JP5057701B2 - 封入物を有する連通多孔構造体の製法 - Google Patents

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Description

本発明は、封入物を有する連通多孔構造体の製法に関する。
従来、表面に連通する多数の孔を有する連通多孔構造体を用い、これに様々な機能や特性等を付与した構造体が開発されている。すなわち、連通多孔構造体を骨格として他の物質の担持や、気孔への封入等が行われている。例えば、活性炭の吸着速度を高くすると共に、吸着容量を大きくするための吸着材がある(特許文献1参照)。特許文献1の吸着材によると、椰子殻ハスクを成形して得られた多孔性シートの表面及び内部組織の外気との接触面にバインダー層が形成され、前記のバインダー層に活性炭粒子が接着されたものであり、活性炭粒子表面は一部が露出された状態で保持されている。
また、熱伝導率を低減して断熱性能を向上させるための複合多孔体がある(特許文献2参照)。特許文献2の複合多孔体は連続気孔多孔体を構造骨格として用い、その連続気孔多孔体の気孔内に乾燥ゲルが連続相として充填され成型されたものである。
しかしながら、前出の吸着材は活性炭粒子表面がバインダーに被覆されているため、粒子表面の一部が露出しているものの、吸着機能が十分に発揮されないことが懸念される。また、連続気孔多孔体の気孔内に充填される湿潤ゲルを乾燥することにより複合多孔体を得るため、湿潤ゲルの形成方法が限定される。
加えて、従来の連通多孔構造体は孔の形態や大きさの高度な制御は極めて困難であり、孔径の分布も幅広いままであった。また、その製造方法に起因して、連通多孔構造体を構成する基材や封入物として用いることができる物質の選択の幅は極めて限定されており、連通多孔構造体に他の物質を封入あるいは担持させても、その機能が十分に発揮されていなかった。
特開平9−253188号公報 特開2002―275305号公報
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、連通多孔構造体の空洞部の形成並びにその制御を容易にすると共に、所望の物理的もしくは化学的特性を有する封入物を内包することにより、新規な機能発現を可能とした封入物を有する連通多孔構造体の製法を提供する。
すなわち、請求項の発明は、封入物の表面の全部又は一部を除去材としての水によって除去することが可能な水溶性物の被除去物で被覆した粒状の複合材を形成し、前記複合材を有機高分子化合物からなる基材内に混入し混入物を得て、前記混入物を所定形状の成形体に成形し、その後、前記被除去物を前記除去材としての水によって溶解除去し、前記成形体内部に該成形体の表面に連通する空洞部を形成すると共に前記空洞部に前記封入物を残留させて封入することを特徴とする封入物を有する連通多孔構造体の製法に係る。
請求項2の発明は、除去材として酵素によって除去することが可能な該酵素の基質となる被除去物の表面に封入物を被着して粒状の複合材を形成し、前記複合材を有機高分子化合物からなる基材内に混入して混入物を得て、前記混入物を所定形状の成形体に成形し、その後、前記除去材としての酵素によって前記被除去物を酵素分解により除去し、前記成形体内部に該成形体の表面に連通する空洞部を形成すると共に前記空洞部に前記封入物を残留させて封入することを特徴とする封入物を有する連通多孔構造体の製法に係る。
請求項の発明は、前記成形体の全体容積に対する前記複合材の容積割合が50%以上である請求項1または2に記載の封入物を有する連通多孔構造体の製法に係る。
請求項の発明は、前記成形体がフィルム又はシート状物である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の封入物を有する連通多孔構造体の製法に係る。
請求項5の発明は、前記有機高分子化合物が動植物由来の天然有機高分子化合物である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の封入物を有する連通多孔構造体の製法に係る。
請求項の発明に係る封入物を有する連通多孔構造体の製法によると、封入物の表面の全部又は一部を除去材としての水によって除去することが可能な水溶性物の被除去物で被覆した粒状の複合材を形成し、前記複合材を有機高分子化合物からなる基材内に混入し混入物を得て、前記混入物を所定形状の成形体に成形し、その後、前記被除去物を前記除去材としての水によって溶解除去し、前記成形体内部に該成形体の表面に連通する空洞部を形成すると共に前記空洞部に前記封入物を残留させて封入するため、連通多孔構造体の空洞部の形成並びにその大きさの制御を容易にすることができ、当該形成された空洞部内に封入物を残存させることができる。さらに、被除去物の溶出除去を極めて容易に行うことができる。また、被除去物の溶出除去後には乾燥のみで済むことから製造に要する処理が簡便となる。
請求項の発明に係る封入物を有する連通多孔構造体の製法によると、除去材として酵素によって除去することが可能な該酵素の基質となる被除去物の表面に封入物を被着して粒状の複合材を形成し、前記複合材を有機高分子化合物からなる基材内に混入して混入物を得て、前記混入物を所定形状の成形体に成形し、その後、前記除去材としての酵素によって前記被除去物を酵素分解により除去し、前記成形体内部に該成形体の表面に連通する空洞部を形成すると共に前記空洞部に前記封入物を残留させて封入するため、連通多孔構造体の空洞部の形成並びにその大きさの制御を容易にすることができ、当該形成された空洞部内に封入物を残存させることができる。さらに、複合材の調製に当たり水に不溶、難溶な被除去物も使用することができ、連通多孔構造体内に形成される空洞部の大きさの制御を複合材に依存して容易に行うことができる。
請求項の発明に係る封入物を有する連通多孔構造体の製法によると、請求項1または2に記載の発明において、前記成形体の全体容積に対する前記複合材の容積割合が50%以上であるため、連通多孔構造体内の連通性を高めて流体の流通、貫通性能を確保することができる。
