JP3006124B2 - オーバーライト可能な光磁気記録媒体及びその記録再生装置 - Google Patents

オーバーライト可能な光磁気記録媒体及びその記録再生装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録磁界Hb の向き及
び強度を変調せずに、レーザービームを記録すべき2値
化情報に従いパルス変調しながら照射することにより、
オーバーライト(over write)が可能な光磁気記録媒体に
関するものである。オーバーライトとは、 前の情報を
消去せずに新たな情報を記録する行為を言う。この場
合、再生したとき、前の情報は再生されてはならない。
【0002】
【従来の技術】最近、高密度、大容量、高いアクセス速
度、並びに高い記録及び再生速度を含めた種々の要求を
満足する光学的記録再生方法、それに使用される記録装
置、再生装置及び記録媒体を開発しようとする努力が成
されている。広範囲な光学的記録再生方法の中で、光磁
気記録再生方法は、情報を記録した後、消去することが
でき、再び新たな情報を記録することが繰り返し何度も
可能であるというユニークな利点のために、最も大きな
魅力に満ちている。
【0003】この光磁気記録再生方法で使用される記録
媒体は、記録を残す層として1層又は多層からなる垂直
磁化膜(perpendicular magnetic layer or layers) を
有する。この磁化膜は、例えばアモルファスのGdFeやGd
Co、GdFeCo、TbFe、TbCo、TbFeCoなどからなる。垂直磁
化膜は、一般に同心円状又はらせん状のトラックを有し
ており、このトラックの上に情報が記録される。トラッ
クは明示的な場合と黙示的な場合は2通りある。ここ
で、本明細書では、膜面に対し「上向き(upward) 」又
は「下向き(downward)」の何れか一方を、「A向き」、
他方を「逆A向き」と定義する。記録すべき情報は、予
め2値化されており、この情報が「A向き」の磁化を有
するビット(B1)と、「逆A向き」の磁化を有するビッ
ト(B0)の2つの信号で記録される。これらのビットB
1 ,B0は、デジタル信号の1,0の何れか一方と他方
にそれぞれ相当する。しかし、一般には記録されるトラ
ックの磁化は、記録前に強力な外部磁場を印加すること
によって「逆A向き」に揃えられる。その上でトラック
に「A向き」の磁化を有するビット(B1)を形成する。
情報は、このビット(B1)の有無及び/又はビット長に
よって表現される。尚、ビットは最近マークと呼ばれる
ことがある。ビット形成の原理:ビットの形成に於いて
は、レーザーの特徴即ち空間的時間的に素晴らしい凝集
性(coherence) が有利に使用され、レーザー光の波長に
よって決定される回折限界とほとんど同じ位に小さいス
ポットにビームが絞り込まれる。絞り込まれた光はトラ
ック表面に照射され、垂直磁化膜に直径が1μm以下の
ビットを形成することにより情報が記録される。光学的
記録においては、理論的に約108 ビット/cm2 までの記
録密度を達成することができる。何故ならば、レーザビ
ームはその波長とほとんど同じ位に小さい直径を有する
スポットにまで凝縮(concentrate)することが出来るか
らである。
【0004】図2に示すように、光磁気記録において
は、レーザービーム(L)を垂直磁化膜(MO)の上に絞
りこみ、それを加熱する。その間、初期化された向きと
は反対の向きの記録磁界(Hb)を加熱された部分に外部
から印加する。そうすると局部的に加熱された部分の保
磁力Hc(coersivity) は減少し記録磁界(Hb)より小さ
くなる。その結果、その部分の磁化は、記録磁界(Hb)
の向きに並ぶ。こうして逆に磁化されたビットが形成さ
れる。
【0005】フェロ磁性材料とフェリ磁性材料では、磁
化及びHc の温度依存性が異なる。フェロ磁性材料はキ
ュリー点付近で減少するHc を有し、この現象に基づい
て記録が実行される。従って、Tc 書込み(キュリー点
書込み)と引用される。他方、フェリ磁性材料はキュリ
ー点より低い補償温度(compensationtemperature ) T
comp. を有しており、そこでは磁化(M)はゼロにな
る。逆にその温度付近でHc が非常に大きくなり、その
温度から外れるとHc が急激に低下する。この低下した
Hc は、比較的弱い記録磁界(Hb)によって打ち負かさ
れる。つまり、記録が可能になる。この記録プロセスは
comp. 書込み(補償点書込み)と呼ばれる。
【0006】もっとも、キュリー点又はその近辺、及び
補償温度の近辺にこだわる必要はない。要するに、室温
より高い所定の温度に於いて、低下したHc を有する磁
性材料に対し、その低下したHc を打ち負かせる記録磁
界(Hb )を印加すれば、記録は可能である。但し、室
温より高い所定の温度に達していない領域(この領域の
Hc は元の高いHc を有する)にある垂直磁化膜(MO)の
磁化を反転するような高すぎるHb は、不可である。
生の原理:図3は、光磁気効果に基づく情報再生の原理
を示す。光は、光路に垂直な平面上で全ての方向に通常
は発散している電磁場ベクトルを有する電磁波である。
光が直線偏光(Lp ) に変換され、そして垂直磁化膜(M
O)に照射されたとき、光はその表面で反射されるか又は
垂直磁化膜(MO)を透過する。このとき、偏光面は磁化M
の向きに従って回転する。この回転する現象は、磁気カ
ー(Kerr) 効果又は磁気ファラデー(Faraday) 効果と呼
ばれる。
【0007】例えば、もし反射光の偏光面が「A向き」
磁化に対してθk 度回転するとすると、「逆A向き」磁
化に対しては−θk 度回転する。従って、光アナライザ
ー(偏光子)の軸を−θk 度傾けた面に垂直にセットし
ておくと、「逆A向き」に磁化されたビット(B0)から
反射された光はアナライザーを透過することができな
い。それに対して「A向き」に磁化されたビット(B1)
から反射された光は、(sin2θk)2 を乗じた分がアナラ
イザーを透過し、 ディテクター(光電変換手段)に捕
獲される。その結果、「A向き」に磁化されたビット
(B1)は「逆A向き」に磁化されたビット(B0)よりも
明るく見え、ディテクターに於いて強い電気信号を発生
させる。このディテクターからの電気信号は、記録され
た情報に従って変調されるので、情報が再生されるので
ある。ところで、記録ずみの媒体を再使用するには、
(1) 媒体を再び初期化装置で初期化するか、又は (2)
記録装置に記録ヘッドと同様な消去ヘッドを併設する
か、又は (3) 予め、前段処理として記録装置又は消去
装置を用いて記録ずみ情報を消去する必要がある。
【0008】従って、光磁気記録方式では、これまで、
記録ずみ情報の有無にかかわらず新たな情報をその場で
記録できるオーバーライトは、不可能とされていた。も
っとも、もし記録磁界Hb の向きを必要に応じて「A向
き」と「逆A向き」との間で自由に変調することができ
れば、オーバーライトが可能になる。しかしながら、記
録磁界Hb の向きを高速度で変調することは不可能であ
る。例えば、記録磁界Hb が永久磁石である場合、磁石
の向きを機械的に反転させる必要がある。しかし、磁石
