JP2704896B2 - 無機充填剤含有ポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents

無機充填剤含有ポリオレフィン系樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規な無機充填剤含有ポリオレフィン系樹脂
組成物に関するものである。さらに詳しくいえば、本発
明は、特定粒径、特性形状の無機充填剤をポリオレフィ
ン系樹脂に高度に分散させることにより、剛性などの物
性を損なうことなく、耐衝撃性、特に落錘衝撃(デュポ
ン衝撃)強度を飛躍的に向上させたポリオレフィン系樹
脂組成物に関するものである。
[従来の技術] 従来、ポリオレフィン系樹脂の剛性、耐熱性、寸法安
定性、塗装性などを改良する目的で、無機充填剤を配合
することが広く行われている。
しかしながら、通常無機充填剤を配合したポリオレフ
ィン系樹脂組成物は、衝撃強度、特に落錘衝撃(デュポ
ン衝撃)強度があまり大きくないため、高度の衝撃強度
が要求される用途には、例えばプロピレン−エチレン共
重体ゴムなどのゴム成分を配合することが試みられてい
るが、この場合無機充填剤配合による剛性の向上効果が
著しく低下するという問題が生じる。
そこで、このような問題を解決するために、これまで
種々の試みがなされており、例えばポリプロピレンに、
特定粒径の微細な炭酸カルシウムを配合したポリプロピ
レン組成物が提案されている(特公昭59−31538号公
報、特開昭56−120742号公報)。
しかしならが、このような組成物においては、無機充
填剤の微細粒子は、粒子間力により均一に分散すること
が困難で、組成物中で凝集体となりやすく、そのため、
特に落錘衝撃強度の改善に限界があるのを免れないとい
う欠点があった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、このようなポリオレフィン系樹脂の耐衝撃
性を向上させるための従来技術が有する欠点を克服し、
剛性などの物性を損なうことなく、耐衝撃性、特に落錘
衝撃(デュポン攻撃)強度を飛躍的に向上させたポリオ
レフィン系樹脂組成物を提供することを目的としてなさ
れたものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、剛性と耐衝撃性のバランスに優れたポ
リオレフィン系樹脂組成物について鋭意研究を重ねた結
果、特定粒径の球状無機充填剤を、その分散状態を分散
指数なるパラメータで表わし、限られた分散指数の範囲
内になるように、ポリオレフィン系樹脂中に高度に分散
させることにより、剛性の低下をもたらすことなく、耐
衝撃性、特に落錘衝撃(デュポン衝撃)強度が飛躍的に
向上し、前記目的を達成しうることを見い出し、この知
見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)ポリオレフィン系樹脂、
及び(B)単位粒子のアスペクト比が1.0〜2.5で、単位
粒子の数平均径が0.05〜2μmの無機充填剤を含有し、
かつ式 (ただし、Diはi番目の粒径2μm以上の無機充填剤か
らなる領域の長径、Aは観察面の総面積、πは円周率で
ある) により求めた分散指数が2.5以下であることを特徴とす
る無機充填剤含有ポリオレフィン系樹脂組成物を提供す
るものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明組成物において、(A)成分として用いられる
ポリオレフィン系樹脂としては、例えばエチレン、プロ
ピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチ
ルペンテン−1、4−メチルペンテン−1などのα−オ
レフィンの単独重合やこれらの共重合体、あるいはこれ
らと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などが
挙げられる。代表例としては、高密度、中密度、低密度
ポリエチレンや、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子
量ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−アクリル酸エチル共重合体などのポリエチレン
類、アタクチック、シンジオタクチック、アイソタクチ
ックポリプロピレンや、プロピレン−エチレンブロック
共重合体又はランダム共重合体などのポリプロピレン
類、ポリ4−メチルペンテン−1などを挙げることがで
きる。これらのポリオレフィン系樹脂は1種用いてもよ
いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明組成物において、(B)成分として用いられる
無機充填剤としては、単位粒子のアスペクト比が1.0〜
2.5の範囲にあり、かつ単位粒子の数平均径が0.05〜2
μmの範囲にあるものを用いることが必要である。ここ
でいう単位粒子のアスペクト比とは、電子顕微鏡を用い
て無機充填剤を観察すると凝集粒子や集合粒子がみら
れ、これらを構成する最小の粒子、すなわち単位粒子の
アスペクト比(単位粒子の長径/単位粒子の短径)を50
0個の単位粒子について測定し、数平均して求めた値を
いう。
一方、単位粒子の数平均粒子とは、電子顕微鏡により
観察される単位粒子500個の長径を測定し、式 (ただし、diはi番目の単位粒子の長径、nは測定した
単位粒子の数、すなわち500である)により求めた値を
いう。
該無機充填剤が、その単位粒子のアスペクト比及び数
平均径について、前記範囲を逸脱したものでは、本発明
