下さ
れ、次にビームのスポットから外れるに従い媒体温度が
低下する訳であるが、その冷却過程で、第2層の「A向
き」磁化の影響で第1層に「A向き」磁化〔又は「逆A
向き」磁化〕を有するビットが形成される。
必要な高レベルと低レベルが与えられれば、前述の文献
等に記載された変調手段を部分的に修正するだけで、ビ
ーム速度を本発明に従い変調すること及びその手段は、
当業者にとって容易である。。
なお、本明細書では、 ○○○〔又は△△△〕という表現は、先に〔 〕の外の
○○○を読んだときには、以下の○○○〔又は△△△〕
のときにも、〔 〕の外の○○○を読むことにする。そ
れに対して先に○○○を読まずに〔 〕内の△△△の方
を選択して読んだときには、以下の○○○〔又は△△
△〕のときにも○○○を読まずに〔 〕内の△△△を読
むものとする。
すでに知られているように、記録をしない時にも、例え
ば媒体における所定の記録場所をアクセスするためにレ
ーザービームを非常な低レベル*で点灯することがあ
る。また、レーザービームを再生に兼用するときには、
非常な低レベル*の強度でレーザービームを点灯させる
ことがある。本発明においても、レーザービームの強度
をこの非常な低レベル*にすることもある。しかし、ビ
ットを形成するときの低レベルは、この非常な低レベル
*よりも高い。従って、例えば、本発明におけるレーザ
ービームの出力波形は、次の通りになる。
また、本発明では、レーザービームを「近接した2本の
ビーム」とし、先行ビームを低レベルで点灯して原則と
して変調せず、それにより常に「A向き」〔又は「逆A
向き」〕のビットを形成し−つまり、これで前の情報が
消去される−、後行ビームを高レベルと前記低レベルよ
りも低いレベル(ゼロレベルを含む)との間で情報に従
いパルス変調することにより、高レベルのときにのみA
向き(又は逆A向き」〕のビットを形成し、これにより
記録することをしてもよい。
ここでは「A向き」を便宜的に本明細書紙面において上
向きの矢で示し、「逆A向き」を下向きの矢で示
す。
記録磁界(Hb)は、本来的には記録時に必要なものであ
るが、その磁場をレーザービームのスポットのように微
小領域に絞り込むことはできない。そのため記録磁界印
加手段からは、第4図に示すようにレーザービームのス
ポット位置の前後(つまり記録の前と後の位置)に漏れ
磁界が及ぶ。この漏れ磁界を本発明では積極的に利用す
る。そのため、本発明の記録媒体は、この記録磁界(H
b)により第2層のみを記録直前まで「A向き」に磁
化する。この状態を概念的に表すと、次のようになる。
本発明の媒体は、第1層第2層ともに遷移金属(transi
tion metal)−重希土類金属(heavy rare earth meta
l)合金組成から選択され、第2層は補償温度を有する
ものである。
この場合には、各合金としての外部に現れる磁化の向き
及び大きさは、合金内部の遷移金属原子(以下、TMと略
す)のスピン(spin)の向き及び大きさと重希土類金属
原子(以下、REと略す)のスピンの向き及び大きさとの
関係で決まる。例えばTMのスピンの向き及び大きさを点
線のベクトルで表わし、REのスピンのそれを実線のベ
クトル↑で表し、合金全体の磁化の向き及び大きさを二
重実線のベクトルで表す。このとき、ベクトルはベ
クトルとベクトル↑との和として表わされる。ただ
し、合金の中ではTMスピンとREスピンとの相互作用のた
めにベクトルとベクトル↑とは、向きが必ず逆になっ
ている。従って、と↑との和或いは↓ととの和は、
両者の強度が等しいとき、合金のベクトルはゼロ(つま
り、外部に現れる磁化の大きさはゼロ)になる。このゼ
ロになるときの合金組成は補償組成(compensation com
position)と呼ばれる。それ以外の組成のときには、合
金は両スピンの強度差に等しい強度を有し、いずれか大
きい方のベクトルの向きに等しい向きを有するスベクト
ル(又は)を有する。このベクトルの磁化が外部に
現れる。例えば はとなり、 はとなる。
ある合金組成のTMスピンとREスピンの各ベクトルの強度
が、どちらか一方が大きいとき、その合金組成は、強度
の大きい方のスピン名をとって○○リッチ例えばREリッ
チであると呼ばれる。
第1層と第2層の両方について、TMリッチな組成とREリ
ッチな組成とに分けられる。従って、縦軸座標に第1層
の組成を横軸座標に第2層の組成をとると、次の4象限
に分類することができる。
〔縦横座標の交点は、両層の補償組成を表す。〕 本発明の媒体は、1象限(Pタイプ)とIV象限(Aタイ
プ)に存在する。本発明の媒体では、第1層と第2層と
の間に交換結合力が働いており、或る高温度状態で第1
層に磁化がなく第2層に例えば「A向き」磁化がある
とき、更に冷却(放冷)が進み温度が低下すると、第1
層にも磁化が現れるが、そのとき第1層は交換結合力に
より第2層の磁化の影響を受けて、第1層に第2層と同
一の「A向き」磁化が現れる場合と、第2層とは反対
の「逆A向き」磁化が現れる場合の2種類がある。こ
こでは、前者の媒体をPタイプ、後者の媒体をAタイプ
と呼ぶ。
本発明の媒体では、第1層はTMリッチでもREリッチでも
よく、TMリッチな場合はIV象限(Aタイプ)になり、RE
リッチな場合はI象限(Pタイプ)になる。
一方、温度変化に対する保磁力の変化を見ると、キュリ
ー点(保磁力ゼロの温度)に達する前に保磁力が一旦無
限大に増加してまた降下すると言う特性を持つ合金組成
がある。この無限大のときに相当する温度は補償温度
(Tcomp.)と呼ばれる。
第2層は室温以上に補償温度を有するが、第1層は室温
以上に補償温度を有しても有しなくともよい。従って、
本発明の媒体は、第1層が補償温度を有しないもの(タ
イプ1)と有するもの(タイプ2)にも分類され、TMリ
ッチなIV象限(Aタイプ)の媒体はタイプ2のみ、REリ
ッチなI象限(Pタイプ)は、タイプ1と2の両方が存
在する。タイプ1と2の媒体について、「保磁力と温度
