JP2703215B2 - スクロールコンプレツサ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、動翼裏面の高圧ガスが低圧側に漏れるのを
防止したスクロールコンプレッサに関する。 （従来の技術） 従来のスクロールコンプレッサは、第５図に示すよう
な構成をしていた。このコンプレッサ101を駆動すると
旋回スクロール103が旋回運動を始め、冷媒が吸込口105
より入り圧縮された後吐出ポート107より密閉容器内に
吐出される。この高圧冷媒を旋回スクロール103の裏面
に導いてシリンダ109の突起部109a内を高圧にし、圧縮
室内の圧による旋回スクロール103を下に押しつけるス
ラスト力より大きい力で旋回スクロール103につねに上
向きの力がかるようにしている。 （発明が解決しようとする課題） しかしこの構成では、旋回スクロール103が上に押し
上げられたとき、シリンダ109の突起部109a上面に旋回
スクロールと隙間が出来て、高圧ガスが吸込室111内に
流入してしまう。このため、吸込室111内の圧力が上昇
し、旋回スクロール103に働く上向きの力が大きくなっ
たり、吸い込みガス量が減少する等の問題点があった。 よって本発明の目的は、旋回スクロールの動きに関係
なく、常に動翼裏面の高圧と低圧をシールするスクロー
ルコンプレッサを提供することを目的とする。 ［発明の構成］ （課題を解決するための手段） この目的を達成するために本発明は、密閉容器と、密
封容器内に固定されたフレームと、このフレームに固定
された固定スクロール及び回転可能に支持されたモータ
と、上記固定スクロールと旋回可能に噛み合うことによ
り圧縮室を形成する旋回スクロールと、上記モータの回
転により前記旋回スクロールの旋回動作により前記圧縮
室より高圧の圧縮ガスが前記密閉容器内に吐出されたと
き、前記旋回スクロールの圧縮室を形成する鏡板の面と
反対側の背面側を内側に高圧ガス領域に連通する空間及
びこの空間の外側に吸い込みガス領域に連通する空間に
仕切って、前記旋回スクロールがスラスト方向に押し下
げられた動きを規制する前記フレームから突出した環状
突起と、前記旋回スクロールがスラスト方向に押し上げ
られたとき前記環状突起と前記旋回スクロールの背面側
との間に形成される隙間を密封して仕切るように前記環
状突起に摺接しながらスラスト方向に移動可能に設けら
れ、高圧のガス圧力により旋回スクロール側方向へ押し
つけ力が付勢されたリング状の封止帯とを設けることに
より、前記環状突起の内側の高圧ガス領域から外側の低
圧ガス領域に環流する潤滑油を抑制する事により達成さ
れる。 （作用） 本願発明のスクロールコンプレッサは、密閉容器内は
固定スクロールから高圧に圧縮された高圧ガスで充満さ
れる。このとき、旋回スクロールの背面空間は、モータ
の回転によりポンプ作用で汲み上げられた潤滑油と固定
クロールから吐出された高圧のガスで充満される。旋回
スクロールの背面空間は、フレームから突出した環状突
起で循環油が汲み上げられる内側空間は、高圧ガス空間
に連通しているが、環状突起の突起の外側は吸い込みガ
ス圧領域に連通する空間を形成している。したがって、
旋回スクロールのスラスト方向の動きを規制する環状突
起の上端面と旋回スクロールの鏡板背面との間に形成さ
れる隙間には差圧を発生している。このとき、この隙間
を下端面に高圧のガス圧力で上方への押しつけ力が付勢
されたリング状の封止帯で仕切るようにした。これによ
り、環状突起内側から吸い込みガス圧空間を形成する外
側空間に潤滑油が高圧ガスと共に環流しようとするが、
前記微少空間をリング状の封止帯で仕切ったので、潤滑
油の環流を阻止している。 （実施例） 第１図を参照するに、総括的に符号１で示すスクロー
ルコンプレッサは、密閉容器３内に内装されたモータの
ごとき回転駆動装置５とガスの圧縮を行う圧縮装置部７
とより成る。 密閉容器３は、底部を備えた円筒状のケーシング3C密
閉固定した密閉蓋3Sとより成る。密閉容器３内には、密
閉容器３内を駆動室9Aと圧縮装置室9Bとに二分する大略
円盤形状のフレーム11が一体的に固定して有り、このフ
レーム11には駆動室9Aと圧縮装置9bとを連通する連通孔
13が穿設して有る。更に連通孔13から離反した位置に
は、密閉容器３に設けた吐出管15が形成して有る。 回転駆動装置５は、本実施例においてはモータより成
るものであって、固定鉄芯21は前記駆動室9Aないにおい
てケーシング3Cに一体的に取り付けている。回転子は、
