JP2704267B2 - 2−置換−4−オキソテトラヒドロインドール類の製造方法 - Google Patents

2−置換−4−オキソテトラヒドロインドール類の製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、2−置換−4−オキソテトラヒドロインド
ール類の効率的な製造方法に関する。
(従来の技術) 一般式(I) (式中、R1は炭化水素残基、R2,R3,R4及びR5は水素原子
または炭化水素残基、R6は水素原子または低級アルキル
基を示す。) で示される2−置換−4−オキソテトラヒドロインドー
ル類は、循環器系治療剤「メピンドロール」や「ボビン
ドロール」及びそれらの類縁体の合成中間体として有用
なことが知られている。かかる化合物の合成法として、
従来から後記一般式(II)で示されるような1−アシル
メチルシクロヘキサン−2,6−ジオン類とアミノ化剤と
を無水メタノール中で高温、高圧下で反応させる方法
(Chem.Ber.88 271(1955)他)が知られている。
しかしながら、この方法では(1)目的物を収率良く
得ることができない、(2)反応液から目的物を回収す
るにあたり、まず反応液から溶剤や低沸点化合物を減圧
下に留去し、さらに残留物に水を加えて有機層を有機溶
剤で抽出し、次いで溶剤を留去するという極めて複雑な
操作を行わなければならない、(3)高圧下で反応を実
施するために特殊な設備、装置が必要となり経済的でな
い等の問題点があった。
一方、4−オキソテトラヒドロクマロンカルボン酸、
2−アルコキシ−4−オキソヘキサヒドロクマロン、1
−(2,2−ジアルコキシエチル)シクロヘキサン−2,6−
ジオン等の4−オキソテトラヒドロインドール類の前駆
体と水溶性アミノ化剤を高温下に水中に反応させ4−オ
キソテトラヒドロインドール類を得る方法(特開昭60−
228456号公報)が知られている。
しかしながら、この方法では実際に原料として使用さ
れている前駆体は上記のものに限られており、1−アシ
ルメチルシクロヘキサン−2,6−ジオン構造のものにつ
いては具体的な報告がなく、このような前駆体を水中で
反応させたときにどのような挙動を示すかについての知
見は得られていなかった。
(発明が解決しようとする課題) そこで本発明者らは従来技術のかかり欠点を解決すべ
く鋭意検討を進めた結果、原料として1−アシルメチル
シクロヘキサン−2,6−ジオン類を、反応溶剤として水
を用いれば目的物を収率よく、且つ、後処理も容易に得
られること、又、常圧ないしは低圧下で反応を実施する
ことができるため特殊な設備、装置を必要としないこと
を見い出し、その知見に基づいて本発明を完成するに到
った。
(課題を解決するための手段) かくして本発明によれば、1−アシルメチルシクロヘ
キサン−2,6−ジオン類と水溶性アミノ化剤を高温下に
水中で反応させ2−置換−4−オキソテトラヒドロイン
ドール類を合成した後、反応液を冷却して2−置換−4
−オキソテトラヒドロインドール類を析出し回収するこ
とを特徴とする2−置換−4−オキソテトラヒドロイン
ドール類の製造方法が提供される。
本発明において原料として用いられる1−アシルメチ
ルシクロヘキサン−2,6−ジオン類は下記一般式(II)
で示されるものである。
(式中、R1は炭化水素残基、R2,R3,R4及びR5は水素原子
または炭化水素残基を示す。) 一般式(II)におけるR1、R2,R3,R4及びR5で示される
炭化水素残基の具体的な例として、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル
基、iso−ブチル基、n−オクチル基、シクロヘキシル
メチル基などのアルキル基、シクロプロピル基、シクロ
ペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル
基、フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール
基、ベンジルフェニルエチル基、n−メチルベンジル基
などのアラルキル基などを挙げることができ、好ましく
は炭素数15以下のもの、さらに好ましくは炭素数5以下
のアルキル基である。
本発明ではアミノ化剤として水溶性のアミノ化剤が用
いられる。その具体的な例として、アンモニア、塩化ア
ンモニウム、臭化アンモニウム、炭酸アンモニウム、硫
酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機酸アン
モニウム塩、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、プ
ロピオン酸アンモニウム、酪酸アンモニウム、ラウリン
酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、安息香酸
アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、マロン酸アンモ
ニウム、グルタル酸アンモニウム、アジピン酸アンモニ
ウム、フタル酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸アン
モニウムなどの有機酸アンモニウム塩、メチルアミン、
エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンなどの低
級アミン等が例示される。特に実用上、アンモニア水ま
たは無水アンモニアが好ましい。
アミノ化剤の使用量は1−アシルメチルシクロヘキサ
ン−2,6−ジオン類に対して、通常、1〜10当量、好ま
しくは1〜5当量であり、特に好ましくは1.5〜3.5当量
である。アミノ化剤は多量使用しても特に差し支えない
が、大過剰量使用しても格別の意味がない。
本発明においては、溶剤として水が用いられるが、本
発明の効果を本質的に妨げない限り水溶性有機溶剤を併
用してもよい。用いられる水溶性有機溶剤の具体的な例
としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパ
ノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブ
タノール、tert−ブタノール、アミノアルコール、エチ
レングリコール、グリセリンなどのアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノブチ
ルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステ
ル類などが挙げられる。これら水溶性有機溶剤の許容割
合は、通常、水との合計量中50重量%以下、好ましくは
30重量%以下である。
使用する溶剤の使用量は均一反応が可能で、かつ反応
後に系を冷却することにより生成した2−置換−4−オ
キソテトラヒドロインドール類か析出しするような範囲