との関係を表すグラフ」を書くと、次のとおりになる。
なお、細線は第1層のそれであり、太線は第2層のそれ
である。
タイプ1 タイプ2 本発明の媒体は、いずれのタイプにおいても第1層が室
温で記録磁界により磁化が反転しない十分に大きな保磁
力HC1を持ち、キュリー点TC1が第2層に比べて相対的に
低い。また、第2層は、REリッチであり、第1層のキュ
リー点と同一又はその近傍に補償温度Tcomp.2を持つキ
ュリー点の高い層である。更に第2層は室温では記録媒
体Hbがあるときには、磁化の向きが容易にその方向に揃
えられ、Hbの実質的な影響がないときには、(交換結合
力により)第1層の各スピンの影響を受けて第2層の各
スピンが第1層のそれと同一の向きを向くことができる
(つまり磁化の転写ができる)ような小さな保磁力を有
し、一方Tcomp.2付近では磁化がHbにより反転できない
ほど大きい保磁力HC2を有する。
以上のことを式で表すと、次のようになる。
(1) TR<Tc1TLTcomp.2<TH,Tc2 (この式は、THとTC2との大小関係は問わないが、いず
れもTc1TLTcomp.2より大きいことを意味する。) そして、室温において、 ただし、複合(;±)は、上段が第1層がTMリッチな
媒体(Aタイプ・IV象限)であり、下段が第1層がREリ
ッチな媒体(Pタイプ・I象限)であり、使用した記号
は次の意味である。
TR:室温 TL:低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
の温度 TH:高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
の温度 Tc1:第1層のキュリー点 Tc2:第2層のキュリー点 Tcomp.2:第2層の補償温度 Hc1:第1層の保磁力 Hc2:第2層の保磁力 Ms1:第1層の飽和磁気モーメント Ms2:第2層の飽和磁気モーメント t1:第1層の膜厚 t2:第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー Hb:記録磁界 室温でのヒステリシス・カーブを書くと、Pタイプ媒体
(I象限・第1層がREリッチ)については次のようにな
る。
尚、第1層と第2層との間の−は界面磁壁であり、ヒス
テリシス・カーブ中の太線は交換結合力によりバイアス
された第2層のヒステリシス・カーブである。Hbの大き
さは図中の範囲内であればよいが、左端に近い値が好
ましい。
Aタイプ媒体(I象限・第1層がTMリッチのもの)につ
いては室温でのヒステリシス・カーブは、次のようにな
る。
尚、第1層と第2層との間の−は界面磁壁であり、ヒス
テリシス・カーブ中の太線は交換結合力によりバイアス
された第2層のヒステリシス・カーブである。Hbの大き
さは図中の範囲内であればよいが、左端に近い値が好
ましい。
なお、第1層第2層ともにそれぞれが多層構造であって
もよく、また両層の間に明確な境界がなく徐々に一方か
ら他方に変化している不均質構造でもよい。
ここで、Pタイプ媒体について本発明の記録の原理を詳
細に説明する。
この媒体は、「A向き」磁化又はそのビットをで表示
し、「逆向き」磁化又はそのビットをで表示すると、
前の記録後の状態では、概念的に次の状態1になってい
る。
そして、記述のように記録磁界印加手段は、レーザービ
ームのスポットのように微小領域に絞って磁界を印加す
ることはできず、第4図に示すように、その前後にもHb
が漏れて、第1層第2層にHbを及ぼし、このHbはビーム
のスポット位置まで印加され続ける。
そのため、例えば「A向き」↑の記録磁界Hbの影響を受
けた第2層は、記録の直前まで、「A向き」の磁化状
態となる。この状態を概念的に表すと、状態2のように
なる。
なお、太線−は界面磁壁を示す(以下同じ)。
−高温サイクル− ここにおいて、高レベルのレーザービームを照射して媒
体温度をまずTLに上昇させる。すると、TLは第1層のキ
ュリー点TC1にほぼ等しいので状態2の(a)、(b)
共に第1層の磁化は消失する。
一方、第2については近くに補償温度 Tcomp.2があるので、このまま温度が上昇してTcomp.2
越えると磁化状態に重大な変化が起きる。つまり、T
comp.2の前の「A向き」の磁化 は、Tcomp.2を越えると、RE、TM各スピンの方向は変わ
らないが、強度の大小関係が逆転する 。そのため、第2層の磁化は逆転し、「逆A向き」の磁
化になる。
この結果、状態3Hとなる。
この温度では、HC2がまだ大きいので↑Hbにより第2層
の磁化が反転されることはない。
しかし、更に温度が上昇してTHに達すると、HC2が小さ
くなり、↑Hbにより反転される。この状態が状態4Hであ
る。
THがもう少し高く、そのため更に温度が上昇してHC2
ゼロになってもよく、その場合には、次にレーザービー
ムのスポット領域から外れると、媒体は自然に冷却され
(冷却過程)温度が低下するが、そのとき少し低下した
ところで↑Hbにならった向きの磁化が現れ、状態4Hにな
る。
ともかく、更にレーザービームのスポット領域から外れ
て媒体温度が低下し、Tcomp.2を越えるとそのとき前と
同様の変化が起きる。つまり、Tcomp.2の後の「A向
き」の磁化 は、Tcomp.2を越えると、RE、TM各スピンの方向は変わ
らないが、強度の大小関係が逆転する 。そのため、第2層の磁化は逆転し、「逆A向き」の磁
化になる。これが状態5Hである。
尚、この温度ではHC2が十分大きいのでHbで反転しな
い。
そして、更に少し冷えると、媒体温度はTC1より低下
し、そのとき第1層に磁化が現れる。このとき、第2層
からの交換結合力がREスピ同士(↓)、TMスピン同士
()を揃えるように働く。その結果、 つまりの磁化が出現する。この状態が状態6Hである。
この温度では、第2層の保磁力HC2が↑Hbより大きいの
で反転せず、また第1層の磁化は交換結合力の効果がHb
より大きいので反転せず状態6Hが保たれる。
