JPH08228786A - ヒトbcdfの製造方法 - Google Patents

ヒトbcdfの製造方法

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JPH08228786A
JPH08228786A JP7328774A JP32877495A JPH08228786A JP H08228786 A JPH08228786 A JP H08228786A JP 7328774 A JP7328774 A JP 7328774A JP 32877495 A JP32877495 A JP 32877495A JP H08228786 A JPH08228786 A JP H08228786A
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JP
Japan
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bcdf
cells
human
cell
cdna
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Application number
JP7328774A
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English (en)
Inventor
Chuzo Kishimoto
忠三 岸本
Toshio Hirano
俊夫 平野
Yutaka Matsui
裕 松井
Yoshiyuki Takahara
義之 高原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒトBCDFの製造方法を提供すること。 【解決手段】 ヒトBCDF活性を有するポリペプチド
をコードする遺伝子及び真核生物の細胞中で複製可能な
ベクターDNAよりなる組み換えDNA体により形質転
換された真核生物細胞を培地中にて培養し、生産された
ヒトBCDFを採取することを含むヒトBCDFの製造
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は人について活性を有
するB細胞分化因子(以下「BCDF」と記す)の製造
法に関する。ヒトBCDFは本発明により物質としての
存在が初めて発明され、免疫不全による疾患等に汎く治
療薬として利用しうる有用な物質である。
【0002】
【従来の技術】抗原刺激を受け活性化された成熟B細胞
は、T細胞の助けにより分裂増殖するが、さらにB細胞
が抗体産生細胞にまで最終的に分化するには、1種また
はそれ以上のT細胞由来の分化誘導性の物質が必須であ
ることが知られている。この物質の存在は B. W. Dutto
n ら、Transplant, Rev.23 66 (1975), A.Schimpl とE.
Weckerら、Nature N. Biol. 237 , 15 (1972) 、により
明らかにされた。彼らはマウスのリンパ球混合物培養後
の培養上清中または抗原やマイトゲンにより刺激を受け
たマウスのリンパ球培養上清が、マウスのT細胞を除去
されたリンパ球細胞集団やヌードマウス由来のリンパ球
のヒツジ赤血球(SRBC)に対する1次免疫応答を増
幅させることを見出し、そのような作用を有する活性本
体にTリンパ球代替因子、すなわちTRFという呼称を
与えた。それ以来TRFは、抗原非特異的に主要組織適
合遺伝子複合体(以下、MHCと略称する。)の一致を
必要としない様式でB細胞に作用し、B細胞の分裂増殖
を誘導せず、B細胞の抗体産生細胞への分化を誘導する
液生因子であると定義されている。
【0003】その後、このようなB細胞分化因子の存在
を示す機能上の証拠が蓄積されており、人においてもマ
ウス同様の分化因子の存在が示唆されている。現在では
上述のように定義されたB細胞を抗体産生細胞へ分化さ
せる因子をBCDFと総称するようになった。このよう
にBCDFは人の体内でB細胞の抗体産生機能に重要な
働きをしている。BCDFの臨床への応用は大別して3
つ考えられる。第1はBCDFによりBCDF抗体を作
り、BCDFと抗BCDF抗体によるBCDFのイムノ
アッセイ系を用いて免疫学的な病態の解析に用いること
が出来ると共に、自己免疫疾患において散見されるB細
胞機能異常の修復にも用いうる。第2の応用は各種疾患
の治療への応用である。例えば、T細胞のヘルパー機能
低下にともなうB細胞抗体産生能低下による免疫不全症
患者にBCDF単独または他のリンホカインや免疫療法
剤と共に投与することにより抗体産生機能を正常に戻す
ことが考えられる。
【0004】さらにBCDFの応用として次のことが考
えられる。B細胞増殖因子(BCGF)( K. Yoshizak
i ら、J. of Immunol. 130, 1241 (1983))、その他のリ
ンホカインを含むT細胞因子を培地に加えることにより
正常B細胞を長期培養できることが報告されている (
B. Sredniら、J. Exp. Med., 154 , 1500 (1981) 参照)
。これらの培養正常B細胞あるいはEBウイルスで形
質転換したB細胞に対し、適当な時期にBCDFを作用
させることにより生体外で抗体を産生させることが出来
る。特定の抗体、例えば、病原細菌、病原ウイルス、病
原原虫、癌細胞などの表面にある特定抗原を認識する抗
体を産生するB細胞をモノクローン化し、クローン化正
常B細胞またはEBウイルスで形質転換した細胞をBC
DFとその他のリンホカインを組み合せて培養し、有用
なモノクローナル抗体を産生させることが出来る。これ
ら抗体は感染症や癌の治療及び診断に利用できる。
【0005】従来BCDFを得るには、人末梢血などよ
り分離した正常人T細胞をマイトゲン刺激することによ
りBCDFを産生させる方法が採られてきた。この方法
では、T細胞を十分得ることが困難である点、マイトゲ
ンを用いたため、BCDFに有害なマイトゲンが混入
し、これを除去するのが困難である点、またT細胞培養
にはウシ胎児血清など血清成分を培地に添加する必要が
あり、これら添加タンパク質とBCDFを十分分離する
ことが出来ず、BCDFを医療に用いるには、純化BC
DFが得られぬことが障害となっている点など問題が多
く、工業的にBCDFを産生することは出来なかった。
また人T細胞を人癌細胞と細胞融合して人T融合細胞を
得、これによりBCDFを産生せしめる方法も報告され
ている (Okada ら、J. Exp. Med., 157, 583 (1983))。
しかし、人融合細胞は継代中、リンホカイン産生能が低
下してゆくことが多く、実用的BCDF産生人融合細胞
は未だない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、ヒトBCDFの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、人T細胞
白血球ウイルス(以下「HTLV」と記す)により形質
転換された人T細胞が高い効率でBCDFを生産するこ
とをすでに見い出し、B細胞分化因子活性が5×106
単位/ml 以上である蛋白標品を得た。人BCDF産生
人T細胞株の作製は以下のように行なうことが出来る。
人の末梢血・扁桃・臍帯血などよりフィルコールパック
などを用いた密度勾配遠心法等でリンパ球を分離し、N.
