JP2708141B2 - ヒトインターフェロン−β2A及びヒトインターフェロン−β2B、該インターフェロンをコードする遺伝子を含むベクター、該インターフェロンを産生するセルライン及び該インターフェロンの医薬品としての用途 - Google Patents

ヒトインターフェロン−β2A及びヒトインターフェロン−β2B、該インターフェロンをコードする遺伝子を含むベクター、該インターフェロンを産生するセルライン及び該インターフェロンの医薬品としての用途

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明はヒトインターフェロン−
β2A及びヒトインターフェロン−β2B、それらをコード
する遺伝子を含むベクター、それらを産生するセルライ
ン及びそれらの医薬品としての用途に関する。 【0002】 【従来の技術】インターフェロンは、抗ウイルス活性及
び抗腫瘍活性を有し人体によって産生される重要な蛋白
である。その種特異性のために、臨床上の用途にはヒト
インターフェロンが要求される。インターフェロンは、
その抗体との反応に基づき、3つのタイプに分類され
る。すなわち、主として白血球によって産生されるイン
ターフェロン−α、主として繊維芽細胞によって産生さ
れるインターフェロン−β、及び主としてT−リンパ球
によって産生されるインターフェロン−γである。 【0003】2本鎖(ds)RNAに応答してヒト繊維
芽細胞により産生されるインターフェロンは、主として
20Kdの糖蛋白IFN−β1 であり、これは0.9k
bのRNAによってコードされ、このRNAはイントロ
ンを除いた染色体9の遺伝子から得られるものである。
しかしながら、マイクロインジェクションによりカエル
卵母細胞に導入した時に、IFN活性を生ぜしめる他の
別のmRNAが、ポリ(γI)(γC)に続いてシクロ
ヘキシミド(CHX)−アクチノマイシンD処理によっ
てIFN誘導を受けたヒト繊維芽細胞において、観察さ
れている。またIFN−β1 の相補的(c)DNAのク
ローニングの際に、共に誘導された1.3kbの他の別
のRNAに対応するcDNAクローンが単離されてお
り、このRNAは網状赤血球の溶解物中の1つである2
3−26Kdのポリペプチドをコードしており、そして
卵母細胞においてヒトインターフェロン抗ウイルス活性
を生ぜしめることが調べられている〔J.Weisse
nbachら、(1980)Proc.Natl.Ac
ad.Sci.U.S.A.,77,7152−715
6;英国特許No.2,063,882〕。 【0004】この活性は、抗IFN−β1 抗体によって
阻止されることから、このポリペプチドはIFN−β2
と呼ばれている。IFN−β2 に対応するRNAから得
られる蛋白とIFN−β1 とは、同一の抗体との交叉反
応により、それらの生物学的活性は阻止されるが、両者
の蛋白は免疫学上は区別されるものである。IFN−β
2 RNAは、染色体9を除いたマウス−ヒトハイブリッ
ドにより形成されることから、IFN−β2 の1.3k
bのRNAは、明らかにIFN−β1 遺伝子以外の他の
遺伝子に由来している〔U.Nir,(1984)P
h.D.Thesis,Weizmann Insti
tute of Science,Rehovot,I
srael〕。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】西独特許出願No.P
3,043,981には、純粋な形態のインターフェロ
ン−β2 の製造法が記載されている。この製造法によれ
ば、インターフェロン誘導剤により刺激を受けた時にイ
ンターフェロンを産生し得るヒト細胞を培養し、次いで
インターフェロン−β2 をコードするヒト細胞中のヌク
レオチド配列を含むDNAを単離することを含む製造法
によって、インターフェロン−β2 を得ている。この製
造法においては、該誘導細胞からmRNAを単離精製
し、次いでmRNAの逆転写によりDNAを得、このD
NAを適当なベクター中でクローン化している。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の如くして得られる
遺伝子を単離しハムスターあるいはマウス細胞にトラン
スフェクションした場合に、dsRNA及びシクロヘキ
シミドの刺激後にヒト特異的IFN活性を生ぜしめる、
IFN−β2 をコードするもう1つの別の遺伝子の存在
が証明された。ここで産生されたIFNは、IFN−β
2 に属すると認められる特性を持っているが、しかしな
がら、IFN−β2 と同一のアミノ酸配列を有しておら
ず、これらはIFN−β2A及びIFN−β2Bと命名し
た。したがって、本発明の目的は生物学的に活性なヒト
IFN−β2A及びヒトIFN−β2Bを単離することにあ
る。本発明の他の目的は、生物学的に活性なヒトIFN
−β2A及びヒトIFN−β 2Bを製造することにある。 【0007】本発明の更に他の目的は、ヒトIFN−β
2 をコードするcDNA、更に詳細にはヒトIFN−β
2AをコードするcDNA及びヒトIFN−β2Bをコード
するcDNAを製造することにある。本発明の更に他の
目的は、IFN−β2 のcDNAとハイブリダイズする
遺伝子を同定することにある。本発明の更に他の目的
は、IFN−β2AのcDNAあるいはIFN−β2Bのc
DNAにハイブリダイズする遺伝子を同定することにあ
る。本発明の更に他の目的は、IFN−β2 遺伝子を含