そして、更に媒体温度が低下すると、HC1は急激に増大
し、Hbの影響を受けなくなる。それに対してHC2は小さ
くなるので、第2層のみが↑Hbにより反転されて状態7H
となる。
この状態は室温まで続くが、媒体が回転してやがて記録
磁界印加手段から遠ざかると、Hbの影響がなくなる。し
かし、今度は条件式(3)により第2層の磁化が交換結
合力により再び反転して状態8Hになる。
この高レベルのレーザービームによる状態の変化をここ
では高温サイクルと呼ぶことにする。
−低温サイクル− 低レベルのレーザービームを照射して媒体温度をTLに上
昇させる。TLはキュリー点TC1付近なので状態2の
(a)、(b)共に第1層の磁化は消失する。
一方、第2層については近くに補償温度Tcomp.2がある
ので、仮にこのまま温度が上昇してTLが多少Tcomp.2
越えた場合と越えない場合がある。
(1) 越えた場合: このときは第2層の磁化状態に重大な変化が起きる。つ
まり、Tcomp.2の前の「A向き」の磁化 は、Tcomp.2越えると、RE、TM各スピンの方向は変わら
ないが、強度の大小関係が逆転する 。そのため、第2層の磁化は逆転し、「逆A向き」の磁
化になる。
この結果、状態3L(1)となる。
(2) 越えない場合: この場合には、第2層の磁化の向きとしては状態2と変
わらない。これが状態3L(2)である。
いずれにせよ、この温度ではHC2は大きいので↑Hbの影
響を受けない。
次いで、レーザービームのスポット領域から外れて媒体
温度が低下すると、TLがTcomp.2を多少越えた場合と越
えない場合で変化が異なる。
(1) 越えた場合: 第2層の磁化は、Tcomp.2の後の「逆A向き」の磁化 から、Tcomp.2越えると、RE、TMスピンの方向は変わら
ないが、強度の大小関係が逆転する 。そのため、第2層は磁化は逆転し、「A向き」の磁化
になる。これが状態4L(1)である。
(2) 越えない場合: この場合には、第2層の磁化の向きとしては状態3
L(2)と変わらない。これが状態4L(2)である。
従って、TLがTcomp.2を多少越えても越えなくと、媒体
温度が少し低下すると、状態4L(1)、(2)に示すよ
う同じ状態となる。
この状態から更にレーザービームのスポット領域から遠
ざかるに従い媒体温度はより低下し、TC1より少し低下
すると、第1層に磁化が現れる。このとき、第2層から
の交換結合力がREスピ同士(↑)、TMスピン同士()
を揃えるように働く。その結果、 つまりの磁化が出現する。この状態が状態5Lである。
この状態は室温まで続き、媒体が回転してやがて記録磁
界印加手段から遠ざかりHbの影響がなくなっても同じ状
態のままである。
以上、第1層に補償温度がない媒体について説明した
が、ある媒体についてもほぼ同様に説明できる。
この低レベルのレーザービームによる状態の変化をここ
では低温サイクルと呼ぶことにする。
なお、低温サイクルでは、記録磁界(Hb)は、不要であ
るが、高速度(短時間)でHbをON,OFFすることは不可能
であるので、止むを得ず高温サイクルのときのままにな
っている。
以上、説明したように、第1層の磁化の向きがどうであ
れ、高温サイクルと低温サイクルとによって、第1層第
2層共に「A向き」磁化: のビットと「逆A向き」磁化: が形成される。つまり、レーザービームを情報に従い高
レベル(高温サイクル)と低レベル(低温サイクル)と
の間でパルス状に変調することによりオーバーライトが
可能となる。そして情報は第1層第2層の両方に残る。
なお、前述のように先行ビームを低レベルで常時点灯し
て低温サイクルで消去を行ない、後行ビームを情報に従
いパルス変調し、そのハイレベルのときに高温サイクル
で記録を行なってもよい。
次に、Aタイプ媒体について本発明の記録の原理を詳細
に説明する。
この媒体は、「A向き」磁化又はそのビットをで代表
させ、「逆向き」磁化又はそのビットをで代表させる
と、前の記録後の状態では、概念的に次の状態1になっ
ている。
そして、記述のように記録磁界印加手段は、レーザービ
ームのスポットのように微小領域に絞って磁界に印加す
ることはできず、第4図に示すように、その前後にもHb
が漏れて、第1層第2層にHbを及ぼし、このHbはビーム
のスポット位置まで印加され続ける。
そのため、例えば「A向き」↑の記録磁界Hbの影響を受
けた第2層は、記録の直前まで、「A向き」の磁化状
態となる。この状態を概念的に表すと、状態2のように
なる。
−高温サイクル− ここにおいて、高レベルのレーザービームを照射して媒
体温度をまずTLに上昇させる。すると、TLは第1層のキ
ュリー点TC1にほぼ等しいので状態2の(a)、(b)
共に第1層の磁化は消失する。
一方、第2層については近くに補償温度Tcomp.2がある
ので、このまま温度が上昇してTcomp.2を越えると磁化
状態に重大な変化が起きる。つまり、Tcomp.2の前の
「A向き」の磁化 は、Tcomp.2を越えると、RE、TM各スピンの方向は変わ
らないが、強度の大小関係が逆転する 。そのため、第2層の磁化は逆転し、「逆A向き」の磁
化になる。
この結果、状態3Hとなる。
この温度では、HC2がまだ大きいので↑Hbにより第2層
の磁化が反転されることはない。しかし、更に温度が
上昇してTHに達すると、HC2が小さくなり、↑Hbにより
反転される。この状態が状態4Hである。
THがもう少し高く、そのため更に温度が上昇してHC2
ゼロになってもよく、その場合には、次にレーザービー
ムのスポット領域から外れると、媒体は自然に冷却され
(冷却過程)温度が低下するが、そのとき少し低下した
ところで↑Hbにならった向きの磁化が現れ、状態4Hにな
る。
ともかく、更にレーザービームのスポット領域から外れ
て媒体温度が低下し、Tcomp.2を越えるとそのとき前と
同様の変化が起きる。つまり、Tcomp.2の後の「A向
き」の磁化 は、Tcomp.2を越えると、RE、TM各スピンの方向は変わ