請求項の発明に係る封入物を有する連通多孔構造体の製法によると、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発明において、前記成形体がフィルム又はシート状物であるため、成形体内に多孔構造を形成し、かつ、その内部に封入物を内包するフィルムやシート状物の製造は簡便となる。
請求項の発明に係る封入物を有する連通多孔構造体の製法によると、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発明において、前記有機高分子化合物が動植物由来の天然有機高分子化合物であるため、連通多孔構造体の成形体としての安定性、加工容易性に加え、環境負荷等に対応する生分解性能が求められる用途に優れる。
以下添付の図面に従って本発明を説明する。
図1は本発明の第1形態の封入物を有する連通多孔構造体の概略断面図、図2は第2形態の封入物を有する連通多孔構造体の概略断面図、図3は第3形態の封入物を有する連通多孔構造体の概略断面図、図4は第4形態の封入物を有する連通多孔構造体の概略断面図、図5は本発明の封入物を有する連通多孔構造体の製法を示す概略工程図、図6は図5の複合材の概念図である。
入物を有する連通多孔構造体について、始めに構造面から説明する。すなわち図1より理解されるように、封入連通多孔構造体10の基材となる成形体11の内部に、その表面12に連通する空洞部20が形成されている。そして、この空洞部20に種々の封入物30が封入されてなる構造体である。図示の封入連通多孔構造体はフィルム状物を表す。そこで当該構造体の表面12は便宜上一側表面12pと他側表面12qに区別され、封入連通多孔構造体は当該両表面間で連通されている。封入連通多孔構造体10では、単一の粒子状物からなる封入物30を内包している。この他に、図2の封入連通多孔構造体10Aでは、粒子状物の複合体からなる封入物30Aの例を開示する。
図1,2に例示する封入連通多孔構造体10,10Aにあっては、空洞部20内の空間21に封入物30,30Aが残留した形態である。空洞部20内の封入物30,30Aの個数は適宜である。この封入連通多孔構造体10,10Aによると、比較的大形状の封入物30,30Aを内包可能であるため、後記の吸収、放出等の機能面に優れる。
また、図3に例示する封入連通多孔構造体10Bにあっては、空洞部20B内の内表面22に封入物30Bが被着して残留した形態である。図3の封入連通多孔構造体10Bの場合、封入物30Bは微粒子状であるため、その表面積は増加する。従って、後記の触媒等の機能面で優れる。
図1ないし図3に示す封入連通多孔構造体10,10A,10Bでは、おおよそ、いずれの空洞部20,20Bとも構造体の外部とつながっている(接している)。このため、封入連通多孔構造体10,10A,10Bの外部に存在する液体や気体(流体一般)は、空洞部20,20B内に侵入して封入物30,30A,30Bと接触し、さらには構造体を通過することが可能となる。そこで、空洞部内に封入する封入物の特性、機能いかんにより、構造体周囲の環境に影響を与えることができる。
図1ないし図3に開示する封入連通多孔構造体10,10A,10Bにあってはその空洞部20,20Bの大きさは0.001〜1mmに規定される。空洞部が略球形状の場合には、大きさは直径を意味する。開示形態の空洞部の形状は、楕円体、紡錘体等であるため、大きさはそれらの最大長となる。空洞部の大きさ、形状については、封入連通多孔構造体自体の強度、用途等に影響を与えない範囲において適宜選択され、必ずしも空洞部が均一形状とは限らない。
空洞部の大きさ(直径、最大長)は、主に封入物の大きさにより規定される。例えば、図1に示す場合、空洞部20の大きさは、成形体11内に封入物30を内包可能な大きさであると共に、構造体内の連通性を高めて流体の流通、貫通性能を確保しうる大きさである。図3に示す場合、封入物30Bは微粉末状物であることから、空洞部20Bは空洞部20より小径とし、空洞部内からの封入物の脱離を抑制する大きさとなる。
また、空洞部の大きさに関しては、封入物及び成形体の性質も影響する場合があり得る。これには以下の組み合わせが主に考えられる。親水性物質同士の組み合わせ(水素結合の作用)、疎水性物質同士の組み合わせ(非極性分子同士の作用)、他にカチオン性とアニオン性のイオン結合が成立する組み合わせ等である。そのため、封入連通多孔構造体10Bのように空洞部20Bより著しく小径の封入物30Bであっても内包、保持可能となる。なお、空洞部の大きさは、後述する図5の製法並びに図6から理解されるように、封入物自体の大きさ(粒子径)とほぼ同等もしくは封入物自体よりも大きく形成される。従って、封入物の大きさを好適に選択することにより、空洞部の大きさも容易に調整することができる。
続いて、封入連通多孔構造体10,10A,10Bにおいて成形体11の基材となる素材を説明する。これは広義に有機高分子化合物が用いられる。また有機高分子化合物においても動植物、微生物由来の天然有機高分子化合物が用いられる。
有機高分子化合物としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、あるいはポリエステル樹脂等が用いられる。
ポリオレフィン樹脂を例示すると、エチレン単独重合体、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の1種または2種以上のα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルとの1種または2種以上のランダムまたはブロック共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の1種または2種以上のα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体、1−ブテン単独重合体、アイオノマー樹脂、さらに前記したこれら重合体の混合物等のポリオレフィン系樹脂、石油樹脂及びテルペン樹脂等の炭化水素系樹脂である。