Yamamoto, science 217, 737 (1982)の方法に準じてH
TLVを用いて人T細胞を形質転換(トランスフォーメ
ーション)する。たとえば下記の方法を用いることがで
きる。ウイルス産生細胞株MT−2をX線照射(120
00〜14000ラド)で不活化した細胞1×107
ml と、上述のようにして得た人リンパ球1×107
ml を20%FCS、100μg /ml カナマイシン、
2μg /ml NaHCO3、25 mM N−2−hydroxyethyl
piperazine −N' −2−ethanesulfonic acid (HE
PES)を含むRPMI1640培地を入れたプラスチ
ックシャーレ(ファルコン#3003)に接種し5% C
O2存在下37℃で培養する。1週間に2回、半分の培地
を新鮮な培地と交換しつつ2〜3カ月培養した後、リミ
ティングダイリューション法により株化する。株化した
細胞の培養上清のBCDF活性を測定し、BCDF活性
を有する株を得る。
【0007】この方法により株化した細胞としてたとえ
ばVT−1と標識された人T細胞株を用いることができ
る。VT−1を増殖させるための特別な条件はなく、一
般に用いられている培養条件を適宜採用して行なえばよ
い。また、BCDFの産生も一般的な方法で行なえばよ
いが、好ましくはタンパク質を含まない培地を用いて行
なうべきである。VT−1の細胞数を増やすのに最適な
培地として、例えば1〜30%、好ましくは20%のF
CSを添加した培地を用いる。BCDF産生のための最
適な培地としては、FCSを添加しない上述の培地でよ
い。FCSを添加しない完全合成培地中で48時間培養
後もVT−1の生存率は70%以上が保持されている。
T細胞よりBCDFを生産する場合、従来は培地にFC
Sのようなタンパク質を添加したり、マイトゲンを添加
したりすることが必須であった(T. Teranishiら、J. o
f Immunol. 128, 1093 (1982), A. Muraguchi ら、J. o
f Immunol. 127, 412 (1981)参照)。これに対してVT
−1を使用してBCDFを生産する場合、培地にFCS
のような血清、血液中のタンパク質成分、その他タンパ
ク質成分を加える必要がなく、また通常用いられている
T細胞またはB細胞に対するマイトゲンも加える必要が
ないことは特筆に値する。そのため高価なFCSを用い
ないで安価にBCDFを生産することが出来るばかりで
なく、人体に有害な異種タンパク質やマイトゲンを含ま
ない安全なBCDFを容易に得ることが出来る。VT−
1を用いてBCDFを生産する上記方法は種々の環境的
条件で行なわれる。しかし、好ましくはVT−1培養物
は約35〜38℃の温度範囲において約5〜10%の炭
酸ガスを含む湿度調節空気中に保持すべきである。ま
た、理想的には培地の pHは約7.0〜7.4と僅かにアル
カリ性の条件下に保持すべきである。VT−1は平底ミ
クロプレートなど種々のタイプの培養器に100μl 単
位などの種々の容量で接種される。ファルコン・ラブウ
ェア・ディヴィジョン、ベクトン・ディッキンソン・エ
ンド・コーポレーション (Falcon Labware Div. Becto
n, Dickinson and Co.)から市販されているフラスコNo.
3013または3024のような組織培養フラスコも
使用できる。別法として上記ファルコン・ラブウェアか
ら市販されているボトルNo. 3027のような回転びん
も培養容器として使用できる。
【0008】VT−1を培養して細胞数を増やすための
最適条件として、細胞の当初密度は培地1ml あたり1
×104 細胞ないし5×105 細胞、好ましくは2×1
5細胞である。上述の条件でVT−1を培養すると、
通常2〜7日で培地1ml 当り5×105 細胞から2×
106 細胞程度まで細胞密度が増加するので、再び新し
い培地を加えて培地1ml 当り1×104 〜5×105
細胞にまで細胞密度を下げ、再び培養を続ける。このよ
うにして目的とする細胞数になるまでVT−1の培養を
続けた後、細胞を遠心分離等で分離する。細胞をタンパ
ク質を含まぬ完全合成培地で洗ってから新しい完全合成
培地に接種する。この時の細胞の当初密度は培地1ml
あたり約1×104 細胞ないし1×107 細胞であるこ
とが好ましく、理想的には培地1ml あたり1×106
細胞である。VT−1を培養することによって生産され
るBCDF量は経時的に変化する。例えば1ml 当り1
×106 初発細胞密度でVT−1をRPMI1640培
地(1ml 当りペニシリン100単位、ストレプトマイ
シン100μg、ゲンタマイシン10μg 及び NaHCO3
16 mMを含む)で培養すると、BCDF活性は48時
間後にピークレベルに達する。さらに、次の24時間に
存在するBCDF活性は僅かに減少する。このようにR
PMI1640培地中のVT−1でBCDFを生産する
至適培養時間は約24〜78時間である。
【0009】BCDFは塩折、真空透析、限外濾過、ゲ
ル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフ
ィー、アフィニティークロマトグラフィー、クロマトフ
ォーカシング、逆相クロマトグラフィー、焦点電気泳動
およびゲル電気泳動等の種々の方法によって上述の培養
物上清から濃縮して精製できる。次にBCDF活性測定
法であるが以下のような方法がある。人BCDFに反応
して1gMを産生する人B細胞株CL4 (T. Hirano