らないが、強度の大小関係が逆転する 。そのため、第2層の磁化は逆転し、「逆A向き」の磁
化になる。これが状態5Hである。
そして、更に少し冷えると、媒体温度はTC1より低下
し、そのとき第1層に磁化が現れる。このとき、第2層
からの交換結合力がREスピ同士(↓)、TMスピン同士
()を揃えるように働く。その結果、 つまりの磁化が出現する。この状態が状態6Hである。
この温度では、第2層の保磁力HC2が↑Hbより大きいの
で反転せず、また第1層の磁化は交換結合力の効果がHb
より大きいので反転せず状態6Hが保たれる。
そして、更に媒体温度が低下すると、HC1は急激に増大
し、Hbの影響を受けなくなる。それに対してHC2は小さ
くなるので、第2層のみが↑Hbにより反転されて状態7H
となる。
この状態は室温まで続くが、媒体が回転してやがて記録
磁界印加手段から遠ざかると、Hbの影響がなくなる。し
かし、今度は条件式(3)により第2層の磁化が交換結
合力により再び反転して状態8Hになる。
この高レベルのレーザービームによる状態の変化をここ
では高温サイクルと呼ぶことにする。
−低温サイクル− 低レベルのレーザービームを照射して媒体温度をTLに上
昇させる。TLはキュリー点TC1付近なので状態2の
(a)、(b)共に第1層の磁化は消失する。
一方、第2層については近くに補償温度Tcomp.2がある
ので、仮にこのまま温度が上昇してTLが多少Tcomp.2
越えた場合と越えない場合がある。
(1) 越えた場合: このときは第2層の磁化状態に重大な変化が起きる。つ
まり、Tcomp.2の前の「A向き」の磁化 は、Tcomp.2を越えると、RE、TM各スピンの方向は変わ
らないが、強度の大小関係が逆転する 。そのため、第2層の磁化は逆転し、「逆A向き」の磁
化になる。
この結果、状態3L(1)となる。
(2) 越えない場合: この場合には、第2層の磁化の向きとしては状態2と変
わらない。これが状態3L(2)である。
いずれにせよ、この温度ではHC2は大きいので↑Hbの影
響を受けない。
次いで、レーザービームのスポット領域から外れて媒体
温度が低下すると、TLがTcomp.2を多少越えた場合と越
えない場合で変化が異なる。
(1) 越えた場合: 第2層の磁化は、Tcomp.2の後の「逆A向き」の磁化 から、Tcomp.2越えると、RE、TM各スピンの方向は変わ
らないが、強度の大小関係が逆転する 。そのため、第2層の磁化は逆転し、「A向き」の磁化
になる。これが状態4L(1)である。
(2)越えない場合: この場合には、第2層の磁化の向きとしては状態3
L(2)と変わらない。これが状態4L(2)である。
従って、TLがTcomp.2を多少越えても越えなくとも、媒
体温度が少し低下すると、状態4L(1)、(2)に示す
よう同じ状態となる。
この状態から更にレーザービームのスポット領域から遠
ざかるに従い媒体温度はより低下し、TC1より少し低下
すると、第1層に磁化が現れる。このとき、第2層 からの交換結合力がREスピ同士(↑)、TMスピン同士
()を揃えるように働く。その結果、 つまりの磁化が↑Hbに逆らって出現する。この状態が
状態5Lである。
この状態は室温まで続き、媒体が回転してやがて記録磁
界印加手段から遠ざかりHbの影響がなくなっても同じ状
態のままである。
この低レベルのレーザービームによる状態の変化をここ
では低温サイクルと呼ぶことにする。
なお、低温サイクルでは、記録磁界(Hb)は、不要であ
るが、高速度(短時間)でHbをON,OFFすることは不可能
であるが、止むを得ず高温サイクルのときのままになっ
ている。
以上、説明したように、第1層の磁化の向きがどうであ
れ、高温サイクルと低温サイクルとによって、互いに反
対向きの磁化を有するビットつまり: のビットと のビットが形成される。
その結果、レーザービームを情報に従い高レベル(高温
サイクル)と低レベル(低温サイクル)との間でパルス
状に変調することによりオーバーライトが可能となる。
もちろん前述のように先行ビームを低レベルで常時点灯
して低温サイクルで消去を行ない、後行ビームを情報に
従いパルス変調し、そのハイレベルのときに高温サイク
ルで記録を行ってもよい。
まとめ: Pタイプ媒体の場合 Aタイプ媒体の場合 以上のとおり、本発明によれば第1層第2層の両方に情
報が記録され保存されるので、第1層第2層のいずれか
に直線偏光を照射すれば、その反射光には情報が含まれ
ているので、従来の光磁気記録媒体と同様に情報が再生
される。
しかし、第2層の方がキュリー点が高く、しかも今のと
ころ第2層として入手できる磁性材料の方が第1層に比
べカー回転角θkが大きいので、第2層から再生する方
がC/N比が高くなるので好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発
明はこれに限定されるものではない。
(実施例1………………Aタイプ光磁気記録媒体) 2元の電子ビーム加熱真空蒸着装置を用い、下記第2表
に示す蒸発源を2個所に置く。
厚さ1.2mm、直径200mmのディスク状ガラス基板を該装置
のチャンバー内にセットする。該装置のチャンバー内を
一旦1×10-6Torr.以下の真空度に排気する。その後、
真空度を1〜2×10-6Torr.に保持しながら、蒸着速度
約3Å/秒で、蒸着を行なう。これにより基板上に、厚
さ1500ÅのGd28Fe50Co22(注:添字の数字は、原子%)
の第2層(記録補助兼再生層)を形成する。続いて、真
空状態を保持したまま蒸発源を取り替える。そして、ま
た蒸着を行ない、第2層の上に厚さ300ÅのTb24Fe76
第1層(記録層)を形成する。第1及び第2層ともに垂
直磁化膜である。
こうして、第1層がTMリッチのAタイプ・IV象限・タイ
プ2のディスク状2層光磁気記録媒体No.1が製造され
た。
この媒体の製造条件及び特性を下記第1表に示す。
この媒体は、TL=140℃、TH=180℃(実施例4参照)と