ポリアミド樹脂を例示すると、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン6/66、ナイロン66/610及びナイロンMXD等のポリアミド系樹脂である。
ポリエステル樹脂を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂である。
その他に利用可能な樹脂として、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン−アクリロニトリル系樹脂、PTFE等のフッ素樹脂、ポリイソプレン系樹脂、SRB等のブタジエン系のゴム、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の水素結合性樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリケトン樹脂等を挙げることができる。
列記の有機高分子化合物は、成形体としての安定性、加工容易性、価格等が重視される場合に選択される。また、既存の樹脂製品分野への代替適用が容易である。
天然有機高分子化合物においては、動物、植物からの産生物をほぼそのまま利用した化合物と、この化合物を出発原料として適宜調製した樹脂素材の両方が含まれる。前者の天然物には、コラーゲン、デンプン、アルギン酸(架橋物等)、キチン、キトサン、天然ゴム、アラビアゴム、ダンマル、コパール、ロジン、グッタベルカ等である。後者の樹脂素材には、羊毛等のケラチン由来のタンパク質樹脂、例えばバチルス属等の細菌から産生されるポリ−3−ヒドロキシ酪酸、あるいはポリ−3−ヒドロキシ吉草酸、並びに両分子からなる共重合体、カゼインプラスチック、大豆タンパクプラスチック、セルロースアセテート(アセチルブチルセルロース)、セルロースアセテートブチレート、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、加えてセルロース由来のビスコースより調製される再生セルロース樹脂、デンプンから調製されるポリ乳酸等、種々の樹脂が該当する。さらに、これら以外にも、微生物的生分解性能に優れたポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等も含めることができる。
列記の天然有機高分子化合物は、成形体としての安定性、加工容易性に加え、環境負荷に対応する分解性能等が重視される場合に選択される。
列記の有機高分子化合物(天然物を含む。)の成形体材料としての選択は、内包する封入物の種類、特性、製品化した封入物を有する連通多孔構造体の使用目的等を勘案して適切に行われる。
上記のとおり、封入連通多孔構造体の成形体の基材に関しては、広汎な樹脂素材の使用が可能である。これらの高分子化合物からの加工は、形状いかんによるものの比較的に容易である。そこで、所望形状の成型体、ブロック状、ペレット状、ビーズ状(粒状)、粉末状、繊維状とする他、特にその成形体をフィルム状またはシート状の形態とすることもできる。
従前、フィルム状物やシート状物に新規な機能を付与する場合、一般に、その表面に所望の機能を発現する物質が分散、塗布される。あるいは基材となる樹脂等に当該物質が混錬される。しかし、フィルム状物やシート状物の表面への安定的な固定は難しく、しかも表面に被着できる物質種は限られ、適用分野は狭い。また、基材となる樹脂等に混錬する場合、機能を発現する物質が樹脂全体に拡散され、配合量の割に所望の性能に達しないことが多い。
これに対し、上記詳述の開示形態から把握されるように、本発明の封入連通多孔構造体は成形体内の空洞部に封入物を封入した構造である。すなわち、封入を可能とする物質種が拡張されると共に、封入物の量を抑制しながらも所望の機能(後述の吸着等)の発現を得ることができる。
次に、本発明の封入物を有する連通多孔構造体について、封入物の性質に沿ってその機能面を説明する。本発明の封入物を有する連通多孔構造体は主に吸着もしくは放出、酸化もしくは還元、磁性または触媒の機能を単独で有する他、これらを複合して併せ備える。提示の機能に応じて封入物を説明する。
〔吸着機能〕
吸着に際しては、水系、気系を問わず、流体中より不必要な分子種を除去することである。吸着目的の封入物として、炭素系吸着剤、無機系吸着剤、有機系吸着剤に大別される。
・炭素系吸着剤
炭素系吸着剤には、樹木、竹、やし殻、コーヒー豆等の天然素材の炭化物を用いることができる。これに加え、樹木、竹、やし殻、コーヒー豆等の天然物由来の活性炭、古タイヤ、フェノール樹脂等の各種有機樹脂を用いた合成物由来の活性炭が用いられる。むろん、活性炭の出発原料はこれらに限られることはなく、また、製造方法、賦活方法等は適宜である。
とりわけ封入物については、吸着機能を有する活性炭とすることが好ましい。活性炭は、空洞部内への封入、保持等の取り扱い面において簡便であり、耐熱性、酸やアルカリ等の耐薬品性等においても優れている。また、既存の活性炭製品を容易に転用することもできる。一般に活性炭は、ミクロ孔(細孔直径2nm以下)、メソ孔(2〜50nm)、マクロ孔(50nm以上)までの広範囲にわたる細孔を有し、細孔直径、細孔分布、表面積等の各種指標を比較的均質に制御することができる。従って、目的とする様々な大きさの物質の吸着、捕捉に適応させて活性炭の種類を選択することが容易にできる。
ここで、封入物として好例な活性炭は、ビーズ状、粒状、粉末状、繊維状の形態に分けられる。これらの活性炭は吸着の用途に合わせて選択される。ビーズ状活性炭は、平均粒径0.1〜1000μmの真球状である。粒状活性炭は、平均粒径100〜1000μmである。粉末活性炭は、平均粒径0.1〜100μmの破砕状である。また、繊維状活性炭は、平均断面径0.01〜10μm、全長0.1〜1000μmである。これらは例示であり、単独種のみの使用、もしくは複数の種類、大きさに加え、出発原料等を異とする活性炭の混合使用も当然に可能である。