むゲノミッククローン、更に詳細にはIFN−β2A遺伝
子を含むゲノミッククローン及びIFN−β2B遺伝子を
含むゲノミッククローンを単離することにある。本発明
の更に他の目的は、IFN−β2A及び/又はIFN−β
2B遺伝子、及びインターフェロン遺伝子の転写をコント
ロールするプロモーター配列を含む組み換えベクターを
提供することにある。本発明の更に他の目的は、生物学
的に活性なヒトIFN−β2A及び/又はIFN−β2B
産生する細胞を提供することにある。 【0008】本発明の更に他の目的は、IFN−β2A
び/又はIFN−β2Bの実質的な量を産生する細胞を提
供することにある。本発明の更に他の目的は、遺伝子組
み換え技術による、生物学的に活性なヒトIFN−β2A
及び/又はIFN−β2Bの製造法を提供することにあ
る。本発明の更に他の目的は、ウイルスの強力な転写プ
ロモーターに融合し、ハムスターあるいはマウス細胞に
トランスフェクションを行なった時に、実質的な量の生
物学的活性を有するヒトIFN−β2A及び/又はヒトI
FN−β2Bを産生する遺伝子を提供することにある。本
発明の更に他の目的は、細胞の成長あるいは分化、特に
末期のガン細胞の分化に望ましい影響を与える、IFN
−β2A及び/又はIFN−β2Bの医薬品としての用途に
ある。本発明の更に他の目的は、IFN−β2A及び/又
はIFN−β2Bの、繊維芽細胞の分化を阻止するあるい
は感染後の硬化症を防止するための用途にある。 【0009】本発明によれば、生物学的に活性なインタ
ーフェロン−β2 (IFN−β2 )分子の存在が確認さ
れ、これらの分子は組み換えDNA技術により製造され
る。かかるインターフェロン−β2 は、dsRNAある
いはウイルスによってインターフェロンの産生が誘導さ
れたヒト繊維芽細胞から分泌される糖蛋白である。IF
N−β2 は、繊維芽細胞により産生される全IFN活性
の約5%に相当する。IFN−β2 のアミノ酸配列は、
cDNAを用いる方法により決定され、その配列は、ヒ
ト細胞により産生される他のIFN(IFN−β1 ,I
FN−α)の配列と約20%だけ相同である。 【0010】本発明によれば、IFN−β2Aをコードす
るヒトcDNAあるいは遺伝子は、ウイルスの強力な転
写プロモーターに融合される。この融合cDNAあるい
は遺伝子によって形質転換されたハムスター細胞は、ヒ
ト特異的インターフェロン活性を生ぜしめ、この活性に
より、ウイルスの複製及び細胞変性効果が阻止され、そ
してインターフェロンに対するヒト細胞の生物学的応答
に特有な蛋白が誘導される。単離しハムスターあるいは
マウス細胞にトランスフェクションした場合に、dsD
NA及びシクロヘキシミドによる誘導後、ヒト特異的I
FN活性を生ぜしめる、IFN−β2 をコードするもう
1つの別の遺伝子が見出された。この遺伝子により産生
されたIFNは、IFN−β2 に属すると認められる特
性を有しているが、そのアミノ酸配列は同一ではなく、
これらはIFN−β2A及びIFN−β2Bと命名した。 【0011】インターフェロンをコードするヌクレオチ
ド配列を含む、ヒト繊維芽細胞中の遺伝子を単離してい
る時に、インターフェロン−β2 の存在が確認された。
この時には、繊維芽細胞に対して、外因性の適当な因子
を作用させて、インターフェロンのmRNAの産生を誘
導せしめて、mRNAを抽出した。また同時に、誘導化
処理を行なわない繊維芽細胞からも、mRNAを抽出し
た。誘導化処理した及び処理しない細胞から抽出したm
RNAより、これらを鋳型として用いて、それぞれcD
NAプローブを合成した。誘導化処理した細胞から得た
mRNAより、2本鎖cDNAを合成し、次いで適当な
ベクターに挿入して、微生物にトランスフェクションし
た。次いでこの形質転換体を、当該ベクターを有する形
質転換体が選択的に増殖する条件下で培養して、第1代
のコロニーを得た。次いでこのコロニーから、更に第2
代のコロニーを形成せしめ、両者のコロニーからDNA
を抽出した。第2代のコロニーから得られたDNAを、
前記した誘導化処理した細胞から得られるmRNAより
合成したcDNAプローブとハイブリダイズさせた。 【0012】他方、第2代のコロニーから得られたDN
Aを、前記した誘導化処理を行なわない細胞から得たm
RNAより合成したcDNAプローブにもハイブリダイ
ズさせた。誘導化処理した細胞より得られるcDNAプ
ローブにはハイブリダイズするが、誘導化処理しない細
胞より得られるcDNAプローブにはハイブリダイズし
ないDNAを有するコロニーを選択して、そのコロニー
よりDNAを抽出した。このDNAを更に調べて、カエ
ル卵母細胞あるいは網状赤血球の溶解物中でインターフ
ェロンに翻訳されるmRNAとハイブリダイズするDN
Aを選択した。かかるDNAが、本質的にインターフェ
ロンをコードするDNA、あるいはインターフェロンを
コードするDNAを得るに十分な配列を含むDNAであ
る。 【0013】かかる研究の際に、インターフェロンをコ
ードする他の別の2種のmRNAが、誘導化処理した繊
維芽細胞から単離されることが分かった。これらのmR
NAを、グリセロールを用いて遠心分離することによ
り、11Sの画分に、少量のmRNAが沈渣した。これ
を細胞中で翻訳せしめることにより、蛋白を得た。かか
る蛋白は、繊維芽細胞中から精製されるインターフェロ
ンの1つに対する抗体と反応して沈殿する分子量20,
000の蛋白である。この蛋白はヒトインターフェロン
−β1 であり、そのアミノ酸配列の1部は、Knigh
