JP2700523B2 - 抗菌粉粒体およびその製造方法 - Google Patents

抗菌粉粒体およびその製造方法

Info

Publication number
JP2700523B2
JP2700523B2 JP5200104A JP20010493A JP2700523B2 JP 2700523 B2 JP2700523 B2 JP 2700523B2 JP 5200104 A JP5200104 A JP 5200104A JP 20010493 A JP20010493 A JP 20010493A JP 2700523 B2 JP2700523 B2 JP 2700523B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
powder
aqueous solution
silica
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP5200104A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0733617A (ja
Inventor
憲司 中村
敏郎 柳瀬
Original Assignee
憲司 中村
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 憲司 中村 filed Critical 憲司 中村
Priority to JP5200104A priority Critical patent/JP2700523B2/ja
Publication of JPH0733617A publication Critical patent/JPH0733617A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2700523B2 publication Critical patent/JP2700523B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は粉粒体状の銀系抗菌剤お
よびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】銀イオンが抗菌性を有することは公知で
あるが、硝酸銀のような可溶性の銀塩では、溶出し易い
ため銀イオンの消耗が大きく、長期間に亘り一定量の銀
イオンの放出ができない。 【0003】また、難溶性の銀塩では担持する方法に難
点があった。銀塩を担持する方法としては次のような技
術が知られている。 【0004】特公昭60−5359号公報には、活性炭
に易溶性の銀塩を吸着させた後、ハロゲン化合物を作用
させて水難溶性のハロゲン化銀にして水蒸気加熱を行う
方法が開示されている。 【0005】特開昭63−20090号公報には、シリ
カ・アルミナ系多孔質無機担体に、難溶性銀塩を担持さ
せることが開示されている。このシリカ・アルミナ系多
孔質無機担体はシリカゲル、ゼオライト、パーライトに
よる多孔質構造のものである。難溶性銀塩としては、易
溶性の銀塩の水溶液を多孔質のシリカゲル等に吸着させ
た後に、ハロゲン化合物を作用させて難溶性銀塩にして
いる。 【0006】特開平3−81209号公報には、微粉末
シリカに抗菌性金属として水溶性化合物を吸収させて抗
菌性金属を担持させることが開示されている。微粉末シ
リカとしては1〜100μmの多孔質シリカを用いてお
り、抗菌性金属の担持は2〜10%としている。抗菌性
金属としては、銀、銅、亜鉛等の金属のままではなく水
溶性であることを必要としている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】前述した公知の技術で
は次のような問題があった。 【0008】特公昭60−5359号公報の方法では、
担体が活性炭のため塗料や合成樹脂には使用が無理であ
る。更に、銀塩の活性炭に対する付着のみでは固着力が
弱いため、使用時にハロゲン化銀が活性炭から剥離脱落
すると言う問題がある。 【0009】特開昭63−20090号公報に開示され
た方法において、多孔質シリカは高度に脱水されたもの
ほど吸着性が大きいが、銀塩のシリカゲルに対する吸着
は2%〜4%に吸着飽和点があるとされており、吸収法
ではそれ以上の高濃度の銀塩の担持は無理である。ま
た、シリカゲルの表面に吸着したハロゲン化銀には剥離
脱落しやすいものがある。しかも、合成樹脂に添加した
場合には、シリカゲルに吸着しているハロゲン化銀が直
接に合成樹脂成分と接触することにより着色汚染や変色
を生ずる問題がある。 【0010】特開平3−81209号公報に開示されて
いる技術は金属塩の水溶液に微粉末シリカを浸漬して乾
燥する技術であり、水溶性銀塩等を用いているので、シ
リカに吸着させるとはいえ、水溶性銀塩が溶出するので
長期間の使用ができない。銀イオンの放出量が過大であ
り、一定量の銀イオン濃度に継続的に維持することは無
理である。塗料や合成樹脂に添加した場合、汚染や変色
が著しいと言う問題が生じる。 【0011】本発明者はこのような従来の抗菌剤の問題
を研究した結果、従来抗菌剤として利用されていなかっ
た酸化銀を抗菌剤に利用できることを見出だした。 【0012】酸化銀の溶解性は5.7×10-5モル/L
(18℃)であるので、僅かの溶解量で一定に保たれる
ので、銀イオンを一定に管理することができる。例えば
銀イオンを長期間に亘って50ppb 以下に維持すること
が可能である。 【0013】また、本発明者は先に噴霧乾燥技術を利用
することにより1μm以下の粒径の酸化銀を製造できる
ことを見出だした。そして、これをカプセル化して抗菌
剤として使用することを特願平5−32825号におい
て提案した。しかし、酸化銀は熱に不安定な化合物であ
り、熱によって激しく反応して酸素を放出する傾向があ
る。このため、この抗菌剤は熱がかからないものに利用
する場合(例えば水処理)は何ら問題がないが、この抗
菌剤を熱がかかるものに利用すると不安定であることが
分かった。 【0014】本発明者のその後の研究によれば、後で参
考例として説明するように、1μm以下の粒径の酸化銀
は特に熱に不安定であり、熱によって激しく酸素を放出
し、数百μm以上の金属銀の塊に焼結する。また、その
抗菌性の変化も著しいものがあり、表1に示す如く黄色
ブドウ球菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)8ppm
の酸化銀が250℃の熱処理によって、MICが200
0ppm に低下した。このように、酸化銀そのままでは抗
菌剤として広い分野での安定した使用が困難であること
が分かった。 【0015】 【発明の目的】本発明の目的は、上述したような従来の
問題点を解決することであり、また、前述した本発明者
の研究開発における問題点を解決することである。本発
明の目的は銀イオンの放出量が適当であり、しかも一定
量の銀イオン濃度で長期間に亘って継続的に銀イオンを
放出できるような抗菌剤を提供することである。また、
本発明の他の目的は熱がかかっても激しい反応を起こさ
ないような抗菌剤を提供することである。更に、高温の
熱がかかっても安定な抗菌剤を提供することである。塗
料や合成樹脂に添加しても汚染や変色が殆どない抗菌粉
粒体を提供することである。また、このような抗菌粉粒
体を比較的安価に且つ容易に製造できるような製造方法