これらに加え、炭素系吸着剤としては、高度な選択的吸着性能からメソポーラス炭素を用いることも可能である。他に、特有な性質に鑑みC60、C70、C90等のフラーレン分子、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の使用も検討される。
・無機系吸着剤
無機系吸着剤としては、シリカゲル、マイクロポーラスシリカ、活性アルミナ、リン酸ジルコニウム等が例示される。さらにイオン交換能を利用したゼオライト、スメクタイト(モンモリロナイト)も含めることができる。他に多孔性酸化マンガンをはじめとする多孔性金属酸化物や多孔性金属水酸化物、アパタイト等が含められる。
・有機系吸着剤
有機系吸着剤としては、キチン類、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のイオン交換樹脂、キレート樹脂、有機金属錯体等の合成吸着剤が検討される。
上記の吸収機能により、例えば、空気浄化、脱臭の分野において、シックハウスの原因となる有機溶剤の吸収、吸着、アンモニア臭等の生活臭、ペット、家畜等の臭いの吸収を目的としたシート、ブロック、繊維等が好例となる。また、水質浄化、脱色等の分野において、生活廃水中の窒素分、リン等の富栄養化成分の吸着、重金属分(イオン)の吸着、有機溶媒や流出油濁の吸着を目的としたシート、ブロック、繊維(織布)等が好例となる。
この他に、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド等を担持させることもできる。そこで、所定の配列を有するヌクレオチドやペプチドの吸着に供し、生化学分野の精密分離膜等に用いることができる。あるいは、特定のイムノグロブリン(Ig)を担持させて、アレルゲン様物質の同定、分離にも利用することができる。
〔放出機能〕
放出とは、封入物の諸特性が連通多孔構造体の外部に発現される現象である。放出に関し、便宜上、化学的放出と物理的放出に大別して説明する。
・化学的放出
化学的放出とは、封入物自体のイオン種や分子種、あるいは封入物に担持されているイオン種や分子種が連通多孔構造体の外部に拡散されることである。
(a)肥料の保持目的として、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸カリウム、過リン酸石灰等を個別もしくは複数含む微小球状物を封入物とすることである。肥料分自体を含むシートを利用すると、土壌改良材シート、緑化育成シートとしての用途に有用である。むろん、シートに限らず、鉢植えやプランタ等の樹脂加工製品も検討できる。特に樹脂種を前記の生分解性樹脂とすることにより、経年後の廃棄物処理の負担が無くなる。
(b)芳香、薬効成分の保持目的として、例えば、香水や香料、殺虫剤等として使用されるメントール、ゲラニオール、リモネン、各種エステル類、ピネン類等の種々の化合物を揮発、拡散する芳香剤、殺虫剤に加工できる。いったん所望の香料分子をシリカゲル等の微小球状物等に含浸、あるいはクラウンエーテルやサイクロデキストリンに所望の香料分子を内包させてこれをシリカゲルの微小球状物等に含浸させた後、当該含浸物を封入物として連通多孔構造体内に担持させる。この場合、フィルムやシートにあっては、芳香シート、殺虫シート等を得ることができ、あるいは新規な壁紙等の建材とすることができる。比較的少量の芳香成分としながらも、空洞部からの拡散を利用するため、効率よく伝播させることができる。むろん、空洞部の内径の大きさ等により、拡散速度を調整することは可能である。
(c)薬剤担体目的において、例えば、薬剤を直接封入物とする他、油脂やパラフィン類の別異の担持体に担持(ミセル化等)、適宜デンドリマー分子等に結合させ加工して封入物とすることもできる。当該封入物は連通多孔構造体内に保持される。例えばステロイド化合物(ホルモン)等の薬剤に関しては、連通多孔構造体をフィルム状とし経皮吸収用シールとすることができる。特に、空洞部の内径の大きさを制御することが容易であるため、封入物として薬剤を内包している場合、薬剤の放出速度の調整が可能となり、ドラッグデリバリーシステム(DDS)を担う薬剤徐放性担体としても有望である。
(d)殺菌あるいは抗菌目的において、無機系抗菌剤または有機系抗菌剤を封入物とすることもできる。特に銀、銅等の金属イオンをゼオライト、アパタイト等の無機系イオン交換体に担持させた無機系抗菌剤は耐熱性や安全性に優れるため、連通多孔構造体をフィルム状とし、絆創膏あるいは防疫マスク、防疫服等の基材として有望である。
・物理的放出
物理的放出とは、封入物自体の発色、封入物より電磁波(光線、放射線等)の放射、発熱や吸熱反応を伴うことである。
(a)色の発色に当たり、封入物を有機系、無機系の各種顔料とすることができる。例えば、アニリン類の化合物、銅やクロム、鉄等の酸化物、各種のスピネル結晶体、ペロブスカイト構造体(複合酸化物)、さらには酸化被膜ガラスフレーク等である。また、各種の蛍光も当然に含まれる。例えば、蛍石、リン光塗料の他、アルミン酸ストロンチウム等の蓄光剤を用いることができる。なお、連通多孔構造体をフィルム状としている場合、これにラミネート処理を施して別途フィルムを重ね空洞部を塞ぐこともできる。封入物には顔料以外にも金属、合金の微粉末を用いることができる。そこで、従来とは異なる色合いの構造体を得ることもできる。
(b)光以外の電磁波であるガンマ線、他にベータ線の照射源を封入物とし、これらの担持体に連通多孔構造体を利用することができる。封入物の線量いかんにより、殺菌、静菌、防腐等の用途、さらには放射線増感の基材としても用いることができる。封入物には線源となるラジオアイソトープ単体、その化合物、さらには天然鉱石等が用いられる。
(c)温度変化に着目すると、発熱剤、蓄冷剤の用途が考えられる。例えば、封入物に酸化カルシウムを用い、これを含むフィルムから袋状物を形成して懐炉とすることも考え得る。他に、公知の蓄冷材を封入物とすることも可能である。