ら、Proc. Natl. Acad. Sci., 82, 5490, 1985) を用い
てBCDF活性を測定する。BCDF活性を測定する検
液と6×103 個のCL4を200μl の10%FCS
を含むRPMI1640培地(1ml当りペニシリン10
0単位、ストレプトマイシン100μg 、ゲンタマイシ
ン10μg 及び NaHCO3 16 mMを含む)に入れる。こ
の混合物を96穴マイクロプレート中で3日間、5% C
O2存在下、37℃で培養し、培養上清のIgM量を酵素
免疫測定法により、測定する。この条件において最大I
gM生産量(最高のCL4の反応)の50%を示すBC
DFの活性を1U/mlとした。
【0010】また人BCDFに反応してIgMを産生する
人B細胞株CL4(O. SAIKIら、Eur. J. Immunol 13,
31 (1983))を用いたリバースPFC法でもBCDF活性
を測定しうる。BCDF活性を測定する検液と1×10
4 個のCL4を200μl の10%FCSを含むRPM
I1640培地(添加物は前記と同じ)に入れる。この
混合物を96穴マイクロプレート中で3日間、5% CO2
存在下、37℃で培養する。培養細胞・補体・抗ヒトIg
M抗体プロテインA結合緬羊保存血をHANKS 液に溶解し
たアガロースに混合して、シャーレ上に拡げ固め、37
℃、5% CO2存在下一晩培養した後の溶血斑数をもって
BCDFの作用にて人IgM産生細胞に分化した細胞数を
測定する。ヒトBCDFをコードする遺伝子を同定・採
取するためには、前述のBCDF産生至適条件で培養さ
れたVT−1細胞よりRNAを抽出し、採取し、 cDN
Aライブラリーを作成し、同ライブラリーよりBCDF
をコードする cDNAをクローニングする。このために
本発明者らは実施例に示すようにVT−1細胞の産生す
るヒトBCDFを完全に精製し、そのN末のアミノ酸部
分配列および同BCDFをリシルエンドペプチダーゼを
作用させて限定分解し、得られるフラグメントペプチド
のアミノ酸配列を決定し、各々のペプチドに対応するオ
リゴヌクレオチドを合成し、本合成オリゴヌクレオチド
プローブを用いて上述の cDNAライブラリーより複数
の合成プローブと相補的にハイブリダイズするクローン
を採取することによりBCDF cDNAを同定した。こ
こで得られた cDNAの塩基配列を常法により決定し、
BCDFをコードする遺伝子の本体を物質的に確定し、
本遺伝子配列よりヒトBCDFが184個のアミノ酸よ
り構成されるポリペプチドであることを見出した。と同
時にここに得られた cDNAを真核生物の細胞で発現す
べく発現ベクターに連結したのちに、同細胞に遺伝子導
入し、本細胞の培養により、上清にBCDFを生産さ
せ、精製操作により純化ヒトBCDFを同定・採取し、
BCDFの遺伝子構造に対応するリコンビナントヒトB
CDFを製造し、かつ本BCDFがVT−1細胞や他の
ヒト細胞より得られるヒトBCDFと同じ理化学的、生
物学的性状を有することを明らかにした。このことによ
り同定された遺伝子が確かにヒトBCDF蛋白をコード
するものであることが最終的に立証された。
【0011】一方ヒトBCDFは原核生物においても製
造できる。すなわちヒトBCDFをコードする遺伝子を
発現可能なようにベクターDNAに導入して得られた組
み換え体DNAを原核生物宿主に導入し、得られた形質
転換微生物を培養すればよい。BCDFをコードする遺
伝子はアミノ酸配列(II) もしくはその部分構造に対応
する塩基配列を少くも有するものである。組み換え体D
NAが導入される原核生物宿主細胞はエッシェリヒア・
コリ、バチルス・ズブチリス、その他の微生物があり、
現在の遺伝子工学的生産の分野において当該業者の容易
になしうるところのものである。
【化1】 アミノ酸配列(II) PRO VAL PRO PRO GLY GLU ASP SER LYS ASP VAL ALA ALA PRO HIS ARG GLN PRO LEU THR SER SER GLU ARG ILE ASP LYS GLN ILE ARG TYR ILE LEU ASP GLY ILE SER ALA LEU ARG LYS GLU THR CYS ASN LYS SER ASN MET CYS GLU SER SER LYS GLU ALA LEU ALA GLU ASN ASN LEU ASN LEU PRO LYS MET ALA GLU LYS ASP GLY CYS PHE GLN SER GLY PHE ASN GLU GLU THR CYS LEU VAL LYS ILE ILE THR GLY LEU LEU GLU PHE GLU VAL TYR LEU GLU TYR LEU GLN ASN ARG PHE GLU SER SER GLU GLU GLN ALA ARG ALA VAL GLN MET SER THR LYS VAL LEU ILE GLN PHE LEU GLN LYS LYS ALA LYS ASN LEU ASP ALA ILE THR THR PRO ASP PRO THR THR ASN ALA SER LEU LEU THR LYS LEU GLN ALA GLN ASN GLN TRP LEU GLN ASP MET THR THR HIS LEU ILE LEU ARG SER PHE LYS GLU PHE LEU GLN SER SER LEU ARG ALA LEU ARG GLN MET