を提供することをも目的とする。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、酸化銀
もしくは銀の微細結晶がシリカの粒子に混合状態で固定
された40μm以下の粉粒体、または同粉粒体であって
該粉粒体の組成は酸化銀もしくは銀が1〜95wt%で、
シリカが5〜99wt%である抗菌粉粒体を水不溶性の多
孔質無機化合物からなるマイクロカプセルにより包んだ
抗菌粉粒体によって上記課題を達成する。 【0017】また、請求項6の本発明の抗菌粉粒体の製
造方法によれば、 (イ)シリカゾルと硝酸銀水溶液を混合攪拌する第一工
程、 (ロ)前記第一工程で得られた液に、水酸化ナトリウム
水溶液を混合攪拌してシリカゾルと酸化銀よりなるコロ
イド液とする第二工程、 (ハ)前記第二工程で得られたコロイド液を噴霧乾燥に
より粉粒体とする第三工程とからなることを特徴とす
る。 【0018】請求項7の本発明の方法によれば、前述の
ようにして得られた粉粒体を更に熱処理して酸化銀を銀
に還元する。 【0019】更に、請求項9の本発明の方法によれば、
前述のようにして得られた粉粒体を界面反応法により水
に不溶性の無機化合物からなるマイクロカプセル内に内
包させる。 【0020】或いは、請求項11の本発明の方法によれ
ば、噴霧乾燥により粉粒体とすることなく、シリカゾル
と硝酸銀水溶液を混合し、更にアルカリ水溶液を加えて
スラリーとし、これを界面反応法を利用してマイクロカ
プセル化する。 【0021】また、請求項10および請求項12はそれ
ぞれ請求項9および請求項11により得られた固形分を
更に熱処理して酸化銀を銀に還元する。 【0022】本発明に用いるシリカゾルとしては、粒子
径が5nm〜20nmのシリカ超微粒子をコロイド溶液
にしたものを使用する。シリカの粒子径は10〜20n
mより5〜7nmの方が固着力は強固になるが、本発明
には粒子径を特に特定するものでなく、PHがアルカリ
で安定なシリカゾルが好ましい。シリカゾルと酸化銀の
比率は、シリカとして5%以下では熱がかかった際の焼
結防止が不充分であり、本発明には適さない。また、酸
化銀が1%以下になると抗菌効果が低下し抗菌剤として
少量添加を目的とする抗菌組成物として実用性に乏し
い。 【0023】一般に市販されているシリカゾルにおいて
は、シリカ固形分20〜40%、酸化ナトリウム0.0
1%〜0.6%、粒子径5〜20nm等のものが使用さ
れる。市販されているシリカゾルとしては日産化学工業
株式会社製品のスノーテックス−20(シリカ固形分2
0%、酸化ナトリウム0.1〜0.35%、粒子径10
〜20nm)、スノーテックス−30(シリカ固形分3
0%、酸化ナトリウム0.2〜0.6%、粒子径10〜
20nm)、スノーテックス−40(シリカ固形分40
%、酸化ナトリウム0.3〜0.6%、粒子径10〜2
0nm)、スノーテックス−S(シリカ固形分30%、
酸化ナトリウム0.2〜0.6%、粒子径7〜9n
m)、スノーテックス−XS(シリカ固形分20%、酸
化ナトリウム0.3〜0.6%、粒子径4〜6nm)等
がある。 【0024】本発明において、噴霧乾燥により抗菌粉粒
体を製造するに際して市販のシリカゾルを使用する場合
は、そのまま使用するとシリカ濃度が濃過ぎて噴霧し難
いので、シリカゾルを水で希釈して使用する。 【0025】また、噴霧乾燥により粉粒体とすることな
く、シリカゾルと硝酸銀水溶液を混合し、更にアルカリ
水溶液を加えてスラリーとし、これを界面反応法を利用
してマイクロカプセル化する場合は、濃度の高いシリカ
ゾルを使用する。好ましくは、シリカ固形分が40%以
上である。 【0026】酸化銀のゾルを得るには、硝酸銀の10%
程度の水溶液をシリカゾルに混合して1〜3時間攪拌
し、次いでアルカリ水溶液を攪拌注入して1〜3時間攪
拌する。アルカリ水溶液として、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、アンモニアを用いると、水酸化銀を経て
酸化銀となる。アルカリ水溶液として炭酸ナトリウム、
炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アン
モニウムを用いて、炭酸銀を経て酸化銀にしてもよい。
また、燐酸ナトリウム、燐酸水素2ナトリウム、燐酸2
水素ナトリウム、燐酸アンモニウム、燐酸水素2アンモ
ニウム、燐酸2水素アンモニウムを用いて燐酸銀を経て
酸化銀としてもよい。 【0027】コロイドの安定性を高めるために保護コロ
イド物質としてPVAなどを例えば0.001〜0.1
%程度添加してもよい。 【0028】噴霧乾燥により本発明の粉粒体を製造する
と、組成物中のシリカ成分が10%前後の場合は、サブ
ミクロン(1μm以下)の酸化銀の微細結晶がシリカ成
分によって鎖状の連結をなしている。これは攪拌等によ
り力が加わるとシリカ成分による連結が切れて、より微
細な粉末になる。 【0029】組成物中のシリカ成分が多くなると、サブ
ミクロンの酸化銀の微細結晶がシリカ粒子に取囲まれ、
シリカ粒子同士が連結し、全体としてドーナツ型の粉粒
体(図3および図4参照)となり、粒子径は2〜40μ
mとなる。 【0030】噴霧乾燥としては通常のスプレードライヤ
を使用できる。例えば、アンハイドロ社のコンパクトス
プレードライヤーで、噴霧条件はノズル回転数25,0
00rpm 、内部温度180℃、出口温度90℃で噴霧量
250cc/min とする。 【0031】本発明における熱処理とは酸化銀を銀に還
元するために行うものであり、通常は200℃位で酸化
銀は還元するが、本発明の酸化銀は1μm以下の微細結
晶であるので120〜130℃位から銀に還元する。熱
処理には温度と時間が関連し、粉粒体が乾燥状態であれ
ば数分〜数十分で還元するが、処理物の量が多かった
り、濡れた状態であったりすると、均一に還元するには
180℃以上で、1時間以上の熱処理であることが好ま
しい。また、カプセル化する場合は固形分を洗浄し、乾
燥する際に乾燥条件を適宜選定することにより、この熱
処理を兼ねさせることもできる。 【0032】また、酸化銀は濃い褐色であり、銀も濃い
色であるので、本発明によれば、酸化銀とシリカまたは
銀とシリカからなる抗菌粉粒体(抗菌剤)をマイクロカ
プセル化して白色の微粉末にすることができる。生成さ
れるマイクロカプセルの大きさは芯物質となる抗菌剤の
大きさに影響されるので、小径のマイクロカプセルを得
るにはできるだけ小径の抗菌剤を使用すること好まし
い。好ましくは1μm以下の抗菌剤を芯物質として用い
る。 【0033】本発明によれば、マイクロカプセル化する
に際しては界面反応法で行う。界面反応法によるとカプ
セルはエマルジョンの泡の内部に向かって成長するの
で、カプセルの粒径をコントロールできる。 【0034】界面反応法においては、カプセル化の第一
工程として、まず抗菌剤(すなわち、酸化銀とシリカま
たは銀とシリカからなる抗菌粉粒体)をアルカリ金属水
酸化物の水溶液に添加してスラリーとすることにより、
抗菌剤の前記水溶液中での分散性を向上させ、最終的に
は抗菌剤を多孔質無機化合物でカプセル化できる。 【0035】アルカリ金属の水酸化化合物としては、例
えば苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化リチウム等の水溶液
を用い、その水溶液におけるアルカリ金属の水酸化化合
物の濃度は0.1〜10%が用いられ、好ましくは0.