〔酸化機能〕
酸化とは、連通多孔構造体の外部に存在する分子種が空洞部に侵入し、ここで封入物により酸化される現象である。例えば、屋内等の臭気の原因となる分子を酸化することにより構造が変化して、無臭の分子となる酸化的消臭が考えられる。そのため、二クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウムの担持が想定される。他に、急激な酸化反応の利用例として火薬、爆薬類を封入物として空洞部内に内包させることもできる。
〔還元機能〕
還元とは、連通多孔構造体の外部に存在する分子種が空洞部に侵入し、ここで封入物により還元される現象である。一例に、酸素ラジカル種もしくはこれを内包する分子種に対するスカベンジャーを含浸させた封入物を内包させることが考えられる。例えば、カロテン、トコフェロール等の使用が検討される。
〔磁性機能〕
磁性とは、連通多孔構造体の空洞部に封入されている封入物自体が磁性を帯びることである。当該用途においては、封入物を砂鉄、鉄粉末、ネオジウム磁石粉末、走磁性細菌由来物の各種の磁石とすることができる。
〔触媒機能〕
触媒とは、連通多孔構造体の外部に存在する分子種が空洞部に侵入し、ここで封入物と接触することにより当該分子種の構造に変化が生じる現象である。このため、触媒機能は、酸化、還元等の諸機能を重複することが多い。好例として、封入物に銀、金、白金、酸化チタン等の金属元素、金属酸化物等が用いられる。例えば、臭気の分解を可能としたフィルムを提供することができる。加えて、CMC等に固定化した固定化酵素の担持も勘案され、酵素反応膜としての利用も検討される。
以上列記の機能は一例である。他に遮蔽機能を備えることもできる。遮蔽機能の目的は、各種電磁波、X線、γ線、β線、中性子線、さらには磁力等の外的エネルギーから対象物を遮断すること、あるいは内容物から生じるこれらのエネルギーの外部拡散、放射を防ぐ目的である。そのため、主に、電離放射線等を遮蔽する封入連通多孔構造体の封入物には黒鉛、金属元素やその化合物が用いられる。中性子線の減速材(遮蔽)として用いる場合、封入物に適宜ホウ素化合物を用いることができる。また、封入物の種類によってはγ線等の照射に伴い放射性壊変のおそれもあるため、線種に応じて封入物の元素種は適切に選択される。
電磁力の遮蔽においては、精密電子機器のノイズ対策、高周波防御に有益である。例えば、銅や炭等を封入物として用いた連通多孔構造体のフィルムを得た場合、当該フィルムにより電子回路基板の保護を図ることが考えられる。
これまでに詳述した封入物を有する連通多孔構造体において、発現される機能は必ずしも1種類に限られることはない。例えば、封入物を活性炭と酸化チタンの両方を用い、吸着と触媒(分解)の機能を併せ備えても良い。また、ゼオライトに銀を保持させた銀ゼオライトを用い、吸着と放出(抗菌)の機能を併せ備えることもできる。さらに、シリカゲル、セルロースやアルギン酸カルシウム等の物質は、高湿度環境では空気中の水分を吸収し、低湿度環境下では吸収した水分を空気中に放出する作用を示す。従って、これらを封入物として用いた連通多孔構造体のフィルムは、室内の湿度変化を低減する調湿壁材や調湿性保存容器等への利用が検討される。
さらには、封入物を有する連通多孔構造体自体に別途の物質を含浸担持させることも可能である。図4に例示する封入連通多孔構造体10Cのとおり、該構造体の空洞部20の内部(空間21)には封入物30が保持されるのみならず、含浸物35が浸透、含浸される。図1ないし図4においては共通箇所を同一符号とした。
封入連通多孔構造体10Cによると、例えば、速やかに含浸物35の成分が構造体外に放出され、続いて封入物30が放出される。つまり、放出の速さを異ならせた2段階放出させることができる。この場合、生分解性樹脂を基材として用い、封入物に肥料や炭を用い、これらを有する連通多孔構造体を作成し、当該連通多孔構造体に別途、農薬を含浸物として含浸させることも可能である。同構造体は、微生物分解可能な緑化育成シート等として有用である。あるいは、ポリ乳酸を基材として用いると共に封入物にヒドロキシアパタイトを用い、これらを有する連通多孔構造体を作成し、当該連通多孔構造体に別途、骨細胞の増殖因子等の適切なサイトカインを含浸物として含浸させることも可能である。同構造体は、骨組織再生のための形成外科用材料等として有望視される。また、複数の機能を併せ備えることも可能となる。例えば、封入物に適宜の光増感物質を用い、これを有する連通多孔構造体を作成し、当該連通多孔構造体に別途、増感作用を受ける物質(構造変化を起こす物質)を含浸させることも可能である。
続いて、本発明の封入物を有する連通多孔構造体の製法を説明する。すなわち図5の概略工程図から理解されるように、はじめに、封入物(S1)と被除去物(S2)とからなる複合材(S3)が得られる。
複合材(S3)は、封入連通多孔構造体の成形体を成す基材(S4)の樹脂内に混入され、混入物(S5)となる。混入物(S5)は適宜所定の形状に成形(T1)され成形体(S6)となる。当該成形体(S6)において、除去材により被除去物が除去(T2)される。こうして、成形体内部には表面間を連通する空洞部が形成されると共に、空洞部内に所望の封入物が残存され封入が完了する。符号Pは封入連通多孔構造体(封入物を有する連通多孔構造体)である。
開示の製法によると、封入物を複合材とすることにより、成形体内に将来空洞部となる空間を確保しつつ、事後的に複合材の不必要な成分(被除去物)が取り除かれる。複合材が存在していた空間は空洞部となり、ここに封入物のみが取り残される。特に、複合材の大きさ(粒径等)を選択、制御して作成することにより、自動的に空洞部の内孔の大きさはほぼ規定される。従って、所望の封入物とこれに合わせた被除去物の選択や複合材の調製の幅が広がることに加え、連通多孔構造体の空洞部の形成並びにその大きさの制御を容易とすることができる。