の向きを高速で反転させることは、無理である。記録磁
界Hbが電磁石である場合にも、大容量の電流の向きを
そのように高速で変調することは不可能である。
【0009】しかしながら、技術の進歩は著しく、記録
磁界Hb の強度(ON、OFF を含む)又は記録磁界Hb の
向きを変調せずに、照射する光ビームの強度を記録すべ
き2値化情報に従い変調するだけで、オーバーライトが
可能な光磁気記録方法と、それに使用されるオーバーラ
イト可能な光磁気記録媒体と、同じくそれに使用される
オーバーライト可能な記録装置が発明され、特許出願さ
れた(特開昭62−175948号=DE3,619,618)。以下、この
発明を「基本発明」と引用する。〔基本発明の説明〕基
本発明では、「基本的に垂直磁化可能な磁性薄膜からな
る記録再生層(本明細書では、メモリー層又はM層と言
う)と、垂直磁化可能な磁性薄膜からなる記録補助層
(本明細書では、『記録層』又はW層と言う)とを含
み、両層は交換結合しており、かつ、室温でM層の磁化
の向きは変えないでW層の磁化のみを所定の向きに向け
ておくことができるオーバーライト可能な多層光磁気記
録媒体」を使用する。
【0010】そして、情報をM層(場合によりW層に
も)における「A向き」磁化を有するビットと「逆A向
き」磁化を有するビットで表現し、記録するのである。
この媒体は、W層が外部手段(例えば初期補助磁界Hin
i. )によって、その磁化の向きを「A向き」に揃える
ことができ、しかも、そのとき、M層は、磁化の向きは
反転せず、更に、一旦「A向き」に揃えられたW層の磁
化の向きは、M層からの交換結合力を受けても反転せ
ず、逆にM層の磁化の向きは、「A向き」に揃えられた
W層からの交換結合力を受けても反転しない。
【0011】そして、W層は、M層に比べて低い保磁力
C と高いキュリー点TC を持つ。基本発明の記録方法
によれば、記録媒体は、記録前までに、外部手段により
W層の磁化の向きが「A向き」に揃えられる。この行為
を本明細書では特別に「初期化(initialize)」と呼ぶ。
この初期化はオーバーライト可能な媒体に特有なことで
ある。
【0012】その上で、2値化情報に従いパルス変調さ
れたレーザービームが媒体に照射される。レーザービー
ムの強度は、高レベルPH と低レベルPL があり、これ
はパルスの高レベルと低レベルに相当する。この低レベ
ルは、再生時に媒体を照射する再生レベルPR よりも高
い。既に知られているように、記録をしない時にも、例
えば媒体における所定の記録場所をアクセスするために
レーザービームを<非常な低レベル>で点灯することが
ある。この<非常な低レベル>も、再生レベルPR と同
一又は近似のレベルである。従って、例えば、基本発明
におけるレーザービームの出力波形は、図4の通りにな
る。
【0013】なお、基本発明の明細書には明記されてい
ないが、基本発明では、記録用のビームは、1本ではな
く近接した2本のビームを用いて、先行ビームを原則と
して変調しない低レベルのレーザービーム(消去用)と
し、後行ビームを情報に従い変調する高レベルのレーザ
ービーム(書込用)としてもよい。この場合、後行ビー
ムは、高レベルと基底レベル(低レベルと同一又はそれ
より低いレベルであり、出力がゼロでもよい)との間で
パルス変調される。この場合の出力波形は例えば図5に
示される。
【0014】ビームが照射された部分の媒体に、向きも
強度も変調されない記録磁界Hb が作用する。Hb は、
ビームの照射された部分(スポット領域)と同じ位の寸
法に絞ることはできず、Hb が作用する領域は、スポッ
ト領域に比べれば、ずっと大きい。低レベルのビームが
照射されると、前のビットの磁化の向きに無関係に、M
層に「A向き」のビット(B1)又は「逆A向き」のビッ
ト(B0)の一方が形成される。
【0015】そして、高レベルのビームが照射される
と、前のビットの磁化の向きに無関係に、M層に他方の
ビットが形成される。これでオーバーライトが完了す
る。基本発明では、レーザービームは、記録すべき情報
に従いパルス状に変調される。しかし、このこと自身
は、従来の光磁気記録でも行われており、記録すべき2
値化情報に従いビーム強度をパルス状に変調する手段は
既知の手段である。例えば、THE BELL SYSTEM TECHN
ICAL JOURNAL, Vol.62(1983),1923 −1936に詳しく説
明されている。従って、ビーム強度の必要な高レベルと
低レベルが与えられれば、従来の変調手段を一部修正す
るだけで容易に入手できる。当業者にとって、そのよう
な修正は、ビーム強度の高レベルと低レベルが与えられ
れば、容易であろう。
【0016】基本発明に於いて特徴的なことの1つは、
ビーム強度の高レベルと低レベルである。即ち、ビーム
強度が高レベルの時に、記録磁界Hb その他の外部手段
によりW層の「A向き」磁化を「逆A向き」に反転(re
verse)させ、このW層の「逆A向き」磁化によってM層
に「逆A向き」磁化〔又は「A向き」磁化〕を有するビ
ットを形成する。ビーム強度が低レベルの時は、W層の
磁化の向きは初期化状態と変わらず、そして、W層の作
用(この作用は交換結合力を通じてM層に伝わる)によ
ってM層に「A向き」磁化〔又は「逆A向き」磁化〕を
有するビットを形成する。なお、本明細書で、○○○
〔又は△△△〕という表現は、先に〔 〕の外の○○○
を読んだときには、以下の○○○〔又は△△△〕のとき
にも、〔 〕の外の○○○を読むことにする。それに対
して先に○○○を読まずに〔 〕内の△△△の方を選択
して読んだときには、以下の○○○〔又は△△△〕のと
きにも○○○を読まずに〔 〕内の△△△を読むものと
する。
【0017】基本発明で使用される媒体は、第1実施態
様と第2実施態様とに大別される。いずれの実施態様に
おいても、記録媒体は、 M層とW層を含む多層構造を
有する。M層は、室温で保磁力が高く磁化反転温度が低
い磁性層である。W層はM層に比べ相対的に室温で保磁
力が低く磁化反転温度が高い磁性層である。なお、M層
とW層ともに、それ自体多層膜から構成されていてもよ
い。 場合によりM層とW層との間に第3の層(例え
ば、交換結合力σW の調整層:特開昭64−50257 、特開
平1−273248 参照)が存在していてもよい。更にM層
とW層との間に明確な境界がなく、一方から徐々に他方
に変わってもよい。
【0018】第1実施態様では、M層の保磁力をHC1
W層のそれをHC2、M層のキュリー点をTC1、W層のそ
れをTC2、室温をTR 、低レベルPL のレーザービーム
を照射した時の記録媒体の温度をTL 、高レベルPH
レーザービームを照射した時のそれをTH 、M層が受け
る結合磁界をHD1(HD1はσW をM層飽和磁気モーメン
トMS とM層の膜厚tとの積で割った商で算出され
る)、W層が受ける結合磁界をHD2(HD2はσW をW層
飽和磁気モーメントMS とW層の膜厚tとの積で割った
商で算出される)とした場合、記録媒体は、下記の式1
を満足し、そして室温で式2〜5を満足するものであ
る。
【0019】TR <TC1≒TL <TC2≒TH ……………