2〜3%程度である。得られるスラリーにおける抗菌剤
の濃度は20〜60wt%、好ましくは50〜60wt%程
度となるようにする。 【0036】次に第二工程おいて、前記スラリーをアル
カリ金属の珪酸塩水溶液に攪拌添加して分散液とする。
この際、分散液における抗菌剤の濃度が10〜50重量
%程度となるようにする。アルカリ金属の珪酸塩として
は、ナトリウム、リチウム、カリウム等の珪酸塩が使用
できる。この珪酸塩の添加量はSiO2 に換算して2〜
6.5モル/Lが適当である。 【0037】そして、上記分散液に、水に対する溶解度
が7%以下の有機溶媒を混合して、W/O型のエマルジ
ョンとする。この際の有機溶媒としては、例えば、下記
のものが挙げられる。 【0038】《脂肪族炭化水素類》n−ヘキサン、イソ
ヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタ
ン、イソオクタン、ガソリン、石油エーテル、灯油、ベ
ンジン、ミネラルスピリット等 《脂環式炭化水素類》シクロペンタン、シクロヘキサ
ン、シクロヘキセン、シクロノナン等 《芳香族炭化水素類》ベンゼン、トルエン、キシレン、
エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、メシチレ
ン、テトラリン、スチレン等 《エーテル類》プロピルエーテル、イソプロピルエーテ
ル等 《ハロゲン化炭化水素類》塩化メチレン、クロロフォル
ム、塩化エチレン、トリクロロエタン、トリクロロエチ
レン等 《エステル類》酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸
イソプロピル、酢酸−n−アミル、酢酸イソアミル、乳
酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、
酪酸メチル等 この際に用いる有機溶媒としては、水に対する溶解度が
7%以下のものを使用する。7%より大きいものを使用
するとエマルジョンが良好(均一)なものにならないの
で望ましくない。 【0039】上記例示した有機溶媒の1種または2種以
上を、上述の如く第二工程で得られた分散液に混合して
エマルジョンとする。なお、これらの有機溶媒には約1
0重量%までのアルコール類が混在していても差し支え
ない。有機溶媒の使用量は、得られるエマルジョンがW
/O型となる限り特に限定されないが、通常エマルジョ
ンの50wt%以上、好ましくは70〜80wt%とするの
がよい。 【0040】エマルジョンとする方法は、攪拌方法、震
とう法等の常法によればよい。エマルジョン化に際して
は公知の乳化剤を添加すればよい。乳化剤としては好ま
しくはHLBが3.5〜6.0の範囲にある非イオン性
界面活性剤が使用できる。これを例示すれば次のものが
ある。 【0041】ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ
ート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、
ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシ
エチレン高級アルコールエーテル系、ポリオキシエチレ
ン脂肪酸エステル系、グリセリン脂肪酸エステル系、ポ
リオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル系等。 【0042】これらの乳化剤は、有機溶媒に対して10
wt%以下、好ましくは0.01〜3wt%の範囲で使用す
る。 【0043】次いで第四工程として、上記第三工程で得
られたW/O型エマルジョンに、上記アルカリ金属の珪
酸塩を不溶化し得る化合物の水溶液を加えて、20〜3
0分攪拌して反応させる。この反応は抗菌剤およびアル
カリ金属珪酸塩を含む水溶液と前記不溶化化合物を含む
水溶液とをエマルジョン中で反応させることであり、界
面反応となり、抗菌剤の周囲で反応が進んで、抗菌剤の
周囲に不溶化した無機化合物が析出して、多孔質無機カ
プセルが形成される。なお、多孔質無機カプセルの大き
さはエマルジョン中の水系の小滴(泡)の大きさに影響
されるので、エマルジョン中の小滴の大きさが均一で且
つ極めて小さく(好ましくは2μm以下)なるように攪
拌速度、攪拌時間、乳化剤等を適宜選定すればよい。 【0044】上記アルカリ金属珪酸塩を不溶化し得る化
合物の水溶液としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素
カリウム、炭酸水素アンモニウム、塩化カルシウム、塩
化マグネシウム、塩化バリウム等が使用できる。 【0045】次いで、抗菌剤の周囲に無機化合物が析出
したものを、常法により濾過、洗浄、乾燥する。 【0046】この第一の界面反応方法で得られるカプセ
ル自体(皮膜物質、カプセルの容器部分)は次のような
ものである。 (イ)サイズ(粒径) 0.05〜2.0μm (ロ)カプセルの膜厚 0.02〜0.5μm (ハ)多孔性(全体) 0.1〜5cc/g (ニ)カプセル壁の空孔径 20〜20,000オング
ストローム (ホ)空隙率(嵩密度) 0.1〜5cc/g (ヘ)平均細孔半径 20〜20,000オング
ストローム 上記反応で生成され、カプセルの皮膜物質を形成する多
孔質無機化合物は、次のようなものである。 【0047】珪酸、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウ
ム、珪酸カリウム、珪酸バリウム。 【0048】多孔質無機カプセルにおける内包率(すな
わち、カプセル全体の重量に対する芯物質の割合)が8
0%以上になると、包んでいる多孔質無機化合物が20
%以下となり、その厚さが薄いので合成樹脂に混合した
場合のカプセルによる隠蔽効果が低下する。また内包率
が10%以下になると、多孔質無機化合物が90%以上
となり、厚さが厚くて銀イオンの拡散に抵抗が大となり
抗菌効果が低下する。 【0049】多孔質無機化合物としては、珪酸の場合は
やや透明性がありプラスチックに添加してなじみがよ
い。珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸バリウ
ム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム
の場合は隠蔽性が優れている。 【0050】 【作用】シリカゾルの状態で硝酸銀を吸着させて、次い
で苛性ソーダ水溶液を添加して酸化銀としたコロイド液
を作成して、このコロイド液を噴霧乾燥によって固化す
るので、酸化銀がサブミクロンの微細結晶であり、しか
も、酸化銀はしっかりとシリカ成分に混合固定されてい
て剥離脱落することがない。 【0051】シリカゾルと酸化銀よりなるコロイド液で
酸化銀の担持を行うので、組成物中の酸化銀の担持は最
高95wt%の高濃度の担持ができる。本発明は、酸化銀
の高濃度の固定が可能であり、従来技術より少量の使用
で抗菌の目的が達成される。従って水処理用の抗菌剤設
備ではハウジングが小型になり経済的である。 【0052】酸化銀は熱によって銀に還元されるが、本
発明によればシリカ粒子に酸化銀の微細結晶を混合固定
することによって、還元時に銀が焼結しなくなる。その
結果、1μm以下の微細結晶の銀を保つことができる。
この状態での抗菌効果は表1に示すように優れた抗菌レ
ベルである。 【0053】更に、抗菌粉粒体を、水不溶性の多孔質無
機カプセルに内包することによって、塗料や合成樹脂等
に添加した場合に、酸化銀または銀と合成樹脂等とが直
接接触することがなく、しかも僅かな銀イオンの放出に
調節されるので、着色汚染や変色が生じない。しても全
く着色汚染や変色することがない。 【0054】本発明によるシリカゾルと酸化銀よりなる
コロイド液を噴霧乾燥して得た粉粒体は、サブミクロン
の微細粒子で安定化することが可能である。従って、多
孔質無機カプセルの粒子径を2μmより小さくすること
ができる。 【0055】 【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明の理解を容易にするため、最初に酸化銀のみ
の場合を参考例として説明する。 【0056】 【参考例1】硝酸銀400gを3L(リットル)の水に
溶解して、この硝酸銀水溶液に、水酸化ナトリウム10
0gを1Lの水に溶解した溶液を注入して2時間攪拌し
た。該液をアンハイドロ社製のコンパクト型スプレード
ライヤーにより250cc/min の噴霧量で200℃の雰
囲気中に噴霧乾燥して褐色の粉粒体A−1を得た。該粉
粒体の電子顕微鏡写真(30,000倍)を図1に示
す。この粉粒体A−1のX線回析計による成分の分析結
果を図9に示す。図9からこの粉粒体A−1が酸化銀で
あることが明らかである。 【0057】 【参考例2】前記A−1の粉粒体を200℃で1時間熱
処理して粉粒体A−2を得た。その電子顕微鏡写真
(1,000倍)を図2に示す。この粉粒体A−2のX
線回析計による成分の分析結果を図10に示す。図10
からこの粉粒体A−1が銀であることが明らかである。 【0058】 【実施例1】硝酸銀366gを3Lの水に溶解し、この
硝酸銀水溶液を、スノーテックス−20(シリカゾル:
固形分20wt% 日産化学工業株式会社製品)1500
gに水を加えて3Lとした液に混合し、2時間攪拌し
た。次いで、水酸化ナトリウム92gを1Lの水に溶解
した溶液を前記混合液に注入して2時間攪拌した。該液
をアンハイドロ社製のコンパクト型スプレードライヤー
により250cc/min の噴霧量で200℃の雰囲気に噴
霧乾燥して褐色の粉粒体B−1を得た。 【0059】得られた粉粒体B−1の通常の電子顕微鏡
写真(5,000倍)を図3に示す。更に、上記粉粒体
を直接電子顕微鏡写真にとると、銀成分が光っており、
この粉粒体では酸化銀の微細結晶がシリカの粒子に混合
状態で固定されていることが確認された。この粉粒体B
−1のX線回析計による成分の分析結果を図11に示
す。図11からも明らかなように、この粉粒体B−1中
においてシリカにより固定されているものは酸化銀であ
る。この組成物中の酸化銀の割合は計算によれば約45
wt%である。 【0060】 【実施例2】前記実施例1で得られた粉粒体B−1を2
00℃で1時間熱処理して、粉粒体B−2を得た。その
電子顕微鏡写真(5,000倍)を図4に示す。この粉
粒体B−2のX線回析計による成分の分析結果を図12
に示す。図12から明らかなように、この粉粒体B−2
中においてシリカにより固定されているものは銀であ
る。 【0061】以上の参考例1および2、実施例1および
2のX線回析計による成分の分析結果から、熱処理を行
ってない場合は酸化銀であり、酸化銀を200℃で1時
間の熱処理を行った場合には100%銀に還元されてい
ることが確認された。 【0062】 【実施例3】スノーテックス−20(シリカゾル:固形
分20%、日産化学工業株式会社製品)246gを水で
2倍に希釈した。このシリカゾル希釈液に、硝酸銀60
0gを6Lの水に溶解した溶液を攪拌注入して2時間攪
拌した。次いで水酸化ナトリウム140gとポリビニー
ルアルコール10gを3Lの水に溶解した溶液を注入し
て2時間攪拌した。該液をアンハイドロ社製のコンパク
ト型スプレードライヤーにより250cc/min の噴霧量
で200℃の雰囲気に噴霧乾燥して褐色の粉粒体D−1
を得た。該粉粒体の電子顕微鏡写真(1,000倍)を
図5に示す。この組成物中の酸化銀の割合は計算によれ
ば約90wt%である。 【0063】 【実施例4】前記実施例3で得られた粉粒体D−1を2
00℃で1時間熱処理して、粉粒体D−2を得た。その
電子顕微鏡写真(1,000倍)を図6に示す。 【0064】 【実施例5】前記実施例3で得られたD−1の粉粒体4
0gを、水40gに水酸化ナトリウム0.2gを溶解し
た液に加えてスラリーとした。次いで、このスラリーを
珪酸ソーダ(6.5モル/L)180ccに攪拌添加して
超音波にて2分間処理して分散性を良くした。この分散
液にポリオキシエチレンソルビタントリオレエート15
g/Lを含むノルマルヘキサンとシクロヘキサンの1:
1の混合液600ccを加えて、6000rpm で1分間攪
拌してW/O型のエマルジョンを得た。このW/O型の
エマルジョンに、炭酸水素アンモニウム(1.5モル/
L)1Lを混合して30分間常温で攪拌して多孔質カプ
セルを生成した。次いで濾過し、水洗、エタノール洗浄
を行い、80℃で12時間乾燥して、約80gの白色の
粉粒体EL−1を得た。このようにして得られた多孔質
カプセル粉末は酸化銀が内包され、内包率は50%であ
る。この粉粒体EL−1の電子顕微鏡写真(20,00
0倍)を図7に示す。 【0065】得られた多孔質カプセル粉末の黄色ブドウ