tら〔(1980)Science,207,525−
526〕によって決定されている。14Sの画分に多量
のmRNAが沈渣し、このmRNAからは、分子量2
3,000の蛋白が得られた。この蛋白は、繊維芽細胞
から得られる純度の低いインターフェロンに対する抗体
と反応して沈澱した。 【0014】この蛋白をヒトインターフェロン−β2
命名した。インターフェロン−β2に翻訳されるmRN
AとハイブリダイズするcDNAクローンを前記した方
法と同様にして調製し、そのクローンを用いてIFN−
β2 のcDNAプローブを調製した。インターフェロン
−β2 に翻訳されるmRNAとハイブリダイズするcD
NAクローンである、IFN−β2 クローンA341及
びE474は、それぞれ共通した配列を有しており、こ
れらを融合して、IFN−β2 AE20cDNAを再構
築した(図1参照)。このIFN−β2 cDNAのヌク
レオチド配列を決定した。これにより、23,500ダ
ルトンの蛋白の産生が期待される212個のアミノ酸の
オープンリーディングフレームを有することが分かっ
た。転写−翻訳試験により、このcDNAは、上記の如
き蛋白をコードすることが確認された。 【0015】ヒト成人血球DNAをEcoRIで部分消
化後、λシャロン4A〔Y.Moryら、(1981)
Eur.J.Biochem.120:197−20
2〕中でクローン化して得られるヒト遺伝子ライブラリ
ーから、前記したIFN−β2のcDNAプローブにハ
イブリダイズするゲノミッククローンIFA−2及びI
FA−11を単離した。クローンIFA−2は、クロー
ンcDNAの各種セグメントとハイブリダイズする少な
くとも4つのエクソンを持つ遺伝子を含んでいる(図
1)。AE20cDNAの5′−末端の近くにXho1
部位があるため、ゲノミックセグメントA132(図
2)のマップ化を行なった。A132は、このXho1
部位から70bp下流の所で終るIFA−2の最初のエ
クソンを有している。Xho1 部位から40bpの位置
のBstN1部位をラベルしたDNAプローブを用い
て、S1ヌクレアーゼ分析を行なうことにより、誘導化
処理を受けたヒト繊維芽細胞FS11は、20個分のヌ
クレオチド配列によって区別される、5′−末端S−1
あるいはS−2を有する2つのIFN−β2 RNAを含
んでいることが分かった(図3)。これら2つの開始点
は、その上流−30の位置にあるTATAボックスに続
いて存在している(図4)。S−2で終るRNAは、各
種の誘導化処理条件下において、より長い他のRNAよ
り、多かった(図3)。 【0016】異なる5′−末端を有する2つのRNA
は、細胞質のRNAの場合にも観察された。従って、ヒ
ト細胞において、2つのRNAが形成されて活性を示す
ことが明らかである。両者のIFN−β2 RNAを、ポ
リ(γI)(γC)によりヒト繊維芽細胞中で誘導し
た。この誘導は、IFN−β1 RNAの場合〔U.Ni
rら、(1984)Nucl.Acids.Res.,
12:6979−6993〕と同様に、IFN自身を添
加することによって促進される。CHXで長時間(6.
5h)処理することによってもIFN−β2 RNAは誘
導される。またCHXの処理時間が短い(3.5h)場
合には、ポリ(γI)(γC)のみででも有効である。
dsRNAを添加することなしにCHXのみで誘導した
場合に、IFN−β2 RNAはわずかしか誘導されず、
このことによりIFN−β1 と区別することができる。 【0017】IFA−2遺伝子を発現せしめるために、
SV40初期プロモーターを有するDNA構築体を作成
した。IFA−2 DNAの4.8kbセグメントを、
合成オリゴヌクレオチドを介してpSVE3 DNA
〔Y.Chernajovsky 5,(1984)D
NA,3,294−308〕に融合して、ATGコドン
が、SV40の前初期のRNAの開始点から150bp
下流に来るようにした(pSVIFA2−II,図5参
照)。pSVIFA2−IIDNAを、cos7サル細
胞〔Y.Gluzman,(1981)Cell,2
3:175−182〕に導入し、IFN−β2 cDNA
を用いたノーザンブロット法により、1.35と2.2
kbの2つのRNAを検出した。これら2つのRNA
は、それぞれIFN−β2 で転写が終るRNA、あるい
はSV40ポリアデニル化部位で転写が終るRNAに対
応していた(図5)。 【0018】pSVIFA2−IIDNAの過渡的発現
が行なわれているCos7細胞の培地について、ヒトF
S11及びウイッシ(Wish)細胞〔D.Novic
kら、(1983)J.Gen.Virol.,64:
905−910〕に与えるところの、VSVの細胞効果
に対する抑制作用に基づいて、IFN活性を測定した。
抗ウイルス活性は、pSVIFA2−II DNAトラ
ンスフェクション2日後に、明らかに検出された(第1
表)。1ユニットあたりのIFN−β2 の抗ウイルス比
活性は、IFN−β1 の1/30−1/100であり、
IFN−α1 のそれ(5−10×106 ユニット/m
g)に近かった。IFA−2遺伝子の発現が行なわれて
いる培地のIFN力価は、予想された通り、同じSV4
0プロモーターの下流に組み込んだIFN−β1 遺伝子
が発現される場合の力価の約3%であった(第1表)。 【0019】更には、pSVIFA2−IIDNAを導
入したCos7細胞の培地にFS11細胞をさらすこと
によって、(2′−5′)オリゴAシンセターゼ〔M.