複合材(S3)は、図6(a),(b)に示すとおり、封入物30a,30bの表面の全部または一部を除去材により除去される被除去物31a,31bで被覆されてなる(図示では全部被覆である。)。この複合材3Aは前出の図1の連通多孔構造体を形成する際に用いられ、複合材3Bは前出の図2の連通多孔構造体を形成する際に用いられる。あるいは、図6(c)に示す複合材3Cのように、被除去物31cの表面の全部または一部に封入物30cを被着させ、この表面上の封入物30cの周囲をバインダ32により被覆、保護した構造とする複合材3Cは前出の図3の連通多孔構造体を形成する際に用いられる。複合材(S3)の調製に際し、封入物及び被除去物同士の混錬や被除去物表面への封入物の被着の後に、造粒、篩別、分級等が行われてもよい。
混入物(S5)の調製に当たり、複合材(S3)の基材(S4)への混入の割合は成形体(S6)の全体容量に対し、複合材(S3)の容積割合は50%(vol/vol)以上を満たすことが望ましい。図1ないし3等に示すように、たいていの空洞部も連接可能となる。前記の容積割合が満たされるようになると、連通多孔構造体の外部から空洞部内への流体の侵入、流通は容易になると共に、後述の被除去物の流出除去が促される。こうして、成形体内部の空洞部の発達が進み、いずれの空洞部(空洞部表面)、封入物とも連通多孔構造体の外部流体と接触可能となる。
混入物(S5)を成形して成形体(S6)を得る成形工程(T1)においては、押出成形、ブロー成形、プレス成形等の適宜樹脂加工分野の公知成形手法が用いられる。この結果、所望の成型品が得られる。これらの他に、冷間静水圧プレス(CIP)、テープキャスティング法等を用いても良い。また、成形体(S6)を繊維状に加工することを所望の場合には、公知の紡出装置が用いられる。なお、特定の形状に加工することを要しなければ、混入物を放置したままとすることもできる。
とりわけ成形体(S6)をフィルムまたはシート状物とする場合にあっては、溶液キャスト法、Tダイ法、チューブラー法、カレンダー法等の公知の方法が使用される。基材を熱可塑性樹脂とするフィルムは、その機械的物性等から、延伸フィルムとしてもよい。延伸フィルムを製造する際の延伸方法には、ロール−一軸延伸、圧延、逐次二軸延伸、同時二軸延伸、チューブラー延伸等の公知の方法が使用できる。特に、逐次二軸延伸、同時二軸延伸が、厚薄精度、機械的物性等の点で優れているため好ましい。
成形体(S6)において、除去材により被除去物を除去しようとする場合、まず除去材を水とし、被除去物を水に可溶な水溶性物とするものである。水には、温水、熱水、亜臨界水も含まれる。また、酸・アルカリのpH値の調整や適宜の塩類の溶解液も含まれる。これらは総称して水系の除去材といえる。自明ながら、基材及び封入物は水類に不溶、難溶な材料から構成される。水系の除去材を用いる利点は、被除去物の溶出除去を安価かつ容易に行うことができる。また、被除去物の溶出除去後の処理として、乾燥のみで済むことから製造に要する処理が簡便となり、相対的に製造原価の圧縮が可能となる。ちなみに、乾燥に際しては、基材や封入物の熱劣化を考慮して過熱水蒸気による短時間の乾燥とすることが好ましい。
好適な組み合わせとして、例えば、基材をポリエチレン、封入物を球状活性炭、被除去物をスクロースや各種の糖類とする実施例を例示することができる。むろん、これ以外にも適切な組み合わせが可能であり、前記の諸機能に応じた封入物を有する連通多孔構造体を得ることができる。
水系の除去材の別形態として除去材に酵素を用い、被除去物を当該酵素により除去可能な物質、つまり基質とするものである。使用する酵素は、アミラーゼ、プルラナーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ(ペプチダーゼ)等の加水分解酵素から適切に選択され、基質に応じて単一種の酵素、あるいは複数種の酵素としても良い。
酵素と被除去物との対応は両者間の基質特異性に依存する。アミラーゼ、プルラナーゼ、セルラーゼ等によると、基質となる被除去物は糖鎖化合物となる。リパーゼは直鎖カルボン酸、トリグリセリド、パラフィン等の油脂類の分解に用いられる。プロテアーゼ(ペプチダーゼ)はタンパク質、あるいはペプチド結合、アミド結合を有する高分子化合物の加水分解に用いられる。
具体例を明示すると、基質となる被除去物がデンプン、デキストリンの場合、酵素はα,β−アミラーゼ、加えてプルラナーゼ等が選択される。同時に、封入連通多孔構造体の成形体を成す基材並びに封入物は、前記のアミラーゼ等の加水分解を受けない分子とする必要がある。そこで、基材はポリ乳酸やポリカプロラクトン等となり、封入物には活性炭、ゼオライト等が選ばれる。被除去物をデキストリンとする場合には、前掲図6(a),(b)に示すとおり、活性炭とデキストリンの混錬物が複合材となる。デンプンも糊化の過程を経ることにより前記の各図と同様の複合材とすることが可能である。
また、図6(c)に示すとおり、デンプン粒子表面に粉末状の活性炭あるいはゼオライト等を被着させた複合材とすることも可能である。図6(c)の開示形態の場合、被除去物であるデンプン粒子表面に活性炭等の封入物を被着、固定させるため、必要に応じ適宜のバインダを用いることが望ましい。このバインダとして、例えば被除去物であるデンプンの糊化を妨げないことが必要となる。具体的には、デキストリン、プルラン、スクロース、マルトース、トレハロース、グルコース等の天然化合物、あるいはCMC、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子化合物を用いることができる。なお、バインダ自体も分解、溶出されるため、被除去物である。
デンプン粒子の形態や粒径は植物種によって異なり、平均粒径は約1〜100μmである。例えば、馬鈴薯デンプンの粒子は平均粒径約30〜40μmの楕円形であり、コーンスターチ粒子は平均粒径13〜15μm程度でその径状はやや角張っている。目的とする連通多孔構造体の空洞部の形態により、これらのデンプン粒子が選択され、1種類のみ、あるいは複数種類のデンプン粒子が用いられる。被除去材を上記のデンプン粒子とする場合、酵素分解を容易にするため、成形体は分解するデンプンの糊化温度以上の温水浴中にて加温され、デンプンの糊化(アルファ化)が促進される。