式1 HC1>HC2+|HD1−(±HD2)|………式2 HC1>HD1 …………………………………式3 HC2>HD2 …………………………………式4 HC2+HD2<|Hini. |<HC1±HD1──式5 上記式中、符号「≒」は、等しいか又はほぼ等しい(±
20℃位) ことを表す。また上記式中、複合±について
は、上段が後述するA(antiparallel) タイプの媒体の
場合であり、下段は後述するP(parallel)タイプの媒体
の場合である。なお、フェロ磁性体媒体はPタイプに属
する。
【0020】つまり、保磁力と温度との関係をグラフで
表すと、一般には図6の如くなる。細線はM層のそれ
を、太線はW層のそれを表す。従って、この記録媒体に
室温で外部手段例えば初期補助磁界(Hini.) を印加する
と、 式5によれば、M層の磁化の向きは反転せずにW
層の磁化のみが反転する。そこで、記録前に媒体に外部
手段から作用(例えば、初期補助磁界Hini.)を及ぼす
と、W層のみを「A向き」−−−−−ここでは「A向
き」を便宜的に本明細書紙面において上向きの矢↑で示
し、「逆A向き」を下向きの矢↓で示す−−−−−に磁
化させることができる。そして、Hini. がゼロになって
も、式4により、W層の磁化↑は再反転せずにそのまま
保持される。
【0021】外部手段によりW層のみが、記録前までに
「A向き」↑に磁化されている状態を概念的に表すと、
図7になる。図7でM層における磁化の向き* は、それ
までに記録されていた情報を表わす。 以下の説明にお
いては、向きに関係がないので、これをXで示し簡略化
すると、図7は、図8の状態1で示せる。ここにおい
て、高レベルのレーザービームを照射して媒体温度をT
H に上昇させる。すると、TH はキュリー点TC1より高
温度なのでM層の磁化は消失してしまう。 更にTH
キュリー点TC2付近なのでW層の磁化も全く又はほぼ消
失する。ここで、媒体の種類に応じて「A向き」又は
「逆A向き」の記録磁界Hb を印加する。Hb は、媒体
自身からの浮遊磁界でもよい。説明を簡単にするために
「逆A向き」↓の記録磁界Hb を印加したとする。媒体
は移動しているので、照射された部分は、レーザービー
ムから直ぐに遠ざかり、冷却される。Hb の存在下で、
媒体の温度が低下すると、W層の磁化は、Hb に従い、
反転されて「逆A向き」↓の磁化となる(図8状態
2)。
【0022】そして、さらに放冷が進み、媒体温度がT
C1より少し下がると、再びM層の磁化が現れる。その場
合、磁気的結合(交換結合)力のために、M層の磁化の
向きは、W層の影響を受け所定の向きとなる。その結
果、媒体の種類に応じて「逆A向き」↓のビット(Pタ
イプの媒体の場合)又は「A向き」↑のビット(Aタイ
プの媒体の場合)がM層に形成される。この状態が図8
状態3(Pタイプ)又は状態4(Aタイプ)である。
【0023】この高レベルのレーザービームによる状態
の変化をここでは高温サイクルと呼ぶことにする。次
に、低レベルPL のレーザービームを照射して 媒体温
度をTL に上昇させる。TL はキュリー点TC1付近なの
でM層の磁化は全く又はほぼ消失してしまうが、キュリ
ー点TC2よりは低温であるのでW層の磁化は消失しな
い。この状態は図8状態5で示される。ここでは、記録
磁界Hb は、不要であるが、高速度(短時間)でHb を
ON, OFF することは不可能である。従って、止むを得ず
高温サイクルのときのままになっている。
【0024】しかし、HC2はまだ大きいままなので、H
b によってW層の磁化↑が反転することはない。媒体は
移動しているので、照射された部分は、レーザービーム
から直ぐに遠ざかり、冷却される。冷却が進むと、再び
M層に磁化が現れる。現れる磁化の向きは、磁気的結合
力のためにW層の影響を受け所定の向きとなる。その結
果、媒体の種類に応じて「A向き」↑のビット(Pタイ
プの媒体の場合)又は「逆A向き」↓のビット(Aタイ
プの媒体の場合)がM層に形成される。この磁化は室温
でも変わらない。この状態が図8状態6(Pタイプ)又
は状態7(Aタイプ)である。
【0025】この低レベルのレーザービームによる状態
の変化をここでは低温サイクルと呼ぶことにする。以
上、説明したように、記録前のM層の磁化の向きがどう
であれ、高温サイクルと低温サイクルを選択することに
よって、「逆A向き」↓のビットと、「A向き」↑のビ
ットをM層に自由に形成できる。つまり、レーザービー
ムを情報に従い高レベル(高温サイクル)と低レベル
(低温サイクル)との間でパルス状に変調することによ
りオーバーライトが可能となる。図9を参照されたい。
図9の磁化の状態は、いずれも室温又は室温に戻ったと
きの結果として描いてある。
【0026】これまでの説明は、M層、W層ともに室温
とキュリー点との間に補償温度Tcomp. がない磁性体組
成について説明した。しかし、補償温度Tcomp. が存在
する場合には、それを越えると磁化の向きが反転する
こと−−−−実際にはRE、TMの各副格子磁化の向き
は変わらないが、その大小関係が逆転するので、全体
(合金)としての磁化の向きが反転する−−−−−と、
A、Pタイプが逆になるので、説明はそれだけ複雑に
なる。この場合、記録磁界Hb の向きも、室温で考えた
場合、前頁の説明の向き↓と逆になる。つまり、初期化
されたW層の磁化の向き↑と同じ向きのHb を印加す
る。
【0027】記録媒体は一般にディスク状であり、記録
時、媒体は回転される。そのため、記録された部分(ビ
ット)は、記録後に 再び外部手段例えばHini. の作用
を受け、その結果、W層の磁化は元の「A向き」↑に揃
えられる。 しかし、室温では、W層の磁化の影響がM
層に及ぶことはなく、そのため記録された情報は保持さ
れる。
【0028】そこで、M層に直線偏光を照射すれば、そ
の反射光には情報が含まれているので、従来の光磁気記
録媒体と同様に情報が再生される。このようなM層及び
W層を構成する垂直磁化膜は、補償温度を有せずキュ
リー点を有するフェロ磁性体及びフェリ磁性体、並びに
補償温度、キュリー点の双方を有するフェリ磁性体の
非晶質或いは結晶質からなる群から選択される。以上の
説明は、磁化反転温度としてキュリー点を利用した第1
実施態様の説明である。それに対して第2実施態様はキ
ュリー点より低い温度に於いて低下したHc を利用する
ものである。第2実施態様は、第1実施態様に於けるT
C1の代わりにM層がW層に磁気結合される温度TS1を使
用し、TC2の代わりにW層がHbで反転する温度TS2
使用すれば、第1実施態様と同様に説明される。
【0029】第2実施態様では、M層の保磁力をHC1
W層のそれをHC2、M層がW層に磁気的に結合される温
度をTs1とし、W層の磁化がHb で反転する温度を
S2、室温をTR 、低レベルPL のレーザービームを照
射した時の媒体の温度をTL 、高レベルPH のレーザー
ビームを照射した時のそれをTH 、M層が受ける結合磁
界をHD1(HD1はσW をM層の飽和磁気モーメントMS
とM層の膜厚tとの積で割った商で算出される)、W層
が受ける結合磁界をHD2(HD2はσW をW層飽和磁気モ
ーメントMS とW層の膜厚tとの積で割った商で算出さ
れる)とした場合、記録媒体は、下記式6を満足し、か
つ室温で式7〜10を満足するものである。TR <Ts1