Revelら、(1981)、Meth.Enzymo
l.79:149−161〕が誘導されることから、p
SVIFA2−IIDNAがトランスフェクションされ
た細胞中でIFN−β2 活性が生起することが証明され
た(図6)。(2′−5′)オリゴAシンセターゼの誘
導は、用量依存的でありまた抗ウイルス活性に量的に対
応している。 【0020】また、IFA−2遺伝子を、S−2の近く
のXho1 部位にSV40プロモーターが位置するよう
に融合した(pSVIFA2−IDNA、図5)。ハム
スターCHO−K1DHFR- 細胞に、pSVIFA2
−I及びpSVDHFR〔Y.Chernajovsk
yら、(1984)DNA,3:294−308〕DN
Aを共にトランスフェクションし、安定な形質転換体S
I−15を単離した。このセルラインについては、ヒト
FS11及びWish細胞を用いて測定した時、10−
50U/mlのIFN抗ウイルス活性が観察された。一
方、pSVDHFR DNAのみを導入したCHO細胞
の場合には、ヒトIFNの生成については何ら観察され
なかった(第1表)。SI−15培養の培地を濃縮する
ことによって、約3000U/mlの力価を有するγI
FN−β2 溶液が得られる。 【0021】このγIFN−β2 は、ヒトIFNが持つ
特性を有しており、またγIFN−β2 によりFS11
細胞中で(2′−5′)オリゴAシンセターゼが、1U
/mlの低濃度の場合でも誘導される(図6)。CHO
SI−15細胞により、γIFN−β2 が産生されるこ
とから、シクロヘキシミドの存在下で、(2′−5′)
オリゴAシンセターゼC56及びHLAを生成するため
のmRNAが、ヒトに特異的に誘導されることが証明さ
れた。またγIFN−β2 抗ウイルス活性は、抗−IF
N−β1 ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体に
より中和され、抗−IFN−αあるいは抗−IFN−γ
抗体によっては中和されないことが分かった。またマウ
ス−ヒトハイブリドーマが、1型のIFNレセプターの
遺伝子を持つ染色体21を含んでいる場合にのみ、γI
FN−β2 は、このマウス−ヒトハイブリドーマに対し
て作用することが分かった。γIFN−β2 のこのよう
な生物学的特徴から、γIFN−β2 はIFNとして作
用しているのであって、IFN−β1 の誘導剤として作
用しているのではないことが証明される。 【0022】IFN−β2AcDNA配列をSV40初期
プロモーターに融合して得られるDNA構築体(pSV
CIFβ2 、図5)を、前記したと同様にCHO細胞に
pSVDHFRと共にトランスフェクションした時に、
高収率でγIFN−β2 が得られた。そして高濃度のメ
トトレキセートに対して耐性の細胞を選択することによ
って、γIFN−β2 の収量が増幅された。増幅されな
い場合であっても、pSVCIFβ2 で形質転換された
CHO細胞(例えばクローンB−132)は、SI−1
5細胞と同様のIFN−β2 活性を示した(第2表)。
しかしながら、メトトレキセートに耐性の細胞を選択し
た場合には800U/mlの高いIFN−β2 活性を示
した(第2表)。 【0023】そのような選択クローンを用いて、培地に
分泌されるIFN−β2 蛋白を免疫学的に沈澱させるこ
とができ、またこの細胞が35S−メチオニンでラベルさ
れている場合には、IFN−β2 蛋白を、ドデシルサル
フェートポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析す
ることもできる。γIFN−β2 の大きさは、21,0
00ダルトンであることが分かった。実際の実験によれ
ば網状赤血球の溶解物中で、IFN−β2 RNAの翻訳
により23−26Kdの生成物が得られ、これは、犬の
パンクレアチン膜によりin vitroで、より短か
い21Kdの蛋白に変換されることが分かった。また誘
導化処理したヒト繊維芽細胞により、21Kdの蛋白が
産生され、この蛋白は、IFN−β2 RNAからの生成
物である26Kdの生成物と免疫学的に同じであり、し
かしながらIFN−β1 とは異なっていた。成熟IFN
−β2 の21Kd蛋白のN−末端は同定しなかった。I
FN−β2 配列には、2つのグリコシル化部位があり
(図1)、このために、プロセッシングによって除かれ
る領域の大きさを計算するのが困難になっている。 【0024】しかしながら、この除去される領域は、I
FN−β1 の場合よりも長く、その大きさは、成熟化
〔W.Degraveら、(1981)Gene,1
0:11−15〕によって増加することが示された。I
FN−β2 の26Kdポリペプチドのハイドロパシープ
ロット(hydropathy plot)により、I
FN−β2 の親水性及び疎水性領域と成熟IFN−β1
のそれらとの間には、2つの蛋白をそのC−末端を基準
に並べたときに、著しい共通性があることが分かった。
また、IFN−β2 のアミノ酸配列と他のI型ヒトIF
Nのアミノ酸配列には、共通配列があることも分かった
(図7)。公知のすべてのIFN−α及びβの配列に
は、38個の共通するアミノ酸配列(図7に星印を付け
た)がある。IFN−β2 を同様にC−末端を基準にし
て並べたとき、すべてのI型ヒトIFNに共通の38個
のアミノ酸のうち、18個のアミノ酸がIFN−β2
おいても見られる(図7)。IFN−β2 と他のI型I
FNとの間には約20%の相同性がある。 【0025】IFN−β1 アミノ酸配列とIFN−β2
アミノ酸配列との間の相同性は低いが、IFN−β1
IFN−β2 の抗ウイルス活性は、例えば抗−IFN−
β1モノクローナル抗体〔D.Novickら、(19
83)J.Gen.Virol.,64:905−91
0〕などの同一の抗体による交叉反応により中和される
ことから、これらIFN−β1 とIFN−β2 の活性部
位には何らかの相同性があることが考えられる。IFN
−β2 の活性は、抗−IFN−α又は−γ抗体によって
は中和されないことから、この考えが支持される。IF
N−β2 をコードする遺伝子は、染色体9〔U.Ni
r,(1984)Ph.D.Thesis,Weizm
ann Institute of Science,
Rehovot,Israel〕中にはなく、イントロ
ンの存在によりクラスター構造を取っている染色体9の
I型IFN遺伝子とも異なる。IFA−2遺伝子は染色
体7〔P.B.Sehgalら、(1986)Pro
c.Natl.Acad.Su.,USA〕にあること
が分かった。アミノ酸配列において相同性が検出される
ことから、IFN−β2 遺伝子は、クラスター構造を取
るI型のIFN遺伝子の基礎となる遺伝子と関連してい
ると考えられる。 【0026】IFN−β2 cDNAとハイブリダイズす
る、もう1つの他のゲノミックDNAクローンIFA−
11は、IFA−2とは異なる制限酵素地図を有してい
る(図8)。転写地図及びその配列から、IFA−2の
3′−末端のエクソンと、IFA−11(Hbal−H
ind111 セグメント)とは共通している(99%の相
同配列)ことが分かり、他方5′末端のエクソンと交叉
ハイブリダイズする領域はない。IFA−11ゲノミッ
ククローン(19kb)を、HSV−TK遺伝子〔F.