【0012】形質転換された微生物( 原核生物) を培養
する培地および培養方法は通常の培地、方法でよい。形
質転換された微生物細胞中にヒトBCDFが蓄積されて
いる場合には、BCDFは、当該分野の業者の容易にな
しうる方法で回収、精製する。簡単に記すと以下の通り
である。培養後、遠心で菌体を集め、リゾチームを含む
溶液や他のdetergent を含む液に細胞を懸濁し、反応
後、凍結・融解を繰り返し、細胞抽出液を採取し、以下
前述の精製法及び/又は抗BCDF抗体固定化カラムを
用いるアフィニティクロマトグラフィーで簡便に精製す
る。
【0013】
【実施例】
実施例1 2リットル容プラスチックローラー培養器(ファルコン
#3027)(以下ローラーと称する)中の1リットル
の20%FCS含有RPMI1640培地(2mMグル
タミン、5×10-5M 2ME、100単位/mlペニシ
リン、100μg /mlストレプトマイシン、20μg /
mlゲンタマイシン及び16 mM NaHCO3を含有)に、2
×105 /ml細胞数になるようVT−1を接種し、ロー
ラーを8rpm で回転させつつ3日間、37℃で培養し
た。培養後、培養物を遠心分離して細胞を集めRPMI
1640培地で2回細胞を洗った後、細胞を2リットル
容ローラー中1リットルのRPMI1640培地に1×
106 /ml細胞濃度になるよう懸濁した。ローラーを8
rpm で回転させつつ2日間、37℃で培養する。培養後
培養物を遠心分離して、培養上清を得た。上述のように
してVT−1を培養して得たBCDFを含む培養上清よ
り、BCDFを以下の方法で精製した。無細胞上清10
リットルを限外濾過膜(アミコンYM−10、アミコン
・コーポレーション、マサチューセッツ、USA)を装
着した限外濾過装置(アミコン大量処理用セル2000
型、アミコン・コーポレーション、マサチューセッツ、
USA)を用いて窒素ガスにより4kg/cm2 の圧力をか
け濾過した。濾過膜上部に残った100mlの濃縮液をさ
らに限外濾過膜(アミコンYM−10)を装着した限外
濾過装置(アミコン、スタンダードセル52型)を用
い、窒素ガスにより4kg/cm2 の圧力をかけて濾過し
た。濾過膜上部に残った5mlの濃縮液を採取した。
【0014】上述の濃縮した上清をAcA−34ゲル濾
過カラム(LKB Produker, Sweden,2.6×90cm)で処
理した。なお、ゲル濾過カラムはあらかじめPBS(ホ
スフェート・バッファードセイライン、0.15M食塩を
含む0.01Mホスフェート・バッファー、 pH7.0)で
平衡化した。濃縮上清をPBSで溶出し、溶出液を5ml
ずつ分取し、分取液のBCDF活性を測定した。BCD
F活性を有する画分は分子量3.5±0.5×104 ダルト
ンに相当するフラクションに含まれていることがわかっ
た。ゲル濾過カラムは以下に示すファルマシア・ファイ
ンケミカルス(スウェーデン)社製の分子量マーカーで
検定した。即ち、ブルーデキストラン2000 2×1
6 、フェリチン4.5×105 、アルドラーゼ1.58×
105 、オブアルブミン4.5×104 、キモトリプシノ
ーゲン2.5×104 及びチトクロームC1.17×1
4 。また、BCDFを含むフラクションを集め、限外
濾過膜(アミコンYM−10)を装置した限外濾過装置
を用いて25 mMピペラジン−塩酸緩衝液( pH6.3)
に置換した。
【0015】AcA−34カラムクロマトグラフィーで
分画されたBCDF画分をあらかじめ25 mMピペラジ
ン−塩酸緩衝液( pH6.3)で平衡化したMonoPカラム
(ファルマシア・ファインケミカルス、スウェーデン)
に通した。このカラムを25mMピペラジン−塩酸緩衝
液で洗った後、塩酸で pH4.5に調整した40mlの1/
10希釈ポリバッファー74(ファルマシア・ファイン
ケミカルス、スウェーデン)で溶出した。カラム操作は
ファースト・プロテイン・リキッド・クロマトグラフィ
ー、FPLC(ファルマシア・ファインケミカルス、ス
ウェーデン)を用い、流速は毎分0.5mlで行なった。溶
出液を1mlずつ分取し、BCDF活性とpHを測定し
た。BCDF活性は pH4.9〜5.1の位置に溶出され
た。MonoPカラムより得たBCDF活性画分を0.1%T
FA(トリフルオロ酢酸水溶液)で緩衝化した逆相クロ
マトグラフィー用カラム Synchropak RP-P(C18)(2
50×4、1mm、Synchrom)を用いた高速液体クロマト
グラフィーにかけ、溶出液0.1%TFA中のアセトニト
リル濃度を0から60%まで直線的に増加させBCDF
を溶出した。アセトニトリル50〜55%で溶出され
る。O.D.280 のピークは他のO.D.280 のピークとは完全
に分離しており、このピークに対応してBCDF活性が
検出された。このピークを凍結乾燥してBCDF標品を
得た。この標品を還元条件下でSDS−ポリアクリルア
ミドゲル(12%ゲル)電気泳動を行なった。分子量2
1000に相当するゲル区分を切り出し、エッペンドル
フチューブ中0.05%SDS、10 mM NH4HCO3 で3
7℃、一晩、振盪し抽出した。
【0016】この溶出液を再び直接逆相クロマトグラフ
用カラム Synchropak RP-P(C18)(250×4、1m
m、Synchrom)を用いたHPLCにかけ、溶出液0.1%
TFA中のアセトニトリル濃度を0から60%まで直線
的に増加させてBCDFを溶出した。アセトニトリル5
0〜55%で溶出される 0.D.280のピークは他の 0.D.