すれば、 式(1): TR<Tc1TLTcomp.2<Tc2,TH を満足する。
また、式(2): を満足している。更に、式(3): を満足しているので、記録磁界の影響がなくなると第2
層の磁化は第1層の影響を受けて、結局第1層の情報が
第2層に転写される。
更に、式(4)において、 であるので、記録磁界Hbを例えば200 Oeにすればよい。
(実施例2……………Pタイプ光磁気記録媒体) 2元のRFマグネトロン・スパッタリング装置を用い、下
記第2表に示すターゲットを2個置く。厚さ1.2mm、直
径200mmのディスク状ガラス基板を該装置のチャンバー
内にセットする。
該装置のチャンバー内を一旦7×10-7Torr.以下の真空
度に排気した後、Arガスを5×10-3Torr.導入する。そ
して、堆積(deposition)速度約2Å/秒で、スパッタ
リングを行なう。これにより基板上に、厚さ1500ÅのGd
28Fe50Co22の第2層を形成する。続いて、真空状態を保
持したまま、ターゲットを変える。そして、またスパッ
タリングを行ない、第2層の上に厚さ300ÅのTb28Fe76
の第1層を形成する。第1層第2層ともに垂直磁化膜で
ある。
こうして、第1層がREリッチのPタイプ・I象限・タイ
プ2の2層光磁気記録媒体No.2が製造された。
このディスク状媒体の製造条件及び特性を下記第2表に
示す。
この媒体は、TL=140℃、TH=180℃(実施例5参照)と
すれば、 式(1): TR<Tc1TLTcomp.2<Tc2,TH を満足する。
また、式(2): を満足する。更に式(3): を満足しているので、記録磁界Hbの影響がなくなると第
2層の磁化は第1層の影響を受けて、結局第1層の情報
が第2層に転写される。
更に、式(4)において、 であるので、記録磁界Hbを例えば200 Oeにすればよい。
(実施例3………………光磁気記録兼再生装置) この装置は記録も再生も可能であり、その全体構成を第
5図(概念図)に示す。
この装置は、基本的には、 (a) 記録媒体20の回転手段21; (b) 直線偏光光源を兼ねたレーザービーム光源23; (c) 記録すべき2値化情報に従い、ビーム強度を、
(1)上向き磁化を有するビットと下向き磁化を有する
ビットの何れか一方のビットを形成させるのに適当な媒
体温度THを与える高レベルと、(2)他方のビットを形
成させるのに適当な媒体温度TLを与える低レベルとにパ
ルス状に変調する手段24; (d) 記録磁界Hb印加手段25; (e) 第2層に照射された直線偏光の反射光を受光し
て反射光に含まれた情報を電気信号の形で再生する再生
手段を構成する光アナライザー30及びディテクター31; からなる。
記録磁界Hb印加手段25として、ここでは出力が200 Oeで
磁界の向きが「A向き」↑の電磁石を使用する。この電
磁石25は、ディスク状媒体のの半径方向の長さにほぼ相
当する長さを有する棒状のものを固定して設置する。電
磁石25は、光源23を含む記録ヘッド(ピックアップ)と
共に移動させることはしないことにする。その方がピッ
クアップが軽くなり、高速アクセスが可能になる。ま
た、この電磁石25は、再生時には通電を止めて機能を停
止させておく。
(実施例4…………光磁気記録・再生) 実施例3の記録兼再生装置(第5図参照)を使用して光
磁気記録/再生を実施する。まず、回転手段21で実施例
1(No.1)の記録媒体20を8.5m/秒の一定線速度で移動
させる。
その媒体20に対し、レーザービームを基板側から(つま
り、第2層側から)照射する。このビームは、手段24に
より高レベル時:7.1mW(on disk)、低レベル時:5.7mW
(on disk)の出力がでるように調整されている。そし
てビームは、手段24により情報に従いパルス状に変調さ
れる。ここでは、記録すべき情報を周波数1MHzの信号と
した。従って、ビームを周波数1MHzで変調させながら媒
体20に照射した。これにより、1MHzの信号が記録された
はずである。
そこで、同じ装置で今度は記録磁界Hbをゼロ(ゼロにせ
ず実質的に差し支えない程度に弱くしてもよい)にし、
レーザービームを基板側から(つまり、第2層側から)
照射して再生を行なった。ただし、ビーム強度は、手段
24により1mW(on disk)とした。その結果、C/N比=59d
Bで1MHzの信号が再生された。
次に媒体20の既に記録した領域に、同様に記録磁界を印
加し今度は周波数2MHzの信号を新たな情報として記録し
た。この情報を同様に再生すると、C/N比=58dBで新た
な情報が再生された。このとき、1MHzの信号(前の情
報)は全く現れなかった。
この結果、オーバーライトが可能であることが判った。
なお、この条件では、媒体の温度は、高レベル時:TH
180℃、低レベル時:TL=140℃に達する。
(実施例5…………光磁気記録・再生) 実施例4と同様に光磁気記録・再生を実施した。
実施例2(No.2)の媒体20に対し、レーザービームを基
板側から(つまり、第2層側から)照射する。このビー
ムは、手段24により高レベル時:7.1mW(on disk)、低
レベル時:5.7mW(on disk)の出力がでるように調整さ
れている。そしてビームは、手段24により情報に従いパ
ルス状に変調される。ここでは、記録すべき情報を周波
数1MHzの信号とした。従って、ビームを周波数1MHzで変
調させながら媒体20に照射した。これにより、1MHzの信
号が記録されたはずである。
そこで、同じ装置で今度は記録磁界Hbをゼロ(ゼロにせ
ず実質的に差し支えない程度に弱くしてもよい)にし、
レーザービームを基板側から(つまり、第2層側から)
照射して再生を行なった。ただし、ビーム強度は、手段
24により1mW(on disk)とした。その結果、C/N比=59d
Bで1MHzの信号が再生された。
次に媒体20の既に記録した領域に、同様に今度は記録磁
界Hb=200 Oeにし周波数3MHzの信号を新たな情報として