前記フレーム11の中央部に垂直に且つ回転自在に支承さ
れた回転軸25に一体的に取り付けて有る。回転軸の下端
部はケーシング3C内の底部に貯溜した潤滑油27内に没入
して有る。この回転軸25の軸心部は、回転時に潤滑油27
を吸入する潤滑油吸入孔29が軸心に対し適宜に傾斜して
穿設して有り、この吸入孔29はフレーム11等と回転軸25
との軸承部に設けた複数の供給口31等に接続して有る。
さらに回転軸25の上端部には、回転軸25の軸心に対して
適宜偏心した偏心部25Eが形成して有るとともに、振動
を少なくするために偏心部25E等と均衡するバランサ33
が偏心して取り付けて有る。 上記構成により回転軸25回転時には軸承部などへ潤滑
油が自動的に供給され、円滑な作動が確保されるもので
ある。 圧縮装置部７は、前記圧縮装置室9B内に配置されてお
り、固定スクロール35を備えた円盤形状の固定鏡板39
と、固定スクロール35の複数箇所と摺接して圧縮室37を
複数箇所に形成する旋回スクロール43を備えた円盤形状
の旋回鏡板45等より構成して有る。 固定鏡板はフレーム11に密着固定して有り、この固定
鏡板39のほぼ中央部には圧縮された高圧ガスを圧縮装置
室9B内に吐出する吐出ポート49が穿設してある。また、
前記フレーム11には吸入管53が接続して有る。固定スク
ロール35、固定鏡板39を総称して静翼、旋回スクロール
43、後述する旋回鏡板45及び嵌合部55を総称して動翼と
いう。 前記旋回鏡板45は、一体に備えた旋回スクロール43が
固定スクロール35と複数箇所において摺接する事によ
り、複数箇所に圧縮室37を形成すべく、第１図に示され
るように、固定鏡板39と互いに組み合わせている。旋回
鏡板45の裏面中央部には、円筒形状の嵌合部55が形成し
て有り、この嵌合部55内には、前記回転軸25の偏心軸部
25Eが回転自在に嵌合して有る。 また、上記旋回鏡板45の裏面には、第２図に示すよう
に前記フレーム11から旋回スクロール43のスラスト方向
の動きを規制する微少の隙間を形成して旋回鏡板45の裏
面の方に向かって突出した環状突起56が構成されてい
る。そしてこの環状突起56の内周壁上部の全周に渡って
断面矩形状の切り欠き60を設け、この切り欠き60に断面
矩形のリング57を切り欠き60の内周面に摺動自在に構成
している。そして、このリング57は、前述したようにリ
ング57の上端面を鏡板の背面に密接させるためにリング
57下端面に高圧ガスを導く空間を有し、この空間にリン
グ57と鏡板の裏面の密接をより確実にするための板バネ
62を介在してフレーム11に支承している。58は、環状突
起56とリング57の摺動面をシールするゴムリングであ
る。第３図及び第４図は、第２図の変形例である。第３
図及び第４図では、Ｏリング64を介在してリング57を上
方に押し上げるようにしている。第４図では、リング57
の内周面側を高くなるようにテーパを付けた。このＯリ
ングは、第２図バネ材とゴムリングの機能を持つ。 リング57の外側には圧縮室37の吸入側と連通自在な低
圧室59が形成して有り、この低圧室59内にはオルダムリ
ング61が配設して有る。固定鏡板39にはカバープレート
71を取り付けて、吐出ポート49からの高圧ガスの吐出時
における消音を行うとともに、高圧ガスが密閉ふた3Sに
直接噴射されることを防止した。 上記オルダムリング61は固定鏡板39に対する旋回鏡板
45の方向性を常に一定に保持する作用をなすものであっ
て、オルダムリング61の下面には径方向の下部凸条（図
示省略）が形成して有り、上面には下部凸状に直交する
方向の上部凸状（図示省略）が形成して有る。このオル
ダムリング61の下部凸状は、低圧室59の底部に形成した
ガイド溝63に摺動自在に係合して有り、上部凸状は前記
旋回鏡板45の裏面に形成したガイド溝65と摺動自在に係
合して有る。 以上のごとき構成において、回転駆動装置５によって
回転軸25を回転すると、回転軸25の偏心部52Eが偏心回
転することとなる。したがって、旋回鏡板45はオルダム
リング61によって方向性を一定に保持されたまま旋回さ
れ、旋回鏡板45に備えたスクロール43は上下左右方向に
変位する。この際、旋回スクロール43を旋回せしめる
と、固定鏡板39の固定スクロール35と旋回鏡板45の旋回
スクロール35と旋回鏡板45の旋回スクロール43の複数の
摺接位置は外周側から内周側に移動し、圧縮室37を次第
に縮小する。したがって、圧縮室37内のガスは圧縮され