球菌に対するMICは8ppm であった。 【0066】該多孔質カプセル粉末を2液水型アクリル
・エポキシ樹脂に2%添加して塗料とした。該塗料を塗
布したポリエステルプレート上に、黄色ブドウ球菌のブ
イヨン懸濁液を塗抹し37℃24時間培養後の生菌数を
計測した。比較の無加工試料の菌数が1.4×109
/mlに対して該塗料塗布試料では菌数はゼロであった。 【0067】 【実施例6】前記実施例5で得られた粉粒体EL−1を
200℃で1時間熱処理して、内包した酸化銀を銀に還
元した白色の粉粒体EL−2を得た。その電子顕微鏡写
真(20,000倍)を図8に示す。 【0068】この粉粒体の黄色ブドウ球菌に対するMI
Cは16ppm であった。 【0069】該多孔質カプセル粉末をポリエステルに2
%混合し、ポリエステルを260℃に加熱溶融して押出
し機により50mm×100mm×2mmの大きさのプラスチ
ック板を成型した。このポリエステル板は変色汚染や劣
化等の異常は全くなかった。該成型ポリエステル板に黄
色ブドウ球菌を5×104 の菌数を有するブイヨン懸濁
液を塗抹し、37℃24時間培養後の菌数を測定した結
果の菌数はゼロであり優れた抗菌効果が得られた。 【0070】以上説明した参考例1、2および実施例1
〜6によって得られた粉粒体について、黄色ブドウ球菌
に対する最小発育阻止濃度(MIC)の測定結果を表1
に示した。 【0071】 【表1】 以上の説明および表1から次のことが分かる。図1から
明らかなように、噴霧乾燥技術を利用することにより1
μm以下の粒径の酸化銀を製造できる。しかし、酸化銀
は熱に不安定な化合物であり、熱によって激しく反応し
て酸素を放出する傾向がある。このため、1μm以下の
粒径の酸化銀は特に熱に不安定であり、熱によって激し
く酸素を放出し、図2に示すように、数百μm以上の金
属銀の塊に焼結する。また、その抗菌性の変化も著しい
ものがあり、表1に示す如く黄色ブドウ球菌に対する最
小発育阻止濃度(MIC)8ppm の酸化銀が250℃の
熱処理によって、MICが2000ppm に低下した(実
用上からは、MIC値は好ましくは250ppm 以下であ
る)。このように、酸化銀そのままでは抗菌剤として広
い分野での安定した使用が困難であることが分かった。
これに対して、表1に示すように、本発明の抗菌粉粒体
は熱がかかっても激しい反応を起こさず、図3〜図8か
ら明らかなように、銀結晶の焼結がなく、表1に示すよ
うに抗菌性も大きいまま保持される。 【0072】 【実施例7】硝酸銀80gを1Lの水に溶解して、この
硝酸銀水溶液を、スノーテックス−20(シリカゾル:
固形分20wt% 日産化学工業株式会社製品)3000
gに水を加えて6Lとした液に混合し、2時間攪拌し
た。次いで、水酸化ナトリウム25gを1Lの水に溶解
した溶液を注入して2時間攪拌した。該液をアンハイド
ロ社製のコンパクト型スプレードライヤーにより250
cc/min の噴霧量で200℃の雰囲気中に噴霧乾燥して
粉粒体を得た。この粉粒体のMICは表2に示すよう
に、64ppm である。組成物中の酸化銀は計算によれば
約8wt%である。 【0073】 【実施例8】硝酸銀32gを1Lの水に溶解して、この
硝酸銀水溶液を、スノーテックス−20(シリカゾル:
固形分20wt% 日産化学工業株式会社製品)3000
gに水を加えて6Lとした液に混合し、2時間攪拌し
た。次いで、水酸化ナトリウム12gを1Lの水に溶解
した溶液を注入して2時間攪拌した。該液をアンハイド
ロ社製のコンパクト型スプレードライヤーにより250
cc/min の噴霧量で200℃の雰囲気に噴霧乾燥して粉
粒体を得た。この粉粒体のMICは表2に示すように、
125ppm であった。組成物中の酸化銀は計算によれば
約3.5wt%である。 【0074】 【実施例9】硝酸銀16gを1Lの水に溶解して、この
硝酸銀水溶液を、スノーテックス−20(シリカゾル:
固形分20wt% 日産化学工業株式会社製品)3000
gに水を加えて6Lとした液に混合し、2時間攪拌し
た。次いで、水酸化ナトリウム5gを1Lの水に溶解し
た溶液を注入して2時間攪拌した。該液をアンハイドロ
社製のコンパクト型スプレードライヤーにより250cc
/min の噴霧量で200℃の雰囲気に噴霧乾燥して粉粒
体を得た。この粉粒体のMICは表2に示すように、1
25ppm であった。組成物中の酸化銀は計算によれば約
1.7wt%である。 【0075】 【表2】 表2から明らかなように、本発明の粉粒体では酸化銀成
分が1%程度でも抗菌性が大である。 【0076】 【実施例10】スノーテックスS(シリカゾル:微粒子
タイプ、シリカ固形分30%)1200gに水を加えて
3Lとした。このシリカゾル希釈液に、硝酸銀40gを
1Lの水に溶解した溶液を注入して3時間攪拌した。次
いでアンモニア(20%)200gを2Lの水に希釈し
た溶液を前記シリカゾル−硝酸銀液に攪拌しながら注入
して、2時間ホモミキサーで高速攪拌を行って、シリカ
ゾルと酸化銀によるコロイド液を得た。該コロイド液を
アンハイドロ社製のコンパクト型スプレードライヤーに
より250cc/min の噴霧量で噴霧乾燥を行って平均粒
子径10μmの粒子径でドーナツ状をした酸化銀含有量
が約7%(計算値)の粉粒体を得た。該粉粒体の黄色ブ
ドウ球菌に対するMICは125ppm であった。 【0077】上記と同様にして製造した粉粒体50部、
アセテートフレーク40部、ブチロラクトン10部を混
合して不二パウダル株式会社製の造粒機デイスクペレッ
ターによって直径2mm、長さ10mmのペレットに加工し
た。15トンの工場内冷却水のストック水槽に用水配管
とは別にバイパス循環配水管をしてその途中に該ペレッ
ト1.5kgをカートリッジフィルター式に設け、ポンプ
により100L/minの水循環を行った。5日毎に水中
の菌数を測定して6ケ月継続した。6ケ月間に工場内冷
却水の配管の部分工事が2回行われ、2回とも工事直後
は新規パイプによる細菌汚染により一般細菌数が2×1
3 個/mLを示したが翌日からは一般細菌数をゼロに
保つことができた。 【0078】 【実施例11】スノーテックスS(シリカゾル:微粒子
タイプ、シリカ固形分30%)1393gに水を加えて
3Lとした。このシリカゾル希釈液に、硝酸銀40gを
1Lの水に溶解した溶液を注入して3時間攪拌した。次