L <Ts2≒TH ……………式6 HC1>HC2+|HD1−(±HD2)|………式7 HC1>HD1 …………………………………式8 HC2>HD2─…………………………………式9 HC2+HD2<|Hini. |<HC1±HD1──式10 上記式中、複合±については、上段がA(antiparalle
l) タイプの媒体の場合であり、下段はP(parallel)タ
イプの媒体の場合である。
【0030】第2実施態様では、高温TH のとき、W層
の磁化は消失していないが、十分に弱く、M層の磁化は
消失しているか、又は十分に弱い。M層、W層ともに十
分に弱い磁化を残留していても、記録磁界Hb ↓が十分
に大きいので、Hb ↓がW層及び場合によりM層の磁化
の向きをHb ↓に従わせることができる。この状態が図
10状態2である。この後、直ちに又はレーザービー
ムの照射が無くなって放冷が進み、媒体温度がTH より
下がった時又はHb から遠ざかった時、W層がσW
介してM層に影響を及ぼしてM層の磁化の向きを安定な
向きに従わせる。その結果、図10状態3(Pタイプ)又
は状態4(Aタイプ)となる。
【0031】他方、低温TL のとき、W層はもちろんM
層も磁化を消失していない。 しかし、M層のそれは比
較的小さい。この場合、ビットの状態には、Pタイプの
場合図10状態5と状態6の2種類あり、Aタイプの場
合、図10状態7と状態8の2種類ある。状態6及び状態
8では、M層とW層との間に界面磁壁(太線━で示す)
が生じており、やや不安定(準安定)な状態である。状
態1は状態5〜8のいずれかを示す。この状態の媒体部
分が、レーザービームの照射位置に来る直前に、Hb ↓
の印加を受ける。それでも、この状態6又は状態8は保
持される。何故ならば、W層は、室温で、十分な磁化を
有するので、磁化がHb ↓によって反転することはな
い。また、Hb ↓と向きが反対の状態8のメモリー層
は、Hb ↓の影響より大きなW層からの交換結合力σW
の影響を受け、Pタイプ故にW層と同じ向きに、磁化の
向きが保持される。
【0032】その後、まもなく状態6又は状態8は低レ
ベルのレーザービームの照射を受ける。そのため、媒体
温度は上昇する。それに伴い両層の保磁力は低下する。
しかし、W層は高いキュリー点を有するので、保磁力H
C2の低下は小さく、Hb ↓に負けることがなく、初期化
されたときの磁化の向き「A向き」↑が維持される。他
方、M層は低いキュリー点を有するものの、媒体温度は
未だM層のキュリー点Tc1より低いので、保磁力HC1
残存する。しかし、HC1は小さいので、W層はHb ↓
の影響とW層からの交換結合力σw を介した影響(P
タイプの場合、同じ向きに向かせようとする力)を受け
る。この場合、後者の方が強く、Pタイプの場合、 式:Hc1+Hb <σw /2Ms11 式: Hc2>σw /2Ms22 (注:式中、不等号の右辺はそれぞれσw を2Ms11
又は2Ms22 で割った分数を意味する)の2つの式が
同時に満足される。Aタイプの場合には、 式:Hc1−Hb <σw /2Ms11 式: Hc2>σw /2Ms22 (注:式中、不等号の右辺はそれぞれσw を2Ms11
又は2Ms22 で割った分数を意味する)の2つの式が
同時に満足される。これらの式が同時に満足される最も
低い温度をTLSと呼ぶ。換言すれば、状態6又は状態8
の磁壁が消滅する最低温度がTLSである。
【0033】その結果、状態6は状態9に移行し、状態
8は状態10に移行する。他方、磁壁が元々ない状態5は
状態9と同じであり、同じく磁壁が元々ない状態7は状
態10と同じであるから、結局、前の状態(Pタイプの場
合、状態5か6か、Aタイプの場合、状態7か8か)に
関係なく、低レベルのビームの照射により状態9(Pタ
イプ)又は状態10(Aタイプ)のビットが形成される。
【0034】この状態は、その後ビットがレーザービー
ムの照射が止んだり又は照射位置から外れたりすること
により、媒体温度が低下し、室温に戻った時にも、変わ
らない。この図10状態9(Pタイプ)又は状態10(Aタ
イプ)は、図8状態6(Pタイプ)又は状態7(Aタイ
プ)と同一である。これにより、M層のキュリー点TC1
まで媒体温度を高めることなく、低温サイクルが実現さ
れることが理解されよう。
【0035】実は低温サイクルをTC1以上で実施する第
1実施態様の場合にも、媒体温度が室温からTC1に上昇
する途中でTLSを通るので、そのとき、Pタイプの場
合、状態6から状態9への移行が、Aタイプの場合、状
態8から状態10への移行がそれぞれ起こるのである。そ
の後、TC1に至り、図8状態5となるのである。以上の
説明は、M層、W層ともに室温とキュリー点との間に補
償温度Tcomp. がない磁性体組成について説明した。し
かし、補償温度Tcomp. が存在する場合には、それを越
えると磁化の向きが反転することとA、Pタイプが
逆になるので、説明はそれだけ複雑になる。また、記録
磁界Hb の向きも、室温で考えた場合の向きと逆にな
る。
【0036】第1、第2実施態様ともに、M層及びW層
が遷移金属(例えばFe, Co) −重希土類金属( 例えばG
d,Tb,Dyその他) 合金組成から選択された非晶質フェリ
磁性体である記録媒体が好ましい。M層、W層の双方と
も、遷移金属(transition metal)−重希土類金属(heavy
rare earth metal)合金組成から選択された場合に
は、各合金としての外部に現れる磁化の向き及び大きさ
は、合金内部の遷移金属原子(TM)の副格子磁化の向
き及び大きさと重希土類金属原子(RE)の副格子磁化
の向き及び大きさとの関係で決まる。例えばTMの副格
子磁化の向き及び大きさを点線の矢印で示すベクトルで
表わし、REの副格子磁化のそれを実線の矢で示すベク
トルで表し、合金全体の磁化の向き及び大きさを白抜き
の矢で示すベクトルで表す。このとき白抜きの矢(ベク
トル)は点線の矢(ベクトル)と実線の矢(ベクトル)
との和として表わされる。ただし、合金の中ではTMの
副格子磁化とRE副格子磁化との相互作用のために点線
の矢(ベクトル)と実線の矢(ベクトル)とは、向きが
必ず逆になっている。従って、点線の矢(ベクトル)と
実線の矢(ベクトル)との和は、両者の強度が等しいと
き、合金のベクトルはゼロ(つまり、外部に現れる磁化
の大きさはゼロ)になる。このゼロになるときの合金組
成は補償組成(compensation composition ) と呼ばれ
る。それ以外の組成のときには、合金は両方の副格子磁
化の強度差に等しい強度を有し、いずれか大きい方のベ
クトルの向きに等しい向きを有する白抜きの矢(ベクト
ル)を持つ。
【0037】そこで、合金の磁化ベクトルを点線のベク
トルと実線のベクトルを隣接して書き、例えば図11に示
すように書き表す。RE、TMの副格子磁化の状態は大
別すると4通りあり、これらを図12の(1A)〜(4A)に示
す。そして、各状態における合金の磁化ベクトル(白抜
きの矢)を図12の(1B)〜(4B)に対応して示す。例えば、
REベクトルがTMベクトルに比べて大きい場合、副格
子磁化の状態は(1A)に示され、合金の磁化ベクトルは、
(1B)に示される。
【0038】ある合金組成のTMベクトルとREベクト