の目的が十分に達成されない。
この無機充填剤の種類については、その単位粒子のア
スペクト比及び数平均径が前記範囲内にあるものであれ
ばよく、特に制限はない。無機充填剤の具体例として
は、シリカ、酸化ベリリウム、水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、硫酸バリウム、クレー、カーボンブラックなど、あ
るいは亜鉛、銅、鉄、鉛、アルミニウム、ニッケル、ク
ロム、チタン、マンガン、スズ、白金、タングステン、
金、マグネシウム、コバルト、ストロンチウムなどの金
属元素及びこれらの金属の酸化物、ステンレス鋼、ハン
ダ、真鍮などの合金、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコ
ニア、窒化アルミニウム、炭化チタンなどの金属系セラ
ミックスなどの粉体が挙げられるが、これらの中で特に
沈降性炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウムなどの炭酸
カルシウムが好適である。これらの無機充填剤は1種用
いてもよいし、2種以上を組み合わせ4て用いてもよ
い。
本発明においては、前記無機充填剤は、所望に応じ公
知の表面処理剤により表面処理して用いることができ
る。この表面処理剤としては、例えばステアリン酸、パ
ルミチン酸などの飽和高級脂肪酸又はその誘導体、オレ
イン酸などの不飽和高級脂肪酸又はその誘導体、シラン
系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリ
コーンオイル、高級アルコールなどが挙げられ、これら
は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いて
もよい。
これらの表面処理剤を用いて、前記無機充填剤を表面
処理する方法については特に制限はなく、例えばヘンシ
ェルミキサー内で、該無機充填剤に表面処理剤を吹き付
け、混合撹拌して処理してもよいし、無機充填剤の製造
段階で同時に処理してもよい。
本発明組成物における(A)成分のポリオレフィン系
樹脂と(B)成分の無機充填剤との含有割合は、通常重
量基準で60;40ないし95:5の範囲で選ばれる。この含有
割合が前記範囲を逸脱すると耐衝撃性の向上効果が十分
に発揮されず、好ましくない。
本発明組成物においては、該無機充填剤は分散指数が
2.5以下になるように高度に分散させることが必要であ
る。ここでいう分散指数とは、無機充填剤を含有するポ
リオレフィン系樹脂組成物をガラス製ナイフを装着した
超薄切片作成機(ウルトラミクロトーム)により面出し
を行い、切削面を走査型電子顕微鏡で観察し、切削表面
に現われる粒径2μm以上の無機充填剤からなる領域の
長径を測定して、式 (ただし、Diはi番目の粒径2μm以上の無機充填剤か
らなる領域の長径、Aは観察面の総面積、πは円周率で
ある) により求めた値のことである。なお、切削時には試料を
液体窒素にて冷却することが好ましく、また、測定は、
組成物より無作為に取り出した5つ以上の試料片を用
い、観察面の面積Aは5mm2とする。
この分散指数が2.5を超える組成物では、衝撃強度、
特に落錘衝撃(デュポン衝撃)強度が十分に大きくなら
ず、本発明の目的が達成されない。
本発明組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で
他の熱可塑性樹脂、変性ポリオレフィン、繊維状無機充
填剤、有機充填剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、
滑剤、触媒中和剤(ハロゲン捕捉剤)、帯電防止剤、難
燃剤、着色剤、離型剤などを所望に応じ添加することが
できる。
前記他の熱可塑性樹脂としては、例えばポリ塩化ビニ
ル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネ
ート系樹脂、ポリ芳香族エーテル又はチオエーテル系樹
脂、ポリ芳香族エステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、
スチレン系樹脂、アクリレート系樹脂などが挙げられ
る。
変性ポリオレフィンとしては、例えば不飽和有機酸又
はその誘導体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸、イタコン酸などの不飽和有機酸、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和有
機酸の無水物、アクリル酸メチル、マレイン酸モノメチ
ルなどの不飽和有機酸のエステル、アクリル酸アミド、
フマル酸モノアミドなどの不飽和有機酸のアミド、イタ
コン酸イミドなどの不飽和有機酸のイミドなどをエチレ
ンやプロピレン系重合体100重量部に対して、通常0.05
〜20重量部添加してグラフト法により変性したものが挙
げられる。この変性に際しては、変性重合を促進させる
ために、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキ
シド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオ
キシドなどの有機過酸化物が用いられる。
また、前記以外に、エチレンやプロピレン系重合体な
どをグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエー
テルなどの不飽和エエポキシドなどでグラフト変性した
ものや、このようなグラフト変性の際に、末端ヒドロキ
シル化ポリブタジエンなどの液状ゴムを添加したものも