Colbere−Garapinら、(1981)J.
Mol.Biol.,150:1−14〕とともにL−
TK−細胞にトランスフェクションし、安定な形質転換
体を得た。第1表に示した如く、ヒトIFA−11遺伝
子を含むL細胞クローンLI−39は、ポリ(γI)
(γC)及びシクロヘキシミドで誘導化処理を行なった
場合には、ヒトIFN活性を示し、他方L−TK+ 細胞
はそのような活性を示さなかった。 【0027】IFA−11遺伝子を含むCHOクローン
IC40も、ヒトIFN活性を示した(第1表)。誘導
化処理を行なわないLI−39あるいはIC40細胞
は、何んらの活性も示さなかった。誘導化処理後にIF
A−11の形質転換体が示すIFN活性は、IFA−2
遺伝子の場合に比べて、有意に高かった。IFA−11
遺伝子の発現により産生されるγIFN−β2Bは、IF
A−2遺伝子の生成物と同様に、抗−IFN−β1 抗体
によってその活性が中和される。IFA−11に特異的
なDNAプローブは、IFN−2 DNAプローブと同
様に、誘導化処理したヒト繊維芽細胞から得られるRN
Aとハイブリダイズし、このことから、両者の遺伝子は
ヒト細胞において活性を示すことが分かる。 【0028】IFN−β2 遺伝子の機能は、他のIFN
遺伝子が発現されないような条件下でIFN−β2 遺伝
子が発現されることに起因していると考えられる。我々
は、腫瘍壊死因子(TNF)あるいはリンフォカインI
L−1に繊維芽細胞をさらしたときに、IFN−β2
白が産生されることを見出した。また、抗体によってI
FN−βが中和され、その結果、細胞の増殖が促進され
ることも他の人々によって見出されており〔M.Koh
aseら、(1986)Cell投稿中:Resnit
zkyら、(1986)Cell投稿中〕。このことか
ら、IFN−β 2 は、成長因子に応答して細胞の成長を
抑制するように作用することが分かる。このことは、I
FN−γmRNAと共にPHAの如きマイトージエンに
よって誘導化処理された末梢血単核細胞において、IF
N−β2 cDNAとハイブリダイズするRNAが検出さ
れた事実からも支持される。 【0029】また、IL−1等のリンフォカインが、2
倍体繊維芽細胞及び他のヒトセルラインにおいて、IF
N−β2 cDNAとハイブリダイズするRNAを、強く
誘導することが報告されている〔J.Content
ら、(1985)Eur.J.Biochem.,15
2:253−257〕。IFA−2遺伝子のプロモータ
ー領域は、2つのTATAボックス及び2つのRNA開
始点を含んでいる(図1及び図3)。このIFN−β2
プロモーターは、ポリ(γI)(γC)あるいはシクロ
ヘキシミドのいずれかに応答することが示されている
〔Y.Chernajovskyら(1984),DN
A,3:294−308〕。In vivoで、2つの
IFN−β2 遺伝子プロモーターが異なる誘導剤(ds
RNA、蛋白合成インヒビター、IL−1,PHA)に
よって活性化される。各種の細胞が、成長阻止あるいは
分化において、少量のオートクリン(autocrin
e)IFN−βを産生することが見出されている〔M.
Revel(1983)Interferon,5,p
p.205−239,Acad.Press,Lond
on〕。IFN−β2 は、自動調節された細胞の成長に
応じて産生される少数のIFN種に属するものであり、
他方I型のIFNは、ウイルス感染に対して特異的に産
生されるIFN種である。 【0030】IFN−β2 の生物学的に重要な点は、I
FN−β1 が誘導されないような条件、例えば代謝機構
が抑制されるような条件下〔A.Zilberstei
nら、(1985)The Interferon S
ystem,SeronoSymposia Rave
n Press,pp.73−83〕で、IFN−β2
が誘導されるということである。そして最も重要な点
は、TNFが、繊維芽細胞においてIFN−β2 を誘導
し、TNFによって促進される繊維芽細胞の増殖が、抗
−IFN−β抗体を添加することによって更に促進され
るということである。多くのヒトセルラインが、分化の
際に、オートクリン(autocrine)IFN−β
を産生することが分かっており、これらのIFNによっ
て、細胞中でHLA抗原が誘導される〔A.Yarde
nら(1984)Embo.J.,3;969−97
3〕。 【0031】CSF−1によって分化誘導されたマウス
脊髄白血病セルラインで、末期の分化に特徴的な細胞の
成長停止が、抗−IFN−β抗体によってなくなる。I
L−1は、いくつかの型の細胞の成長を促進し、成長因
子PDGFはマウス細胞中でIFN−β RNAを誘導
することが分かっている〔J.N.Zulloら、(1
985)Cell 43:793−800〕。多くのI
FN−βがあるが〔P.B.Sehgal,(918
2),Interferon 4,Academic
Press,pp.122,及びM.Revel(19
83)、Interferon 5,Academic
Press,pp.205−239〕、IFN−β2
は、成長因子に応答して生起する細胞成長のオートクリ
ン自動調節物質の1つであると考えられる。オートクリ
ンIFN−βを産生する細胞は、低い抗ウイルス活性の
みを示す〔M.Revel(1983),Interf
eron 5,Academic Press,pp.