いで水酸化ナトリウム30gを2Lの水に溶解した溶液
を前記シリカゾル−硝酸銀液に攪拌しながら注入して2
時間ホモミキサーで高速攪拌を行ってシリカゾルと酸化
銀によるコロイド液を得た。該コロイド液をアンハイド
ロ社製のコンパクト型スプレードライヤーにより250
cc/min の噴霧量で噴霧乾燥を行って平均粒子径10μ
mのドーナツ状をした粉粒体を得た。該粉粒体の黄色ブ
ドウ球菌に対するMICは64ppm であった。 【0079】該粉粒体を40メッシュの活性炭に1%混
合して家庭用浄水器に50g入れた。水に2週間浸漬し
た結果、通常の活性炭では一般細菌が5×103 個/m
Lであったが該粉粒体を用いた場合には菌数がゼロであ
り、水中の銀濃度は42ppbであった。 【0080】 【実施例12】硝酸銀12.6gに水を加えて20gの
水溶液とした。この硝酸銀水溶液をスノーテックス−5
0(シリカゾル:固形分50wt% 日産化学工業株式会
社製品)64gに添加して2時間攪拌をした。次いで水
酸化ナトリウム3gに水を加えて16gに溶解した溶液
を加えて全量を100gにして2時間攪拌した。該分散
液の銀成分は8%であり、シリカ成分は32%のスラリ
ー液である。該スラリー液100gを、珪酸ソーダ
(6.5モル/L)180ccに攪拌添加して超音波にて
2分間処理した。この分散液にポリオキシエチレンソル
ビタントリオレエート15g/Lを含むノルマルヘキサ
ンとシクロヘキサンの1:1の混合液600ccを加え
て、6000rpm で1分間攪拌してW/O型のエマルジ
ョンを得た。このW/O型のエマルジョンに、炭酸水素
アンモニウム(1.5モル/L)1Lを混合して30分
間常温で攪拌して多孔質カプセル包着の反応を行った。
次いで濾過し、水洗、エタノール洗浄を行い、80℃で
12時間乾燥して約80gの粉粒体を得た。このように
して得られた多孔質カプセル粉末は酸化銀が内包され内
包率は50%であり、粒子径が2μm以下の白色粉粒体
であった。 【0081】 【発明の効果】本発明により、銀イオンの放出量が適当
であり、しかも一定量の銀イオン濃度で長期間に亘って
継続的に銀イオンを放出でき、熱がかかっても激しい反
応を起こさず、或いは高温の熱がかかっても安定で、塗
料や合成樹脂に添加しても汚染や変色が殆どない抗菌粉
粒体、およびこのような抗菌粉粒体を比較的安価に且つ
容易に製造できる方法が提供される。 【0082】本発明の抗菌組成物の抗菌効果は半永久的
であり、人体に害がないばかりか医薬品としての用途も
期待される。下記の用途に長期に亘って防菌、防黴効果
を得ることができる。 【0083】1.合成繊維および再生繊維アセテートに
混合して抗菌繊維として次のような用途に適用される。
白衣、マスク、シーツ、ふきん、タオル、寝装、パンテ
ィストッキング、ソックス、ガーゼ、手袋、覆布、綿
棒、化粧綿、便座カバー、カーペット、フイルター、特
に病院用縫製品、衛生材料用品の抗菌対策として有効で
ある。 【0084】2.成型品、シート、フィルムに混合して
次のような用途に適用される。調理板、食器、容器類、
キャップ、パッキン、ボトル用貼着ラベル、食品用フィ
ルム、スリッパ、歯ブラシ、コンドーム、塩ビおよびラ
テックス手袋、浴場マット、洗い用スポンジ、水殺菌用
ペレットとして工業用水や水泳用プールの水処理、食品
保存剤、化粧用パフ等の抗菌付与に有効である。 【0085】3.紙、不織布に加工して次の用途に適用
される。防菌防黴壁紙、壁クロス、不織布に含ませてア
クネ菌を除去するアクネパット、不織布に含ませたウェ
ットティッシュ、防菌髪カバーに有効である。 【0086】4.塗料に混合して防菌防黴塗料として下
記に有効である。抗菌性の床塗料、壁塗料、床ワック
ス、水槽塗料、クーリングタワーの防藻塗料、ドレンパ
ンの抗菌塗料、加湿器の除菌塗料、水配管内部の除菌塗
料、医療用被覆材。 【0087】5.クッション材に加工してベッド用抗菌
マットに有効である。 【0088】6.活性炭に加工して浄水用抗菌活性炭に
有効である。 【0089】7.抗菌ハミガキ、防臭デオドラントに有
効である。 【0090】8.エマルジョン、またはワックスに添加
して、皮膚病の医薬品、熱症用医薬品に効果がある。 【0091】9.植栽用培地および水耕栽培に添加して
殺菌に効果がある。 【0092】10.本発明による抗菌組成物は、MRS
A等による院内感染防止に有効であり、更に、食品工場
や医薬品工場におけるクリンルームの除菌素材としても
有効である。 【0093】11.本発明の抗菌組成物をエマルジョ
ン、またはワックスに添加してアトピー性皮膚病の治療
薬として有効であり、また熱傷の治療薬としても皮膚に
ケロイドが残らず有効である。 【0094】12.本発明の抗菌組成物は、従来から用
いられている有機化合物による抗菌剤と異なって、界面
活性剤によって抗菌の不活性化を招くことがないので、
石鹸に添加して抗菌制を有する石鹸を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】参考例1により得られた粉粒体A−1の電子顕
微鏡写真(30,000倍)である。 【図2】参考例2により得られた粉粒体A−2の電子顕
微鏡写真(1,000倍)である。 【図3】本発明の実施例1により得られた粉粒体B−1
の電子顕微鏡写真(5,000倍)である。 【図4】本発明の実施例2で得られた粉粒体B−2の電
子顕微鏡写真(5,000倍)である。 【図5】本発明の実施例3により得られた粉粒体D−1
の電子顕微鏡写真(1,000倍)である。 【図6】本発明の実施例4で得られた粉粒体D−2の電
子顕微鏡写真(1,000倍)である。 【図7】本発明の実施例5により得られた粉粒体EL−
1の電子顕微鏡写真(20,000倍)である。 【図8】本発明の実施例6で得られた粉粒体EL−2の
電子顕微鏡写真(20,000倍)である。 【図9】参考例1によって得られた粉粒体A−1のX線
回析による成分の分析結果を示す図である。 【図10】参考例2により得られたサンプルA−2のX
線回析による成分の分析結果を示す図である。 【図11】本発明の実施例1により得られた粉粒体B−
1のX線回析による成分の分析結果を示す図である。 【図12】本発明の実施例2による粉粒体B−2のX線
回析による成分の分析結果を示す図である。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 酸化銀の微細結晶がシリカの粒子に混合