記録した。この情報を同様に再生すると、C/N比=57dB
で新たな情報が再生された。このとき、1MHzの信号(前
の情報)は全く現れなかった。
この結果、オーバーライトが可能であることが判った。
なお、この条件では、媒体の温度は、高レベル時:TH
180℃、低レベル時:TL=140℃に達する。
〔発明の効果〕
以上のとおり、本発明によれば、オーバーライトが可能
であり、しかも第1層第2層の両方に同じ情報が記録さ
れるので、第1層第2層のいずれに直線偏光を照射し、
その反射光から情報を再生してもよい。
現在のところ第1層の材料に比べ第2層の材料の方がキ
ュリー点が高く(それだけ、再生時に強い直線偏光を照
射できC/N比が高くなる)、かつθkが大きいことか
ら、第2層から再生すると、第1層からの場合に比べC/
N比が高くなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明にかかるディスク状多層光磁気記録媒
体の垂直断面を説明する概念図である。 第2図は、光磁気記録方式の記録原理を説明する概念図
である。 第3図は、光磁気記録方式の再生原理を説明する概念図
である。 第4図は、本発明に従い記録媒体に記録する際、記録磁
界Hbがレーザービームのスポットの前と後ろにも及ぶこ
とを説明する概念図である。 クロクハッチングの部分がスポットに照らされて放射熱
で加熱される部分である。 第5図は、本発明の実施例3にかかる光磁気記録兼再生
装置の全体構成を示す概念図である。 〔主要部分の符号の説明〕 L……レーザービーム Lp……直線偏光 B1……「A向き」磁化を有するビット B0……「逆A向き」磁化を有するビット 1……記録層 2……記録補助層 20……オーバーライト可能な光磁気記録媒体 20a……基板 21……記録媒体を回転させる回転手段 22……欠番 23……直線偏光光源と兼用したレーザービーム光源 24……記録すべき2値化情報に従い、ビーム強度を、
(1)「A向き」磁化を有するビット又は「逆A向き」
磁化を有するビットの何れか一方を形成するのに適当な
温度を媒体に与える高レベルと、(2)他方のビットを
形成するのに適当な温度を媒体に与える低レベルとにパ
ルス状に変調する手段 25……記録磁界Hb印加手段 26……コリメーターレンズ 27……対物レンズ 28……欠番 29……ビームスプリッター 30……アナライザー 31……ディテクター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−133338(JP,A) 特開 昭63−133337(JP,A) 特開 昭63−74147(JP,A)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】垂直磁気異方性を有する第1層を記録層と
    し、垂直磁気異方性を有する第2層を記録補助層とする
    オーバーライト可能なディスク状多層光磁気記録媒体で
    あって、 第1層は、第2層に比べて室温で保磁力が高くキュリー
    点が低く、かつ第1層は遷移金属−重希土類金属合金組
    成から選択された遷移金属リッチ又は重希土類リッチな
    磁性薄膜であり、第2層は第1層に比べて室温で保磁力
    が低くキュリー点が高く、第2層は第1層のキュリー点
    と同一又はその近傍の補償温度を有し、かつ、第2層
    は、遷移金属−重希土類金属合金組成から選択された重
    希土類リッチな磁性薄膜であり、 前記第1層は、上向き又は下向きの何れか一方の向きで
    ある「A向き」の記録磁界を印加されても室温で磁化が
    変化せず、 前記第2層は、「A向き」の記録磁界の下では室温で
    「A向き」に磁化が揃い、 記録すべき情報に従い変調されたレーザービームが照射
    されて、 該ビームの強度が高レベルの時にはビームの放射熱で第
    1層第2層両方の磁化がゼロ又は弱になり、 次いでビームがなくなり冷却が始まると、その冷却過程
    で前記記録磁界の影響で第2層に「A向き」磁化を有す
    るビットが形成され、これは更なる冷却過程で反転して
    「逆A向き」磁化を有するビットが形成され、更に冷却
    が進むと、第2層の「逆A向き」磁化の影響で第1層に
    「逆A向き」〔又は「A向き」〕磁化を有するビットが
    形成され、 次いで第2層の「逆A向き」磁化が「A向き」の記録磁
    界の影響で「A向き」に反転させられても、記録磁界の
    影響がなくなるや否や今度は第1層の磁化の影響で再反
    転して「逆A向き」になり、 前記ビームの強度が低レベルの時にはビームの放射熱で
    第1層の磁化のみがゼロ又は弱になり、次いでビームが
    なくなり冷却が始まると、その冷却過程で第2層の「A
    向き」磁化の影響で第1層に「A向き」〔又は「逆A向
    き」〕の磁化を有するビットが形成され、 こうして低レベルビームで形成された第1層第2層のビ
    ットは、この後記録磁界の影響を受けても受けなくとも
    保持されることを特徴とするオーバーライト可能なディ
    スク状多層光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】第1層及び第2層が次の条件式: (1) TR<Tc1TLTcomp.2<TH,Tc2 を満足し、かつ、室温で次の各条件式: を満足する特許請求の範囲第1項記載のオーバーライト
    可能なディスク状多層光磁気記録媒体。 ただし、複合(;±)は、上段が第1層が遷移金属リ
    ッチな場合であり、下段が第1層が重希土類リッチな場