205−239〕ことから、上記の考えは、IFN−β
2 の低い比活性(抗ウイルス活性は、イムノアッセイに
よる測定の結果、IFN−β1 の1/50−1/100
である)と符号する。 【0032】またIFN−β2 cDNAを発現するハム
スター細胞が、ヒトIFN−β1 遺伝子を保持するハム
スターCHO細胞〔Y.Chernajovskyら,
(1984),DNA3:297−308〕よりも低い
IFN活性を示す理由を、上記の考え方で説明すること
ができる。また興味深いことに、IFN−α1(D)
は、白血病IFNの多くの割合を占めている〔C.We
issmann(1981),Interferon
3,Academic Press,N.Y.pp.1
01−134〕にもかかわらず、IFN−α1(D)
も、他のIFN−αの1/100の低い比活性を示す
〔T.Gorenら,(1983),Virology
130:273−280〕。しかしながら、IFN−
β2 によって、多くのIFNの機能のうちのいくつか
は、抗−ウイルス活性の場合よりも、より効果的に発現
されるということも見逃せない。低濃度にもかかわら
ず、成長調節物質IFN−βは、HLA及び(2′−
5′)オリゴAシンセターゼをより強力に誘導し、また
それらを産生する細胞の成長をより長く強力に抑制す
る。IL−1及びTNFによってIFN−β2 が誘導さ
れることから、IFN−β2 が、細胞の増殖を調節する
のみならず、炎症及び急性相応答におけるこれらサイト
カインのオートクリンメディエイターの役割をはたして
いることが示唆される。 【0033】IFN−β1 cDNAではなくIFN−β
2 cDNAのプローブにハイブリダイズするmRNA
が、ヒトセルラインをインターロイキン−1(IL−
I)〔J.Contentら(1985),Eur.
J.Biochem.,152:253−257〕及び
TNF−αにさらしたときに、誘導されることが観察さ
れた。R−抗体を用いたIFN−β2 に特異的な免疫競
合アッセイ法(immuno−competition
assay)により、これら2つのサイトカインに応
答して、ヒト繊維芽FS11細胞が、実際にIFN−β
2 蛋白を分泌するかどうかを調べた(図9)。γIL−
αとTNF−αの両者は、IFN−β2 蛋白の合成と分
泌を誘導し、イムノアッセイにより、10−20U/m
lのIFN−β 2 が分泌された。γIL−1αの濃度が
4U/ml(0.13ng/ml)の時に、IFN−β
2 の最適誘導が観察され、この濃度は、プロスタグラジ
ンE2 、コラゲナーゼあるいはヒアルロン酸をヒト繊維
芽細胞中で誘導せしめるに要するIL−1の濃度〔J.
H.Korn(1985),Arthritis Rh
eum.,28:315−322〕と同じであった。 【0034】またIFN−β2 誘導(400U/ml;
40ng/nl)のためのTNF−αの最適濃度は、感
受性細胞を溶解するのに要する濃度〔0.1ng/m
l;A.M.Wangら(1985)Science,
228:149−154〕よりも高く、また2倍体繊維
芽細胞の最適成長促進に要する濃度(2ng/ml)よ
りも高い。IFN−β2 の分泌の開始は、TNF−αに
より早められ、約6時間で分泌量の最大値の半分の値に
達する。他方、IL−1の場合には8−12時間で半分
の値に達する。今までに記述した部分で引用した文献
は、本発明の記述を完全にするために、本明細書中に組
み込まれる。本発明の範囲を逸脱することなく、本発明
を修正し変えることは、当業者にとって自明であろう。
また本発明は、明細書の記述、図面に限定されるもので
もない。 【0035】 【表1】 【0036】 【表2】【0037】図1は、IFN−β2AcDNAの制限酵素
地図及びヌクレオチド配列を示す。このヌクレオチド配
列は、E474cDNAクローンとA341cDNAク
ローン〔Weissenbachら,(1980),P
roc.Natl.Acad.Sci.USA,77:
7152−7156〕とのXba−1部位での融合によ
り形成されるクローンAE20から決定された。その
5′−末端配列は、図2に示すゲノミッククローンIF
A−2から明らかにされた。また番号は、図3及び図4
のS−1を1として始まる。IFN−β2 のアミノ酸配
列は、演繹法により決定した。 【0038】図2は、IFN−β2A遺伝子を含むゲノミ
ッククローンIFA−2の構造を示す。A132は、I
FA−2のEcoRIセグメントをpBR322でクロ
ーン化したサブクローンである。点が散在している部分
は、cDNAクローンA341及びE474〔Weis
senbachら,(1980),Proc.Nat
l.Acad.Sci.U.S.A,77:7152−
7156〕にハイブリダイズする領域を示している。R
NAの2つの開始点(キャップ1及び2)及びTATA
ボックスが示されている。RNAにおいて、212個の