ルの強度が、どちらか一方が大きいとき、その合金組成
は、強度の大きい方の名をとって○○リッチ例えばRE
リッチであると呼ばれる。M層とW層の両方について、
TMリッチな組成とREリッチな組成とに分けられる。
従って、縦軸座標にM層の組成を横軸座標にW層の組成
をとると、基本発明の媒体全体としては、種類を図13に
示す4象限に分類することができる。先に述べたPタイ
プは1象限と3象限に属するものであり、Aタイプは2
象限と4象限に属するものである。一方、温度変化に対
する保磁力の変化を見ると、キュリー点(保磁力ゼロの
温度)に達する前に保磁力が一旦無限大に増加してまた
降下すると言う特性を持つ合金組成がある。この無限大
のときに相当する温度は補償温度(Tcomp. )と呼ばれ
る。補償温度より低い温度ではREベクトル(実線矢)
の方がTMベクトル(点線矢) より大きく、そのためT
Mリッチと言うことができ、補償温度より高い温度では
その逆になる。従って、補償組成の合金の補償温度は、
室温にあると言うことができる。
【0039】逆に補償温度はTMリッチの合金組成にお
いては、室温からキュリー点の間には存在しない。室温
より下にある補償温度は、光磁気記録においては無意味
であるので、この明細書で補償温度とは室温からキュリ
ー点の間に存在するものを言うことにする。M層とW層
の補償温度の有無について分類すると、媒体はタイプ1
〜タイプ4の4つのタイプに分類される。 第1象限の
媒体は、4つ全部のタイプが含まれる。そこで、M層と
W層の両方についてREリッチかTMリッチかで分け、
かつ補償温度を持つか持たないかで分けると、記録媒体
は図14に示す9クラスに分類される。〔クラス1−1の
説明〕ここで図14に示したクラス1の記録媒体(Pタイ
プ・1象限・タイプ1)に属する媒体No.1−1 を例にと
り、オーバーライト原理について詳細に説明する。
【0040】この媒体No.1−1 は、次式11: TR <Tcomp.1<TL <TH ≦TC1≦Tc2 及び式11の2:Tcomp.2 <TC1の関係を有する。本明
細書では「≦」の「=」は等しいか又はほぼ等しい(±
20℃位) ことを意味する。説明を簡単にする目的から、
以下の説明は、TH <TC1<Tc2の関係を有するものに
ついて説明する。Tcomp.2は、TL よりも高くとも等し
くとも、低くともよいが、説明を簡単にする目的から、
以下の説明では、TL <Tcomp.2とする。以上の関係を
グラフで示すと、図15の如くなる。なお、細線はM層の
グラフを示し、太線はW層のグラフを示す。
【0041】室温TR でM層の磁界が初期補助磁界Hin
i. により反転せずにW層のみが反転する条件は、
【0042】
【数1】 として示す式12である。この媒体No.1−1 は式12を満足
する。但し、HC1:M層の保磁力HC2:W層の保磁力M
S1:M層の飽和磁気モーメント(saturation magnetiz
ation)MS2:W層の飽和磁気モーメントt1 :M層の膜
厚t2 :W層の膜厚σw :界面磁壁エネルギー=交換結
合力 (interface wall energy)このとき、Hini. の条
件式は、数4に示す式15で示される。Hini. が無くなる
と、M層、W層の磁化は交換結合力により互いに影響を
受ける。それでもM層、W層の磁化が反転せずに保持さ
れる条件は、式13〜14で示される。この媒体No.1−1 は
式13〜14を満足する。
【0043】
【数2】
【0044】
【数3】
【0045】室温で式12〜14の条件を満足する記録媒体
のW層の磁化は、記録の直前までに
【0046】
【数4】
【0047】に示す式15を満足するHini. により例えば
「A向き」↑に揃えられる。このときM層は前の記録状
態のままで残る。この状態は図16の状態1又は状態2の
いずれかで示される。この状態1、状態2は記録直前ま
で保持される。そして、記録磁界Hb は「A向き」↑に
印加することにする。なお、記録磁界Hb は、一般の磁
界がそうであるように、レーザービームの照射領域(ス
ポット領域)と同一の範囲に絞ることは難しい。媒体が
ディスク状の場合、一旦記録された情報(ビット)は、
1回転した場合、途中でHini. の影響を受け、再び状態
1又は状態2となる。その後、そのビットは、レーザー
ビームの照射領域(スポット領域)に近いところを通過
する。このとき、状態1、状態2のビットは、記録磁界
Hb 印加手段に近づくのでその影響を受ける。この場合
Hb と反対向きの磁化を有する状態2のビットのM層の
磁化の向きがHb によって反転させられたとすると、1
回転前に記録されたばかりの情報が消失することにな
る。そうなってはならない条件は、
【0048】
【数5】
【0049】に示す式15の2で表される。ディスク状媒
体No.1−1 は、室温でこの条件式15の2を満足させる必
要がある。逆に言えば、Hb を決定する1つの条件は、
式15の2で示される。さて、状態1、2のビットは、い
よいよレーザービームのスポット領域に到達する。レー
ザービームの強度は、基本発明と同様に、低レベルと高
レベルの2種がある。
【0050】−−−−−低温サイクル−−−−低レベル
のレーザービームが照射されて、 媒体温度がTcomp.1
以上に上昇する。そうすると、PタイプからAタイプに
移行する。そして、M層のRE、TM各スピンの方向は
変わらないが、強度の大小関係が図12の(3A)から(4A)へ
と逆転する。そのため、M層の磁化は図12の(3B)から(4
B)へと反転する。その結果、状態1のビットは状態3に
移行し、状態2のビットは状態4に移行する。
【0051】レーザービームの照射が続いて、媒体温度
は、やがてTL になる。すると、
【0052】
【数6】
【0053】に示す条件式15の3が満足される。その結
果、Hb ↑が存在しても、状態4のビットは状態5に遷
移する。他方、状態3のビットは、Hb ↑が存在して
も、条件式15の3が満足されているため、そのままの状
態を保つ。つまり、状態3から同じ状態の状態5になる
だけである。この状態でレーザービームのスポット領域
から外れると媒体温度は低下を始める。媒体温度がT
comp.1以下に冷えると、Aタイプから元のPタイプに戻
る。そして、M層のREスピンとTMスピンとの大小関
係が、図12の(2A)から(1A)へと逆転する。そのため、M
層の磁化は図12の(2B)から(1B)へと反転する。 その結
果、状態5のビットは状態6(M層の磁化は「A向き」
↑)に移行する。この状態6は媒体温度が室温まで下が
っても保持される。こうして、M層に「A向き」↑のビ
ットが形成される。
【0054】−−−−−高温サイクル−−−−− 高レベルのレーザービームが照射されると、媒体温度
は、Tcomp.1を経て低温TL に上昇する。その結果、状
態5と同じ状態7になる。高レベルのレーザービームの
照射により、媒体温度は更に上昇する。媒体温度がW層
のTcomp.2を越えると、AタイプがPタイプに移行す
る。そして、W層のRE、TM各スピンの方向は変わら
ないが、強度の大小関係が、図12の(1A)から(2A)へと逆
転する。そのため、W層の磁化は図12の(1B)から(2B)へ