    合であり、使用した記号は次の意味である。 TR:室温 TL:低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 TH:高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 Tc1:第1層のキュリー点 Tc2:第2層のキュリー点 Tcomp.2:第2層の補償温度 Hc1:第1層の保磁力 Hc2:第2層の保磁力 Ms1:第1層の飽和磁気モーメント Ms2:第2層の飽和磁気モーメント t1:第1層の膜厚 t2:第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー Hb:記録磁界
  3. 【請求項3】第2層がGdFeCo合金からなることを特徴と
    する特許請求の範囲第2項記載のオーバーライト可能な
    ディスク多層光磁気磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】オーバーライト可能なディスク状多層光磁
    気記録媒体にオーバーライト記録する記録方法に於い
    て、 (a) 前記媒体として次の媒体を使用すること; 垂直磁気異方性を有する第1層を記録層とし、垂直磁気
    異方性を有する第2層を記録補助層とするオーバーライ
    ト可能なディスク状多層光磁気記録媒体であって、 第1層は、第2層に比べて室温で保磁力が高くキュリー
    点が低く、かつ第1層は遷移金属−重希土類金属合金組
    成から選択された遷移金属リッチ又は重希土類リッチな
    磁性薄膜であり、第2層は第1層に比べて室温で保磁力
    が低くキュリー点が高く、第2層は第1層のキュリー点
    と同一又はその近傍の補償温度を有し、かつ、第2層
    は、遷移金属−重希土類金属合金組成から選択された重
    希土類リッチな磁性薄膜であることを特徴とするオーバ
    ーライト可能なディスク状多層光磁気記録媒体。 (b) 前記媒体を移動させること; (c) 上向き又は下向きの何れか一方の向きである
    「A向き」の記録磁界を印加することによって、前記第
    2層の磁化のみを室温で記録直前に「A向き」に揃えて
    おくこと; (d) レーザービームを媒体に照射すること; (e) 前記ビームの強度を記録すべき2値化情報に従
    いパルス状に変調すること; (f) 前記ビームを照射した媒体部分に記録磁界を印
    加すること; (g) 前記ビームの強度が高レベルの時には、まず、
    ビームの放射熱で第1層第2層両方の磁化をゼロ又は微
    弱な状態にし、次いで、ビームがなくなり冷却が始まっ
    た段階で、前記記録磁界により第2層に「A向き」磁化
    を有するビットを形成し、更なる冷却過程で磁化反転し
    て「逆A向き」磁化を有するビットを形成し、更に冷却
    して第2層の前記「逆A向き」磁化により第1層に「逆
    A向き」〔又は「A向き」〕磁化を有するビットを形成
    し、 次いで、「A向き」の記録磁界の影響で第2層の「逆A
    向き」磁化が「A向き」に反転させられても、記録磁界
    の影響がなくなるや否や今度は第1層の磁化の影響で再
    反転して「逆A向き」とし、 前記ビームの強度が低レベルの時には、まずビームの放
    射熱で第1層の磁化のみをゼロ又は微弱な状態にし、次
    いで、ビームがなくなり冷却が始まった段階で、第2層
    の「A向き」磁化により第1層に「A向き」〔又は「逆
    A向き」〕の磁化を有するビットを形成し、 こうして形成された第1層第2層のビットは、この後記
    録磁界の影響を受けても受けなくとも保持されること; からなることを特徴とする記録方法。
  5. 【請求項5】第1層及び第2層が次の条件式: (1) TR<Tc1TLTcomp.2<TH,Tc2 を満足し、かつ、室温で次の各条件式: を満足する特許請求の範囲第4項記載の記録方法。 ただし、複合(;±)は、上段が第1層が遷移金属リ
    ッチな場合であり、下段が第2層が重希土類リッチな場
    合であり、使用した記号は次の意味である。 TR:室温 TL:低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 TH:高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 Tc1:第1層のキュリー点 Tc2:第2層のキュリー点 Tcomp.2:第2層の補償温度 Hc1:第1層の保磁力 Hc2:第2層の保磁力 Ms1:第1層の飽和磁気モーメント Ms2:第2層の飽和磁気モーメント t1:第1層の膜厚 t2:第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー Hb:記録磁界
  6. 【請求項6】レーザービームが、先行ビームと後行ビー
    ムの近接した2本のビームからなり、先行ビームは強度
    を原則として変調しない前記低レベルとし、後行ビーム
    は強度を情報に従い前記高レベルにパルス変調すること
    を特徴とする特許請求の範囲第4項記載の記録方法。
  7. 【請求項7】次の記録方法でオーバーライト記録された
    オーバーライト可能なディスク状多層光磁気記録媒体の
    第2層にレーザービームを照射して再生する再生方法。 (a) 前記媒体として次の媒体を使用すること; 垂直磁気異方性を有する第1層を記録層とし、垂直磁気
    異方性を有する第2層を記録補助層とするオーバーライ
    ト可能なディスク状多層光磁気記録媒体であって、 第1層は、第2層に比べて室温で保磁力が高くキュリー
    点が低く、かつ第1層は遷移金属−重希土類金属合金組
    成から選択された遷移金属リッチ又は重希土類リッチな
    磁性薄膜であり、第2層は第1層に比べて室温で保磁力
    が低くキュリー点が高く、第2層は第1層のキュリー点
    と同一又はその近傍の補償温度を有し、かつ、第2層
    は、遷移金属−重希土類金属合金組成から選択された重
    希土類リッチな磁性薄膜であることを特徴とするオーバ