別例として、酵素をプロテアーゼとする場合、基質となる被除去物にポリ乳酸が選択される。同時に、封入連通多孔構造体の成形体を成す基材並びに封入物は、プロテアーゼの加水分解を受けない分子とする必要がある。そこで、基材はセルロース、ポリエチレン等となり、封入物には活性炭等が選ばれる。
酵素処理に供する酵素溶液は、当該酵素の活性が最適に反映される至適温度、至適pHに維持される。被除去物(基質)の酵素加水分解物により、酵素溶液自体のpH等が変化することもあり得るため、適宜の緩衝液が添加されることもある。また、酵素加水分解物が反応阻害剤としても作用する懸念もあり得ることから、図5における除去の工程(T2)にあっては、連続処理、回分処理を適式に組み合わせて行われる。併せて、用途に応じ、必要により残存する酵素の失活を行う場合もある。例えば、アルコール、高塩溶液、酸や塩基の溶液への浸す他、加熱することもある。なお、基材や封入物の性質によるものの、速度反応論を加味して、至適温度を高めとする酵素の選択が好ましい。
酵素処理の利点は、水に不溶、難溶な被除去物を用いて複合材を調製可能な点である。一例として、粒度分布の狭いデンプン等を用いることにより、大きさの均一な複合材を得ることができる(図6(c)参照)。そのため、連通多孔構造体内に形成される空洞部の大きさはいずれも揃い、連通多孔構造体内外の流体が空洞部へ通過する際の抵抗は概ね揃うことが予想される。従って、連通多孔構造体内に形成される空洞部の大きさの制御が容易となり、封入物の機能発現のむらを生じさせにくくすることができる。
これまでに述べたように、成形体(図5参照)となった封入物を有する連通多孔構造体においては、その内部に空洞部を形成し、かつ、該空洞部内に封入物を保持することが可能である。すなわち、従前の基材樹脂への混錬とも、表面への塗布とも異なる形態を有する構造体を得ることができる。
従前、封入物を有する連通多孔構造体の生産は工程面等において、必ずしも容易とは言えず、本発明ほど低廉に得ることはできなかった。加えて、混入物(S5)を成形(T1)して成形体(S6)を得た後、被除去物の除去(T2)が行われることから、構造体自体に外的損傷を与えて空洞部を形成し、封入物を注入しているわけではない。例えば、封入物を有する連通多孔構造体をフィルム状またはシート状をはじめ、繊維状の形態とする場合、成形体に占める空洞部(複合材)の空間容積が多くなったとしても、成形体樹脂が被る損傷は少なく、折り曲げ強度、引っ張り強度等の諸物性を低下させることがなく、好適な材料である。その上で封入物の性質いかんにより既述の吸着、放出、酸化、還元、磁性、触媒等の種々の機能を具備することができ、付加価値が備わる。封入物を有する連通多孔構造体の有効な利用分野については、開示の機能面の記載が参照される。
[試作例1]
スクロース10gに蒸留水10gを加え攪拌し、これに合成樹脂由来ビーズ状活性炭10g(フタムラ化学株式会社製:平均粒径21μm(粒子径8〜160μmに分布))を添加し攪拌し攪拌物1aを得た。攪拌物1aの攪拌を続けながら170℃で加熱し、沸騰を終えた時点で攪拌を停止し、さらに加熱し続け、攪拌物1aの重量減少が止まった時点で加熱を終了し、オーブン内にて冷却して乾固物1bを得た。相対湿度60%RH以下を満たした環境下にて、乾固物1bを乳鉢で粉砕し、#100メッシュのステンレス製の金網フィルターを用いて篩別し、粉砕物1cを19.2g得た。
融点90℃の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のペレット6gと、乾燥させた粉砕物1cの14gとを140℃に加熱しながら混錬して混練物1dを得た。混練物1dをステンレス鏡面板内に注入し、140℃を維持しながら20MPaで5分間押圧してプレス成形した。成形後、冷却して複合フィルム1eを得た。複合フィルム1eを80℃の熱水浴に1時間浸漬した後、40℃の超音波浴中に5分間浸漬し、さらに1分間流水で洗浄した。水洗を終えた後、80℃で24時間乾燥した。
以上より、試作例1の封入物を有する連通多孔構造体(ビーズ状活性炭を担持、封入)を作成した。粉砕物1cは複合材に、ポリエチレン樹脂は基材に、混練物1dは混入物に、複合フィルム1eは成形体に相当する。
[試作例2]
デキストリン12gに蒸留水20gを加え攪拌し、これに木材由来粉末状活性炭8g(フタムラ化学株式会社製「SA1000」(粒子径0.5〜40μmに分布))を添加し攪拌して攪拌物2aを得た。攪拌物2aの攪拌を続けながら170℃で加熱し、沸騰を終えた時点で攪拌を停止し、さらに加熱し続け、攪拌物2aの重量減少が止まった時点で加熱を終了し、オーブン内にて冷却して乾固物2bを得た。相対湿度60%RH以下を満たした環境下にて、乾固物2bを乳鉢で粉砕し、#100メッシュのステンレス製の金網フィルターを用いて篩別し、粉砕物2cを18.2g得た。
ポリエステル系の生分解性樹脂(BASFジャパン株式会社製「エコフレックス」)のペレット(融点110℃)6gと、粉砕物2cの14gとを140℃に加熱しながら混錬して混練物2dを得た。混練物2dをステンレス鏡面板内に注入し、170℃を維持しながら20MPaで5分間押圧してプレス成形した。成形後、冷却して複合フィルム2eを得た。アミラーゼ(大和化成株式会社製「クライスターゼT−5」)を予め添加して85℃に加温した熱水浴に、複合フィルム2eを1時間浸漬した後、40℃の超音波浴中に5分間浸漬し、さらに1分間流水で洗浄した。水洗を終えた後、80℃で24時間乾燥した。
以上より、試作例2の封入物を有する連通多孔構造体(粉末状活性炭を担持、封入)を作成した。粉砕物2cは複合材に、生分解性樹脂は基材に、混練物2dは混入物に、複合フィルム2eは成形体に相当する。
[試作例3]
