JP2702911B2 - 合成ペプチド、並びにそれを用いたエイズおよびプリ・エイズの検出方法 - Google Patents

合成ペプチド、並びにそれを用いたエイズおよびプリ・エイズの検出方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、体液中のHIV(HTLV−III又はAIDSウィル
ス)に対する抗体の検出及びAIDS(後天性免疫不全症候
群)、ARC(AIDS Related Complex)もしくはプリ−AID
S(Pre−AIDS)の診断のために用いる合成ペプチドとそ
れを用いる検出及び診断方法に関するものである。ペプ
チドのアミノ酸配列は、HIVのエンベロープ蛋白質、p41
のセグメントに一致し、またこのペプチドはAIDS、ARC
あるいはプリ−AIDS患者の血清中の抗体と特異的に免疫
反応することが判明した。本発明のペプチドは、AIDS、
ARC又はプリ−AIDS患者の体液中のHIVウィルスに対する
抗体の検出のために設定された配列の約21個のアミノ酸
から構成されるセグメントを含む化学合成ペプチドとそ
の類似体ペプチドをも含んでいる。本発明の検出方法
は、該ベプチドを抗原として用いて、ELISA(enzyme−l
inked immunosorbent assay)、IRMA(immnoradiometri
c assay)、及びニトロセルロース膜等を用いる酵素免
疫ブロッティング及び血球凝集反応等の免疫測定法のい
ずれを用いてもよい。 〔従来の技術および発明が解決しようとする課題〕 後天性免疫不全症候群(AIDS)患者は、最近、多くの
国で確認されている。患者の同定と発症の原因物質の究
明に多くの努力が費やされ、疫学的データによると、AI
DSは感染性の物質が血液等の体液を媒体として水平感染
することが示唆されていた。 1983年に、パスツール研究所のバール−シナウシ(Ba
rre−Sinoussi)らはAIDS患者からT−リンパ球指向性
レトロウィルスの単離に成功した。そのレトロウィルス
は、人のT−細胞白血病ウィルス(HTLV)の一種と考え
られていたが、その免疫学的応答は公知のHTLV−I又は
HTLV−IIとは異なるものであった〔エフ・バール・シナ
ウシ他、サイエンス(Science),220,PP.868 1983年5
月〕。 また、米国国立癌研究所のアール・シー・ガロ(R.C.
Gallo)のグループは、多くのAIDS及びARC患者の血液と
H9−T細胞株とを共に培養することにより、類似のウィ
ルスが単離されることを見いだし、このウィルスをHIV
と命名した〔ポポビック(Popovic)他、サイエンス,2
24 PP.497(1984);ガロ、他、サイエンス、224,PP.50
0(1984)]。 ジョージア州、アトランタ所在の病理管理センターの
ブイ・エス・カリアナラマン(V.S.Kalyanaraman)他
は、AIDSの患者のリンパ腺症関連ウィルス(LAV)の単
離、及びLAVの核(コア)を構成しているp25を使用する
放射免疫沈降法の開発を発表した。彼らの試験法は、リ
ンパ球と共に培養されたLAVウィルスを単離した後、そ
の核を構成している蛋白質p25をI125で標識したものを
抗原として使用した。彼らは、加えた標識抗原の15%が
沈降物として認められた時、陽性と判断している。 しかしながら、その結果はAIDS患者の41%に対してだ
けが陽性であり、またARCとして知られたリンパ腺症症
候群(LAS)の患者に対しては72%が陽性であった〔ブ
イ・エス・カリアナラマン他、サイエンス,225,PP.321
(1984年7月)〕。これは、その方法が、AIDSウィルス
に対する抗体の検出に使用するには感度的、精度的に十
分ではないことを意味している。 AIDS患者から単離されたLAV及びHIVは、いくつかの重
要な特徴を有している〔フェリオノ(Feorino)他、サ
イエンス、225,PP.69(1984年);レビー(Levy)他、
サイエンス,225,PP.840(1984年)〕。 これらは、生体内及び生体外でOKT4+ヒトT白血球細
胞との応答性を持ち、それらの白血球内で増殖する〔モ
ンタグニール(Montagnier)他、ヒトT細胞白血病ウィ
ルス(Human T Cell Leukemia Virus)、PP.363、コー
ルド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spr
ing Harbor Laboratory)、1984;ポポビック他、前掲;
クラッツマン(Klatzmann)他、サイエンス、225 PP.59
(1984)〕。 また、これらLAV、HIVはAIDS、ARC患者の血清中の抗
体により認識される〔モンタグニール他、前掲;レビー
他、前掲;ソーンガドハラン(Sorngadharan)他、サイ
エンス,224 PP.505(1984年);ソファイ(Sofai)
他、ランセット(Lancet),i PP.1438(1984年);ブル
ン−ベジネット(Brun−Vezinet)他、ランセット,i,P
P.1253(1984年);ブリン−ベジネット他、サイエン
ス、226,PP.453(1984);ゴールドバート(Goldbert)
他、ランセットii,PP.711(1984年);及びローレンス