用いることができる。
繊維状無機充填剤としては、例えばガラス繊維、炭素
繊維、ボロン繊維や、アルミニウム繊維、ステンレス繊
維、銅繊維、黄銅繊維、ニッケル繊維、炭化ケイ素繊
維、単結晶チタン酸カリウムやその他単体金属繊維、合
金繊維などの金属繊維、及びこれらに対応する金属ウイ
スカーなどを挙げることができる。また有機充填剤とし
ては、例えばモミ殻などの殻繊維、木粉、木綿、ジュー
ト、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セル
ロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプ
ロピレン繊維などを挙げることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系やリン系のものを
好ましく挙げることができるが、特にこれらの併用が好
ましい。フェノール系酸化防止剤としては、例えば2,6
−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリス(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシ
アヌレイト(チバガイギー社製、Irganox3114)、2,2′
−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、n−オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブ
チル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チ
バガイギー社製、Irganox1076)、4,4′−チオビス(3
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス
[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバガ
イギー社製、Irganox1010)、4,4′−ブチリデンビス
(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−
メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)(チバガイギー
社製、Irganox1098)、トリエチレングリコール−ビス
[3−(3′−t−ブチル−5′−メチル−4′−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]、ビス(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチ
ル)カルシウムとPEワックスとの混合物(重量比1:1)
(チバガイギー社製、商品名)などが挙げられる。リン
系酸化防止剤としては、たとえばジステアリルペンタエ
リスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−
t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスフ
ァイト(サンド社製、Sandostab P−EPQ)、トリスノ
ニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブ
チルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
光安定剤としては、例えばサリシレート系、ベンゾフ
ェノン系、トリアゾール系、シュウ酸アニリド系、ヒン
ドーダアミン系などが用いられ、また、滑剤としては、
例えばステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレ
イン酸アミド、エルカ酸アミドなどが、触媒中和剤とし
ては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜
ステアリン酸マグネシウムなどの高級脂肪酸金属やハイ
ドロタルサイトなどが挙げられる。
本発明の無機充填剤含有ポリオレフィン系樹脂組成物
の調製方法については、該無機充填剤が分散指数2.5以
下になるように分散する方法であればよく、特に制限は
ない。例えば各成分を、ヘンシェルミキサー、単軸又は
二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールなどを用い
て、強混練条件で溶融混練することにより調製すること
ができる。この溶融混練の際の樹脂温度は、樹脂の劣化
による耐衝撃性の低下を防ぐために劣化温度を超えない
ことが望ましい。
従来、無機充填剤含有ポリオレフィン系樹脂組成物
は、前記混練機にて、強混練条件で調製されてきたが、
耐衝撃性、特に落錘衝撃(デュポン衝撃)強度は十分に
満足しうるものではなかった。これは、強混練条件によ
り、均質な分散を前提に混練されてきたものの、分散状
態が定量的に評価されていなかったため、実際には適切
な混練条件や混練方法がとられていなかったことによ
る。
これに対し、本発明では、混練機の操作件を制御し
て、無機充填剤の分散状態を前記分散指数で2.5以下に
することにより、落錘衝撃(デュポン衝撃)強度が大幅
に向上した無機充填含有ポリオレフィン系樹脂組成物が
容易に得られる。
ところで、混練条件を同一に設定しても、混練機内の
樹脂の流動は混練機周辺の気温などに影響され、その結
果該分散指数も気温などの外的条件に影響される。した
がって、分散指数を2.5以下に制御するために、混練条
件を一律に規定することができないが、本発明者らは、