デキストリン100g(フタムラスターチ株式会社製「FSD103」)に蒸留水300gを加え攪拌し、これに合成樹脂由来ビーズ状活性炭10g(フタムラ化学株式会社製:平均粒径21μm(粒子径8〜160μmに分布))を添加し攪拌して攪拌物3aを得た。攪拌物3aの攪拌を続けながら170℃でスプレードライヤにより乾燥し、平均粒径120μmの複合粉末3bを得た。相対湿度60%RH以下を満たした環境下にて、複合粉末3bを振動ミルにより粉砕し、#100メッシュのステンレス製の金網フィルターを用いて篩別し、粉砕物3cを得た。
融点160℃のポリプロピレン樹脂微粉末250gと、乾燥させた粉砕物3cの750gとを混錬しながらL/D26のTダイ押出機によりフィルム状に溶融押出しして、厚さ200μmの複合フィルム3dを得た。複合フィルム3dを1時間煮沸した後、40℃の超音波浴中に5分間浸漬し、さらに1分間流水で洗浄した。水洗を終えた後、80℃で24時間乾燥した。
以上より、試作例3の封入物を有する連通多孔構造体(ビーズ状状活性炭を担持、封入)を作成した。粉砕物3cは複合材に、ポリプロピレン樹脂は基材に、複合フィルム3dは混入物であると共に成形体に相当する。
[試作例4]
デキストリン粉末(フタムラスターチ株式会社製「FSD103」)10gを水70gに溶かし、これに平均粒子径0.6μの銀ゼオライト粉末20g(シナネン株式会社製「ゼオミックSW10N」)を添加して攪拌し、銀ゼオライトスラリー4aを100g得た。なお、デキストリンはデンプン粒子に対する銀ゼオライト粒子のバインダーとなるが、この試作例4では銀ゼオライトの水への分散剤としても作用している。
馬鈴薯デンプン100gに蒸留水100gを加え20℃で攪拌し澱粉スラリー4bを200g得た。デンプンスラリー4bの200gに銀ゼオライトスラリー4aを20g加え20℃で攪拌し、攪拌物4cを得た。ロータリーエバポレータを用いた減圧下において、デンプンの糊化を促進させないように45℃でこの攪拌物4c中に含まれる水分を留去し、減圧乾燥させた。攪拌物の重量減少が止まった時点で減圧乾燥を終了し、冷却して乾固物4dを得た。相対湿度60%RH以下を満たした環境下にて、乾固物4dを乳鉢で粉砕し、#100メッシュのステンレス製の金網フィルターを用いて篩別し、粉砕物4eを得た。
融点90℃の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂6gと、乾燥させた粉砕物4eの14gとを140℃に加熱しながら混錬して混練物4fを得た。混練物4fをステンレス鏡面板内に注入し、140℃を維持しながら20MPaで5分間押圧してプレス成形した。成形後、冷却して複合フィルム4gを得た。アミラーゼ(大和化成株式会社製「クライスターゼT−5」)を予め添加して85℃に加温した熱水浴に、複合フィルム4gを1時間浸漬した後、40℃の超音波浴中に5分間浸漬し、さらに1分間流水で洗浄した。水洗を終えた後、80℃で24時間乾燥した。
以上より、試作例4の封入物を有する連通多孔構造体(銀ゼオライト粉末を担持、封入)を作成した。粉砕物4eは複合材に、ポリエチレン樹脂は基材に、混練物4fは混入物に、複合フィルム4gは成形体に相当する。
試作例1ないし4から把握されるとおり、比較的簡便な工程を経ることにより、封入物を有する連通多孔構造体を作成することができた。なお、試作例1ないし3に使用した活性炭の粒子径の測定には、島津製作所株式会社製SALD3000Sを用いた。
1形態の封入物を有する連通多孔構造体の概略断面図である。 第2形態の封入物を有する連通多孔構造体の概略断面図である。 第3形態の封入物を有する連通多孔構造体の概略断面図である。 第4形態の封入物を有する連通多孔構造体の概略断面図である。 本発明の封入物を有する連通多孔構造体の製法を示す概略工程図である。 図5の複合材の概念図である。
10,10A,10B,10C 封入連通多孔構造体
11 成形体
12 表面
20,20B 空洞部
21 空間
30,30A,30B,30a,30b,30c 封入物
31a,31b,31c 被除去物
32 バインダ
35 含浸物
3A,3B,3C 複合材

Claims (5)

  1. 封入物の表面の全部又は一部を除去材としての水によって除去することが可能な水溶性物の被除去物で被覆した粒状の複合材を形成し、
    前記複合材を有機高分子化合物からなる基材内に混入し混入物を得て、前記混入物を所定形状の成形体に成形し
    その後、前記被除去物を前記除去材としての水によって溶解除去し
    前記成形体内部に該成形体の表面に連通する空洞部を形成すると共に前記空洞部に前記封入物を残留させて封入する
    ことを特徴とする封入物を有する連通多孔構造体の製法。
  2. 除去材として酵素によって除去することが可能な該酵素の基質となる被除去物の表面に封入物を被着して粒状の複合材を形成し、
    前記複合材を有機高分子化合物からなる基材内に混入して混入物を得て、前記混入物を所定形状の成形体に成形し、
    その後、前記除去材としての酵素によって前記被除去物を酵素分解により除去し、
    前記成形体内部に該成形体の表面に連通する空洞部を形成すると共に前記空洞部に前記封入物を残留させて封入する
    ことを特徴とする封入物を有する連通多孔構造体の製法。
  3. 前記成形体の全体容積に対する前記複合材の容積割合が50%以上である請求項1または2に記載の封入物を有する連通多孔構造体の製法。
  4. 前記成形体がフィルム又はシート状物である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の封入物を有する連通多孔構造体の製法。
  5. 前記有機高分子化合物が動植物由来の天然有機高分子化合物である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の封入物を有する連通多孔構造体の製法。
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