(Laurence)他、ニュー・イングランド(New Englan
d)J.Med.,311,PP.1269(1984年11月)〕。 1984年11月にエル・ダブリュー・キッチン(L.W.Kitc
hen)らは、H9/HIVと命名されたHIVの感染細胞株を用い
て、血友病患者のAIDS診断を行なうことを発表した。そ
の方法は、リン酸緩衝液中で2%のパラホルムアルデヒ
ドを用いてウィルスの不活性化を行ない、抗原として使
用するものである。彼らは血友病患者が、過去の輸血に
より、AIDSウィルスに接触した機会の有無をチェックし
た。血友病患者の血清検査結果は、生命を維持するため
に輸血の必要性のある血友病患者がAIDSに感染する危険
性がますます増えることを示唆している〔キッチン他、
ネイチャー(Nature),312,PP.367(1984年11月)〕。
血友病患者及び外科の患者のように輸血を受けなければ
ならない患者の間で、AIDSの不注意な感染を防止するた
めに高感度で簡便で信頼性のあるHIVウィルス汚染血液
の検査法の早急な開発が望まれている。 1984年11月及び1985年1月に、米国国立癌研究所のア
ール・シー・ガロのグルーブ及び他の協力者は、HIVがA
IDSの原因物質であるということを認め、且つHIVのヌレ
クレオチド配列を発表した〔ベアトリス・ハーン(Beat
rice Hahn)他、ネイチャー,312,PP.166(1984年11
月);ジョージ・エム・ショー(George M.Shaw)他、
サイエンス,226 PP.1165(1984年12月);リー・ラッ
トナー(Lee Ratner)他、ネイチャー,313,PP.277(19
85年1月)〕。 その間、他の3グループもまた、AIDSウィルスの完全
なヌレクレオチド配列を発表した〔ミューシング(Mues
ing)他、ネイチャー,313,PP.450(1985年2月);サ
ンチェス−ペスカドス(Sanchez−Pescados)他、サイ
エンス,227 PP.484(1985年2月)、ウェイン−ホブソ
ン(Wain−Hobson)他、セル(Cell),40,PP.9(1985
年1月)〕。 これらの発表は、遺伝子レベル及び翻訳された蛋白質
レベルの両方におけるHIVの構造を明らかにし、HIVに関
する異なったエピトープについての血清学的研究を可能
にしている。 同時に、パスツール研究所のグループは、LAVがAIDS
の原因物質として確認されたこと、及びそれがHIVと同
一であると見なされることを発表した。このグループに
より使用された分析法もまた健康な個人のT4+細胞内に
繁殖するLAVを使用するものである。そのウィルス性抗
原は、濃縮され、37℃で15分間、0.5%ラウリル硫酸ナ
トリウム溶液中で処理することで不活性化された。血清
サンプルは、基質としてオルトフェニレンジアミン(O.
P.D.)を用いた酵素免疫分析法で試験された。抗体の存
在は、AIDS患者の68%に、カポジ肉腫の患者の100%
に、プリ−AIDSの患者の100%に確認された(ローレス
他、前掲)。 最近、米国特許4,520,113がアール・シー・ガロ他に
対して許可された。ガロらの特許は、ELISA又は、ウェ
スタンブロッティング法もしくは間接免疫蛍光法に基づ
くストリップRIAにおける抗原として、H9/HIVと命名さ
れた細胞のライセートを使用することにより、AIDS及び
プリ−AIDS患者の血清中の抗体を検出する方法を記述し
ている。その方法は、約85%の精度である。 ガロらの特許は、さらに、HIVのp65(MW65,000)、p6
0(MW60,000)、p55(MW55,000)、p24(MW24,000)及
びp41(41,000)等の抗原が、AIDS患者、同性愛者及び
ヘロイン常用者の血清中の抗体と反応することが判明し
たと記述している。これらについての、主要な免疫反応
性又は特異性は、HIVのエンベロープ抗原を構成する蛋
白質、p41に対して向けられている。この特許はさら
に、p41により純度の高い精製により、より高感度なELI
SA分析が可能であろうと記述している。この記述によ
り、試薬として適当な抗原は、H9細胞株で培養されるHI
Vに由来するp41セグメントであると思われる。 さらに、大腸菌(E.coli)の発現系を用いてAIDS患者
の血清中の抗体と反応するHIV上に発現されたペプチド
と同一のペプチドを産生させることに成功したことを発
表している〔ガロ他、サイエンス,228,PP.93(1985年
4月)〕。クローン化されたHIVの遺伝子は、いくつか
のフラグメントに切断され、発現ベクターに挿入され、
大腸菌に導入され、それから形質転換大腸菌で発現され
た。 試験された300のクローンのうち、20がAIDS患者から
の血清に反応を示した。その20のクローンは、HIVのORF
セグメントのいくつかのセグメントを含むことが分析確
認され、クローン175、191、13、31、162、113、121及
び127であることが確認された。8つのクローンのう
ち、ORFクローン113、121及び127がHIV感染細胞により
産生されるenv−lor領域の一部を翻訳してできた蛋白質
が大部分のAIDS患者の血清中の抗体と反応することが確
認された。 今までの、HIVに対する抗体を検知するため或いはAID
S又はプリ−AIDSを診断するための分析法は、HIV又はLA