280ピークとは完全に分離しており、このピークに対応
してBCDF活性が検出された。このピークを凍結乾燥
して精製BCDFを得た。BCDF蛋白のアミノ酸配列
を決定するために前述のようにして得られた6μg の精
製BCDFをプロテイン・シークェンサー (Applied Bi
osystem Co., Calf., Model 470A) に導入した。アミノ
酸配列の決定方法は J. Biol. Chem., 193, 265 〜275
(1951)に記載されている方法により行なった。N末端か
らのアミノ酸配列は以下のとおりであった。
【化2】 Pro Val Pro Pro Gly Glu Asp Ser Lys Asp Val Ala Ala
【0017】実施例2 実施例1に記した方法により調製した精製BCDF標品
20μg を5 mM Tris−HCl, pH9.5のバッファーに
溶解し、、リシルエンドペプチデース (Lysylendopepti
dase)(和光)( Lysyl Endopeptidase:BCDF標品
=1:200、モル比)を加え、37℃、6時間反応さ
せ、BCDFをフラグメント化した。反応液を逆相クロ
マトグラフィー用カラムμBondo Pack(0.21×30c
m)を用いたHPLCにかけ、溶出後、0.06%TFA
中のアセトニトリル濃度を0から60%まで直線的に増
加させてフラグメントを分離溶出した。この結果HPL
Cの溶出ピーク1〜9を得た。各ピーク部分の溶出液を
凍結乾燥し、プロテイン・シークエンサー(Applied Bi
osystem Co., Calf., Model 4704)に導入した。アミノ
酸配列の決定は、J. Biol. Chem., 193 , 265 〜275 (1
951)に記載されている方法により行なった。アミノ酸配
列を確認出来たフラグメントとアミノ酸配列を記す。フ
ラグメント3
【0018】
【化3】Lys−Glu−Ala−Leu−Ala−Glu フラグメント8 Lys−Leu−X−Ala−Gln−Asn−Gln−Trp−Leu
−Gln−Y−Met フラグメント2 Pro−Val−Pro−Pro−Gly−Glu−X−Y−Lys フラグメント6 Asp−Val−Ala−Ala−Pro−X 尚、X及びYは同定できなかったアミノ酸 フラグメント2、6は実施例1のN末端配列と一致し
た。
【0019】実施例3 実施例1及び2で得たBCDFのアミノ酸配列をコード
するオリゴヌクレオチドを、下記のように合成した。オ
リゴヌクレオチドの合成はアプライドバイオシステム社
製DNAシンセサイザー・モデル380Aを用い、シリ
カゲルを固相担体とし、亜リン酸トリエステル法を用い
てヌクレオチド結合反応を行った。常法により保護基を
除去した後、C18逆相カラムHPLCにてアセトニトリ
ルグラジエントを用いて、目的のオリゴヌクレオチドを
精製した。
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】実施例4 (イ)2リットル容プラスチックローラー培養器(ファ
ルコン#3027) (以下ローラーと称する)中の1リ
ットルの20%FCS含有RPMI1640培地(2 m
Mグルタミン、5×10-5M 2ME、100単位/ml
ペニシリン、100μg /mlストレプトマイシン、20
μg /mlゲンタマイシン、16 mM NaHCO 3 を含有)に
2×105 /ml細胞数にVT−1を接種し、8rpm で回
転させつつ3日間、37℃で培養した。培養後、培養物
を遠心分離して細胞を集めPBSで2回細胞を洗った後
細胞(1.8×109 細胞)をPBS溶液800mlに懸濁
し、細胞を遠心によって2度洗浄してから、ヌクレアー
ゼ阻害剤である Ribonucleosides-Vanadyl complex(1
0 mM)を含んだRSB溶液(10 mM Tris −HCl,p
H7.5, 10 mM NaCl, 1.5 mM MgCl2)800mlに懸
濁した。次に、NP−40を0.05%になるように加え
た後ゆるやかに攪拌後、3000rpm で5分遠心して核
を含む細胞 debris を除去し、その上清液にSDS(最
終濃度0.5%)とEDTA(最終濃度5 mM)を加えた
後、直ちにフェノールを等量加え、細胞質RNAを抽出
した。合計3回フェノール抽出を繰り返してから、2容
エタノールでRNAを沈殿し、遠心でこの沈殿を集め、
10 mM Tris −HCl, pH7.5 で溶解した。このように
してVT−1細胞から得られたRNA量は30mgであっ
た。
【0023】次にこのRNAから mRNAを取得するた
めにオリゴ(dT)−セルロース(P. L. Biochemical
s, Type 7) を用い、カラムクロマトグラフィーを行な
った。吸着は20 mM Tris−HCl, pH7.5, 0.5M N
aCl, 1 mM EDTA,0.5%SDS溶液にRNAを溶
解して行ない、緩衝液(20 mM Tris−HCl, pH7.5,
0.5 M NaCl,1 mM EDTA)で洗浄後、溶出は水と
10 mM Tris−HCl (pH7.5)で交互に mRNAを溶
出することにより行なった。この結果溶出されたmRN
A量は576μg であった。 (ロ)(イ)で調製した mRNA5μg を用いて二重鎖
cDNAを作製した。GUBLER, U とHOFFMAN, B.J., ( G
ene 25, 263, 1983)の方法に従い、 cDNA合成キット
( アマシャム) を用いアマシャムのプロトコールによっ
て二重鎖 cDNAを作製した。すなわち、 mRNAより