アミノ酸(図1)のオープンリーディングフレーム(O
RF)は黒い太線で示されている。M.C.は第2のA
TGを示しており、IFN−β2AcDNAにおいては、
他のORFは見出されなかった。 【0039】図3は、IFN−β2 RNAの5′−末端
部分のS1ヌクレアーゼ分析を示す。IFA−2遺伝子
(図2)のサブクローンA132のフラグメントであ
り、BstN1部位をラベル化したDNAプローブを、
以下の方法で処理した2倍体繊維芽細胞から得られる全
RNAとハイブリダイズした。処理方法は、IFN−β
1 200U/mlで16時間の前処理;同様の前処理及
びポリ(γI)(γC)(pIC)50μg/ml、
3.5時間処理;同様の前処理及びシクロヘキシミド
(CHX)50μg/ml、3.5時間処理;同様の前
処理及びpICとCHXで3.5時間処理;同様の前処
理及びCHXで6.5時間処理;pICで3.5時間の
処理のみ;CHXで3.5時間の処理のみ;pICとC
HXで3.5時間の処理のみ、である。S−1及びS−
2は、図2に示す2つのRNAの開始点を示す記号であ
る。図4は、IFN−β2AをコードするIFA−2遺伝
子のプロモーター領域を示す。サブクローンA132
(図2)の部分の配列は、IFN−β2 cDNAとして
示した。S−1及びS−2は、図3で示した2つのRN
Aの開始点を示す。イニシェーターATGはXで示され
る。最初のイントロンはintγlで開始する。 【0040】図5は、IFN−β2AcDNAとSV40
の初期プロモーターの融合を示したものである。IFA
−2遺伝子(図2の5.5kbから7.5kb)の5′
−末端のXho1 −BamH1 (Xh−B)セグメント
を、26bpのCla1 −Xho1 合成アダプター
(5′末端のcDNA配列を復元している)を用いて、
Cla1 及びBamH1 で切断したpBRプラスミドに
融合し、これをサブクローニングして、プラスミドpS
VIFA−IIを構築した。Hind111 及びBamH
1 で切断したpBRプラスミド中でサブクローン化した
3′末端のBamH 1 −Hind111 (B−H)遺伝子
セグメント(図2の7.5kbから10.5kb)を、
pBR322のHind111 部位に隣接したCla1
位で切り取り、前記5′−末端セグメントに連結し、完
全なIFA−2遺伝子を得た。 【0041】Hind111 で切断されたpSVE3ベク
ター〔Y.Chernajovskyら(1984)D
NA,3:294−308〕を、Cla1 リンカーを用
いて再連結し(pSVClaを形成する)、次いで前記
IFA−2遺伝子をpSVClaのCla1 部位に、p
SVIFA2−IIを形成するSV40初期プロモータ
ーと同じ方向で導入した。IFA−2のXho1 部位
を、pSVE3に導入する前にpBRのCla1 部位に
直接融合させた以外は、同様にしてプラスミドpSVI
FA2−Iを構築した。SV40プロモーターに融合し
たIFN−β2AcDNAを含むpVCIFβ2 プラスミ
ドを得るために、前記pSVIFA2−IIDNAを、
Xb1 で切断し、次いでXmn1 で部分切断して、IF
N−β2 cDNA配列のXho1 部位から60bp下流
にあるXmn1 部位(図1)を開き、そしてベクターの
amp遺伝子にあるXmn1 部位は開かなかった。この
構築物に、IFN−β2 cDNAクローンAE20のX
mn1 −Xba1 セグメント(図1の92−566に対
応する)を連結し、図に示す如き、完全なIFN−β 2A
cDNA配列を復元した。 【0042】EESはSV−40T−ag遺伝子のRN
A開始点、ATGはIFN−β2 の開始コドン、pAは
IFN−β2 及びSV40のポリアデニル化部位を示
す。pSVCIFβ2 DNAを、pDHERプラスミド
と共に、CHO−K1 DHFR - 細胞にトランスフェク
ションし〔Y.Chernajovskyら(198
4),DNA,3:294−308〕、得られるクロー
ンについて、Vesicular Stomatiti
s Virus(VSV)を用いてFS11細胞におけ
るヒトIFN抗ウイルス活性を調べた。メトトレキセー
ト(MTX)耐性のCHOクローンを選択することによ
って遺伝子の増幅が達成された。250nMのMTXに
耐性のCHO−SVCIFβ2 B132−5M細胞の培
養培地のアッセイが、図の下に示されている。VSVの
細胞変性効果が現われた後、マイクロプレート中の細胞
をメチレンブルーで染色した。一連の培地2倍希釈物が
左から右に並べてある。IFNスタンダード(ST)及
び非導入CHO細胞と比較することにより、300U/
mlのγIFN−β2 の力価を計算した。 【0043】図6は、下に示す細胞の培地に16時間あ
らかじめさらしたヒトFS11繊維芽細胞について、N
P40抽出物に境界をつけるポリ(γI)(γC)−ア
ガロース〔M.Revelら,(1981)Meth.