Vのウィルスそのものの使用を伴なうものである。それ
らの方法は、100%の正確さはないため、血液銀行等に
おける血清のスクリーニングでの使用には耐えない。こ
れは、汚染された血清がスクリーニングで見のがされる
可能性を与え、その結果輸血において、受血者に重い傷
害を与えるであろう。さらに試薬としてのHIVの使用
は、試薬を作るための準備段階において、極度な警戒を
必要とする。健康な研究所作業員にとって非常に危険で
ある。さらに、たとえ不活性化されたウィルスを使用し
たとしても、不活性化されたウィルスへの接触は健康な
作業員の抗体産生の原因となりうるし、もし抗体が産生
された場合、彼らはAIDS、ARCあるいはプリ−AIDSであ
ると誤診断される恐れがある。さらに、試薬におけるH9
細胞又は大腸菌(E.coli)の細胞内物質の存在は、大腸
菌(E.coli)又はH9細胞に対する抗体を有する個人か
ら、HIV抗体スクリーニング試験において、まちがった
結果を引き出す可能性がある。これらまちがった陽性反
応は、健康な個人及びその家族に対する苛酷な心配をも
たらし、又AIDSに感染しているとして誤って診断される
可能性があり、それらの人は通常な社会的活動から追放
される恐れがある。 さらに、今日まで、HIVに対する防御のための方法ま
たは実施可能なワクチンは見い出されていない。不活性
化されたウィルスをワクチンとして使用することは、そ
の病気にかかる恐れがあるため、実施不可能である。 同様に、哺乳動物を使用したHIVに対するモノクロー
ナル及びポリクローナル抗体の製造は、免疫原としてHI
Vの使用を避けられないため、同様な危険性が存在す
る。 従って、本発明の目的は、試薬としてウィルス又はそ
の断片の使用を必要としない測定方法又は診断方法を開
発することにある。 さらなる目的は、簡便、高感度且つ正確な試験方法を
開発することにある。 さらに少量のサンプルと少量な試薬を用いる安価な試
験を開発することにある。 また、体液中のHIVに対する抗体の存在を検出するた
め、或いはAIDS、ARCもしくはプリ−AIDSを診断するた
めの試験試薬を、HIVを利用したものではなく、化学的
手段により開発することにある。これにより、ウィルス
又はそのセグメントへの接触の危険及びウィルスの不必
要な増殖の危険を避けることである。 〔課題を解決するための手段〕 本発明では、特殊な順序に配列された約21個のアミノ
酸を持つペプチドを、固相ペプチド合成法により作製し
た。本発明のペプチドを用いて血清及び体液中のHIVに
対する抗体の検出及びAIDS、ARC又はプリ−AIDSの診断
のための高感度な測定方法が開発された。そのペプチド
は又、Balb/cマウスのような健康な哺乳動物におけるHI
V又はLAVに対する抗体の産生を誘発するのに有用である
ことが見い出された。 本発明の、血清又は体液中の、HIVに対する抗体の検
出及びAIDS、ARCもしくはプリ−AIDSの診断のために有
用なペプチドは、以下の配列式を有するペプチド及びそ
の類似体より選択される。 なお、この明細書中に記載されているアミノ酸配列式
はすべて、左端のアミノ酸がペプチドのN−末端を、右
端のアミノ酸がペプチドのC−末端を表わすものとす
る。 上記式において Ala=アラニン Arg=アルギニン Asp=アスパラギン酸 Gln=グルタミン Glu=グルタミン酸 Leu=ロイシン Lys=リジン Gly=グリシン Ile=イソロイシン Ser=セリン Trp=トリプトファン Tyr=チロシン Val=バリンおよび Cys=システインである。 体液中のHIVに対する抗体の検出及びAIDS、ARCもしく
はプリ−AIDSの診断についての高感度な測定方法は以下
の段階からなる: A.以下の配列式を有するペプチドおよびその類似体より
選択されたペプチドを準備すること。 B.免疫分析方法における抗原として試験毎にpH約7〜10
の緩衝液中で約0.1〜20μgのペプチドを使用するこ
と。 さらに本発明では、ペプチドを、蛋白質又はポリマー
等のキャリアーに結合すると、ヒトを含む哺乳動物でHI
V又はLAVに対する抗体の産生を誘発することができる。
その方法は、腹腔内又は皮下注射により哺乳動物の体内
へ前記キャリアー結合ペプチドを投与することからな
る。 本発明のペプチドは化学合成によって得られるもので
あり、体液中のHIV抗体の検出、AIDS、ARC及びプレ−AI
DSの診断、哺乳動物におけるHIVまたはLAV抗体の産生誘
発、そして哺乳動物におけるHIVへのモノクローナル及
びポリクローナル抗体の製造のために利用できるもので
ある。 そのペプチドは、以下の配列式を有するペプチド及び
その類似体より選択される。 該ペプチドは、上記配列のターミナル(末端)アミノ
酸、−Arg−又は−Ser−にアミノ酸及び他の物質を付加
させ、或いはいずれかのターミナルから数個のアミノ酸
を削除することにより得られるペプチド鎖から構成され
たペプチド類似体をも含むものである。 優位なHIV抗体と反応する三次元構造が維持される限
り、本発明のペプチドは、上記配列式のアミノ酸類似物
から成っていてもよいし、又は、どちらかのターミナル
にアミノ酸が付加されていてもよい。或いは、ターミナ
ルアミノ酸の幾つかを削除して構成するアミノ酸を約15
個位まで減少させてもよい。 さらに本発明のペプチドの重合体を用いてHIVに対す