逆転写酵素によりシングルストランド cDNAを合成
し、 mRNAと cDNAのハイブリッドを基質として、
大腸菌リボヌクレアーゼHを利用してRNA鎖にニック
とギャプを形成した。さらに大腸菌DNAポリメラーゼ
Iによって、ニックトランスレーションタイプの反応に
より mRNAをDNAに置き換え二重鎖DNAを作製し
た。この3’末端にある小さなオーバーハングをT4D
NAポリメラーゼを用いて除去し、二重鎖 cDNAを作
製した。最終的に得た二重鎖 cDNAは1.08μg であ
った。
【0024】(ハ)得られた二本鎖 cDNA1.08μg
を蔗糖密度勾配遠心法(50 mM Tris−HCl, 1 mM
EDTA、 pH7.5を含む溶液中で蔗糖密度勾配5〜
25%、40,000rpm 、4℃下で13時間)により分
画し、その1部をアガロースゲル電気泳動法によるオー
トラジオグラムにより解析し、二本鎖 cDNAのサイズ
が500 bp 以上の画分を集めてエタノール沈殿法で回
収した。回収した二本鎖cDNAは約0.6μg であっ
た。 (ニ)0.1Mカコジル酸カリウム(トリスBaseで pHを
7.2にしたもの)10 mM DTT,2 mM CoCl2、0.
5 mM 32p-dCTP (比活性1×106 cpm /n mole
)、 0.6μg 二本鎖 cDNAおよび50単位のデオ
キシヌクレオチジルタ−ミナルトランスフェラーゼ(B
RL)を混合し、24℃、20分間インキュベートした
後、フェノール処理を行い、セファデックスG−50カ
ラムを通して cDNA画分を集め、エタノール沈殿物と
して0.24μg の dC−テイルした cDNAを得た。こ
の cDNAは約13個の dCMP残基が3’両末端に付
加されていた。
【0025】(ホ)一方、図1に示したようにサル細胞
(COS細胞)での cDNA発現ベクターpQを pCE
IL−2(Nature, 302, 305 (1983))から構築した。p
Qは cDNAを両向きのSV40初期プロモーターには
さみこみができ、 cDNAがどちらの方向に挿入されて
もCOS細胞中で cDNAにコードされるペプチド蛋白
を発現させることができる。また、E.coli中でも複製
可能で、テトラサイクリン耐性として選択することがで
きる。このpQをPstIで切断し、先程の ds− cDN
Aの3’端の両端に dC tail をつけたのと全く同じよ
うに dG tail を13個前後付与した。次にこの dG−
tailed pQ100ng と dC−tailed ds− cDNA
20ng を50 mM Tris−HCl, pH7.5、 0.1M N
aCl 、1 mM EDTAの溶液に混合し、まず65℃で
2分間、ついで45℃で60分間、37℃で60分間、
そして室温で60分間インキュベートした。そしてこの
アニーリングしたDNAをコンピテントなE.coli M
C1061に導入した。次にMC1061のコンピテン
ト細胞の作り方、導入法を以下に示す。
【0026】E.coli MC1061を100mlのΨ培
地(2%トリプトン、0.5%酵母エキス、0.5% MgSO4
・7H20, pH7.6)に接種し、培養液の吸光度が550
nmで0.3〜0.5付近になるまで37℃で振盪培養し
た。培養終了後、培養液を5分間、0℃に保持し、菌体
を遠心分離により集め、TfbI(30 mM酢酸カリウ
ム、100 mM RbCl、10 mM CaCl2 、50 mM M
nCl2、15%グリセリン、pH5.8)の40mlに懸濁
し、0℃に5分間静置した。再び菌体を遠心分離により
集め、Tfb II (10 mM MOPS or PIPES, 75 mM C
aCl2、10 mM RbCl 、10%グリセリン、 pH6.5)の
40mlに懸濁し、0℃で15分間静置した。この懸濁液
を分注して−70℃に保存した。次にこのように調製し
たコンピテント細胞の100μl を15分間、0℃に保
持し、この中に先程 dG−tailed pQ vector と dC
−tailed cDNAとをアニールした標品10μl および
50 mM MgCl2,10 mM CaCl2の溶液90μlとを混
合し、0℃で20分間静置する。ついで37℃で60秒
間熱処理後、1〜2分間、0℃に保持し、これにΨ培地
1mlを加え、37℃で60分間振とう培養した。この培
養液を15μg /mlのテトラサイクリンと25μg /ml
のストレプトマイシンを含むL培地(1%トリプトン、
0.5%酵母エキス、0.5% NaCl )の寒天プレートに塗
抹し、37℃で一晩インキュベートするとコロニーが出
現した。
【0027】(ヘ)得られた形質転換株約150,000
クローンに対し、プローブ8−1、および8−2を用い
てGrunstein, Mら Methods in Engymology, 68, 379 (1
979)の方法でコロニーハイブリダイゼーションを行った
ところ、8−1とハイブリダイズする株が10クローン
認められた。さらにこれらの10クローンに対してプロ
ーブ3−1〜3−6を用いて、同様の方法でコロニーハ
イブリダイゼーションを行ったところプローブ3−2と
ハイブリダイズする株1クローンを得た。本クローンが
保持するプラスミドDNAを粗抽出精製し、制限酵素P
stIで切断後、 cDNAインサートをアガロース電気泳
動にてpQベクターと分離した。プローブ8−1、プロ
ーブ3−2、プローブN−2またはプローブN−5を用
いてサザンハイブリダイゼーション分析を行ったところ
いずれのプローブともハイブリダイズした。その他のプ
ローブとはハイブリダイズしなかった。このプラスミド