鋭意検討の結果、例えば二軸混練機FCM(φ=2イン
チ)にて炭酸カルシウムをポリプロピレンに分散させる
場合には、樹脂と無機充填剤の供給量、ローターの回転
数、樹脂出口の開口部の大きさの3つの操作条件を、混
練機出口の樹脂温度が225〜240℃になるように調整すれ
ばよいことが分かった。このような操作により、混練機
周辺の気温などに影響されることなく、かつ樹脂劣化に
よる落錘衝撃(デュポン衝撃)強度の低下を引き起こす
ことなく、該分散指数を2.5以下にし、落錘衝撃(デュ
ポン衝撃)強度を飛躍的に向上させることができる。な
お、ポリプロピレンを用いる場合、樹脂温度が240℃以
上では劣化が認められた。
[実施例] 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明は、これらの例によってなんら限定されるも
のではない。
なお、組成物の各物性は次のようにして求めた。
(1)剛性 JIS K−7203に準じ、23℃で3点曲げテストを行っ
た。
(2)アイゾット衝撃強度 JIS K−7110に準じ、試験片にノッチを入れ、23℃
でテストを行った。
(3)デュポン衝撃強度 3mm厚の試験片を用い、JIS K−5400−6.13項の3、
B法に示される試験装置を使用し、23℃、受け皿の曲率
半径1/4インチ、荷重500gの条件で、落下高さを変化さ
せて評価した。
実施例1〜5 メルトフローインデックス4.5g/10分のプロピレン重
合体80重量部に、ステアリン酸で表面処理された単位粒
子の数平均径0.15μm、アスペクト比1.2の合成炭酸カ
ルシウム20重量部をブレンドしたのち、このブレンド物
を神戸製鋼社製2FCMに供給して混練した。この際、混練
機のバレルの壁温を200℃に設定し、樹脂と無機充填剤
の供給量、ローターの回転数、樹脂出口の開口部の大き
さの3つの操作条件を第1表に示す値に設定することに
より、混練機出口での樹脂温度を225〜240℃の範囲に調
整した。
このようにして得られた樹脂組成物の物性を第2表に
示す。
樹脂組成物中に分散している合成炭酸カルシウムの単
位粒子の数平均径及びアスペクト比は、走査型電子顕微
鏡を用いて測定した結果、混練前の原料の値と同一であ
った。
比較例1〜4 実施例1−5と同様のプロピレン重合体と炭酸カルシ
ウムを、それぞれ80重量部及び20重量部用い、第1表に
示す混練条件にて樹脂組成物を調製した。この場合、混
練機出口での樹脂温度は225〜240℃の範囲にすることが
できなかった。
このようにして得られた樹脂組成物の物性を第2表に
示す。
樹脂組成物中に分散している合成炭酸カルシウムの単
位粒子の数平均径及びアスペクト比は、走査型電子顕微
鏡を用いて測定した結果、混練前の原料の値と同一であ
った。
比較例5 無機充填剤を加えずに、プロピレン重合体のみの物性
を第2表に示す。
これらの表から分かるように、実施例1〜5の組成物
は、分散指数が2.5以下であって、無機充填剤が樹脂中
に高度に分散されており、未充填プロピレン重合体に比
べて、剛性、アイゾット衝撃強度が向上し、さらに落錘
衝撃(デュポン衝撃)強度が著しく向上している。
これに対し、比較例1〜4の組成物は、分散指数が2.
5より大きく、剛性、アイゾット衝撃強度は実施例1〜
5と同等のレベルであるが、落錘衝撃(デュポン衝撃)
強度は、無機充填剤が高度に分散した実施例1〜5の組
成物の値には及ばない。
実施例6〜8、比較例6〜8 実施例1〜5と同様のプロピレン重合体と炭酸カルシ
ウムを、それぞれ70重量部及び30重量部用い、第3表に
示す混練条件で実施例1〜5と同様にして樹脂組成物を
調製した。得られた組成物の物性を第4表に示す。
なお、実施例7と8の組成物のデュポン衝撃試験で
は、荷重500gで試料が破壊せず、強度が測定できなかっ
たため、荷重を1000gに増加して測定を行った。
樹脂組成物中に分散している合成炭酸カルシウムの単
位粒子の数平均径及びアスペクト比は、走査型電子顕微
鏡を用いて測定した結果、混練前の原料の値と同一であ
った。
これらの表から分かるように、実施例6〜8の組成物
は分散指数が2.5以下で、無機充填剤が高度に分散して
おり、落錘衝撃(デュポン衝撃)強度が著しく高い。こ
れに対し、比較例6〜8の組成物は分散指数が2.5より
大きく、落錘衝撃の強度が実施例6〜8のレベルには達
していない。
[発明の効果] 本発明の無機充填剤含有ポリオレフィン系樹脂組成物
は、ポリオレフィン系樹脂に、特性粒径、特性形状の無
機充填剤を分散指数がある値以下になるように高度に分
散させたものであって、従来の無機充填剤含有ポリオレ
フィン系樹脂組成物に比べ、剛性などの物性が損なわれ
ずに、耐衝撃性、特に落錘衝撃(デュポン衝撃)強度が
飛躍的に向上しており、耐衝撃性が要求される用途に好
適に用いられる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリオレフィン系樹脂、及び(B)
    単位粒子のアスペクト比が1.0〜2.5で、単位粒子の数平
    均径が0.05〜2μmの無機充填剤を含有し、かつ式 (ただし、Diはi番目の粒径2μm以上の無機充填剤か
    らなる領域の長径、Aは観察面の総面積、πは円周率で
    ある) により求めた分散指数が2.5以下であることを特徴とす
    る無機充填剤含有ポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤との含
    有割合が、重量比60:40ないし95:5の範囲にある請求項
    1記載の組成物。
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