る抗体を産生することができる。 体液中のHIV抗体の検出及びAIDS、ARC及びプリ−AIDS
の診断用試薬として有用な本発明のペプチドの基本とな
るアミノ酸配列は、HIVを構成する蛋白質のアミノ酸配
列の一部のセグメントに一致し、そのセグメントはp120
の一部であるp41であり、HIVのエンベロープ蛋白質を定
めるLOR(long open reading)の一部である。 本発明のペプチドは、次の式のとおり固相ペプチド合
成のメリフィールド原法により合成された。 前記式に従い、Bocアミノ酸を以下に示す順序でレジ
ンに付加し、本発明のペプチドを調製した。 本発明のペプチドは、所望のBocアミノ酸を付加する
か又は削除することにより、配列を変えて調製すること
ができる。なお本発明のペプチドは、上述した21個のア
ミノ酸を持つペプチド(以下:21merペプチドと称する)
またはその類似体であり、類似体は21merペプチドから
N個(Nは自然数)のアミノ酸を削除したもの、または
21mer中のアミノ酸残基を置換したペプチド、または21m
erペプチドにN個のアミノ酸を付加したものを含む。 所望のブロックされたペプチドをレジン上で結合させ
ることを完了してから、ペプチド−レジンを無水フッ化
水素酸で処理して、ベンジルエステル結合を切断するこ
とでペプチドをレジンより遊離させた。アミノ酸の側鎖
官能基をブロックしているベンジル誘導体のブロッキン
ググループは、同時にペプチドから切断された。得られ
たペプチドは、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)によって精製され、そしてアミノ酸分析により、配
列式の確認が行なわれた。 本発明のペプチドは、次の式による4−メチルベンズ
ヒドリルアミン樹脂を使用して合成することもできる。 上記方法により合成されたペプチドは、HIV抗体に対
し、高い反応性を有し、HIV抗体検出用の高感度で特異
的な免疫吸着剤として使用できる。 本発明によるペプチドを使用した検出方法は、米国特
許第4,520,113号に記載されたHIVの断片を用いる検出方
法よりも体液中のHIV抗体に高感度かつ特異的な結果を
示した。表II参照。 本発明のペプチドは、HIV抗体に対し、高い免疫特異
性を有するため、AIDS、ARC、又はプリ−AIDS用のワク
チン、哺乳動物のHIVに対するモノクローナル及びポリ
クローナル抗体製造のための免疫原として有用である。 本発明のペプチドは、それ自体、またはそれ自体の重
合体、又は蛋白質かポリマー等のキャリアーと結合させ
て、正常な動物に導入して、HIVに対する抗体の産生を
誘発する。また、健康人におけるHIV又はLAVによる感染
を防御することもできる。本発明のペプチドは、HIV由
来のペプチドでないため、正常動物に投与しても何ら危
険性はない。 キャリア蛋白質としてのヒト血清アルブミン(HSA)
に結合させた本発明のペプチドを、健康なBalb/cマウス
の腹腔内又は皮下への注射により、HIVと反応する本発
明のペプチドに対する抗体が、そのBalb/cマウスに産生
された。このことが実施例7に記載されている。 実施例7で得られた結果に基づき、本発明のペプチド
は、哺乳動物のHIVに対するモノクローナル及びポリク
ローナル抗体の製造のための免疫原として使用できる。 〔発明の効果〕 本発明のペプチドは以下の利点を有する。 本ペプチドは、化学的に合成される。このことは、試
薬又はワクチンの製造工程中いかなる時もHIVを使用し
ないということを意味する。それはワクチンの製造中又
はワクチン化プロセス中、製造労働者や衛生業の人やワ
クチン注射をした人をHIVにさらす危険がないことを意
味する。同様に、哺乳動物のHIVに対するモノクローナ
ル又はポリクローナル抗体の製造において、本発明のペ
プチドの使用はHIVに感染する危険を防止する。更に、
本発明のペプチドを用いれば、試薬からの感染はないの
で、HIVに対する抗体検出テストでは、テストする血清
又は体液のサンプルを30分間56℃で加熱することによ
り、存在するかもしれないHIVを不活性にする予防手段
を講じるだけで、研究所で働く者がHIVにさらされる危
険を完全に防止することができる。 本発明の方法は、HIVを培養するために用いるH9細胞
株、又はE.coli産生蛋白質から生じる物質に起因する偽
陽性反応を解消した。 ある正常人が、E.coli又はヒト白血球抗原(HLA)に
対する抗体を有する時、そのHLA抗体は、H9細胞株から
生じる抗原物質と反応するため、これらの正常人から採
取した血清サンプルは、たとえそれがHIVにさらされて
いなくても、ELISA又はIRMAテストにおいて陽性反応を
呈する可能性がある。ある人がこの種の偽陽性反応によ
って、AIDSに感染したかもしれないという診断を受ける
ことは、本人はもとより、その者の家族に対し重大な不
安を起こさせ、本人は通常の社会活動ができなくなる恐
れがある。これらの問題は、全て本発明のペプチドを試
薬として使用することにより、回避できる。 更に、適当なアミノ酸類似置換物を持つ、本発明のペ
プチドをベースとした種々のペプチド誘導体は、HIV抗
体スクリーニング法に有用な特性を持つ。 本発明のペプチド、及び本発明のペプチドとAIDS及び
ARC患者の血清中に存するHIV抗体との反応性が、実施例
8と表VIに記載されている。ELISAテストにおける各ペ