DNAを pBSF2−38と名づけた。すなわち本 pB
SF2−38のもつ cDNAインサートはBCDF活性
をもつ蛋白の明らかにされた部分アミノ酸配列に相当す
る遺伝子配列を有することが明らかであり、本 cDNA
はBCDF遺伝子であると同定した。
【0028】実施例5 (イ) pBSF2−38プラスミドDNAを大量調製す
るために本 pBSF2−38を保持するMC1061を
20μg /mlのテトラサイクリンと25μg /mlのスト
レプトマイシンを含むΨ培地100mlに接種し、37℃
で5〜7時間振盪培養した。次に最終濃度170μg /
mlとなるようにクロラムフェニコールを含む新たなΨ培
地100mlを加え、さらに一晩振盪培養した。このよう
にして増幅されたプラスミドDNAを以下のように精製
した。培養液を遠心分離により菌体のみ集め、50 mM
Tris−HCl, pH7.5の5mlに懸濁し−80℃に凍結
後、融解して次にリゾチーム(最終濃度、2mg/ml)を
加えて0℃で10分間静置し、さらにEDTA(最終濃
度0.1M)を加え、0℃で10分間静置する。その後、
Triton X-100 (最終濃度0.1%)を加えて0℃で60
分間静置する。ついで30,000rpm 、30分間遠心分
離し、その上清液を等量の水飽和フェノールで処理す
る。その水層をさらに等量のクロロホルムで処理し、そ
の水層を抽出し、これに最終濃度20μg /mlとなるよ
うにRNase を加え、37℃で60分間インキュベート
した。その後0.2容の5M NaCl と1/3 容のポリエチレ
ングリコールを加え、0 ℃に60分間静置後、10,00
0rpm 20分間、遠心分離によりDNA沈殿を回収す
る。
【0029】次にこの沈殿を3.8mlの水に溶解し、4g
の CsCl を加えて溶解後、10mg/mlの EtBr の200
μl を加えて40,000rpm 、16時間、20℃で超遠
心分画を行う。遠心終了後、plasmid DNA画分を抽出
し、水飽和n−ブタノールの1〜2容で4回抽出操作を
行って EtBr を除く。その後 H20中で透析を行って CsC
l を除去後、3M酢酸ソーダ pH5.6の1/10容を加
え、さらに2容の冷エタノールを加えて、−20℃で一
晩静置する。このエタノール沈殿を遠心分離で集めて8
0%エタノール水溶液で洗浄後、よく乾燥し、この沈殿
物を10 mM Tris−HCl, pH7.5の50μl に溶解
しサル細胞トランスフェクションためのサンプルとし
た。 (ロ)サルCOS−7細胞へのプラスミドの感染法 COS−7細胞を1×105 /mlになる様に10%牛胎
児血清含有RPMIに懸濁し、この3ml分を6cmシャー
レにて5%炭酸ガスインキュベーター内37℃で一夜培
養した。培養上清を除去し、新しい10%牛胎児血清含
有RPMI3mlを加え、37℃、5%炭酸ガスインキュ
ベーター内で2時間培養した。培養後、上清を除去し、
TBS(25 mM Tris−HCl, pH7.5、130 mM
NaCl 、5 mM KCl、0.6 mM Na2HPO4)2.5mlにて1
回洗浄した。
【0030】プラスミド混合物(TBS(+)(TBS
に0.7 mM CaCl2、0.5 mM MgCl2を加えたもの)1.0
ml、プラスミドDNA2μg および10mg/ml DEAE-de
xtran 50μl を加え、37℃、5%炭酸ガスインキュ
ベーター内で4時間インキュベート、上清を除去後、T
BS2.5mlで洗浄除去し、150μM クロロキン含有1
0%牛胎児血清含有RPMI2.5mlを加えた。37℃、
5%炭酸ガスインキュベーター内で5時間インキュベー
ト後上清を除去し、TBS2.5mlで2回洗浄した。10
%牛胎児血清含有RPMI3mlを加え、37℃、5%炭
酸ガスインキュベーター内で一夜培養した。上清を除去
後同RPMI3mlを加え、37℃5%炭酸ガスインキュ
ベーター内で2日培養した。そしてこの培養上清を遠沈
後その上清をBCDF活性測定用サンプルとした。-
OS培養上清をCL4を用いてBCDF活性を測定した
結果を図2および図3に示す。 pBSF2−38プラス
ミドDNAを導入したCOSは対照に比べ明らかなBC
DF活性を示した。
【0031】このように真核生物細胞COS−7で生産
されたリコンビナントヒトBCDFは培養液を抗BCD
F抗体固定化カラムを通し、次いで前出の逆相HPLC
(シンクロンC18)を用いて精製された。本BCDFは
cDNA構造にN−グリコシレーション位置のあること
より糖鎖を含有するものであり、その理化学的性質は実
施例1の方法にてVT−1培養上清により精製された純
化BCDFのそれに一致した。すなわち 分子量:3.5±0.5×104ダルトン(ゲル濾過法) 2.2±0.2×104ダルトン(SDS−ポリアクリルアミ
ド電気泳動法) 等電点: pH4.9〜5.1 であった。
【0032】実施例6 実施例5(イ)により調製した pBSF2−38より制
限酵素BamHIで切り出したBCDF cDNA inser
t をプローブとしてBCDF mRNAサイズ、分子種、
BCDF mRNA産生株の評価を行なった。用いた mR
NAは本BCDFを産生するVT−1細胞をはじめとし
て他にBCDFを産生すると考えられるCESS,RP
MI1788とBCDF活性の認められないCL−4、
Jurkat,CEM細胞から実施例4の(イ)と同じ方法で
調製したものである。各々 mRNA10μg /3.6μl
、5×MOPS緩衝液(0.1M MOPS(pH7.0)
75 mM NaOAc、5 mM EDTA)6.0μl 、ホルム