Enzymol.79:149−161〕を用いた、
(2′−5′)オリゴAシンセターゼのアッセイの結果
を示す。すなわち(a)pSVIFA2−II DNA
(図5)を導入してから2日後のCos7細胞(この時
のアッセイの結果は、図6の最も左側の4列で示されて
いる)、(b)図5のpSVIFA2−IDNAで安定
に形質転換されたハムスターCHOSI−15細胞(次
の4列)、(c)IFN−β1 遺伝子を発現するCHO
MEIF−5細胞〔Y.Chernajovsky
ら,(1984),DNA,3:294−308〕(次
の2列)、(d)DHFR遺伝子での形質転換されたC
HO細胞(次の1列)、及び(e)新鮮な培地のみ(な
し)である。FS11細胞に加えた培地1ml当りのI
FN抗ウイルス活性の測定結果が示されている。リン酸
化された32P−α−ATPラベル化(2′−5′)オ
リゴA生成物の電気泳動の結果が示されている。 【0044】図7は、I型ヒトIFNのアミノ酸配列を
比較したものである。IFN−β1と各種のIFN−α
(α−Eを除く、α−A,α−Cで示されるIFN−
α、及びIFN−αクラスII)とに共通するアミノ酸
が、IFN−β1 配列の上に星印でマークされている。
またIFN−β2 に共通するアミノ酸は、もしそれがす
べてのI型IFNと共通する場合には星印で、もしいく
つかのIFNと共通する場合には四角印でマークされて
いるIFN−β2Aは、ハイドロパーシプロット(hyd
ropathy plots)を比較することによって
並べ、また予想されるプロセッシング部位から番号を付
けた。 【0045】図8は、けっ歯類の細胞で発現される2つ
の異なるヒトIFN−β2 の制限酵素地図を示す。IF
N−11DNA(IFN−β2B遺伝子)はCHOあるい
はL細胞のいずれかにトランスフェクションされ、IF
N−β活性を発現した。図9は、R−抗体を用いたIF
N−β2 に特異的な免疫競合アッセイ法を示したもので
あり、ヒト繊維芽FS11細胞は、2つのサイトカイ
ン、インターロイキン−1(IL−I)及び腫瘍壊死因
子(TNF−α)に応答して、IFN−β 2 蛋白を分泌
することが示されている。両者のサイトカインは、低レ
ベル、すなわち10−20U/ml IFN−β2 の最
適誘導はγIL−1αの濃度が4U/ml(0.13n
g/ml)の時に見られる。IFN−β2 誘導のための
TNF−αの最適濃度(400U/ml;40ng/m
l)は、感受性細胞の細胞変性の効果のために要する濃
度(0.1ng/ml)よりも高く、また2倍体繊維芽
細胞の最適成長促進に要する濃度(2ng/ml)より
も高い。
【図面の簡単な説明】 【図1A】IFN−β2AcDNAの制限酵素地図を示
す。 【図1B】IFN−β2AcDNAのヌクレオチド配列を
示す。 【図1C】IFN−β2AcDNAのヌクレオチド配列を
示す。 【図2】IFN−β2A遺伝子を含むゲノミッククローン
IFA−2の構造を示す。 【図3】IFN−β2 RNAの5′−末端部分のS1ヌ
クレアーゼ分析を示す。 【図4】IFN−β2AをコードするIFA−2遺伝子の
プロモーター領域を示す。 【図5】IFN−β2AcDNAとSV40の初期プロモ
ーターの融合を示したものである。 【図6】(2′−5′)オリゴAシンセターゼのアッセ
イの結果を示す。 【図7】I型ヒトIFNのアミノ酸配列を比較したもの
である。 【図8】2つの異なるヒトIFN−β2 の制限酵素地図
を示す。 【図9】電気泳動の結果を示す写真であり、より具体的
にはR−抗体を用いたIFN−β2 の免疫競合アッセイ
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/02 C12R 1:91) (54)【発明の名称】 ヒトインターフェロン−β2A及びヒトインターフェロン−β2B、該インターフェロンをコー ドする遺伝子を含むベクター、該インターフェロンを産生するセルライン及び該インターフェロ ンの医薬品としての用途

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.以下に示した212個のアミノ酸配列を有するヒト
    インターフェロン−β2Aをコードするヌクレオチド配
    列からなるDNA: 【化1】2.以下に示したcDNAからなる請求項1のDNA: 【化2】3.以下に示した212個のアミノ酸配列を有するヒト
    インターフェロン−β2Aをコードするヌクレオチド配
    列からなるDNAを含む組換えベクター: 【化3】4.ヒトインターフェロン−β2Aの発現が可能なよう
    な位置におかれた調節領域を更に含む請求項3の組換え
    ベクター。 5.DNAがゲノムDNAである請求項4の組換えベク
    ター。 6.DNAがcDNAである請求項4の組換えベクタ
    ー。 7.cDNA配列が、以下に示した配列である請求項6
    の組換えベクター: 【化4】8.調節領域が、プロモーター、好ましくはSV40初
    期プロモーターを含む請求項4から7のいずれかの組換
    えベクター。 9.組換えベクターが、インターフェロン−β2Aをコ
    ードする遺伝子の2kb XhoI−BamHI断片及
    び3kb BamHI−HindIII断片であってプ
    ラスミドpSVE3に挿入されたこれら断片を含むプラ
    スミドpSVIFA2−Iである請求項4から7のいず
    れかの組換えベクター。 10.組換えベクターが、請求項9のベクターに加えて
    5′cDNA配列を保持した26bp合成Cla1−X
    hoIオリゴヌクレオチドを含むプラスミドpSVIF
    A2−IIである請求項4から7のいずれかの組換えベ
    クター。 11.組換えベクターが、以下に示したプラスミドpS
    VCIFβである請求項7の組換えベクター: 【化5】12.以下に示した212個のアミノ酸配列を有するヒ
    トインターフェロン−β2Aをコードするヌクレオチド
    配列からなるDNAを含む組換えベクターで形質転換さ
    れたセルライン: 【化6】 13.セルラインが真核細胞である請求項12のセルラ
    イン。 14.ハムスターセルラインである請求項13のセルラ
    イン。 15.CHOセルラインである請求項13のセルライ
    ン。 16.L−TKセルラインである請求項13のセルライ
    ン。 17.インターフェロン−β2Aを産生することのでき
    る請求項12から16のいずれかのセルライン。 18.形質転換に用いた組換えベクターがプラスミドp
    SVCIFβであり、セルラインはプラスミドpSV
    DHFRで同時形質導入されメトトレキセート誘導増幅
    に付されたものである請求項15のセルライン。 19.以下に示した212個のアミノ酸配列を有するヒ
    トインターフェロン−β2Aをコードするヌクレオチド
    配列からなるDNAの使用方法であって、 上記DNAを含む組換えベクターで形質転換されたセル
    ラインを培養し; 次いで、発現されたヒトインターフェロン−β2Aを単
    離・回収することからなる、上記DNAの使用方法: 【化7】
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