プチドの反応性は21merペプチドの反応性を100%として
表わした。 その結果によれば、本発明の21merペプチドは、その
規模と配列が次の点でユニークであることがわかった。
それはN末端のArg及びN末端から2番目のIle、或いは
C末端からのTrp−Gly−Cys−Serの削除、又はLysとAsp
との間で切断して10個と11個のアミノ酸より構成される
全てのペプチドは、21merペプチドに比べ、抗体との反
応性が劇的に低下したことである。 更に、上記11merペプチドにLysを付加することが抗原
性を顕著に復元するということから、C末端から12番目
の位置のLysの重要性が示唆されている。本発明のペプ
チドは合成的に作られるため、品質管理が容易であり、
一定した品質の試薬の供給により、テスト結果の再現性
の向上が期待できる。各テストに必要なペプチドの量は
極く少量でよく、そして該ペプチドの製造コストが低額
であるため、HIVの抗体やAIDS、ARC又はプリ−AIDSの診
断のための体液をスクリーニングする費用やワクチン製
造の費用は、低減される。 本発明に従って作られたペプチドは、それをELISA、
酵素免疫ドット法、血球凝集法又はIRMA試薬として使用
することにより、HIVの感染を検出し、AIDS、ARC及びプ
リ−AIDSを診断するために使用できる。ELISAの技術は
実施例に記載されていて、IRMA技術は実施例3に、血球
凝集法は実施例3Aと5Aにそれぞれ記載されている。 以下の実施例において、コーティング緩衝液に0.25
(w/v)%のグルタルアルデヒドを添加することによ
り、ペプチドをプレートやビーズ上に共有結合させるこ
ともできる。更に、西洋わさびペルオキシダーゼ標識マ
ウス抗ヒトIgGモノクローナル抗体(POD−M.α.HIgG)
は、第2抗体として西洋わさびペルオキシダーゼ標識
(POD−G.α.HIgG)の代りに使用してもよい。 [実施例] 実施例1 ELISAによるHIV抗体の検出 96−穴プレートのウェルを4℃で一晩(又は室温で3
時間)pH9.5の10mM NaHCO3緩衝液100μ中で、前述の
ように調製された0.5μg/ウェルの21merペプチドでコー
ティングした。そのウェルを生理食塩リン酸緩衝液(PB
S)で3回洗浄し、それから1時間37℃で3(w/v)%ゼ
ラチンPBS溶液250μを注入してインキュベートし、非
特異的結合部をブロックした。続いて0.05(v/v)%Twe
en 20含有PBSで3回洗浄した。テスト用血清(患者又は
正常人から採取した血液)を20(v/v)%正常ヤギ血清
と1(w/v)%ゼラチンと0.05(v/v)%Tween 20とを含
有するPBSで稀釈した。その稀釈比(体積比)は1:20と
1:200である。200μの前述稀釈血清を各ウェルに添加
し、37℃で1時間反応させた。それから、そのウェルを
3回0.05(v/v)%のTween 20を含むPBSで洗浄して未結
合IgGを除去した。POD−G.α.HIgGを第2抗体として使
用し、陽性ウェル中で形成されたHIV抗体−ペプチド複
合物と結合させるため、1(v/v)%正常ヤギ血清、0.0
5(v/v)%Tween 20を含むPBSでPOD−G.α.HIgGを1:3,0
00に稀釈した溶液100μを各ウェルに添加し、37℃で
更に1時間インキュベートした。 該ウェルを0.05(v/v)%Tween 20を含むPBSで5回洗
浄して未結合抗体を除去し、そして0.04(w/v)%のオ
ルトフェニレンジアミン(OPD)と0.012(v/v)%の過
酸化水素を含有するpH5.0のクエン酸ナトリウム緩衝液1
00μを添加した後、発色反応をさせた。この溶液は着
色生成物を形成することによりペルオキシダーゼを検出
するために用いられた。その後、2.5モルのH2SO4溶液を
50μ添加して反応を停止した。そして着色生成物量
を、ELISAリーダーを使って492nmで測定した。測定は上
述した2種類の血清稀釈比(それぞれ1:20と1:200)で
行なった。 正常血清を陰性のコントロールとして使用した。90の
正常サンプルの平均吸光度+4SD(標準偏差)より大き
い吸光度を陽性とした。その結果を表Iに示す。 +このグループの陽性の2つの血清はボーダーライン近
辺の反応を示した。 注: AIDS、ARC、初期免疫不全、白血病/リンパ腫患者及
び正常人の血清は、アービンのカリフォルニア大学のエ
ス・グプタ(S.Gupta)博士;ニューヨークのスローン
・ケタリング記念癌センター血液銀行のエス・カニンガ
ム・ランデルス(S.Cunningham−Rundels)博士;ニュ
ーヨークのスローン−ケタリング記念癌センター感染性
疾患部のジェイ・ゴールド(J.Gold)博士によって支給
された。リウマチ様関節炎、狼癌紅斑、アレルギーを含
む自己免疫疾患患者の血清は、ニューヨークのロックフ
ェラー大学病院のエヌ・チオエッジ(N.Chioezzi)博士
によって支給された。肝癌患者の血清は、国立台湾病院
のキング・テン・チャン(King−Ten Chang)博士によ
って支給された。表Iの結果は、534の血清サンプルで
試験した本発明のELISAは非常に正確で高い特異性を有
することを示している。正常被験者又はAIDSもしくはAR
Cに感染していないと認められる患者においては免疫反