アルデヒド5.4μl およびホルムアミド15.0μl を6
0℃15分間インキュベートし、これに色素液(0.05
%ブロモフェノールブルーおよび0.05%キシレンシア
ノール含有80%グリセロール液)3μl を加えたもの
を調整サンプルとした。本サンプルを1×MOPS緩衝
液、1.8%ホルムアルデヒド含有1.6%アガロースゲル
にて電気泳動し、その後、常法によりニトロセルロース
フィルターにブロッティングした。そして本フィルター
を80℃3時間ベークした。この様に調製したフィルタ
ーを0.1%SDS含有3×SSCに浸漬後、1×デンハ
ルト溶液、50%ホルムアミド、5×SSC、250μ
g /mlニシンDNA含有50 mMナトリウムリン酸緩衝
液( pH6.5)にて42%で一夜プレハイブリダイズし
た。そして、1×デンハルト溶液、50%ホルムアミ
ド、5×SSC、250μg /mlニシンDNA含有50
mMナトリウムリン酸緩衝液( pH6.5)中にて32Pラ
ベル化 PBSF2−38のBamHI cDNAインサート
をプローブとして42℃一夜ハイブリダイズした。
【0033】ハイブリダイズしたフィルターを室温で0.
2%SDS含有2×SSCにて5分間4回、50℃で0.
2%SDS含有0.1×SSCにて30分間2回洗浄し、
風乾後、オートラジオグラムを作成した。その結果、V
T−1、CESS(BCDF産生株)、RPMI178
8由来のmRNAには pBSF2−38の cDNAプロ
ーブはハイブリダイズした。BCDFを産生しないと思
われるCL−4、Jurkat, CEMおよびBCDF非産生
CESS由来の mRNAにはハイブリダイズしなかっ
た。また pBSF2−38のcDNAプローブとハイブ
リダイズする mRNAのsizeはほぼ15〜16Sと推定
された。1部を図4に示す。
【0034】実施例7 pBSF2−38を保持するMC1061より実施例5
の(イ)に記した通りプラスミドDNAを得、制限酵素
BamHIで切り出すことによりBCDF cDNAを調製
した。そして制限酵素地図と塩基配列を決定した。塩基
配列はMaxam-Gilbert の化学法 (Meth. Enzym. 65, 499
('80)) およびM13ファージ(J.Messing et a
l., Gene, 19, 269 ('82))を使ったジデオキシヌクレオ
チド鎖集結法 (F. Sanger et al., Proc. Natl. Acad.
Sci., U.S.A.74, 5463 ('77)の方法により決定した。決
定された塩基配列および制限酵素地図を図5に示す。こ
こに決定されたヒトBCDF塩基配列は実施例1、2で
開示されたアミノ酸部分配列構造を全て正確に含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】サル細胞発現用組み換えDNAの構築法を示
す。
【図2】Elisa 法で測定した pBSF2−38DNAを
遺伝子導入したサル細胞COS−7の培養上清のBCD
F活性を示す。
【図3】リバース・プラーク法により測定した pBSF
2−38 cDNAを遺伝子導入したサル細胞COS−7
の培養上清のBCDF活性を示す。
【図4】pBSF2−38 cDNAインサートをプロー
ブとするノーザンブロッティング分析を示す。
【図5】BCDFの塩基配列を示す。
【図6】BCDFの制限酵素地図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (72)発明者 松井 裕 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 高原 義之 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトBCDF活性を有するポリペプチド
    をコードする遺伝子及び真核生物の細胞中で複製可能な
    ベクターDNAよりなる組み換えDNA体により形質転
    換された真核生物細胞を培地中にて培養し、生産された
    ヒトBCDFを採取することを特徴とするヒトBCDF
    の製造法。
  2. 【請求項2】 真核生物がサッカロミセス属に属するも
    のである請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 真核生物の細胞が大型T抗原を構成的に
    発現するSV−40で形質転換されたサル細胞である請
    求項1記載の方法。
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JPS62263200A (ja) * 1986-05-08 1987-11-16 イエダ リサ−チ アンド デベロツプメント コンパニ− リミテツド ヒトインタ−フエロン−β2A及びヒトインタ−フエロン−β2B、該インタ−フエロンをコ−ドする遺伝子を含むベクタ−、該インタ−フエロンを産生するセルライン及び該インタ−フエロンの医薬品としての用途

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS62263200A (ja) * 1986-05-08 1987-11-16 イエダ リサ−チ アンド デベロツプメント コンパニ− リミテツド ヒトインタ−フエロン−β2A及びヒトインタ−フエロン−β2B、該インタ−フエロンをコ−ドする遺伝子を含むベクタ−、該インタ−フエロンを産生するセルライン及び該インタ−フエロンの医薬品としての用途

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