て吐出ポート49から圧縮装置室9B内へ吐出される。圧縮
装置内9B内へ吐出された高圧ガスは、連通孔13を経て駆
動室9Aに至り、前記旋回スクロール43の旋回鏡板45の背
面側のリング57の内側空間に導かれるとともに吐出管15
から外部へ吐出される。 一方、吸入側から吐出側までの圧縮室37内での平均ガ
ス圧力が旋回スクロール43の旋回鏡板45背面のリング57
の内側と外側の空間の平均圧力より大きくなったとき、
旋回スクロール43はスラスト方向に押し下げられる。こ
の時この旋回スクロール43をフレーム11から突出した環
状突起56で受ける。これにより環状突起56の上端面と旋
回鏡板45の裏面の間の隙間が無くなるので、リング57の
内側の高圧ガスがリング57外側の低圧空間に漏れること
が防止される。これに対し、吸入側から吐出側までの圧
縮室37内での平均ガス圧力が旋回スクロール43の旋回鏡
板45背面のリング57の内側と外側の空間の平均圧力より
小さくなったとき、旋回スクロール43はスラスト方向に
押し上げられる。この時この旋回スクロール43がフレー
ム11から突出した環状突起56の上端面から離間して隙間
を発生する。このとき、リング57は、リング57の上面と
下面の圧力差及び板バネ62の作用により上方に押し上げ
られる。したがって、このリング57の上面が、旋回鏡板
45の裏面に密着し、リング57の上面と旋回鏡板45の間の
隙間の発生を防止する。これにより、リング57でリング
57の内側と外側の空間の連通を阻止するように封止し、
内側の高圧ガスがリング57の外側の低圧空間に漏れるこ
とが防止される。 ［発明の効果］ 以上説明したことから明らかなように本発明に寄れ
ば、旋回スクロールの上下動に応じてリングが旋回スク
ロール下面に密着して動くので、リングの外側と内側、
すなわち、旋回スクロールの背面外側と内側のシールを
確実に出来、旋回スクロール背面の内側空間から外側空
間に高圧ガスの漏れを抑制し、高圧ガスに含まれる潤滑
油の環流を抑制できる。

【図面の簡単な説明】 第１図は、本願発明に係るスクロールコンプレッサの一
実施例を示す縦断面図、第２図は、本発明スクロールコ
ンプレッサ要部の具体例を拡大して示した縦断面図、第
３図及び第４図は、第２図に示した具体例の変形例を示
す縦断面図、第５図は、従来のスクロールコンプレッサ
を示す縦断面図である。 11……フレーム、35……固定スクロール、43……旋回ス
クロール、56……環状突起、57……リング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 羽鳥 三男 横浜市磯子区新杉田町８番地 株式会社 東芝家電機器技術研究所内 (72)発明者 両角 尚哉 横浜市磯子区新杉田町８番地 株式会社 東芝家電機器技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−34373（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−252184（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．密閉容器と、密閉容器内に固定されたフレームと、
   このフレームに固定された固定スクロール及び回転可能
   に支持されたモータと、上記固定スクロールと旋回可能
   に噛み合うことにより圧縮室を形成する旋回スクロール
   と、上記モータの回転により前記旋回スクロールの旋回
   動作により前記圧縮室より高圧の圧縮ガスが前記密閉容
   器内に吐出されたとき、前記旋回スクロールの圧縮室を
   形成する鏡板の面と反対側の背面側を内側に高圧ガス領
   域に連通する空間及びこの空間の外側に吸い込みガス領
   域に連通する空間に仕切って、前記旋回スクロールがス
   ラスト方向に押し下げられた動きを規制する前記フレー
   ムから吐出した環状突起と、前記旋回スクロールがスラ
   スト方向に押し上げられたとき前記環状突起と前記旋回
   スクロールの背面側との間に形成される隙間を密封して
   仕切るように前記環状突起に摺接しながらスラスト方向
   に移動可能に設けられ、高圧のガス圧力により旋回スク
   ロール側方向へ押しつけ力が付勢されたリング状の封止
   帯とを設けることにより、前記環状突起の内側の高圧ガ
   ス領域から外側の低圧ガス領域に環流する潤滑油を抑制
   して成ることを特徴とするスクロールコンプレッサ。