応は見られなかった。 血液銀行からウィルスに侵された血液を排除するため
のスクリーニングテストにおいて、陽性反応と確定する
ための基準をより厳重にできる。例えば、正常血清サン
プルの平均吸光度+4SDを陽性を見做す代りに、正常血
清サンプルの平均吸光度+2SDを有するサンプルを陽性
と見做すことができる。 実施例2 実施例2は実施例1の手順と同様に実施した。Gallo
らの米国特許4,520,113に示す、熱不活性化されNP40で
可溶化されたHIVでコーティングしたプレートを用い
て、実施例Iと同じ血清サンプルを使用してくり返し
た。結果を表IIに示す。 実施例Iで得た結果と比較すると、この方法は正確さ
で劣り、従って信頼性が劣る。 実施例3 IRMAによるHIVに対する抗体の検出 96穴軟質ポリ塩化ビニール(PVC)プレートのウェル
は、4℃で一晩(又は室温で3時間)、pH9.5の10mM Na
HCO3緩衝液100μで、前述のように調製された21merペ
プチド0.5μg/ウェルでコーティングする。ウェルは生
理食塩リン酸緩衝液(PBS)で3度洗浄し、非特異的結
合部をブロックするために37℃1時間、3(w/v)%ゼ
ラチンを含むPBS250μを注入しインキュベートして、
0.05(w/v)%Tween 20を含むPBSで3度洗浄する。検査
する血清は、1(w/v)%ゼラチン及び0.05(v/v)%Tw
een 20を含むPBSで1:10と1:200に稀釈する。稀釈された
血清200μを各ウェルに加え、37℃で1時間反応させ
る。それから、未結合のIgGを除去するためにウェルを
0.05(v/v)%Tween 20を含むPBSを用いて3度洗浄す
る。アフィニィティークロマトグラフィで精製されたI
125標識のヤギ抗ヒトIgG(Fe)抗体を陽性ウェル内で形
成される抗体抗原複合物と結合する第2抗体として使用
する。50,000〜20,000cpmのI125標識抗ヒトIgGを含む1
(v/v)%正常ヤギ血清と0.05(v/v)%Tween 20を含む
PBS 100μをウェルに加え、37℃でもう1時間インキ
ュベートする。 ウェルは未結合の第2抗体を除去するために0.05(v/
v)%Tween 20を含むPBSで5度洗浄し乾燥する。プレー
トはウェル毎に切断し、ガンマーシンチレーションカウ
ンターによって測定する。分析は2つの血清稀釈比1:20
及び1:200で各々2度行なう。陰性コントロールとして
の正常血清サンプルも同時にテストする。正常血清サン
プルの平均CPM+4SDよりも大きいCPMは陽性とされる。 実施例3A 固相免疫吸着剤として21merペプチドでコーティングさ
れたゼラチン粒子、ヒツジ赤血球又はラテックス粒子を
用いる血球凝集法によるHIVに対する抗体の検出 徹底的に洗浄されたヒツジ赤血球、ゼラチン粒子又は
ポリスチレンラテックス粒子等の微粒子を5μg/mlから
1mg/mlの範囲の濃度の21merペプチドでコーティングす
る。21merペプチドでコーティングされた微粒子を、96
穴U底マイクロプレートにおいて段階的に薄められた血
清サンプルと共にインキュベートする。室温で1時間程
放置した後、底部の凝集パターンを判読し、陽性反応を
示す最大の稀釈比を記録する。本法はワンステップ法で
あり、血清又は体液等の検出に含まれる抗HIV抗体の定
性及び定量分析に使用できる。 実施例4 この実施例はHIV抗体検出用AIDS、ARC、プリ−AIDS診
断のためのテストキットに関するものである。本実施例
のテストキットは、1ウェル当り本発明のペプチド0.5
μgを含むpH9.5の10mM NaHCO3緩衝液100μを用い
て、本発明のペプチドでコーティングされた96穴プレー
トを備えている。さらにテストキットは以下の物を備え
ている:(1)正常ヒト血清(陰性コントロール);
(2)熱不活性化されNP40で可溶化されたAIDS患者血清
(陽性コントロール);(3)正常ヤギ血清;(4)ペ
ルオキシターゼ標識ヤギ抗ヒトIgG;(5)オルトフェニ
ジンアミン(OPD)及び過酸化水素を含むクエン酸リン
酸緩衝液からなる発色試薬。本テストキットは実施例1
に記述された手順で用いられる。 上記のテストキットでは本発明のペプチドでコーティ
ングされた96穴プレートを固相免疫吸着剤(抗原)とし
て使用しているが、固相はこれに限定されるものではな
く、例えばミニカラムに充填されているガラスや合成樹
脂ビーズ又はニトロセルロース膜ストリップ等も使用で
きる。 実施例5 この実施例はIRMAを用いる抗体検出用のテストキット
に関するものである。本実施例のテストキットは、1ウ
ェル当り21merペプチド0.5μgを含むpH9.5の10mM NaHC
O3緩衝液100μを用いて21merペプチドでコーティング
した96穴の切断可能なポリ塩化ビニール(PVC)プレー
ト及び以下のものを備える:(1)正常ヒト血清(陰性
コントロール);(2)熱不活性化されNP40で可溶化さ
れたAIDS患者血清(陽性コントロール);(3)正常ヤ
ギ血清;(4)I125標識ヤギ抗ヒトIgG。本テストキッ
トは実施例3に記述された手順で用いられる。 上記のテストキットでは、本発明のペプチドでコーテ
ィングされた96穴PVCプレートを固相免疫吸着剤(抗
原)として使用しているが、固相としてこれに限定され
るものではなく、例えば、ガラスビーズ、ポリスチレン