と反転する。その結果、W層の磁化は、「逆A向き」↓
となる。この状態が状態8である。
【0055】しかし、この温度ではHC2がまだ大きいの
で、↑HbによってW層の磁化が反転されることはな
い。さらに温度が上昇し、THになると、M層、W層
は、その温度がキュリー点に近いので保磁力が小さくな
る。その結果、媒体は、
【0056】
【数7】
【0057】に示す(1)又は
【0058】
【数8】
【0059】に示す(2)又は
【0060】
【数9】
【0061】に示す(3)のいずれかに示した2つの式
を同時に満足する。そのため、両層の磁化は、ほぼ同時
に反転し、Hb ↑の向きに従う。この状態が状態9であ
る。この状態でレーザービームのスポット領域から外れ
ると、媒体温度は低下を始める。媒体温度がTcomp.2
下になると、PタイプからAタイプに移行する。そし
て、RE、TMの各スピンの方向は変わらないが、強度
の大小関係が、図12の(4A)から(3A)へと逆転する。その
ため、W層の磁化は図12の(4B)から(3B)へと反転する。
その結果、W層の磁化は、「逆A向き」↓となる。この
状態が状態10である。状態10では、媒体は、
【0062】
【数10】
【0063】に示す式15の4を満足する。そのため、W
層にHb ↑が作用しても反転することはない。媒体の温
度がこの状態10のときの温度から更に低下して、T
comp.1以下になると、Aタイプから元のPタイプに戻
る。そして、M層のREスピンとTMスピンの強度の大
小関係が、図12の(4A)から(3A)へと逆転する。そのた
め、M層の磁化は図12の(4B)から(3B)へと反転する。そ
の結果、M層の磁化は、「逆A向き」↓となる。この状
態が状態11である。
【0064】やがて媒体の温度は、状態11のときの温度
から室温まで低下する。室温でのHC1は十分に大きい
(数11に示す式15の5参照)ので、M層の磁化↓は、↑
Hbによって反転されることなく、状態11が保持され
る。
【0065】
【数11】
【0066】こうして、M層に「逆A向き」↓のビット
が形成される。〔利用発明の説明〕図17の状態1に利用
発明の媒体の構成を示す。この媒体は基板とその上に成
膜された原則的に4層構造の磁性膜からなる。この磁性
膜は、順に、垂直磁化可能な磁性薄膜からなるM層と、
垂直磁化可能な磁性薄膜からなるW層と、垂直磁化可能
な磁性薄膜からなるスイッチ層(以下、S層と言う)
と、垂直磁化可能な磁性薄膜からなる初期化層(以下、
I層と言う)との原則的に4層構造(場合によりS層は
なくともよい)からなる。
【0067】尚、前記国際公開特許公報では、M層は第
1磁性層、W層は第2磁性層、S層は第3磁性層(特許
請求の範囲の第3項参照)、I層は第4磁性層(特許請
求の範囲の第3項参照)と呼ばれている。この第3項以
外の個所では第3磁性層と第4磁性層の呼び方が逆にな
っており、誤記と思われる。また、前記雑誌"OPTRONIC
S" では、S層は制御層と呼ばれている。最近、日本の
学会では、メモリー層、『記録層』、 スイッチ層及び
初期化層と呼ぶことが多くなっているので、本明細書で
はこれに従うことにする。
【0068】この4層構造媒体では、M層とW層とは交
換結合しており、室温でM層の磁化の向きは変えないで
W層の磁化のみを所定の向きに向けておくことができ、
しかもW層とI層とはS層のキュリー点以下の温度でS
層を介して交換結合している。I層は最も高いキュリー
点を有し、高レベルのレーザービームの照射を受けても
磁化を失わない。I層は常に所定の向きの磁化を保持し
ており、これが記録の都度、次の記録に備えてW層の初
期化を繰り返し行なう手段となる。そのため、I層は初
期化層と呼ばれる。
【0069】しかしながら、高温サイクルの過程(例え
ば、TH 付近)では、W層の磁化反転が必ず起こらねば
ならず、その場合には、I層からの影響が無視できるよ
うに小さくなければならない。温度が高くなると、W層
とI層との間の交換結合力σw24 は小さくなるので、好
都合である。しかし、TH においても、十分なσw24
残っている場合には、W層とI層との間にS層が必要に
なる。S層が非磁性体であれば、σw24 はゼロ又は非常
に小さくなる。しかし、TH より低く室温までのどこか
の温度では、W層の初期化のためにσw24 は大きくなけ
ればならない。そのとき、S層はW層とI層との間に見
掛け上十分に大きな交換結合力を与えなければならな
い。それにはS層は磁性体である必要がある。従って、
S層は、相対的に低い温度では、磁性体となってW層と
I層との間に見掛け上十分に大きな交換結合力σw24
与え、相対的に高い温度では、非磁性体となってW層と
I層との間に見掛け上ゼロ又は非常に小さな交換結合力
σw24 を与えるものである。 それ故、S層はスイッチ
層と呼ばれる。
【0070】次に図17を用いて、4層膜オーバーライト
の原理を説明する。この説明は典型的な例であり、これ
以外にも例はある。例えば、各層の何れかの層が室温と
キュリー点との間にTcomp. を持つと説明はより複雑に
なる。図17で、白抜きの矢印は、各層の磁化の向きを示
す。記録前の状態は、状態1又は状態2のいずれかであ
る。M層に着目すると、状態1は「A向き」のビット
(B1)であり、状態2は「逆A向き」のビット(B0)で
あり、M層とW層との間に界面磁壁(太線━で示す)が
あり、やや不安定な状態(準安定)にある。
【0071】−−−−−−−低温サイクル−−−−−−
−− 状態1及び状態2のビットにレーザービームを照射して
温度を上昇させると、最初にS層の磁化が消失する。そ
のため、状態1は状態3に移行し、状態2は状態4に移
行する。更に温度が上昇してTLSに達すると、M層の磁
化は弱くなり、W層からの交換結合力を介した作用が強
くなる。その結果、状態4のM層の磁化は反転すると同
時に層間の磁壁は消失する。これが状態5である。状態
3のビットはもともと層間の磁壁はないので、そのまま
状態5に移行する。
【0072】ここで、レーザービームの照射が止むか又
は照射位置から遠ざかると、状態5のビットは温度が低
下を始め、やがて状態3を経て状態1になる。これが低
温サイクルである。なお、状態5から更に温度が上昇し
M層のキュリー点を越えると、磁化が消失し状態6にな
る。ここで、レーザービームの照射が止むか又は照射位
置から遠ざかると、状態6のビットは温度が低下を始
め、やがてM層のキュリー点を少し低い温度に至る。そ
うすると、M層に磁化が現れる。この磁化の向きは、W
層からの交換結合力を介した作用を受け、W層の磁化の
向きに対して安定な向き(層間に磁壁が生じない向き)
となる。ここではPタイプであるので、状態5が再現す
る。温度は更に低下し、それに従い、状態3が生じ、次
いで状態1のビットが生じる。このプロセスは低温サイ
クルの別の例である。
【0073】−−−−−−−高温サイクル−−−−−−
−− 状態1及び状態2のビットにレーザービームを照射して
温度を上昇させると、既述のように状態5を経て状態6
に至る。更に温度が上昇すると、W層の保磁力は非常に
低下する。そのため、記録磁界Hb ↓によって磁化が反
転する。これが状態8である。
【0074】ここで、レーザービームの照射が止むか又