    ーライト可能なディスク状多層光磁気記録媒体。 (b) 前記媒体を移動させること; (c) 上向き又は下向きの何れか一方の向きである
    「A向き」の記録磁界を印加することによって、前記第
    2層の磁化のみを室温で記録直前に「A向き」に揃えて
    おくこと; (d) レーザービームを媒体に照射すること; (e) 前記ビームの強度を記録すべき2値化情報に従
    いパルス状に変調すること; (f) 前記ビームを照射した媒体部分に記録磁界を印
    加すること; (g) 前記ビームの強度が高レベルの時には、まず、
    ビームの放射熱で第1層第2層両方の磁化をゼロ又は微
    弱な状態にし、次いで、ビームがなくなり冷却が始まっ
    た段階で、前記記録磁界により第2層に「A向き」磁化
    を有するビットを形成し、更なる冷却過程で磁化反転し
    て「逆A向き」磁化を有するビットを形成し、更に冷却
    して第2層の前記「逆A向き」磁化により第1層に「逆
    A向き」〔又は「A向き」〕磁化を有するビットを形成
    し、 次いで、「A向き」の記録磁界の影響で第2層の「逆A
    向き」磁化が「A向き」に反転させられても、記録磁界
    の影響がなくなるや否や今度は第1層の磁化の影響で再
    反転して「逆A向き」とし、 前記ビームの強度が低レベルの時には、まずビームの放
    射熱で第1層の磁化のみをゼロ又は微弱な状態にし、次
    いで、ビームがなくなり冷却が始まった段階で、第2層
    の「A向き」磁化により第1層に「A向き」〔又は「逆
    A向き」〕の磁化を有するビットを形成し、 こうして形成された第1層第2層のビットは、この後記
    録磁界の影響を受けても受けなくとも保持されること; からなることを特徴とする記録方法。
  8. 【請求項8】前記第1層及び第2層が次の条件式: (1) TR<Tc1TLTcomp.2<TH,Tc2 を満足し、そして室温で次の各条件式: を満足する特許請求の範囲第7項記載の再生方法。 ただし、複合(;±)は、上段が第1層が遷移金属リ
    ッチな場合であり、下段が第1層が重希土類リッチな場
    合であり、使用した記号は次の意味である。 TR:室温 TL:低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 TH:高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 Tc1:第1層のキュリー点 Tc2:第2層のキュリー点 Tcomp.2:第2層の補償温度 Hc1:第1層の保磁力 Hc2:第2層の保磁力 Ms1:第1層の飽和磁気モーメント Ms2:第2層の飽和磁気モーメント t1:第1層の膜厚 t2:第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー Hb:記録磁界
  9. 【請求項9】オーバーライト可能な光磁気記録装置に於
    いて、この装置が (a) オーバーライト可能なディスク状多層光磁気記
    録媒体を回転させる手段; (b) レーザービーム光源; (c) 記録すべき2値化情報に従いビーム強度を、
    (1)上向き磁化を有するビットと下向き磁化を有する
    ビットのいずれか一方のビットを形成させるのに適当な
    温度を媒体に与える高レベルと、(2)他方のビットを
    形成させるのに適当な温度を媒体に与える低レベルとに
    パルス状に変調する手段; (d) 記録磁界Hbの印加手段; からなることを特徴とするオーバーライト可能な記録装
    置。 ただし、記録磁界Hbは次の条件を満足する。 ここで、複合(;±)は、上段が第1層が遷移金属リ
    ッチな場合であり、下段が第1層が重希土類リッチな場
    合であり、使用した記号は次の意味である。 Hc1:第1層の保磁力 Hc2:第2層の保磁力 Ms1:第1層の飽和磁気モーメント Ms2:第2層の飽和磁気モーメント t1:第1層の膜厚 t2:第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー Hb:記録磁界
  10. 【請求項10】前記レーザービームが、先行ビームと後
    行ビームの近接した2本のビームからなり、先行ビーム
    は強度を前記低レベルで原則として変調せず、後行ビー
    ムは強度を前記高レベルで情報に従いパルス変調するこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第9項記載の記録装置。
  11. 【請求項11】前記第1層及び第2層が次の条件式: (1) TR<Tc1TLTcomp.2<TH,Tc2 を満足し、かつ、室温で次の各条件式: を満足する特許請求の範囲第9項記載の記録装置。 ただし、複合(;±)は、上段が第1層が遷移金属リ
    ッチな場合であり、下段が第1層が重希土類リッチな場
    合であり、使用した記号は次の意味である。 TR:室温 TL:低レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 TH:高レベルのレーザービームを照射した時の記録媒体
    の温度 Tc1:第1層のキュリー点 Tc2:第2層のキュリー点 Tcomp.2:第2層の補償温度 Hc1:第1層の保磁力 Hc2:第2層の保磁力 Ms1:第1層の飽和磁気モーメント Ms2:第2層の飽和磁気モーメント t1:第1層の膜厚 t2:第2層の膜厚 σw:界面磁壁エネルギー Hb:記録磁界
  12. 【請求項12】前記記録磁界印加手段が、再生時はゼロ
    又は下記Hbより小さい出力に変えられるものであること
    を特徴とする再生に兼用可能な特許請求の範囲第10項記
    載の記録装置。
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