ビーズ、ニトロセルロース膜ストリップ等も固相として
使用できる。 実施例5A この実施例は血液凝集法を用いるHIV抗体検出用のテ
ストキットに関するものである。本実施例のテストキッ
トは96穴U底マイクロプレート及び以下のものを備え
る:(1)21merペプチドでコーティングされたヒツジ
赤血球、又はゼラチン粒子、又はポリスチレンラテック
ス粒子;(2)正常ヒト血清(陰性コントロール);
(3)熱不活性化されNP40で可溶化されたAIDS患者血清
(陽性コントロール)。 本テストキットは実施例3Aに記述された手順で用いら
れる。 実施例6 この実施例では、実施例1の方法を用いたAIDSスクリ
ーニング結果と、米国特許4,520,113による熱不活性化
されNP40で可溶化されたHIVを用いたAIDSスクリーニン
グ結果との比較検討を行なった。正常血清、AIDS、ARC
患者の血清は1:20及び1:2,000に稀釈した。各稀釈血清
サンプルに対して本発明のペプチドを用いたテスト及び
米国特許によるHIVを用いたテストを行なった。4正常
ヒト血清を陰性コントロールとして用い、また、熱不活
性化HIVと反応するAIDS患者血清サンプルを陽性コント
ロールとして用いた。その結果を表IIIに示す。 表IIIの結果は本発明の測定方法が高感度であること
を示している。AIDS患者血清を用いた測定結果では、本
発明のペプチドを用いた吸光度は不活性化されたHIVを
用いた吸光度と較べ非常に高い値となることが判明し
た。 また、サンプルNo.335、336、340、345、347、357及
び361の吸光度を見ると不活性化されたHIVを用いた結果
は陰性と判断され得るが、本発明のペプチドを用いた方
法が高い特異性と感度を有していることが証明された。 実施例7 この実施例は免疫原及びワクチンに関するものである 4匹の健康なBalb/cマウスから採血し、実施例1及び
2の方法によりその血清を試験した。その結果、Balb/c
マウスは、表IVに示すように、HIV及び21merペプチドの
双方に対する抗体を有しないことが明らかとなった。次
に4匹のマウスをAおよびBの2群に分け、次の方法で
免疫した。 A群 庶糖密度勾配法で精製されたHIVに同量の完全フロイ
ンドアジュバンドを混合したもの20μg/0.2mlを2匹のB
alb/cマウスに、腹腔内および皮下の双方に注射した。
次の日程に従い、免疫を行なった。 第1回免疫 0日 第2回免疫 14日後 第3回免疫 21日後 第4回免疫 28日後 第5回免疫 35日後 第6回免疫 42日後 B群 上記と同様に、2匹のBalb/cマウスに、キャリアとし
てのヒト血清アルブミン(HSA)に結合した21merペプチ
ドを20μg/20μgHSA10.2ml注射した。免疫日程もA群の
それと同様とした。 第6回免疫後、AおよびBの両群から採血し、西洋わ
さびペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgGを第2抗体
として使用し、実施例1および2の方法で血清を測定し
た。その結果を表Vに示す。 その結果によれば、HIVで免疫されたマウスから得ら
れた血清は、21merペプチドに対する高力価抗体ととも
にHIVに対する高力価抗体を含むので、21merペプチドは
HIVに存在する高免疫原エピトープを表現することが明
らかとなった。さらに、キャリアとしてのヒト血清アル
ブミンに結合した21merペプチドで免疫されたマウスか
ら得た血清中のHIVに対する高力価抗体の存在によっ
て、本発明のペプチドは健康な哺乳動物におけるHIVに
対する抗体の産生を誘発する有力な免疫原であることが
実証された。 加えて、本発明のペプチドの重合体もHIVに対する抗
体産生を誘発するために使用されうる。 合成ペプチドはウィルスの表面に存在する抗原性又は
免疫原性部位の代用として使用され、さらにワクチンと
しても使用され得る。大きなウィルスの微小部位を表す
構造の一部を模倣させ、中和力又は防御力を持つ抗体を
準備できることは非常に重要なことである。合成ワクチ
ンの利点は、費用および安全性にあり、なおかつ容易に
実現できるものである。本発明ペプチドはHIVの優位な
エピトープを表現することが判明しているため、本発明
のペプチドをキャリアと結合させた複合物および本発明
のペプチドの重合体はHIVに対する高力価の抗体を誘発
することができる。従って本発明のペプチドは防御の目
的のためにHIVに対する抗体を誘発させる合成ワクチン
として使用できる最良の候補である。 実施例8 この実施例は本発明のペプチドおよびそれらとHIV抗体
との反応性に関するものである 上述のMerrifield原法により21merペプチド(No.6)
と10個の類似ペプチド(No.1〜5、No.7〜11)を調製し
た。各ペプチドのアミノ酸配列を表VIに示す。 AIDSと診断され、HIVに対する抗体をもつ患者から血
清サンプルを得た。上記AIDS血清サンプルに対して、コ
ーティング抗原として各ペプチドを用いて、実施例1に
よるELISAテストを行なった。各ペプチドの反応性は、2
1merペプチド(No.6)の結果を100%として表わした。
その結果を表VIIに示す。 実施例9 以下のアミノ酸配列を有する21merペプチドの類似体
を、HIVの種々の株のトランスメンブラン領域の既知の