は照射位置から遠ざかると、媒体温度は低下を始める。
やがて媒体温度はM層のキュリー点より少し下になる。
そうすると、M層に磁化が現れる。この磁化の向きは、
W層からの交換結合力を介した作用を受け、W層の磁化
の向きに対して安定な向き(層間に磁壁が生じない向
き)となる。ここではPタイプであるので、状態9が出
現する。
【0075】温度が更に低下すると、S層に磁化が現
れ、その結果、W層とI層とは磁気的に(交換結合力
で)結合される。その結果、W層の磁化の向きは、I層
の磁化の向きに対して安定な向き(層間に磁壁が生じな
い向き)となる。ここではPタイプであるので、W層の
磁化は「A向き」に反転し、その結果、M層とW層との
間には界面磁壁が生じる。この状態が室温でも維持さ
れ、状態2のビットが生成する。
【0076】これが高温サイクルである。なお、記録磁
界Hb ↓によって状態8が出現した後、更に温度が上昇
すると、やがて温度はW層のキュリー点を越える。そう
すると、状態7が出現する。ここで、レーザービームの
照射が止むか又は照射位置から遠ざかると、媒体温度は
低下を始める。やがて媒体温度はW層のキュリー点より
少し下になる。そうすると、W層に磁化が現れる。この
磁化の向きは、記録磁界Hb ↓の向きに従う。その結
果、状態8が出現する。
【0077】更に温度が低下すると、状態9を経て状態
2のビットが形成される。このプロセスは高温サイクル
の別の例である。−−−−−−オーバーライト−−−−
−−− 以上の通り、前の記録状態に無関係に、低温サイクルで
M層に状態1のビット(B1)が形成され、高温サイクル
で M層に状態2のビット(B0)が形成される。従っ
て、オーバーライトが可能となる。〔発明が解決しよう
とする課題〕光磁気記録媒体はディスク形状をしてい
る。ディスクは、ディスク平面に対し垂直方向から見た
場合、情報を記録するトラックが渦巻状又は同心円状に
形成され、隣接するトラック間にトラッキングのため及
び分離のための溝(グルーブ)が存在する。逆に溝と溝
の間をランドと呼ぶ。実際には、裏表でランドと溝の区
別が付かないので、図19に示すように、ビームが入射す
る向きから見て、手前を溝、奥をランドと呼ぶ。溝の部
分をトラックにしてもよいし、ランドの部分をトラック
にしてもよい。溝の幅とランドの幅との間に特に大小関
係はない。
【0078】このようなランドと溝を構成するために、
基板には、表面に渦巻状又は同心円状に形成されたラン
ドと該ランド部の間に形成された溝が存在する。本発明
者は、溝の深さ(逆に言えばランドの高さ)を種々に変
えて媒体を製造しオーバーライトと再生を試みたとこ
ろ、媒体によりC/N比の低いこと(第1問題点)が見
出された。他方、初期補助磁界Hini. は、例えば媒体N
o.1−1 の場合式15で規制されるが、この場合、記録装
置側からは、できるだけ小さいHini.が要求される。例
えば、2kOe 以下の小さい磁界であれば、Hini. 印加
手段である磁石が小型で済むので、記録装置を小さくす
ることができる。このように小さいHini. を使用した場
合、特にC/N比の低いこと(第2問題点)が目立っ
た。極端な場合は、記録した情報が正しく再生されず、
エラーが発生した。また、一般に、M層とW層との合計
膜厚は、 500〜3000Åであるが、記録感度を高めるた
め、下限に近い膜厚を選択すると、C/N比の低いこと
(第3問題点)が目立った。
【0079】そこで、鋭意研究した結果、溝の深さと第
1〜第3問題点との間に因果関係のあることが見出さ
れ、溝の深さを 800Å以下にすれば、第1〜第3問題点
が解決されることを見出し、本発明を成すに至った。従
って、本発明は、表面に渦巻状又は同心円状に形成され
たランドと該ランドの間に形成された溝を有する基板
と、この基板上に、上下の順は問わないで、それぞれ積
層された「垂直磁気異方性を有するメモリー層と、これ
に交換結合した垂直磁気異方性を有する『記録層』との
少なくとも2層」とからなるオーバーライト可能な光磁
気記録媒体において、前記溝の深さを 800Å以下にした
ことを特徴とする媒体を提供する。
【0080】
【作用】本発明で、溝の深さを 800Å以下にすると、何
故、C/N比の低いことが改良されるか、その理由は良
くわからない。しかし、 800Åより深くすると、前の情
報が多少残存すること(消し残り)が、C/N比を低く
する原因と考えられる。尚、溝が余り浅いと、トラッキ
ングが困難になるので、深さは 300Å以上あることが好
ましい。
【0081】以下、本発明を実施例を引用して、より具
体的に説明するが、本発明はこれに限られるものではな
い。
【0082】
【実施例:クラス1(Pタイプ・第1象限・タイプ1)
の媒体No.1−1】 (1)まず、図18に示すように、溝の幅Wを、溝の底で
の幅Wb と溝の上部(開口部) での幅Wt との和を2で
割って得られる商として定義する。そして、溝の幅Wが
0.5 μm、ピッチが1.6 μmで、深さhが 400Åから10
00Åまで 100Åずつ異なる7種類のスタンパーを用意し
た。溝は、外径 200mmから内径 100mmまで、同心円状に
多数本形成されている。
【0083】これらのスタンパーを用いて、これに紫外
線硬化型樹脂(溝材)を流し、その上にガラス基板Gを
押しつけ、基板Gを通して紫外線を照射することによ
り、樹脂を硬化させ、硬化した樹脂PPをガラス基板G
(硬化した樹脂PPは基板Gに強固に接着している)と共
にスタンパーから剥がすことにより、溝の深さhの異な
る7種の2P基板(SS)を得た。この2P基板(SS)の断面
を図19に示す。 (2)3元のRFスパッタリング装置を用意し、上の2
P基板を該装置のチャンバー内にセットする。該装置の
チャンバー内を一旦7×10-7Torr. 以下の真空度に排気
した後、Arガスを5×10-3Torr. 導入する。そして、堆
積(deposition)速度約2Å/秒で、スパッタリングを行
なう。
【0084】最初に第1ターゲットとしてAlターゲット
を用い、Arガスに加えてN2 ガスをチャンバー内に導入
し、反応性スパッタリングを行い、樹脂の上に窒化アル
ミニウム(第1の保護層R) を 700Åの厚さに形成す
る。次にN2 ガス導入を止め、5×10-3Torr. のArガス
中で第2ターゲットとしてTbFeCo系合金を用いて、スパ
ッタリングを行なった。これにより、第1保護層の上
に、 膜厚t1 = 300ÅのTb23Fe72Co5 (注:添字の数
字は、原子%;以下同じ)の垂直磁化膜からなるM層を
形成する。
【0085】続いて真空状態を保持したまま、5×10-3
Torr. のArガス中で第3ターゲットとしてDyFeCo系合
金、第1ターゲットとしてAlターゲットを用い、同時パ
ッタリングを行なう。これにより、M層の上に膜厚t=
100ÅのDyFeCoAlからなるσw制御層Cを形成する。制
御層Cを形成したらそのままの条件でAlのスパッタリン
グを止め、DyFeCo系合金のスパッタリングのみを行う。
これにより、膜厚t2 = 400ÅのDy28Fe36Co36(注:添
字の数字は、原子%;以下同じ)の垂直磁化膜からなる
W層を形成する。
【0086】最後に第1の保護層Rと同様にして、W層