    状態で固定された40μm以下の粉粒体であり、該粉粒
    体が水不溶性の多孔質無機化合物からなるカプセルに内
    包されていることを特徴とする抗菌粉粒体。 【請求項2 酸化銀の微細結晶がシリカの粒子に混合
    状態で固定された40μm以下の粉粒体であり、該粉粒
    体の組成は酸化銀が1〜95wt%で、シリカが5〜99
    wt%であり、該粉粒体が水不溶性の多孔質無機化合物か
    らなるカプセルに内包されていることを特徴とする抗菌
    粉粒体。 【請求項3 銀の微細結晶がシリカの粒子に混合状態
    で固定された40μm以下の粉粒体であり、該粉粒体が
    水不溶性の多孔質無機化合物からなるカプセルに内包さ
    れていることを特徴とする抗菌粉粒体。 【請求項4 銀の微細結晶がシリカの粒子に混合状態
    で固定された40μm以下の粉粒体であり、該粉粒体の
    組成は銀が1〜95wt%で、シリカが5〜99wt%であ
    り、該粉粒体が水不溶性の多孔質無機化合物からなるカ
    プセルに内包されていることを特徴とする抗菌粉粒体。 【請求項5】 前記多孔質無機化合物が、珪酸、珪酸マ
    グネシウム、珪酸カルシウム、珪酸バリウム、酸化アル
    ミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムより選ばれた
    1種または2種であることを特徴とする請求項1、2、
    3または4記載の抗菌粉粒体。 【請求項6】(イ)シリカゾルと硝酸銀水溶液を混合攪
    拌する第一工程、 (ロ)前記第一工程で得られた液に、アルカリ水溶液を
    混合攪拌してシリカゾルと酸化銀よりなるコロイド液と
    する第二工程、 (ハ)前記第二工程で得られたコロイド液を噴霧乾燥に
    より粉粒体とする第三工程とからなることを特徴とする
    抗菌粉粒体の製造方法。 【請求項7】(イ)シリカゾルと硝酸銀水溶液を混合攪
    拌する第一工程、 (ロ)前記第一工程で得られた液に、アルカリ水溶液を
    混合攪拌してシリカゾルと酸化銀よりなるコロイド液と
    する第二工程、 (ハ)前記第二工程で得られたコロイド液を噴霧乾燥に
    より粉粒体とする第三工程、 (ニ)前記抗菌粉粒体に熱処理を行って、酸化銀を銀に
    還元する第四工程とからなることを特徴とする抗菌粉粒
    体の製造方法。 【請求項8】 熱処理温度が120℃以上であることを
    特徴とする請求項7記載の抗菌粉粒体の製造方法。 【請求項9】(イ)請求項6、7または8の方法で得ら
    れた抗菌粉粒体を、アルカリ金属の水酸化化合物水溶液
    を用いてスラリーにする第一工程、 (ロ)前記第一工程で得られたスラリーを、アルカリ金
    属の珪酸塩の水溶液に添加する第二工程、 (ハ)前記第二工程で得られた分散液に、水に対する溶
    解度が7%以下の有機溶媒を配合してW/O型のエマル
    ジョンとする第三工程、 (ニ)前記第三工程で得られたW/O型のエマルジョン
    に、前記アルカリ金属珪酸塩を不溶化し得る水溶液を加
    えて攪拌し、微多孔粒子を生成する第四工程とからなる
    ことを特徴とする抗菌粉粒体の製造方法。 【請求項10】(イ)請求項6の方法で得られた抗菌粉
    粒体を、アルカリ金属の水酸化化合物水溶液を用いてス
    ラリーにする第一工程、 (ロ)前記第一工程で得られたスラリーを、アルカリ金
    属の珪酸塩の水溶液に添加する第二工程、 (ハ)前記第二工程で得られた分散液に、水に対する溶
    解度が7%以下の有機溶媒を配合してW/O型のエマル
    ジョンとする第三工程、 (ニ)前記第三工程で得られたW/O型のエマルジョン
    に、前記アルカリ金属珪酸塩を不溶化し得る水溶液を加
    えて攪拌し、微多孔粒子を生成する第四工程、 (ホ)前記第四工程で得られた固形分を熱処理を行っ
    て、酸化銀を銀に還元する第五工程とからなることを特
    徴とする抗菌粉粒体の製造方法。 【請求項11】(イ)シリカゾルと硝酸銀水溶液を混合
    攪拌する第一工程、 (ロ)前記第一工程で得られた液に、アルカリ水溶液を
    混合攪拌してシリカゾルと酸化銀よりなるスラリーとす
    る第二工程、 (ハ)前記第二工程で得られたスラリーを、アルカリ金
    属の珪酸塩の水溶液に添加する第三工程、 (ニ)前記第三工程で得られた分散液に、水に対する溶
    解度が7%以下の有機溶媒を配合してW/O型のエマル
    ジョンとする第四工程、 (ホ)前記第四工程で得られたW/O型のエマルジョン
    に、前記アルカリ金属珪酸塩を不溶化し得る水溶液を加
    えて攪拌し、微多孔粒子を生成する第五工程とからなる
    ことを特徴とする抗菌粉粒体の製造方法。 【請求項12】(イ)シリカゾルと硝酸銀水溶液を混合
    攪拌する第一工程、 (ロ)前記第一工程で得られた液に、アルカリ水溶液を
    混合攪拌してシリカゾルと酸化銀よりなるスラリー液と
    する第二工程、 (ハ)前記第二工程で得られたスラリーを、アルカリ金
    属の珪酸塩の水溶液に添加する第三工程、 (ニ)前記第三工程で得られた分散液に、水に対する溶
    解度が7%以下の有機溶媒を配合してW/O型のエマル
    ジョンとする第四工程、 (ホ)前記第四工程で得られたW/O型のエマルジョン
    に、前記アルカリ金属珪酸塩を不溶化し得る水溶液を加
    えて攪拌し、微多孔粒子を生成する第五工程、 (ヘ)前記第五工程で得られた固形分を熱処理すること
    を特徴とする抗菌粉粒体の製造方法。 【請求項13】 前記熱処理温度が120℃以上である
    ことを特徴とする請求項12記載の抗菌粉粒体の製造方
    法。
JP5200104A 1993-07-19 1993-07-19 抗菌粉粒体およびその製造方法 Expired - Lifetime JP2700523B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5200104A JP2700523B2 (ja) 1993-07-19 1993-07-19 抗菌粉粒体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5200104A JP2700523B2 (ja) 1993-07-19 1993-07-19 抗菌粉粒体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0733617A JPH0733617A (ja) 1995-02-03