アミノ酸配列に基づいて合成した。 上記合成ペプチド(1)および(2)を、HIVに対す
る抗体陽性であることが知られている血清に対して試験
したところ、これらペプチドはHIVに対する抗体に対し
て免疫反応性であることが確認された。 本実施例は、HIVの種々の株の既知のアミノ酸配列に
基づく情報を用いることによって体液中のHIVの種々の
株に対する抗体の存在を試験するための免疫反応性剤と
してペプチド類似体が合成できることを示している。
【図面の簡単な説明】 第1図は、(A)本発明のペプチドと(B)不活性HIV
でマイクロプレートのウェル内をコーティングしたマイ
クロプレートを用いたELISA法を使用してAIDS患者の血
清を検査した際のデータと、(a)本発明のペプチドと
(b)不活性HIVウィルスを使ってELISA法で正常な血清
を検査した際のデータとを比較したグラフ図である。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.AIDS、ARC、プリ−AIDSの診断及びHIVに対する抗体
    の検出のためのペプチドであって、次のアミノ酸配列を
    有するペプチド、 又は次のa)〜c)を満たす上記ペプチドの類似体。 a)HIVに対する抗体との免疫反応性が保持されてお
    り、 b)上記配列の11〜21のアミノ酸残基が置換されずに保
    存されており、 c)上記配列の端部のアミノ酸残基が除去又は端部にア
    ミノ酸残基が付加されていてもよいが、全体で15〜25の
    アミノ酸残基を有し、ただし、次のアミノ酸配列を有す
    るペプチド類似体を除く。 2.ペプチドが、前記アミノ酸配列の端部のアミノ酸残
    基が除去されたペプチドである、特許請求の範囲第1項
    記載のペプチド。 3.ペプチドが、以下のアミノ酸配列: から選択されるアミノ酸配列をペプチドの一部に有す
    る、特許請求の範囲第1項記載のペプチド。 4.AIDS、ARC、プリ−AIDSの診断及びHIVに対する抗体
    の検出のためのペプチドであって、次のアミノ酸配列を
    有するペプチド、 又は次のa)〜c)を満たす上記ペプチドの類似体 a)HIVに対する抗体との免疫反応性が保持されてお
    り、 b)上記配列の11〜21のアミノ酸残基が置換されずに保
    存されており、 c)上記配列の端部のアミノ酸残基が除去又は端部にア
    ミノ酸残基が付加されていてもよいが、全体で15〜25の
    アミノ酸残基を有し、ただし、次のアミノ酸配列を有す
    るペプチド類似体を除く、 を抗原として、免疫測定法でHIVに対する抗体を検出す
    る方法。 5.免疫測定法がELISAである、特許請求の範囲第4項
    記載の方法。 6.免疫測定法がIRAMAである、特許請求の範囲第4項
    記載の方法。 7.pH7〜10の緩衝液中で、0.1〜20μgの前記ペプチド
    を抗原として使用する、特許請求の範囲第5項記載の方
    法。 8.pH7〜10の緩衝液中で、約1μgの前記ペプチドを
    抗原として使用する、特許請求の範囲第7項記載の方
    法。 9.緩衝液が、pH9〜10の10mM重炭酸塩緩衝液である、
    特許請求の範囲第7項記載の方法。 10.緩衝液が、pH約9.5の10mM重炭酸塩緩衝液であ
    る、特許請求の範囲第9項記載の方法。 11.緩衝液が、pH7〜8の50mMのTRIS緩衝液である、
    特許請求の範囲第7項記載の方法。 12.緩衝液が、pH約7.5の50mMのTRIS緩衝液である、
    特許請求の範囲第11項記載の方法。 13.pH7〜10の緩衝液中で、0.1〜20μgの前記ペプチ
    ドを抗原として使用する、特許請求の範囲第6項記載の
    方法。 14.pH7〜10の緩衝液中で、約1μgの前記ペプチド
    を抗原として使用する、特許請求の範囲第13項記載の方
    法。 15.緩衝液が、pH約9.5の10mM重炭酸塩緩衝液であ
    る、特許請求の範囲第13項記載の方法。 16.緩衝液が、pH約9.5の10mM重炭酸塩緩衝液であ
    る、特許請求の範囲第14項記載の方法。 17.緩衝液が、pH7〜8の50mMのTRIS緩衝液である、
    特許請求の範囲第13項記載の方法。 18.緩衝液が、pH約7.5の50mMのTRIS緩衝液である、
    特許請求の範囲第17項記載の方法。 19.免疫測定法が血球凝集法である、特許請求の範囲
    第4項記載の方法。 20.免疫測定法が酵素免疫ドット法である、特許請求
    の範囲第5項記載の方法。 21.AIDS、ARC、プリ−AIDSの診断及びHIVに対する抗
    体の検出のためのペプチドであって、次のアミノ酸配列
    を有するペプチド、 又は次のa)〜c)を満たす上記ペプチドの類似体 a)HIVに対する抗体との免疫反応性が保持されてお
    り、 b)上記配列の11〜21のアミノ酸残基が置換されずに保
    存されており、 c)上記配列の端部のアミノ酸残基が除去又は端部にア
    ミノ酸残基が付加されていてもよいが、全体で15〜25の
    アミノ酸残基を有し、ただし、次のアミノ酸配列を有す
    るペプチド類似体を除く、 を含む試薬キット。
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