の上に窒化アルミニウム(第2の保護層R) を1000Åの
厚さに形成する。こうして、オーバーライト可能な光磁
気記録媒体を得る。この媒体の断面を図1に示す。〔評
価試験〕「A向き」↑の初期補助磁界Hini. =2 kOe
を与える永久磁石及び「逆A向き」↓の記録磁界Hb =
300Oe を与える永久磁石を備えた光磁気記録再生装置
を用い、媒体を11m/秒の一定線速度で回転させ、これ
に波長830nm のレーザービームを照射して第1基準情報
を記録した。第1基準情報は、デュティ比=30%周波数
4.0MHzの信号である。レーザービームの強度は、 高レベル時:PH =7.0 mW(on disk) とし、 低レベル時:PL =3.5 mW(on disk) とし、 両者の間でパルス変調した。
【0087】こうして記録した第1基準情報を再生し、
C/N比を求めた。次に信号をデュティ比=30%、周波
数7.5 MHz(第2基準情報)に変更し、この媒体の第1
基準情報を記録した領域に同様に記録した。つまり、オ
ーバーライトした。こうして記録した情報を1mw(on di
sk) のレーザービームを用いて再生し、そのC/N比を
求めた。
【0088】以上の評価試験を溝の深さの異なる媒体全
部について行なったところ、第1基準情報のC/N比
は、どの媒体でも約49dBで変わらなかったが、第2基
準情報のC/N比は、図20に示すように、深さが 800Å
を越えると、低下した。
【0089】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、溝の深さ
(V溝でも可)を 800Å以下にすることにより、C/N
比の低下が避けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の実施例にかかるオーバーライト可
能な光磁気記録媒体の断面構造を示す概念図である。
【図2】は、光磁気記録方式の記録原理を説明する概念
図である。
【図3】は、光磁気記録方式の再生原理を説明する概念
図である。
【図4】は、基本発明に従いオーバーライトする場合の
レーザービームの波形図である。
【図5】は、基本発明に従い2本のビームでオーバーラ
イトする場合のレーザービームの波形図である。
【図6】は、オーバーライト可能な光磁気記録媒体のM
層、W層について保磁力と温度との関係を示すグラフで
ある。
【図7】は、M層とW層の磁化の向きを示す概念図であ
る。
【図8】は、M層とW層の磁化の向きの変化を示す説明
図である。
【図9】は、Pタイプ媒体、Aタイプ媒体について、低
温サイクル、高温サイクルの結果、M層とW層の磁化の
向きがどう変化するかを示す説明図である。いずれも室
温での状態を示す。
【図10】は、M層とW層の磁化の向きの変化を示す説明
図である。
【図11】は、希土類(RE)原子の副格子磁化を示すベ
クトル(実線の矢)と遷移金属(TM)原子の副格子磁
化を示すベクトル(点線の矢)とを比較するための説明
図である。
【図12】は、副格子磁化のベクトルと合金の磁化の向き
を示すベクトル(白抜き矢)との関係を示す説明図であ
る。
【図13】は、M層とW層について、それぞれREリッ
チ、TMリッチに分けた場合、オーバーライト可能な媒
体が4つの分類(1象限〜4象限)に分けられることを
説明する説明図である。
【図14】は、基本発明の媒体を種々の観点から分類する
と、結局、クラス1〜クラス9の9のクラスに分類され
ることを説明する説明図である。
【図15】は、オーバーライト可能な光磁気記録媒体No.
1−1のM層、W層について保磁力と温度との関係を示
すグラフである。
【図16】は、媒体No. 1−1の媒体について、低温サイ
クルと高温サイクルの結果、M層とW層の磁化の向きが
どう変化するかを示す概念図である。
【図17】は、利用発明にかかる4層膜構造のオーバーラ
イト可能な光磁気記録媒体について、そのオーバーライ
ト原理を説明する説明図である。
【図18】は、溝の寸法を説明する説明図である。
【図19】は、2P基板の垂直断面を示す概念図である。
【図20】は、溝の深さとC/N比との関係を示すグラフ
である。
【主要部分の符号の説明】
L………レーザービーム Lp ……直線偏光 B1 ……「A向き」の磁化を有するビット(又はマー
ク) B0 ……「逆A向き」の磁化を有するビット(又はマー
ク) S………基板 SS………2P基板 G………ガラス基板 PP………硬化した溝材樹脂 MO……垂直磁化膜(光磁気記録層) M………メモリー層 C………σw 制御層 W………『記録層』 R………保護層 以上

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に渦巻状又は同心円状に形成された
    ランドと該ランドの間に形成された溝を有する基板と、
    この基板上に、上下の順は問わないで、それぞれ積層さ
    れた「垂直磁気異方性を有するメモリー層と、これに交
    換結合した垂直磁気異方性を有する『記録層』との少な
    くとも2層」とからなるオーバーライト可能な光磁気記
    録媒体において、 前記溝の深さを800Å以下にしたことを特徴とする媒
    体.
  2. 【請求項2】 前記溝の深さが300Å以上800Å以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載のオーバーライト可能
    な光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記メモリー層と前記記録層との合計膜
    厚が500Å〜3000Åの範囲内であることを特徴とする請
    求項1または請求項2記載のオーバーライト可能な光磁
    気記録媒体。
  4. 【請求項4】 表面に渦巻状又は同心円状に形成された
    ランドと該ランドの間に形成された溝を有する基板と、
    この基板上に、上下の順は問わないで、それぞれ積層さ
    れた「垂直磁気異方性を有するメモリー層と、これに交
    換結合した垂直磁気異方性を有する『記録層』との少な
    くとも2層」とを有し、前記溝の深さが800Å以下であ
    るオーバーライト可能な光磁気記録媒体の記録再生が可
    能であり、レーザービームと、前記媒体の回転部と、2
    kOe以下の初期補助磁界Hini.を与える永久磁石を有
    する、オーバーライト可能な光磁気記録媒体の記録再生
    装置。
  5. 【請求項5】 表面に渦巻状又は同心円状に形成された
    ランドと該ランドの間に形成された溝を有する基板と、
    この基板上に、上下の順は問わないで、それぞれ積層さ
    れた「垂直磁気異方性を有するメモリー層と、これに交
    換結合した垂直磁気異方性を有する『記録層』との少な
    くとも2層」とを有し、前記溝の深さが800Å以下であ
    るオーバーライト可能な光磁気記録媒体の記録再生が可
    能であり、レーザービームと、前記媒体の回転部と、記
    録磁界を与える永久磁石を有する、オーバーライト可能
    な光磁気記録媒体の記録再生装置。
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