JP2700523B2 true JP2700523B2 (ja) 1998-01-21

Family

ID=16418907

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5200104A Expired - Lifetime JP2700523B2 (ja) 1993-07-19 1993-07-19 抗菌粉粒体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2700523B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6332293B1 (en) * 1997-02-28 2001-12-25 Milliken & Company Floor mat having antimicrobial characteristics
DE19936059A1 (de) 1999-07-30 2001-02-01 J Peter Guggenbichler Verfahren zur Herstellung von antimikrobiellen Kunststoffkörpern
DE10120802A1 (de) * 2001-04-27 2002-10-31 Basf Ag Verfahren zur Herstellung von gecoateten Nanopartikeln
KR20040085417A (ko) * 2003-03-31 2004-10-08 주식회사 엘지생활건강 섬유유연제 조성물
US20090214606A1 (en) * 2005-05-10 2009-08-27 Patrice Bujard Antimicrobial porous silicon oxide particles
KR100693333B1 (ko) * 2005-08-22 2007-03-09 구창모 실리카로 캡슐화된 은나노 입자, 그의 제조방법 및 이를이용한 직물의 염색방법
KR100806915B1 (ko) * 2006-10-10 2008-02-22 요업기술원 은이 코팅된 실리카와 그 제조방법 및 이를 이용한 제품
JP5189320B2 (ja) * 2007-06-19 2013-04-24 高砂熱学工業株式会社 抗菌剤微粒子の製造方法、抗菌用塗料及び抗菌熱交換器
CN102326585B (zh) * 2011-07-04 2013-06-12 四川大学 一种缓释型AgO微胶囊抗菌剂及其制备方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0381209A (ja) * 1989-05-18 1991-04-05 Fuji Debuison Kagaku Kk 抗菌剤及び抗菌性フイルム
JPH0751486B2 (ja) * 1989-12-21 1995-06-05 ラサ工業株式会社 脱臭性能を有する抗菌剤とその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0733617A (ja) 1995-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5057701B2 (ja) 封入物を有する連通多孔構造体の製法
CN1331400C (zh) 复合光触媒抗菌剂的制备方法
EP1458472B1 (en) Method of preparing functional microcapsule incorporating silver nanoparticles
JP2700523B2 (ja) 抗菌粉粒体およびその製造方法
JPS6323960A (ja) 非晶質アルミノ珪酸塩粒子を含有する高分子体及びその製造方法
JPH01316303A (ja) 水系殺菌材
JPH03252308A (ja) シリカゲルを母体とした抗菌性組生物
KR100924914B1 (ko) 천연식물 추출물 함유 서방성 과립체 및 그 제조방법
CN108588883B (zh) 石墨烯纤维及制备方法和制品
KR20090131847A (ko) 항균성 고분자 및 그 제조방법
CN109907039A (zh) 一种纳米复配型抗菌粉体材料的制备方法
Liu et al. Controllable fabrication of hollow TiO2 spheres as sustained release drug carrier
KR100587465B1 (ko) 은 담지 무기계 항균제 및 이를 함유한 열가소성 수지 마스터배치
KR100539685B1 (ko) 천연항균 및 치유기능을 갖는 축열 복합 마이크로캡슐 및그제조방법
EP3160635B1 (en) Process for preparing antimicrobial microcapsules
CA2089611A1 (en) Antibacterial porous inorganic capsule and a process for producing the same
JPH06228469A (ja) 防菌防かび性表面処理剤組成物
CN109354935A (zh) 一种耐污防霉硅藻泥涂料及其制备方法
KR100478477B1 (ko) 은 나노입자가 고착된 기능성 마이크로캡슐의 제조방법
JPH07256025A (ja) エアーフイルター
JP7148934B2 (ja) 機能性成分含浸ゾノトライト中空体
CA2636812A1 (en) Enveloping membrane for discharging an enclosed agent, a method for the production thereof and the use thereof
JP4364357B2 (ja) 水の改質部材
JP2002285468A (ja) 光触媒加工繊維
JP3386862B2 (ja) 吸着性組成物およびその製造法