で選択される。その範囲は原料や溶剤の種類により必ず
しも一定ではないが、簡単な予備試験を行うことにより
適宜決定することができる。
その範囲は一般に1−アシルメチルシクロヘキサン−
2,6−ジオンに対して1〜100重量倍程度であり、好まし
くは4〜30重量倍程度である。
反応は1−アシルメチルシクロヘキサン−2,6−ジオ
ン類と溶剤から得られた溶液あるいは懸濁液中へアミノ
化剤を連続的あるいは断続的に添加していく方法、アミ
ノ化剤を反応開始時に全量添加する方法、溶剤中へ1−
アシルメチルシクロヘキサン−2,6−ジオン類とアミノ
化剤を同時に添加する方法、溶剤とアミノ化剤の混合溶
液中に1−アシルメチルシクロヘキサン−2,6−ジオン
類を連続的あるいは断続的に添加する方法等により行わ
れる。
本発明における反応は系が均一になるような温度条件
下で行われる。反応系は高温になるほど均一化しやすい
ので、通常、50〜200℃、好ましくは70〜150℃の温度範
囲が選択される。反応圧力は常圧もしくは加圧のいずれ
でもよく、加圧の場合は数Kg/cm2程度までの範囲で選択
される。
本発明においては、反応終了後、系を冷却することに
より生成した2−置換−4−オキソテトラヒドロインド
ール類の析出が行われる。冷却に際しての温度は、通
常、50℃以下であり、好ましくは0〜20℃の範囲であ
る。この操作で析出した2−置換−4−オキソテトラヒ
ドロインドール類は、次いで常法にしたがって水層から
分離した後、必要に応じ冷却した水で洗浄後、乾燥され
る。
(発明の効果) かくして本発明によれば従来法に比して高収率で2−
置換−4−オキソテトラヒドロインドール類を得ること
ができる。このような目的物を高収率で得られるという
効果は前述の従来法からは予期できぬものである。
また、本発明では従来法に比してはるかに低圧力下で
反応を実施することができるために、特殊な設備や装置
が不要であり、経済的である。
(実施例) 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。なお、実施例、比較例及び参考例中の部及び%は特
に断わりのない限り重量基準である。
実施例1 [2−メチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロイ
ンドールの合成] 反応器に1−アセトニルシクロヘキサン−2,6−ジオ
ン100部、水1000部及び28%アンモニア水110部を入れ均
一に溶解後、加熱し110℃で3時間、130℃で10時間反応
させた。反応器の内圧は最高3Kg/cm2を示した。反応終
了後、5℃まで冷却し析出した結晶を濾別し、水洗、乾
燥したところ2−メチル−4−オキソ−4,5,6,7−テト
ラヒドロインドール62部を得た。融点は205〜207℃、収
率は1−アセトニルシクロヘキサン−2,6−ジオン基準
で70モル%であった。
実施例2 [2−メチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロイ
ンドールの合成] 28%アンモニア水110部に代えて酢酸アンモニウム115
部を用い還流下に15時間反応させること以外は実施例1
と同様に操作を行ったところ2−メチル−4−オキソ−
4,5,6,7−テトラヒドロインドール58部を得た。融点は2
04〜206℃、収率は1−アセトニルシクロヘキサン−2,6
−ジオン基準で65モル%であった。
比較例1 [2−メチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロイ
ンドールの合成] 反応器に1−アセトニルシクロヘキサン−2,6−ジオ
ン100部、無水メタノール1000部にアンモニア30部を溶
解したアンモニアのメタノール溶液を入れ、150℃で12
時間反応させた。反応器の内圧は最高30Kg/cm2を示し
た。反応終了後、メタノールを留去し残渣に水800部を
加えてエーテル抽出を行った。エーテル留去後、水を加
えて再結晶を行ったところ2−メチル−4−オキソ−4,
5,6,7−テトラヒドロインドール35部を得た。融点は204
〜207℃、収率は1−アセトニルシクロヘキサン−2,6−
ジオン基準で40モル%であった。
このように比較例1の方法では実施例1及び2の方法
に比べ目的物を収率良く得ることができないうえに、30
Kg/cm2というはるかに高圧下で反応を実施しなければな
らなかった。
実施例3 [2,3−ジメチル−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ
インドールの合成] 反応器に1−アセトニルシクロヘキサン−2,6−ジオ
ンの代わりに1−(1−メチルアセトニル)シクロヘキ
サン−2,6−ジオン100部を用いること以外は実施例1と
同様に操作を行ったところ2,3−ジメチル−4−オキソ
−4,5,6,7−テトラヒドロインドール59部を得た。融点
は223〜225℃、収率は1−(1−メチルアセトニル)シ
クロヘキサン−2,6−ジオン基準で66モル%であった。
フロントページの続き (56)参考文献 米国特許3467755(US,A) Curr.Sci.,48(2), (1977),P.52−3 J.Chem.Soc.,Perki n Trans.1,(2), (1988),P.161−8 J.Chem.Soc.,Perki n Trans.1,(15), (1975),P.1446−50 J.Org.Chem.,36(9), (1971),P.1241−7

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1−アシルメチルシクロヘキサン−2,6−
    ジオン類と水溶性アミノ化剤を高温下に水中で反応させ
    2−置換−4−オキソテトラヒドロインドール類を合成
    した後、反応液を冷却して2−置換−4−オキソテトラ
    ヒドロインドール類を析出し回収することを特徴とする
    2−置換−4−オキソテトラヒドロインドール類の製造
    方法。
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US3467755A (en) 1966-05-11 1969-09-16 Endo Lab Compositions and methods for producing sedation and tranquilization with substituted 4,5,6,7- tetrahydro-4-oxindoles

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J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,(2),(1988),P.161−8
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